首相官邸 首相官邸 トップページ
首相官邸 カテゴリーなし
 トップ会議等一覧地球温暖化対策推進本部


地球温暖化対策推進大綱の進捗状況及び今後の取組の重点の概要




1.はじめに

○ 「地球温暖化対策推進大綱」(平成10年6月19日、地球温暖化対策推進本部決定)では、その実施状況について毎年点検を行うこととされている。昨年及び一昨年のフォローアップに続き、第3回目のフォローアップとして、主な対策の進捗状況及び今後の取組の重点をとりまとめた。

○ 我が国では、関係国による議定書締結を可能なものとするため、COP6再開会合の成功に向けた交渉に鋭意臨んでいるところである。その際には、地球規模での温室効果ガス削減の実効性を確保するため、最大の二酸化炭素排出国である米国の京都議定書締結が極めて重要との考えの下、京都議定書発効に向けた交渉に米国が建設的に参加するよう、引き続き働きかけていくことが必要である。同時に、国民の理解と協力を得て、締結に必要な国内制度に総力で取り組む必要がある。

○ 政府の地球温暖化対策としては、地球温暖化対策推進大綱が決定された後、平成11年4月には改正「エネルギーの使用の合理化に関する法律」及び「地球温暖化対策の推進に関する法律」が施行されており、これらの制度に基づく各種の具体的な対策を引き続き着実に実施していくことが重要である。

2.主な取組

<地球温暖化対策の総合的推進>
○ また、平成11年4月の地球温暖化対策推進法の施行以来、40都道府県、412市区町村において、都道府県及び市町村自らの事務・事業に関する実行計画が策定された。都道府県地球温暖化防止活動推進センターは8道県で指定され、地球温暖化防止活動推進員は12県で1,453名が委嘱された。

○ さらに、地球温暖化対策推進法施行令に基づき、毎年度の温室効果ガスの排出係数等について検討するため、「温室効果ガス排出量算定方法検討会」を開催し、平成12年9月に排出係数を取りまとめた。

<エネルギー需要面の対策>
○ 改正「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)に基づき、平成12年度においては従来の特定機器(11品目)に加え、ストーブ、ガス温水機器、石油温水機器、熱調理機器、温風暖房機、暖房用・保温用電熱用品、物品自動販売機、変圧器を追加指定し、更なるエネルギー消費効率の向上を図ることとした。

○ 改正省エネ法の施行により、従来のエネルギー管理指定工場を第一種エネルギー管理指定工場(約4,100箇所)とし、エネルギー使用合理化の取組を促すため中長期的な計画の作成が義務づけられた。また、中規模のエネルギー消費工場・事業場を対象とする第二種エネルギー管理指定工場制度が発足し、平成13年3月31日現在で、約6,700箇所が指定された。

○ ISO14001(環境マネジメントシステム;JIS Q14001として制定済)を企業、自治体等に導入することにより、省エネルギー、省資源を図る。平成12年度末現在、5,222件のISO14001による認証が行われた。

○ 二酸化炭素排出の少ない都市・地域構造の形成、物流の効率化、公共交通機関の利用促進、交通渋滞の緩和に資する各種インフラ整備を推進した。
 −車両の大型化に対応した約6,000kmにわたる橋梁の補強、合計42,000kmの道路ネットワークの形成
 −複合一貫輸送に対応した内貿ターミナルの整備(23港)、国際海上コンテナターミナル整備(17港)、空港または港湾への連絡を強化するための道路の整備(111箇所)
 −交通管理の最適化のため、全国170箇所の交通管制センターを中心とした新交通管理システム(UTMS)の整備
 −渋滞解消・緩和のための環状道路の整備(約135箇所)、連続立体交差事業(63箇所)や、都市内駐車場の整備(29箇所)、渋滞対策プログラムに基づく主要渋滞ポイントの解消(約200箇所)
 −千葉地区を中心とする料金所(63箇所)におけるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)の一般運用を開始、

○ 各省においては、関係業界の自主行動計画に関するフォローアップを関係審議会等において実施した。

○ 平成13年度税制改正において、自動車税について、排出ガス及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車はその排出ガス性能に応じ税率を軽減し、新車新規登録から一定年数を経過した環境負荷の大きい自動車は税率を重くする特例措置(いわゆる「自動車税のグリーン化」)を新たに創設するなどの措置を講じ、低公害車、低燃費車等の普及を促進した。

<エネルギー供給面の対策>
○ 原子力の開発利用に対する国民の理解と協力を得るため、情報提供や講演会・フォーラムの開催等の広報活動を実施した。また、産業振興による地域活性化に向けた支援の強化や、地元地方公共団体の創意工夫・主体的対応がより可能となるような電源三法各種交付金・補助金の使途の弾力化・統合等を図った。

○ 新エネルギーの加速的導入として、太陽光発電の市場自立化を図るため、住宅用太陽光発電システムの補助制度を実施した。(平成12年度においては、約25,700件の申込み)。

<その他の温室効果ガスの排出抑制対策の推進>
○ HFC等の回収・破壊については、産業界及び地域における自主的取組による回収破壊のシステム整備の取組が進められてきたが、平成13年4月より「特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)」が完全施行され、平成13年6月には「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収破壊法)」が成立し、HFC冷媒の回収等が義務化された。

<植林等の二酸化炭素吸収源対策の推進>
○ 吸収源としての機能を向上させるため、民有林、国有林を通じた治山事業、森林保全整備事業、森林環境整備事業により森林の整備を実施した。

<地球観測体制の強化>
○ 温室効果ガスの観測、気候観測、高層気象観測、海面水位の観測等の大気・海洋の観測を実施した。さらに平成12年度より、ミレニアム・プロジェクト「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」を開始した。

<国際協力の推進>
○ 平成12年11月にハーグで開催されたCOP6では合意に至らず、本年7月に開催されるCOP6再開会合での合意を目指し、引き続き交渉が行われている。本年3月、米国は京都議定書を支持しない旨表明し、これに対し、我が国を始め大多数の締約国より懸念が表明された。我が国は米国に対し、京都議定書の発効を目指し交渉に参加するよう働きかけを行っており、6月の日米首脳会談では、日米ハイレベル協議を早急に開始することとなった。

<ライフスタイルの見直し>
○ 平成11年5月に「国民への普及啓発活動等を行った上で、サマータイム制度の導入を図るべき」との報告書が取りまとめられた。これを踏まえ、中央環境審議会等において検討が進められた。

○ 平成12年12月に第3回の「地球温暖化防止月間」を実施し、国際シンポジウムの開催など、全国的に広報活動を展開した。

○ 企業の事業活動に伴う環境負荷情報や環境保全活動への取組に係る情報を環境報告書として作成・公表する動きを促進するため、平成12年度に「環境報告書ガイドライン(2000年度版)」を策定した。

○ 「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)に基づき、国会、政府、裁判所、特殊法人等が環境物品等の調達を総合的かつ計画的に推進するための「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」を定めた。

○ 平成14年度以降3年間を目途に原則として全ての一般公用車について、これを環境物品等の調達の推進に関する基本方針に即して切り替えるとともに、一般公用車以外の自動車についても、同方針に即して切り替えるよう努力することとした。

○ 「みどりの週間」(4月23日から29日)を中心とした国土緑化キャンペーン及び「緑の募金法」制定5年目のラジオキャンペーンを実施した。

○ 社会システムの変革に向けて、地球温暖化対策地域推進モデル事業等、10種のモデル事業を全国的に展開した。