令和3年5月28日新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問と回答

(質問)
 選挙買収の罪に問われた河井克行、案里夫妻に自民党本部が提供した1億5,000万円についてお尋ねします。二階幹事長は先日、「自分は関与していない」との前言を翻し、資金提供を組織決定した責任者は自分と、当時自民党総裁の安倍前首相と述べました。1億5,000万円は税金や、自民党員の党費が原資です。国民への説明責任を果たすためには現総裁の菅首相が提供の経緯や使途について調査・公表するよう幹事長に指示したり、安倍前総裁に説明の機会を設けるよう要請したりするしかないと考えます。菅首相は検討されますか。【中国新聞】

(回答)
 御指摘の資金の使途の詳細については、検察当局に押収されている関係書類が返還され次第、党の公認会計士が内規に照らして監査を行い、しっかりとチェックすることとなっています。

(質問)
 五輪をめぐっては、パブリックビューイングが検討されていますが、「密」や人流を押し上げてしまうという懸念もあります。総理は、感染症対策の観点から、パブリックビューイングの開催は適切だとお考えでしょうか。【ジャパンタイムズ】

(回答)
 自治体がパブリックビューイングを実施する場合には、大会組織委員会が策定した指針等を踏まえ、適切な感染対策が講じられることとなっており、また、実施そのものについても、地域の保健衛生に責任を持つ各自治体において、感染状況等を踏まえて適切な判断がなされるものと考えております。

(質問)
 東京オリンピック・パラリンピックについて伺います。5月28日の衆院厚生労働委員会で、政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長に対して、大会開催の可否について分科会で議論するよう求める質問があり、尾身会長は「政府から求められれば」とおっしゃいました。総理の言う「安全安心」が担保されるかを判断するのに当たって、国民が信頼を置いている分科会から意見を聞くことは、国民の不安を取り除くという意味でも大切なプロセスであると考えます。総理はオリ・パラ開催に係る議論を、どこかのタイミングで分科会にお願いするつもりはありますか。【京都新聞】

(回答)
 東京大会の開催に当たって、具体的な感染対策として、来日する大会関係者の人数を絞り込み、選手や大会関係者にワクチン接種を行い、大会関係者の行動を管理して、一般の国民との接触を防止することの3点に取り組んでいます。
 こうした対策の策定に当たっては、専門的な立場も交えて、議論を重ねてきています。昨年9月から、東京都、組織委員会と各省庁の調整会議を開催しており、感染症の専門家2名にアドバイザーとして毎回参加いただき、意見を伺っております。

(質問)
 既に、市中で感染経路不明のインド株が見つかっているのに、5月23日のNHK日曜討論で加藤官房長官は「インド株は水際ではかなり確認されてますけど、国内の発見例は今のところそれほど多くない状況だ」と甘い認識を示しました。放送から、数日経過していますが、現時点で菅首相も同じ認識ですか。また、同番組で加藤氏は「徹底的に検査をし、インド株を早くに発見できる体制をつくっていく」と意欲を見せました。放送から、数日経過していますが、今のところ、早期発見のためのインド株の簡易検査はほとんど行われていません。いつになったら、加藤氏が言う「早くに発見できる体制」ができるのか、具体的な体制の中身、スケジュールを教えてください。こんな調子では、英国株のまん延を許したように、インド株を大流行させかねません。菅首相は今日の会見で、「先頭に立ってやり遂げる」と決意を表明しました。今回、緊急事態宣言を再延長しましたが、この先、インド株のまん延を許すなどうまくいかなければ、3度失敗したことになります。民間なら、3度失敗した人に、更に担ってもらう〝寛容な会社〟はほぼないでしょう。もし、6月20日に解除できない場合、引き続き先頭に立つつもりなのでしょうか。6月20日に解除できなければ、自ら総理の座を辞し、ほかの人に担ってもらう方が、国民の健康に寄与すると思いますが、いかがでしょうか。【日刊現代】

(回答)
 B.1.617系統の変異株(デルタ株等)については、5月24日時点で、国立感染症研究所において国内45例、検疫190例が確認されており、感染状況を注視しているところです。
 ※デルタ株等:従来、「インドで最初に検出された変異株」と呼称していたもの。
 変異株への対策については、先般、専門家より、特にB.1.1.7系統の変異株(アルファ株)等の割合が極めて高い地域では、従来の監視体制を見直し、あらゆる変異を見つけられるゲノム解析の監視体制に重点を置くべきとの提言を頂いたところです。
 ※アルファ株:従来、「英国で最初に検出された変異株」と呼称していたもの。
 こうした提言等を踏まえ、ゲノム解析による監視体制の強化を進めています。
 また、特に、B.1.617系統の変異株への監視体制を強化するため、同変異株のスクリーニング検査についても、国立感染症研究所と民間検査機関との間で技術的な課題等について調整を進め、5月28日より、民間検査機関で開始したところです。
 さらに、水際対策では、B.1.617系統の変異株などについて、強い危機感を持って対応に当たっており、指定する期間・宿泊施設での待機の対象とするなど、機動的に対策を強化してきています。
 政府としては、引き続き、変異株への対策を強化してまいります。

(質問)
 東京五輪・パラリンピックについて、総理は記者会見で、選手らが「一般の国民と交わることがないように」すると述べた。そこまでしないと開催できず、国民の大多数が中止を求める五輪を、なぜ今、コロナ禍の日本で開く必要があるのか。そもそも五輪開催の目的は何か。どんな状況であれ五輪中止は絶対にないのか。五輪開催によって感染拡大や医療提供体制のひっ迫を招いた場合の責任は誰が、どう取るのか。【時事通信】

(回答)
 まずは、現在の感染拡大を抑えるために、全力を挙げてまいります。
 選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、世界から選手が安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていきます。これが開催の前提と考えており、そうしたことが実現できるように、対策を講じていきます。
 オリンピック・パラリンピックは世界最大の平和の祭典であり、国際的な相互理解や友好関係を増進させるものです。安全、安心な大会を実現することにより、希望と勇気を世界中にお届けできるものと考えています。

(質問)
 当初から課題である感染拡大防止と経済の両立について、局面を打開のためのブレーキとアクセルの政治的判断基準と政治的認識をお聞かせください。【ラジオ日本】

(回答)
 昨年9月の総理就任以降、一貫して国民の命と暮らしを守ることを最優先に、国民の生活や生業(なりわい)への影響も考慮しながら、具体的な指標(感染状況や医療提供体制の状況等)や専門家の意見も踏まえ、その時々に必要な対策や対応について適切に判断を行ってきました。
 現在は、4月以降、全国的に感染拡大が進む中で、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を実施して、感染対策を最優先に対策を講じております。
 その上で、政府としては、国民の命を守る切り札であるワクチン接種の加速化を思い切って進めるべく、できることは全てやるという方針で、政府を挙げて取り組んでおります。

(質問)
 総理は今回の宣言発令当初、短期集中の対策を掲げていましたが、結局2度の延長に至りました。北海道への対応が象徴的ですが、発令や対象地域拡大の判断が遅く、全国的なまん延を許した今回の政府対応は失敗だったのではないでしょうか。見解を伺います。また総理の政治責任に対する考え方も伺います。リバウンド防止へ宣言解除をより慎重に判断すべきと考えますが、どう考えますか。【北海道新聞】

(回答)
 緊急事態宣言は、法律に基づく幅広い措置によって感染対策を徹底する、強力な手段であり、国民の生活を大きく制約するものであります。特措法改正における国会の附帯決議においても、緊急事態宣言については、専門的な知見に基づき慎重に判断すべきとされています。
 このため、国民の生活や生業への影響も考慮しながら、具体的な指標や専門家の意見も踏まえ、また地元の首長の意見も伺いながら、その時々に適切に判断を行ってきたものであります。
 また、国民の健康や命を守り、新型コロナの感染を食い止め、一日も早く安心・安全な日常生活を取り戻せるよう、感染防止対策やワクチン接種の加速化などに全力を尽くしていくことが、内閣総理大臣としての責任の果たし方だと考えています。
 なお、宣言の解除については、感染状況や医療提供体制・公衆衛生体制のひっ迫状況を踏まえた上で、専門家の御意見も踏まえながら、その時点で判断してまいります。

(質問)
 東京五輪についてお伺いします。首相は28日の会見で、緊急事態宣言下でも五輪が開催できるかを問われ、「テスト大会も国内で4回開催をしてます。今申し上げましたように、こうしたことに配慮しながら準備を進めております」とお答えになりました。そこで確認ですが、テスト大会は緊急事態宣言下でも行うことができたので、五輪本大会の開催も可能だという認識でよろしいでしょうか。「可能」ということであれば、テスト大会に比較すれば、より大きな人流が起こる本大会で、なぜ可能といえるのか、その科学的根拠もお願いします。【朝日新聞】

(回答)
 これまで開催した4つのテストイベントにおいては、外国からの選手・大会関係者が参加し、東京大会本番を想定して、宿泊先・行動先や移動手段を限定し、一般の国民と交わらないようにするなど万全の感染防止対策を図った上で、実施しました。
 それらから得られた知見をしっかりいかしながら、東京大会の開催に当たっては、具体的な対策として、来日する大会関係者の人数を絞り込み、選手や大会関係者にワクチン接種を行い、大会関係者の行動を管理して、一般の国民との接触を防止することとしており、今後、準備を進めてまいります。

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