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首相官邸 Prime Minister of Japan and His Cabinet
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平成30年11月16日ASEAN関連首脳会議及びオーストラリア訪問についての内外記者会見

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【安倍総理冒頭発言】
 オーストラリアの皆さんの心温まる歓迎に、感謝いたします。先ほど、モリソン首相と戦没者慰霊碑を訪れました。戦火に倒れた全ての戦没者に哀悼の誠を捧げ、平和への誓いを新たにしました。
 熾烈(しれつ)に戦った日本と豪州は、70年余りの時を経て、今、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった、基本的価値で結ばれています。共に力を合わせ、アジア太平洋地域の平和と繁栄を牽引(けんいん)する、特別なパートナーとなっています。
 私たちは、太平洋からインド洋へと広がる広大な海を、そして、空を共有しています。国の大小に関わりなく、その恩恵を享受し、共に繁栄する。そのためには、自由で、開かれた海を、空を、守らなければなりません。
 今回、シンガポールにおいて、ASEAN(東南アジア諸国連合)のリーダーたちと、こうした考え方で完全に一致することができました。
 このインド太平洋地域を、法の支配が貫徹され、誰にでも開かれたものとしていく。日本は、その実現のための努力を惜しみません。海上保安面での協力、海洋プラスチックごみの対策、防災協力など、この地域の平和と安定に貢献していきます。
 東アジアサミットでも、この、自由で開かれたインド太平洋というビジョンに、多くの国々から賛同を得ることができました。朝鮮半島の完全な非核化を目指し、拉致問題の早期解決を北朝鮮に求めていくことで、一致したメッセージを出すことができました。
 各国から首脳たちが集まるこの機会を利用し、多くの首脳たちと会談を行いました。
 プーチン大統領との首脳会談では、2年前の長門(ながと)会談以降の両国の信頼関係の積み重ねの上に、領土問題を解決して、平和条約を締結する。戦後70年以上残されてきた課題を、次の世代に先送りすることなく、私と大統領の手で、必ずや、終止符を打つ、という強い意思を共有することができました。1956年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる。そのことをプーチン大統領と合意しました。
 来年のG20においてプーチン大統領をお迎えしますが、その前に、年明けにも私がロシアを訪問する。今回の合意の上に、私とプーチン大統領のリーダーシップの下、戦後残されてきた懸案である、平和条約交渉を仕上げていく決意であります。
 また、昨日は、シンガポールのリー首相、インドネシアのジョコ大統領、フィリピンのドゥテルテ大統領などASEANのリーダーたちとも首脳会談を行い、この地域の未来について議論しました。
 日本は、45年の長きにわたり、ASEANと手を携え、共に、成長の道を歩んできました。ウィン・ウィンこそが、持続的な成長の鍵であります。開放性、透明性、経済性、対象国の財政健全性といった国際スタンダードの下に、日本はこれからも、基本的価値を共有する国々と力を合わせて、この地域の発展のため、質の高いインフラ整備を力強く支援していく考えです。
 ASEANの国々を始め、この地域は、今、目覚ましいスピードで成長を遂げています。この地域がこれからも世界を惹きつけ、世界の成長センターとして持続的に発展していくためには、投資、知的財産、電子商取引など幅広い分野で、21世紀型の質の高いルールに基づく、自由で公正な経済圏を作り上げていくことが必要です。
 年内に発効するTPP(環太平洋パートナーシップ)は、そのモデルとなるものです。ASEANに、日本、インド、中国、韓国、豪州、ニュージーランドを加えたRCEP(東アジア地域包括的経済連携)もまた、そうした質の高い協定を目指して、日本として交渉を力強くリードしてまいります。
 足元では、貿易を巡る緊張や、一部の新興国における通貨下落など、世界経済の下方圧力への懸念が高まっています。明日からのAPEC(アジア太平洋経済協力)では、こうした状況の下で、APECのリーダーたちと、世界の自由貿易と経済成長を後押しする強い決意を発信したいと考えています。
 日本においても、この夏の相次ぐ自然災害などにより、GDP成長率が悪化するなど、景気への悪影響も懸念されます。安倍内閣は、これからも経済最優先。こうした内外の経済情勢を十分に踏まえ、経済の回復基調がしっかりと持続するよう、帰国後、直ちに、今年度二次補正予算の編成を指示する考えです。
 年内に策定する防災・減災、国土強靱化の緊急対策を今年度から実施する。加えて、TPPの年内発効を踏まえた農林水産業の強化策。そして、中小・小規模事業者の皆さんへの支援策をしっかりと講じてまいります。
 さらに、今後、来年度予算の編成作業も大詰めを迎えますが、十分な消費税対策を盛り込む考えであります。景気をしっかりと下支えできるよう、切れ目のない対策を講じ、万全を期してまいります。
 私からは、以上であります。

【質疑応答】
(NHK 原記者)

 総理、日露首脳会談について伺います。先ほど、総理も仰られましたが、日露首脳会談では、日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速することで合意されましたけれども、平和条約を締結した後に、歯舞(はぼまい)・色丹(しこたん)を引き渡すというものと、四島の帰属の問題を解決した後、平和条約を締結するとした日本政府の方針は、必ずしも一致していないようにも見えますが、この点について総理はどのように考えておられますでしょうか。
 併せまして、共同宣言を基礎とすることで、二島先行返還で交渉が進むのではないかという見方が出ていますけれども、この点について、今後の総理の交渉方針を教えてください。
 そして最後に、プーチン大統領は昨日の記者会見で、歯舞・色丹を返す場合も、主権の問題については協議する必要があるという考えを示しました。日本に島が返された場合でも、主権が返ってこないということがあるのでしょうか。この点について総理の受け止めを教えてください。

(安倍総理)
 まず始めに申し上げておきたいことは、領土問題を解決して平和条約を締結するというのが我が国の一貫した立場でありまして、この点に変更はないということであります。
 1956年共同宣言第9項は、平和条約交渉が継続されること、及び、平和条約締結後に、歯舞群島、色丹島が日本に引き渡されることを規定しています。
 従来から政府が説明してきているとおり、日本側は、ここにいう平和条約交渉の対象は、四島の帰属の問題であるとの立場であります。したがって、今回の1956年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させるとの合意は、領土問題を解決して平和条約を締結するという従来の我が国の方針と何ら矛盾するものではありません。
 御指摘のプーチン大統領と記者とのやり取りでございますが、この一つ一つのやり取りについて、コメントすることは差し控えたいと思います。今後もプーチン大統領と緊密に協議し、私とプーチン大統領の間で、双方に受け入れ可能な解決策に至りたいと考えております。そして、平和条約交渉の仕上げを行う決意であります。

(オーストラリア放送協会(ABC) アンドリュー・グリーン記者)
 総理、豪州へようこそ。総理の最近の訪中と習主席との会談に関して質問します。総理は、豪州が対中関係に取り組む上で、どのような提案や見識を共有できるとお考えですか。また、豪州は南シナ海問題について確固たる立場を取り続けるべきだと推奨されますか。それともそれは将来の豪中貿易関係をリスクにさらし得るものでしょうか。

(安倍総理)
 先月、私は日中平和友好条約の締結40周年の機会に、日本の総理としては、7年ぶりに中国を公式訪問し、習近平主席や李克強総理との間で、この地域及び世界の平和と繁栄に大きな責任を有する日中両国が、今後その責任をどのように果たしていくべきか、大所高所から議論を行いました。
 その際、国際スタンダードに沿って協力を進めていくこと、お互いに脅威とならないこと、自由で公正な貿易体制を発展させていくことを確認いたしました。
 日中両国は隣国であります。隣国であるがゆえに様々な課題はありますが、大局的な観点から、首脳同士が率直に語り合っていくことで、こうした課題もマネージしていくことができるし、マネージしていく考えであります。
 同時に、航行の自由、法の支配、非軍事化といった原則については、日本の主張は一貫しています。訪中に際しても、私から、日本側の強い懸念を改めて伝えました。
 本日のモリソン首相との会談では、私の訪中について、私から説明をいたしました。中国が国際社会において責任ある建設的な役割を果たすよう促していくことが重要であるということでモリソン首相と一致しました。日本と豪州は、この地域の平和と繁栄を共に牽引していく、そして主導していく特別な戦略的パートナーであり、今後とも様々な国際的な課題、地域の問題についてお互い連携しながら取り組んでいきたいと、こう思っています。

(東京新聞 妹尾記者)
 総理に今臨時国会に関して伺います。外国人労働者の受け入れを拡大する入国管理法改正案に対し、受け入れる業種や人数が不透明である等として、野党は激しく反発しています。
 法務省は、本日、失踪した技能実習生の調査結果についてこれまでの説明に誤りがあったことを公表しました。それでも今国会で法案を成立させ、来年4月の施行を目指すのでしょうか。その狙いをお聞かせください。
 また、総理は先の所信表明演説において、政党が具体的な憲法改正案を示すべきとの認識を示されました。しかし、今国会ではいまだに衆参両院の憲法審査会は開かれておらず、自民党の改憲条文案も提示されていません。この現状をどう受け止めていらっしゃるかお聞かせください。

(安倍総理)
 我々、6年前に政権を奪還した際に、デフレから脱却をしていく、そして経済を成長させていく、と同時に、働きたいと思う人皆に、働く場所があるという経済を実現したいと考えて、今までアベノミクスを進めてまいりました。その結果、雇用情勢は大きく好転をし、有効求人倍率は44年ぶりの高さとなり、そして、史上初めて全国全ての都道府県で、有効求人倍率が1倍を超えました。
 正規雇用の有効求人倍率が1倍を超えているという状況をつくり出しましたが、同時に、中小・小規模事業者の皆さんを始め、現下の人手不足の状況は、全国的に大変深刻な問題となっています。そして、言わば人手不足の結果、店や工場を閉めざるを得ないという状況が実際に起こっています。
 こうした地方のニーズにしっかりと応え、可能な限り早急に、新たな受け入れ制度を実施する必要があるため、来年4月から制度をスタートすることを目指していきたいと、こう考えております。その考え方の下に、法案を提出させていただいたところであります。
 その上で、国民の皆様、様々な御懸念を持っておられることは十分に承知をしております。そうした皆様の御懸念に対して、目配りし、今回、新たに出入国在留管理庁を設置するなど、在留管理の一層の強化を行うこととしています。
 また、先日、受け入れを要望している業種や、業種別の初年度と5年後の現段階での受け入れ見込みの数をお示しをいたしたところであります。
 こうした本制度の趣旨や内容について、広く御理解をいただけるように、政府として、丁寧な説明に努めてまいりたいと考えています。いずれにいたしましても、我々政府としては、緊張感を持って、国会対応等について、しっかりと努めていく考えであります。
 また、憲法審査会の開催を含む国会の運営については、政府としてはコメントを差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、憲法は国の理想を語るものであります。具体的な改正案が示され、国民的な議論が深まっていく中で、与党・野党といった政治的立場を超えて、できるだけ幅広い合意が得られることを期待しています。

(オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー紙・フィリップ・クーリー政治部長)
 豪州へようこそ、総理。日米豪3か国での安全保障協力についてお聞きします。この枠組みがインド太平洋地域のインフラ構築において持つ役割とは何でしょうか。また、この3か国協力は中国が進める1兆ドル規模の一帯一路構想に匹敵するような大きさのプロジェクトになり得るのでしょうか。また、日米豪の枠組みは、地域の枠組みとしては協力が遅れている日米豪印の安全保障対話より重要になり得るとお考えでしょうか。

(安倍総理)
 日本とオーストラリア、そしてアメリカは、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋というビジョンを完全に共有しています。そしてその実現に向けた具体的な協力を通じて、この地域の平和と繁栄に積極的に貢献していく、その意思と能力を有するパートナーであります。
 インド太平洋における3か国の具体的な協力として、東南アジアや太平洋島しょ国における海上保安面での協力を進めていくこととしています。
 また、アジアのインフラ需要は、年間1.7兆ドルに達し、毎年8,000億ドルを超えるインフラ開発資金が不足しています。この地域の連結性強化を通じた持続可能な成長を実現すべく、透明性、開放性、経済性、被援助国の債務の持続可能性といった、国際スタンダードに則った質の高いインフラ整備を推進していくことが重要であり、日米豪等で緊密に連携していかなければならない、こう思っています。大切なことは今申し上げましたような、国際スタンダードにおいて、質の高いインフラを提供していく、ということだろうと思います。
 日本は、日米豪の他にも、日豪印、日米豪印等の様々な枠組みを通じて、具体的な協力を深めてきています。法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋を実現するために、あらゆる機会を捉えて、このビジョンを共有する各国と共に協力していきたいと考えています。

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