知的財産政策ビジョン検討ワーキンググループ(第3回)




○中村座長
 それでは、ただいまから「知的財産政策ビジョン検討ワーキンググループ」、第3回の会合になりますが、開催をいたします。
 本日は、私が議事進行を仰せつかることとなっております。
 きょうのこのワーキングでは、今後10年の知財政策ビジョンの策定に向けて、政府のほうで素案を用意していただいております。それをもとに議論をいただくという作業をさせていただきたいと思います。
 本日は、私の共同座長であります妹尾座長、それから川上委員、國領委員から欠席の御連絡をいただいております。
 角川委員は、若干おくれて来られるという連絡をいただいております。
 また、知的財産戦略本部員から、この3月19日付で新たに本部員に就任されました奥山本部員にお越しいただいております。よろしくどうぞお願いいたします。
 それから、引き続き本部員に再任された山本本部員にも御出席いただいております。よろしくどうぞお願いいたします。
 それでは、今後10年の政策のビジョンについて議論をしたいと思います。
 早速ですけれども、まず事務局から説明をお願いします。

○畑野参事官
 座長、ありがとうございます。それでは、私、畑野のほうから資料の確認とともに資料1に基づきまして、きょう御用意いたしました「知的財産政策ビジョン(素案)」についてポイントないしは本日、特に議論を深めていただきたいと思っている点を中心にお話をさせていただきたいと思います。
 資料の確認でございますけれども、今、申し上げました資料1が「知的財産政策ビジョン(素案)」と銘打っている資料でございます。
 それから、資料2が前回、2月26日に行われました本ワーキンググループの第2回における御意見の取りまとめということでございます。あらかじめ、各委員のほうには御意見の中身を照会済みのところでございます。
 それから資料3は、本日出席の足立委員のほうからの提出資料でございます。電子書籍につきまして2月に出されました経団連さんの御提言、こちらを資料としていただいております。
 それから、資料番号がついていないのでございますけれども、A4の横のパワーポイントのペーパーでございます。「中小・ベンチャー企業の料金減免制度(日米比較)」ということで、こちらの資料は本日御出席の荒井委員のほうからの提出資料ということになっております。後でまたお話があろうかとっております。
 以上が、資料の確認でございます。
 それでは、早速でございますけれども、資料1に基づきまして、恐縮でございますけれども、15分いただきましてこの資料につきましてのポイント、御議論いただきたい点につきましての御紹介をさせていただきたいと思っております。
 約1か月前の2月26日、第2回目のワーキンググループが行われました。こちらのほうで、このビジョンの取りまとめに当たりまして、どういった点を柱立てとするかといったようなことについて、また、それぞれの柱立てがさらに幾つかの検討項目から構成されるわけでございますけれども、その検討項目につきましての現状、課題、そして、施策の方向性ということで前回は御議論いただきました。
 今回、3月29日のこの議論の狙い、事務局的なところでの狙いでございますけれども、もう既にお目通しいただいているかと思いますが、今、申し上げました第2回の施策の方向性、今後こういうことをするべきではないかといったような問いかけで前回、御議論いただきました。
 今回の素案におきましてはそこのフレーズを、こういう施策を講ずるべきというような形で、かつできる限り何を講ずべきなのかといったような施策の中身を具体的に盛り込むという作業を1か月間、事務局のほうではさせていただきました。それで、今回の議論では、その講ずべきとされた施策の中身について、これで十分なのかどうなのかといったような点をぜひ御議論いただきたいと思っております。
 それから、今回御用意させていただきましたペーパーでございますけれども、前回、抜けておりました全体の鳥瞰した考え方、要するに「はじめに」といったところに相当する部分が御提示できませんでした。今回は、そこにつきまして「はじめに」といったようなフレーズで、このビジョンをつくる背景、目的、そして何を狙うのかといったようなことにつきまして御紹介をさせていただいております。こちらも、ぜひ御議論いただきたいと思っております。
 それでは、ページをおめくりいただきながら、本日の議論の取っかかりになるような御説明ということで努力していきたいと思っております。
 まず、下のところにページがございますけれども、1ページからお開きいただきたいと思います。全体は80ページなりますので、もちろん1ページずつということはいたしませんけれども、ポイントだけ紹介をさせていただきたいと思っております。
 まず、「はじめに」というところでございます。これまでの10年を総括し、そして今後その10年をどう展望していくのかといったようなところを今回新しく付け加えましたので、ぜひ忌憚なく御意見をいただければと思うわけでございます。
 既にお読みいただいておわかりかと思いますが、10年前という時点にさかのぼったところで、10年後どうなっているかといったようなところで、うまくその予想ができなかった。想定外で物事が進んでしまったといったような事柄は何であったかということにつきましては、この「はじめに」のペーパーの中では、例えばグローバル化の進展であるとか、デジタル化の進展であるとか、あるいはネットワーク化の進展であるとか、オープン化の進展であるとか、そういった事象がこの10年前には予想できなかった。あるいは、予想はできたけれども、そのスピードについては十分な予想ができていなかった。こういったような意識を持つ形で、これまでの10年間の反省といったところを描き出しているつもりでございます。
 その上で、今後の10年間ではどういったキーワードを打ち出しながら考えていくのかということについて申し上げますと、今、申し上げたようなデジタル化、ネットワーク化といったようなものが一層進展するであろう中で、この日本企業がイノベーションといったような切り口で物事を考えていかなければいけないのではないか。こういったようなメッセージを全体を通じて出しているというのが、「はじめに」のポイントというふうにお考えください。
 その中では、したがってイノベーションというものを加速するためには何をしなければいけないのか。ところどころに出てきますけれども、知的財産につきましてはシステム間のサービス競争が今、行われている中で最高のサービスを世界に展開していくんだといったようなメッセージをこの中に書いてございます。
 それから、このワーキンググループでも御議論になりましたけれども、知財政策といったようなところにとどまることなく、例えばIT政策、あるいは科学技術振興政策といったようなものの連携も必要なのではないか。こういったような論点も書いてございます。
 それからまた、後の議論にも出てまいりますけれども、知財を担う主体といったようなものが非常に多様化しているのではないか。グローバルに見れば、先進国のみならずアジアを初めとする新興国、こういったような国々も念頭に置かなければいけない。
 それから、いわゆるクリエーターという存在のみならず、例えばユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツとこのレポートの中で何回も出てきますけれども、これまで著作権を使う側だったユーザーがつくり手となっている。あるいは、データの保有者といったようなものがコンテンツの担い手となっている。今、申し上げたような意味で、時代の担い手といったようなものが多様化をしてきているのではないか。こういったような情勢認識も、「はじめに」の中では書いているところでございます。
 それから、この「はじめに」のところで、ぜひきょうの議論で掘り下げていただければと思っておりますのは、知財担当大臣の山本大臣のほうからは、コンテンツ立国宣言といったようなキャッチフレーズをぜひこのビジョンの中で盛り込みたいといったようなお話をいただいております。指示を受けております。それで、今回のレポートには実はこのコンテンツ立国宣言に近しいような表現は埋め込んでいないわけでございますけれども、ぜひきょうの議論も入れまして、皆様方からこのコンテンツ立国宣言というフレーズをどういう角度で、どういう中身で入れていったらいいのかといったようなことについても御議論いただければと思っております。
 「はじめに」のほうは今、申し上げたようなコンセプトの中で、第1章から第4章までをこれから申し上げますけれども、なぜその4つの柱立てが描き出されてきたのかといったようなところを書いたということでございます。
 引き続きまして6ページ目以下でございますけれども、以下、2月26日のワーキンググループで御議論いただきましたように産業競争力、言葉をかえて言えば特許法周りのテーマで2つのチャプター、それからコンテンツ周りのところで2つのチャプターということで、合計4つのチャプターでこのワーキンググループのビジョンは構成をさせていただいております。
 そのうちの、まずその第1章でございますけれども、「産業競争力強化のためのグローバル知財システムの構築」ということでございまして、これまでの議論で既に御紹介させていただきましたとおり、日本の優れた知財システムをアジアを初めとする新興国にどう根づかせていくのかといったようなことについての戦略、そして根づかせていく知財システムといったようなものをさらに高度なものにしていくといった意味での知財システムそのものの改善、見直し、これがこの第1の知財システムの構築といったようなパートになっております。
 この中で、幾つかその検討項目といったようなものがさらに細分化されるわけでございますけれども、事務局としてぜひ議論を深めていただきたいと思っているところを、若干ピックアップをさせていただきながら御紹介させていただきたいと思っております。
 まず、6ページの「1.企業の海外での事業活動を支えるグローバル知財システムの構築」というところでございます。ここのポイントは9ページをお開きいただければと思いますけれども、「取り組むべき施策」といったようなパートがございます。それで、ポイントはやはり最初のポツだというふうに事務局としては考えております。
 すなわち、日本の審査官をアジアの新興国の知財庁に派遣をする。こういったようなツールを通じて、日本の審査のあり方といったようなものをアジアの新興国に、少し言葉がふさわしくないかもしれませんけれども、輸出をしていく。こういったような戦略発想をもって取り組んでいく。ここが、このパートのポイントかと思います。また、いろいろと御議論を深めていただければと思っております。
 それから、少し飛んで恐縮でございますけれども、13〜14ページ辺りをお開きいただけますでしょうか。「知財活動の円滑化に向けた通商関連協定の活用」といった表題のところでございます。この中では、13ページから14ページにかけてでございますけれども、「取り組むべき施策」の中で技術ライセンス契約に係るロイヤリティ料率、それからロイヤリティの送金の不当な制限、こういったようなものを撤廃していくように、政府間交渉なので働きかけていくべきではないかといったようなフレーズがございます。せっかくグローバルに展開している企業が海外で稼いだお金を、どういう形で日本に還流させていくのか。それをさらに研究開発の投資のためにどのように還流させていくのかといったような課題につきまして、このビジョンでは取り上げていきたいといったようなメッセージでございます。
 なお、この「知財活動の円滑化に向けた通商関連協定の活用」ですが、その中には例えばFTAであるとか、それからその投資協定といったような言葉が中にあるわけでございます。このワーキンググループではありませんけれども、専門調査会の議論の中では、日本も参加表明いたしましたTPPの扱いをどうするんだといったようなことが若干議論になっておりますが、TPPにつきましてはその話題の進捗の状況に応じまして、恐らくこのパートの中にTPPについての記述を少し議論の進捗に応じて膨らませる、ないしは挿入していこうかといったようなことかと思いますけれども、今回のこのレポートではTPPの表現は入っておりません。また、これは以後の扱いにおいて議論をしていけばよいものというふうに考えております。
 それから、議論していただきたい点を先に進めますけれども、14ページに「職務発明制度の在り方」といった項目がございます。これにつきましては「取り組むべき施策」、15ページのところですが、職務発明制度についてはやはり見直しが必要なのではないかというようなところで課題提供させていただいております。
 これにつきましては、一方でその前の「課題」というセクションに掲げてございますように、足立委員のほうから経団連の提言の御紹介という形で、この職務発明制度については現在その発明者に帰属しているというシステムから、その使用者に帰属させる制度に転換するべきではないかといったような御意見を頂戴しております。
 また、何人かの委員の方からは、その前の14ページのところで申し上げますと、いわゆる米国型と申し上げてよろしいかと思いますけれども、全て使用者と従業者の契約に委ねるべきではないかといったような御意見をいただいているところでもございますが、いずれにしろ、この職務発明制度については見直しが必要だというところでは、このワーキンググループの委員の方々の意見というのは一致をしていると思いますけれども、なおかつ、その上でどういう方向性でこの問題を捉えていっていいのかといったようなことについて、もう少しその方向性が出せないかといったようなところをこの議論でチャレンジをしていただければと思っております。
 それから、「審査基盤の整備」のところは、任期付審査官が平成25年度で期限がくるという中でこの問題をどうしていくのか。特許庁のサイドからは非常に重要な問題でございますけれども、その辺の話が17ページの「課題」と「取り組むべき施策」として掲げさせていただいております。
 それからあとは、このワーキンググループでも大変議論がございましたのは、次の「営業秘密の保護強化」というところでございます。これにつきましては20ページのところでございますけれども、今後「取り組むべき施策」ということで、主として2つ。
 1つは、制度改正に絡む問題ということでは、不正競争防止法の制度のあり方を念頭に営業秘密侵害の訴える側、原告サイドの実証負担がこれより軽減するようなことが考えられないか。
 それから、関税法を念頭に置きまして、水際での防止措置といったようなものについて、アメリカなどでの取り組みを参考にしながら考えられないかという制度面での課題。
 それから、若干法律の枠組みを離れる話といたしましては、アメリカなどを参考にしながら官民でこの問題を共通に取り上げていく。認識を深めていくためのフォーラム形成などができないか。それから、中小企業などではまだ技術管理指針についての徹底がおくれているといったようなことを踏まえての普及・啓発・啓蒙といったようなことが考えられないか。こういった形で「取り組むべき施策」につきまして列記させていただいております。これもまた、御議論を深めていただければと思っております。
 それから、23ページのところからは、いわゆる知財高裁のあり方を含めての「紛争処理機能の強化」といったようなことについて、これもこのワーキンググループでは大変議論になったところでございます。それまでの議論を踏まえて「課題」、あるいは「取り組むべき施策」ということで25ページのところをごらんいただければ、「取り組むべき施策」ということで、知財紛争処理システム全体につきましてやはりその制度などの調査等を行った上での見直しといったようなものが必要なのではないかということでございます。
 それから、その下のポツでございますけれども、「日本の知財訴訟結果のグローバル発信力を充実させることを期待する」ということでございます。ほかのところではどこの省庁に検討させるかというところが全部書いてあるわけでございますけれども、全体を通じてここのところだけ、「日本の知財訴訟結果のグローバル発信力を充実させることを期待する」ということで、この期待する先は誰かというと裁判所、最高裁判所でございます。
 そういうことで、これは明確なのでございますけれども、最高裁判所は行政ではないということで、これまでのこの知財の議論の整理の中では、裁判所への宿題は期待するといったような表現だということで、このような表現にさせていただいているところでございますけれども、一方で、期待するのであればもっといろいろなことを期待してもいいんじゃないかというところもあるわけでございますので、この議論の中でまたそこら辺も深めていただければと考えております。
 それから、国際標準化・認証につきましては今回のこの知財ビジョンの中では、これまで国際標準化のいろいろな戦略というのを積み上げてきたわけでございますけれども、それに並ぶ重要な課題として、この認証のあり方といったようなことにこのビジョンではフォーカスを当てて、26ページの「取り組むべき施策」の中で認証機関のより一層の強化、海外との連携といったようなところを取り組むべき点としては掲載させていただいております。
 27ページから「産学連携機能の強化」、これは競争力専調のワーキンググループの中でも比較的課題は抽出できたかと思っておりまして、具体的には28ページから29ページのところでございます。
 ポイントは2つかと思っております。1つは、大学と大企業ではなくて、大学と中小・ベンチャーの連携をどう築いていくのかといったような点。それから、今、取り組んでいるところでございますけれども、大学TLOの評価指標が回り出してきているということで、それをどういうふうに活用していくのかといったような点。ここら辺が、このワーキンググループで議論してきたことの果実ではないかと思っております。
 29ページからは、「グローバル知財人材の育成・確保」というところでございますけれども、こちらは昨年、妹尾会長のもとに競争力専調の下に知財人材につきましてのワーキンググループをつくって議論を進めてまいりました。
 いろいろな提言が出ました。1つの果実としては、民間における知財人材育成のプランを充実させていこうといったようなことであったかと思いますけれども、今回のビジョンの中では、31ページ、32ページのところを見ていただければおわかりのとおり、アメリカ、ヨーロッパ、いずれもいわゆる知財行政庁のもとにいろいろな取り組みが行われてきている。裏を返せば、政府が比較的音頭をとる形でこの人材育成についての活動を行っている。
 こういったようなことも踏まえまして、33ページにあります「取り組むべき施策」の中では、「我が国においても、民間セクターと連携しつつ」などとございますけれども、政府機関が中心となって知財人材を育成するための場を整備するということで、具体的には書いてございませんけれども、特許庁の関連の機関で工業所有権情報研修館という組織がございます。こういったような組織の活用なども念頭に置きながら、政府機関が中心となってこういった人材育成のための基盤をつくっていくといったような方向性を出しているところでございます。
 35ページ以降が第2章ということでございまして、「中小・ベンチャー企業の知財マネジメント強化支援」ということで、幾つかその施策が並べられているわけでございますけれども、きょうぜひ御議論を深めていただきたいと思っております点は何点かございますが、まずその第1点は37ページでございますけれども、いわゆる特許料の料金の減免措置の話でございます。
 「取り組むべき施策」ということで、その減免制度につきましての記述がございますが、ここもこのワーキンググループ、あるいは競争力専調の中では減免制度をこれからも大いにやるべきだ。特に、アメリカのスモールエンティティー制度を参考にしながらどんどん進めるべきだ。検討を行い、あるいはその検証を行いといったようなことをしている時間はないのではないか。こういったような御指摘をいただきまして、事務局のほうとしては、特許庁とも相談をしながら、きょうこの場を迎えたわけでございますけれども、その中で37ページのような表現できょうは紹介させていただいておりますが、これで十分なのかどうかといったようなことにつきまして、またこのセッションの中で御議論いただければと思います。
 「知財マーケットの活性化」のところは、大企業が持っている知財といったようなものがうまく中小企業あるいはベンチャー企業のほうに回るような仕組みをつくることができないかといったようなことでございます。
 38ページにございますように、かねては特許流通アドバイザーといったような仕組みが回っておりました。
 それから、39ページにございますように、最近では産業革新機構、それから政投銀といったようなところでファンドを通じたような仕組みがつくられつつありますけれども、こちらも流通促進に向けてさらに施策を進めるべきではないか。
 このワーキンググループでは高橋委員のほうから、この流通につきましては、御意見を頂戴しているところでございます。ここもきょう、さらに御議論を深めていただければと思っております。
 それから、43ページの辺りは、中小・ベンチャー企業に対して温かい知財の支援の手を差し伸べるといったような担い手、弁理士さんのみならず中小企業の経営に精通をしている地域金融機関であるとか自治体、あるいは税理士、中小企業診断士、こういったような方々にもネットワークを広げて、その知財の支援の総合的な場をつくっていくべきではないか。知財の支援をする担い手の裾野をどのように拡大していくのかといったような問題意識のもとに、「取り組むべき施策」を紹介させていただいております。
 長くなりましたが、そこまでが工業所有権周りの話です。
 コンテンツの話でございますけれども、こちらも2章立てでございまして、まず「デジタル・ネットワーク社会に対応した環境整備」ということで、著作権法の見直しを含め、制度的な話を第3章のほうに書かせていただきました。
 時間もなくなってまいりましたので、さらにそのポイントを絞っていきたいと思いますけれども、44ページから45ページのところが、このコンテンツの10年間、今後10年間どういうふうに考えていくのかという総括的なところでございまして、45ページにそのキーワードが幾つか並んでございます。
 いわゆるコンテンツの担い手の拡大で、ユーザーが次なるコンテンツをどう考えていくのか。それから公共データ、後で出てきますがビッグデータ、それそのものに著作物性がないけれども集まると著作物性が増してくるような、こういったデータの扱いについてどう考えていくのかといったようなところが総括的には大きな点かと思っております。
 それから、48ページから49ページのところは私的録音・録画補償金制度を含めて、クリエーターへの適切な対価還元が行われるような仕組みづくりを検討していくべきではないかといったようなことを課題として取り上げております。
 49ページから51ページにかけては、これもこのワーキンググループで御議論が深まったところでございますけれども、権利処理の円滑化を進めることによって放送あるいはその著作物の二次利用を促進していくといったような課題についての施策でございます。
 51ページまでの話は孤児著作物の扱い、それから文科省の裁定制度の扱い、漏れなく課題としては掲げたつもりでございますけれども、これにつきましても出口としてどういった施策があるのかといったところまで深めてさらに議論ができればというふうに事務局には考えております。
 それから、53ページから55ページのところは角川委員、あるいはきょう御欠席の川上委員のほうから提起いただきました「プラットフォームの形成の推進」ということでございます。
 54ページに掲げておりますように、このプラットフォームにつきましてはプラットフォーム間同士の競争環境の整備、それからプラットフォーム事業者とコンテンツ事業者の間の競争関係の整備、こういったような2つの課題に重きを置きまして取り組んできたということで掲げさせていただいております。
 54ページから55ページにかけては、繰り返しますけれども、データの著作物の創造、創作性といったことにかんがみて、公共データの扱いに加えてビッグデータビジネス、これも重要な課題だといったような話を掲げさせていただいております。
 あとは飛ばしますが、次にいきまして59ページ以下が第4章でございまして、「コンテンツを中心としたソフトパワーの強化」ということでございます。この中の大部分はクールジャパンの施策と絡むわけでございますけれども、今回のビジョンにおきましては少し方向性が出ているなと思っておりますのが、61ページ辺りのところでございましょうか。
 「取り組むべき施策」のところで書いてございますけれども、ターゲット国、あるいはその地域で売るためにということでございまして、日本のコンテンツ産業を輸出産業としてどういうふうに展開していくのか。日本で売れたものがおのずと海外に売れるというよりも、海外で売るためにはつくるところからどう仕分けをつくっていくのか。こういったような発想に立ってこれからは戦略を練っていくべきじゃないか。韓国の成功事例に学ぶべきという話がいろいろなところで出てまいりました。
 このワーキンググループでもそういった話が出てまいりましたけれども、幾つかある韓国の成功事例という要素の中の1つが、進出した国で売れるためには、ではつくるところからどういう仕組みにしたらいいのかといったような戦略性に優れている点を見習うべきではないかといったような話で、これがターゲット国・地域で売るために何をすべきかという61ページの「取り組むべき施策」の中に書いてあるわけでございます。
 少し飛ばしますが、あとは71ページをお開きいただけますでしょうか。これも前回、出ていたかと思いますが、これまでの議論で去年からやっていることでございますけれども、インバウンドの推進です。アウトバウンド、それからインバウンド、やはりバランスよくこれを進めていくという話が、結果として日本のクールジャパン戦略の展開にとっては重要だということで、施策的には特段新しいものがあるわけではないんですけれども、インバウンドの重要性というところで幾つか強調している話で、74ページの「取り組むべき施策」というところで掲げさせていただいております。
 今のような点が、ビジョンで事務局には重要な点、さらに議論を深めていただきたいと思っている点でございますので、御議論をよろしくお願いいたします。
 ちょっと長くなりましたけれども、ありがとうございます。

○中村座長
 ありがとうございました。
 我々はこれまで2回議論をしてまいりまして、政府のほうでこの素案をひとまず取りまとめていただきました。きょうを含めましてあと2回、私たちにはチャンスがございまして、この政策ビジョンの案を煮詰めてまいりたいということですけれども、できればきょうおおむね詰めるところまで詰められればと考えております。ですので、委員の皆さんにはきょう出せる論点を全てお出しいただければと思います。
 今、説明がありましたように、大まかに分けて3つのチャプターに分かれております。初めに総論の部分と、それから第1、第2の競争力強化、国際標準化関連の部分、そしてその次にコンテンツ強化、第3、第4のチャプターになりますが、そういう具合に分かれております。
 まずは、最初に「はじめに」のところですね。5ページまでの総論の部分について、もし御意見、コメントなどがあればいただきたいと思います。いかがでしょうか。ここも前回随分と意見が出まして、かなり書きかえていただいたということになっております。
 では、どうぞ。

○村井委員
 前回、欠席したため、事務局の方にお伝えして入れていただいた部分が、64ページの最後から65ページのデジタルファブリケーションの部分です。
 デジファブはアメリカなどではものすごい勢いで政策的にも広がっています。私もIT戦略本部の議論で少し頭出しをしているのですが、三次元プリンターが非常に安くなり、これまでのCNC(コンピューター数値制御)による工作機械やものづくりの機械というのはもちろんあるわけですけれども、デジファブの世界だとそういうものが個人で全てできるようになるという点と、問題は設計図をパブリックで共有をするという文化が進んでいまして、このときにインテレクチュアルプロパティーの問題として特許や著作権や商標について、いわばデジファブの世界の中で革命が起こるだろうといわれていることもあります。
 一方で、オバマ政権は小学校に三次元プリンターを配るという政策をやっておりまして、このこと自体が物をつくったり、設計をしたり、コンピューターを扱ったり、数学的あるいは科学的な考え方を子供たちが身につけるという政策でもあるので、まさにIT人材政策のようなところもあります。
 先日、銀座の中華料理屋に行きましたら竹でできているメニューに、本日のスペシャルと彫り込んでありました。これはレーザーカッターでのデジファブの普及がかなり一般に進んでいることを意味しているのではないかと思います。
 さて、例えば「はじめに」のところでいえば4ページにデジタルネットワーク社会に対応した環境整備の必要性が書かれている部分があると思います。デジファブでは、設計図がオープンで流通するということで個人がモノをつくっていくとか、三次元スキャナーで一回スキャンするとそのままプリントできてしまいますから、個人ベースでどんどん複製ができるようになる。そういったことが進めば世の中にいいことが起こるという議論がある一方で、そこでの知財の問題をどう考えればいいのかということに対応しなければならないという議論もある。そういう意味で、今後10年を見据えるとかなりインパクトがあるのではないかと思いますので、それを「はじめに」の辺りでどう取り入れるかというのは少し考えたほうがいいかなという気がしました。

○中村座長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。今後10年を見据えた我々の総論として書いておくべき事項などありましたら挙げていただければと思います。
 今、御指摘いただいたことというのは、恐らくこの過去10年を考えるとコンテンツ、ソフトウエアの分野で大きく革命的なことが起こって、皆が自分でコンテンツをつくったり、ソフトウエアを書きかえたりというのがいよいよハードウエアの分野にも進出してきて、誰もが自分でハードウエアをつくってそれを大量にばらまくということも可能になってくる。恐らく、これから10年を見越したらそのような大きな革命的なことが起こるだろうということの一つの事例だと思いますけれども、そういったことでこの知財のビジョンについて書き込むべきようなことがあればお出しいただければと思います。
 では、どうぞ。

○山口委員
 前回、欠席をして済みませんでした。
 その前に、一度ここで申し上げたんですけれども、多分余りにも手前過ぎるということでもう少し今までの検討ベースのところに近づいた項目でまとめられているというのがこれかと思います。
 しかし、私はもう一度申し上げたいんですけれども、特許庁のまとめであればこういうことでいいと思うのですが、内閣官房がまとめる知的財産に関する整理としては、やはり最初にまず生み出される知的財産としてどれだけのベースがつくれるかという観点も非常に大事で、それは結局のところ、例えば文科省が担当しているような教育部分にいくんだと思いますけれども、しかし、「はじめに」の辺りのところでそういった国での風土づくり、あるいは教育の前半の部分での創造力育成というようなことが入っていて、それで文科省に教育制度の中でそういうことを考えてもらうというような投げかけがあってもいいのではないかと思います。しつこくて済みません。

○中村座長
 ほかに、総論のところはよろしいでしょうか。またいずれ総論のところには立ち戻ることになろうかと思いますので、そのときにお出しいただいても結構ですけれども、何かございますでしょうか。
 では、角川委員お願いします。

○角川委員
 今の御説明を聞いていて、コンテンツ立国宣言とか、TPPについてはあえて触れないんですか。それとも、これから触れていこうという姿勢ですか。

○畑野参事官
 これから触れていきます。

○角川委員
 今の御説明を聞いていて、質問します。「コンテンツ立国宣言」と、TPPについてはあえて触れないんですか。それとも、これから触れていこうという姿勢ですか。

○畑野参事官
 これから触れていきます。

○角川委員
 触れていくんですか。そういう点でいうと、この「はじめに」という辺りは甚だ迫力がないんですね。申し訳ないですけれども、人口減少だとか天然資源が必ずしもないとかというのはもう20年くらい前に語られていることなので、ここで既にTPPの問題だとか、それからやはりコンテンツ立国宣言ということを触れてもらわないと、ここでトーンダウンしちゃうんですね。
 トーンダウンするところから何か盛り上げていこうという文脈があるものだから、ずっとお話を聞いていても新しい感じがしなくて、去年のほうがずっとよかったなという感じがするんです。この辺は、もう一回書き直していただけませんか。

○中村座長
 ここで冒頭に書き込むべきことというのは結構というか、一番大事なことだと思いますので、そういう意味でいいますと、皆さんからここに書き込むべきだというようなメッセージを事務局が作文するヒントとなるようなことを挙げていただければ助かるのですが、いかがでしょうか。

○野間口委員
 先ほどの村井先生のように、現状を見て、それから微係数的に将来を予測するということでいくと、私はよくできているなと思うのですけれども、10年後にどういう知財の世界ができているかということでいくと、例えばコンテンツのほうはさておいて、特許庁的な分野で見ても世界の知財システムはどうなっているのか。あるいは、その中で日本がどういう存在感を示しているか、示すべきか。そのようなビジョナリーなメッセージがあると、もっとシンプルでインパクトのあるものになるのではないかと思います。
 コンテンツのほうはそれ以上に日本は遅れているのでもっと危機感を出すべきではないか。逆に遅れているほうがいいのかもしれないです。アメリカのように先に先にいって、それが本当にハッピーかというと必ずしもそうでもないかもしれないし、その辺の分析も含めてどうチャレンジすべきかというようなことを書いたら、もっと短くてもメッセージ性のある前書きになるのではないか。総論というか、ベクトルを示す意味でいいのではないかという気がします。

○中村座長
 どうぞ、高橋委員、お願いします。

○高橋委員
 今の御意見とほぼ同じスタンスに沿っての意見ですけれど、「はじめに」の部分の4つの柱の手前のところに、これまでよく議論されてきた“あるべき姿”それも10年レンジでのマイルストーンとして、そういったことをビジョンとしてもう少し追加できるといいかと思います。今後の各論ではこの1年間ではどうなのかとか絶えず時間軸とマイルストーンの議論が起きますので、マイルストーン付のあるべき姿というのが柱の前に追加できないかということです。
 そうすると、そのビジョンに向けての4つの柱ということで全体が非常にわかりやすく、いろいろな複雑な課題をうまくまとめていただいていると思います。そこは非常にいいのですけれども、柱が4つ立っていてあるべき姿を構成していくとして、この4つの柱のフレームワークあるいはたてつけ方と言いますか、従来から挙がっている議論を初めのところに入れ込んでおいたらと思いますが。 @の柱のグローバル知財システムの構築に、中小ベンチャーの視点やコンテンツとのかかわりを含めてのグローバル知財システムとしての考え方。Aのところにグローバル化やコンテンツを含めた中小ベンチャー支援の方針を明示。もう一つの柱との関係がちょっと記述されていれば。B、Cのコンテンツあるいはネットワーク社会という部分にも、グローバル知財システムや中小ベンチャーの目線を含める事を無くさない様に明示。 フレームワークとして柱の4つの構造がどう連結しているかが少し述べられているべきでは。冒頭に記述されていると、以降で4つの柱がバラバラに議論されるのではなくうまく結びつけられて展開していくので、そういう追加がぜひあっていいんじゃないかと思います。

○中村座長
 ありがとうございます。
 では、渡辺委員どうぞ。

○渡辺委員
 前回もちょっとお話をしたのですが、これからの社会を考えたときにやはり世界中でキーワードになるのは、環境の問題、エネルギーの問題と安心・安全の問題だと思います。これからの10年で、我々はこれらのテーマで科学技術を進展させる、あるいはイノベーションを起こさなければいけないし、同時に世界中もやはりこれらのテーマの技術開発を起こしていくであろうと思います。
 そういうときに、知財戦略というのは大変重要であるという認識をもっと持ったほうがいいのではないかと思います。それが経済成長や産業発展に必ず結びつくんだ、あるいは、そういう産業発展や技術開発が進展すれば、知財戦略はものすごく重要なんだということをやはり基本認識として置いておくべきではないかと思うんです。
 今後社会システムは絶対に変わってくると思います。例えば、今回の東北の震災のことを考えれてみれば、今までのようなやり方ではなくて、もっとしっかりとした防災の話だとか、安心・安全の社会、街づくりに、いろいろな技術、特に情報通信の技術が大変大きな役割を果たしてくるだろうし、それが世界中に日本発のグローバルスタンダード、世界標準として成立するような力を、我々が持たなくてはいけない。だから、皆、頑張ろう、知財戦略もちゃんとやろう、という前書きの迫力が欲しいと思うのですが、いかがでしょうか。

○中村座長
 御指摘のとおりかと思います。この「はじめに」の部分は、さまざまな政策テーマ、行政案件がある中で、これから10年、日本にとって知財戦略が非常に重要で最重要案件だということが迫力ある形でコンパクトに、かつ説得力ある文章で書けていればよいのではないかと考えますけれども、皆さんにもっと議論いただいて御意見をいただいて事務局と調整をしながらもう一度リバイスをしていきたいと思いますが、まず各論に進みまして、その後でまた総論に返らせていただければと思います。
 各論は2つに分かれております。6ページから43ページの競争力強化、国際標準化関連のところに進めてまいりたいと思いますけれども、この部分について御意見のある方、どこからでも結構ですのでいただければと思います。いかがでしょうか。
 どうぞ、荒井委員。

○荒井委員
 今の総論でいえば4ページのAの中小・ベンチャー企業、それから各論でしたら35ページの第2の「中小・ベンチャー企業の知財マネジメント強化支援」との関係で、やはり中小企業とかベンチャーの重要性が相当時代とともに変わってきている。特に、戦後の発展は大企業の方と一緒に力を合わせて、系列に入ったり、協力し合って、随分、皆、発展してきたわけですが、今、大企業がかなり海外に展開するとか、系列の関係も変わってきていますので、中小企業やベンチャー企業が新しい技術の中で技術的に自立してやっていかなきゃいけない。それが同時に日本の発展につながるという意味での中小・ベンチャー企業の知財マネジメントがどうして必要なのかということを、そういう観点からも書いていただくことが必要じゃないかと思います。
 技術的に自立して日本の7割以上が中小企業で働いているわけですし、新しいベンチャーが出てくることも必要なわけですから、そういうときに非常に知財戦略が、従来のような系列に入っているときは余りそういうことを気にせずに大企業に一生懸命安くいいものを納めていればいい時代から独立してやっていかなければいかぬというふうに変わってきているんだと思いますので、ぜひ重要性をもう少し総論的にも書いていただきたい。
 それから、37ページに減免政策のことが書いてありますが、1枚お配りしたので、この紙を見ていただければと思います。実はアメリカと日本で、アメリカは中小やベンチャー企業に特許制度を支援しておりまして、大きい四角がアメリカで、推計では年間でアメリカは232億円減免しています。一方、日本は8億8,000万円ですから26倍くらい違うんですが、どうしてこうなるかというと、右側にありますのは日本では1万件くらいしか対象にならなくて、アメリカでは年間15万件を減免の対象にしているんです。
 一方、アメリカでは平均して15万円くらい、日本では8万5,000円くらいの減免幅ですから、掛け合わせると26倍ぐらい、こういうふうに違っていまして、アメリカでやはりベンチャーが起きたり、中小企業が非常に技術で強くなって世界で活躍していることの背景にも、政府がこうやって特許戦略を応援しているということもあるんだと思いますので、ここに書いてあることはよく検討してから必要なことをやるというのですが、そうではなくて思い切って中小やベンチャーを応援するという方向をしっかり出していただくことが必要じゃないかと思います。以上です。

○中村座長
 どうぞ、足立委員、お願いします。

○足立委員
 知財政策ビジョンは、先ほどから話がありますように、やはり10年先、20年先を見た政策を盛り込んでいくという点では、詳細な制度設計ということではなくて、今後進むべき大きな方向性をどうビジョンとして提示していくかということが大変重要なことではなかろうかと思いますので、そういう観点でぜひ議論を進めていただきたいと思います。
 細かいことで申しますと、先般の「競争力強化・国際標準化専門調査会」でも申し上げましたが、先ほど職務発明制度の説明がございましたけれども、職務発明制度のあり方を「整理・検討」という中立的な言葉ではなくて、法改正の具体的な方向性を明確にしてもらえると大変ありがたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたい。
 そういう意味では、我が国の企業の競争力を強化していくためには、職務発明を法人帰属とするよう強く進めていかないといけないと思いますし、発明奨励のためのインセンティブについては企業戦略に任せるようにすべきと考えますので、ぜひ法人帰属にすべきとの方向性を明示していただけると大変ありがたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 それから、資料3でお出ししている内容につきましては、コンテンツ強化関連ということで、初めにお話を申し上げておきたいと思います。
 資料3にありますように、電子書籍の普及促進ということについてお話を申し上げたいと思います。
 経団連では、「電子出版権」という名称の権利の新設を求めて、提言を2月19日に取りまとめたものをお手元に配付させていただきました。今後の電子書籍を含めたコンテンツビジネスの発展に向けては、インターネット上で大変多く出回っております、いわゆる違法な電子書籍への対応、対策というものが課題でございます。違法な電子書籍の対策というのは著作権者自身が行う必要がありますけれども、実際に実務的には大変困難で、著作権者がやるということは大変難しい問題を含んでおりますので、電子出版を行う者がその著作権者との間の契約によって違法な電子書籍への対策を講ずることができるような権利を発生させるということが大変有効な手段だろうということで、電子出版権ということを提案したわけでございます。
 提言の3ページをご覧ください。この電子出版権は四角で囲ってある部分でございますように4つを要件としております。4項目の説明の詳細は省略いたしますけれども、ぜひ御確認いただければと思います。私どもといたしましては、この電子出版権という提案は極めて有効と考えておりまして、現在関係各方面にその実現へ向けて理解と協力を求めているというのが実態でございます。素案においては、出版者への権利付与については「検討を行い、必要な措置を講じる」という中立的な表現にとどまっておりますが、ぜひこの電子出版権の新設に向けて検討を行う旨を記載していただければ大変ありがたいと思います。
 この件につきましては、今、一部の出版業界関係者で著作隣接権を出版者に寄与することを議員立法で行う動きがございます。しかし、自動的に著作隣接権という権利が発生するということはいろいろな弊害が生じてくるということでございまして、経団連としては全面的に反対をしているわけでございます。出版者の権利のあり方については、経団連としても文化庁に対して早急に議論を開始することを求めておりますので、ぜひよろしく御支援をいただければありがたいということで、お願い方々、今、進めている電子出版権について簡単でございますけれども、説明申し上げましたので、よろしくどうぞ御理解いただければと思います。

○中村座長
 どうもありがとうございます。今の後段のほうは、後ほど議論いただくコンテンツの分野で、資料でいうと53ページ辺りになるかと思いますけれども、後ほどコンテンツのところでもそこに返って議論をいただければと思います。
 ほかに、前段の43ページまでの競争力強化のところで御意見がございますか。今お2方から手が挙がりました。山本本部員からお願いします。

○山本本部員
  まず、9ページのグローバル知財システムの構築です。ここに書かれていることは非常にいいことだと思うのですが、主にこれは特許庁が取り組まれるべきことで、産業界や大学とかはほかにも貢献できることがあるんじゃないかと思っています。
 それで、私は大学の立場でいうと、戦略的産学連携の強化という言葉を入れていただきたいと思っています。例えば、ベトナムで新幹線を導入する云々という、国会で新幹線ではなくなりそうだという話がありますが、あれは東大の須田先生がベトナムの鉄道の安全基準システムをつくっているんです。それで、日本の一番厳しい安全基準システムをつくってそれを導入したら、実際に導入する車両は日本の車両が一番適切になるわけでして、実はこれは国際標準化の戦略的にやっているわけではなくて単なる共同研究でやっているんですけれども、結果としては戦略的な標準化戦略みたいなものにつながっていたりします。
 そういう意味では、戦略的産学連携の強化みたいなものがあっていいかと思います。ベトナムもTLOをつくるみたいで、きょう私はメールで10日間来て教えてくれなどという話もあるのですが、そういう取り組みがあってもよいのではないかと思っております。それで、多分ここはちょっと私は今、思いつかないのですが、産業界が取り組むべきグローバル知財システムの構築というのもあるのではないかと思っております。
 次に、先ほど足立委員のほうからございましたけれども、15ページの職務発明で、必ず今の職務発明の議論をすると企業が中心で、法人、要するに雇用者が持つべきという話になるのですが、これはここにも書いていただいたのですが、あえてくどいようですが説明させていただきますと、大学の学生というのは雇用されていないので、今の職務発明だと使用人に当たらないわけではありますが、大学と企業が共同研究をやって学生が入らない共同研究などというのはまず実はほとんどない。そうすると、大学と企業が取り交わしている契約でここでの発明が生まれたらどうしましょうというのは、学生が入った瞬間に実は不安定なものになっています。
 そういうことと、もっというと、外国人留学生が学生で来たときには、外国人留学生は自分の発明はどんどん自国に持って帰り放題ということを考えると、非常に日本として考えるべき点ではないか。アメリカの大学は、入学したときに学生は全部契約書にサインをして、ここで出した発明は大学のものですというふうにしていますが、日本だとそれをやると多分、裁判になったら大学は負けるだろうといわれています。裁判をやっていないので判例はありませんが、負けるであろうといわれているということと、カナダとかはいわゆるバイドールがないので個人帰属なのですが、大学の設備を使ったり、明らかに国のお金で研究をやったら、これはやはり大学のものでしょうということで、設備とか、そういうところで縛っています。日本は雇用なんですね。
 そういうことを考えると、どうせ職務発明を考えていただけるのであれば、そういった学生の発明というようなことも考えていただきたいというのが、私が申し上げたいところです。
 もっと言うと、ドクターとかは国で、ドクター支援のためにお金は出しているけれども、本人にお金がいっていないだけの話です。そういう意味では、国では学生のための支援というのは間接的にはやっているのではないかと思っていて、準職務発明という言葉もかつてはありましたが、何らかの職務発明があってよいのかなと思っています。
 次は、25ページの「紛争処理機能の強化」です。ずっと前から私は、アメリカは特許侵害をやって負けると3倍賠償で、そのうち中国が3倍賠償になったら世界のディファクトが3倍賠償になるのではないでしょうかということを申し上げておりましたが、御案内のとおり、昨年中国は3倍賠償を導入しました。
 そうすると、アメリカでは裁判で特許侵害で負けると3倍賠償で、中国で負けても3倍賠償ですけれども、日本は三宅一生さんがプリーツプリーツで裁判で勝って10万円もらったというようなことが昔、新聞に出ていました。そうだとすると、ここに書かれていることに私は異論はないのですが、3倍賠償の導入とかは検討しないんでしょうかというのが質問です。
 もしそういうことも踏まえて検討いただくというのは、かつて古くからずっと議論をして3倍の根拠がないというような話もございましたし、3倍などという数字を決めてしまうのは余り品がなくて、国際的な社会における日本の司法のプレゼンスが向上しないという意見もおありかもしれませんが、どんどん周りが3倍になってくると日本だけがおくれているというふうになりはしないかという心配がございます。
 あとは、最後に29ページの「産学連携機能の強化」のところです。先ほど荒井委員から中小支援ということがありましたけれども、28ページの最後にも中小との産学連携支援というものがあるのですが、ちょっと具体性がないのでもうちょっとこれは詰められないかと思っています。
 具体的には、アメリカの大学のライセンス先の3分の2は中小・ベンチャーです。これは、過去10年どこを取ってもずっとそうなっています。そういったことは、何か制度としてやっているというのは余りないんです。大企業か、中小かというと、同じ技術だったら中小がプライオリティーをつくりなさいという一応のルールはありますけれども、余りこのルールもアメリカでは機能していないみたいなので、そういうルールをつくることが建設的かどうかはわからないですが、それももう少し掘り進めたいと思っています。
 あとは、中小を支援するという意味にもつながるのかもしれませんが、欧米では今ギャップファンドとか、プルホープコンセプトファンドというものが大学ではあります。何かというと、大学の研究でここまで研究をやったら産業界が評価をできるところまでいくのに、新しい基礎研究のための研究費は出るんですけれども、事業化のお金は余り出ないということが結構あります。東大でもあります。リチウムイオン電池の正極材と負極材の新しいものをつくったら、サンプルをいっぱいくれと言われるんですけれども、人を雇えない。まさか学生に論文にならない労働的なことはさせられないというようなことが結構ある。
 そうだとすると、そこを埋める研究のファンドなんですね。JSTでも今やっていますけれども、JSTは産業界と大学が一緒にいくので、産業界が興味があるという段階から試作品づくりとか、そういうところにお金が出るのですが、そのもう少し前の段階のイメージなんですね。そういうものに対してのギャップファンドの設置支援みたいなものができないかということを考えております。
 あとは、これは当たり前のことであえて書く必要があるのかどうかはわかりませんが、共同研究の成果について真の発明者を見極めた発明者主義に基づいた出願を促すということも必要ではないか。共同研究をしたら共同出願みたいなことが多くて、真の発明者じゃない人が入っていることは結構多くて、今アメリカでは問題になっています。大学の特許を潰そうと思ったら、真の発明者ではない学部長とかが入っていたりすると潰そうとするとか、これは判例もあって大学は負けるというようなことも起こっています。
 そういうことを考えると、当たり前のことなのですが、共同研究の成果について真の発明者をちゃんと見極めて発明者主義に基づいた出願、共同研究でも大学で単独で出したり、企業で単独で出したりということをちゃんとやったほうがいい。
 最後ですが、特許法73条の変更というのもあっていいのかなと思います。35条を変えるのであれば共有特許ですね。企業と大学、企業間、これは双方の協議で取り扱いを決めたほうが、これは10年間という話なので、10年間というのは今まで「はじめに」のところに書いておられるように、守る特許よりもいかに技術を広げていくかということを考えると、73条で共有者を縛ってしまうとせっかく広がる技術が広がらないということがあるので、共有特許の取り扱いはアメリカと同じように相手の同意なく勝手にライセンスができる。
 もしそれが嫌であれば協議をして決めるというふうにすると、実はこれは大きいのは大学と産業界というのは長い間、不実施補償という議論がなされています。どちらがお金を出すか、出願費用、維持費を出すかみたいなことをここで取り決めができるようにしたほうが、日本の大学と日本の産業界が争っても余り意味がないわけなので、もっとやりやすくなるのではないかという意図で申し上げております。
 私からは以上です。

○中村座長
 ありがとうございます。今、まとめて御指摘をいただきましたが、今の点について何かありますか。
 では、野間口委員お願いします。

○野間口委員
 今の点というより前半ですけれども、私は途中で帰らせていただきますので、職務発明については先ほど足立委員を初めいろいろ出ましたが、まさに10年くらいかかると思うのです。
 これを取り上げたのは、ものすごく私は勇気が要ることだと思うのです。先送りしてきて、最終的な解が得られないまま今日にきていると思うのですが、ここにいろいろ分析的に外国の状況等がありますけれども、前回も私は申し上げたのですが、発明を生み出す創造的活動をどう評価するか。発明に対して報いるとか何とかという観点からではなくて、創造性の評価ということでしっかり取り組むべきじゃないか。
 15ページ辺りにその辺のことが書き込んであるのかどうか、ちょっとわからないですが、例えばドイツなど職務発明制度はあるけれども、日本で問題になったような問題は生じていないわけです。これは、やはりちゃんと発明者の創造的活動、それを支えた回り貢献の評価という点で見識ある評価をしている社会だからそうなっているのだろうと思います。
 法人帰属にしろ、このままでいくにしろ、大いにここは見直すべきことなので、いろいろな角度から議論を高める、集めるということで突破していきたい。今まではどうしても大企業が発明者という弱い立場の人をいじめているという論調が社会的に広がって、そこで頓挫して途中で改革がとまってしまったような感がします。グローバルスタンダードではない。
 それから次の話題ですが、25ページ、26ページで国際標準化・認証への取組の強化の問題を取り上げていただいて大変結構なことだと思います。日本は特に認証という点で非常におくれているのですが、ここに挙がっているようなファクトであれば、日本の認証機関を拡充するのかというくらいで終わってしまう。認証にまつわる検査とか、試験機関とか、何十社、何百社になるのか、それくらいあるのではないかと思うのですが、そういうネットワークというか、連なりを把握して、それをどう統合したり連携させたりして強化していくかという、認証にかかわるアクティビティーとか、全体像をつかんで手を打つような形にアピールしてほしい。
 そうしたら各省で、例えば農水省で食品の安全などをやっているところはどういうふうに強化したらいいか。強制法規に対してはビジネスとしてそこそこ成り立つわけですけれども、戦略的に枠を広げていくようなところは強制法規がついてきませんので、世界に打って出るときにどうしても日本はEUなどに頼むことになるわけですね。そういうものを早目に手が打てる形にする必要があるかと思うので、ここのところをもうちょっと課題、それに対応した取り組み施策みたいなものを明示的に書いてほしいという気がします。
 それから、これは大変私は感心したのですけれども、40ページから43ページの知財総合支援窓口機能の強化、特に41ページの新現役マッチング、こういうものは大変いいことをやっていると思うのです。私も現在、産総研の理事長として地方の技術を持った中小企業さんなどの応援を産総研は結構やっているのですが、こういう活動を必ずしも企業さんは知らないのですね。だから、知らしめる。日本の産業社会として、国として力を入れていることを各地域の経済産業局でもいいし、JSTの拠点でもいいと思うのですけれども、その全体像を知らしめるような活動も重要です。草の根の知的財産対応力を高めるためには重要だというような方向づけをしてほしいと思います。こういうふうに捉えていただいたほうが非常にいいと思います。

○中村座長
 ありがとうございます。
 では、山口委員お願いします。

○山口委員
 国際競争力にかつて我々の成長戦略を生み出していくという観点からこの知的財産戦略というものを考えたときに、産業界ではどの分野も今、中国戦略が極めて重要なんですけれども、そういう視点からちょっとお話をしたいと思います。
 そこから考えると、このアジア共通のという前段のところでアジア新興国を支援しながら日本のスタンダードをアジアスタンダードにしていこう。これはとてもいいポイントだろうと思うんです。
 もう一つのポイントとして、いわば知財先進国である米、欧、日、これでもってできるだけいろいろな戦略を連携しながら、そしてその共通ルールの中に中国を引きずり込んでいくというような戦略もこの中にあっていいのではないかと思うんです。
 例えば、今、知財関連では中国はものすごい数の申請の洪水で、中国語の直しで各国、日本も含めて苦しんでいますけれども、例えばあれが中国語だけではなくて、それぞれの国はやはり英語と一緒に出す必要があるというような組み立てになれば随分変わってくるような気がします。
 それは一例ですけれども、そういうことを含めて知財先進国、米、欧、日でもっていろいろな連携を戦略的に組み立てていくという視点も要るのではないかと思います。以上です。

○中村座長
 どうぞ、久夛良木さん。

○久夛良木委員
 我が国の競争力強化ということで、「はじめに」のところにさかのぼる話をさせていただきたいんですけれども、そもそも2行目のところに「今後も引き続き産業競争力を維持、向上し、国際社会における確固たる地位を示し続ける」。これは割合とジェネリックな言い方で、これはいつの時代でもあったと思うんです。
 しかし今回は、今までの10年と今後の10年の話をしているわけで、何百年前ですとこれを実現するというのはまさに「軍事力」の強化であって、そこで領土の拡大、市場の拡大、そして人民の数の拡大を謀り、その後、それが「商」に移って行ったじゃないですか。マルコポーロであるとか、コロンブスであるとか、新大陸、新市場を開拓して商に移っていって、さらに「工」の時代へと移っていった。工の時代では、我が国は自動車であったり、電気機器であったり、非常にうまく立ち回って世界ナンバーワンかナンバーツーのところまでいったと思うんです。
 その後、何が起こったかというと、コンピュータの時代に移行し、我が国はそこで決定的に立ちおくれましたよね。ここには国としてさまざまな事情や背景があったかのもしれませんが、そこにフォーカスし切れなかったということが今も尾を引いている。
 それで、今、何が起こっているか。インターネットが世界規模で急速に普及する事で高度情報社会が到来し、そこにどんどん新しいフィールドが生まれているわけです。そこを生んでいくというのはやはり国の競争力そのものだと思うんですが、今後インターネットがさらに進んで、さらに高度な情報化社会に突入しようとしている中で、ここに関しての戦略議論が未だほとんどされていない。
 これは多分、前の国家戦略室等で議論されていたのかもしれないですが、ともすれば直近の話が多くて、今後、国全体を何で大きく動かしていくか。何で盛り上げていくかという本質的な議論がなかなか見えて来ない。
 ここは自然に動いていくわけではなくて、意思を持ってルールチェンジを仕掛けている人たちがいるわけです。つまり、既存のところに関してどうこういうことではなくて、新たなルール、とにかく1つは既存のルールを根底から変えてしまうということと、もし既存のルールがなかなか変わらないんだったら、新たにグリーンフィールドを見つける。つまり、新大陸を見つけていこうとしている動きがある。
 そこに関して、ここをやるんだぞという基本的なコンセンサスなくして、今までやっているものを、どこが足りなかったのか、どこを強化するのか、もうちょっとうまく立ち回れたんじゃなかったのか、だったらここをもうちょっと改善しようということだけで、この国の今後の10年の計を話ししていていいんだろうかというふうに思います。
 ということで、「はじめに」の前段のところでそれを受けるのであれば、ここに向かっていくんだ。その向かっていくために我々は何をするんだということをきちんと共有して書いていただきたいと思います。以上です。

○中村座長
 ありがとうございます。
 では、奥山さんどうぞ。

○奥山本部員
  ありがとうございます。今の久夛良木委員の御指摘もそうですし、先ほどの山口委員の御指摘もそうですし、全体の流れがつかめていない。この10年のところから出発してしまっているところに大きな問題があって、先への方向性が出てきていないと思います。
 やはり、知財で攻める、それから知財の価値を上げる。そういった大きなテーマがあって、ではそれはなぜ必要なのかというと今、久夛良木委員がおっしゃられたように農業から始まって商業、工業で情報化という流れがあって、その中で知財をどう位置づけるかという流れでないとだめだと思います。
 そうすると、例えばこの場合は知財政策の総括などというものはこの前段では取れてしまって、どこか後ろのほうにあればいい話だと私は思います。以上です。

○中村座長
 では、高橋委員お願いします。

○高橋委員
 この中小企業についての各論の部分での追加お願いの意見ですが。 その前に、今回のまとめでは全体的には中小企業ベンチャーの位置づけ及び課題の各論もかなり網羅されているので、今後10年に向けて、マイルストーンや達成レベルを明確にしながら成果が出てくることが期待され得ると思います。 さて、各論部分でもう一点追加されると良いと思うお願いの意見ですが。グローバル知財システム構築と中小・ベンチャーという結びつき部分で、システム構築のところで“目利き”支援というものをつけ加えていただけないかというお願いです。とりあえず目利き支援的な部分という名前をつけての表現ですが、イメージでいうと目利きなので“知財の価値評価”機能ということです。
 いわゆるグローバル・大企業系はもうとっくに目利き機能は充実されていますので自社や他社の知財価値を目利きしてビジネス展開できています。中小企業においてはある目的で開発し結果として生まれた知財の自社価値の認識や評価というのは当然ありますが、それだけではなくてそれら知財をどれだけ持っているから企業価値がどのレベルということが客観的にはビジネス価値的に評価されにくい。例えば金融機関などの中小企業の融資先企業評価においては、財務状況を照会する信用調査機関はあっても知財価値を照会なり目利き参照できるような機関はありません。金融機関は数字で定量化された財務諸表中心の偉業価値評価の域を出ません。今後、中小ベンチャーへのワンストップサービス支援の中に、その会社の知財相談を受け付ける枠組みだけでなくその会社の知財価値を金融機関やファンドなどの照会に対して第三者的に価値付けできる目利き支援機能が付加されると、金融やファンドが知財価値を含めた中小ベンチャーに対する企業価値評価をするようなトレンドを促しやすくなる。 またその結果、より中小ベンチャーは知的財産活動へのモチベーションを向上させるという好循環モードにもなるのでは。
 横浜市での事例ですが、横浜価値組企業の認定表彰というのが中小・ベンチャー向けにありました。勝ち負けの勝組の表彰かと思っていましたらバリューの価値での認定表彰でしたので大変に感銘を受けました。 それで、価値をどう評価していただいているんだろうと調べると、経営状態や財務状況は基礎データとして評価ポイントの注力点は知財権や知財活動への取り組み等で最高ランク企業はトリプルA(AAA)ランク付けをしていました。知財的な価値評価方法に関しては、出願件数などが基準でまだまだ内容の目利きレベルまでには確立できていない実情ですが、中小ベンチャーには貴重な認定表彰制度です。
 今後、目利き的な切り口での支援機能が知財システムに追加されると、金融やファンド系が知財システムとの繋がりが出来やすくなり、いろいろな効果が期待できるの可能性を開くのではと期待できますので、ぜひそういう目利き支援機能の検討追加をお願いします。
 また、目利き支援の機能は企業OBの活躍の場でもあります。やはり企業での活動をされた知財系の方々というのは、より産業的価値が評価しやすい。 そういう知財人材層との組み合わせ、そして知財システムとの組み合わせで目利き的な評価機能なり機関を検討項目の中に組み入れるということは大きな加速要因になると思われますのでよろしくお願いいたします。

○中村座長
 ありがとうございます。
 さて、ではそろそろ2つ目の大きな枠組み、コンテンツのほうに議論を進めたいと思います。資料1でいいますと44ページ以降になりますが、このコンテンツ強化関連についてコメント、意見などありましたらお出しいただければと思います。よろしくお願いします。

○足立委員
 済みません。先ほど早目にやってしまいまして。

○中村座長
 大丈夫です。
 では、久夛良木さんお願いします。

○久夛良木委員
 質問も含めてコメントさせていただきたいのですが、48ページで図柄のところがありますね。クラウドサービスとメディア変換ですが、左側のクラウドサービスについては皆さん多分よく知悉されていると思いますが、このメディア変換についてちょっと質問と意見を述べさせていただきたいと思います。
 1つは、左にVHSのカセットテープがありますね。それで、このVHSのカセットテープに入っている、もしくは8ミリテープに入っているものとして、1つは自分が家族を撮ったとか、旅行に行って撮ったというパーソナルなコンテンツと、それからテレビ番組を録画したものというようなものがあると思うんです。それぞれ、もちろんそれの両方が偶然映り込みも含めて入ってしまっているものもあると思うのですが、それらについてどういうふうに例えば権利処理を円滑化するとか、もしくは一定のフレームワークをおつくりになられようとしているのかということが1つです。
 それから、皆さん実感があると思いますが、今スマホで撮ったものはそのままクラウドに上がる仕組みがある。もしくはPC経由ですぐクラウドに上げることができるということで何も問題ないわけですが、我々の世代ですとうっかりすると8ミリフィルムとか、本当にいろいろな旧来のアナログのメディアを持っていると思うんですね。これらは大概、皆さんの棺桶の中に思い出の品として一緒に入ってしまうか、ゆくゆく廃棄物となってしまうかもしれませんが、これを大事な財産、一つの時代が切り取られたもの、そこに閉じ込められた時代の財産であるというふうに考えると、これを何とかしたいというような思いもきっとあると思うんです。そうなったときに、我々には残されている時間もそんなに長くはありませんし、多分それらをユーザーに代わって請け負う業者が出てくるのではないかと思います。今でも、VHSのテープがあったらDVDに変換しますよというような機器やサービスがあるのですが、そんなことだけでは到底対応不可能な量の膨大なユーザーの手元にある旧来のメディア群が存在する。そうなったときに、変換請負業者というのは、ただ一方のメディアから他のメディアに変換するだけでもいろいろな議論が生じてくるおそれはありますよね。例えば、物理メディア自体にも、私的録音・録画のためのいろいろな補償金が入っているもの、入っていないものがある。
 それで、多分今後はそれらがクラウド上に上がっていく。そのクラウド自体は、場合によっては我が国のクラウドサービスではない可能性も十分にある。そういうことを考えたときに、いかにして我々が今やっているこの議論を展開していくのかということについて、これは質問に近くなるんですけれども、つまりこの流れに対し、我が国として何かをやろうとしているのか。それとも、まずはフレームワークというか、どういうふうにすればいいというガイドラインだけを示そうとされているのか。どちらなんでしょうかということを皆さんに投げかけてみたいのですが。

○中村座長
 では、事務局からお願いします。

○木村参事官
 御質問がありましたので、お答えさせていただきたいと思います。
 久夛良木委員のほうから御指摘いただいたように、このメディア変換でありますが、まず個人でいろいろ撮りためた、例えばVHSというような映像、物によっては音声などもあると思います。そういったものを別のメディアに変換をして、例えばクラウドであったり、あるいは別のブルーレイであるとか、そういったところに変換しようとする際、私的に複製を行うということであれば、現行法制上も特にそれは私的複製という範囲内で認められるものでありますが、それが非常に大量にあるといった場合に第三者、例えば業者でありますとか、メーカーでありますとか、そういったものが支援をするというようなスキームがもしあれば、私的複製の範囲を超える可能性がございます。
 しかしながら、一定の要件におきましてそれを支援するような、認められるような仕組みというのはあり得るのか、あり得ないのかということにつきまして、今回新しい産業の創出をする中でこういったフレームワークといいますか、スキームというものが考えられるかどうかということを、これまでの制度のあり方も考えながら検討して、必要な措置を講じてはどうかというようなことを考えたわけであります。
 具体にそれがもう一点のところではどういったものを出すのかということでありますけれども、それがガイドラインなのか、あるいは先ほど申し上げました現行法制度、もっと明確にいえば例えば著作権法であるとか、そういったところの仕組みになってくるのか。それも含めて、まさしく今後検討していく課題なのかということで、今の時点で事務局サイドのほうでそういう明確な、こういうふうな形でしないといけないというところまで持っているわけではございません。

○久夛良木委員
 例えば、ユーザーが自分で撮ったものをクラウドに上げる。これは、写真であれ、ビデオであれ、現時点ではおよそのところ残念なことですが海外のクラウドサービスに上げることが多い。つまり、先ほど私がお話ししたように、そういうルールチェンジをしようという方たちが新たな市場を生み出して、そこでユーザーに新たな利便性を与えて、そこで預かるということは既に起こり始めているんだと思うんです。
 でも、その場合でも、例えば私的録音ということで日本のユーザーが日本の放送を記録する。テレビを録画する。これを上げようと思うと当然そこの国、もしくはそこのエンティティーのサービスプラットフォームのルールに従うようになるわけです。その国の法律かもしれないし、そこのエンティティーのところで、何でもOKということには自動的にならないわけですね。
 大概は今の時点だと、ほかの公共のコンテンツとか有料のコンテンツを録画したものは私的かどうかであっても受け付けないというような制限もある。つまり、変換できないという状態にある。あとは、ユーザーが撮ったものであるにしても、それがどこの国のサービスに上がるかによってルールが全然変わってくるので、その意味で例えば法整備をしたとしても、それは我が国の中だけの話になる。我が国の中だけで国境を越えて皆が動かないかというと、普通に毎日動いているわけですね。そういった中で、具体的に何が起こせるか、起こり得るかということも含めた議論が、今後なるべく早い時期にされることを期待いたします。

○中村座長
 村井委員、お願いします。

○村井委員
 私も今の久夛良木さんがおっしゃった点について確認したいことは、このVHSというのはアナログだということの例としてVHSなのでしょうか。
 つまり、この定義の本質は何なのでしょうか。アナログメディアをデジタルメディアに保存しようとするような産業のことを指しているのか。それとも、そもそも私的なものをどのように管理するかという議論なのか。その辺の「新しい産業の創出環境の形成に向けた制度整備」のターゲットが具体的に何なのか、はっきりしないというのが1点です。
 それからもう一つは、そもそもデジタルネットワーク社会に対応した環境整備というのは今、久夛良木さんが詳しくおっしゃったような部分というのはありますが、やはり、基本的にはデジタル情報のサービスのインフラストラクチャーそのものはグローバルで、国境がない。そこに対して、国の法律をどのように適用するかというのは、産業との関係でどうするか。ここをやはり戦略として、政策として明確にしていくということです。
 本質的にはグローバルに連続している空間なのですから、そこに対してほかの国と違う一つの国の知財のルールをどのようにアプライしたいのか。各国と調整して、国際協調のルールをつくっておいて、それからそれが守られるようにするのか。それとも、現行のアナログのときにできたルールをこのグローバルにつながったデジタルの空間にどのようにアプライするかという議論をするのか。この3つは違うのです。
 それで、それに関係するので、この第3のところは、まずその方針には幾つかの考え方があるという両論併記があってから、中身の議論がされるべきではないかいう気もいたしました。
 そういうわけで質問は2つで、1つはこのVHSというのはどういう意味なのかというのと、やはりデジタルネットワーク社会はグローバルな空間で、それに対してアナログ時代のルールをアプライしていこうという話なのか。それとも、新しい日本のルールをいわばいろいろな国と調整をしていこうとしているのか。あるいは、グローバルルールをつくろうと提案しようとしているのか。その辺りの感覚はどうなのでしょうかというのが2つ目の質問です。

○木村参事官
 大変申し訳ありませんでした。先ほどちょっと御説明が足りていなかったことを反省しております。
 VHSとかはまさしく例示でございます。もちろん、アナログのものということもあるわけでございますが、例えば既にデジタルになっているようなものでも、それをまとめる。ここでは例示としてDVDとブルーレイと書いておりますけれども、例えばDVDからさらにそれをブルーレイにまとめるとか、あるいはそれからさらにクラウドにするとか、そういったものを含めたものということで、アナログとかデジタルということに限っているものではございません。そういう私的な複製のものを第三者が関与するような形が考えられるかというようなことや、それが法的に認められるか、認められるような範囲でそういう新たなビジネスということが考えられるかということであります。
 それから、もう一つはそういった国際協調的なルールとの整合性というようなことでございますが、それについても私的複製をどこまで第三者が関与することを認めるかというのは諸外国にも幾つか法制があるようでございます。そういった諸外国のルールを見ながら、本件についてそういった検討というのはあり得るのかなということでございますが、それについても含めて今後どういうような仕組みをとっていくのか。制度論なのか、ここにも書いているようなライセンシングも含めて契約ベースのこともあるのか。どういった制度構築がいいのかということも、いろいろな国際的なルールや、あるいは日本で実際に行われている契約の状況等を含めて見ながら考えていくべきことかということでございます。

○中村座長
 今の点について、ほかに御意見はありますでしょうか。

○村井委員
 つまりこのメディア変換というのはメディア変換ビジネスというものの一般論だということですね。

○中村座長
 どうぞ。

○角川委員
 この図については、私も何でこれがここに出てくるのかがよくわからなかったんですけれども、今、議論を深めていくうちにとても意味があるんじゃないかと思うようになっていまして、久夛良木さんから「はじめに」という総論のところでも、10年を展望するとルールが変わると思うんです。そのルールが変わるということをきちんと認識しないと、アナログ的な持続性のもとに10年後があると思わないほうがいいと思うんです。
 そこら辺を大胆に踏み込んだ何か総論があって、それで全く完全なデジタル社会になったときにアナログルールを適用することについては無理が出るから、それは知財本部がそれに率先して対応していこう。そういう結論というか、うたい文句になると、とてもこの会議が意義を持てるんじゃないかと思うんです。
 ですから、今のこの論議を矮小化しないで、何か本質的な問題を突いているということにしてどこかで取り込んでもらいたいですね。それは、ぜひお願いします。

○中村座長
 では、久夛良木さんお願いします。

○久夛良木委員
 先ほどの私の問題提起でいろいろ議論があってすごく助かっているのですが、ここでまた質問させていただきたいんですけれども、例えば今、起こっていることというのはあるネットワーク上のサービス事業者が各国で、さっき村井先生がおっしゃったように国という概念がないので世界は一つということで動かしているわけですが、コマースということとかサービスを提供しているということだと、どこで納税するか。どういうふうに税金を納めるか。誰に納めるのか。幾らくらいという話がまず1つ。これは水際作戦でもあると思うんです。
 もう一つはサービスですが、そのサービスをその国の法律がカバーできていない、もしくは整備でできていないので、事業者側がその国にサービスを提供しないという自主規制が今あると思うんです。だけど、これからもっともっとサービスがクラウド側に移っていって、事業者もさらにグローバルになっていって、そういった自主規制もない状態で、ユーザーがいろいろな自分たちのコンテンツであるとか、さまざまなエクスペリレンスを交換し合うというふうになってきたときに、もし我が国が法律整備されていない、もしくはコンセンサスが十分得られていない場合、果たしてそれらのサービスを遮断するのでしょうか。
 これは多分、技術的なことも含めて社会的には難しいと思うんですが、そうではなくてやはり世界が動いていく中で我々日本が未整備だとするならば、なるべくその落差は埋める。解消していくというふうに持っていくべきだろうとお考えなのか、どちらなのでしょうか。
 もしそうだとするならば、議論はあるのでしょうけれども、やはりそこに何かしらの言及があってもいいのかなと思います。

○中村座長
 なかなかその辺りの書きぶりというか、引き取り方は難しいところなんですけれども、先ほど来、村井委員も御指摘になったようなグローバルな情勢があって、そこに日本のルールを今後合わせていこうというものもあれば、恐らく日本が日本型のルールをつくっていって、それをグローバルに展開していこうということも両方あろうかと思います。
 それで、今後日本が仮にTPPに入って知財の分野の交渉をするとなると、その両方の手を使っていかなければいけないということだろうと思いますが、同時に先ほど来お示しいただいているのは、今やそれを超えてクラウドサービスなどでは国家VSグローバル企業のルール化といいますか、せめぎ合いになっている面もある。特に、欧州などで盛んに議論がされております。そうなりますと、そもそも国家単位の制度とかルールというものそのものが問われているという事態かと思います。
 それで、それをここでも苦心して書いていただいておりますけれども、ルール化あるいは制度化で対応するというものだけでは済まない。ライセンシングだとか、ビジネスモデルなどで具体的にビジネスをつくりながら解決していこうというようなことも、どこまで施策として書き込めるかはもう少し議論が要るかと思いますけれども、もしよろしければもう少しその辺りのコメント、意見などもいただいて、落とし込みのヒントにさせていただければと思います。
 村井さん、お願いします。

○村井委員
 私は楽観的なので余りおっかない気はしていないのですけれども、今、座長がおっしゃったとおりの状況がこれからの10年で大事なことではないかと思います。ちょっと一言だけ余計なことだけ言ってから、今のところに戻ってきたいと思います。
 今、日本は80%くらいの人がインターネットを使っているという状況です。世界全体では、30%くらいの人がインターネットを使っている。これから10年経ったら、世界が日本と同じような状況になると言われています。つまり、世界中のほとんどの人がインターネットを使っている状況になるだろうと。これが、10年かかるのか、5年なのか、或いはもっとかかるのかという議論は多少あるとしてですね。
 さて、そうしますと、このデジタルコンテンツの流通が世界全体に広がっていくということが10年後には起こっているだろうということが前提としてあるのです。これをこういう数字で言えるというのは、国連がインターネットへのアクセスは人間の権利だと言ってしまいましたから、そういう議論が出てくると、国民がインターネットを使えるようにしないことには国連に加盟していられないぐらいの話になってしまうかもしれなくて、いずれにせよそういう方向だということです。つまり、日本の現在の状況が世界中に広がるだろう。
 また、先ほど申し上げたように、世界のデジタルコミュニケーションそのものはボーダーレスでグローバルな環境を用意している。これは今、内閣で情報セキュリティーの議論をしているときもこれが前提となっているというのが1点です。
 それから、私たちはアナログ時代から国の中でのいろいろなルールづくりをやっていて、デジタル時代の今もやっているわけです。このことを、グローバルな空間の中でどのように展開するかというのがこれからの10年の課題で、そのために一番重要なのは質の高い国内の状況をつくることではないかと思います。
 2番目は、先ほど申し上げたように国と国とが調整をしなければならない場面が出てきますから、ここができなければいけない。したがって、この知財政策ビジョンは、外交とのハーモニーがないとできないと思います。なぜかというと国の間の調整ですから。TPPというのはそういう意味だったのだろうなと思います。
 3番目は、先ほどのグローバル企業という話ですけれども、グローバル企業も基本は2か国間の調整という外交イシューです。けれども、一方ではグローバルスタンダードというのが新たにつくられていくことがありますので、そこへの日本の参加だと思います。これはTPPのような意味での参加ではなくて、この知財に関してグローバルなルールを決める。この話が出てこないとも限らない。
 WIPOも”World” Intellectual Property Organizationとはいっていますけれども、実態は国際調整なのです。しかし、これからはグローバルな空間での調整もWIPOのイシューとして出ていますので、この問題に対して日本がきちんと、本当はイニシアチブをとるとか、リーダーシップをとるとか、大きな貢献をするとか言いたいですけれども、しっかりと参加をするというのがいいのではないかと思います。
いずれにせよ、私は基本的にはその3つだと思います。いい日本をつくることと、それから2国間の調整をきちんと考えていかなければならないような世の中になるのだから、国の中で閉じていることはあり得ないということ、それから、グローバルな空間でのルールづくりに日本がどう積極的に参加できるのか。大枠的には、こういうことではないかと思います。

○中村座長
 非常に大きく本質的な指摘をいただいておりまして、その辺りは個別論に何か書き込んでいくというよりも、総論や全体認識のところで引き取らざるを得ないかもしれません。
 そういうことで、総論のところも含めてで結構ですので、残り時間でコメントをいただければと思います。

○足立委員
 この55ページから56ページぐらいで、文化遺産のデジタルアーカイブ化という、日本にとっても文化遺産をどう守っていくのかということで、56ページに書かれているように、国立国会図書館の所蔵の書籍はもうデジタル化をされて進めている等々のこともありますし、東京都写真美術館以外にも写真家協会でも昔からの写真をどうデジタル化するかなどということは大変重要なことだろうと思っているわけです。
 問題は、先ほど電子出版権のところでも申し上げましたけれども、出版者と著作権者をどう守るのかというのと同じように、日本のこのデジタル化されたアーカイブをどう日本の文化遺産として守っていくことができるのかどうか。ネットワーク社会になればなるほど、海外からもデータになっていればネットを通じてその著作権を侵害していく可能性もありますものですから、デジタル化をしなければいけない反面、それをどう保護するのかということも真剣に考えていかなければいけない大きな課題課と思います。
 ここに書かれているようないろいろな日本の文化遺産も、著作権の切れたものを含めてどういうふうに守り切っていくのかということも重要な問題だろうと思いますので、先ほどは出版のことだけについてお話申し上げましたけれども、そのほかいろいろのジャンルのものがあろうかと思いますものですから、そういうことにつきましても書き込んでいただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

○中村座長
 どうぞ。

○村井委員
 この図について足立さんからお話がありましたが、私もこれはとても大事なことだと思います。今、足立さんがおっしゃったように「守る」ということもそうだけれども、反対に「攻める」もあります。世界にアピールできるものがこの中には多く含まれていますし、世界の人が日本を研究するときにこういった文化的なアーカイブを参照して、日本の芸術や著作物を勉強し、アートを勉強して、そしてそれが世界に広がっていくということにもつながるので、これはとても大事だと思います。
 それで、質問なのですが、ここに書かれているのは確かに一つのそういった例です。問題は今、足立さんがおっしゃったような意味で、それぞれはいわば民間です。つまり、多様性のある組織でできています。
  ところが、日本にとっての大事な財産だということで、実は最初の予算は国から出ていて、運営は民間に任せるというような体制になっていたと思います。これは、それぞれの多様性があると思いますが、この絵そのものについて、何か新たに加えなければいけないミュージアムがあるとか、アーカイブがあるとか、あるいは国のレベルで新しく踏襲しなければいけない文化的な領域があるといったことの議論ができる場というのでしょうか、このアーカイブ協議会みたいなものは、本当は知財本部の下にあってもいいような組織ではないかと思います。
 そうでないと、実は今アナログでしかなくて、このままだと全て消えてしまうような領域というのは、ここに出ているだけでなく非常に沢山あって、手を打たなければいけない。ここには、たまたま手を打たれたものが出ているが、手を打っていないものにも重要なものがまだある。そういうものに対して、このコンセプトを広げていけるような枠組みがないのが現状です。質問としては、各機関がばらばらに推進中なのか、それとも何か国はまとめて推進しているのかという質問ですが、これは多分ないですよね。

○木村参事官
 お答えさせていただきます。まさしく各機関で推進を図っているということでありますが、例えばミュージアムであるとか、博物館であるとか、美術館であるとか、公文書館であるとか、そういった連携を進めていこうというような観点で総務省のほうで御検討いただいたりとか、そういうような動きはひとつあろうかと思ってございます。
 そういった中で、こういった各機関でのアーカイブを進めていくということと、その連携をいかに図っていくかが、まさしく御指摘のとおり課題であろうと思ってございます。

○中村座長
 どうぞ。

○久夛良木委員
 56ページの今の議論でちょっとコメントですが、それぞれに皆オリジナルというのがあるわけですね。著作権が切れるか、切れないかというのは別の意味で、オリジナリティーというのは必ず存在していて、そのオリジナリティーをきちんと認識して、それで保護、保管していく。これが大事だと思うんですが、一方でパロディーも引っくるめて、時とともにそこに新たな創作が加わるもの、もしくは建物のように天変地異で消失してしまって再建するもの、いろいろあると思うんです。
 そういった時系列を持った状態でアーカイブがされていくというのが今までは難しかったわけですが、今後クラウド技術がどんどん進化してくると、時系列情報を加味した上でさまざまなものをそこに溜めていくことができるという新たな可能性が出てくるわけですから、ここをもっと民間だけではなくて、せっかくこうやって産官学の方々が一緒に議論をしているわけですから、我々日本が世界に向かってコントリビューションできる領域があるんじゃないかと思うので、何かの形でつけ足しておいていただければうれしいです。

○中村座長
 ありがとうございます。

○角川委員
 今はデジタル化をするか、アナログの素材のままに置いておくかという議論に終始していますけれども、一方で今テレビが近々4kハイビジョン放送が始まるという中で、スポーツ番組みたいなライブは全部4kで流れると思うんですけれども、映画とか、過去のアーカイブはとても4kにならないんですね。
 角川でも、黒澤明さんの『羅生門』を4kで今修復して保存しているんですけれども、これを4kで保存すると1本4,000万円かかります。余りにもかかり過ぎるので、恥ずかしい話ですけれども、アメリカのハリウッドが2,000万円を寄付してくれて、それで4kにした経緯があります。もし、角川が持っているだけの2,000本の映画を4kに全部するとなると、4,000万円掛ける2,000本というものが、実は私企業の負担にかかってくるんですね。私は、そういうことを私企業にさせていいのかどうか。
 また、もう一つ、我々としては非常に切ない難しい問題が起こってきているのは、急速に映画館が今デジタル化になってしまっていて、シネコンのほぼすべてが今年デジタル化になりました。そうしますと、映画会社が持っているアナログフィルムは実は映画館でかからないという非常に皮肉な結果になってしまったんです。
 ですから、映画会社は新作はデジタルで撮るんですけれども、旧作の日本名画の数々をフィルムのままで放置するのか、デジタル化するのか。ここが今、胸突き八丁になっていまして、そこで政府のこういう保存運動みたいな話になってきたときに、そのフォーマットを4kで保存すればいいんだというふうに決めていくのか。いや、実はその後にもう8kがくるんだとか言われると、もう呆然として思考能力がなくなっちゃうんですね。
 ですから、ぜひこの保存の仕方について、デジタルの場合にフォーマットを決める。それで、フォーマットを決めたら国が推進する。
 そこで、実は今、1つの考え方として、どんどん名作が今、著作権が切れてパブリックドメインになっていくんですけれども、私企業がデジタル化して4kで保存したという場合には著作権を5年ぐらい延ばしてあげようとか、そんなふうな恩赦の特別処置をとることは何か考えてもいいんじゃないか。デジタル化することに対するインセンティブの与え方というのを知恵を使っていろいろ考えていいんじゃないか。その知恵を出すところは、実は知財本部じゃないかと思ったりして、ぜひ考えていただきたいと思います。

○中村座長
 どうぞ。

○久夛良木委員
 今、怒られそうなことを言いそうですが、逆に抱えていて何もできないといったら権利を放棄して国に納めるとか、本当に何もしないで朽ち果てていくというのがあって、後で再生できない。再生というのは、もちろん見ることができないんじゃなくて、あるところに戻すことができないというぐらいに今、大変な状況になってきて、これは多分本気でやろうと思うと、フィルムというのは相当の低温状態下、半導体の工場みたいなところにずっと保管していなくちゃいけないわけですね。恐ろしくランニングコストがかかるということも引っくるめて、これは大きな問題だと思うんです。
 それともう一つは、4kにしろ、8kにしろ、きっとそれでやってもだめでしょうね。将来、もっと情報処理がしたくなると思う。例えば生物ですとDNAを残しておけば恐竜も再生できるかもしれないということですから、将来のテクノロジーの可能性は無限にあるということで、とにかくオリジナルを残していくということと同時に、皆がやはり商業的にも学術的にも一層利用しやすくする、もしくは海賊版が出回らないようにするためにも、国も含めて産官学が力を合わせて、今後の10年を見据えてコンテンツのデジタル化を強力に推進していく。むしろ、この分野において世界に向かって我が国がもっと貢献していくということをやっていけたらいいと思います。以上です。

○中村座長
 ありがとうございます。
 先ほど来、デジタルアーカイブ特別措置法案の条文というものが頭の中をぐるぐるしているんですけれども、実現可能性があるかどうかはわかりませんが、そういったことも考えてとよいということかもしれません。ありがとうございます。
 ほかに何かありますでしょうか。よろしゅうございますか。時間が迫ってまいりました。
 ありがとうございます。皆さんからもまだまだ追加の意見があろうかと思いますので、それも事務局までお寄せいただければと思いますし、個別に委員の皆様に御意見を伺うこともあろうかと思います。そういうことで、次回はこれの案の取りまとめに向かっていきたいと思いますけれども、今後の段取りについて事務局からお願いいたします。

○畑野参事官
 それでは、もうお時間もございませんので手短に3点ほど、スケジュールが2点、それからその他が1点でございます。
 スケジュールの点でございますけれども、次回は4月12日金曜日午後2時からを予定しております。それまででございますけれども、来週の前半までに恐縮でございますが、本日の御意見でも結構でございますし、その他の意見でも結構でございますので、事務局のほうにきょうのレポートにつきましての意見をいただければと思います。できれば、その際は具体的にここのところをこう修文してほしい、あるいはここにこういうキーワードを入れてほしいというような形で御意見をいただければと思います。
 それから、スケジュールの2点目でございます。4月12日以降どうなるかでございますが、この取りまとめができましたら、その後はコンテンツの専門調査会が4月17日、それから競争力の専門調査会が4月19日でございます。それぞれの調査会に中村座長、妹尾座長のほうに御報告をいただき、またこの専門調査会のほうでも御議論があろうかと思います。その後、できれば4月中に知財本部にも御議論をお諮りしたいと思っております。それがスケジュールの関係でございます。
 それから最後に1点、このレポートにつきましては2月26日のワーキンググループ開催後に意見募集を行いました。約100を超える団体、あるいは個人の方から意見をいただいております。
 こちらの意見は、俗に申し上げると資料が立つぐらいの厚さでございますけれども、ぜひこれを参考にしながら意見を考えてみたいというような委員の方がいらっしゃいましたら、私ども事務局のほうに資料提供のお申出をいただければと思います。
 合わせて、ホームページのほうにもこのパブリックコメントにつきましては近々アップしたいと思っております。
 以上でございます。

○中村座長
 ありがとうございます。
 100を超えるパブコメをいただいているということでございまして、今、説明がありましたようにサイトの上でもアップされるということですので、ぜひ皆さんにもごらんになっていただければと思います。また、具体的な御意見をお寄せいただければと思います。
 そういうところで、時間がまいりました。きょうの会合はここで閉会したいと思います。
 どうもありがとうございました。