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 トップ会議等一覧知的財産戦略本部権利保護基盤の強化に関する専門調査会 [印刷用(PDF)]


第9回権利保護基盤の強化に関する専門調査会 議事録


1.日 時:平成16年5月13日(木)14:00〜15:24
2.場 所:知的財産戦略推進事務局内会議室
3.出席者:
【委員】阿部会長、久保利委員、下坂委員、高林委員、竹田委員、中川委員、野間口委員、山田委員、吉野委員
【事務局】荒井事務局長、小島事務局次長
4.議事
(1)開会
(2)知的財産の関連人材の育成について
(3)閉会


○阿部会長 それでは、久保利委員は若干遅れるという連絡が入っておりますので、ただいまから「権利保護基盤の強化に関する専門調査会」第9回会合を開催させていただきます。
 座ったまま進行させていただきます。
 御多忙中のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 議事に入ります前に、模倣品・海賊版対策の強化のとりまとめにつきまして、御報告を申し上げます。
 前回、御意見があった点につきましては、時間的な制約があることから、事務局の方で委員の方で調整してもらうことを前提として、最終的なとりまとめを、私、会長に一任していただきました。
 その修正案につきまして、事務局の方で関連の委員の方と調整をしていただいた結果、委員の皆様の御了解をいただきましたので、資料1ということでまとめができました。
 模倣品・海賊版対策につきましては、2月以来4回にわたって活発な御議論をいただきました。委員の皆様の御協力に感謝を申し上げ、御礼を申し上げたいと思います。
 これにつきましては、何か事務局で宿題みたいなところはよろしいわけですね。
 それでは、そういうことでございますので、資料1を後ほどごらんいただければと思います。
 それでは、お手元の議事次第にもございますが、本日の議事であります、知的財産の関連人材の育成について意見の整理を行いたいと思っております。前回の続きでございます。よろしゅうございますでしょうか。

(「はい」と声あり)

○阿部会長 それでは、前回の会合でも申し上げましたが、この専門調査会には、知的財産人材の育成に御自身で携わっていらっしゃる方がたくさんおられますので、本日は、その中の一部の方から取り組みについて御紹介をいただきたいと思います。
 実は、最初に久保利委員にお願いしたいと思っていたんですけれども、若干遅れるという御報告をいただいておりますので、下坂委員からお願いしてよろしゅうございますでしょうか。

○下坂委員 はい、わかりました。本日は、私の方はペーパーを出しておりませんが、私のお願いと申しますか、発明という原石を知的財産という財産権に育てるという保護のところで、その保護のフェーズというのを、今、弁理士会でやっておりまして、このフェーズは知財立国の方向性にとりまして大変重要だと考えているところでございます。それは、保護がうまくないと、いい加減ないろんな財産権がたくさんできてくる。しかしそんなことは避けなければなりません。私ども弁理士にはいろんな御注文とか、風当たりの強いところもございますので、我々もブラッシュアップしていくと同時に、現在急激に増え続けております弁理士合格者に関しましても、技能を充実させる、そういう人材を育てたいと思っております。
 また、弁理士になりましてからも人材の育成ということは勿論大切なので継続をしていくということになりますけれども、保護の部分における人材の育成は、いろいろ検討してみたのですが、やはり知的財産専門職大学院というのを中核にすることが良いと考えています。知財専門職大学院が日本全国に幾つかできてくれれば、そこでいろいろ求められております高度専門職だけでなくて、いろいろなアドバイザーの方とか、創作に関わっていただける方とか、いろんな人材が豊富に生まれ育ってくるというふうに考えております。
 この専門職大学院をおつくりいただければ、私どものやっております研修もかなり制度化いたしまして、大変楽になってくるのではないかというふうに思っているところでございます。
 是非、知的財産専門職大学院の設立を進めていただきたいと思っています。一昨年でございましたか、文科省の方から、私どもにとりましては大変うれしいサプライズのような形で、この制度が発足したと知らされました。このことは、文科省に大変感謝しているところでございます。それで、これは、作れば、作れるのですから、私どもこれから具体的な方向に向けてやっていきたいと考えているのですが、先般、中山先生のお話にもございましたように、漠然とやりますと大変難しいと、ほとんど不可能に近いというようなお話がございましたが、ここは一つナポレオンの辞書の心理で、それを何とかクリアーしながら進ませていただきたいというふうに考えております。
 それで、この推進計画の改正に関して、特にまとめでございますか、これに関してお願いがございますのは、弁理士は急にここ3年間で従来の10年間に相当する数が増えておりますので、そのことも一緒に考えていかなければいけないのですが、推進計画において、まず、今後いろいろ検討していく火種を絶やしていただきたくない。そのまま残していただきたい。しかも、もう少し強力な表現でお残しいただければというふうに考えております。
 今日、お配りいただきました資料5のページ2のところに「弁理士・弁理士試験」というのがございます。「弁理士人口の拡大が進みつつある中で、弁理士の資質の向上を図るため、知的財産専門職大学院等との関係も踏まえて、試験制度や研修の在り方について検討していくべき」と。後半の方は、そのまま現在の推進計画に書かれていることでございます。
 この「との関係も踏まえて」という日本語が大変難しゅうございまして、その解釈が人により何通りかあると聞いております。日本語で「踏まえて」というと、思慮して、分別してというような意味や、または、よりどころ、立脚地というような解釈もあるということで、必ずしも英語のベースド・オン、何々を基にしたということではないような解釈もできます。先ほど申しました知的財産専門職大学院の設立を進めていただきたいというか、我々は力を尽くしていきたいというところがありますので、ここの表現を「知的財産専門職大学院の活用も含めて」と、もう一歩進めた形で御表現いただけないか、というのが私の提案であり、お願いでございます。
 私の方は以上です。

○阿部会長 知的財産専門職大学院につきましては、前回もいろいろ御議論がありまして、ちょっと御報告しておいた方がいいかなというのは、あの後で、総合科学技術会議の中にあります知的財産専門調査会、一部の方は、こことダブっているんですけれども、大学の関係に焦点を当てた議論の中で、同じような議論、ディスカッションになりました。
 同じようなのというのは、諸手を挙げて賛成で積極的な御意見と、ちょっと待ってくれという御意見とがありまして、やはりこの間、中山先生ほか、ここでも御議論がありましたように、出口がよく見えないと。弁理士養成というようなお考えの方もいますが、そうでない方がいいんじゃないかというような御意見とか、いずれにしましても、受験生あるいは学生から見て、この知的財産の専門職大学院に入学したらどういう将来が明確に立てられているかというようなことを含めて議論がございました。かなりダブっていると思いますけれども。
 たまたま文部科学省の課長が、担当かどうかわかりませんが、来ておりまして意見を聞きましたら、やはり専門職大学院というのは、一定の職業を念頭に置いたものをこれまでも考えてきましたので、幅は勿論あると思いますが、そういうことを踏まえて、今後、更に検討して、文科省としてやる意思は、もうはっきりしているようですけれども、具体的にどういう制度設計にしたらいいかということを、そういった御意見を踏まえて検討するということを言っておりましたので、そういう整理にさせていただきました。
 もし、それでよければ、この議論とかなりダブっていますので、そういうことで前向きは前向きでいいんですけれども、目標がもう少し明確な位置づけにしていただくと、特に学生から見てですね、そういうことに整理をしましたが、あの席には荒井事務局長、竹田委員ほか出ておられましたので、何か補足していただくことがございましたら、どうぞ。

○竹田委員 昨日の、今、会長が御紹介になりました専門調査会に私も出席していて、皆さんの議論を聞いていたんですけれども、やはりかなり実現には困難が伴うのではないかという感じの意見が強く出ている一方、弁理士の中島委員を始めとして、積極的に推進したいという意見も出ていまして、なかなか意見がまとまる状況ではなかったと思います。 それで、文部科学省の見解は、今、会長から御紹介のあったようなことで、結局、現段階としてはその辺で集約していかざるを得ないので、その意味では、私はこの前の中山先生の御発言もありましたし、当専門調査会におきましても、この資料5に書かれているような意見の整理で皆さんの意見を統一できるんではないかと思いますので、その線でまとめたらいかがなものかと思っております。

○阿部会長 大学側の委員で積極的な御意見もございましたので、思いは積極的であるんですけれども、では具体的にということになると、少しあいまいな状況であったわけです。
 では、その辺はよろしければ、共通理解をさせていただければありがたいと思います。 それで、今、2ページの(1)のところで「知的財産専門職大学院等との関係も踏まえて」というところに「の活用も踏まえて」と修正の御意見がございましたが、この点はいかがでしょうか。

○下坂委員 「も含めて」と。

○阿部会長 「活用も含めて」ですか、そうですか、わかりました。「大学院等との活用も含めて」という御提案。これについてはいかがでしょうか。
 事務局は何かありますか。

○荒井事務局長 他の委員からの取り組みの御紹介を一通りおうかがいしてからにしますか。

○阿部会長 その方がいいですか。

○荒井事務局長 そうですね、ここだけやるよりも、一度皆さんの御意見を聞いて。

○阿部会長 わかりました。それでは、一通り御意見を伺った上でということで、進めさせていただきます。
 ほかに下坂委員の御発言に対してございますか。
 それでは、順番を元に戻しまして、久保利委員から御提言をいただきたいと思います。

○久保利委員 資料2をベースに、私が直接関与し、設置認可の段階から第二東京弁護士会と学校法人佐藤栄学園で提携をしてスタートいたしました、大宮法科大学院大学という単科大学院について報告します。どこの法学部の上にも載っていない、学校法人の傘下には勿論入っておりますが、単立の大学院大学でございます。
 ここの場合には、全教員のうちの3分の2が弁護士の実務家教員です。恐らく、ほかのロースクールと比べて著しく実務家専任教授の割合が高いというふうに思われます。私もその一員であります。
 今年の4月からもう既に開校しておりますが、入学者100 名が定員のところ、97名でございました。この97名は夜間50、昼間47です。夜間は定員満杯でございますが、昼間は結局退職できずロースクールに行くのをやめたとか、若干の方々がいらっしゃいまして、3名の欠員が出ております。
 定員をオーバーフローしてもいけない、欠員になってもいけないということで、非常に神経の使う入試でありましたけれども、そんな結論です。
 そのうち、夜は全員が現役の社会人であります。それから昼間も社会人が大半でありますけれども、これは社会人定義によりますが、3月まで社会人だったという人が約30名おりまして、したがって、純粋の学卒で、大学を出てすぐにこのロースクールに来たという人は20人程度。この中には勿論、法学部もおりますが、それ以外の方々もいらっしゃるという状況です。
 その中で、理科系の人の出身というのを、まだ正確には把握していないんですけれども、職域的に言いますと、例えば医師11名とか、それから特許庁の審査官、審判官が3名おりました。これらの方は夜間の部に通っておりますが、この方々は、いずれも理科系であります。それから企業の出身者、これは2種類に分かれておりまして、1つは法務部に配属されて、法律をやや、やってはいるという人々です。しかし、大宮の場合にはすべて3年制でございまして、既習者コースはありません。したがって、既習者としてロースクールに2年で行くだけの自信はないという方々、これが企業出身の中の相当数を占めます。
 しかし、一方で、むしろそれよりも多いというふうに思われますのは、企業で開発を現実にやっている方々、例えばフラッシュメモリーの開発をしていらっしゃる方、あるいはIBMだとか、あるいはNECで開発研究をやっていると、そういう人たちが現職のまま夜間に通ったり、あるいはそこをお辞めになって昼間の部に通ったりということで、理系出身者が34名もいます。
 それから弁理士が3名おりますけれども、この弁理士の方々は、どうも出身を見ると理科系の方のようであります。
 そういうような方々を対象にして、今、教育をしておりますが、資料2にありますように、実は、知財教育というのは、3人の担当教員がこれを分担するわけであります。
 最初のシラバス(4単位科目)というのが知的財産法で、これは牧野和夫教授、国士館大学の教授でありますが、もともとはアップルの法務部長で、アメリカの弁護士資格を持っている、アメリカのロースクールを卒業して、アメリカのミシガン州の資格をお持ちの米国弁護士でもあります。
 この授業計画をごらんいただきますと、第1回から、最終回が第30回までありますけれども、要するに毎週1回、15週間ずつに2つの学期を通して行うと。1回は100 分授業であります。
 したがって、15週間第1学期をやりまして、その次の第16回目からが次のセメスターに入る。本学のセメスターは4か月であります。
 これをごらんいただきますとおわかりのとおり、それこそ網羅的にオリエンテーションから日米特許戦争というところで面白い話を少ししながら、特許の話をずっと進めていく。当然、米国特許訴訟というのも入れる。それから国内特許訴訟と。それから行政手続の関係での審決取消訴訟等々も含めて取り扱う。
 次は、商標から入りまして、意匠、著作権、不正競争防止法、国際条約、それからTLOを含めて第28回などはゲストスピーカーを交えて、知的財産の価値評価手法というところまで入れ、かつ企業法務、知的財産部、法律事務所、特許事務所の役割論というふうな盛りだくさんのことを、これを年間通して30週間にわたって行うと、これが1つあります。 もう一つは、私が担当する「エンターテインメントと法」というものでありまして、これは2単位であります。この資料2の4ページになります。
 これは、授業計画第1回から第14回までということで、すべてエンターテインメント・ビジネスを中心、すなわち著作権法、不正競争防止法、商標権等々が絡むものであっても、何々法という法律の切り方ではなくて、ビジネスと契約書、あるいはビジネスの実態、こういうものを議論しながら、具体的にどういうふうに契約書をつくっていくか、交渉をどのように行っていくか。いろんなエンターテインメントがありますので、そのコンテンツの中身、あるいは第11回に見られますように、スポーツ選手や俳優などの代理人として弁護士がどう活躍をするかと。これからこういうスポーツ選手などの代理人というのもエンターテインメント・ビジネスの中の1つになるだろうというふうに考えております。
 そういう意味では、幅広いさまざまな業務を中心にして、法律を中心にするのではなくて、切り口はあくまでも一定のビジネスを中心にして、そのビジネスに法律がどう絡むか ということをディスカッションし、ソクラティック・メソッドで授業を行っていくというものです。
 もう一つは「IT法」という、増田晋教授でございます。
 この方は、森・浜田・松本法律事務所のパートナー弁護士でございまして、カリフォルニア州弁護士、ニューヨーク州弁護士両方持って、かつ日本の弁護士であります。
 この方が担当されて、インターネットを巡るいろんな法律問題、当然その中には著作権法とか、プライバシー権とか、いろんなものが入ってくるという、とりわけプロバイダーの責任、あるいはインターネットを巡るさまざまな法的問題というのを、言わばIT取引法という切り口から講義を行うというものでありまして、これらを全部取れば8単位ということになるわけですけれども、4単位プラス2単位プラス2単位ということになります。
 6ページの一等上の「シラバス(4単位)」とありますが、これは2単位の間違いであります。これを今、実行しようということで、ただ、いずれも1年次ではありませんので、2年次、3年次にこれが開催されていくということであります。
 したがって、まだ現実にはスタートしておりませんが、これをベースに大宮法科大学院大学では、是非、さっき申し上げた多様な経歴を持つ学生たちに、こういう多様な知的財産教育というものを授けて、それぞれが特許の、あるいはエンターテインメントの、あるいはコンテンツの弁護士として世界中にはばたいていってもらいたいと、こういう計画を立てて、今、実行に着々と移そうとしているというところでございます。
 一応、私の方から御報告させていただきました。

○阿部会長 ありがとうございました。では、質問をいただきたいと思います。
 これは、学生のうち何割ぐらいの学生が聴講されているんでしょうか。

○久保利委員 基本的には選択科目ですから、どれだけ取られるかわかりませんけれども、少なくとも、今、私自身が現代弁護士論というのをやっておりまして、これは昼の人も夜の人も両方出られるという選択科目なんですが、これは100 名中75名が受講しておりまして、学生といろいろ議論をしながら聞いてまいりますと、知的財産権弁護士になりたいという人は非常に多い。特に理科系を出た人たちですね、この人たちの大半が特許弁護士になりたいということを考えております。
 それから、実は、広告代理店とか、あるいは松竹などのようなソフトウェアそのものをつくっている会社の社員で本学院に来ているという人がいます。この人たちはコンテンツ・ビジネスをやりたいと。
 特に、広告代理店の中で、実はスポーツ関係の仕事をしていたという人もいます。サッカー協会とか、そういう関係を持つ方々は、スポーツ選手の代理人として、サッカー選手を代理する弁護士としてはばたきたいというので、もう今からそれを計画して、したがって仕事先との関係も絶たずに、勉学をしています。
 現に、先日、お陰様で立ち上がりました、エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワークでは、法科大学院の学生も歓迎だというふうに言いましたところ、既に幾つかの法科大学院の学生さんが加入申し込みを行っているそうでありまして、まさにそういう意味では、相当ロースクールの学生の中には、これを受講し、この仕事で弁護士として活躍していきたいという人が相当いるんではないかという感じがいたします。

○阿部会長 何か特にございますでしょうか。
 どうぞ。

○山田委員 ちょっと勉強不足なんですけれども、法科大学院というのは、皆さん弁護士を目指しているんですか。

○久保利委員 そうです。出口は弁護士です。裁判官とか検事というのもありますけれども、基本的には法曹。

○山田委員 司法試験を通るために。

○久保利委員 そうです。

○山田委員 そのときに、こういう単位は司法試験の試験に出るんですか。

○久保利委員 司法試験の選択科目として、この知的財産権の科目を是非入れてほしいというお願いはしておりますし、しかも前回配付になりましたが、日本中の法科大学院大学で知財がないところはないと、勿論、2単位ぐらいでそれが偉そうに言われたら困るという御意見もございましたけれども、しかし、ないところはないという点では、非常に幅広く、どこの大学にいても勉強ができると。

○山田委員 今は入っていないんですね。司法試験の中の試験科目に。

○久保利委員 現行司法試験には入っていません。

○中川委員 新しい新司法試験の選択科目としては、知財は、今、候補に挙がっておりまして、幾つかの科目が法務省の司法試験委員会からパブリック・コメントを行っているという段階です。可能性は高いんではないかと思います。

○久保利委員 可能性は非常に高いということですね。

○阿部会長 ありがとうございました。御質問はあろうかと思いますが、また後でお願いすることにして、では高林委員からお願いします。

○高林委員 私は、用意しました資料3という紙一枚に基づきまして、早稲田大学法務研究科における知財教育について、ごく簡単に御説明したいと思います。
 早稲田大学のロースクールは、1学年300 名という定員で、日本では最大だと思いますので、その人数のメリットを生かしながら専門的なコースをつくりたいという基本的な発想から、9つの専門法務関係のコースをつくっております。
 渉外法務とか企業法務等々も含めて、その中に1つ専門法務(知的財産系)というものを用意しております。
 この基本的なコンセプトは、理論的な教育、それから実務的な教育、その間の理論と実務を架橋する教育という3要素でつくってありまして、知的財産法概説、それから特許法・意匠法、商標法・不競法、著作権法、それから条約等を巡る国際的知的財産権、次に欧米知的財産権法、ここまでが理論的な学問という位置づけをしてあり、これらはすべて2単位で展開していきたいと思っております。
 そのほかに、知的財産紛争処理法、欧米知的財産紛争処理法は、裁判であったり、契約交渉であったり、弁護士実務であったりといった、理論と実務を結び付ける架橋的な科目として、実務家教員と研究者教員とが合同でやる授業を2つ設けております。
 一番最後のところの3年後期では、リーガルクリニック、臨床法学教育というものを導入しております。早稲田大学では、一つの売りとしてリーガルクリニックというものを展開しておりますけれども、その中での知的財産権というのをどのようにやっていくかというのは、何年にもわたって議論をしてきました。
 リーガルクリニックというのは、基本的にはリーガルサービスに恵まれない社会的弱者に対して、ロースクールの学生が無償でそれをバックアップしていく中で勉強していこうというシステムですので、知的財産法というのは、そこになかなか合わないと言われているのですが、実はアメリカではリーガルクリニックにおける知的財産分野というものは、かなり積極的に進められています。それはリーガルサービスという意味ではなく、むしろ実務に対する批判的な精神といいますか、そういうところから政策提言をやっていくクリニックなどとして行われているわけですけれども、早稲田大学でもその辺を視野に入れながら展開していこうと思っています。
 基本的な人数としては、知的財産法概説というのは2クラス設けていまして、各クラス40人、合計80人までは受け入れ可能です。一学年300 人のうち80人程度は受講できるということです。
 それから、それぞれの専門分野については、1クラスですので30人ないし40人は受講できます。
 次に、クリニックは4人の教授、非常勤の先生方1人が学生5人に対してマンツーマン的に教育していくことにしております。クリニックの担当者は実務弁護士3名と、公務員派遣法に基づいて特許庁から派遣して貰う方ですので、教室のほか、特許弁護士事務所や特許庁などで実務教育を行っていくことになります。1人の教員が学生5人ずつ程度ということですから合計20人ということです。したがって、概説を受講する総数は一学年80人まで広げておいて、最終的にエリート的なパテント・アトーニーを育てるという意味ならば、1学年で20人程度ということで考えています。
 教員の構成は、ここに書いてあるとおり、専任教員が3名、内1人はアメリカロースクールの教授に客員教授として担当して貰います。
 学生の内訳ですけれども、前回あやふやな記憶のままでお話ししてしまったので、ロースクールの事務所で調べてもらった結果を、参考資料3に書いてございますが、総数は定員300 人に満ちておりませんで、277 人ということですが、そのうち社会人が92人おります。早稲田大学の場合は、社会人というのは3年以上の実務経験を有する者ということで、司法試験浪人等々は社会人とは言っておりませんから、3年以上完全に社会で経験を積んできた者という意味での純粋な社会人が92人、つまり全体の3分の1いるということがわかります。
 そのうち、法学部卒の社会人は34名、他学部卒の社会人も58名でありまして、社会人以外の者といいますと、そのまま学部から来たような学生についての内訳も他学部から来た者も51名ということになっているということで、全体から見ると、やはり法学部卒の者が160 名ほどおりますけれども、他学部卒の者もかなりのウェートでいるということがわかりました。
 そのほか、理科系の者としては、工学系の者が25名、農学系の者が2名、医学系の者が6名というふうにおりますし、理系、文系を問わず、社会人として企業法務部、知財部等々で知財関係についての実務経験があると思われる者も15名ということがわかります。
 このように、80名を基本的にし、最終的に20名はエリート的な知財弁護士に育てたいという発想の枠の中にはある程度収まっていて、更に希望者が増える期待もできるのではないかなというふうに思っております。
 ただ、これは大宮法科大学院と同じように、2年後期からの授業ですので、今年の秋にやっと20名だけのクラスが知財に入ってくるということですから、そのうち1割だとすると2人しかいないと、5割でも10人と、どうなるのかと、その辺はやや心配しておりますけれども、次年度になりますと300 人近い人間ですので、そのような数はカバーできるのではないかということで、早稲田のロースクールから恥ないパテント・アトーニーが年々20〜30人ずつ増えていけば、10年で300 人というようなパテント・アトーニーが早稲田から生み出せるのではないかというふうに思っておりまして、この辺で知財をますます強化していきたいというふうに思っているところです。

○阿部会長 ありがとうございました。何か御質問はございますか。
 それでは、中川委員から御発言をいただきたいと思います。お願いします。

○中川委員
私のメモは資料4でございますが、観点といたしましては、資料5の2ページ目の(5)と(6)を踏まえて、大学での知財法教育の現状及び個人的な提案ということをお話ししたいと思います。
 2ページの(5)といいますのは、これは2行目から3行目「法科大学院としての、またさらには大学院法学系研究科としての取り組み」とあります。法科大学院だけではなくて、やや幅広の観点から現状を御説明したいというふうに思います。
 それでは、資料4に戻っていただきまして、お話を申し上げます。
 「神戸大学における知的財産法教育」ということでありますが、まず、法科大学院の御説明をいたします。
 「(1)『IPロイヤー』養成が3本柱のひとつ」ということでございます。神戸大学は、国立大学としては一橋と神戸だけだと思いますけれども、もともと旧制の商業大学でございましたので、いまだにその伝統がございます。
 その関係で、ビジネスローについては、昔から教官が非常に多くございますので、法科大学院でもビジネスローをフルライン開講をしております。
 中でもとりわけ知的財産法分野につきましては、我々の売りとしているところでございます。
 例えば、学生の履修ガイドラインということで、法曹のイメージを3つに分けておりまして、市民生活型の職業法曹、企業法務型、そして3番目に知財法型、すなわちIPロイヤーの養成ということでございますが、こういう3本柱を立てまして、それぞれ自分のイメージを描いてもらって、それに合わせた選択科目を取ってもらうというふうなことを学生に指導しております。
 2番目でありますが、そのIPロイヤー養成のためのカリキュラムとして、どのようなものがあるかということでございます。まず、量的には純粋に知的財産法の科目ということで14単位を提供しております。
 私自身は知財法の担当者ではございませんで、行政法の担当でございますが、私の方は、憲法と行政法を合わせても上限が12単位しかないんですけれども、知財だけで14単位という、こちらからすると非常にうらやましい状況なんです。
 というのも、いわゆる必修科目、憲法、行政法、刑事法、あるいは民事法等は規制がかかっているんですね。これは必修の司法試験科目ですので、こればかり勉強するような法科大学院ではだめだと、予備校になってしまうということで、これらの科目は非常に厳しく上限何単位までとなっていますので、我々は非常に窮屈な思いなんですが、知財法の先生方は非常に伸び伸びと授業を展開されております。
 この純粋に知財法の科目だけで14単位というのは全国屈指、恐らく早稲田が一番多いんではないかと思いますけれども、全国的には2番目ぐらいであろうと思います。関西では最大であります。
 そして、もう一つの特徴でありますけれども、これは神戸大学の法科大学院全体の特徴でもありますが、理論重視という傾向です。強力な実務は強力な理論によって裏づけられるということでございまして、体系的に深い理解を得させることが必要で、創造的な実務家となるためには、流行の後追いではなくて、よく基本をわかってもらわなければ困るということでございます。
 2ページ目の2行目であります。
 設置認可時の計画ですので、今後学生の要望を聞きながら変更もあり得るのですが、著作権法で4単位の1つの科目、商標法、不正競争防止法ですね、これが4単位、そして特許法で4単位と。それぞれを専任の研究者教員2名が持つということで、かなり周到な基礎的教育を行っております。
 その上で、実務的能力を涵養させるということです。特に知的財産法を自分の本当の専門分野にしたいと思うような学生をほぼ15名程度絞り込みまして、R&W(Resarch and Writing )という形で、実際に起きるような問題を、実務家教官及び研究者教員共同で2単位のゼミを提供いたします。これはある種のエリート養成ゼミなんですけれども、知財以外にもいろんなR&Wゼミがございますけれども、知財については、そういう感じで考えております。
 更に、知財法の関連分野、すなわち「知財法を専門とする職業法曹になるために有用な関連科目として」、まず、@として競争法として知財法と関連があります独占禁止法を中心とする経済法、これが3科目計8単位。それから、国際知財法という観点から、国際経済法、国際私法・国際民事訴訟法、国際取引法、国際法、最後の部分は、いわゆる国際公法ですが、こういった科目がそれぞれございまして、そのほか租税法等もございます。
 この経済法の担当者、あるいは国際私法の担当者は、それぞれまた知財法との絡みでの著作の多い方でございますので、ここまで含めますと14単位以上の科目提供があるということになります。
 3番目でございますが、平成16年度の入学試験の結果、どのようなバックグラウンドを持った学生が入ってきているのかということでございます。
 これは、数字的には先ほど早稲田の数字と見事に同じような割合です。うちの場合は学生定員が100 名でございまして、応募が1,400 、入学手続が104 名ということがございました。その後、職業を持っている人がおりますので休学者が結構出ており、現在の在籍者は、未修者が26名、そして既修者が66名でございますが、職業経験者が未修18、既習18、足すと36で100 名中の36で、大体30%超が社会人経験者であると。
 そして、自然科学系の出身者でありますけれども、未修者が6名、既習者が3名、足すと9名で、これも100 分の9ということで約1割が自然科学系の出身者であるということでございます。
 既習者の中に生命科学の博士号取得者までいるということで、かなりびっくりしたんですけれども、それも含めて既習者でも3名ほど自然科学のバックグラウンドのある人がいるということで、これはかなり多様化が進んでいるというふうに考えられます。
 以上が、法科大学院の状況でございます。3ページ目が、それ以外の法学系研究科の中での知財関係の教育についてであります。
 これは、前回、私が申し上げたことと関連するんですけれども、弁護士のリカレント教育であります。
 法科大学院というのは、専門職学位課程という非常に厳しい縛りがいろいろありまして、余り自由なことができない。例えば留学生であるとか、そういうのをなかなか受け入れる余地はないんですけれども、それでどうするかということで、現在、既にある法学系のいろんな大学院のコースを使おうというわけでございます。
 3ページの真ん中に表がございます。これは神戸大学の例でありますが、大学院の法学研究科の中に実務法律専攻、理論法学専攻、政治学専攻という3つの専攻をつくりまして、実務法律専攻が法科大学院にあたります。
 そして、理論法学専攻が、いわゆる従来の法学系の大学院というイメージでございます。そのマスターコース、いわゆる修士課程の中に研究者、専修、社会人とある中に、その中にもう一つ法曹リカレントコースを今年から設置いたしました。
 これはどのようなものかと申しますと、言うまでもなく、弁護士さんを中心に何か業務上直面して、もう少し十分専門性を高めたいという人に是非入ってきてもらうということでございます。
 (2)で、その概要でございますが、法曹資格を持つ者、及びこれに準じる者ということでございますので、弁理士さんも当然念頭に置いております。
 それから、この法曹リカレントコースに入りながら、隣りの法科大学院の知財系の講義を受講するということを認めるという形で、法科大学院とリンクさせようというふうに考えております。修士は最短の場合1年で取れます。知的財産法分野のみの受講及び論文で、1年で修士号を取れるというようにすることも近い将来可能と考えています。可能であれば、勿論、ドクターコースにも行くことができます。
 この法曹リカレントコースは今年から設置されたんですが、試験が去年の10月でございまして、去年の10月というのは、まだ法科大学院の設置認可前の時点ですので、ほとんど宣伝していなかったんですね。ですので、受験生はだれも法曹リカレントコースを知らずに、現在、弁護士さんの学生がいるんですけれども、社会人コースに入ってきてしまっております。恐らく来年度からこういうのが全面的に推進されるということになろうかと思います。
 そして、4ページ目でございますが、今までは神戸大学の現状でございましたが、ここからは大学としてではなくて私の個人的な提案でございます。「将来的展望」ということで、これまで述べましたように、神戸大学の法科大学院では、新人法曹の養成、そしていわゆる既設の法学研究科の大学院では、法曹リカレント教育ということを始めたばかりであります。
 しかし、知財法教育はこれで完結するわけではない。例えば、弁理士の再研修、企業の知財担当者の再教育、理科系技術者の啓蒙教育等々、更には、著作権等に関する学内・学外に対する啓蒙教育と非常に幅広いものがございます。
 こういったものを、どうやって大学で取り込むか。あるいは、法科大学院、弁護士リカレントと連携しながら、しかしそれにとどまらないこういった要請をどのような受け皿でやっていくかというふうに考えますと、恐らくは幾つかの拠点大学に知財教育研究センターというものをつくる、あるいはそういうプログラムをつくるというのが、まずは考えられる方法だと思います。やや具体的なイメージとしまして、当該大学から数名の教員が加わるわけですけれども、主としては内外の多数の知財法の実務家が、教師として、ゲストスピーカーとして、あるいは学生として集うと。これには、前回申し上げましたような留学生も含めるわけですけれども、更には理科系の研究者等も含めて、知財のいろんな問題、新しく出てくる問題について逸早くキャッチし、そしてそれについての解決策を蓄積しておくというふうなシンクタンク的な機能を持たせるセンターが必要であろうと思います。
 実は、こういうセンターは、最後のパラグラフに書いてございますが、神戸大学の法学研究科でも、いわゆる21世紀COEプログラムとして、「市場化社会の法動態学」研究センターというのをつくっておりまして、これは直接には知財がテーマではないんですけれども、そこの研究センターの1つの成果として、仲裁教育を法科大学院に還元するということを、この後期から始めることになっております。
 同じような仕組みで、こういう知財研究センターというのが大学にあり、それが大学内の法科大学院その他の研究科のいろんな研究、あるいは理科系の学部と連携することで、知恵を提供し、あるいはニーズを吸収して、いろんな情報を蓄えておくというセンターが全国の幾つかの大学にあると非常によいのではないかというふうに考えている次第でございます。
 以上であります。

○阿部会長 ありがとうございました。それでは、何か御質問がございましたら、どうぞ。

○高林委員 この大学院の社会人コースとか法曹リカレントコースというのは、やはり夜間開講ということですか。

○中川委員 社会人コースは、夜間が中心です。法曹リカレントもそうなると思います。 下坂委員からございました、知財専門の専門職大学院がもし難しいようであれば、こういう社会人コースとか、法曹リカレントコースをうまく使うという方法もあるかもしれません。

○下坂委員 今でも、弁理士個人個人は、いろんな大学に属したり、いろいろな自己研鑽にものすごく励んでいるんですね。ただ、まとまったものがないんですね。だから、そこから何も出てこなくて、みんなそれぞれはやっているんですが。いやこういうのを修了しました、というものがない。そこで中核となるものが欲しいと考えておるのですが。

○中川委員 大学もなかなか危ないビジネスには手を出せないというのがありまして、ですからまずは何かセンターかプログラムをつくって、それで様子を見るというのが、私なんかは安全かなと思うんですけれども。これは確かにニーズがあると思えば、例えば法曹リカレントコースをまさに専門職大学院の方にやっていくという、2段階的な感じの方が。

○下坂委員 そうなんです。今、うかがいながらそう思って、先生の方に説得にうかがおうかなと思っていました。どうもありがとうございます。

○久保利委員 専修コースというのは、ある意味で言うと社会人コースと言えると思いますが、専修コースと社会人コースはどこが違うわけですか。

○中川委員 社会人コースは、職業経験がある者でありまして、法律の素養があるかどうかは問わない。非常に広いものなんです。それに対して専修コースは、基本的には法律、政治系の学問を修めた学部生がもう少し勉強したいと。だから、修士だけで終わるんですね。そういうイメージです。
 現在、法科大学院ができましたので、研究者コースも専修コースもマスターコースでは実定法は除くと書いてありますので、もう採用しないことにしております。全部法科大学院に行ってくださいとなっています。ちなみに、法科大学院の将来の教員は法科大学院に行って、その後ドクターコースに行くという形になっていくということになります。

○久保利委員 ということは、実定法部分についてのコースはロースクールにお任せをして、ということはロースクールにLLMというか、学部のいわゆるJDに相当する今のロースクールの上でにそういうものを乗っけようという、潜在的な御意志があるというふうに承っていいんですか。

○中川委員 上に乗っけることは、多分制度上できないと思いますので、この理論法学専攻を使うと、つまり今まである博士課程を使うと、ここに来てもらうというふうなイメージです。だから、修士課程を飛ばして、JD取ったら今度はPhDを取ってもらうと。法科大学院から理論法学専攻の研究者コース、博士課程の研究者コースに行ってもらうというようなイメージです。

○阿部会長 それでは、時間もございますので、次の中でも関連した御意見をちょうだいできると思いますので、「知的財産の関連人材の育成についての意見の整理」についての議論に移りたいと思います。
 前回、配布しました検討課題をベースに、前回の御議論や委員の皆様からの意見を踏まえまして、事務局に「知的財産の関連人材の育成についての意見の整理」として、資料5のとおりにまとめてもらいました。まずは、小島次長から主要な点の説明をしてもらいたいと思います。お願いします。

○小島事務局次長 それでは、お手元の資料5の「知的財産の関連人材の育成についての意見の整理」について御説明します。
 まず、全体の構成でございますが、前回の資料では、取り組むべき施策に関する意見と参考情報とを並べて書いておりましたけれども、今回の意見の整理の中では、意見のみを列挙する構成にしております。それでは、前回の御議論、及び委員の方から御意見のあったところを中心に御説明いたします。
 まず、資料5の1ページでございますが、「1.弁護士等法曹・法科大学院・司法試験」の項ですが、(1)では、知的財産法を新司法試験の選択科目とすべきであるという意見に加え、知的財産法は範囲が広範なため、他科目と比較して受験者に過大な負担を与えないような配慮が必要であるということを付言してございます。
 2ページ目でございますが、一番上(3)として、法的素養を有する者が技術的素養を習得して知的財産人材として活躍できるよう法科大学院と理系学部・大学院との連携を促すべきであるという点を追加しております。
 1つ飛んで(5)、弁護士・弁理士その他の社会人が法科大学院で知的財産法の講義を受講できるようにする等についてでございますが、知的財産についての基本的な意見の習得に対するニーズや、知的財産についてのより一層専門的な研究に対するニーズが存在することを踏まえて、多様なプログラムを用意すべきであるということを付け加えております。
 その下(6)、知的財産に強い法曹を養成するためには、法科大学院に知的財産関連科目が開設されていることだけにとどまらず、知的財産に重点を置いた法科大学院といった特色のある取り組みを支援していくべきであるということを新たに追加いたしました。
 (7)といたしまして、優秀な人材の知的財産人材への動機付けを高めるとともに、知財に強く国際的にも通用する人材を育てるためには、弁護士自体の量的拡大及び資質の向上が必要であるということも追加しております。
 続きまして「2.弁理士・弁理士試験」でございます。(2)では、先ほどの弁護士と同様、優秀な人材の知的財産人材への動機付けを高めるとともに、知財に強く国際的にも通用する人材を育てるためには、弁理士の量的拡大及び資質の向上が必要であるということを追加してございます。
 3ページ、「3.専門職大学院」でございます。(1)では、知的財産に関する専門職大学院の設置を推奨する際には、育成すべき人材の理念や教育内容等についても引き続き議論を深めていくべきという点を追加いたしました。
 「4.人材育成のための環境整備」の項ですが、(1)では、企業の人材の能力向上のみならず、多様なバックグランドを持つ者を知的財産人材として育成するために、夜間の法科大学院の一層の拡充が必要としております。
 また(3)では、任期付審査官について、任期終了後は知財人材として中小企業支援などその実務経験を活用すべきであるということを追加しております。
 以上が、資料5の関係でございます。
 次に、その下に、別紙として、別紙1、別紙2、別紙3があるかと思いますが、前回の会議で知的財産関連人材の量的な状況や需要予測についての御意見がございました。前回も申し上げましたけれども、現在は知財人材の需要予測というところまで検討が進んでおりませんので、とりあえず知的関連人材の各分野ごとの大まかな状況と、日米欧の若干の比較ということで、参考資料として別紙を用意しております。
 ごく簡単に御説明いたしますと、別紙1が「知的財産関連人材の状況」ということで、この資料は一番下に「出所」がありますけれども、総合科学技術会議の知的財産専門調査会で、昨日出されました報告書案を基に作成したものでございまして、知的財産関連の人材を分野別にそれぞれどのぐらいの人数の方がいらっしゃるかというのをとりまとめたものでございます。一番下に合計欄がございますけれども、多く見積っても5万人程度ということになっております。
 続きまして、2ページ、別紙2のその1ということで、これは法曹人口について諸外国との比較をしたものでございまして、法曹人口、裁判官、検察官、弁護士でございますが、法曹人口で見ますと2段目でございますが、日本は人口比で見てアメリカの約十八分の一、イギリスの五分の一ぐらいという数字となっております。
 3ページ、その2でございますが、日本、米国、中国の弁護士の数、ストックとフローの数での比較ということで、それをグラフ化したものであります。左側がストック、登録者の数で、日本に対して米国が100 、中国が10。それから、右側がフローの毎年の合格者ということでございます。
 4ページ目が別紙3で、これは日米欧の弁理士の数と特許の出願件数の数を比較したものでございます。
 資料の説明は、以上でございます。

○阿部会長 ありがとうございました。資料5の方は、これまでに出された各委員の御意見を基に検索、追加、整理をしてもらったものであります。本日、各委員からの御説明も踏まえて、更に追加する意見があるかどうか確認をさせていただきたいと思います。先ほど、下坂委員の御提案はありましたけれども、そのほか全体を通して特段の御意見がある方がおられたら、資料5について御発言をいただきたいと思いますし、また何の御質問でも結構でございます。お願いします。

○山田委員 企業は弁護士を雇っちゃいけないんですか。採用というか。

○久保利委員 できます。

○山田委員 できるんですか。

○久保利委員 弁護士会の方も今は、いわゆる許可制というのではなくて、届出制ということになっておりますので、弁護士会に届出をするだけで全く問題ありません。

○山田委員 そうすると、今、我々のところも公認会計士が事務所を辞めて結構来る人がいるんですね。公認会計士になったら、むしろ公認会計士事務所に行った方がいいんじゃないかと思うんですけれども、そこに勤めていても辞めてくる人がいるんですね。そうすると、弁護士なんかも給与というか報酬を上げていけば企業の中に入ってくると思うんですね。そういう人たちを、逆に言ったら、もう既に司法試験通っているわけでから、むしろそれを企業側として鍛えるという手も一つの即効性があるんじゃないかと思うんです。 ですから、今それができるんであれば、そういった形のものも中に少しうたうと、即効性が。勿論、大学院でこうやってやるのが長い目で見た場合、非常に有効だと思うんですけれども、今すぐにだんだん早く効かせたいとなると、本当に切った張ったでちゃんと、ある意味知的財産を争っているようなところで、法律を知った人をそこに入れてそれをやらせるというのが、結構効果あるんじゃないかというふうに、今お聞きしていて感じました。

○久保利委員 例えば、アメリカでは8万人の弁護士が企業の中で働いているわけです。100 万人弁護士がいるといっても、まさに企業の中で働いている人が10万人ぐらい弁護士でいるわけです。日本の場合には、それぞれの会社にいても1人か2人か、せいぜい今ざっくり総合して100 人程度というふうに言われているんですね。日本の企業の中で雇用されて働いている弁護士さんは。そうすると、もう桁が全然二桁ぐらい違うわけですね。三桁も違うかもしれない。そうなってくると、やはりこれからは弁護士がどんどん増えていくけれども、企業の中で、今、山田さんおっしゃったような、そういうスタイルで当然競争が起きてくる。弁護士の方も事務所に行こうか、企業へ勤めようかというのもあるでしょうし。逆に企業の方も内部から育成していく方がいいだろうか、でき上がった弁護士を採用しようかというふうな感じの競争関係が両方に出てくるんではないかと。
 そのためには、弁護士というものを余り固定化して考えない方がいいし、常に法廷弁護士ということだけで弁護士というイメージを持っていると、逆に企業の中に入ったときに法廷活動を余りしないけれども、弁護士としてのこういう能力があると。あるいは、研究開発に絡む中で、ここは危ないから、契約書はここを押さえておきましょうというようなアドバイスが、やはり法律の専門家としてできるというのは、非常に企業にとっても意味があるんだろうなと。そういう点では、弁護士像そのものが変わっていき、企業法務そのものも実は変質をしていくという、両方が相かみ合って大きな変革が知的財産権部分について起きてくるんではないかと思うんです。
 ですから、弁護士を雇うのは、多分昔は企業は法務部で雇うという話だったと思うんですが、これからはむしろ知財ロイヤーを知的財産部で雇うと、特許部で雇うと、そのときの働き方は従来の法務部セクションの動きとは違うということが、私はあり得るんだろうと考えます。

○山田委員 やはり知的財産の関連人材の育成というふうにうたってあるんですけれども、人を育成するというのは、プロ野球の選手とかサッカーの選手と同じで、運動能力が高い人は一番いい、もうかるプロ野球か、あるいはどこかへ行くわけですね。別にお金にならないところに行かないわけですね。だから、例えば、アメリカがサッカーが弱いとか。やはり運動神経が高い人はそっちへ行くと。そうなってくると、やはり報酬が高いようにしないと、非常に重要な人材なわけですから、報酬を高くするということになってくると、企業だとそれが結構できるんです。勿論、弁護士の先生の中で高いものができると思うんですけれども、でも企業の場合にはある程度若い弁護士を、それをかなり知的財産の方に持っていこうとしたら、ある程度報酬を通常の弁護士事務所より高くすれば来る人が出てくると思うんです。
 そういった形で育成していくと非常に、今お聞きしていて、強い人材ができるかなという感じがしました。

○久保利委員 おっしゃるとおりだと思いますが、逆になぜ今、100 人しかいないかというと、企業のサイドがむしろそれは大変難しいことであると、年齢給、昔のような年功序列で考えていくと、突然若いくせに資格を持っているというだけで高い給料をもらうことに対する社内的な調整が非常に難しいと。
 ただ、これからは職務給になりますね。

○山田委員 それは、やはりどうして公認会計士が来るかというと、ストックオプションとかそういうものを必ずねらってくるんですね。ですから、そういった形で企業の在り方も変わってきますから、随分そこのところが同じような形としては逆に行きやすいかもしれません。エスタブリッシュメントのところに行きずらいかもしれません。

○阿部会長 ありがとうございました。どうぞ。

○吉野委員 企業の立場で申し上げますと、近年の大きな特徴は、やはりグローバルな係争のマネージメントみたいなものをする人材のようなニーズが非常に高まってきていると思うんです。
 これどこに入れたらいいのかわかりませんが、グローバルに活躍できる人材というのが、これから特に求められてきているんだと。中には一部国際的に活躍できる弁理士、弁護士の養成と書いてありますが、その背景と言いますか、そういうところにもうちょっとその点を強調していただきたいという感じがするんです。
 それは、必ずしも欧米ではないかもしれないし、アジアが最近非常に、我々も議論にしました模倣品の話も含めて、ライセンシングだとか係争だとか、そういうことで非常にグローバルなニーズが高まっていることを一つはっきり明記していただきたいという感じがします。
 それをどういうふうに、どこで、どう入れるのかというのは、今はまだわかりませんけれども、先ほど久保利先生のところの話をお聞きしますと、かなりアメリカの弁護士資格を持っている先生が、いろんなことをお教えになるということで、かなりそういうニーズに答えていただけるのかなという感触はありますけれども、全体としてもうちょっとそこにポイントを置きたいという感じがします。

○阿部会長 国際的に通用する人材を育てるためにはという文言が2か所あるんですが、量的、質的拡大の話が書いてあるわけですね。

○吉野委員 これは弁護士さんの話なんですね。

○阿部会長 これはどうなんですか。例えば、大宮の法科大学院のような教育が一番システマティックなんですか。

○久保利委員 これもまだ始まったわけではありませんので、我々の今、計画を立てている段階ですから、これが本当にやってみてどういう成果に結び付くかというのは、実験的な要素がないわけではないんですけれども。ですから、今、吉野委員おっしゃったように、国際性というのは、単に語学ができるとかというのともちょっと違うファクター、要するに、複数の比較法的な視野と言いますか。相対性を持って、アメリカはどう、中国はどう、日本はどうという、常にそういう比較をしながら、それぞれのところの有意差、日本のいいところ、あるいはアメリカで訴訟を起こした方がいいケースというふうな目配りが多分広い視野を持つということをおっしゃっておられるのかなと思います。 そうすると、単に英語使い人間だからいいということではなくて、できなきゃ始まらないけれども、そういう視野を持った知財弁護士なり、知財の専門家というのは欲しいだろうなという気はしますね。

○吉野委員 ぽんと飛ばされてしまうときがあるんですね。アメリカで訴訟を起こしたら、ヨーロッパでカウンターの訴訟を起こされるとか、逆になったりね。そういう世界的に非常にダイナミックにやっている部分もいっぱいありますから、したがってまずはこの認識といいますか、背景のところでグローバルな要素を入れていただきたいと思います。

○久保利委員 現状認識の1番目の○の技術、経営、芸術というところに、国際性とか、何かそういうようなことを入れるということですか。

○荒井事務局長 あるいは1つ○を起こして、もう知財は国際的な問題だということで1つ○を起こした方がよろしいんではないかと思います。

○阿部会長 ありがとうございました。

○荒井事務局長 今の点で、たまたま御指摘のこうした知財人材には、法律のみならず、技術、経営、芸術と、昨日の会議では企業の方から法律のみならずというのを落としてくれと。なぜかというと、企業の知財人材は、法律からスタートするんじゃなくて、技術からスタートするとか、そういうこともいろいろあるんだという御指摘がありましたので、その整合性を考え、ここは直すかもしれません。

○阿部会長 法律が大切なことは間違いないんですけれども、冒頭にのみならずと。

○久保利委員 そうなんですけれども、だけど、芸術性がやや低くても何とかなるかもしれないけれども、法律を知らないと知財人材としては、始まるのはともかくとして、技術から入って一向に結構なんですが、結局法律わからないというと、知財人材なのかなというところが、知的財産権の問題なんで、そこはやはり、のみならずと書くかどうかは別にして。

○荒井事務局長 そこは、向こうの総合科学技術会議の方の議論と調整したいと思いますが、なぜかというと多様なバックグランドと書いていますので、この法律のみならずがいいのかというような議論もございますので、御紹介だけさせていただきました。

○阿部会長 ありがとうございました。
 どうぞ。

○竹田委員 昨日の総合科学技術会議の議論は、弁護士がどうあるべきかの問題とは違うのではないですか。弁護士としては、久保利委員のおっしゃるように、法律のスペシャリストでなければならないわけで、それが基本的に、絶対的に重要だということは明らかなところですから、それの上に乗っかって、更に広い視野、識見を持つように努めましょうというのであれば、そのとおりだと思いますので、そういう趣旨で修文されるなり、新たな項目を起こされることについては、私は全然異論はございません。

○阿部会長 知的財産人材としてというか、弁護士・弁理士にポイントを置くか否かでは、勿論違ってくるでしょうね。ほか、いかがでしょうか。

○野間口委員 全然考えがまとまっていないんですけれども、小島次長の方から、別紙1、2、3の数字の説明をいただいて、前の方の人材育成を考えるべき事項の整理との照らし合わせをやってみますと、特に別紙1の現状に対して、どこをどうすべきか、どうしたいんだと。あるいは、少なくともそこまで行かなくても喫緊の課題としては、こういったところをまずやるべきではないかとか。ある程度の方向性というか、定量的とまではいかないけれども、特に問題が大きなところとか、そういうのを整理のところで、注力すべきところとしなければと思います。単に並べただけだなと感ずるわけです。
 高林先生とか中川先生の話を聞いていると、特に法曹関係で、どんどん人材を育てていただけるなと思うんですが、果たしてそれが本当に日本のニーズにマッチしているのかと、本質的なニーズ、経済的なニーズではなくて、というところがちょっと心配ですね。猫もしゃくしも知的財産ではなくて、やはり役に立つ知的財産の強化でなければいけないので、そこの深彫りができないものかなと。そういう問題意識というか、基礎になる哲学みたいなところがあって、こういう整理が並んでいるところに問題が感じられるわけです。私自身の考えも、まだ十分に整理されてないんですけれどもね。

○高林委員 ただ、この別紙1で弁護士人数「約20,000人」と書いてあるんですけれども、知的財産関連人材で弁護士2万人と言いますと、弁護士2万人すべての数ですね。ですから、2万人がすべて弁護士だとすると、今、ロースクールで、私の早稲田で毎年20人つくっていきますよといっても、もう2万人もいるじゃないのという話かもしれませんけれども、本当の意味での知的財産専門の弁護士の数というのは、ごく少ないわけですね。ですから、今のお話で、猫もしゃくしも知財というレベルには全く達してなくて、知財弁護士の数は絶対的に不足していますね。ただ、資料1だけを見ると弁護士だって既に2万人もいるじゃないのということに思えてしまいますけれども。

○野間口委員 やはり絶対的に不足している、まず増やすべきだという方向性が示せる範囲の具体性があってもいいんじゃないかと。

○下坂委員 裁判官も200と。

○久保利委員 こっちは、3,300人と編注では書いてあって、これバランス悪いね。

○荒井事務局長 誠に申し訳ないんですが、まさに弁護士は左のところに弁理士登録している人は300人と書いているのは、それをにおわせてということです。なぜかというと、弁護士の先生に聞くと万能ですから何でもできますというんで、何人というのは難しい。それから前回も吉野委員から需給見通しはどうかという御指摘がございまして、今まで実は余りこういうことをやってなかったもので、第一歩としてデータを集めたということです。ついてはこれをステップに、今の野間口委員の御指摘のように、どういう方向で、どういうところに注力していくかとか、そういう議論を深めていくことが必要だと思いますので、この点を意見の整理に追加して、更に検討するなど、よくニーズをつかみたいと思います。

○竹田委員 今の点よろしいですか。この別紙1というのは、資料5に添付されるものですか。

○小島事務局次長 いや、そういうものではございません。

○竹田委員 添付されるわけではないのですね。数字が非常に大まか、かつ不正確なような気がするんですね。例えば、地方で裁判官、調査官、専門委員と入れれば、約二百人かもしれませんけれども、専門委員はまだ任命されて、実際に仕事をやっている人は一人もいないわけですから、それもみんな数に入れているとすると、極めて不正確ですね。 東京高裁20人ぐらい、東京地裁、今度は4か部で16人ぐらいの人数ですから、それで大阪で2か部で6名になるんですけれども、その程度が知財専門の裁判官で、ほかには知財専門の裁判官はいないわけですから、その辺のところは資料としてオープンにするのであれば、もう少し正確な数にした方がよろしいんじゃないかと思います。

○久保利委員 難しいんですね。弁護士でも、例えば、私なんか弁理士登録していないけれども、訴訟事件としては、特許だ、著作権だ、コンテンツだというのは結構やっています。弁理士登録している人はどうかというと2種類あって、本当にそういう業務をしている人と。何か2つ弁護士、弁理士と重なると、何となくグレードが高いと思われるのではないかと思って登録をしている人とか。だから、この300人というのが知財弁護士の数かというと、これはまたちょっと合理性はないと。
 それから、申請業務しない弁護士というのは、かなりいるわけですから、そうすると弁理士さんである必要はないと。
 こんなふうに考えていくと、実は正確なデータがないというのが実際なんだろうなと。2万人の中で著作権をやっているから、一応知財の保護に関わっているよと言われると、そうでないと言うのも大変心苦しいところもありまして、これを難しいですね。

○下坂委員 規定できないですね。何でもできるというのが前提ですから、裁判官もそちらに移られればおやりになるでしょうし。だからそれをどのように数えるかというのは大変難しいですね。

○阿部会長 これは、総合科学技術会議の専門調査会が出典になっているんですが、更にどこかに出典、どこから持ってきたんでしたか。

○扇谷参事官 それぞれのところでお聞きして、いろいろな範囲まで広げて拾いました。

○阿部会長 聞き取り調査ですか。

○扇谷参事官 聞き取りがほとんどです。ですから、マックスに近い取り方だというふうに御理解ください。

○野間口委員 だけど、多く見て5万人はいるんだと。我々としては、ある種の情報だなと思いますけれどもね。

○阿部会長 これをどうしていくかというのは大変難しいんですが、倍増するとか、そういう考え方はあるかと思いますけれども、ではどこを増やすかという議論は、きちんとはなされてない。いろんな御希望はあると思いますけれども。一定の参考にはなると思います。
 さっき事務局長が言われたように、何かそういう、今、結論は出ませんけれども、作業をすることについて言及していただくと。
 ほか、いかがでしょうか。先ほど山田委員からあって、企業内のブラッシュアップの問題、それから下坂委員からあった文言の表現の問題がありましたけれども、その辺について何かうまく事務局で考えてみていただくということをお願いしたいと思います。

○荒井事務局長 はい、わかりました。

○阿部会長 あとはいかがでしょうか。もし他に御意見がないようでしたら、この辺で人材の問題について整理をしておきたいと思います。前回も申し上げましたけれども、委員の皆様の人材育成に関する御意見を推進計画の改定に反映させたいと考えております。事務局には、本日の御意見等を踏まえまして、最終的な意見の整理をお願いいたします。
 後刻、事務局から委員の皆様には、最終的な確認をしていただくように、御連絡をしていただけるようですので、よろしくお願い申し上げます。
 なお、最終的に調整ができましたら、事務局から皆様にお届けするとともに、公表をさせていただきたいと思います。そういうことでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部会長 それでは、本日の専門調査会、少し早いですが、閉会をさせていただきたいと思います。若干復習をさせていただきますと、昨年の10月以来9回にわたって会合をもたせていただきまして、知財高等裁判所、特許審査迅速化、模倣品・海賊版対策の強化、そして知財関連人材の育成と、非常に奥が深く重要な問題につきまして、熱心な御議論をいただきましたことに対して、会長として改めて感謝を申し上げます。
 なお、知的財産高等裁判所設置法案と特許審査迅速化法案につきましては、衆議院を通過したと聞いております。参議院に行っているんですか。

○荒井事務局長 はい。

○阿部会長 更に模倣品・海賊版対策の強化、人材関連につきましては、知的財産推進計画の改定に反映するということになっておりまして、知財立国に向けた取り組みを着実に進め得るものだと考えております。
 知的財産計画の改定版につきましては、知的財産戦略本部会合が今月末に開かれますが、そこで決定をされることになっております。今後、本専門調査会の進め方については、改めて事務局から御連絡をさせていただきたいと思っております。事務局から何か御発言ございますか。

○荒井事務局長 特にございません。

○阿部会長 そうですか。先生方、何かございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、御多忙中のところをありがとうございました。