令和3年4月23日新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問と回答

(質問)
 東京都などからは、ワクチン配布について、全国平等という考え方ではなく、感染拡大が深刻な都市部に重点配布してほしいとの要望があります。こうした要望に、菅総理大臣としてどう対応する考えでしょうか。【テレビ東京】

(回答)
 ワクチンについては、ゴールデンウィーク明けまでには約700万回分、それ以降は毎週約1,000万回分を全国の自治体に配布し、6月末までには合計1億回分を配布できるようにいたします。
 ワクチンの配布は、自治体からのニーズを勘案して行うこととしており、重点配布を希望する自治体においては、是非とも速やかに接種をしていただければと思っております。国としても、そうした取組を全面的に支援してまいります。

(質問)
 菅総理は2030年の温室効果ガスの排出削減目標を2013年度比で46パーセント削減すると表明しました。現行のエネルギー基本計画では2030年度の電源構成の20~22パーセントを原子力で賄うとしていますが、これをどの程度まで引き上げる考えですか。東京電力柏崎刈羽(かしわざきかりわ)原発でテロ対策の重大な不備が相次いで明らかになり、原発が立地する地元では原発や東電への信頼が著しく低下しています。このような状況で、温室効果ガス排出削減のために原発を再稼働することに地元の理解を得られると思いますか。また、柏崎刈羽原発の再稼働なしで、46パーセント削減の目標は達成できるとお考えですか。【新潟日報】

(回答)
 2030年度に46パーセント削減を目指し、さらに50パーセントの高みに向けて挑戦を続ける、という目標の表明に際しては、現在、政府として検討している、再エネなどの脱炭素電源の最大限の活用、地域の取組への支援などの最新の議論の積み重ねを踏まえつつも、これらを2050年カーボンニュートラルに整合させるよう、野心的な目標として決断しました。
 この新たな目標に沿ったエネルギー政策を早急に取りまとめ、再エネや原子力などの電源構成を示していきます。
 また、原発に関する政府の方針は、今般の目標の表明に当たっても変わりはなく、現在ある原発については安全最優先で、地元の理解を得ながら進めてまいります。
 東京電力は、まずは規制委員会の検査に真摯に対応すべきであり、その上で、東京電力の組織的な管理機能について、抜本的な対策を講じる必要があると考えています。東京電力を監督する立場の経済産業省から厳しく指導していきます。

(質問)
 先日の日米首脳会談についてお尋ねします。バイデン大統領と、核兵器廃絶や核兵器禁止条約についての話合いをしましたか。総理は官房長官時代から、日本が唯一の戦争被爆国であることや「核なき世界」と核兵器禁止条約は目指すゴールは一緒だ、などと訴えてきました。バイデン氏は「核なき世界」を掲げたオバマ政権の副大統領で、その理念に今なお共感を示しているとされます。それは3月に日本メディアとのオンライン会見でブリンケン米国務長官も指摘し「核兵器への依存度をどのように減らし続けられるか検討する」と語りました。核超大国の米国が変化を見せる中、被爆国日本のリーダーとして総理は、しっかりと核廃絶の思いを訴えましたか。核兵器禁止条約について話し合いましたか。それぞれ、どのような言葉でしたか。万一、日本側から核廃絶議論を俎上(そじょう)に上げなかったのであれば、それはなぜですか。お答えください。【中国新聞】

(回答)
 今回の日米首脳会談では、日米同盟の強化や「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力などを中心に議論が行われましたが、外交上のやり取りについてお答えすることは差し控えます。
 いずれにせよ、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す現状においては、抑止力の維持・強化を含めて、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、現実的に核の軍備管理・軍縮を前進させる道筋を追求していくことが適切であるとの考えに基づき、引き続きバイデン大統領と緊密に連携していく考えです。

(質問)
 記者会見の冒頭発言の中で大阪の医療体制への支援策に触れられましたが、病床のひっ迫は兵庫でも極めて深刻な状況です。病院に入れないまま自宅で療養中に亡くなられるという事例も相次いでいます。本日23日も新規感染者が過去最多を更新しました。感染者数の波より遅れて重症者数が増加することを踏まえると、今緊急事態宣言を出したとしても、今後、病床の状況は更に厳しくなることが想定されます。至急、対策が求められますが、医療体制の増強についてどのようにお考えでしょうか。【神戸新聞】

(回答)
 年末年始の急激な感染拡大局面で明らかとなった課題を踏まえ、3月24日に事務連絡を発出し、都道府県に対し、確実に機能する医療提供体制を構築すべく、地域の医療関係者等と十分に協議し、5月中までに病床確保計画を見直すとともに、例えば、この冬の1日当たり最大の感染者数の2倍程度の患者数を想定した感染者急増時の緊急的な患者対応の方針についても4月中に定めていただくよう依頼しているところです。さらに、兵庫県を含め、感染が急拡大している都道府県では、計画の策定を待つまでもなく、少しでも早く、体制を構築していただくこととしています。
 また、病床の確保については、国として、重症病床1床当たり最大1,950万円の緊急支援を5月11日まで延長するほか、確保病床や休止病床に対して病床確保料の補助を行うなど医療機関への財政支援等を行っています。兵庫県についても、県からの求めに応じ、国として全力で支援してまいります。
 こうした取組を通じ、必要な方に必要な医療が提供される体制が確保されるよう、引き続き、都道府県と連携して取り組んでまいります。

(質問)
 変異株の登場で子供の感染割合が増えています。例えば、変異株が流行の8割を占める大阪府では、第3波(昨年10月10日~今年2月28日)では、10代未満が2.7パーセント、10代が7.3パーセントでしたが、府で確認された変異株陽性者に限ると、それぞれ6.0パーセント、12.9パーセントに跳ね上がっています(14日公表の府の資料)。変異株の登場で子供の感染割合が増えているとの認識はありますか。今月、大阪府豊中市の新田小学校では教職員の陽性判明後、濃厚接触者でない1人の児童の感染が確認され、濃厚接触者に限らず全児童875人を対象にPCR検査を実施したところ、12人の児童の陽性が確認されました。もし、全児童の検査をしていなければ、12人の医療的なケアも遅れ、また12人から感染が拡大していた可能性が十分あります。新田小学校のクラスターを教訓に、陽性者が出た学校の全員PCR検査、及び、陽性者が出てない場合でも、定期的なPCR検査を行い、「予防」していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。また、感染を警戒し、自主休校を余儀なくされている児童も少なくありません。対面授業とオンライン授業を選択できる環境を整え、推進していく考えはありますか。12歳未満のコロナワクチンはありません。コロナから子供を守るのは大人の大きな責任だと思います。コロナから子供を守る菅首相の決意を教えてください。【日刊現代】

(回答)
 N501Yに変異のある変異株については、感染力が従来株よりも高いことが指摘されていますが、英国で行われた調査では、子供が大人よりも感染しやすいというエビデンスはないとされています。
 なお、変異株に係る報告数が相対的に限られる中で、当初、10歳未満の集団でクラスターが確認されたことから、変異株の年齢別感染者割合が、特に10歳未満で従来の傾向と比較して高い値(3月16日時点で15パーセント)となっていましたが、現在は減少してきています(4月26日時点で5パーセント)。
 検査については、感染が疑われる方など検査が必要と判断される方がより迅速に受けられるようにするとともに、必要に応じてより広く検査が実施されることが重要と考えており、例えば、集団活動が行われる場などにおけるクラスター発生時の検査については、濃厚接触者に限らず、幅広い接触者を対象に検査を行っていただくようお願いしております。
 また、今般実施する定期的・集中的な検査は、重症化しやすい方を対象に、重点的に検査を実施するものであり、重症化リスクが高い高齢者施設等を対象とし、地域の感染状況等に応じて実施を要請しております。なお、子供については、変異株であっても、高齢者のように重症化しやすいというエビデンスは現時点ではありません。
 さらに、学校においては、最大限児童生徒の健やかな学びを保障するため、感染症対策を徹底しつつ対面指導を行うとともに、状況に応じて、オンラインでの学習も活用することが重要であり、国としても必要な支援をしっかり行ってまいりたいと思います。
 子供たちは国の宝であり、また、政府としては、国民の命と暮らしを守ることを最優先として、新型コロナ対策を最重要課題として取り組んでおります。引き続き、感染対策に全力で取り組むとともに、変異株や小児に関するものも含め、新型コロナに関する必要な知見を集積してまいります。

(質問)
 総理は4月23日の記者会見で、2人の記者から続けて東京五輪・パラリンピックを開催するか否かの判断基準について問われました。しかし残念ながら、その問いに対して明確な答えをなさっていません。真摯に答えようとされているのは伝わってきますが、この会見は1人1問というルールの下で行われており、不明な点を記者が再質問する、いわゆる「さら問い」ができないため、会見を見ている国民はどうしてもすっきりしないと思います。そうした思いから、同じ趣旨の質問をさせていただきます。東京五輪・パラリンピックの開催は、日本政府だけで決められるものではないということは承知していますが、多額の公金を投入してきた一大事業であり、新型コロナ対策とも密接に関わる国民的な関心事です。会見での総理のお答えを聞いている限り、現時点では、開催可否の基準を御自身では持ち合わせていないのではないかと受け止めましたが、その認識は合っていますか。基準や、基準とすべき項目があるのなら、教えてください。【京都新聞】

(回答)
 東京大会については、IOC(国際オリンピック委員会)は今年の7月から開催することを既に決定しており、この方針は各国のオリンピック委員会とも確認しています。また、国としても、東京都、組織委員会、IOCと感染対策を含めて協議を重ねてきているところです。感染対策を徹底し、安全・安心な大会を実現してまいりたいと考えております。

(質問)
 菅首相は23日の会見で、65歳以上の全高齢者約3,600万人への新型コロナウイルスワクチン接種について、7月中の完了を目指す考えを示されました。16歳以上の国民全員分に関し「9月までに供給されるめどが立った」とも改めて説明されました。ただ、ワクチンは全量を輸入に頼っている現状から、国民は「政府がメーカーと約束した量のワクチンが、きちんと日本に入ってくるのか」、また、「日本に入ってきても、自治体がスムーズに接種できるのか」との不安を持っています。菅首相が示された見通しは、必ず実現できると政府が国民に約束できるものなのでしょうか。【西日本新聞】

(回答)
 ワクチンの接種が始まっています。多くの方々に速やかに受けていただくため、できることは全てやる覚悟で取り組んでいます。
 まずは医療従事者への接種を早急に終えます。そして、ゴールデンウィーク明けまでには約700万回分、それ以降は毎週約1,000万回分を全国の自治体に配布し、6月末までには合計1億回分を配布できるようにいたします。その上で、接種のスケジュールについては、希望する高齢者に、7月末を念頭に各自治体が2回の接種を終えることができるよう、政府を挙げて取り組んでまいります。

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