令和6年能登半島地震
被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ

被災地では今なお、多くの方々が厳しい避難生活を余儀なくされています。

「先が見えない」という、現地の皆様の不安に応えるとともに、被災された方々が再び住み慣れた土地に戻ってこられるよう、そして、1日も早く元の平穏な生活を取り戻すことができるよう、政府としても全力で支援をします。

緊急に取り組むべき施策について、「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」として取りまとめ、決定しました。

(1)生活の再建

被災地の方々の命と健康を守るため、避難所等における生活環境の改善を図るとともに、住み慣れた土地に再び戻って来ることができるよう、(3)の道路、水道、学校施設等の復旧とあわせて、住まいの確保を図ります。

避難所等における生活環境の改善

被災地のニーズに応じた、きめ細やかな物資の支援を進めます。

  • ニーズに応じた物資支援(発災直後より展開したプッシュ型の支援から、被災地のニーズに応じて必要な物資を送るプル型支援に移行)

命と健康を守るためのホテル・旅館等への二次避難

命と健康を守るために、配慮を要する方へのきめ細かな対応も含め、安心して二次避難できる環境整備を進めます。

  • 二次避難について、ホテル・旅館等の利用額の基準を特例的に7,000円⇒10,000円に引き上げ
  • 要配慮者等にきめ細かく対応
    • 福祉タクシー、高齢者施設等の活用
    • 介護職員等の応援派遣や災害派遣医療チーム(DMAT)、災害派遣福祉チーム(DWAT)等と連携し、医療・介護・福祉ニーズに対応
    • 保育所、学校等に関する情報の提供
    • 自衛隊・消防、地方公共団体等の連携による孤立集落の事実上の解消
  • 被災地における防犯カメラの設置、パトロール強化等の防犯対策

住み慣れた土地に戻るための住まいの確保

被災者の方が住み慣れた土地に戻れるよう、倒壊家屋の解体・撤去の全額公費での実施、地域型の木造仮設住宅の活用を含めた応急仮設住宅の供与を行うほか、被災者生活再建支援金の迅速な支給などにより、住まいの確保に取り組みます。

  • 罹災証明書の早期交付のため被害認定調査の簡素化・人的支援
  • 住宅の応急修理に対する支援
  • 倒壊家屋の解体・撤去支援、災害廃棄物の処理
    • 全壊家屋に加え、特例的に半壊家屋の解体支援も自己負担ゼロに
    • 所有者不明空家の解体について民法の新制度等の積極的活用
  • 被災者ニーズに応じた応急仮設住宅の供与等
    • プレハブ仮設等に加え、地域型の木造仮設住宅の活用
  • 自力での再建・補修等を支援
    • 被災者生活再建支援金(最大300万円)の迅速な支給

切れ目のない被災者支援

高齢者等の見守り・相談、医療・介護の負担軽減、通園・通学支援、学習・就学支援を含め、切れ目のない被災者支援を進めます。

  • 被災地に寄り添った見守り・相談
    • 災害ケースマネジメントの周知
    • 在宅高齢者等への戸別訪問
    • 仮設住宅に入居する被災者等の見守り・相談支援等
  • 医療・介護費等の自己負担・保険料の減免
  • 通園・通学支援、学習・就学支援
    • 教科書の無償給与、学校ICT環境の整備や通学支援
    • 学習支援や心のケア等に必要な教職員の配置など
  • 運転免許証の有効期間の延長等
  • インターネット上の偽情報・誤情報対策

金融支援・税制上の対応等

金融支援や、税制上の対応も行います。また、災害特例で住民税が免除された被災者がいる世帯も、物価対策の10万円給付の対象とします。

  • 預金通帳を紛失した場合の柔軟な対応
  • 保険証券を紛失した場合の保険金支払い等の迅速化
  • 生活福祉資金貸付の貸付対象を被災世帯に拡大、貸付要件の緩和等
    • <生活福祉資金貸付:離職や解雇、やむをえない休業等で生活に困窮する方への貸付制度>
  • 国税・地方税の申告・納付等の期限の延長等
  • 雑損控除の前年分(令和5年分)所得税への適用を認める特例等(所得税・個人住民税適切に措置)
    • <雑損控除:災害等によって、住宅・家財等の資産について損害を受けた場合等に受けられる所得控除>
  • 住民税が全額免除される水準等となった被災者を含む世帯について、物価高対策支援(1世帯合計10万円、こども1人あたり5万円加算)を適用

(2)生業の再建

能登地域の産業をはじめ、広範にわたる北陸地方の被災地の地場産業において、雇用の維持や事業継続の支援を手厚く講じ、地域の特性を活かした、持続可能な地域経済の再生を図るため、生業(なりわい)の再建を強力に後押しします。

中小・小規模事業者の支援

地域を支える中小・小規模事業者をしっかりと支援します。
また、伝統工芸を途絶えさせることなく、未来につなげていくため、事業継続に必要な道具や原材料の確保も、きめ細かく支援をします。

  • 施設等の復旧費用を補助(なりわい再建支援事業)
    • 石川:最大15億円(補助率3/4以内)
    • 富山・福井・新潟:最大3億円(補助率3/4以内)
    • ※過去の災害での被災事業者は、石川:最大5億円 富山・福井・新潟:最大1億円までは全額補助可
  • 小規模事業者等の販路開拓を支援(補助率2/3等、最大200万円)
  • 商店街の再生支援(アーケード・街路灯等の復旧、賑わい創出支援)
  • 伝統産業の事業継続に必要な道具や原材料の費用補助(補助率3/4、最大1,000万円)
  • コロナ債務返済負担軽減策(リスケ時の追加保証料ゼロ、劣後ローンにおける金利優遇措置、二重債務問題への対応等)
  • 資金繰り支援(日本政策金融公庫:別枠3億円、金利0.9%引下げ(上限・期間あり)等)
  • 能登半島産品の販売促進支援(特設サイト、販促イベント)

農林漁業者の支援

農業用機械等の再建支援や漁船等の復旧支援を進めます。
また、地域の将来ビジョンを見据え、景観にも配慮した棚田の復旧や、観光とも連携した持続可能な里山づくり、里海資源を活用した海業振興等を進めます。

  • 被災した農業用機械等の再建支援(農業用機械、農業用ハウス・畜舎、共同利用施設、木材加工流通施設、特用林産振興施設等の再建・修繕への支援(補助率1/2等))
  • 営農再開に向けた支援
    • 種子・種苗等の資材調達
    • 繁殖用の牛・豚の再導入
    • 被災農家等の柔軟な雇用による人手の確保
  • 被災農林漁業者の資金繰り支援(貸付当初5年間の実質無利子化等)
  • 景観にも配慮した棚田の復旧や観光とも連携した持続可能な里山づくり
  • 漁船等の復旧、漁場環境の回復への支援や、地域の将来ビジョンの下での里海資源を活かした海業振興等

観光復興に向けた支援

ゴールデンウィーク前の3月、4月を念頭に、補助率50%、1泊当たり最大2万円を補助する「北陸応援割」を行います。
なお、能登地域については、復興状況を見ながら、より手厚い旅行需要喚起策を検討します。

  • 風評対策として、
    • 観光地や交通機関の現状に関する正確な情報の発信
    • 観光プロモーションの重点的実施(2~3月)
  • 「北陸応援割」(3~4月)(補助率50%、最大20,000円/泊)
    • ※能登地域については、復興状況を見ながら、より手厚い旅行需要喚起策を検討
  • ふるさと納税の積極的な活用による特産品販売、旅行等の促進
  • 観光関連事業者の支援(なりわい再建支援事業等の活用)
  • 能登地域の観光拠点・観光資源の再生に向けて、観光地の復旧計画の策定・実行支援、まちづくり支援、コンテンツ造成の支援等

地域の雇用対策等

被災地の地場産業の雇用を維持し、事業の継続を支えるため、手厚い支援を講じます。

  • 雇用調整助成金の助成率引上げ(中小企業2/3→4/5、大企業1/2→2/3)
  • 雇用調整助成金の支給日数延長(100日/年→300日/年)
  • 災害によって事業所が休止した場合等にも雇用保険の失業手当支給

(3)災害復旧等

国の権限代行等により公共土木施設等の迅速な災害復旧等を推進し、将来に希望を持てる復興まちづくりを推進します。

迅速な災害復旧

断水、停電、通信支障の解消など、ライフラインの一刻も早い復旧を進めます。

特に水道については、全国からの技術者等の派遣のほか、4月以降に引き上がる補助率の前倒し適用等により、上下水道一体で早期復旧を目指します。

  • 道路、河川・砂防、港湾、漁港等の復旧
  • 空港、鉄道の復旧
  • 公共土木施設や農林水産業施設等の被災状況調査・復旧方法の助言
    • <国土交通省:緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE) 農林水産省:農林水産省サポート・アドバイスチーム(MAFF-SAT)等>
  • 医療・水道・学校・社会教育・社会福祉等の施設、文化財、放送・通信設備等の災害復旧
  • 水道復旧事業の補助率の引き上げ

復興まちづくり

復興まちづくり計画の策定や液状化対策についても、技術面や財政面から支援を行います。

  • 復興まちづくりの計画策定に向けた調査支援、国・URなどの支援体制確保
  • 公共施設と隣地宅地等の一体的な液状化対策

令和6年能登半島地震についての緊急調査

海洋研究開発機構の研究船を用いた緊急調査航海(海底地震計等の設置、海底地形調査など)を実施するとともに、昨年5月の能登半島の地震を受けて大学等が実施している地震調査について、今回の地震を踏まえた追加調査を実施します。