令和3年2月2日新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問と回答

(質問)
 PCR検査についてお尋ねします。広島県が今月中旬から、広島市中心部で無料の一斉検査を予定しています。28万人の検査が見込まれ、国内では例のない規模です。県は「感染拡大を抑え込むために唯一残る方法」などと位置付け、市民の間に歓迎の声もあります。疫学調査としての評価もある一方で、感染症の専門家の間では、保健所や検査機関などへの負担が一層重くなるとか、10億円の費用に見合う効果がどれほどあるのかとの声もあります。総理は、この広島県の取組をどう評価しますか。国民の多くはいずれかのタイミングでPCR検査を受けたいと思っているでしょう。他地域でも大規模検査の動きがあれば、国としてどうサポートしますか。総理は会見で、プロンプター使用に絡み「国民に説明責任を果たす」と述べましたが、今回も会見を途中で打ち切りました。まだ挙手がある中、なぜ最後まで答える姿勢を示さなかったのですか。【中国新聞】

(回答)
 広島県が御指摘のような一斉の検査を行おうとしていることは承知しており、厚生労働省等において広島県の取組を注視するとともに、必要な助言等を行うものと承知しています。
 なお、全員を対象とするような大規模な検査については、かなりのコストと医療資源が必要となる一方で、検査に時間を要するほど、検査で陰性になっても、その後に感染する可能性が高くなってしまうおそれがあることに留意が必要であると考えています。
 また、記者会見については、政府からの情報発信として重要な機会であり、これまでも可能な限り丁寧に対応してきました。今後ともそのような姿勢で臨んでまいります。他方、記者会見以外の日程などもあることから、時間制限を設けずに会見を行うことは現実的ではなく、御理解を頂きたいと思います。

(質問)
 深夜の銀座のクラブ通いで与党議員2人が離党や議員辞職をしました。一連の行動は政治への信頼、ひいては政府への信頼にも影響を与えるものかと思います。2人はいずれも総理の地元・神奈川ゆかりの政治家であり、県民から多くの批判や失望の声が上がっています。こうした県民の声をどのように受け止めるか、地元選出の総理として率直な思いを伺います。また、気の緩みやおごりなどと指摘する声もありますが、本来範を示すべき政治家が国民から批判を浴びるような行動が相次ぐ要因は何であると考えますか。最後に、本日の国会審議で胸に付けていた「シトラスリボン」に込めた思いも伺えれば幸いです。【神奈川新聞】

(回答)
 国民の皆さんに御苦労をお掛けしている中で、政治家は、その責任を自覚し、国民に疑念を持たれることがないよう、常に自ら襟を正すべきところ、このたびの行動は、あってはならないことであり、極めて遺憾です。
 私からも、国民の皆さんに心からお詫(わ)び申し上げるとともに、今一度、身を引き締め、新型コロナ対策に、全力を尽くしたいと思います。
 シトラスリボンについては、思いやりの輪を広げることで、偏見・差別をなくしていこうという、有志の方々が始められた運動と聞いています。新型コロナと献身的に戦っている医療従事者の皆さん、新型コロナの患者さん、そして関係する方々への差別は絶対にあってはならないことであり、こうした市民の方々の自発的な気持ちを大切にしていく必要があると考えております。
 今回の改正特措法においても、国及び地方公共団体の責務として、実態把握や啓発活動を行うことを規定しており、引き続き、何人も差別的な取扱い等を受けることがないよう取り組んでまいります。

(質問)
 コロナ対策、コロナ法制と政治の信頼に関して伺います。首相は緊急事態宣言発令時の会見で「1か月後には必ず事態を改善させる」と約束しましたが、栃木を除いて宣言の解除には至りませんでした。解除を信じて、営業時間の短縮や外出自粛要請に応じてきた国民にどう説明しますか。先ほどの参院議運委では「1か月でできなかった責任は全て私が負う」と結果責任に言及されましたが、どのように責任を果たしますか。明日成立する見通しの新型コロナ対策の関連法改正案は罰則導入が柱です。政府は当初、特措法の抜本改正は感染状況が落ち着いてから、としていました。コロナ対策がうまくいかず感染が拡大した結果、国民に罰則を科す法制を先行させたことへの反省はありますか。さらに1か月の協力をお願いする、あるいは、罰則を導入する法制に当たり、今般明らかになった与党議員の緊急事態宣言下の銀座クラブ出入りは、非常に国民感情を逆なでするものです。首相・自民党総裁としての監督責任をどう考えますか。公明党の対応に比べ、自民党の対応は甘いとの批判もあります。議員辞職は求めませんか。【東京新聞】

(回答)
 結果として、多くの自治体が延長になってしまったことは率直に反省したいと思います。一方で、東京を始め全国の感染者数は減少傾向にあり、これは、飲食を中心とする今回の対策が効果を挙げているものと考えています。今後も今回の対策を徹底し、感染者数をしっかり減少させてまいりたいと思います。
 特措法の改正については、今回の感染拡大において、各地で飲食店の営業時間短縮が行われる中で、その実効性を確保すべきだという指摘が現場を担う知事会等から強く指摘されるようになり、そうした中で、与野党でも御議論いただき、法案提出に至ったものです。
 今回の特措法改正法案では、支援と行政罰をセットにして、より実効的な対策を採ることとしています。その際、個人の自由と権利に十分に配慮した適切な運用が図られるよう努めてまいります。
 緊急事態宣言の下、深夜まで会食し、かつ、これを明らかにしなかったことを受け、2月1日、田野瀬太道文部科学副大臣を更迭しました。
 また、自民党においては、松本純議員・大塚高司議員・田野瀬議員に離党勧告を行い、この3名は離党しました。
 さらに、遠山清彦氏は、議員辞職されたものと承知しています。
 国民の皆様に御苦労をお掛けしている中で、政治家は、率先して範を示すべきところ、こうした行動は、あってはならないことであり、極めて遺憾です。
 私からも、国民の皆様に心からお詫び申し上げるとともに、今一度、身を引き締め、新型コロナ対策に、全力を尽くしたいと思います。
 政治家の出処進退については、自ら判断すべきものではありますが、自民党からは、離党勧告を行ったものです。

(質問)
 3月11日で発生10年となる東日本大震災について伺います。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、政府主催の追悼式は開催するのかどうか、規模縮小や献花式への変更など形式の在り方を含め、お考えをお聞かせ下さい。
 また、東京電力福島第1原発でたまり続ける放射性物質トリチウムを含む処理水の取扱いについて、政府は「先送りはできない」と繰り返していますが、処分方針は決まっていません。現在の検討状況と、いつ頃をめどに方針を決定するのか見通しを教えて下さい。【河北新報社】

(回答)
 政府として行う東日本大震災の追悼式については、発災から10年となる本年まで実施したい旨を、昨年表明しております。
 こうした方針の下、実施が可能となるよう、準備を行っているところです。
 最終的な開催の可否については、緊急事態宣言が発令されている現下の状況も踏まえ、引き続き検討を行っていくこととしております。
 また、アルプス処理水については、御指摘のとおり、タンクが増加し、敷地がひっ迫する中、いつまでも方針を決めず、先送りすることはできません。
 これまで6年以上にわたる専門家による検討など議論を積み重ねてきました。現在、更に政府内での検討を深めています。
 これまで繰り返しお伝えしているように、今後、適切な時期に政府として責任を持って処分方針を決めます。その際、風評対策にもしっかりと取り組みます。

(質問)
 東京五輪・パラリンピックについてお伺いします。先日の日米電話首脳会談では、東京大会の開催をめぐる話はなかったとのことですが、五輪の放映権料やスポンサーの兼ね合いから、米国はIOC(国際オリンピック委員会)や大会の開催に大きな影響を及ぼす存在であるとされます。総理は開催の適否、観客の制限などを検討するに当たり、バイデン大統領に相談しその意向を聞く考えはありますか。また、総理は常々「人類が新型コロナに打ち勝った証として東京大会を開催する」との決意を述べられますが、そもそも、なぜオールジャパン体制で今回の東京大会を招致したのでしょうか。当初から変わることのない大義はあるのでしょうか。総理の考えをお聞かせください。【京都新聞】

(回答)
 今回の首脳会談では、東京大会についてのやり取りはなかったものの、東京大会の成功には、米国を含む参加国・地域の協力が必要であり、従来より、米国とも緊密に意思疎通を行ってきています。
 東京オリンピック・パラリンピックについては、東日本大震災からの復興の途上にある我が国にとって、大会の招致と開催の成功は国民に希望を与えるとともに、世界に対する復興の証になるものとして招致活動を進めることが、国会において平成23年に決議されました。
 現在もこの方針に変わりはなく、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会として、本年夏に、東京オリンピック・パラリンピックを開催する決意です。
 東京都、大会組織委員会、IOCと緊密に連携して、安全・安心な大会を開催できるよう、準備を進めてまいります。

(質問)
 ワクチンについて、世界中で争奪戦が始まっていると伝えられ、ワクチン供給の遅れも世界で報じられています。EU(欧州連合)は、ワクチンの輸出を許可制とする発表し、日本の供給への影響が懸念されます。政府は米英計3社の合計3億1,400万回分の供給を契約締結したとしていますが、これは間違いなく、日本に届くのか国民に不安が広がっています。届くのなら、総理が「間違いない」と太鼓判を押してください。また、「いつまでに何人分」「集団免疫はいつまでに形成」といった目標時期も言えればおっしゃってください。【西日本新聞】

(回答)
 ワクチンについては、先日、3社から3億1,400万回分の供給を受ける契約の締結に至りました。今後、必要なワクチンが早期に我が国に届き、その上で、速やかに国民の皆様に接種できるよう、全力を尽くしてまいります。
 なお、現在開発されているワクチンについては、国際的には、発症予防、重症化予防の効果が期待されており、集団免疫効果を有するかどうか、現時点では明らかになっていません。国民の皆さん自らの判断でワクチンを接種していただくことが重要であると考えています。

(質問)
 子ども関連の施策を一元的に担当する「子ども家庭庁」創設についての認識をお聞きします。縦割り行政を見直し、医療や教育、福祉などの分野で切れ目なく支援するとして、自民党内にも実現を求める声が出ていますが、菅首相として前向きに検討する考えはありますか。【共同通信】

(回答)
 子ども関連の施策については、内閣府が中心となって、これまで少子化社会対策大綱の策定や、子ども・子育て支援新制度の実施など省庁横断的な取組を行ってきております。御指摘のような検討が自民党でされていることは承知しており、まずはそちらの御意見を伺いたいと思います。

(質問)
 銀座クラブ問題で自民党を離党した3議員についてお伺いします。更迭や離党勧告は非常に重い処分ですが、その理由として3人が虚偽の説明をしていたという理由が挙げられています。桜を見る会前夜祭の問題でも安倍前総理や菅総理の事実と異なる答弁が批判を受けました。首相は1日、「政治家自らが襟を正さなければならない」と話されましたが、国民の信頼を取り戻すためには、より具体的な行動が求められています。首相は自民党総裁として、夜8時以降の会食や、多人数で会食するケースが宣言期間中になかったかどうか、自民党の全議員へのアンケート調査を指示するなど、「自民党として襟を正す」お考えはありますか。【朝日新聞】

(回答)
 政治家は、その責任を自覚し、国民に疑念を持たれることがないよう、常に自ら襟を正すべきものと考えています。

(質問)
 自分は、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の現場取材に行っています。ベトナムは、日本人チームが、バックマイ病院で、病棟を作り、感染防止を指導し、世界で最初に、SARSを制圧しました。日本人が行った、きめ細かい感染防止対策が功を奏したと、当時の取材で分かりました。その経験から、我々大川興業のライブでは、 2月から透明ビニールシートで客席と舞台を分けて開催し、 その後、コンビニ、スーパーのレジ等に広がりました。感染症専門家の指導を受けながら、開催を続け、今でも感染者はゼロです。飲食店でも、無言の食事会の方にポイントサービス、マスク会食の方には割引、お一人様サービスなど、きめ細かい対策で頑張っているお店もあります。世界は、日本のロックダウンしない感染対策に非常に注目していて、このきめ細かい対策がオリンピックの成功に繋(つな)がると考えます。世界で1番感染者が多い米国では、バブルシステムという方法で、 スポーツ国際大会、プロバスケなど感染者ゼロで成功しています。緊急事態宣言延長で、国内外の成功事例や頑張っている飲食店、企業などを、国として紹介、発信していくことで、更なる感染対策に繋げていくお考えはありますでしょうか?総理のお考えをお聞かせください。【大川豊氏】

(回答)
 先進的な事例を参考にしつつ、感染対策を行っていくことは重要であると考えています。
 例えば、各業界において専門家の助言のもと先進的な事例も参考に、190を超えるガイドラインを策定及び実践し、それぞれの活動を行っていただいているものと認識しています。
 こうした、感染対策に関する事業者や自治体の取組は、政府ウェブサイトで公開しています。引き続き、事例の収集・周知に取り組んでまいります。

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