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コンテンツ・日本ブランド専門調査会(第11回)議事録

  1. 日時:平成21年3月10日(火)10:00〜12:00
  2. 場所:知的財産戦略推進事務局内会議室
  3. 出席者
    【委員】 久保利会長、太田委員、生越委員、里中委員、重延委員、関本委員、高橋委員、中山委員、服部委員、浜野委員、廣瀬委員、三尾委員、宮田委員、村上委員、和田委員、佐藤本部員
    【事務局】 素川事務局長、関次長、小川参事官、大路参事官
  4. 議事:
    • 日本ブランド戦略の振興について
    • 第3期知的財産戦略の基本方針の在り方について


○久保利会長 お待たせいたしました。
 第11回コンテンツ・日本ブランド専門調査会を開催いたします。
 本日はご多忙のところご参集いただきまして、誠にありがとうございました。審議に入る前に事務局長から発言があるとのことですから、事務局長、お願いいたします。
○素川事務局長 ありがとうございます。
前回の専門調査会におきまして、委員の皆様方からコンテンツや日本ブランドの振興のための予算獲得などに向けたご指摘がございましたので、私どもの取り組み状況などにつきまして冒頭3点ほどご説明させていただきたいと思っております。
 まず第1点目は、先般の麻生総理の施政方針演説におきまして、新たな成長戦略を策定するということが表明されました。その柱の1つとして魅力ある地域、アニメのコンテンツ、ファッションなどのブランド力、おいしく安全な食べ物といった日本らしいソフトパワーを生かす底力発揮ということが位置付けられているわけでございます。
 この後、経済成長戦略自体は現在、経済財政諮問会議において検討が行われているところでございますが、私どもは委員の皆様方にご検討いただいておりますこの日本ブランド戦略の内容を経済成長戦略に反映させるよう、内閣府、経済産業省、総務省、文部科学省等に対しましてこれまでの積極的に働きかけを行ってきているところでございまして、双方連携してとりまとめる努力をいたしているところでございます。
 また22年度の予算要求に向けました骨太の方針、こういうものに盛り込んでいくということも重要な点であると考えておりまして、今後いろいろな対策の機会をとらえまして日本ブランド戦略に盛り込まれた施策に対しまして重点投資がなされるよう、関係方面に引き続き働きかけてまいりたいと考えております。
 また、このような経済成長戦略などとの関連を明確にするために、この専門調査会でご議論いただいてきましたクリエイティブ産業という表現につきまして、対象とする産業の範囲は同じですが、ソフトパワーを生み出す産業としてのソフトパワー産業と表現させていただきたいというふうに考えているところでございます。
 第2点目は、日本ブランド戦略の策定に当たりましては、これまでの委員の皆様方のご提言を踏まえまして、この戦略をより実効性のあるものとするために関係省庁連絡会議を適宜開催しながら、本日とりまとめていただく戦略に沿った、より具体的で、また担当省庁を明らかにしたアクションプランというものを策定したいと考えているところでございます。
 3点目じゃ、今後、日本ブランド戦略などに盛り込まれました各施策につきましては、知財推進計画の2009に盛り込んで参りたいと考えておりますけれども、第3期の基本方針におきましては、政策目標や定量的な評価指標を設定し、PDCAの政策評価マネジメントを実行していくということにいたしております。この一環といたしまして日本ブランド戦略に対します毎年の各省庁の取り組み状況についても適切に評価し、実効性を担保してまいりたいと考えておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○久保利会長 ありがとうございました。それでは、審議に入りたいと思います。
 本日の議事内容についてですけれども、初めに日本ブランド(案)について議論を行い、次に第3期知的財産戦略の基本方針の在り方について議論してまいりたいと思います。
 いずれにつきましても本日がとりまとめに向けた最後の議論となりますので、よろしくお願い申し上げます。まず事務局から配布資料の確認をお願いいたします。 。
○関事務局次長 本日の配布資料2点でございます。 資料1がブランド戦略の案でございます。資料2が第3期の基本方針の在り方についての案でございます。資料2の別添付といたしまして横長のもので別冊1、これまで講じてきた施策の概要及び現状案をお配りしてございます。 それからもう1つ、資料番号を打ってございませんけれども、「世界料理サミット2009 TOKYO TASTE」大会報告書、これは服部先生からご提出いただいたものでございます。これは机上配布のみでございますけれども、また後ほど服部先生の方からご紹介いただければと思っております。以上でございます。
○久保利会長 ありがとうございます。
  まず日本ブランドの戦略案について審議に入りたいと思います。事務局より資料について説明をお願いします。
○関事務局次長 資料1「日本ブランド戦略(案)」をご覧いただきたいと思います。前回の第10回の会合でご審議いただきまして、ご意見等をいただきましたことを踏まえまして、また他方、関係省庁と調整をいたしまして修正を加えたものでございます。以下、主な修正点についてご紹介させていただきたいと思います。
  まず1ページ目でございます。「はじめに」の冒頭部分、第1段落でございますが、この6行の段落を付け加えてございます。現在の評価でございますとか、アカデミー賞の受賞等々に触れてございます。
 3ページでございます。一番上のところでございますが、「しかし」という段落で3行ばかり追加してございます。これは今までの取り組みを総括した上で、そういったものを継続的にやっていく必要があるのだということを書いてございます。
 5ページ以下、主な施策のところで幾つかご紹介させていただきたいと思います。まず5ページ、戦略1のソフトパワー産業の振興でございます。主な施策の2つ目の丸、地域ソフト資源の映像化、ここにつきましては記述内容を充実してございます。
  そのページの一番下、デジタル・ネット環境の進展に伴うコンテンツ取引支援システムの構築でございますが、昨今の動きを踏まえて記述内容を充実したところでございます。
 6ページでございますが、一番最後の丸、ソフトパワー産業に係る基礎データの充実、これは前回ご指摘がございましたので新たに追加した事項でございます。
 7ページをご覧いただきたいと思います。戦略2「創造基盤の整備」でございますが、まず1つ目の丸、文化資源のアーカイブ化の推進につきましては、前回ご指摘がございました放送番組を含めまして少し追加をいたしまして、それを強力に推進するという記述にしてございます。
 その次の丸、若手クリエーターの育成でございますけれども、そこは卓越した才能の発掘ということを少し具体化して書かせていただくとともに、短編映画制作の制作支援等々、支援ツールを明確化してございます。
 それから、8ページをご覧いただきたいと思います。上から2つ目の丸でございますが、日本が誇る分野における表彰制度の充実ということで、これも前回のご指摘を踏まえて追加した事項でございます。
 続きまして9ページ、戦略3でございますが、戦略3−1、ソフトパワー産業の海外展開の強化、9ページの1つ目の丸、コンテンツの海外展開の促進ということでございますが、ここは具体の施策としてコンテンツ海外展開ファンドというものを追記させていただくとともに、露出機会の確保等々という部分につきましても記述を充実したところでございます。
 10ページでございます。丸としては一番上の丸、海外市場における模倣品・海賊版対策の強化でございますけれども、ここにACTA(模倣品・海賊版拡散防止条約)についての記述を追記させていただいております。
11ページをご覧いただきたいと思います。3−2でございます。1つ目の丸、在外公館における支援機能の強化、これも前回ご指摘がございましたので、それを踏まえて記述の明確化を図ったところでございます。
 それから、続きまして12ページをご覧いただきたいと思います。戦略4でございますが、その2つ目の丸、質の高い商品・サービスを求める外国人層への戦略的発信の強化というところで、前回のご指摘を踏まえて記述を整理いたしました。
 主な修正点といたしましては以上でございます。 >○久保利会長 ありがとうございました。
今、ご説明のとおり、前回いろいろご発言のあったところを入れ込んで修正をし、今各省庁との協議を進めているということであります。
 それでは、今の説明を踏まえましてご意見等がございましたら、よろしくお願いしたいと思います。ご発言のある方はいつもの通りネームプレートをお立ていただければと思います。なお発言はなるべく大勢の委員からちょうだいしたと思いますので、お一人3分程度でお願いしたいと思います。どうぞお願いします。
 里中委員、お願いします。
○里中委員 11ページの日本ブランド支援センターを在外公館に置くということですが、大変すばらしいことだと思いますが、今後のことですが、お願いといいますか、こういう支援センターがあっても公的機関だと販売には結びつかないのではないかと思います。今、日本国内でも各県がアンテナショップのようなものをつくって東京に置いております。それは県の魅力を理解するにも大変役に立ちますし、また実際にそこで販売しておりますので買うことができるわけです。ですから、在外公館では日本ブランド支援センターということで紹介はできるのでしょうが、今後、それに近いところに日本のアンテナショップのようなものを各国に置くということを頭の中に入れて行動できれば素敵だなと思っております。よろしくお願いします。
○久保利会長 ありがとうございます。在外公館では売れないんですかね、やはり。では、在外公館とは別にという理解でいいですね。その近くにアンテナショップ、見たらばそこへ行って買えるみたいな感じですか。
○里中委員 そうです。在外公館で売るのはちょっと問題があると思いますので、その辺は民間とうまく手を組んで、またあちらの国とのいろいろな交渉も必要だと思いますが、アンテナショップというような考え方でできたらすてきだなと思います。
○久保利会長 ありがとうございます。  
 服部委員の添付資料の説明はいつどこでおやりになりますか。もしよろしければ、今皆さんお考えいただいている間にご説明いただければと思います。
○服部委員 今日用意させていただきましたのでご覧いただきたいと思います。2月でございまして、ちょうど1か月前でございますが、2月9、10、11日と東京国際フォーラムにおきまして世界料理サミットを開催させていただきました。5ページを見ていただくとお分かりになると思いますが、まずオープニングセレモニー等は元総理大臣の小泉総理にもお越しいただいきました。高円宮妃殿下にもご臨席賜りました。おかげさまで非常に華やかに開催することができました。私が思っていたよりも3倍多く来場いただきました。初め3,000人も来ればいいだろうと思ったら1万超えました。プログラムは3日間ございまして、それは別紙の2ページ、3ページをごらんいただくとお分かりになるんですが、講演シェフは8か国から21名ということで、30年ぐらい前からお付き合いのあるシェフたちも多く、結構スムーズに参加してくれることにはなりました。
 料理サミットを募集したとき、何をやるんだ。ただの料理講習会だろう、こう言われたんですが、実は10年ほど前からヨーロッパでは料理学会というものが盛んに行われるようになりました。料理学会というのは本人が調理を見せるわけですが、ただ見せるだけではなくて、それを分析して、自分の信念をこの中に込めまして、今回の場合ハモの包丁の入れ方の研究としてCTスキャンを使って、新しい滑の切り方を説明したシェフもおりました。非常に新しいとらえ方で。
 料理は今まで秘密主義で手の内を見せるということをお互いにやりませんでした。今回も初めは首を傾けて来ていたシェフたちがいたんですが、みんなはまり込みまして、これから自分たちも少しは勉強しなければいけないという気持ちになられたようです。そういう意味では料理界への啓発には役に立ったかなと思っています。
 一般の人はファッションショーというのはご存じでしょう。しかし料理でファッションショーというのは今までご存じなかったものですから、分かりやすく説明するのにパリコレクションだとか、ニューヨークコレクションとか、ミラノコレクション、東京コレクションというとファッションなんですが、それの料理の東京版だよ。東京テーストという、コレクションではなくてテーストという名称に変えましてやらせていただきましたところ、非常に理解されて、今度は海外の方がこの「テースト」を使わせてくれるかというので、これから町の名前とテーストをくっつけたようなものがこれから流行っていくような方向になりそうです。ロンドンテーストというのが早速出てまいりましたし、これからパリテーストというのも出るようでございますので、そんな先駆けを我々が口火を切ったというところにも影響が出てきておりますので、こんなことで3日間やらせていただきました。
 本当にご協力ありがとうございました。特にテレビに関しましてはフジテレビさんにご協力いただきまして、1時間ものを放映していただいた。ちょうど7日の夜中というか、8日の朝、朝早かったんですが、ちょうどシェフたちがご覧になるには朝の2時ごろというのは見やすいものですから、働いた後のそれをご覧になった方はずいぶんいらっしゃるようでございます。そういう意味では広く料理界に影響を与えたという意味においては、今回、自画自賛でございますが成功したのではないか、このように思っております。どうもありがとうございました。 >○久保利会長 大成功でおめでとうございました。
 続いて、皆さん方のご意見をお聞きしたいと思いますが、どなたか発言のご希望はございませんでしょうか。
○生越委員 今、服部先生のお話を聞いて、改めて料理というのはすばらしい芸術であり、学問であるということが認識され始めたんだということを感じました。今回、冒頭でご説明がありましたようにクリエイティブ産業をやめてソフトパワー産業に変えるということについて私は大賛成でございます。
 知財政策を研究している者にとりまして、最初、料理とかファッションが知的財産の問題として浮上してきたときに、異論のある方がおられたと記憶していますが、振り返ってみてこれらが地域ブランドや日本ブランドとして日本国民にこれだけ浸透していることを考えるとファッション、料理、食材、こういったものの価値を積極的に守ることは重要だと思います。こういった意味で知的財産によりブランドを保護する産業をソフトパワー産業という言葉で総括するというのは日本にとって非常に良い流れではないかと思います。   
 こういったところで知的財産推進計画の第1期で料理、ファッションというものが日本のブランドとして議論が始まり、現在の第2期で認識が定着し、3期でソフトパワー産業として羽ばたくとことに期待したいと思います。   
 このときに1つ要望がございます。ソフトパワー産業といいましても、骨太の方針とはリンクしているのだと思うのですが、一般国民にとってはまだまだなじみがない言葉というところがあると思います。今回5つの戦略が出ていると思いますが、国民に対する更なるソフトパワー産業の重要性や価値、これを継続して浸透させる施策、これも入れていただければと思います。ただ、セミナーとかいろいろなことで間接的には進行することにはなると思いますが、政府を挙げてソフトパワー産業が日本のこれからの牽引産業の1つになるということを明確化していただきたいというふうに思います。以上でございます。
○久保利会長 このソフトパワーに関連してどなたか次なるご発言はございませんでしょうか。
 それ以外の問題でも結構ですが。
○服部委員 先ほどご報告させていただいている中で一言付け加えなければいけないことをさせていただきたいんですが、今回、各省庁が非常に協力的にいろいろなブースなんかにもご参加いただきまして、農水省さんがご参加いただいたり、またブースは内閣府がとっていただいて、各省庁のまとめ役を買って出ていただいたんです。
 私思いましたのは、うちが動くのが遅かったんですが、各省庁が世界に対してブランドとして打ち出すもののコーナーというのをうちでも幾つも用意できたんです。そういう意味においてはこういう機会がありましたときに、各省庁ご協力で参加いただければもっともっといい組み合わせができたかなというのが、400ほどのマスコミがやってきてくれました。その中で60ほど海外のマスコミを私どもはご招待したんです。日本のマスコミはいくら日本でやっても世界に発信していくことはないんですが、お陰で今回は、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、ドイツ、中国の国々で当日のうちにテレビにすぐにこれが発表されたことと、現在新聞が海外から戻ってまいったり、雑誌が戻ってきているんですが、向こうで日本でこういうことが行われたということに関して、そして日本の食ブランドというものが非常に面白いものがあるよというコメントをたくさん載せてくださったんです。ですから、まさにこういう機会に、これは民間が基本的にはやったわけですが、ぜひ民間にもっとご援助いただきながら国もご協力いただくと、我々はまたそのノウハウを出しやすいかなと思います。どうぞよろしくお願いします。 >○久保利会長 ありがとうございます。海外発信の1つのテクニックといいますか、貴重な経験ですね。日本のメディアも大事だけど、海外メディアを呼んで、そこから海外への発信を考えるという成功例の御紹介だったと思います。
 ほかにはいかがでございましょうか。
○高橋委員 今、服部委員のお話を伺って、各省庁が買って出て、いろいろやったという非常にうれしい報告と感じました。ただ、どの分野でも今後、継続的にそれが進むのかというとやや懸念がありまして、そのあたりを今回のこのブランド戦略(案)でもう少し担保していただけたらというふうに私は思っております。例えば具体的には4ページに「3.基本的な考え方」というのがあります。本文の最後のところに、「これら創造・発信の取組を官民一体となって継続的に推進するための体制を構築する」と書いてあります。この体制の構築というのはお役所のスタンダードの書き方だというのはよく承知しているんですが、今回はこれをもう一歩進めてパワーの感じられるもの、実効力を伴うものにしていただけないかというふうに思います。   
 例えば「構築する」で終わるのではなくて、「構築し実効性を上げていく」、このぐらいまで書いていただけるとありがたい。基本戦略の3のところにも「体制の構築」、戦略5として「推進体制の構築」の文言がありますけれど、それらもできれば「体制の構築と実効性の確保」、このあたりまで踏み込むことが継続性のためには重要ではないかと思っています。   
 もう1点は、最後のところの「体制の構築」に関しての細かい書きぶりのところです。13ページですが、前回も私申し上げましたし、いろいろな方々のご意見のあったところなのでもう少し膨らんでくるかなと思ったらば、そこの修文がなかったので感じていることを申し上げます。  
 これまでの委員の意見の中から出てきた窓口が明確でないとか、窓口がないということに対して、ここで書きぶりがないので、主な施策の1つとして各省の窓口の明確化というのは入れていただいた方がよいのではないかと思っています。関係部局の名前まで入れるとか、そこまでいきたいというのが1点です。  
 それから、施策の1つ目のクリエーター等を中心とする懇談会の設置、それから2番目の日本ブランド戦略推進委員会の設置、これも設置までは書いてありますが、この懇談会や委員会がもっと機動的なものになるような書きぶりの追加をお願いしたいと思います。クリエーターを中心とする懇談会の方では、有名人、つまり既に突き抜けていらっしゃる方々が新人を発掘というのもあるでしょうし、事業者団体の方々が出てくるということは想定できるのですが、やはりここには新規産業、新しいパワーが入ってこないといけないので、それを担保するように何か工夫をすべきではないかと思います。  
 それから、2番目の日本ブランド戦略推進委員会の方は、これはフォローアップをきちんとやっていくために、年に何回か、各省庁とこの調査会が母胎になっていくべきです。私は久保利座長に推進力としてぜひチェックをしていただきたいと思いますが、そこももう少し強く書いていただきたいと思います。
○久保利会長 ありがとうございました。誠にごもっともなお考えだと思いますし、前回の皆様方の意見もそういうことだったと思います。それから、先ほど事務局長がおっしゃったように三期以降についてもPDCAをちゃんと回していくんだということもありますので、まとめに当たっては今のような高橋委員のようなお考え、多分ほかの委員も同じようなお考えだと思いますので、工夫をしていただくようにお願いします。
 ほかにはいかがでしょうか。
○三尾委員 私からは質問が2点と、1つ意見を申し上げたいと思います。まず5ページですが、一番最後の丸、「デジタル・ネット環境の進展に伴うコンテンツ取引支援システムの構築」というところですが、ここの2行目の権利情報集中処理機構というのは「(音楽分野)」と書いてありますが、音楽分野に限定されると考えていいのでしょうか。それかもう少し幅広い処理機構の取り組みを支援するという趣旨でしょうか。その辺を1つ確認したいということ。
 次の6ページの次世代コンテンツ取引支援システムというところですが、次世代コンテンツというのは何を意味しているのかという点を確認させていただきたいと思います。
 9ページですが、戦略3の主な施策の最初の施策、コンテンツの海外展開の促進というところですが、そこにコンテンツ海外展開ファンドという記載がございますけれども、これは海外ライフスタイルを取得して、その海外市場展開を図るという目的が記載されていますが、このファンドはこの目的に限定されるという趣旨でしょうか。そこもよく分かりませんでしたものですから、ライセンス関係に限るのか、もう少し幅広いファンドとして機能するのかという点を確認させていただければというふうに思います。
 3点目は、私からの要望ですが、8ページの2つ目の丸で日本が誇る分野における表彰制度の充実、これはまず日本国内での評価ということで非常に有意義ではないかと考えます。日本で評価した上で、更に次のステップまで残さないと、単なる評価・表彰に終わってしまう可能性があると思います。ですので、この表彰を受けたクリエーターが次のステップとして、例えば海外の芸術祭、映画祭に参加するための支援をしてあげるとか、海外展開に向けた何らかの取り組みについて国として資金とか人材等の支援をするとか、次のステップに対する展開まで記載した方がいいのではないかと思います。以上です。
○久保利会長 質問は3つですか。5ページ、6ページ、9ページ。大きく分けると2つ。
○三尾委員 そうでね。
○久保利会長 今の点について次長から。
○関事務局次長 最初、5ページから6ページにかけての部分でございますけれども、「権利情報集中処理機構(音楽分野)」というのは、現に走っているのが音楽分野でまず走りだしたということでございますので、直接的にはその取り組みを支援するということでございまして、そこから先のことは「その実績も踏まえて」ということになろうかと思っております。
 それから、同じ流れで6ページの冒頭でございますが、次世代というのはコンテンツではなくてシステム、次世代のシステムという趣旨の記述でございますので、そのように読んでいただければと。
○三尾委員 システムにかかっているということですか。
○関事務局次長 そうでございます。
○久保利会長 コンテンツ取引支援、次世代システムという意味ですね。
○三尾委員 そうです。
○関事務局次長 9ページ目の1つ目の丸の「コンテンツの海外展開の促進」でございますが、このコンテンツ海外展開ファンドとして予定しておりますことにつきましては、ライセンスの取得ということだけではございませんで、国際共同制作のような国際展開を念頭においたものでございますとか、あるいは販路開拓的な海外展開を念頭に置いたもの、そういったものも対象にするというふうに聞いております。
○三尾委員 そのあたりの書きぶりを分かりやすくしていただければありがたいんですが。ここに海外展開に向けたクリエーターの支援というのもファンドの対象として入れていただければありがたいと思います。
○久保利会長 この辺はどうですか。
○関事務局次長 ここにつきましては現在、経済産業省の方でご検討いただいている事項でございますので、それを踏まえた記述にさせていただいているところでございます。
○久保利会長 ここでもこれこれの趣旨の下、官民の人材と資金の力を結集しとあるので、そういう目的のファンドなんだろうなと私は理解していたんです。ただ、今、三尾委員がおっしゃったように海外ライセンスを取得しというのが間に挟まってきているものだから、どこまでなのかよく分からないというので、修文についても考えましょうね。ありがとうございます。
 さらに、三尾委員のお話は8ページの表彰制度を充実させるのはいいが、表彰した後どうするんだという、その後のフォローアップというか、これはどんなふうにしてもらえるのか。そのことはここに書かないでいいのか、こういうご意見ですよね。書くべきだというご意見ですね。
○三尾委員 そうです。
○関事務局次長 ここを追加させていただいた趣旨は、とりあえず非常に分かりやすい形でその成果を一般の人にも知っていただいて、かつその方にとっても、あえて言えば誇りに感じてもらえるような施策ということで、ここに書かせていただいたつもりでございまして、立ちどころに表彰したから次にというところまでの具体のステップを想定しているものではございません。
○久保利会長 そうすると今までなかった表彰のことをまずここは書いた。その後、それをどうするかはその次の発展段階の話。したがってここでは事務局としては今のところは表彰制度をとにかく充実させていくということが新人に対する応援になるという、こういう理解で書いたという趣旨ですか。
○関事務局次長 はい。
○久保利会長 三尾委員の追加のご意見があればどうぞ。
○三尾委員 例えばアカデミー賞を例にとっても単に賞を取っただけでは賞金もほとんどないですし、あまり意味がないと思うんです。知名度がある賞ですので、次に展開していく可能性が高いということで意味があると思うんですが、日本の表彰制度では知名度的にもアカデミー賞と比べますとそんなに高くないですし、次のステップがないと単にそこで終わってしまう可能性があるのではないかというふうに思うんです。ですので、例えば次のステップまで行かなくても、大々的に文部科学省推奨みたいな名称を付けてあげるとか、すごい賞なんだというところをアピールして、次の仕事や次の作品につながっていくような道筋を作ってあげた方がいいのではないかと思った次第です。
○久保利会長 分かりました。これに関連するご意見は。
○宮田委員 全くそれと同じことでございますが、私の大学は映像を作って5年目ですが、今年のベストテンに学生が第2位に入っています。教員が4位に入っている。これは速攻、大学の中で、身内の話で恐縮ですが、学長賞をあげよう。それができれば今、三尾委員がおっしゃっていたように私などもこういうメンバー、委員に入れさせていただいているので、国もそういうことに関して、特に若者に関して卒業制作の作品がそういうものに選ばれるというのは大変ありがたいことだなという気がしているので、今後、少子化になっていくときに1つのものをやるとこんなふうになれるんだという目安ができる。私は奨学金あるいは授業料免除とかいろいろ考えているんですが、学内だけではなくて大きく世の中に顕彰できているということを知らしめる方法論が何かあってもいいのかなと思います。
○久保利会長 ありがとうございます。その意味では7ページの若手クリエーターの育成とこの表彰制度というのは、これは別の項目になっていますが、関連性は当然あるはずなので、したがって表彰制度のところは充実させるということで止めたとしても、若手クリエーターの育成の方で対応できるということでしょうか。読み方次第というか、その関連性の問題だと思いますが、事務局から補足があればお願いします。 ○大路参事官 補足的にご説明させていただきたいと思います。8ページに表彰制度がございまして、「アニメ・漫画等」と書いております。これは究極的な狙いとしてはアカデミー賞のような国際的に評価されている賞を日本でも育てていきたいということで、表彰制度自体をどうやってブランド化を図っていくかを想定しながら、さはさりながらどうやって進めていくか非常に難しい問題だとは思っているわけでございますが。そういったことを想定した記述である部分でございます。
 それと別の箇所になるんですが、7ページのところに若手クリエーターの育成という部分がございます。その記述の中の一番後ろに「若手映画作家を育成するとともに、メディア芸術祭の場を活用した若手クリエーターの新たな表彰・奨励の仕組みを創設する」というふうに書いてございます。この中でメディア芸術祭などで表彰された方々を表彰にとどまらず奨励をする。どういった形で奨励するかはこれから検討していただかなければならない、文化庁において検討していただかなければならないと思っていますが、そうしたことも想定しつつメディア芸術祭の充実・発展を図っていこうということを狙っているということでございますので、若干補足的にそういうふうに書き分けをしているということでご理解いただければと思います。
○久保利会長 浜野委員、お願いします。
○浜野委員 7ページの文化資源アーカイブで、下から2行目、「写真等に関する収集保存」とありますが、これは宮田先生の大学と関係があるので言います。つい最近、映画関係で事件がありました。日本最大と言われた数万冊の映画文献や資料を持っていた牧野守氏が年をとったため、東京芸術大学に売ろうとしたのですが、結局コロンビア大学東亜図書館が買い取ってしましました。日本映画の研究には牧野氏の個人蔵書に依存するしかなかったのに、これからは日本映画の研究をするためにはアメリカのコロンビア大学に依存せざるを得なくなりました。東京芸大の資力では買いきれなかったわけです。
○宮田委員 手を挙げて言われたお金を出したんです。だけど、それの倍の金で向こうは買った。頭にきたんです、ものすごく。
○浜野委員 作品そのものでなくても周辺資料も文化資源だと思います。文章から作品そのものに限定した収集保存と読めますが、周辺資料も入っていると読み取れるように書いていただくと、資料の散逸が防げるのではないかと思います。
 もう1つ資料は関することです。日本の政治家、日本の芸能人、アーチストが渡米するたびに各マスコミを代表して報道写真を撮っていたジャック岩田がつい最近亡くなられました。アカデミー賞授賞式で映画「羅生門」が受賞した瞬間の写真もジャック岩田さんによるものです。しかしジャック岩田さん死後、それらの写真が行方不明になりました。私なりに調べてはいますが、オリジナル・ネガの所在が分からない。  
 そういった資料は文化資源として貴重なものなので、その収集保存も読み取れるようにしていただきたいというのが1点。 それから、どうやって国際的な賞を育てるかということですが、国際的なイベントをやる場が東京にはありません。アカデミー賞の授賞式を行うコダックシアターは2200人収容できますし、大通りに面していてアプローチがあって赤絨毯を敷けます。東京にはカメラを入れても映えるような会場がありません。ロンドンのロイヤルナショナル・フィルム・シアターも式典にふさわしい風格を持っています。東京にはそういった華やかな会場がない。東京ガールズコレクションのマネージャーも1万人以上の規模でイベントを行える会場は、東京では2つの体育館だけでだと指摘しています。ファッションの会場が体育館だと、世界的に報道されることになります。国際的なイベントにふさわしいしつらえができる場が用意されなければ、国際的な賞は難しいと思います。それを誰がやるかというのは問題ですが、そのことが何かどこかで書かれていたらいいかなと思いました。以上です。
○久保利会長 分かりました。それもご意見としてちょうだいいたします。 次に和田委員、お願いいたします。
○和田委員 申し訳ございません。前回欠席いたしましたので、遅ればせながらの意見ということになります。創造基盤の整備の中で例えば資格試験制度といったものが底上げのためには有効ではないかと思っております。コンテンツ産業、クリエーターとか言われましても具体的に何をどうするかよくイメージがつきませんし、最終形の成功者は見えるんですが、真ん中にどういうスペックがあるか見当がつかないという状態で、若い方がこの産業に入ってくること自体に対して心理的な障害になっているという気もします。それにゲーム会社を経営しておりますと、ゲーム会社と商社と両方内定が出たら必ず商社に行きなさいと両親に言われてしまうという環境もあります。
 新しい仕事ができるときに非常にうまく裾野を広げるのに成功した例としての資格試験というのが幾つあると思います。例えば情報処理ですね。これはその当時、おそらく職種として存在しなかったんですが、情報処理試験をやることによって最低限の知識、その底上げもできましたし、幾つか社員に対してステップを踏ませるための手段にも使えましたし、転職つまり労働市場を流動的にするということについての指標にもなりました。それから職業として認知されたということもございます。  
 同じような機能を持ったものとして証券アナリスト試験というのがあったと思います。その前は株屋さんでチャートを読んでいたんですが、なんとなく知的な香りもするかもしれない。バンカーとしての基本的な素養として使われるようになりましたり、職業として認知されたことと、人材交流について相当の力になったと思います。  
 同じようにコンテンツ産業、クリエイティブな産業についてもこういった資格試験制度があることによって職業としての認知ですとか、市場の流動化ですとか、ステップバイステップを踏めるということですとか、そういうような幾つかのことがあると思います。  
 それから、この対象につきましてはクリエーターだけではなくて、産業として支える人たち、プロデューサーですとか、開発製造工程の管理、プロジェクトマネジメントの手法、幾つかジャンルがあります。これはコンテンツ産業に限らず応用のきく話ですから、いわゆるつぶしもきく能力でもございますので、こういったことをクリエーターだけではない人でも対象を広げながら整備していくというのが人材の基盤整備という観点では1つのアイデアではないかと思っております。
○久保利会長 それは国がそういう資格を作れというご要望ですか、それとも民間で作ってもいいんですか。
○和田委員 民間でやった方がいいんでしょうが、現実的には主体がないと思いますので。それからどちらかというとエンターテイメントというのはメインストリームでないような印象を出すところがありますから、国家試験なんていうことになりますと、一定の効果はあるかもしれません。
○久保利会長 要するにソフトパワーで国づくりの根幹に据えようというのなら、むしろ国が前に出ることによってオーソライズができるので、若い人が商社かゲーム会社かというときにゲーム会社を選ぶような文化度になってくるかもしれない、こういうことですね。
○和田委員 そうですね。それがいいかどうかなんですが。国家試験なんていうことを言いますと、基本的にはどうしても精神の中にカウンターカルチャーという意識もクリエーターの方々にはありますので、抵抗感があるかもしれませんが、あくまでも底上げ、地ならしという観点での国家資格と、それからその上でどう突き抜けるかというところをかなり立て分けてアピールしていけば社会にも、クリエーター予備群も受入れられるのではないかと思います。
○久保利会長 今の基本的な動向としてはむしろソフトパワーがメインストリームになっていくという構想で今、我々は作っているわけです。サブカルチャーだという認識とか、カウンターカルチャーだという認識をどうやって変えていくかという、そのための仕掛けの話を今、和田委員がおっしゃっていると思いますので、その辺の仕掛けをどういうふうに考えて、どこに読み込めるかということも含めて事務局と相談して考えたいと思います。貴重なご意見をありがとうございます。
 太田委員、お願いします。
○太田委員 今、浜野先生がおっしゃった7ページの文化資源のアーカイブ化の問題です。いろいろな分野の収集保存、研究及びデジタル・ネットワーク化とありますが、ここにもうちょっと加えてほしい点があります。集めたものを研究して公開するという場面でデジタル化してネットワークを作るということはこれも大事なことでしょうが、一般の人たちに触れされるということはとても大事で、公開というのをぜひ加えていただきたい。それから今、浜野先生がおっしゃった公開する場の殿堂みたいなものがぜひほしい。それは今すぐは無理なんでしょうが。
 たしか東京都が新宿に都庁が移転をするとき、有楽町跡地は都民が集う場だというキャッチフレーズだったと思います。今、週末はみんなバーゲン会場になっているんです。貸しホールが最終セール会場になっていて、バーゲンハンターは集っていますが、文化的な香りで集っていません。  
パリへ行けば、ポンピドーセンターに行けば何かやっているという、ここにすごく文化の香りが感じます。いろいろなイベントを通して世界にフランスのものだけでなくて、世界のものを集めて、そこで発信している。非常にユニークな存在です。あんな大きなものは要りませんが、あそこへ行ったら日本のコンテンツにいつもいろいろなものにふれられるという場が小さくていいからほしい。
 最近、鳩山大臣がおっしゃっている日本郵政の本局のビルもありますが、電話関係も郵便関係も都心のど真ん中にあって、あちこち一等地を持っていらっしゃるので、渋谷の郵便局とか、新宿の郵便局とか建て替えるときに切手も郵便のデザインも含めて取り込むと、音楽も映画も漫画もプロダクトデザインもある種の殿堂みたいなものができそうな気がします。アーカイブ化をしたら公開して、一般市民に触れさせるということが次に育成とかいろいろなところに活用できるのではないかというふうに思います。
○久保利会長 郵政が出てきましたか。(笑)それも含めて考えますが、要するに殿堂がほしいということですね。
○太田委員 公開をするということはデジタルだけではない。
○久保利会長 分かりました。そういうご意見としてちょうだいします。
○廣瀬委員 この第3期の報告書は、まず何が問題で、どういうことをしなければいけないかということが非常に分かりやすくまとまったところが最大の成果ではないかと思っています。そういう理解でまいりますと、先ほども高橋委員からお話がありましたが、推進体制のところでいまひとつ踏み込みが足りないのではないかと思っております。なぜかと申しますと、この資料の2ページ目の上のトップの辺を読んでおりますと、それぞれいいことをしているということははっきり認知されておりまして、問題は統括されていないというところに問題があります。ということであれば、ここまでやるべきことが決まっているわけですから、やはり体制の中でこれを実行していく常設組織の設置ということを明確にうたったらいかがかとこのように思っております。
 なぜかと申しますと、これだけのことを実行していくにはフルタイムでこれに係わっている部署が必要ですし、省庁を見せていただきますと幾つかの省には既にコンテンツ関係を担当しておられる部門がございます。ポイントは横断的というのはそれらをつなげることだと思いますが、それをつなげて統括する常設組織が実行に移す段階で必要なのではないかと思います。最後のところにそれがもし付言できればいいのではないかと思っています。
○久保利会長 何かご意見ありますか。
○関事務局次長 若干組織的なことについてご意見をいただいておりますけれども、私どもとしてはこの知財本部がこのコンテンツ・ブランドについても各省庁と連携をして、進展を図っていく、推進を図っていく組織であろうというふうに思っているところでございますし、またそれは事務局だけではなくて、こういった形で皆様方のご意見を伺いながら進めていければというふうに思っているところでございます。   
 また、コンテンツ・ブランドについて今後どうフォローするかという話も先ほど来ご意見をいただいているところでございますが、これについては繰り返しになりますけれども、知財本部、知財事務局の流れでいえば今後アクションプランを作って、各省庁と連携をして進めていくということになるわけでございます。  
 ただ、このコンテンツ・ブランドの話につきましては官だけの取り組みでは当然限界があるわけでございますので、今後の体制の構築に書いてございます日本ブランド戦略推進委員会につきましても、官民合同メンバーで官民で協力してやっていきましょうということでございますので、そこについては今後当然、官からの働きかけというのも必要だと思いますが、民の側でどういう協力をしていただけるのかということによって、いろいろと変わってくるのだろうというふうに思っているところでございます。  
 そういった意味で、今、全体的にいろいろご要望を伺っておりますけれども、私どもとして官として受け止めなければいけないところは受け止めさせていただきますけれども、民として盛り上げていただくようなところ、ご協力いただけるところにつきましては、ぜひそれぞれのお立場でお願いをしたいというふうに思っております。
○久保利会長 佐藤本部員、どうぞ。
○佐藤本部員 今の議論との関連でございますが、今回の日本ブランドの戦略の中で新しい試みとしてコンテンツ海外展開ファンド、それから日本のブランド支援センターとか、いろいろな形の新しい試みをしようということを取り上げられたというのは非常に画期的だと評価しておりますが、これが本当に総合的に機能的に動くかということがやはり重要だろうと思います。その意味では先ほど来から議論されていますこういうものを総合プロデュース的に回していく人はだれなんだというところをこの展開では重要なポイントだと思います。
 競争力の専門調査会の方の議論でも、産学連携とかいろいろな形が出てくるわけですが、例えば産学連携でも文部科学省と経産省と、みんなそれぞれ縦割りになってしまって、そこのつなぎがうまくいかないというようなことがあるわけです。ここの今議論されていることも多分各省庁ごとに担当が分かれてしまって、それが総合的にプロデュースされないと、それぞれのいいところが相乗的に生かされないということになってしまうのではないかというふうに懸念いたします。  
 そういう意味では今回、官民合同メンバーの日本ブランド戦略推進委員会というものを作るのであれば、ここが単に継続的な発信とか提言というところにとどまらず、もっと踏み込んで常時これらの戦略がうまくいっているのかどうか。うまくいくためにはどうするんだということを官民一体で考えるようなファンクションをこの委員会が持ったらいいのではないか。というのは、それ以外にファンクションを持てるようなところがないのではないかというふうに思って次第です。  
 当然、それは全体的には戦略事務局が全部を回していくという役割であろうと思いますが、官民の力を総合的に生かしプロデュースしていくという意味ではこの委員会をもっと力のあるものに、また活動できるような形にされたらいかがかなというふうに思います。
○久保利会長 ということは、要するに発信だけではないよと。PDCAのモニタリングから検証から、そういうものを含めて全部やれるようなそういう権限機能を盛り込んだらどうか、こういうご意見ですよね。ありがとうございます。大分議論が活発になってきたところで、高橋委員お願いします。
○高橋委員 私は今の佐藤本部員のご意見に全面的に賛成でございます。実効性をいかに上げるかという観点から引き続き意見を申し上げたいと思います。
 今回のこの戦略の主な施策の書きぶりを見ますと、実施する、支援する、強化する、目指す、充実させる、設置するといろいろな書きぶりをされていますが、これがまさにどういう形で進むのかは、前回のご説明によれば各省とこの知財本部が折衝をやる、個別に調整、折衝をやっていくということでございました。もちろんアクションプランを作るのだと思うんですが、それを作る上でこの知財本部の皆様方がやりやすいように、この会のミッションがもっと明確に伝わるようにこの戦略に関しての工夫をしたいというふうに思います。  
 1つは、やはりこの施策のところに必ず各関係省庁のできれば部局名まで入れておくということですね。関係者がプラスされることはかまいませんが、最低どこの部分が関与するか。もう既に各部局に折衝していらっしゃるわけですから、明確化して、国民みんなに分かるようにして、どこかかが怠けたら、自分のところではないと言い逃れできないようにしていただきたいということがございます。  
 私は行政評価局の方で政策評価委員会の委員をやっておりまして、霞が関の政策、施策の評価をさせていただいていますが、実効性を上げるためには明確な目標が必要です。達成時期であるとか、定量的・定性的なものを決めていただかないと、我々は監視評価ができないのでやってくださいということをお願いしているわけですが、ここのものも当然、アクションプランの段階でそれを明記されて、骨太に持っていかれるということだと思います。そうでないといくら書いても官民一体でやると言っても人も予算もつかないことになりますので、そこがものすごく重要だというふうに認識しております。  
 そのためには「成長の原動力に」とここでは書いてありますが、育てますだけではなかなか認められないところがありまして、育てた結果、どうなるのかを見せないといけないんですね。アウトプットで何人にどうしますとか、何をします、と今申し上げたその目指すとか、強化するところに数字が出てくると思うんですが、そのアウトプットだけではなくてアウトカムの指標がきちんと明記されないと、せっかく我々がこれをやってくださいと言っても、骨太に持っていって実行段階に持っていけないと思います。ですから、それをここでお願いしたいと思いますし、そういう形で進むように戦略をもっと強化した書きぶりにしていただきたいと思います。  
 政策評価をするときには、各省のものもやっておりますし、今回のような横断的なもの、例えば今少子化対策とか、医師確保方策とか、いろいろな省庁が関与しているところの評価もやらせていただいていますけれども、今、佐藤本部員がおっしゃいましたように、その場合の評価というのは非常に難しくて、各省に聞いて、それぞれ進んでいるのは分かるんだけど、全体として進んでいるかというと進んでいなかったりするわけです。ですから、そこに対する仕掛けが今回は非常に重要で、それを今後の委員会なり何なりに持っていく、これをお願いしたいと思います。
○久保利会長 ありがとうございます。それについて次長からご説明ください。
○関事務局次長 若干個人的な意見にわたるかもしれませんけれども、どこまでブランド戦略にお書きいただくのかということにつきましては、私は文書の性格というものがおのずからあるのであろうと思っております。つまりブランド戦略を踏まえてアクションプランを作るという、そこは重層構造でいくということでございまして、ブランド戦略についてはこの専門調査会でご議論いただいて、アクションプランについてはその方針を踏まえて行政的に検討しようということで、そこは二段構えでございますので、どこまでこのブランド戦略に書き込んでいただくのかという点につきましては、大局的な方針をお示しいただければというふうに思っているところでございます。
 それからあと、更に若干個人的なことを申し上げれば、このブランド戦略の一番大きな成果物として私が考えておりますのは、ソフトパワー産業ということを全体として支援していきましょうという明確なメッセージを発していただくことではないかと思っております。生越先生からもご指摘がございましたが、今までともすれば単発的にやってきたものをこういうふうに総合的に支援をしていきましょう。それを第3期の知財基本計画の柱の1つに盛り込んで、今後、重点的にやっていきましょうということが大きなメッセージであろうかというふうに思っておりまして、それは具体的にどうこうしていくということにつきましては、それはお任せをいただければありがたいなと思っているところでございます。
○久保利会長 個人的意見を含めておっしゃっているようでございますが、(笑)高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 お気持ちは非常に分かるんですが、この会議体が応援したいというふうに受け取っていただければ非常にありがたいと思っているんです。お任せくださいと言ってもなかなか難しいことを、いろいろな場での経験を通して知っているつもりでございます。ですから、例えば1例を挙げれば消費者基本計画を作ったときなども各省庁は嫌がったんですが、各省の名前を書き、窓口を明確にした。つまり窓口もなかったところに窓口を作らせるためにはそれをせざるを得なかったんですね。その結果、委員会が点検・監視・評価を毎年毎年やっております。各省がここは手当てした、ここは足りないのではないかと揉むところがないと進まないということです。3年終わったらぜひ政策評価に上げてくださいというふうに消費者基本計画についてはお願いしておりますし、そういう1つのメニューの中に入っているんですが、これもそういう考え方をしていただきたいと思います。ほかがやっていないわけではないということでございますで、内閣官房の中でできないと言われてしまうとちょっと困るなと。
○久保利会長 その問題について事務局からご説明します。
○素川事務局長 高橋委員が来られる前に最初、冒頭、私の方から総括的にご説明させていただきました中に第3期につきましてはPDCAの評価サイクルというものをきちんと回して、評価に基づいた次年度の計画、そして実行というふうなことをするというふうに申し上げたわけでございます。やはり第3期におきましては新しい計画を作るということも大事ですけれども、今まで作った計画をいかに実行していくかということも非常に大事だということを改めて認識しておりますので、その実効性を高める、実施していくというところに多くの労力というものも併せて割いていきたいというふうに考えているところでございます。
 いただきましたご提言を十分に踏まえて対応したいと思います。また、アクションプランについては冒頭、これは関係省庁についてはきちんと担当省庁を明記するということで対応していきたいということを申し上げさせていただきました。ご理解いただきたいと思います。
○久保利会長 ご両者とも具体的に実行させるためにはどうしたらいいかということを議論しているわけなんで、そんなに大きな違いがあるとは思いませんが、どの文書に書くかという点で言えば局長はアクションプランには書きますというふうに言っております。当然、戦略の問題とアクションプランの問題と工程表の問題、この具体的にいつまでにということ、担当部署は誰かということ。これはまさに高橋委員がおっしゃるとおりきっちりと決めなければいけない問題。それをしなければ評価も何もできない。PDCAをやるためにもそれは必要だというのは全くご説のとおりだと思います。ただし、どの段階で書くかということは会長としても十分目を配っていきたいというふうに思います。そういうことで更にまだ文章等も練らなければいけないところがあると思いますが、恐縮ですが時間の関係もありますので重延委員から最後にご発言をいただけますか。
○重延委員 実効性ということに関しては前回発言しておりますので、これは戦略としてある方向性が示されているということの評価をして、文章に関しては何らか問題点を指摘するという状態ではないのですが、やはり私は現場的に考えているところの感想だけ1つ申し上げます。
 こういう方策が流れていく中で日本ブランドというものを売り出すためには実はもっとレベルアップということが必要ではないかと、つくづく現場で考えております。やはり方策に加えて大きな戦略ということが重要であるとともに、戦略を実行できる本当のプロフェッショナルなプロデューサーがいるんだという気がします。国際市場にはたくさんのプロフェッショナルなプロデューサーがいます。この文書にも「アーチストがプロジェクトマネージャーになって」ということが書かれています。これは間違いがないです。「アーチストというか、クリエーターが自らプロジェクトマネージャーに」とも書いてありますが、これも全くすばらしいことだと思います。しかし、ここにプロフェッショナルが必要なんです。そのレベルで世界は動いていると思います。やはりクリエーターが自分で売らなければいけないというところに小ささがあって、世界レベルということに関してはもっともっと大きく目標を高く掲げていかないと世界はもう動いています。映画にしても、今度の外国語映画賞はとてもすばらしいと高く評価しますが、世界はもっと上を狙っているというような気がいたします。イギリス人がムンバイでハリウッドの7分の1ぐらいの予算だと思いますが、あれでトップまで行ってしまうという戦略ですね。これは戦略以外の何ものでもないと思いますし、そういうことは各産業界で全部起きているはずですが、日本は何とか入り込もうと思うだけであって、やはりもう少し高いレベルを目指していかないといけないし、そのためにはやはり国際的戦略と、それを遂行できる本当のプロデューサーが必要ですね。これは行政的にやってもそれは追いつかないと思います。行政の支援は要るかもしれませんが、やはり民間でそういうプロデューサーが生まれるということを本当に考えてもらって、クリエーターがいても育たないという、クリエーターに場がないというのは本当のプロデューサーがいないというところにあるかと思います。レベルを上げていくということが非常に必要であろうと思います。  
 上海万博も近づいているところで日本がそういうような国際的レベルを示されなければ僕は非常に危機感を感じておりまして、上海万博で本当に中国がもっとすごいソフトパワーで来た場合に、この差の印象はすごいですよということになるのではないかという予感はしております。そういう意味ではレベルアップをこの後に控えているという認識を持って、ぜひこのぐらいは軽々と実行していただきたいと思います。
○久保利会長 ありがとうございました。いろいろな意見も出ました。更にバージョンアップしなければいけない点も多分あると思います。そういう点で本日の議論を踏まえた日本ブランド戦略の最終的なとりまとめについては、皆さん方のご意見も十分踏まえて、会長である私にご一任いただくということでいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
 はい、ありがとうございました。それでは、必要な修正を行う部分があれば、それを行った上で次回の知的財産戦略本部会合において本専門調査会からの報告書を提出するということにさせていただきたいと思います。
 なお策定中の日本ブランド戦略のキャッチフレーズについては委員の皆様からのご意見を踏まして、何人かの委員と更にご相談をさせていただき決定をいたしたいと考えております。それから、表紙のデザインでございますが、選定したキャッチフレーズを踏まえて宮田委員に作成をお願いしたいと存じます。その上で決定したキャッチフレーズ及び表紙のデザインを次回の知的財産戦略本部会合に報告いたしたいと思っております。よろしくどうぞお願い申し上げます。
 それでは次のテーマでございます、第3期知的財産戦略の基本方針の在り方についてに入りたいと思います。まず事務局から資料についてご説明をお願いします。
○関事務局次長 資料2をご覧いただきたいと思います。前回は第1部と第2部を分冊で出させていただきましたが、今回は全体をとりまとめて1冊の資料でございます。改めてご確認いただきますと表紙をご覧いただきたいわけでございますが、こちらの専門調査会、コンテンツ・日本ブランド専門調査会、それから知的財産による競争力強化専門調査会の連名でおとりまとめをいただければと考えているものでございます。
 内容につきましては、改めて申し上げますと2つの部に分かれておりまして、第1部が第3期知的財産戦略の基本方針の在り方について、第2部がこれまで講じてきた知的財産施策に対する評価の概要及び今後講ずべき主な施策という2部立てになってございます。
 前回との修正点ということで幾つか申し上げさせていただきたいと思います。2部からご覧いただきたいのですが、2部の該当ページは80ページ以下でございます。ここについての修文でございますが、基本的な考え方といたしましては、1つは前回のご指摘を踏まえまして、従来の施策に対する評価というところを掘り下げまして、どんな問題点があるのかということをより明確に記述をさせていただいたということが主な修正の1点目でございます。
 それから、もう1つの点につきましては若干先ほど高橋先生からご指摘のあった点にもかかわるわけでございますけれども、先ほどご議論いただきました日本ブランド戦略との整合性をより図るようにしたということでございます。
 ということで、代表例として80ページをご覧いただきますと、80ページは「新しい市場の拡大」の中の「デジタル・ネット環境を生かした新しいサービスの促進」というところでございますが、80ページから81ページにかけての枠の中が施策に対する評価の概要ということでございます。前回との比較で申し上げれば、丸の数で申し上げれば3番目から後、3番目、4番目、5番目というあたりでどんな問題点があるのかということをより詳細に書きまして、それと81ページのbに書いてあります今後構ずべき主な施策ということの関連性がより明確になるように記述を充実させたものでございます。
 以下、同じような観点からそれぞれの項目について修正を加えたところでございます。
 それから、ブランド戦略との関係ということで申し上げれば、記述の整合性をより図りまして項目の対応等も充実をさせたところでございます。
 それから、第1部の方でございますが、第1部につきましては9ページをご覧いただきたいと思います。ここが第3期、2009年度から2013年度までの知的財産戦略の基本方針というところでございます。前回からの変更点ということで申し上げますと、9ページの真中から「第3に」という段落がございますけれども、ここがこちらの専門調査会に中心的に係わる分野でございます。ここでソフトパワー産業の振興に戦略的に取り組むということを書いてございますけれども、変更点といたしましては下から4行目の最後の部分からでございますけれども、こういったソフトパワーを生み出す産業を今後の我が国経済を牽引する戦略産業の1つとして位置付け、重点投資を図ることを通じその創造基盤の強化と内外市場の開拓による成長を促進することが急務である、ということでその位置付け等々を一層明確にしたところでございます。
 それから後、もう1点だけご紹介させていただきますと、10ページでございますが、10ページの第2段落と申しますか、「以上の5本柱を」という文言で始まる段落でございますけれども、その一番最後の部分、"グローバルな知財競争力の強化を目指す"ということを前回の記述から追記をしたところでございます。これはこちらの専門調査会ということではなくて、全体に係る事柄でございますけれども、第3期の基本方針のいわばキャッチフレーズといたしまして、明記させていただいているところでございます。以上でございます。
○久保利会長 ありがとうございます。ご質問、ご意見はございましたらちょうだいしたいと思います。
○関本委員 今まで私はこの件に関して、この調査会は関係がないと思っていたものですから、これをずっと通読しまして日本版フェアユースというキャッチについて、日本版フェアユースというのは各所でいろいろな意見が出ています。日本版と言っている以上は世界とは違うものを作るのではないかとか、特殊なことを作るのではないかという意見がいろいろ出てきて、そういう違和感を持っていて、今回ずっと通読して感じたのは、ほかのことについては国際標準とか世界標準という言葉が使われて、これだけが日本版というふうになっています。携帯電話も日本だけでしか使えないようなものをつくってしまったというのもあって、日本版というのが非常に誤解を生むことになっているのではないかという気がして、そこは分かりませんが、国際標準に合わせたとか、国際標準をこれから目指したとか、そういう言葉の方が余計なハレーションを起こさないでいいのではないかというふうに、全体を見てそういう感じをいたしましたのでご意見を。
○久保利会長 この点にはついては、中山先生が。
○中山委員 フェアユースについてはいろいろと誤解だらけだと思います。フェアユースにつきましては国際標準というのはありません。要するにアメリカにフェアユースがあるだけです。それに対して日本は同じにやるか、あるいは日本的なものを作るか。日本版という言葉については、例えば以前の推進計画においてもアメリカにバイドール法というのがあって、日本版バイドール法を作りましょうという提言をして作ったという経緯があります。アメリカしかないから国際標準でなくて、日本的なものを、アメリカを参考にしつつ作るということだけのことで、他意はありません。
 ただ、おっしゃるとおりフェアユースについては非常に誤解を招いている点があるので、誤解を招くとすれば言葉を考えなければいけないかもしれません。
○久保利会長 どうしたらいいでしょうか。
○中山委員 問題があるのなら「日本版」を消したって別にかまわないのですが。
○関本委員 先生おっしゃるとおりでいろいろな誤解を招いています。アメリカのフェアユース、それとそんなに違わないと思いますが、例えば何かの裁判が起こったとき、日本ではフェアユースで勝ちましたが、アメリカ人から見るとそんなものはおかしいよということまで入るのではないかという誤解も含めて、相当誤解が広がっているので、日本版という言葉をあえて使うのは損かなという気がしたんです、私は。
○中山委員 おっしゃるとおりなのですけれども、日本版フェアユースという場合、おそらく使ってる人はアメリカよりも小さいという感じで使っているのではないかと思います。ところが取る人はアメリカよりもでかいものを作るのではないかというふうにとられる場合も有るようです。
 フェアユースの要件についてはまだ一切議論をしていなくて、これからしなければいけないという段階なので、まだ具体的内容は何もないはずです。ですから、そこはおっしゃるとおり誤解を招くのなら日本版を取ってただフェアユース、あるいはいわゆるフェアユースとかした方がいいのかもしれません。
○久保利会長 事務局からお願いします。12ページですよね。「基本方針の在り方について」の12ページの上から2番目の丸の話を今しているわけです。
○関事務局次長 ここにつきましては中山先生に会長をお願いいたしましたデジタル・ネット時代における知財制度専門調査会のご報告を踏まえて書いている部分でございます。そこでの書き方がどうなっているかということを申し上げますと、「権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)」という書きぶりになってございます。この地の文章、説明の文章の方ではそう書いてあるんですが、そういったタイトルで報告書をおまとめいただいているという経緯がございます。
 ですから、今のご議論を伺っていて思いますのは、事項名の方も同じように変える、つまり権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)の導入と書くというのが1つの対応案かなというふうに思っております。
○大路参事官 中山先生の専門調査会のとりまとめの作業をやった立場を申し上げるとすれば、「日本版」という言葉自体に特定の法的意味をもたらすというつもりで使ったわけでは全くございませんで、中山先生がおっしゃるようにアメリカにある仕組みがフェアユースとしてあって、日本が同じような仕組みを導入しようというとき、全く同じ仕組みでいいのかどうかというところの議論はあったわけでございます。
 1つ考える要素としてあるとすれば、アメリカ、英米法が判例法的なコモンローを基盤として法制度が構築されているということに対して、日本の法制度が大陸法的なところを基盤にしているというところで、全く同じフェアユースが日本になじむのかどうかというところはいろいろなところから議論があったわけでございます。アメリカの例を参考にしながらも必ずしも全く同じものを導入するわけではないというぐらいの気持ちで日本版という言葉を使ったわけでございます。日本版ということで特定の意味合いを持たすということで日本版と言ったつもりは全くございません。その言葉にも全く事務局としてこだわりがあるわけではないということを申し上げておきたいと思います。
○久保利会長 次長、何か追加はありますか。
○関事務局次長 今後につきましては、先ほど中山先生からもご指摘をいただきましたように、文化庁の方で検討させていただくということを予定しているところでございます。
○久保利会長 関本委員のご心配というか、まさに中山委員がおっしゃったようにでかいんだか、小さいんだか、どうなのか分からない言葉が独り歩きすることによって、むしろ害をなすのではないかというご心配ですよね。
○関本委員 そうです。なし始めているところがあるので、誤解が生まれているので、わざわざ書くとアメリカというよりもすごいことを書かれるのではないかという誤解が独り歩きしているんです。多分、先生たちはそんなことは考えていらっしゃらないと思うんですが。そういう意味では「日本版」と書くことがマイナスの要素を生み始めているところがあるので。
○久保利会長 でもフェアユースとだけ書いてしまえば、また更なる誤解を招くという心配もあるわけですね。
○中山委員 これは専門調査会で決めたわけではないのですが、アメリカのフェアユースはまずフェアユースの規定があって、それから個別規定が並んでいる。ところが会議の中でのすう勢といいますか、多くの意見は、日本では個別規定を先に出して、最後一般規定を置く。つまり離婚方式です。離婚については、悪意の遺棄や不貞等の離婚理由を掲げ、最後その他婚姻を継続し難い重大な自由という規定になっておりますが、あんな感じで私はいたのです。だから日本版だと言ったまでで、決してアメリカよりもものすごいことをやってしまおうという趣旨ではないということをどこかで宣伝していただければと思います。
○久保利会長 宣伝の阻害物にならないような意見書にまとめていきたいと思いますので、よろしくお願いします。字句の修正の問題ですから、これはお任せいただいていいですね。
 ほかにはいかがでしょうか。佐藤本部員は何かございませんか。
○佐藤本部員 私はこの前の議論でいろいろ言わせていただいて、それに沿った形の修文もそれなりにしていただいたので、全体のまとめとしてはよろしいかなと思います。先ほど議論しました縦割りの形になっていて、横断的な問題が重要な問題だということを申し上げたのも、この92ページの方で問題提起としては明らかに分野の横断的な取り組みを強化すべきだということを明らかにされたという点では、これがこの第3期の柱になるのではないかと思っております。
 それを受けた形で93ページで横断的な取り組みを推進する推進体制の構築ということを明確にうたわれておりますので、ぜひこれを実現して、先ほどのように総合的な施策が相乗的効果を生んで、よりソフトパワー産業が目に見えた形で日本の産業を支える形になってきたという感じを産業界が国民に与えられるような結果を出していただきたいなと思っております。
 もう1点は、これは競争力の専門調査会でも申し上げたんですが、やはりスピードが大事ではないか。特に今の世界同時不況のような状況の中で新しい夢を見られる産業としてソフトパワー産業というのが日本を支えていくんだという夢をやはり与えていくためには、それをできるだけ早く目に見える形にしていくということが重要ではないかと思います。そういう意味ではこの3期目の計画がよりスピーディに結果が見えるようになってほしいなということをお願いしたいと思います。
○久保利会長 ありがとうございます。生越委員、お願いします。
○生越委員 今の佐藤本部員のおっしゃったこと、私も全面的に賛成です。特に93ページのAの「分野横断的な取組を推進する推進体制の構築」。先ほど高橋委員もおっしゃいましたように窓口の明確化をここの文章でも上げていただければと思います。併せて私も以前ご指摘したんですが、窓口は1本であることが一番望ましいんですが、窓口の一本化を目指すということも併せていただければと願います。
 あとは最初の方に戻るんですが、1番の1ページの「はじめに」というところになります。現在の経済状況を受けて今までの努力が無に帰してはいけないということが書いてありますが、現実、今何が起こっているかというと、不況になりまして産業のシフトが起こっている面がございます。こういった意味で既存の産業からコンテンツ産業、ソフトパワー産業に一部人材が移動して雇用のシフト、産業のシフトが起こりつつある、こういうところを第3期では各省庁を挙げて全面的に支援をしていただく、こういった認識が私は非常に重要かなと思います。
 先ほどの日本ブランドの報告書でも書いてありましたが、アメリカも恐慌を受けてコンテンツ産業に人が移ったり、韓国もタイのバーツの暴落を受けてコンテンツ産業に人が移った側面があると思います。こういった意味で日本も、今ソフトパワーに産業が移る、ある意味大きなチャンスが来ているのかな。併せて農業とか日本ブランド、地域ブランドにも人材が移りつつあるというのが地域によって感じるところです。こういったことを踏まえて、施策も踏まえて日本政府は全面支援をするんだ、こういった勢いがあるような書きぶりがやや入っていただければと思います。以上です。
○久保利会長 御趣旨は大変明快ですが、書く方としてはなかなかしんどいところがあります。できるだけご意見を入れて作るようにします。
 ほかにはいかがでございましょうか。
○廣瀬委員 ずっと見させていただきまして、特にこの中で9ページ、先ほど関次長からお話がありましたソフトパワーを生み出す産業を今後の我が国経済のうんぬんのところ、ここではっきり戦略産業の1つとして位置付け、重点投資を図ることを通じて、というところがこの全体の基本になっているのかな。これがそれ以降の施策ときっちりリンクされれば、以下の施策が極めて実行可能になりますので、ぜひともこの部分は最後まできっちり残していただくと思っております。これで全体の展開のさせ方といいますか、方向が見えてきたような気がします。
○久保利会長 ありがとうございます。ここは肝ですものね。ここは絶対守りますから、よろしくお願いします。
○服部委員 以前、留学生問題でご提案させていただいたのがありまして、入管の問題、法務省、外務省、厚生労働省、文部科学省、警視庁、また東京にいる以上は東京都が関連するんですが、どこに行ってもたらい回しにされて、留学生が専門学校を出た後にとどめることをできなくて、みんな即帰らなければいけないわけです。我々の食の分野で今、人手が足りなくて、彼らの方が今の日本の若者よりも志が高くて使命感もあるということで、アルバイトをやっているときに、その人たちをずっと残せないかという依頼をずいぶん我々は聞かされるような話がありました。
 今日、いろいろな問題を幾つも項目を挙げられて、それぞれ今まで検討されてきているわけですが、こういった問題を投げかけたんですが、これに答えがいつ出るのかなとか。知的財産戦略本部では無理だよとか、どちらかはっきりと明確にしておいた方が、我々は次にどこに持って行ったらいいのかを考えなければいけないので、よろしくお願いします。
○大路参事官 ご指摘いただいた留学生の問題につきましては、ご指摘いただいた後、法務省とも今の仕組みはどうなっているかという形で相談をさせていただきながら、どんな可能性があるのか検討していたわけでございます。
 そこで今の仕組みの中で日本ブランドという観点で考えたときにどんなことが考えられるかということを考えたときに、資料1に戻っていただきますと、7ページの一番下のところに書いている将来の担い手としての多様な人材の受入れというのがブランド戦略として考えられるところのギリギリのところかなということで記載をさせていただいたところでございます。
 これは服部先生からご指摘いただきましたことに食の分野に限らず、その他の分野も含めて日本ブランドにかかわる方々を外国から受け入れ、日本でその知識を習得していただいた後に、帰国された後に本国で日本ブランドの普及、発展に貢献し得る人材として育てていただきたいということでございます。こういう仕組みをそれぞれの分野で担当する省庁で新たな施策を必要とするところもあるだろうと思いますし、考えていただきながら、具体的に在留資格上の問題が出てきたときに必要に応じて対応するというふうな対応をさせていただくということになるのかなと思っています。
 法務省からお話の中で言われておりますのは、多分、労働の現場における状況の中で人手不足を解消するというための問題点としての在留資格の在り方というのはおそらく日本ブランドを振興するというところの範囲を超えているのではないかというふうに私どもは理解しているところでございます。
○服部委員 人手不足というところに私持っていっているからいけないんですが、結局、日本の食のブランドを彼らが背負って、また外国に適切な調理法等を普及する意味で出かけていってくれるわけです。本国に戻るわけです。それまでの間、2年でも3年でも残せないかなということを申し上げて、また不適切な調理法で、今2万5千軒ほど世界には日本料理店があるんですが、しかし実際1割程度しか日本人が係わっていなくて、誠にこれが日本料理かというようなものがずいぶんあるんです。それをある意味でただしていく。
 JROというのは「日本食レストラン海外普及機構、推進機構」ですが、昨日11か国の方々がお集まりになりまして、国際シンポジウムをやらさせていただいたんですが、彼らが望むのはまず日本の学校が海外に出てこないかなと言われました。ロシアの方に昨日は誘われ、上海の方に誘われ、お金を出すところもあるので来てくれ。いろいろな話が出てくるんですが、そのときに日本に留学させたとき、どういう対応の仕方ができるのか。先ほどのように大学の中に例えば調理学校があれば残せるんです。ところがそこに専門学校だと残せない。どうしてこういうことになったかというと、昭和32年以前、調理師法ができる以前にあった法律がまだ残っておりまして、この法律が三味線、髪結い、お料理に関してはあくまでもお稽古事である以上はプロフェッショナルでないという、それが1項目残っているために全然進まない話なんです。ですからそこを何とか解消していただきたくて、例えばここに持ち出す話でないんですが、ここでそれをどう検討して、どういうところでお考えいただけるのかというつもりで私も出させていただいた結果なものですから、もし項目として書いてある、もう少し深い意味を我々は持った上でのこれからの扱いをしていただいた上でこの知的財産戦略本部としてどう動いていただけるのか知りたかったというわけです。
○久保利会長 いかがでしょうか。
○大路参事官 ご指摘の趣旨を増えまして、ここに取り上げるかどうかという点に関しては法務省との関係で大変難しい問題があるというふうに私も理解しておりまして、さはさりながら引き続きどういったことができるのかというあたりについては私どもの方で法務省と連絡をとって検討を進めさせていただきたいと思います。
○久保利会長 今、服部委員がおっしゃった法律というのは法務省の所管の法律ではないんでしょう。何の法律ですか。
○服部委員 そこを指摘されると僕もちょっと、専門的ではないんですが、これは法務省はもちろん法律を作成しているわけでしょうから。
○久保利会長 三味線だとか何とかという話が入っているとすると法務省とは思えないんだけど。
○服部委員 その扱いの中に入れられているということなんです、料理が。ですから、まだまだ料理というもの自体が、髪結いというのは、理美容までそこに入っているので、理美容も残れないんです。ファッションの中で髪の毛というのはすごく大事なんです。彼らの業界も今困っているわけです、残せない。
○久保利会長 分かりました。基本的にはさっき大路さんが言ったように7ページからの日本食というのをまず入れて、これは伝統文化という中には髪結いさんも入るんだと思いますが、そういう人たちが単に専門学校で終わっただけでなくて、知識、技術の習得というのはその後のトレーニングもしっかりやれるようにしてください。その上で、海外で日本ブランドの普及、発展に貢献してもらいたいんですよというメッセージでございますので、おそらくこれの具体的なアクションなりなんなりになっていけば、私は今、服部委員がおっしゃったことは視野に入っている文章であるというふうには思うんです。ですから、ストレートにそう書いてありませんが、基本的にはこれでは服部委員のお願いは絶対かなわないのだという文章ではないと思います。ただし、幅広く知財の観点からだけではなくて、今の問題は展開しなければいけない問題かもしれませんので、そこまでいくとこの専門調査会の領分ではなくなるかもしれませんが。我々もそれは認識しておりますので。
 太田委員お願いします。
○太田委員 95ページのKのデザイン創作活動を促進する意匠制度の在り方というところの2行、「多様化しているデザイン創作活動を促進するために」とありますが、ちょうど今、パリでパリコレをやっている真っ最中です。ショーをパリでやりますと12時間以内に出した商品が全部ネットで我々も見ることができます。私も今、毎年この時期行かなければいけないんですが、今年は行ってません。自分のところのショーがどうだったか、自宅で夜、見られます。同時に怖いのは、それをコピーする会社がアジア含めて、日本も含めてたくさんあることです。いつもデザインの領域になると必ず揉めるのは、コピーされた場合にどこに訴えたらいいのか。いつも揉めるところです。そうこうするうちにシーズンが終わってしまうので、要するに訴えたって決裁が下りるときは商売は終わっている。まずどうやって訴えたらいいのかということを明確でないのと、もう1点はおそらく決裁されるのに時間がかかる。このスピードアップがないと、これからの時代はデザインの模倣、クリエーターの権利は守れないと思います。
 我々の世界で非常に有名な裁判がパリでありました。皆さんご存じのイブ・サンローランというデザイナーの作った服をアメリカのラルフ・ローレンというデザイナーがコピーをした。両方とも有名なデザイナーです。それをサンローラン社が訴えて、ラルフローレン社は何を言ったかというと、このデザインはみんなが知っている有名なデザインだから、これは公共のもの、決してコピーしたのではないという台詞で反論したんですが、結局、フランスでラルフローレン社がそのデザインで売った分の賠償で数千万罰金を取られました。そのかわり一方で、その裁判に関してサンローラン社の社長が相手を中傷するコメントをしたがために、今度は名誉棄損で罰金を取られます。両成敗になりました。そんな有名な裁判がありましたが、日本の場合、意匠というかデザインというのを守るのは非常に曖昧です。みんなも泣き寝入りで黙っているほかないと言ってすませている。これをすまさないような制度にしておかないと、多分若いクリエーターたちの才能は守れないのではないかと思います。ここももうちょっと肉厚にできたら将来いいなと思います。
○久保利会長 要するに訴訟のスピードの問題もということでしょうが、ただ仮処分でスパッとやれば思っているほどはかかりません。ただ損害賠償という話になりますと大分かかるかもしれませんし、金銭賠償だったら逆に売れれば売れるほど、シーズンが終わってしまっても、敵が儲ければその分がこっちに来るわけですから、考え方次第だなと思うんですが、中山先生いかがでございましょうか。
○中山委員 意匠法か不正競争防止法だと思いますが、コレクションから半年ぐらいビジネスが終わるとすれば、意匠法はなかなか難しい。最近の審査はかなり早くしていますけど難しいものがある。不正競争防止法の形態模倣でいけば、会長がおっしゃったように差し止め、2、3か月もあればできるでしょうか。仮に差し止めがだめだとしても、ビジネスが終わった後でも損害賠償ができる。それに刑事罰もあるわけです。したがって何だかんだいろいろ併せてやれば、結構な措置はできるのではないかと思うので、ぜひ顧問弁護士と相談をしてみてください。
○久保利会長 フランスというのはヨーロッパ、アメリカ、などの先進国の中では一番司法が弱い国です。行政国家でございますので、その意味ではフランスでも多分過去の日本と同じように裁判がのろかった時代があったのだろうという気はいたします。
 ほかにはいかがでしょうか。事務局から補足のご説明なり弁明なりがあれば。
 いいですね。
 それでは、今日の議論を踏まえて第2番目の議題であります第3期知的財産戦略の基本方針の在り方の最終的なとりまとめについて、知的財産による競争力強化専門調査会との関係での調整も含めまして、会長である私にご一任いただくということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは必要なことがあれば、その分の修正あるいは調整を行った上で次回の知的財産戦略本部会合にて本専門調査会と知的財産による競争力専門調査会からの連名の報告書として提出をする運びといたしたいと思います。
 特にご発言のご希望がなければ本日の会合をここで閉会いたしたいと思います。今回の会合をもちまして本年度の本専門調査会は一区切りとなります。この調査会は11回という今までほとんどやったこともないような回数を開かせていただきました。また、それ以外にも執筆に関する委員の何人かの方々には特別お集まりいただくとか、いろいろな機会で大変お時間を費やしていただいたということで、会長としても心から御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 事務局から何かございますか。
○素川事務局長 委員の皆様方におかれましてはお忙しい中、本当にご熱心にご審議を賜りましてありがとうございます。今日おまとめいただきました日本ブランド、そして第3期の基本方針の在り方につきましては先ほど会長がおっしゃいましたように知財本部会合での審議を踏まえまして、事務局といたしましては知財推進計画2009にしっかりと位置付けて知財戦略の推進に努めてまいりたいと考えておりますので、今後ともどうぞよろしくご指導いただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○久保利会長 ありがとうございます。それでは、これをもって閉会といたします。どうもありがとうございました。