令和4年12月16日岸田内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問に対する回答

【東京新聞】
 安全保障政策の進め方について

(回答)
 政府では、3文書や防衛力の抜本的強化について、昨年末から18回にわたるNSC(国家安全保障会議)・四大臣会合で議論を重ねたことに加え、国家安全保障局等におけるヒアリングや、有識者会議を通じて、様々な御意見をいただきました。
 また、「防衛力強化の内容、予算、財源、この3つを本年末に一体的に決め、国民に明確にお示しする」という方針は、春の通常国会のときから、国会でも、会見でも一貫して申し上げてきました。
 3文書や防衛力の抜本的強化については、政府における議論や有識者からの御意見を踏まえ、政府の考え方を整理した上で、与党に提示し、それをもとに、自公の与党ワーキングチームにおいて、率直かつ精力的な議論が行われました。財源についても、与党税調での議論の上、与党プロセスを通じて、先日の閣議決定に至りました。
 このように、3文書や防衛力の抜本的強化は、一年以上にわたる丁寧なプロセスを経て決定したものであり、プロセスに問題があったとは考えていませんが、国民の皆様には、引き続き丁寧な説明に努めてまいります。

【CBCテレビ】
 新型コロナウイルスのワクチン接種について

(回答)
 アナフィラキシーが生じた場合の対応については、数度にわたり、厚生労働省において、速やかに適切な措置を実施することなど適切に対応できる体制を確保すること等について周知を行っています。
 また、ワクチン接種後の副反応が疑われる症状については、副反応疑い報告制度により、医師等から厚生労働省へ報告され、(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)や厚生労働省の審議会における専門家による因果関係等の評価等を行い、医療関係者へ情報提供などを行っています。
 こうした取組を通じ、引き続き、国民の皆様が安心して新型コロナワクチン接種を受けられる体制を整備してまいります。
 また、予防接種法に基づく健康被害救済制度は、予防接種と健康被害との因果関係が認定された方を迅速に救済するものです。
 その認定に当たっては、厚生労働省の審査会等において、請求された疾病や死亡等と予防接種との因果関係について、
 ・ 厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、
 ・ 接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とする
 という考え方に基づいて順次審査を行っています。
 引き続き、このような考え方に基づき審査を行い、可能な限り迅速な救済を進めてまいりたいと考えています。

【信濃毎日新聞】
 防衛費増額に充てる増税と地方経済の活性化について

(回答)
 「経済対策」と「防衛力強化」に対する考え方は、よく整理して論ずる必要があると考えております。経済と財政の関係について、私は、一貫して「経済あっての財政」との立場であり、だからこそ、多額の国債を発行して39兆円の総合経済対策を講じ、足元の物価高・円安への対策、構造的賃上げに向けた支援などを盛り込んでいます。
 特に、新型コロナや物価高が地方経済に与える影響に対しては、一連の物価対策の中で、6,000億円の「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」を措置することなどにより、地域の実情に応じたきめ細かな支援を行うなど、各自治体が、新型コロナの拡大防止や地域経済・住民生活への支援に取り組めるよう取り組んでまいりました。
 また、地方経済の活性化に向けては、12月に、「デジタル田園都市国家構想総合戦略」をとりまとめることとしております。こうした国の総合戦略も参考に、地方において、地方版総合戦略を改訂していただきたいと考えております。国としては、新たに創設したデジタル田園都市国家構想交付金等で、地方版総合戦略に基づく、地方の自主的・主体的な取組を後押ししてまいります。
 他方、今、議論しているのは、国民の生命、暮らし、事業を守るために我が国の防衛能力を抜本強化するという話です。これについては責任ある財源を考えるべきであり、裏付けとなる安定財源は、将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々が対応すべきものと考えております。
 今般、法人税のご負担をお願いすることとなりますが、その際にも、中小企業への配慮を大幅に強化して、所得換算で約2,400万円の控除を設けることといたしました。
 その結果、今回の措置の対象となる法人は、全法人の6%弱となります。防衛力強化は、シーレーン確保、サプライチェーンの維持、抑止力強化による市場攪乱(かくらん)リスクの低減など、円滑な経済活動に直接資する面も多く、御理解をいただきたいと考えております。

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