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知的財産基本法の施行の状況及び今後の方針について


2006年 2月24日
知的財産戦略本部


I.はじめに

  知的財産戦略本部では、2003年3月1日に施行された知的財産基本法に基づき、これまで3次にわたって知的財産推進計画を策定し、実行することにより、知的財産立国の実現を目指した集中的な改革を進めてきた。
 知的財産基本法の附則第2条では「政府は、この法律の施行後三年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と規定されており、施行後3年を迎える2006年2月末を目途に、同法の施行状況の検討が求められている。このため、昨年開催された第12回知的財産戦略本部会合において、知的創造サイクル専門調査会及びコンテンツ専門調査会に対し、同法に基づく施行状況の検討が委ねられた。
 両専門調査会における検討結果を踏まえ、「知的財産基本法の施行の状況と今後の方針について」を決定するものである。

II.施行の状況

1.主な成果
 知的財産基本法の施行後3年間に、様々な制度改革が進展し、多岐にわたる成果が得られた。
 主な成果としては下記の事項が挙げられる。
 
(1)知的財産の創造
 大学等や企業における知的財産の創造
 「大学知的財産本部整備事業」実施機関として43の大学で知的財産本部が設置された(2003年7月から)。
 41の承認TLO(技術移転機関)が設置された(2006年2月現在)。
 大学教員の発明に対する権利を大学に帰属させる機関帰属原則が、国立大学等の93%、公私立大学等の25%において採用された(2005年3月末現在)。
 国立大学等の国内特許出願は7.6倍、特許実施件数は3.8倍、実施料収入は1.7倍に増加した。また、海外出願件数は1.2倍に増加した(2002年からの3年間)。
 「競争的資金の間接経費の執行にかかる共通指針」を改定し、特許関連経費への充当が可能なことを明確化した(2005年3月)。
 職務発明規定(特許法35条)を改正した(2005年4月施行)。
 
 知的財産を軸とした産学官連携
 「大学における営業秘密管理指針作成のためのガイドライン」を策定した(2004年4月)。
 大学発ベンチャーの数が増加し、2004年度末で設立累計が1,112社となった。
 
(2)知的財産の保護
 紛争処理機能の強化
 「知的財産高等裁判所設置法」に基づき、知的財産高等裁判所が発足した(2005年4月施行)。
 「裁判所法等の一部を改正する法律」に基づき、知的財産事件における裁判所調査官の権限の拡大・明確化など、知的財産関連訴訟の紛争処理機能を強化した(2005年4月施行)。
 民間紛争解決手続の業務を認証する制度の創設等を盛り込んだ「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR法)」を制定した(2007年4月施行予定)。
 
 特許審査の迅速化
 「特許審査の迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律」を制定し、先行技術調査機関を拡充する等の措置を講じた(2004年6月以降順次施行)。
 特許審査迅速化のため経済産業大臣を本部長とする「特許審査迅速化・効率化推進本部」を設置した(2005年12月)。
 任期付審査官を、2004年度、2005年度にそれぞれ98人ずつ増員した(2006年度も98人の増員を予定)。
 
 知的財産権制度の強化
 医療関連行為の特許保護の在り方に関する専門調査会の取りまとめを受け、特許・実用新案審査基準を改定した(2005年4月)。
 著作権法、不正競争防止法、種苗法の改正により、知的財産侵害に係る刑事罰を強化した(2003年〜2005年に順次施行)。
 「営業秘密管理指針」を改訂した(2005年10月)
 
 世界特許システムの構築に向けた取組の強化
 日米欧の三極特許庁間において他国の特許庁のサーチ・審査情報の利用を可能にするドシエ・アクセス・システムの稼動を開始した(2004年10月)。
 第1庁で特許となった出願について第2庁において簡易な手続きで早期審査が受けられる「特許審査ハイウェイ構想」を日本から提案、検討を開始した(2006年度前半に日米で試行予定)。
 
 模倣品・海賊版対策の取組の加速化
 海外における模倣品・海賊版対策を中心にこれを加速化する「模倣品・海賊版対策加速化パッケージ」を知的財産戦略本部において決定した(2004年12月)。
 
 模倣品・海賊版の外国市場対策の強化
 全在外公館に知的財産権侵害対策マニュアルを備えるとともに、知的財産担当官を配置するなど外交当局の体制を整備した(2004年度)。
 コンテンツ海外流通促進機構により、「コンテンツ海外流通マーク(CJマーク)」が制定された(2004年9月)。
 民間企業・団体等からの申立に基づき日本政府が調査を行い、二国間協議等による解決を図る「知的財産権の海外における侵害状況調査制度」を導入した(2005年4月)。
 G8グレンイーグルズ・サミットにおいて、小泉総理大臣が模倣品・海賊版の拡散を防止するための国際約束の必要性を提唱した(2005年7月)。
 
 模倣品・海賊版の水際での取締りの強化
 知的財産侵害品の水際での取締りを強化するため関税定率法を改正した。
- 特許権等の侵害物品を輸入差止申立制度の対象とした。また、育成者権侵害物品を輸入禁制品に追加した(2003年4月施行)。
- 輸出入者等の情報を当事者に通知する制度を導入した(2004年4月施行)。
- 権利者による見本検査制度、農林水産大臣への意見照会制度を導入した(2005年4月施行)。
- 形態模倣品等を輸入禁制品に追加した(2006年3月施行予定)。
 模倣品・海賊版の国内での取締りの強化
 大手オークション事業者によりインターネット・オークション上の模倣品・海賊版の排除を目的とした自主ガイドラインが策定された(2005年7月)。
 「特定商取引に関する法律」の適用対象となる販売業者の判断基準を明確にするため「電子商取引等に関する準則」を改定した(2006年2月)。
 
 模倣品海賊版に関する官民の連携強化
 関係8省庁による模倣品・海賊版対策関係省庁連絡会議を設置した(2004年7月)。
 一元的な相談窓口として「政府模倣品・海賊版対策総合窓口」を経済産業省に設置した(2004年8月)。
 
(3)知的財産の活用
 知的財産の戦略的活用
 「知的財産情報開示指針」(2004年1月公表)に基づき、各企業により「知的財産報告書」が作成・公表された(2004年度14社、2005年度18社)。
 「知的資産経営の開示ガイドライン」を公表した(2005年10月)。
 知的財産権を受託可能財産とするとともに信託の担い手を拡大するため信託業法を改正した(2004年12月)。
 「標準化に伴うパテントプールの形成等に関する独占禁止法上の考え方」を公表した(2005年6月)。
 
 中小・ベンチャー企業の支援
 中小企業の特許出願について民間調査事業者による先行技術調査結果を提供する制度を導入した(2004年度実績:約1,200件)。
 日本経団連により、他社の知的財産権を尊重することを謳った「知的財産権に関する行動指針」が策定された(2005年7月)。
 
 知的財産を活用した地域振興
 15都道府県において「都道府県知的財産戦略」が策定され、12県が策定中又は策定を予定している(2006年2月現在)。
 地域独自の知的財産戦略を策定・実施するため、地域知的財産戦略本部が全国9ブロックで整備された(2005年)。
 
(4)コンテンツをいかした文化創造国家への取組
 コンテンツビジネスの飛躍的な拡大
 「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」が施行され、コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関し、基本理念を定めた(2004年6月施行、一部9月施行)。
 下請代金支払遅延等防止法を改正し、コンテンツ分野の下請取引を対象とした(2004年4月施行)。
 信託業法を改正し、知的財産権を含めた財産権一般を受託可能財産とするとともに、信託業の担い手を株式会社一般に拡大した(2004年12月施行)。
 コンテンツ関連人材育成等のための組織として、映像産業振興機構(VIPO:2004年12月)やエンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク(2004年5月)が設立されるなど、民間の取組が活発化した。
 コンテンツに関連する専門職大学院の開設や大学におけるコンテンツ関係の人材育成が進展した。
 著作権法を改正し、音楽レコードの還流防止措置の導入及び書籍・雑誌への貸与権の付与を行った(2005年1月施行)。
 東京国際映画祭の抜本的強化が行われ、併設のマーケット機能の充実が図られた(2004年10月、2005年10月)。
 
 日本ブランド戦略の推進
 民間による「食文化研究推進懇談会」が、日本食文化研究や日本食文化の普及等について、提言を取りまとめた(2005年7月)。
 高品質で安全な農林水産物・食品の輸出を促進するため「農林水産物等輸出促進全国協議会」が発足した(2005年4月)。
 商標法を改正し、地域ブランドをより適切に保護するため、地域名と商品名からなる商標について、団体商標としてより早い段階で登録を受けることを可能とした(2006年4月施行)。
 生鮮食品(畜産物)や加工食品について、JAS法に基づく品質表示基準を強化した(2004年9月施行)。
 東京コレクションの時期と会場を集約し、発信力を強化した「東京発日本ファッション・ウィーク」が開催された(2005年10月)。
 文化外交の推進に関する懇談会が、報告書「『文化交流の平和国家』日本の創造を」を取りまとめた(2005年7月)。
 日本の伝統文化と先端技術を融合した製品やコンテンツ作りを支援する「『新日本様式』協議会」が発足した(2006年1月)。
 
(5)人材の育成と国民意識の向上
 知的財産関連人材育成の総合戦略の推進
 「知的財産人材育成総合戦略」を知的創造サイクル専門調査会において決定した(2006年1月)。
 
 知的財産専門人材の量的・質的拡大
 弁理士試験の合格者数(2005年は711人)の増加により、弁理士の数が約6,200人に増加した(2005年10月現在)。
 知的財産関連業務に対応できる弁護士のネットワークとして弁護士知財ネットが発足した(2005年4月発足。2005年11月現在の会員弁護士数は1,200人以上。)。
 エンターテインメント業界に精通した法律家の育成などを目的としたエンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワークが発足した(2004年5月発足。2005年9月現在の会員弁護士数は333人。)。
 
 知的財産専門人材の育成機関の整備
 全ての法科大学院(2004年4月に68校、2005年4月に6校設置)において知的財産法の科目が開設された。
 知的財産専門職大学院が東京理科大学、大阪工業大学に設置された(2005年4月)。
 知的財産法が新司法試験における新たな選択科目とされた(2006年開始予定)。
 大学・大学院において、学部レベルでは232校、研究科レベルでは90校が、知的財産関連科目を開設している(2003年度)。
 
2.知的財産基本法施行後3年間に制定・改正された関係法律一覧
法律名公布日
2003関税定率法等の一部を改正する法律2003年3月31日
不正競争防止法の一部を改正する法律2003年5月23日
特許法等の一部を改正する法律2003年5月23日
著作権法の一部を改正する法律2003年6月18日
種苗法の一部を改正する法律2003年6月18日
民事訴訟法等の一部を改正する法律2003年7月16日
2004関税定率法等の一部を改正する法律2004年3月31日
破産法2004年6月2日
特許審査の迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律2004年6月4日
コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律2004年6月4日
著作権法の一部を改正する法律2004年6月9日
知的財産高等裁判所設置法2004年6月18日
裁判所法等の一部を改正する法律2004年6月18日
信託業法2004年12月3日
2005関税定率法等の一部を改正する法律2005年3月31日
中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律2005年4月13日
商標法の一部を改正する法律2005年6月15日
種苗法の一部を改正する法律2005年6月17日
食育基本法2005年6月17日
不正競争防止法等の一部を改正する法律2005年6月29日
 
3.施行の体制
 内閣総理大臣を本部長とし、全閣僚及び民間有識者が参画した官民一体の知的財産戦略本部の体制は、知的財産戦略を進める上で有効に機能してきたものと考えられる。  これまでの主な活動実績は以下のとおりである。
 
 13回の本部会合を開催し、3回にわたり知的財産推進計画をとりまとめた。推進計画2005では、約450項目の行動計画をとりまとめた。
 
 4つの専門調査会、3つのワーキンググループを設け、延べ44回の会合を開催し、10本の報告書をとりまとめ、公表した。
 
 13回に及ぶパブリックコメントなどにより国民の意見を聴取するとともに、様々な媒体を通じ、知的財産戦略に基づく活動について国民への周知を図った。


III.今後の施行の方針

(1)基本的な考え方
  「U.施行の状況」において検討したように、これまでの3年間(第1期)の取組で様々な制度改革が進展してきた。しかし、今後はこれまでの制度改革を実効に結びつけることが必要であり、また、新たな課題も生じてきている。我が国が国際競争力を維持・確保していくため、発明や創作によって生み出される知的財産を核とした国づくりを目指し、引き続き官民一体の取組を継続していく必要がある。
 そこで、次の3年間を第2期と位置付け、第1期において実施された多くの改革の成果を踏まえ、知識社会の本格化に向け、知的財産立国の実効を上げる期間とする。
 第2期が終了する2008年度末時点において、それまでの知的財産基本法の施行状況について改めて検討を行い、それ以降の知的財産戦略の在り方について検討することとする。
 
第1期期間:2003年3月〜2006年2月
期間の特徴:
特許審査や知的財産紛争処理などに係る基本的な制度を整備
多くの法令・指針等の制定・改正を実施
産学官の協力体制を整備
第2期期間:2006年3月〜2009年3月
期間の特徴:
これまでの改革の成果を踏まえ、知識社会の本格化に向け、知的財産立国の実効を上げる
知的財産を活用した国際競争力強化を実現
新たな課題に対応した制度整備
実施された制度整備の有効性を検証し、必要な改正を実施
 
(2)重点項目
 第2期においては、特に以下の項目について、重点的に知的財産政策を推進していくこととする。
i) 国際的な展開
 世界特許システムの実現、諸外国に対する知的財産重視への働きかけ、模倣品・海賊版拡散防止条約(仮称)の実現、国際標準化活動の推進、国際公共政策に係る議論への参画など、グローバルな視点に立った知的財産戦略を展開する。
<主な課題>
 先進国間の特許法調和へ向けた議論を主導し、米国の先願主義移行を働きかけるなど、各国の特許制度と運用の調和に努め、世界特許システムの早期実現を目指す。
 
 模倣品・海賊版が、経済問題のみならず、消費者の健康や安全を脅かす問題になっていることを踏まえ、関係各国、国際機関と協力し、模倣品・海賊版拡散防止条約(仮称)の早期実現を目指す。
 
 各在外公館において任命されている知的財産担当官の実務能力の向上を含め、知的財産権侵害に対し、在外公館が迅速かつ実効的な対応を採れるよう体制を強化する。
 
 我が国発の技術が国際標準として採用されるよう、産学官が協力し、研究開発戦略、知的財産戦略、標準化戦略を一体的に推進する。
 
 国際的な議論の場において、途上国から知的財産制度自体への異論が提起されていることも踏まえ、国際公共政策に係る議論への参画など、相互理解と国際的なコンセンサスづくりに積極的に貢献する。
 
ii) 地域への展開及び中小・ベンチャー企業の支援
 地域ブランドの振興、地方公共団体の知的財産能力の強化などにより、知的財産活動の地域への展開を図るとともに、中小・ベンチャー企業による知的財産の活用を支援する。
<主な課題>
 地域に対する支援に当たっては、それぞれの地域の特性を活かした自主的な地域知的財産戦略の策定と実施を促進する。
 
 地域の振興を促進するため、中小・ベンチャー企業等の産業界、地方公共団体、大学及び公設研究試験機関等が、それぞれの役割を適切に果たしつつ、相互の連携を強化するための具体的方策を推進する。
 
 地域における知的財産の創造活動や事業化を促進するため、知的財産に精通した地域の専門家を養成、確保する。
 
iii) 大学等における知的財産の創造と産学連携の推進
 大学等において、優れた研究開発成果が数多く生み出されるよう環境を整備するとともに、得られた研究成果を戦略的に保護し、産業界で活用するための取組の一層の進展を図る。
<主な課題>
 大学等において、量から質への特許戦略の転換を進め、基本特許取得のための取組を強化するとともに、権利取得だけでなく、社会に活用することに重点を置いた取組を進める。
 
 大学等における自由な研究活動を確保するため、大学等の研究において他者の特許を円滑に使用するためのルールを整備するとともに、ライフサイエンス等の先端技術分野が抱える知的財産の諸問題について、幅広い観点から検討を行い、必要な措置を講ずる。
 
 共同研究や委託研究を円滑に推進するため、不実施補償などの問題について、産学間での相互理解をさらに深め、柔軟かつ迅速な契約実務につなげる。
 
 利益相反に関するルールなど、大学等における知的財産に関するルール整備とマネジメントの充実に取り組む。
 
 各大学における産学連携の方針や知的財産に基づくライセンス収入や共同研究・受託研究の獲得状況など、大学毎の個別の事情に応じ、大学知的財産本部とTLOの連携のあり方の評価・分析を行い、総合的な体制整備を推進する。
 
 科学技術とデザインやコンテンツ等、自然科学と社会、文化の融合分野における知的財産の創造や活用を促進する。
 
iv) 出願構造改革・特許審査の迅速化
 国内出願偏重の出願構造を改め、国際的な特許取得戦略を推進するとともに、先行技術調査のための検索ツールの提供により質の高い特許出願を促す。また、特許審査の迅速化により、権利の早期確定による産業の安定した発展に貢献する。
<主な課題>
 ビジネスの国際化にかんがみ、海外への出願割合を増加させるなど、世界的視野に立った知的財産戦略を推進する。
 
 優れた知的財産の創出や権利取得のために主要国の特許情報や科学情報が十分に活用されるよう先行技術調査を行うための効率的で安価な検索ツールやデータベースの提供を行うとともに、審査官の検索ノウハウの公開を促進する。
 
 審査周辺業務の合理化、先行技術調査の外注の拡充などの総合的取組により、業務の効率化に努めつつ、特許審査の迅速化を推進する。
 
v) コンテンツの振興
 ・ 開放
 ・ 競争
 ・ 業界の近代化・合理化により、コンテンツ振興を図る。
<主な課題>
 放送と通信の融合等メディアの多様化やデジタル技術の進展などを踏まえ、新しい時代に対応した制度整備を進め、コンテンツ・ポータルサイト等の基盤整備やビジネスモデル作りを促すことにより、コンテンツの流通を促進する。
 
 魅力的なコンテンツを創造する源泉であるクリエーターが、契約のひな形の導入などにより適正なリターンを得ることができるようにするとともに、潜在的な才能が顕在化する仕組みづくりを進める。
 
 国際的視点に基づき、プロデューサー機能の強化や競争力のあるコンテンツづくりと販売力の強化を進めるとともに、日本の技術開発力に裏打ちされた標準化戦略を進める。
 
 コンテンツ分野における産学連携を進め、デジタル技術など優れた研究開発成果を、斬新なコンテンツづくりや高品質の画像伝送に役立てる。
 
 映像産業振興機構やエンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワークなど、民間における取組を支援するとともに、これらを活用したインターンシップの実施等、官民が連携してコンテンツ関連人材の育成を図る。
 
vi) 日本ブランドの振興
 魅力ある食、地域ブランド、ファッションを創造するとともに、観光や文化外交などと連携し、戦略的な対外発信を行うことにより、日本ブランドの価値を高める。
<主な課題>
 日本の食文化の体系的な研究を進めるとともに、国民運動として食育を推進する。海外において日本食の正しい知識や技術を広め、日本食人口の倍増を目指す。
 
 JAS法の品質表示制度等を踏まえるとともに、地域団体商標制度の活用や、個別の基準の明確化を図ることにより、安全・安心と信頼に基づく地域ブランドづくりを促進する。
 
 日本のファッションの競争力向上と海外発信の強化のため、東京コレクションなどのイベントをビジネスとして大きく展開し、次世代のデザイナーを支援する。
 
 観光、文化外交等関連する諸施策との連携を図り、日本ブランドの戦略的発信を強化する。
 
vii) 知的財産人材の確保・育成
 知的財産人材育成総合戦略に基づき、国際的融合人材の育成など、長期的かつ計画的に、知的財産人材の質・量両面における充実を図る。
<主な課題>
 企業におけるCIPO(Chief Intellectual Property Officer:最高知財責任者)等の設置と、知的財産戦略、事業戦略、研究開発戦略の三位一体による経営戦略の推進を奨励するとともに、幅広い能力を持った企業人材の育成を図る。
 
 弁理士の実務能力を高めるための方策を検討するとともに、知的財産取得のサポートだけでなく、知的財産を活かした経営や事業化の助言など幅広い活動を行えるよう能力の拡大を図る。
 
 知的財産活動のグローバル化にかんがみ、国際的に戦える知的財産人材の育成を進めるとともに、多様な言語に関する翻訳者や海外文献のサーチャーなどの育成を図る。
 
 優れた知的財産を創出し、産学官連携や技術移転を円滑に進めるため、産学が協働した人材の育成や交流に取り組むとともに、市場性の目利きができ、研究者に対しアドバイスやコーディネートができる人材の育成と確保に取り組む。
 
 国民全体の知的創造能力と、他人の知的財産を尊重するマインドを育むため、知的財産に関する教育及び普及・啓発を進める。



(参考1)


知的財産基本法の施行状況の検討経緯


2002年12月4日知的財産基本法公布
2003年3月1日知的財産基本法施行、知的財産戦略本部設置
2005年12月9日第12回知的財産戦略本部会合において「知的財産基本法の施行状況の検討の基本方針」を決定
2005年12月16日〜2006年1月6日
知的財産基本法の施行状況に対する意見募集(提出された意見は127件)
2006年1月30日第4回知的創造サイクル専門調査会において検討
2006年2月17日第5回知的創造サイクル専門調査会において検討
2006年2月20日第7回コンテンツ専門調査会において検討
2006年2月24日第13回知的財産戦略本部会合において、「知的財産基本法の施行の状況及び今後の方針について」を決定



(参考2)


知的財産基本法に基づく
施行状況の検討の基本方針について


2005年12月9日
知的財産戦略本部

 知的財産基本法(平成14年法律第122号)附則第2条において、「政府は、この法律の施行後三年以内に(注:2006年2月28日までに)、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされており、同検討については、下記の基本方針により実施することとする。



1.検討の進め方
 知的財産基本法施行後3年間の活動について、専門調査会において調査・審議を行う。
 知的財産戦略本部は、2006年2月開催予定の第13回会合において、専門調査会より調査・審議の結果の報告を受け、今後の方針を決定する。
 
2.分担
 1.の検討に当たり、知的財産戦略本部に設置されている2つの専門調査会の分担は以下のとおり。
(1) 全体総括及び知的創造サイクル分野
     知的創造サイクル専門調査会
(2) コンテンツ分野
     コンテンツ専門調査会
 
3.検討の視点
(1) 知的財産基本法の趣旨及び規定どおり、実施されてきたか。特に、知的財産推進計画に基づく施策は、計画どおり実施されてきたか。
(2) 実施した施策は、知的財産立国に資するものとなっているか。
(3) 施策の実施状況を踏まえ、今後どのような課題があるか、また、今後どのような措置を講じるべきか。