防災協力


 2011年3月11日に発生した東日本大震災の経験を踏まえ、日中韓三か国の首脳である我々は、三か国のうちいずれかの国で発生したものであっても、その災害は、自国で発生した災害に等しい心痛を伴うとの認識を共有すると共に、災害予防、災害対処能力の強化や災害発生時の支援体制の強化に向けて最大限協力するとの意思を確認した。

 我々は、以下の原則を確認した。

1.災害の被害を最小限にするため、我々は情報交換を通じて災害リスクの軽減を強化する。

2.三か国のいずれかで甚大な災害が発生した場合には、その他の二か国は被災国の状況及びニーズの所在を確認した上で、被災国の要請に応じて、緊急援助チームの派遣及び物資支援を最大限速やかに行う。緊急援助チームについては自己完結的な態勢をとることとし、被災地に負担をかけない。

3.被災国は、緊急援助チーム及び物資の受け入れをできる限り迅速に行うため、国際原則と被災状況を考慮し、それぞれの国内法が許す範囲内で可能な協力を行う。

4.三か国は自然災害、特に東日本大震災の経験と教訓を共有し、それを今後の災害予防や災害救援において活用する。

5.三か国は災害からの復興過程に関する情報を共有し、復興過程についての三国間協力を強化する。

6.三か国は2008年の第1回日中韓サミットで発出された三国間防災協力に関する共同発表等これまでに三か国で確認された協力内容を着実に推進する。 7.三か国はARF、EAS、ASEAN+3等、三か国を含むその他の地域的な枠組みにおいても防災分野で緊密に協力する。


 具体的には、以下の取組を推進していく。

1.訓練の実施・能力の向上

  • 支援提供・受入れ能力の向上のための、各国の援助実施及び受入れ担当当局及び防災・災害応急対策担当当局間の交流の促進。
  • 他の地域的枠組みとも必要に応じて連携しつつ、種々の災害のパターンを想定した、シミュレーション(机上演習)・共同訓練の実施の検討。
  • 被災地における各国の効果的な連携方法の構築。

2.災害発生時の迅速かつ円滑な意思疎通の確保

  • 災害発生の連絡や被災地のニーズと支援のマッチングを迅速に行うための24時間コンタクトポイントの設定。二国間の意思疎通をより円滑化するための日中韓協力事務局の活用のあり方も検討。
  • 迅速な安否確認のための体制整備に向けた協力強化。

3.緊急援助チームや物資の派遣・受入れの円滑化

  • 緊急援助チーム派遣や受入れ、物資支援の受入れに係る手続やプラクティスについての情報共有。

4.防災に関する技術の推進及び情報共有の強化

  • 各国の防災・災害救援に関する制度・政策についての情報共有。
  • 適切な地理空間情報の防災への活用について議論。
  • 地域の組織や国連機関と積極的に協力することで、既に存在する、または計画されているプラットフォームを最大限活用。

 以上を着実に進めるため、我々は、日中韓協力事務局を最大限活用しつつ、事態の推移にも留意しながら実務者レベルのワークショップを開催する。また、我々は本年中に中国で開催される第2回防災担当閣僚会合に向けて協力することを確認した。さらに、これらの取組の成果を踏まえ、今後への教訓を得るべく、我々は被災地の復旧・復興の状況を踏まえつつ適当な時期に三カ国の災害予防や復旧・復興の専門家で構成される共同研究チームによる被災地の実地調査を検討することを確認した。