令和3年8月17日新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問と回答

(質問)
 「災害レベルの非常事態」と医療の専門家が指摘するこの状況で、なぜ国会は開かれないのでしょうか。地方にもデルタ株の脅威が押し寄せ、不安がこれまでになく広がっています。今こそ総力を結集して立ち向かう時だと思います。総理はよく「国会のことは国会がお決めになる」とおっしゃいますが、国会を開いて、与野党みんなで、国民みんなで知恵を絞りましょう、と与野党に提案することはできるのではないですか。総理にそうしたお考えはありますでしょうか。【京都新聞】

(回答)
 新型コロナ対策を始め、現在も与野党と国会において閉会中審査での議論を行っており、これまで、野党の先生方の意見であっても、建設的な提案については、政府の取組に取り入れてきたところです。
 その上で、臨時会の召集については、国会のことでもあるので、与党とも相談しながら考えてまいります。
 いずれにせよ、政府としては、新型コロナ対策、大雨の被害に遭われた方々への支援等、目下の重要課題に、引き続き、一丸となって、全力で取り組んでまいります。

(質問)
 菅総理は昨年9月の就任以降、新型コロナウイルス対策を最優先課題に位置付けてきました。今週は各地で大雨への警戒が続いています。総理はこうした危機管理や危機対応に当たる際、何が重要だとお考えでしょうか。総理が普段から考えておられる危機管理、危機対応の要諦についてお聞かせください。【共同通信】

(回答)
 緊急事態に適切に対処して、国民の命と暮らしを守ることは、政府に課された重大な使命です。
 この使命を果たすため、危機管理については、縦割りを排し、省庁の壁を乗り越えて、想定される事態への準備と訓練、未知の事態への、現場の状況を踏まえた臨機応変の対応を、政府の総力を挙げて行うことが重要です。
 その上で、全体を掌握し、何が問題かを見極めて、進めていくことが大事だと思います。
 例えば、今回の大雨では、被害軽減のため、国土交通省による一元的な運用の下、農業用ダムや、電力会社が所有するダムなど、8月20日現在、66のダムで事前放流を行っています。
 今後も、自然災害を含めて想定外の事態は起こり得ます。常に緊張感を持ち、国民の命を守るという強い決意を持って、危機管理に万全を期してまいります。

(質問)
8月6日の広島での平和記念式典でのあいさつ読み飛ばしなどを踏まえ、自民党などからは「総理は疲れている」、「休みを取るべきだ」など総理の体調を心配する声がある。総理は自身の体調を万全と考えているのか。なぜ夏休みを取らなかったのか。【時事通信】

(回答)
 新型コロナ対策など、喫緊の課題に遅滞なく対応することが総理としての最優先の職責であると考えています。
 今年は夏休みをほとんど取れていませんが、体調は万全です。

(質問)
 現在の感染状況でのパラリンピック開催について伺います。政府のコロナ対策が十分に効果を発揮せず、評価されていない理由として、首相の発言に実態が伴っていないことが挙げられています。コロナ対策と切り離して、リスクの説明、評価などを曖昧にして五輪やパラリンピックを開催する姿勢が矛盾したメッセージとなり、政府の自粛要請などの呼びかけが国民に届かないことにつながっているのでないでしょうか。そこで、あらためて、パラリンピック開催のリスク評価について伺います。パラリンピックでは、呼吸器系の障害など重症化リスクのある選手もいる中で安全・安心に開催できるでしょうか。「制御不能」の感染状況、「災害レベルの非常事態」とされる医療提供体制の中、政府や組織委員会がパラリンピックの中止や再延期の議論をしなかったのはなぜでしょうか。丸川五輪相は、選手のワクチン接種率について「把握していない」と説明していますが、安全・安心に開催できる科学的根拠は乏しいのではないでしょうか。【東京新聞】

(回答)
 パラリンピックについては、感染対策を徹底して安全安心な大会を実現するため、オリンピック開催の経験を活かして、選手や大会関係者の徹底した検査や行動管理を行うこととしています。
 プレイブックに基づき、一般的な感染対策に加え、パラリンピックの考慮事項として、車いすなど他者が触れる箇所の定期的な消毒などを実施することとしています。
 さらに、地域医療に支障を生じさせないようにしながら、パラアスリートのリスクや特性に配慮して、選手村内にパラアスリートをサポートする看護師を配置し、選手村の総合診療所においてMRI(磁気共鳴画像診断)や酸素供給装置などを配備していると承知しています。
 選手等のワクチン接種率については、数字は把握していたものの事務的なミスで伝わっていなかったこと、改めて、88パーセントの選手等がワクチンを接種済であることについて、組織委員会から説明があったものと承知しております。

(質問)
 新型コロナの重症化リスクを7割減らすことができるという「抗体カクテル療法」について伺います。菅総理は会見で、以前は、治療薬を必要とする医療機関などが注文してから届くまで3日ほどかかっていたが、そういう仕組みをやめさせた、と発言しました。また、「必要なところには数が事前に届いている。そういう仕組みに切り替えた」とも発言しました。その上で、「十分な量を確保している」としています。「十分な量」とは具体的に、何人分でしょうか。また、いつまでに何人分を確保できる見込みなのでしょうか。「数に限りがある」との指摘がありますが、「十分な量を確保した」という発言の根拠をお示しください。加えて、治療薬を必要とする医療機関はいくつあり、どのようなプロセスを経て届けるのか、仕組みについて具体的にお示しください。【日刊現代】

(回答)
 御指摘の中和抗体薬は、点滴によってウイルスに対する抗体を投与し、重症化リスクを7割も減らすことができる画期的な薬です。今後、病院のみならず、療養するホテルなどでも臨時の医療施設として投薬できるよう、自治体と協力を進める方針であり、対象となる50代以上や、基礎疾患のある方々に対して集中的に使用することにより、重症化を防いでまいります。
 その上で、お尋ねの具体的な確保量については、相手方企業との間で秘密保持義務もあるため、お答えすることは差し控えますが、政府としては、全世界向けの総供給量が限られている中、相当な割合を確保し、現在の感染状況の中で投与対象となる患者数の見込みを踏まえても、当面、必要となる十分な量を確保しております。
 また、全国で約3,000の医療機関が、この治療薬を投与する意向があるとして登録されており、投与すべき患者がいる場合に、医療機関からの連絡に基づいて、薬を卸が速やかにお届けし、投与するほか、自治体や医療機関側の意向を踏まえ、事前に薬を医療機関等に常備し、投与することも可能としております。
 既に、約1,200の医療機関で約5,000人に投与(8月19日現在)され、現場からは、「中和抗体薬により、多くの患者がはっきりと快方に向かい、退院されていった」とのお話も伺っており、引き続き、対象者の方に、速やかに投与してまいります。

(質問)
 8月17日の会見では、記者団の質問に正面から答えなかった場面が散見されました。このまま回答が得られないままですと、せっかくの質問の機会が損なわれることになりますので、それらの質問にお答えください。フジテレビさんの幹事社質問で、「菅総理は先月末の記者会見で『今回の宣言が最後になるような覚悟で、またこの波をできるだけ早く収めることが一番の私の責任だ』と述べられましたが、宣言は拡大延長されそして感染拡大も続いております。こうした結果になったことに対する総理大臣としての責任を率直に今どのようにお感じでしょうか」と問われましたが、正面からのお答えがありませんでした。首相が政権を引き継いだ安倍前首相も「政治は結果責任」と繰り返していました。「対策をやり抜く決意」などの今後のことではなく、これまでの責任について、過去の発言の達成度を含めてどう感じていますか。産経新聞さんの幹事社質問では、「緊急事態宣言が発令してる間は解散をしないということでよろしいのでしょうか」と問われましたが、お答えがありませんでした。緊急事態宣言下で解散はしないということですか。ちなみに今年4月1日のテレビ番組に出演された際には、まん延防止等重点措置期間中の解散について、「しないということか」と問われ、首相はうなずかれています。中国新聞さんの質問では、「総理の今回の会見もそうですが、原稿の棒読みというところがこれまでも指摘されてますが、やはりわかりやすく国民に伝えるため、そういうことが求められる中で、広島においては、先日、原爆の日の式典での挨拶の読み飛ばしもありましたが、どのように政治のメッセージを伝えていくか、この点についてお伺いさせてください」と問われたことへの正面からの回答がありませんでした。国民への政治のメッセージを、丁寧にわかりやすく伝えるためには、どのようにすれば良いとお考えですか。【朝日新聞】

(回答)
 記者会見については、国民の皆様に情報発信を行う極めて重要な機会であると認識しており、その場で頂いた質問に対しては、真摯に受け止め、誠実に対応させていただいています。
 今回の会見でも、お尋ねのあった質問も含め、その場で頂いた質問に対して、私なりの言葉で、既にそれぞれお答えをさせていただいており、それぞれの回答の内容については、官邸のホームページで確認いただければと思います。

(質問)
 総理は8月16日、抗体カクテル療法を行っている宿泊療養施設を視察しておりますが、抗体カクテル療法の治療薬の生産態勢、流通態勢は、どうなっておりますか。確保できている具体的数量と今後の生産見通しをお訊(たず)ねいたします。【ラジオ日本】

(回答)
 御指摘の中和抗体薬は、点滴によってウイルスに対する抗体を投与し、重症化リスクを7割も減らすことができる画期的な薬です。今後、病院のみならず、療養するホテルなどでも臨時の医療施設として投薬できるよう、自治体と協力を進める方針であり、対象となる50代以上や、基礎疾患のある方々に対して集中的に使用することにより、重症化を防いでまいります。
 この治療薬は、海外で生産されたものを、日本の製造販売業者を通じて輸入しているものであり、これまでの具体的確保量などについては、相手方企業との間で秘密保持義務もあるため、お答えすることは差し控えますが、政府としては、全世界向けの総供給量が限られている中、相当な割合を確保し、現在の感染状況の中で投与対象となる患者数の見込みを踏まえても、当面、必要となる十分な量を確保しております。
 また、全国で約3,000の医療機関が、この治療薬を投与する意向があるとして登録されており、投与すべき患者がいる場合に、医療機関からの連絡に基づいて、薬を卸が速やかにお届けし、投与するほか、自治体や医療機関側の意向を踏まえ、事前に薬を医療機関等に常備し、投与することも可能としております。
 既に、約1,200の医療機関で約5,000人に投与(8月19日現在)され、現場からは、「中和抗体薬により、多くの患者がはっきりと快方に向かい、退院されていった」とのお話も伺っており、引き続き、対象者の方に、速やかに投与してまいります。

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