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知的財産戦略本部会合(第20回)

日時: 平成20年6月18日(水)17:30〜18:15
場所: 官邸大会議室


○岸田内閣府特命担当大臣 ただいまから知的財産戦略本部、第20回会合を開催いたします。
 本日はお忙しい中ご参集いただき、まことにありがとうございます。
 総理は少し遅れられる予定でありますので、早速議題に入らせていただきたいと存じます。
 本日の議題は「知的財産推進計画2008(案)について」、そしてもう一つ、「特許迅速化平成20年度実施計画の報告」、この2つが議題であります。
 推進計画につきましては、有識者本部員の方々にとりまとめていただいた推進計画の草案の概要と、デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会の検討経過の説明を聴取し、有識者本部員及び関係大臣からご発言をいただいた上で、推進計画を本部決定したいと存じます。
 まず知的財産推進計画2008の草案を、有識者本部員の方々にとりまとめていただいておりますので、その座長をお願いしておりました相澤本部員から概要をご説明いただきます。
○相澤本部員 それでは、資料の1−1、横広でございますが、この資料をごらんいただきたいと思います。
 技術革新・市場変化が非常に早いスピードで、しかも規模も拡大されております。こういうような状況で、グローバルな競争環境が劇的に変化してまいりました。この中で、研究開発・事業化のスピードと効率性追求の必要性がますます増大してまいります。さらに、国際的な基本特許の争奪戦が激化しております。そこに、製薬企業の例でございますけれども、主要企業の再編の様子の図がございます。この根底は、基本的特許の争奪戦であるとご理解いただきたいと思います。一方で、デジタル化・ネットワーク化の急速な進展に伴いまして、新しいビジネスチャンス、それから市場の拡大が急速に展開しております。
 このようなグローバルな競争環境の変化を受けて、世界の知的財産の戦略が大きく流れを変えております。基本特許と周辺特許を確保し、迅速に事業化するという総合プロデュース機能を有するベンチャー等の活躍が、まず第一に上げられます。
 それから、内外のリソースを積極的に活用するオープン・イノベーションが加速化されております。幾つかの事業の例が書いてございますが、今まではオープン・イノベーションというのはIT産業に限られるんではないかということでございましたが、その他の産業分野にも急速に広がっております。
 ところで、デジタル化・ネットワーク化に対応いたしまして、新しい知財制度を追求する必要が出てまいりました。
 さらに、知財の世界市場への展開がますます要求が強まっておりまして、国際標準化等が強化されることが急務であります。
 こういう状況を受けて、我が国に幾つかの課題があります。その第一は、基本特許の獲得力が極めて脆弱である。第二が、オープン・イノベーションの取り組みに遅れがある。第三が、デジタル化・ネットワーク化に対応した知財制度の整備が不十分である。第四に、国際市場の展開に遅れがある、こういうことでございます。
 このような課題を解決するために、知的財産推進計画2008では、その右端のところにいろいろと書いてございます種々な取り組みを始めました。これらの取り組みのそれぞれについては、資料の1−2をごらんいただけますでしょうか。
 それぞれの取り組みについて主なものを例示いたしました。
 1ページ目を開いていただけますでしょうか。第一は、iPS細胞の研究・事業化を加速する総合的支援体制を構築することであります。
 iPS細胞関連のライセンスの集中管理につきましては、企業等の有する知財等と円滑に組み合わせて事業化を加速するということで、既に京都大学を中心といたしまして体制が整備されました。その体制が左下の図の知財管理・活用会社でございます。これは、ただ京都大学だけを対象としておりますので、右にありますような形で、これをでき得る限り近い将来、種々の大学あるいは研究機関が参画した、オールジャパン体制に持っていくということでございます。
 次をごらんいただきたいと思います。
 第二の取り組みは、iPS細胞関連技術を含みますが、先端医療分野における特許保護のあり方を検討することでございます。2つの要請がございます。1つは、iPS細胞を初めとする先端医療技術の発展を図るという要請。もう1つは、国民の生命や健康に直結する医療の特質・公共の利益への十分な配慮でございます。この2つをバランスよく最適な制度の在り方を検討することにしております。
 次をごらんいただきます。
 第三は、オープン・イノベーションに即した知財戦略を促進することでございます。組織それから分野を、国境を超えて、地球規模で内外のリソースを積極的に活用するオープン・イノベーションに即した知財戦略を促進する必要がございます。そこで、ボーダレスなイノベーション・プラットフォームを構築して、これに伴って、革新的技術・新事業を創出する必要があります。この戦略を策定いたします。
 次をごらんいただきたいと思います。
 第四は、デジタル・ネット時代に対応した著作権法を見直すことでございます。この件につきましては、中山本部員から後ほどご報告をさせていただきます。
 次をお開きいただきたいと思います。
 第五の取り組みでございますが、インターネット上の海賊行為への対策を強化することでございます。ネット上の海賊版がますます増大しておりまして、被害を防がなければなりません。そこで、適法コンテンツの流通を促進すると同時に、ネット上における海賊版の対策を強化することが、喫緊の課題であります。官民合同ミッション等を通じて違法コンテンツを円滑に排除するよう、外国政府にも要請をすることにいたしております。
 第六でございますが、国際知財システムの構築に向けた取り組みを推進することでございます。国際知財のシステムの構築に向けて、今、我が国はいろいろな分野で国際的な取り組みを主導しております。その中で、特許審査ハイウェイネットワークを拡大すること。それから、日中韓三極における原語出願の導入を目指していることなどが典型的な例でございます。この三極構造においては、日本語での出願受付の導入を積極的に働きかけます。
 次でございます。
 最後でございますが、第七の取り組みとして、地域・対象に応じた日本ブランド戦略を構築いたします。アニメ、映画、音楽等のコンテンツを含む分野横断的な日本ブランドの確立と発信を図るため、地域・対象に応じて重点的に取り組むべき戦略及びアクションプランを構築いたします。具体的なところは、そこに例示してございます。
 以上でございます。
○岸田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 次に、デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会における調査・検討については、そのとりまとめを待たず、議論の一部を今回の推進計画の草案に盛り込んでおります。このため、同専門調査会の会長を務める中山本部員に、検討経過報告をお願いしたいと存じます。
○中山本部員 それでは、検討経過のご報告を申し上げます。
 本専門調査会は、近年のデジタル技術の発展と、あるいはネットワーク化の進展に対応した知財制度の課題について検討するために、本年3月、知財本部会合において設置が決定されたものであります。
 これを受けまして、本専門調査会では、4月から精力的に検討を進めまして、知的財産推進計画2008が策定されるに当たりまして、ネット検索ビジネスの適法化など早急に対応すべき事項をとりまとめました。
 資料3−1の2ページをごらんください。
 国際競争力がますます激化する中、デジタル・ネット環境を活用いたしましてイノベーションを創出し、コンテンツの流通を促進することは、我が国にとって喫緊の課題と考えます。このため技術革新や新規事業の創出に関連し、著作権法が阻害要因となっている点につきましては、これを早急に解決することが必要であります。本専門調査会では、このような考え方のもとに、イノベーションに関する次の4つの事項につきまして、2008年度中に対応するように提言をいたしました。
 第1に、インターネット環境のインフラとも言える情報検索サービスについてであります。現行では、これに伴う複製、翻案、公衆送信が違法となっておりまして、新規事業創出の制約となっております。このため早急に著作権法を見直すことが必要となってまいります。
 第2に、コンテンツ配信等に伴う通信過程における中継サーバーや機器への一時的な蓄積につきましても、現在は形式上、権利者からの許諾が必要な著作権法上の複製ということになっております。
 第3に、情報社会における基盤技術とも言える音声・言語・動画等の解析技術の開発のためには、ネット上の情報などを活用いたしまして、膨大な情報を蓄積・翻案することが必要であります。このような権利者の利益を不当に害しないような利用でありましても、形式上は著作権者の許諾を得なければ違法な行為となってしまっているわけであります。研究開発の安定した法的環境を確保するためには、一定の著作権法の見直しが必要と考えます。
 第4に、コンピュータ・プログラムを解析するためのリバースエンジニアリングにつきましても、これに伴う複製・翻案の行為が著作権者の許諾がないものについては、違法となっております。情報セキュリティーや相互運用性確保のためのリバースエンジニアリングなどにつきましては、権利者の許諾なく適法に行えるよう著作権法の見直しが必要であると考えます。
 これに加えまして、権利者不明の著作物への対応とか、あるいは国立国会図書館の蔵書のデジタル化につきましては、現在、文化庁において検討が進められておりまして、2008年度中に法改正が行われるものと聞いております。
 本専門調査会におきましては、今後2008年度中に結論を得ることを目処に、包括的な権利制限規定の創設、ネット上でのコンテンツ流通促進の方策、ネット上の違法コンテンツへの対策強化について検討することを予定しております。
 以上でございます。
○岸田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 それでは、推進計画の草案をとりまとめられた有識者本部員の方々からご発言をお願いしたいと存じます。あらかじめご発言を求められている本部員の方々について、私のほうから指名をさせていただきます。
 まずは、梶山本部員からご発言をお願いいたします。
○梶山本部員 我が国の知財の課題は、基本特許がない、あるいは非常に少ないということです。そのため、大学の特許からの収入がアメリカと日本では100対1となっています。そういう意味では、大学としては基本特許を生み出せる人材育成をしなくてはいけないということを非常に痛感しました。大学教育では、基本特許が出せるような人材育成に努力していきたいと思っております。
○岸田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 それでは次に、角川本部員からご発言をお願いいたします。
○角川本部員 資料3−1の2ページ目をごらんになってください。
 今、中山先生からご説明がありましたけれども、2ページ目の真ん中の2008年度中に法的措置をする、これを推進計画に盛っております。それから、この右のほうがこれから先生の特別専門委員会で今年度中に結論を出そうというところで、2種類あるというふうに認識しております。
 2008年知財推進計画で、この検索サービスの適法化というのは、日本でも和製グーグルと和製ユーチューブが著作権法上、合法化されることになると思います。そして、この右のほうに「フェアユースの規定の創設」というふうに書いてありますけれども、明治以来、大陸法、成文法の日本の法制の中に米国的フェアユースを導入されるということは、画期的なことだと評価しております。
 一方で、1996年にインターネットの商業化が日本で始まったことと、近年の通信技術の進歩、国民の意識の変化を思うと、今回の著作権法の対応が10年遅れたと指摘する通信キャリアやIT事業者の声もあります。
 インターネットは、15世紀のグーテンベルクの印刷技術以来の大発明であり、革命であるとも言われています。アナログ時代の著作権法を21世紀の著作権法にすべく、2年以内に抜本的な法改正を約束した知財戦略本部に残された時間は1年半であります。どうか勇気を持って、手を緩めることなく改革を進めていただきたいと思います。
 3年後には、グローバリゼーションの進行の中、世界は5つのパソコンに独占されるとも言われております。グーグルであり、マイクロソフトであり、IBMというふうなところが上がっていると思います。その中で、日本はその中に1社もなく、日本市場が米国と中国のIT事業者に蹂躙されるようなことがないように、また消費者である国民の視点に立って、私たちは努力すべきだと思います。
 以上です。
○岸田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 それでは次に、佐藤本部員からご発言をお願いいたします。
○佐藤本部員 推進計画も2期6年目を迎えまして、2003年からの計画の総まとめの段階に入ったと思っております。その中で、この5年間で我が国の知財改革は、大幅に進んだというふうに実感しております。
 ただ、その5年間の間に、先ほど来議論されていますように世界の情勢は大きく変わって、大きな変革のイノベーションが起こっています。それをキャッチアップするために、これからの2008年度推進計画を進めていただきたいと思っております。この点については、特許庁のイノベーションと知財政策の研究会でもさらに検討されて、深堀りされているところでございます。
 国際的な知財制度そのものの改革をしていかないと、本当のイノベーションを促進できないと感じております。これまでの推進計画では、割と国内の知財改革を中心とされてきていたと思いますけれども、さらにこれからはグローバルな知財改革を進めるということで、我が国は指導的な立場を発揮しなければならないのではないかと強く思っているところでございます。
 それで、私の弁理士としての実務家の立場から、このイノベーション促進について6つの視点を今日お手元に資料として差し上げました。今日は時間がございませんので、後ほどごらんいただければというふうに思います。
 前回の本部会合で、iPS細胞について提案申し上げました。先ほども相澤本部員からお話がありましたように、iPS細胞というのは我が国のイノベーションの中でも非常に画期的なイノベーションだと思っております。それがこのたびオールジャパンのプロデュース拠点をつくって事業化をするという流れができたというのは、大変すばらしいことだと思っておりますが、今は実務家として一番心配しておりますのは、その事業化する前の段階の研究開発成果がしっかりとした知財に結びつくというようにしていくということが、現状では非常に重要な課題ではないかと思っております。
 その点においては、各研究機関の相互連携、情報交換さらにそれをとりまとめたしっかりとした知財ポートフォリオをつくっていくということが、今の緊急の課題ではないかと思っております。この点につきましても、ぜひ今後とも関係各位にご尽力いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○岸田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 それでは次に、里中本部員からご発言をお願いいたします。
○里中本部員 資料5、この会議にふさわしくないような子供っぽい資料で本当に申しわけありませんが、つまり、わかりやすさが大事だと思っております。日本にどんなにすてきなコンテンツがあっても、例えばすばらしい商品があっても、その存在が知られなければだれも買ってくれないと。そういう中で、日本はどうも宣伝が大人し過ぎるのではないかなと、常日ごろ思っております。日本の魅力の発信と、その基盤整備を進める。そして、日本ブランドに関する海外向けの情報を充実させることが重要だと思っております。
 大口のお客様だけでなく、世界のどこからでもアクセスできる日本の実力と魅力について知ってもらえる、そういう窓口をもっと充実させる必要があるんではないかと思っております。
 ある言葉から、ある画像から、何かからでもいいんですけれども、とにかくちょっとのぞいていただければ、そこから入れ子式に、ITというのは入れ子式が幾らでもつくれるというところが強みなわけですけれども、とにかくちょっとでも興味を持ってもらえれば、例えば食の問題にしましても、食材から調理法あるいはその食材の手に入れ方までたどり着ける、またその食材の特徴、日本が胸を張って売り込むことのできる特徴とか価格とか、買い方の方式までたどり着ける。それが世界のどこからでも容易にできるような、魅力的な大型店舗ですね。国全体が大型店舗だと考えて通りすがりの人にも気づいていただける看板のあり方、これを魅力的に画像を多様してつくることが有効ではないかなと思っております。
 日本に関する情報を海外に発信しているサイトはいろいろあるんですけれども、連携を強化して情報を整備して、内容を魅力的なものに見せていただきたいと。その中には、我が国の誇りと自信につながるような、過去のいろいろなドキュメンタリー番組などのテレビ番組、映画なども入れ込んでもいいかなと思っております。その中で、こういうものは我が国が考えたんだ、我が国の人たちはこう努力してきたんだという、そういうものが伝わればうれしいなと思っております。
 以上です。
○岸田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 それでは次に、長谷川本部員からご発言をお願いいたします。
○長谷川本部員 それではもう一度、先ほど相澤本部員からご説明されました資料1−2の1ページのほうに、戻っていただきたいと思います。
 しつこくて申しわけありませんけれども、iPSについて再度。結局、幾ら知的財産を確立しても、それがお金に結びつかなければ何もならないわけでありまして、このiPSにつきましては、現在、細胞から得られた分割細胞等にかかわる実用化関連技術の特許を、いかに戦略的に出願し、権利化し、ライセンス化するかという段階に来ていると思います。
 一昨日の日経新聞にも、マックスプランクでありますとかハーバード、サルクインスティテュート、京大さんも含めてそういう国際会議をされて、今どういう状況になっているというのが出ておりましたけれども、結局私としては製薬会社の社長でありますから、どうせお金を払うんだったら日本に払いたいと。また、海外に払うようなことにならないようにしていただきたいと。そうするためには、やはり京大さんが頑張っておられるのもよくわかりますけれども、慶應大学さんでありますとか理研さんでありますとか東大さんとか、そういったところを全部入れたオールジャパンと、本当の意味でのオールジャパン体制をぜひつくっていただきたい。そうしないと、結局、国家間の特許、知財戦争に負けてしまう可能性がありますので、それを再度お願いをしておきたいと思います。
 製薬協といたしましても、ぜひそういう形であれば全面的に協力をさせていただきたい、そのように考えております。よろしくお願いいたします。
○岸田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 それでは次に、三尾本部員からご発言お願いいたします。
○三尾本部員 資料の6をごらんいただきたいと思います。2点あります。
 1点目は、イノベーション創造機構の点でございます。イノベーション創造機構は、新聞等でも発表がありましたように、政府でもこれから進めていくということで私としても非常に強く期待している次第です。ただ1点気になりますことがありまして、それを本日お話ししたいというふうに思います。
 イノベーション創造機構については、米国のインタレクチャルベンチャーズというところが想定されているようにお話は聞いていますけれども、同社は休眠特許を買い集めて、それについてライセンス交渉をすることを事業内容にしている会社です。これは一歩間違えると、既に動いている産業に対して、今までは特許は行使されなかったので、無償で特許の対象となる発明を使えたところが、上記事業があったがためにライセンス料を払わなければいけなくなってしまうということが起こってしまうわけなんですね。
 これは一歩間違えますと、パテントトロールと見なされる可能性も十分ありまして、その辺のバランスは考えなければいけないということです。
逆に言いますと、パテントトロールをそれほど怖がる必要はなく、むしろ、どこまでいけばパテントトロールになるのか、そうではなくて、産業の発展に寄与するのかということを線引きをすることが重要であるということなのです。
 翻ってみますと、イノベーション創造機構については、新規の事業を活性化させると、開拓するというところを主にポイントを充てていただいて、そこで機能を発揮していただきたいというふうに強く思うわけなんです。それに関しては新規の事業ということですので、新しい産業化ということが必須になってきます。
 ですので、新規ビジネスがわかる人材ということが必須といいますか必要不可欠なんです。そして、人材の登用について私の個人的な意見を述べさせていただきますと、日本国内という枠にとらわれずに、広くアメリカその他から、当該分野での実績を積んだ人材を登用して、日本国内の人材と一緒に事実を展開するということもいいのではないかなというふうに思います。グローバル化ということですので、人材についてもファンドについてもシーズについても、グローバルに考えていく必要があるんではないかというふうに思う次第です。
 あと1点ですが、日本ブランドの戦略の構築と発信について、一言だけ申し上げたいと思います。
 資料でいきますと、資料の1−2の日本ブランドの発信というところですので、7ページ目になると思うんですけれども、ここで日本ブランドの戦略を構築するということは、非常に有意義であるというふうに考えます。コンテンツ事業者等に聞きましても、今まで日本の海外に対する戦略は、余り成功していないんではないかというところがございます。そして、原因なんですけれども、2つあると思います。
 1つは、国内のビジネスで今までは満足しているという点が大きいという点。もう1つは、日本国内で情報を収集することにとどまっていて、海外に実際出ていって、現地のマーケットのニーズをいろいろ情報収集をして、マーケット調査をするということが足りなかったんではないかという点です。日本にいながらにして、国際的なフェスティバル等があったら、そこに行って、ちょこっと情報を収集するということではなくて、常時、国外に我国の国際的な拠点を置いて、そこでマーケティングから始めて情報を収集すると。収集した情報を国内の事業者に還元すると、そういうことが必ず要るのではないかというふうに思うんですね。
 コンテンツ事業者は皆、脆弱で、資金的にも足りないものが多いものですから、自動車メーカー企業等の国際的な日本の代表的企業とは違いまして、上記海外の情報収集に対しては政府や国の援助があればいいんではないかなというふうに思います。
 以上です。
○岸田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 それでは最後に、山本本部員からご発言お願いいたします。
○山本本部員 私も恐らくこの後、甘利大臣からお話があると思いますが、イノベーション創造機構について、お話をさせていただきたいと思います。
 今発売中の週刊ダイヤモンドを持ってきたんですが、ここには「新・特許ウォーズ」と称されて、アメリカのマイクロソフトのスピンオフの人たちが2,000億規模で、日本の大学の特許を買いあさっていると。もう既に9つの大学が特許を丸投げしているということでは、非常にうちの大学にも「1件50万で買い取ります」ということで、ものすごく熱心にいらっしゃって、うちは出していないんですけれども。
 何かというと、日本の知財本部整備事業、TLO助成が終わりを告げつつあって、まだまだ大学における技術移転が脆弱であると。そこに持ってきて、日本の大学の技術は非常にレベルが高いので、買いあさるのにはちょうどいいということで、数千億規模で日本の大学の特許をアメリカに持っていって、ライセンスをしていこうという、そういうビジネス形態でございまして、確かに三尾委員がおっしゃったように、パテントトロール的な色彩になってくると、既存事業にも影響が出てきますので、これは配慮しなければいけないんですが、このままほうっておくと、日本の大学の技術がどんどんアメリカに、税金を使った研究成果がどんどんアメリカに出ていくということになりますと、これは非常にゆゆしき事態だというふうに思っておりますので、このような機関を早急に手当をして進めていただくことが重要ではなかろうかというふうに思っております。
 以上でございます。
○岸田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 続いて、渡海文科大臣、甘利経産大臣、木村外務副大臣、遠藤財務副大臣から発言を求められておりますので、順にお願いしたいと存じます。なお、時間が少し押しておりますので、発言は簡潔にお願い申し上げます。
 まず、渡海大臣お願いいたします。
○渡海文部科学大臣 いろいろなご提言なりご意見、ありがとうございます。文部科学省は大学も所管をいたしておりますし、さまざまなこの知財に関する仕事をやらせていただいておりますが、その中で、やはり知的財産の教育の推進ということが、少し遅れているかなと、こんな感じを持っております。人材育成それからさまざまな著作権に関する法律の整備、これも少し、今の時代に合った著作権の整備というものをやっていかなければいけないというふうにも思っております。コンテンツの問題もございます。こういったことに、引き続き皆様の提言も踏まえて取り組んでいきたいと思っております。
 この大学のベンチャーの支援の強化とか、デジタル・ネットに対応したさまざまな見直し、こういったものも大事だというふうに思っておりますが、先ほどございましたiPSの問題、これは間違いなくオールジャパンでやるように、我々も指導してまいります。
○長谷川本部員 ありがとうございます。
○渡海文部科学大臣 要するに、大学にとどまっていないで、大学も研究所も、そして民間の企業の方々も、この研究の成果というもの、これはオールジャパンでやるということで、今のような体制を組んだわけでありますから、知財においてもそういう体制がとれるように、立ち上げは京都大学にやっていただきましたが、今後どんどんと広げていくということをやっていきたいというふうに思っております。
○長谷川本部員 大変力強いコメント、ありがとうございます。
○岸田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 続きまして、甘利大臣お願いいたします。
○甘利経済産業大臣 3点申し上げます。
 まず1点、イノベーション促進のための新知財政策についてであります。
 グローバル化等の変化に対応して、イノベーション促進のための新しい知財システム構築を目指すことが必要でありまして、先般、特許庁の研究会で提言をとりまとめました。今後、以下のような取り組みを進めます。
 一つ目として、研究開発と知財戦略を総合的にプロデュースする知財ビジネスが我が国に設立されるように、先日、総理よりいただいたご指示を受けまして、民間の英知を結集した時限組織として、「イノベーション創造機構」の創設に向けた検討を早急に進めます。なお、これがパテントトロール、つまり特許訴訟ビジネスの形態と見なされるような懸念はございません。
ご指摘のアメリカの知財ビジネスの仕組みは、世界中のノーベル賞級の学者を契約で取り込み、アドバイスをしてもらって、そのアドバイスをもとにいろいろな特許を組み合わせる、あるいはこの特許をもとにしてこちらへ発展できないか、それらが新しいイノベーションを生み出すわけであります。これを完全にやられますと、世界中はもうアメリカに全部知財は持っていかれかねないと思います。
「イノベーション創造機構」は、海外にある日本の現地法人に内部留保されている約17兆円の資金を国内還流させるための施策を別途検討しているところですが、それも含めた国内外の資金をイノベーション投資に向かわせるための、言ってみればイノベーションセンターの役目も果たしていくのではないかと思っております。いずれにしても、これはやらないと、アメリカに先を越されつつある状況にあると思います。
 二つ目として、外国特許庁間のワークシェアリングを拡大をし、国際的な制度調和を進めることによりまして、仮想的な世界特許庁の構築を目指します。
 三つ目として、特許審査の迅速化に当たっては、出願人の多様なニーズに対応し、非常に短期間で審査を行うスーパー早期審査制度を創設します。
 次に、大きな2点目として、企業活動のグローバル化に対応した海外での権利保護の強化であります。模倣品、海賊版対策につきましては、官民連携して推進することが重要でありまして、明日も産業界と懇談をする予定であります。また、「模倣品・海賊版拡散防止条約」、いわゆる「ACTA」でありますが、この年内妥結に向け関係国との議論をリードし、取り組みを加速します。中国等での日本の地名の第三者による商標登録問題につきましては、マニュアルを通じた情報提供等によりまして、企業や地方自治体の対応を支援するとともに、相手国政府に対し適切に保護されるよう働きかけます。
 最後に、大きな3点目として、コンテンツ日本ブランドの価値・創造であります。日本人の感性を活かしたものづくりを推進し、世界に向け日本の感性価値を発信することで、新たな日本ブランドの創造を目指します。その一環として、本年も「JAPAN国際コンテンツフェスティバル」や「東京発日本ファッション・ウイーク」を開催致します。以上の取り組みを積極的に推進してまいります。
 以上です。
○岸田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 続きまして、木村副大臣お願いいたします。
○木村外務副大臣 知的財産推進計画2008を踏まえ、外務省といたしましても、世界をにらんだ知的戦略の強化に積極的に取り組んでまいる所存であります。
 知的財産権保護は、北海道洞爺湖サミットにおいても重要課題となっておりまして、我が国のリーダーシップのもと、強いメッセージを発出する方針を持っております。国際市場への展開を評価し、世界的共通課題にリーダーシップを発揮するために、我が国が提唱しました模倣品・海賊版拡散防止条約、ACTA構想について関係省庁と連携しつつ、また関係国ともよく連絡をとりながら、同条約の実現に向け、しっかりと取り組んでまいります。
 また、海外における我が国の地名等が商標登録されている問題について、制度運用の改善等を各国に働きかけてまいります。さらに、アニメ文化大使事業や国際漫画賞の活用等を通じて、日本の現代文化を通じた対日関心、理解の増大に積極的に取り組んでいく所存であります。
 以上です。
○岸田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 続きまして、遠藤副大臣お願いいたします。
○遠藤財務副大臣 財務省といたしましては、知的財産侵害物品の水際取り締まりを行います税関を所管しておりますので、この水際取り締まりの件につきましてお話ししたいと思います。
 平成20年度の関税改正におきまして、我が国を経由して第三国に向けて輸送される知的財産侵害物品の水際取り締まり対象の追加等を行いました。そのほか執行面では、日中韓の税関当局間の連携強化を通じまして、今成果を上げているところでございます。
 また、税関の国際機関でありますWCO、世界税関機構でございますが、ここにおきまして知的財産侵害物品の水際取り締まりに関する基準の策定に向けました議論に、積極的に参加をしておりますし、またWCOに加盟する途上国が当該基準を満たすことが可能となるような能力構築を支援をしているところでございます。
 今後とも、今回決定をされます知的財産推進計画2008の内容に沿いまして、知的財産侵害物品の水際取り締まりに、財務省といたしまして万全を期してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○岸田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 事前に求められていた発言は以上ですが、他に発言ございますでしょうか。
 はいどうぞ、中山本部員。
○中山本部員 我が国の著作権法のデジタル対応は、アメリカと比べて10年ぐらい遅れていると思われます。たとえば検索エンジンビジネスの例でいいますと、日本でもアメリカでも開始されたのはそんなに違わないはずなんですけれども、片やグーグルはもう世界屈指の大企業となり、片や日本ではNTT等が若干行っておりますが、日本でのビジネス展開ができないものですから、アメリカにサーバーを置いて、ほそぼそやっているという状態です。
 先ほど角川委員からお話しございましたけれども、世界のネット関連のビジネスというのは、恐らく数社ぐらいに集約されるだろうと言われておりますし、現状でいく限りは、間違いなく日本の企業はその中に入りません。何とか早急に手を打たなければいけない。著作権法を改正すれば、企業が振興されるというものではないのですけれども、少なくとも著作権法が邪魔をして、日本でビジネス展開ができないという状況、これは早急に改めなければいけない。
 しかし、これは現実に改めようと思うと、実は抵抗が非常に強いわけであります。したがって、そういう問題につきましては、ぜひこの戦略本部が指導的なリーダーシップをとってやっていただきたい、そのように考えております。
○岸田内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。
 ほかに何かご発言ございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、ご発言ありがとうございました。
 知的財産戦略本部として、本草案を知的財産推進計画として決定したいと存じますが、ご異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岸田内閣府特命担当大臣 よろしゅうございますか。ありがとうございました。
 それでは、本計画案を「知的財産推進計画2008」として決定をいたします。
 なお、特許審査迅速化平成20年度実施計画については、経済産業省から資料9が提出されておりますが、時間の都合上、資料配付にとどめさせていただきます。
 それでは最後に、知的財産戦略本部長、福田総理大臣よりご発言をお願いしたいと思いますが、その前にプレスが入室いたしますので、しばらくお待ちください。
(プレス入室)
○岸田内閣府特命担当大臣 それでは、福田総理よろしくお願いいたします。
○福田内閣総理大臣 きょうは知的財産推進計画2008、世界をにらんだ知財戦略の強化を決定いただきまして、ありがとうございました。大変ご苦労を願いまして、深く心から御礼を申し上げます。
 この知財戦略は誤りますと、これはもう国全体の競争力を失いかねない、こういう非常に重要な課題でございます。これからは、オープン・イノベーションへの取り組みを加速化するということとともに、デジタル・ネットワークに対応した制度づくりを急ぐ必要があるということであります。
 具体的には、本日のご議論も踏まえまして、iPS細胞の研究、事業化へのオールジャパンベースでの支援、さまざまな知財の融合による新事業の創出を後押しする仕組みの構築、また新事業の展開を促進する観点から、著作権法の見直しなどを早急に進めていくといったようなことが重要であると考えます。いずれも政府が一丸となって取り組むべき課題でありますので、関係省庁は連携を一層密にして、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。各省庁ともよろしくお願いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
(プレス退室)
○岸田内閣府特命担当大臣 総理、ありがとうございました。
 それでは予定の時間も参りましたので、本日はこれで終了とさせていただきたいと存じます。次回の会合につきましては、事務局から追ってご連絡をさせていただきます。
 本日の会合の内容につきましては、この後、事務局からブリーフを行うこととしております。
 本日はどうもありがとうございました。