令和8年6月11日、高市総理は、総理大臣官邸で第10回中東情勢に関する関係閣僚会議に出席しました。
会議では、中東情勢をめぐる状況等について議論が行われました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
(高市総理)
各大臣、各府省庁の皆様、一生懸命取り組んでいただき、まずは感謝を申し上げます。
原油の代替調達につきましては、中東や、先週にはアラスカからも到着した米国に加えまして、中南米、アジア太平洋、中央アジア、アフリカなどのほか、新たにカナダからの輸入が決まり、7月にはメキシコから初めて原油が届く予定であるということなど、原油の調達先の多角化が進展しています。
お手元、また例によって一枚ものの資料を用意しておりますが、資料5のとおり、6月は、8割程度の代替調達が確保できますが、7月については、前年平月比で約10割の調達への回復にめどがつきました。特に、米国からは、前年平月比で10倍以上が調達できる見通しです。原油のホルムズ依存度が9割を超えていた我が国が、全量ホルムズ外から調達できるようになったということは、石油業界を始めとした関係者の御努力の賜物であり、感謝を申し上げます。
7月に必要となる原油量を上回る調達ができる見通しであることから、先月に引き続き、今月も国家備蓄の放出は行ないません。その上で、8月以降は、保守的に、前年平月比75パーセントの代替調達に止まると仮定したとしても、備蓄を活用することで、これまでの想定から1年程度延びまして、2028年3月末まで石油の安定供給が可能ということになりました。
ナフサの価格につきましては、4月には、一時、1トン当たり1000ドルを超えて、中東情勢が生じる以前の2倍の水準にまで高騰していましたが、直近は、700ドル超と、約1.2倍にまで下落し、国際価格は落ち着いています。
また、ナフサ由来の化学製品を含む石油製品は、年度を越えて、供給継続が可能です。トルエンやキシレンなどについて、例年の需要の1.8倍の供給を可能とする仕組みを開始しましたが、既に、塗料・シンナーメーカーからトルエンの増量の話に期待している、トルエン・キシレン増産のお陰もあってかシンナー確保に困ることは無くなった、といった声が届いています。順次契約が進んでおり、早ければ18日には原料が届き、増産が始まる見通しです。
赤澤大臣は、価格や、サプライチェーン各層の在庫状況など流通実態の変化をしっかり確認しておいてください。
引き続き懸念の声がある潤滑油につきましては、新たに、全ての業種を対象とした、主要潤滑油メーカーからの直接販売の仕組みを設け、お手元資料6のとおり、昨日から開始をしています。
また、業界団体や企業におきましても、石油製品のスムーズな流通の早期実現を期待する方々が増えています。
まずは、塗料・シンナーについて、スムーズな流通に協力いただける業界団体や企業を、目詰まり・偏り解消協力団体・企業として公表させていただき、そのネットワークを広げていき、全国各地での業界横断の動きへの拡大を図ります。
現在、川下事業者に対して、プッシュ型の支援を進めていますが、一人親方を含む工務店からは、お手元の資料7のとおり、塗料・シンナーのみならず、ユニットバス、塩ビ管についても相談を受けており、ユニットバスの標準納期での対応の再開といった情報提供を行うことで、目詰まり解消を進めています。
自動車整備工場、バス・トラック・タクシー事業者からは、4月はシンナーが入手困難だったが、最近は少し改善した、といった声も届いております。
パン・菓子等販売店につきましては、お手元の資料8のとおり、事業者間の情報共有不足を解消することなどにより、19件の目詰まりのうち10件の対応が完了しました。
複数の団体から資材供給の相談を受けている園芸農家につきましても、目詰まりの解消に取り組んでいます。
金子大臣、鈴木大臣、赤澤大臣は、アンケート調査も活用して、川下事業者の方々の声を丁寧に伺って、目詰まりを一刻も早く解消してください。
また、医療分野につきましては、お手元の資料9のとおり、分包紙・容器の相談が増加していることから、分包紙については、在庫切れのおそれのある薬局への優先供給の仕組みを整備しました。
上野大臣は、個別の薬局等の状況を把握しつつ、薬剤の容器についても目詰まり解消を進めてください。
医療用手袋についても、購入状況を見ながら、ニーズの多いSサイズ2000万枚を追加で放出するとともに、昨日、医療用手袋の最大の輸入元であるマレーシアが、日本への安定的な供給に対する最大限のコミットメントを共同声明において表明してくださっております。中・長期的な供給確保に向けた取組も進めていきます。
このように、国民の皆様の命や暮らしを支える分野でのお困りごと、一件一件、着実に解消しております。各事例については、お手元の資料10を御覧ください。
併せて、中東情勢の影響を受けている中小企業・小規模事業者への資金繰り支援につきましては、建築工事業などを追加して、全業種の半分の583業種において、民間金融機関から融資を受ける際の信用保証について、限度額2.8億円の別枠を設けて、本日から、全国の信用保証協会で相談を受け付けています。
関係大臣は、必要とする事業者に資金繰りや雇用調整助成金による支援が行き届いているか的確に把握をして、中小企業・小規模事業者支援に万全を期してください。
御報告をいたしますけれども、私は、今週6月13日から欧州を歴訪します。英国、イタリアの各首脳と首脳会談を行った後、フランスで開催されるG7サミットに出席をします。今回のサミットでは、現下の中東情勢に、最も大きな影響を受けているアジアの代表として、世界のエネルギー安全保障、とりわけ原油市場の安定に向けて、G7が主導すべき取組として、次の3つを提案してきたいと考えております。第1に、エネルギー安定供給に国際社会が協力して対処して、不当な輸出制限に反対をし、自由で透明な貿易を確保することです。その前提となるホルムズ海峡を始めとする、全てのシ―レーンにおける自由で安全な航行の確保が重要であるということ。第2に、既に我が国が先陣を切って推進している、アジアなどの石油備蓄強化の支援とIEA(国際エネルギー機関)との連携の必要性です。第3に、中東など産油国と消費国との連携強化の必要性です。
こうした提案を通じて、我が国が主導するパワー・アジアの理念を、国際社会全体へと広げていきたいと考えております。私からは以上です。本当にお疲れ様でございます。ありがとうございます。