新たな総合経済対策が目指すもの

更新日:令和4年11月1日
物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策

10月28日、岸田政権発足後2度目となる経済対策が閣議決定されました。今回の経済対策のタイトルは「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」。
この対策が目指すものは何なのか、以下で詳しく解説します。

これまでの対策

日本経済を取り巻く環境は厳しさを増しています。ロシアによるウクライナ侵略を背景とした国際的な原材料価格の上昇や円安の影響などで、国内では、日常生活に密接なエネルギー・食料品等の価格上昇が続き、また、世界的にも景気後退懸念が高まっています。​

こうした事態に対し、政府では、本年4月に「コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策」を取りまとめ、5月には、この対策を実現するための令和4年度補正予算が成立しました。特に、燃料油価格の高騰に対しては、激変緩和措置を講じることで、本来 200 円程度に上昇するガソリン価格は 170 円程度に抑制されてきました。​

政府では、その後も物価・景気の状況に応じ、予備費を活用して機動的な対応を行ってきました。​

レギュラーガソリン・全国平均価格

(出典)資源エネルギー庁HP「燃料油価格激変緩和対策事業」
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今回の経済対策

今後、この難局を乗り越え、さらにその先の未来に向け、日本経済を持続可能で一段高い成長経路に乗せていくためには、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の旗印のもと、「物価高・円安への対応」、「構造的な賃上げ」、「成長のための投資と改革」を重点分野とした総合的な対策が必要です。​

こうした認識のもと、世界経済の減速リスクを十分視野に入れながら、足下の物価高騰など経済情勢の変化に切れ目なく対応し、新しい資本主義の加速により日本経済を再生するため、​

物価高騰・賃上げへの取組​

円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化​

「新しい資本主義」の加速​

国民の安全・安心の確保​

の4つを柱とする総合的な経済対策が決定されました。今後、この経済対策の裏付けとなる令和4年度第2次補正予算が編成されることとなります。​
物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策 事業規模72兆円 財政支出39兆円 GDP押上げ4.6% 消費者物価指数引き下げ1.2%以上 今回の経済対策の柱 第1の柱:物価高騰・賃上げへの取組 第2の柱:円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化 第3の柱:「新しい資本主義」の加速 第4の柱:国民の安全・安心の確保

第1の柱 物価高騰・賃上げへの取組

  • 物価高騰の主な要因である「エネルギー、食料品」に重点を置いた効果的な対策を講じることで、国民生活と事業活動を守り抜きます。​
物価高騰により厳しい状況にある生活者・事業者の皆様へ 物価高騰・賃上げへの取組 ・ガソリン価格抑制(本来200円程度に上昇→170円程度に抑制) ・低所得世帯給付金 ・地方への交付金(電力・ガス料金の負担軽減などに柔軟に活用可)+これまで実施した対策に加え、さらに「電気(家庭)」来年1月から2割引き下げ(来春の値上がり分を肩代わり) 「ガソリン」30円/L(11月)抑制を来年も継続 「家計支援」電気・ガス・ガソリン合計(1〜9月、標準世帯) 4.5万円 「食料品価格の高騰対策」これまで実施した、輸入小麦の政府売渡価格の据置きや配合飼料負担の上昇抑制等に加え、引き続き、必要な措置を講じる。 こども食堂等への食品提供を行うフードバンク支援など、生活困窮者への食品支援の取組を強化
  • 日本では、化石燃料等の海外依存度の高さゆえに、これまで輸入物価が上昇する度に海外に所得が流出するという事態が続いてきました。こうした日本経済の脆弱性を克服するため、エネルギーや食料品等の危機に強い経済構造への転換を図ります。​
  • 目下の物価上昇に対する最大の処方箋は、物価上昇を十分にカバーする継続的な賃上げを実現することです。厳しい状況にあっても賃上げに踏み出す中小企業への支援策を強化します。​
物価高騰により厳しい状況にある生活者・事業者、中小企業の皆様へ 物価高騰・賃上げへの取組 エネルギーや食料品などの危機に強い経済構造への転換 ゼロエミッション電源を最大限に活用 省エネ投資支援の抜本強化 肥料・農産物等の国産化支援 物価上昇率をカバーする賃上げを目標に継続的な賃上げの促進・中小企業支援 「インセンティブ」中小企業向け補助金において賃上げのインセンティブを一段と強化 「賃上げ環境整備」公正取引委員会の執行体制強化などにより、中小企業等が価格転嫁しやすい環境を実現 「中小企業・小規模事業者の生産性向上等の支援」

第2の柱 円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化

  • 足元の円安に対して、そのメリットを最大限に引き出し、国民に還元するための力強い政策を進めます。​
  • インバウンドや国内観光、イベント需要など、コロナ禍で回復が遅れている分野の需要を回復させ、地域経済の活性化を図ります。​
  • 円安により国内立地環境がコスト面で大きく改善する中、半導体や蓄電池など、日本に期待される物資の供給力を強化します。また、企業の国内回帰など、「攻め」の国内投資を拡大するとともに、対内直接投資を一層呼び込みます。さらに、農林水産物の輸出拡大、これまで国内への供給にとどまっていた中小企業の海外への輸出展開を強力に後押しし、外需を取り込むことで、経済構造の強靱化を図ります。​
観光関係者・地域関係者の皆様へ 円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化 「全国旅行支援」 「イベント割」イベント需要の喚起 「文化芸術 スポーツの振興など」 「観光産業支援」観光産業の高付加価値化を支援しコロナ禍で失われた5兆円のインバウンド需要を復活 「円安を活かした経済構造の強靭化」○海外から日本が期待される物資の供給力強化 ○企業の国内投資回帰と対内直接投資拡大 ○中小企業等の輸出拡大 ○農林水産物の輸出拡大

第3の柱 「新しい資本主義」の加速

  • 物価高が進み、賃上げが喫緊の課題となっている今こそ、「①賃上げ」「②労働移動の円滑化」「③人への投資」という3つの課題の一体的改革を進め、賃上げの流れが継続・拡大する「構造的な賃上げ」を実現します。​
  • 賃上げに加えて、個人金融資産のうち、現預金が投資にも向かい、持続的な企業価値向上の恩恵が家計に及ぶ好循環を形成すべく、「資産所得倍増プラン」を策定・実行します。​
  • 「新しい資本主義」を実現するため、「科学技術・イノベーション」、「スタートアップ」、「GX」、「DX」の4分野における大胆な投資を促進します。​
働く方々、研究者、スタートアップなど「新しい資本主義」を担う皆様へ 新しい資本主義の「加速」 「労働市場改革」年功給→日本に合った職務給中心のシステムへの見直しなど 「人への投資」人への投資支援パッケージを5年間で1兆円に拡充 「賃上げ」「労働移動の円滑化」「人への投資」 3つの課題の一体的改革を進め、構造的な賃上げを実現 高スキル人材を惹きつけ→生産性を向上→賃上げ 「資産所得倍増プラン」個人金融資産の現預金が投資にも向かい、持続的な企業価値向上の恩恵が家計に及ぶ好循環を形成する 「成長分野に大胆な投資」●科学技術・イノベーション ●スタートアップの起業加速 ●GX(グリーン・トランスフォーメーション) ●DX(デジタル・トランスフォーメーション)
  • 0歳~2歳に焦点を当てた伴走型支援と経済的支援のパッケージなど、こども・子育て世代への支援の拡充、女性活躍、孤独・孤立対策など包摂社会の実現に向けた取組を進めます。​
こども・子育て世代、女性、孤独・孤立で悩まれている方々へ 新しい資本主義の「加速」 「支援が手薄な0歳〜2歳に焦点を当てた支援」2つの支援を一体として実施する事業を創設 ●妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援 ●妊娠・出産時の関連用品の購入費助成や産前・産後ケア・一時預かり・家事支援サービスなどの利用負担を軽減するための経済的支援 「女性活躍、孤独・孤立対策」●男女の賃金格差など女性が直面している構造的な問題に対応 ●女性デジタル人材や女性起業家の育成支援など、地方公共団体による女性の活躍推進に向けた取組を支援 ●孤独・孤立の相談体制強化や地域における連携体制の構築

第4の柱 国民の安全・安心の確保

  • ウィズコロナの下、できるだけ平時に近い社会経済活動が可能となるよう、感染症対応を強化します。​
  • 自然災害から国民の生命と財産を守るため、引き続き、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づく取組を推進するとともに、東日本大震災をはじめとする自然災害からの復旧・復興に全力で取り組みます。​
  • 安全保障環境の変化に対応した取組を進めるとともに、経済安全保障、食料安全保障を強化します。​
国民の皆様へ 国民の安全・安心の確保 「ウィズコロナ下での感染症対応の強化」●保険医療体制の強化・重点化と雇用・暮らしを守る支援 ●感染拡大防止と次の感染症危機への備え 「防災・減災、国土強靭化・自然災害からの復旧・復興」●「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」に基づく取組推進 ●東日本大震災をはじめとする自然災害からの復旧・復興 「外交・安全保障環境の変化への対応」●機動的で力強い外交の展開 ●経済安全保障(重要物資の安定供給への支援や重要技術の開発支援など) ●食料安全保障(海外依存度の高い農産物等の国内生産の拡大など) 「こどもの安全・安心の確保」送迎用バスの安全装置改修支援などを内容とする「こどもの安心・安全対策支援パッケージ」の推進

できるだけ早く国民の皆さんのもとへ

今回の経済対策を決定した後の記者会見で、岸田総理は、次のように語っています。​

【岸田総理】  
 物価対策と景気対策を「一体」として行い、国民の暮らし、雇用、事業を「守る」とともに、未来に向けて経済を「強く」していきます。​

 核兵器の威嚇が行われるなどウクライナ情勢は、緊迫の度を加えています。「世界は歴史上初めて真のエネルギー危機に直面している」と見る専門家もいます。現時点で見通し難い世界規模の経済下振れリスクに備え、トップダウンで万全の対応を図ることといたしました。​

 今後は、この経済対策をできるだけ早くお手元にお届けするよう、補正予算の編成を急ぎます。また、ご用意した政策を国民の皆さんに徹底的にご活用いただけるよう、発信と広報に全力を挙げてまいります。

 国民の皆さんのご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

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