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第6回 先端医療特許検討委員会 
議事録

  1. 開 会 : 平成21年4月3日(月)16:00〜18:00
  2. 場 所 : 知的財産戦略推進事務局会議室
  3. 出席者 :
    【委 員】 金澤委員長、片倉委員、北川委員、小泉委員、佐藤委員、白石委員、須田委員、永井委員、中内委員、長岡委員、羽生田委員、林委員、本田委員、渡辺委員
    【参考人】 磯部保険局医療課薬剤管理官、南特許技監、田村審査基準室長
    【事務局】 素川事務局長、内山次長、小川参事官、高山参事官
  4. 議 事 :
    (1) 開  会
    (2) 先端医療分野における特許保護の現状と課題について     
    (論点整理)
    (3) 自由討議
    (4) 閉  会


○金澤委員長 お出でになる予定の方がまだ全部は揃っていないんですけれども、時間になりましたので、第6回先端医療特許検討委員会を始めさせていただきます。
 永井委員は、遅れて来られると伺っております。
 まず初めに、3月17日の朝ですが、某新聞をご覧になってびっくりされた方も多いと思います。私もびっくりいたしましたが、あたかも結論が出たかのようなことを書かれまして大変奇妙な気持ちになりました。皆さん方と今、まさに議論しているところでございますので、あれはあれとして淡々と議論を続けさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 今日の第6回目では、まず、片倉委員と渡辺委員から発明に関します具体的な事例をそれぞれプレゼンテーションしていただきまして、その次に、追い追いお見えになると思いますが、前に本田委員からご指摘がありました特許を取ると薬価が高くなるのではないかという、その辺について厚生労働省にお願いいたしまして、特許と医療費の関係について後でご説明をいただくことにしております。後でご紹介いたします。
 それでは、配付資料について事務局から説明してください。
○内山事務局次長 配付資料でございますけれども、議事次第の下に配付資料の一覧がございます。
 資料1は、片倉委員のプレゼン用の資料でございます。資料2は、渡辺委員のプレゼン用の資料でございます。資料3につきましては、先ほど委員長のお話にございましたが、厚生労働省からの説明資料でございます。そして、資料4と資料5は事務局からの説明資料でございまして、資料5には、更に別添1、2、3と3種類ついてございます。
 以上でございます。
○金澤委員長 何か不足がございましたら、どうぞおっしゃってください。
 申し遅れましたけれども、いつもご出席いただいております厚生労働省の外口医政局長は、国会の関係で本日はお見えになれないということでございますので、ご報告いたします。
 それでは、議事の2番目になりますでしょうか、先端医療分野における特許保護の現状と課題についてということで、始めたいと思います。
 最初は片倉委員から、最終的な診断を補助するための人体データ収集方法発明の仮想事例について、ご説明いただくことにしております。
 それでは資料1に基づいて、片倉委員、どうぞお願いします。
○片倉委員 私からは、このタイトルにあるように、診断を補助するための人体データ収集方法発明の仮想事例ということで、ご説明したいと思います。
 これから3つほど具体的な仮想事例を出してご説明させていただきますが、今までは審査基準の考え方の中で、ここに示している内容については特許としての権利がなかなか認められなかったということでございまして、先日来、ちょっと議論させていただいております測定方法の物の考え方について、今後の考え方について整理していければということで、ご提案させていただきたいと思っております。
 初めに、具体的には、いわゆる診断装置に関する発明ということで、一番初めのシートには、具体的な対象としてMRIのお勉強ですね、撮影原理について簡単にお示しております。
 これを@からEの方向で順にご説明いたしますと、MRIは、そもそも身体の中の水素原子核に印加した電磁波の変動を読み取って画像化するものですけれども、@にありますように、通常の自然状態の中では体内の水素の原子核それぞれがバラバラな方向を向いている。そういう状態のものがMRIの装置の中、強力な磁場に入りますと、水素原子核が一斉にある配向をします。それに更に所定のパワーの電磁波、高周波パルスを印加する、それによって領域的の水素原子核が一斉にパワーに応じた角度、フリップ角と称しますが、これだけ励起されて傾斜します。次にその電波を切ると、磁気共鳴の信号を発生しながらAの状態に戻る。このように、電磁波をかけてある角度に傾斜する、それをまた元に戻す、こういうステップを繰り返していくわけですけれども、特定のスライスからMR信号を発生させるために、ステップBCを所定のタイミングで3方向に傾斜磁場を印加する。これを複数回、所定回数繰り返し、画像化していく、これがMRIの撮影原理でございます。
 次に、これが具体的な事例でございますが、ここでお示ししておりますのは、下の破線の中に示してございますように、撮影時間の短縮や所望のコントラストでの画像取得のため、水素原子核を所望のフリップ核で励起するように高周波パルスのパワーを制御する、こういう発明でございます。
 これをクレームするときに、上に書いてございますように、磁気共鳴撮影装置の制御による磁気共鳴撮影方法において、被検体の所定関心部位内の水素原子核が所定のフリップ角だけ励起され得るよう高周波パルス及びスライス傾斜磁場を印加する第1の工程、ここで下線を引いてございます部分、被検体の所定関心部位内、これはまさに人体に対して傾斜磁場を印加する、こういう操作になるわけでございます。この第1の工程と、位相エンコード傾斜磁場を印加する第2の工程と、前記被検体から発生する云々─第3の工程、こういうものを組み合わせたことを特徴とする磁気共鳴撮影法、こういう内容でございます。
 今、お話ししましたように、この下線の部分が人体に対する作用を含む工程ということで、今まではなかなか特許として扱っていただけなかった、こういう特許としては記載していないというのが今までございます。
 次に、仮想事例2でございます。
 これはMRIのアンギオでございますけれども、下に人体図、漫画がございます。磁場強度の傾斜と、上に楕円が5つ並んでいますが、一番右を頭、次の一番大きな楕円が体躯、その次が大腿、それから下腿、足先、こういうイメージで見ていただければお話が分かると思うんですが、ここでは磁気共鳴撮影装置の制御による非造影磁気共鳴アンギオグラフィー撮影法において、ここは位相エンコード傾斜磁場の方向を血流の走行方向とほぼ平行な方向に設定する工程と、被検体の所定関心部位を励起するよう高周波パルス及びスライス傾斜磁場を印加する第1の工程、これは下に磁場強度の傾斜をつけてあって、要するに、体躯から末梢の方に血流が流れます。それと平行に磁場の傾斜をつける、ここのところを説明したのがこの絵でございます。
 この第1の工程と、位相エンコード傾斜磁場を印加する第2の工程と云々ということですね。こういったことを含むことを特徴とする非造影磁気共鳴アンギオグラフィーの撮影法ということで、ここで目的とする特許の範囲でございますが、傾斜磁場方向に沿って移動する血流が他の制止組織とは異なる位相の磁気共鳴信号を発生する性質を利用して、造影剤を使用せずに血管画像を撮影する発明、こういう内容でございます。
 3つ目でございます。
 これはMRIではなくて超音波でございますが、被検体、人体のある特定の臓器をイメージしていただければいいと思いますが、被検体に第1の音圧を有する超音波を照射し、反射された超音波を受信して第1の超音波画像を収集する工程と、これは造影のためのマイクロバブルを使ってございますが、マイクロバブルから成る造影剤を注入された前記被検体に、前記第1の音圧より大きく、前記マイクロバブルを破壊する第2の音圧を有する超音波を照射し云々、こういう工程ですね。この前記第1及び第2の超音波画像を同一画面に表示する、こういった工程を有することを特徴とする超音波撮影法。
 ここでは,マイクロバブルを強い音圧により破壊したときの強い反射波による超音波画像と、バブル破壊後の通常の音圧により新たにバブルが流入する画像とを並べて表示する、この右下の図を見ていただければよろしいと思うのですけれども、これを表示することにより血流動態の観察を容易にする発明、こういった内容でございます。
 最後の「まとめ」のシートでございます。
 1、2、3と仮想事例をお話しさせていただきましたが、こういった事例は、特にこのアンダーラインを引いた部分に明記しておりますが、人体の特定の部位に電磁場や超音波等の特定の作用を及ぼし、その応答信号を測定して、断層画像等の人体のデータを収集することに特徴がある発明です。このため、下線部分のような人体に対する作用を含まずに記述することは非常に難しいというものでございます。
 しかしながら、現在の審査基準におきましては、こういった発明は「医療方法」に該当するとして扱われますので、特許化できません。括弧書きの中にあるとおり、診断方法の発明に該当するとして特許の対象外であるという考え方でございます。
 包括的に発明を保護するために、通常、機器としてのクレームの仕方は色々あるわけですけれども、こういった、いわゆる測定方法の発明を保護するために、概念としての方法クレームで権利化しておきたい。装置クレームという物、これだけで権利化した場合には、権利解釈において具体的なハードウェアに限定解釈されてしまう可能性が出てくるかもしれない。
 こういうことで、MRI2つと超音波1つの仮想事例でございますが、こういった内容については最終的な診断を補助するための人体データの収集方法としては、一応測定法の特許としてお認めいただけると、ある程度広い範囲でのクレームをかけやすくなりますし、物を明確にする方法にもなると考えてございます。
○金澤委員長 ありがとうございました。
 これに対して、何かスペシフィックなご質問ございますか。全体の議論はまた後でと思いますが。
 1つ伺いたいんですが、フレア画像というのがありますね。これは普通のT1強調、T2強調とも違うシークエンスを持っているわけですが、あれはどこかで特許になっているんですか。
○片倉委員 すみません、正直申しまして私、画像系は専門ではなくて、そのご質問には非常に答えにくいんですが。
○金澤委員長 そうですか。
 確かにこの仮想事例1に相当することなんですけれども、ああいうものは、ソフトが特許の対象になることは分かるのだけれども、特許になっているんですかね。それをちょっと教えてほしいんだけれども、どなたかご存じありませんか。─ご存じない。分かりました。では、これは後で調べてもらうことにしましょう。
 確かにこの仮想事例1に相当することなんですけれども、ああいうものは、ソフトが特許の対象になることは分かるのだけれども、特許になっているんですかね。それをちょっと教えてほしいんだけれども、どなたかご存じありませんか。─ご存じない。分かりました。では、これは後で調べてもらうことにしましょう。
 どなたかご質問ございませんか。
 それでは、次のお話も伺った上でまたお伺いしましょうか。
 渡辺委員から、細胞や薬剤の用法・用量に特徴のある発明の具体的な事例について、ご説明をお願いします。
○渡辺委員 前回、用法・用量に特徴のある医薬関連発明に特許保護を与えたら、ちゃんと開発して患者に届くようになるんですねといったご指摘もございましたので、多少これまでのご説明と重なる部分もあるんですけれども、再度ご説明させていただきたいと思います。
 2ページをご覧ください。
 新用法用量医薬品開発のシーズとニーズということであります。
 もちろん全く新規の医薬品の場合もそうですけれども、やはり患者さん、あるいはお使いになるお医者さんのニーズが大事でございまして、新用法用量の場合にも、今までにある薬に加えて、新たな治療の選択肢というものが望まれております。更に、既にある薬でありましても副作用等で使いにくいとか飲みにくいというように利便性に問題があるような場合は、やはりQOLの向上が望まれております。こういった現場のニーズとかアイデアを参考にして実際に研究活動に反映することで、新薬並みに価値の高い新用法用量医薬品がたくさんできたらということでございますが、左に書いておりますように、それでは、シーズはあるのかということでございます。
 四角の所に書いてありますように、医薬品の開発というのは、幾らフェーズ1以降、臨床開発に入りましても、色々な理由で潰れてしまいます。例えば安全性でありましたり、あるいは有効性が十分でなかったり、色々な理由でございます。そういった開発中止品というのはかなりたくさんございます。こういった開発中止品が、前にキュビシンとかイリボーでご紹介いたしましたように、科学の進歩によりまして遺伝情報とか、あるいは作用機作とか毒性のメカニズムとか、そういったものが解明できるようになりますと、そういう毒性の軽減なり、あるいはよく効くようにするといった使い方の工夫によって復活することがあり得るということでございます。
 また、最近、多くのベンチャーも開発中止品を取り上げて、古いものが多いんですけれども、それを新たに薬として復活させるといった活動も、現在、多くなされているところでございます。
 また、既に売られている薬でありましても、今までにご紹介いたしましたように、副作用等に課題のある医薬品の改良はもちろん大事でございまして、抗がん剤とか免疫抑制剤といった副作用に課題のあるもの、あるいは前にご紹介いたしましたフォサマックのように、飲むのにかなり不便であるような場合には、やはり飲みやすくするといったような工夫が必要でございます。
 6ページには参考までに、これまでにご紹介いたしました用法用量の代表的な事例に二、三新たなものをつけ加えまして、これまでに開発された事例を示しておりますが、これ以外にも、先ほど来ご説明しておりますように、開発中止品であるとか、あるいは副作用に課題のある医薬品というのはたくさんございまして、予備軍がたくさんあるとご理解いただけたらと思います。
 3ページに参ります。
 もちろん企業でございますから、そういった開発をするのに投資判断というのは考えないといけない部分でありますが、一応医薬品の研究開発、これはよくご存じのことだとは思いますが、モデルの図としてご紹介いたします。
 縦軸が金額、横軸が年数でございますが、医薬品の場合には長い時間と多額の投資が必要であるということで、新発売までの間は研究開発投資がいりまして、マイナスの方向にお金がかかりますが、新発売以降、薬の売り上げによって利益が出てプラスになる。その販売利益の面積Bと開発投資の面積Aを比較して、特許がありますと特許満了までビジネスが成り立つということで、Bの方がAより大きくなって投資は可能である、患者にいい薬が届くということでございますが、特許がない場合には、緑の線で示しておりますように投資の方が大きくて回収が十分でないことが予想されますと、なかなか開発はできなくて、患者に届かないということになるかと思います。
 これは一般に言われている新薬の場合だけではなくて、やはり新用法用量の場合にも、画期的な場合にはかなりの研究開発を行わないと世に出ないということでありまして、同様な判断がなされるものと思われます。
 4ページもおさらいになりますけれども、現行特許制度の問題点ということで、再度示させていただきました。
 現行では、用途発明などとして認められない限り、用法・用量の工夫により副作用を大きく軽減したり、あるいはQOLを大きく向上しても特許保護はされません。物質特許の場合には物質の特定のみですので、あるいは用途特許の場合には物質プラスその用途を特定ということですので、現在も保護対象ではありますが、一番下の用法・用量特許の場合には、物質、用途に加え用法・用量を特定することが必要でありますが、現在は特許対象ではありません。
 そういうことで、用法・用量の工夫により副作用を大きく低減、あるいはQOLを大きく向上しても、保護されないことになります。
 5ページでございます。
 特許対象を拡大すると、どんなメリットがあるんだということになるかと思います。  先ほど申し上げましたように、開発中止品、あるいは副作用の大きい医薬品等について、改良のための研究開発が促進されることになります。また、それを開発するに当たっても、臨床現場のニーズとアイデアを反映する研究開発というのが当然促進されますし、開発に当たっては、やはりオピニオンリーダーの先生方のご意見を聞きながら、より良いものにしていく努力は当然なされるものであります。そういった努力によって、画期的な用法・用量の使いやすい薬、それが患者、お医者様のニーズを満たす新たな道具として一般的な新薬と同様にたくさん出てくる可能性があること、また、治療の選択肢が増加、副作用の低減、QOL向上のメリット、こういったものが得られると思います。
 先ほど来、申し上げましたように、画期的な用法・用量の発明を特許対象として認めてあげることによって、その検討対象はかなり多くて、それらを開発するインセンティブになると思っておりますので、そうした特許化によってどんどん開発にチャレンジしていきたいと思っております。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 特許と薬価の関係については後でお話しいただくことにして、今のお話にスペシフィックに、何かご質問ございますか。
○長岡委員 この例の中で、キュビシン注は(米国)と書いてあるんですけれども、米国ではこういう特許が認められていないにもかかわらず、用量・用法に特徴のある開発がうまく進んだ原因というのは何かあるのですか。
○渡辺委員 米国では、認められております。
○長岡委員 認められているわけですね。それで特許になって、それが効果を。
○渡辺委員 ええ。特にこの薬は、もう古い薬でございますので物質特許は満了していて、用法・用量の特許で守られてビジネスをされているとお伺いしています。
○金澤委員長 それでは、続きまして特許と薬価の関係ということで、前回、本田委員からご質問をいただいたことに関して、厚生労働省から今、行われている薬価基準制度について簡単に説明をお願いしようと思いまして、厚生労働省保険局医療課、磯部薬剤管理官にお出でいただいておりますので、よろしくお願いします。
○磯部薬剤管理官 厚生労働省の磯部でございます。よろしくお願いいたします。
 私、保険局で薬価の担当をしておりますので、特許の方は詳しいわけではありませんけれども、薬価基準について概略ご説明したいと思います。
 資料3でございますけれども、最初に、どのような値付けをするのかを簡単に。
 5ページを見ていただきたいと思うんですが、新薬の薬価算定については、基本的に、臨床上、似ている薬の1日の薬価に合わせて、有用性があればそれに加算をしていくというメカニズムになってございます。類似薬が無いものについては、その製造コスト、それから研究開発のコスト等々を足しまして、原価計算という形で薬価を決めていくという方式でございます。  決めた後につきましては、3ページでございます。
 既収載医薬品の薬価算定方式ということでございますが、基本的には市場メカニズムに任せています。メーカーから卸を通じまして医療機関、薬局に納入されていくわけでございますけれども、私ども厚生労働省の方で卸さんから医療機関、薬局に販売している価格を全品調査いたします。そうしますと、その取引価格が色々分布してまいります。その分布をしたときの加重平均値に調整幅という形での2%を足しまして、薬価を決めていくということでございます。
 これがありますとどういうことが起こるかといいますと、当然ながら、非常に競合の激しい分野の場合ですと、なるべく当然、償還価格と販売価格の差があった方が医療機関もメリットございますので、そういった競争も起きます。売る方も、安くても販売したいという気持ちにもなりますので、実際には、競争が激しい分野については薬価差が出まして、薬価が下がってくるメカニズムになってございます。
 また、後発品が出た場合についても、通常の場合ですと後発品との競争が大分起こりまして、その結果、市場実勢価を見ましても薬価が下がりやすくなるという状況にございます。
 続きまして、4ページの上の方でございます。特にここが論点だとお聞きしておりますが、後発品が薬価収載された場合の先発品の薬価引き下げについてです。
 実は薬価の算定方式については、これまでずっと中医協で議論してまいりまして、いわゆる長期収載品という言い方をよくしておりますが、市場実勢価のもとではこの薬価がなかなか下がりにくい、特に、後発品が出てもなかなか下がりにくいといったご指摘も色々ありました。中医協では過去に、そもそも先発品と後発品を同じ価格にしてもいいのではないか等色々な議論を経て、先発品と後発品では役割が違うということが認められまして、ただ、やはり後発品が出たときには先発品も市場実勢価格での引き下げに加えて4から6%の引き下げをするということが中医協で決められております。このように、後発品が最初に薬価収載された場合の先発品の薬価引き下げのルールというのがございます。
 ただ、これについても現在、我々も、特許が切れた後については後発品への置き換えが着実に進むよう進めていきたいということで我々、進めておる関係で、意外と現場でまたありますのが、先発品と後発品の薬価の差が意外とないとか、色々な議論もありまして、このルールについても今後、中医協でも、こういった引き下げの方法がいいのか悪いのかも含めて、また議論をしていくような状況にもございますけれども、現行ルールでは、このような追加の引き下げというルールがあるということでございます。
 あとのところはご参考で、またご覧いただければと思います。時間も限られておりますので、特に論点の部分についてご説明させていただきました。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 薬価の決め方全体に対してのご質問はちょっと勘弁していただきまして、今の特許との関係についてのご説明について、何かご質問はございますか。ご理解いただけましたでしょうか。
 それでは次に、資料4、特許対象の拡大が医療費に与えた影響について事務局でまとめておりますので、それと資料5の論点整理とを一緒に、内山さんの方から説明してもらいましょう。
○内山事務局次長 資料4をご覧いただきたいと思います。
 先ほどの厚生労働省の薬価基準の話とも関係ございますけれども、特許対象の拡大が医療費に与えた影響についてということで、以下2つの事例、昭和51年の医薬の発明、平成17年の医療機器の作動方法、この点の影響についてご説明します。
 2ページをお願いします。
 昭和51年1月より医薬の発明が特許対象化されたわけでございますけれども、その8年後、昭和59年にこの改正が薬価に与えた影響についての調査が行われております。結論としては、悪影響は見られなかったと取りまとめられております。
 下の図の左側に大衆薬の価格の推移がございます。これを見ると、医薬品の物価指数を総合物価指数で除した、いわゆる実質医薬品消費者物価指数というのを昭和51年以降、見てみますと、若干の下落傾向にあるということでございます。また、図−28の方で医師の処方箋によります保険対象薬の薬価の推移を見ましても、昭和51年以降、薬価は段階的に下落傾向にあるということでございます。
 続きまして3ページでございますけれども、平成17年4月に審査基準が改訂されまして、医療機器の作動方法の発明を特許対象化いたしました。下の表にございますように、本委員会でもご説明ございましたけれども、昨年6月までの登録件数は76件、内訳は下のとおりでございます。
 4ページでございます。
 そこで、この審査基準改訂によります影響を見てみますと、医療機器の作動方法の発明を特許対象とした平成17年前後におきます診療報酬点数の推移を、幾つかの機器について見たわけでございますけれども、この診療報酬点数の上昇は見られないということでございます。ただ、下のグラフの一番上にございます人工透析(外来患者)の点数につきましては、平成18年改訂時に増加しているように見えますけれども、これは別に計算しておりましたエリスロポエチン製剤価格を含めて点数を合算することにした、その影響でございまして、これをはがしますとおおむね横ばいということでございます。
 以上が資料4のご説明でございます。
○金澤委員長 資料4について、特別に何かご質問ございますか。印刷が読めないとか見えないとか。分かりますね。
 では、次をお願いします。
○内山事務局次長 続きまして論点整理ということで、資料5をご覧いただきたいと思います。
 まず、1ページの、審査基準における特許対象の明確化についての部分でございます。これは1ページから2ページまで、以下4つの発明に関して記載しておりますが、前回の委員会におきまして、今後の取り組みの方向性についてはおおむね合意が得られたと思われますので、今後の取り組みという形で、それぞれ下段にその内容を記載しております。
 まず(1)既存物と既存物の新規な組合せに特徴のある発明に関しましては、下の「今後の取組」にございますように、先端医療分野での技術の進展に合わせまして、上記に示したような物理刺激を用いたDDSなど、さまざまな新たな組み合わせ物の発明、物理手段と生化学手段の組み合わせ等々につきまして、物の発明として特許対象となることを、特許可能な例示を豊富に示しながら審査基準に明記すべきであるという点でございます。
 次に、右のページでございます。
 (2)生体外で行われる細胞等への処理方法に特徴のある発明につきましては、「今後の取組」にありますように、今後出現する技術も含めて特許対象であるか否か研究者の方が予測できるようにするため、自家由来の生体材料を体外で処理する方法のうち「医薬品又は医療材料を製造するための方法」に該当し特許対象となる発明に係る判断基準、これを一層明確化すべきであるという点。
 特に、細胞に係る分化誘導技術、分離・純化技術、安全性の検査技術といった技術が特許対象であることを明確化するために、最終的な製品段階に至らない中間段階の生産物を製造するための方法につきましては、「人間から採取したものを原材料として医薬品又は医療材料を製造するための方法」に含まれることを審査基準に明記すべきであるということでございます。
 2ページでございます。
 (3)細胞等の生体由来材料の用途に特徴のある発明につきましては、下段にございますように、研究者等によります特許取得の円滑化を図るため、細胞、細胞由来製品といった生体由来材料に関しましても、その新しい用途につきましては用途発明として表現することにより特許対象となるという点を、特許可能な例示を豊富に示しながら審査基準に明記すべきということでございます。
 最後に、(4)「細胞の特定の困難性」がある発明への対応につきましては、下段にございますように、原料、処理方法及び用途が確立されている発明につきましては、原料、処理方法は公知であっても、用途が新規である場合には、下記例にありますように「被生産物に用途限定を付した物の生産方法の発明」として特許対象となることを審査基準に明記すべきということでございます。
 3ページ以降でございますけれども、2番目のカテゴリー、特許対象の拡大についてでございます。
 最初に、細胞や薬剤の用法・用量等に特徴のある発明につきましては、前回委員会でのご議論を踏まえまして3ページから5ページまで、少し長くなりますけれども、現状と論点整理を行いました。
 まず現状でございますけれども、先般ご説明したとおり、投与間隔・投与量等の治療の態様に特徴のある医薬発明につきましては、下の(a)患者群が明確に異なる場合、又は(b)適用部位が異なる場合のように医薬用途が相違すると認められる場合には、用途発明として新規性を有し得ると評価され、特許対象となるわけでございますが、上記以外の「時間、手順、投与量、移植場所等の薬剤や細胞の使い方に特徴のある発明」については、特許対象外というのが現状でございます。
 先ほど渡辺委員のご説明にもございましたように、これまで投与間隔、投与量が重要な医薬の事例が本委員会で説明されております。フォサマック、イリボー、キュビシンほか。そこで、改めて医薬の特性について右のページで考えてみますと、医薬というのは用法・用量を誤れば毒となったり、危険性を併せ持つものでございまして、適切な用法・用量という情報が物質と一体となって医薬としての機能を有するわけでございます。このため、用法・用量というのは医薬品の添付文書、いわゆる能書やパッケージへの記載が薬事法上、義務づけられておりまして、医薬は用法・用量という情報付物として流通している実態にございます。こうした用法・用量を変更する場合には、改めて薬事法上の承認を得なければならないわけでございまして、治験等に係る多額の開発コストを要する点も考慮する必要がございます。
 先ほど渡辺委員のご説明にもございましたように、一体となっている医薬の要素のうち成分・分量、効能・効果につきましては特許対象になるわけでございますけれども、用法・用量のみ特許対象となっていないということでございます。
 下に、新用法・用量の医薬の発明に関する現行の特許審査の流れの図がございます。
 これを見ますと、一般的に特許出願がされますと、産業上の利用可能性ありやなしやが判断されて、ある場合にはその発明の中身を評価していくことになります。次に新規性ありやなしやの判断をして、それがある場合に初めて進歩性の程度、当該分野の専門家にとっても予測困難なものかどうかといった点が審査されまして、最終的に特許が付与されていく、こういう流れになっております。
 そこで、新用法・用量の医薬の発明について見ますと、方法の発明ということに関しましては、これは産業上の利用可能性がないということで、新しいかどうか、あるいは画期的かどうかは評価しないということでございます。他方、物の発明につきましては、患者群、適用部位が異なる場合のみ入口を通ることができて、続いて進歩性について検討しましょうというふうになるわけでございます。
 ところが、副作用の低減、QOL改善といった医薬の発明については、新規性が認められませんので入口を入ることができなくて、進歩性の判断に入らない、こういうことでございます。
 次に、4ページ以降、6つの論点についてご説明いたします。
 論点1は、患者さんあるいは医者の皆様から、効能、効果が同じであってもより副作用あるいは身体への負担が少なくて、快適な生活の継続に支障とならない医薬の開発が一層求められているのではないかという点。
 論点2は、先ほど渡辺委員からもご説明がございましたけれども、専門家の予測を超える効果を示す新しい用法・用量の医薬の発明を特許対象として、企業に開発インセンティブを付与することによってこうした医薬の開発が促進されるのではないかという点。それとも、こういった医薬は特許がなくても盛んに開発されるのかどうかということでございます。
 特許対象とした場合における法的効果というのは、下にございますように、自社が開発した新用法・用量の情報を他社が効能書きに記載して医薬を販売する行為を防止できますので、一定期間、そういった医薬の独占販売ができるということでございます。
 次に、右に移りまして論点3でございます。
 新用法・用量に関する研究開発が、これから世界的に見て活発化していった場合に、我が国においてこの新用法・用量のみに特徴がある医薬を特許保護対象としていないことが、こういった医薬の我が国市場への投入の阻害要因となるおそれはないのだろうかという点でございます。
 下の2つ目の「・」にございますように、既に外国で上市されている医薬であっても、我が国で市場に投入する際には薬事法の承認を得ることが必要でございますので、その経費を市場で回収できる見込みがなければ、製薬メーカーは我が国市場への投入を見送る傾向にあろうということでございます。
 論点4でございます。新用法・用量の医薬を特許対象とした場合、患者が負担する医療費にどういった影響を及ぼすのかという点でございます。
 これは資料5別添1という資料、2枚組みで「薬価に対する特許の影響(一般論)」というものにかいてあるポンチ絵をご覧いただきたいと思います。先ほど厚生労働省の説明にございましたけれども、特許というのは薬価収載時の薬価には影響を与えない、すなわち薬価を決定する際に、特許の存在については評価事項となっておりません。そこで、後発品βの薬価収載によって先発品Bの薬価が約4〜6%引き下げられるわけでございますけれども、特許が存在する場合はこの時期が特許権の満了時まで遅くなる、そういうパターンが一般的でございます。
 新しい用法・用量の医薬の場合にも、こうした特許のあるなしについては同じでございますが、次のページを見ていただきますと、新用法・用量医薬の特許保護と既存薬の薬価への影響をもう少し具体的に見ております。
 既存薬Aというものがあったとき、新しい用法・用量医薬(新薬B)に特許が付与されたというケースでございますけれども、その効果は既存薬A、あるいは既存薬Aの後発品には及ばないわけでございます。したがいまして、既存薬Aの価格は別に上がりはしませんし、既存薬Aの後発品αの出現が遅れることもないというのが下のポンチ絵で示されております。
 むしろ、※1をご覧いただくとそこに理由があるわけでございますけれども、より高機能の新薬Bが出てくることによりまして、既存薬Aの薬価はより引き下げられる可能性もあるかと思われます。
 次に、新しい用法・用量医薬(新薬B)についてでございますけれども、これは既存薬Aとは別の製品でございますので、患者の新たな選択肢となるものでございます。現行の薬価基準制度から新薬Bの価格は、※2の理由をご参照いただければと思いますけれども、基本的には、既存薬Aと比較してそれほど高くなることは考えにくいということでございます。
 新薬Bの特許化によりまして、その特許期間中は新薬Bの後発品は出現しなくなるというのは、前のページの一般論でご説明したとおりでございます。
 これが論点4でございます。
 論点5は、このように、専門家の予測を超える効果を示す新しい用法・用量の医薬の発明を特許対象とする場合に、どういう形で保護すべきかということでございます。
 医薬における用法・用量の一体性等に照らして考えると、「物」の発明として保護すべきではないかという点。また、「方法」の発明として保護するということを考えると、患者が使用する発明となるので、これは産業上利用することができる発明とは認め難いなどの問題があり、困難ではないかということでございます。
 物の発明として保護することの妥当性は、先ほどご説明したとおりでございますけれども、適切な用法・用量という情報が物質と一体となって医薬として機能するわけでございますし、また、その実際の取引においても一体となって流通しているという点、それから、医薬の目的は副作用や身体への負の作用を生じさせずに治療させることにあると考えられますから、医薬の新規性、進歩性の評価に当たりましては、プラスの効果である効能だけでなくて、マイナスの効果である副作用の発生とかQOLの低下といったものを含めて総合的に評価すべきではないか、そういった点があろうかと思います。
 方法の発明として保護することの困難性は、以下3点でございます。
 @は、先ほどご説明した点。Aにつきましては、実態として直接侵害が問えなくて、複雑な間接侵害のみが問えるという問題。3番目には、世界医師会宣言が提起する問題があろうかと思います。世界医師会宣言におきましては、右にございますように、物の発明につきましては、特許を受けたことをその旨のラベルを製品に付すことにより告知できるのに対しまして、医療方法について特許を受けたことを告知することはできないということなので、侵害の発生を予防することができないから、医学的手法の発明は物の発明の場合と異なって、特許対象とすることは適当でない、このようにされているということでございます。
 論点6でございます。
 専門家の予測を超える効果を示す新用法・用量の医薬を「物」として特許対象とした場合、医師の処方は特許権の侵害とならず、医師の裁量あるいは患者の選択などに負の影響を及ぼすことにはならないのではないか。この場合、現行の用途発明と同様に、医療のフリーアクセス等の現行の医療制度には負の影響を及ぼさないのではないかという点でございます。
 下の四角の中にございますように、処方せんの交付は物の発明の製造、使用、販売、あるいは販売の申し出には該当しませんので、特許権の侵害には該当せず、したがって、医師の裁量を害することはないと考えられるわけでございます。
 次のカテゴリーにいきたいと思います。
 6ページの左は、機械・器具の使用方法、例えばカテーテルを用いた血管中の閉塞物の除去の仕方などの使用方法に特徴のある発明についてでございます。
 これは前回もご説明したとおり、「主な意見」にありますようなご意見がございまして、一番下段に「論点」として、以下のとおり取りまとめてございます。
 仮に特許対象とした場合には、医師に対しては権利行使をしないことを前提とするのか否か。また、機械や器具の使用方法の発明というのは、元々研究へのインセンティブの備わっている医師によって行われる研究活動の中で開発されることが多いと考えられます。こうした発明を特許対象とした場合に、果たして産業界に対してインセンティブを付与することになるのかどうかという点。
 それから、医師に対して権利行使をしないことを前提とする場合、主に医師によって開発される技術を特許対象といたしますと、技術の公開が遅れたり、間接侵害を巡る紛争に対する企業の負担の増加といったことが懸念される。その他、どのようなデメリットが考えられるか。以上、特許対象化のメリット、デメリットを比較衡量して、対象化の是非はどう判断されるかというのが論点でございます。
 最後に、(3)最終的な診断を補助するための人体のデータ収集方法の発明につきましては、先ほど片倉委員からご説明がございましたけれども、MRI装置等の断層画像撮像の仕組み、原理等の測定方法の発明につきましては、現状、人間を診断する医療方法であるとして特許対象外になっているわけでございます。下段の「課題」にございますように、本件につきましては先進諸外国の特許制度との調和を図りつつ、今後、出現する新たな技術を適切に保護するため、現在、特許対象外となっている「最終的な診断を補助するための人体のデータ収集方法(手術、治療、診断が含まれない人体の計測・測定方法)に係る発明」例えばMRI等による断層画像撮像の仕組み、原理などを新たに特許対象として、この旨を審査基準に明記すべきではないかという点でございます。
 7ページをお願いします。
 3.特許対象に関するその他の論点についてでございます。
 これは前回、佐藤委員からのご説明にございましたように、アシスト機器関連技術につきましては、現状として「医療方法の発明に該当する」として拒絶されるおそれがあることから、包括的に発明を保護する方法クレームの取得を断念したり、そもそも当初からそういったクレームを避けてしまったりという萎縮効果が発生しているのではないかという指摘でございます。
 この課題としましては、下にございますように、診断でない判定方法の発明、人体への作用工程を含む医療機器以外の機器の作動方法、作業者等の作業負荷を軽減する方法、こういった発明につきましては「人間を手術、治療又は診断する方法」に該当しないことが明らかなため特許対象であることを、例えば欧州のように診断の定義を明確化することなどによりまして、特許可能な例示、請求項の記載例を豊富に示しながら審査基準に明記すべきではないかという点でございます。
 最後に4.先端医療特許の取得への支援についてでございます。
 現状と課題として、4点ございます。
 第1に、第一線の研究者の皆様の中で、特許制度の基準や運用に関する理解不足があるのではないか。
 第2に、海外での権利取得がそれぞれ海外におきまして制度運用が異なっていることもございまして、なかなか困難であるという点。
 第3に、大学等におきまして相談できる体制の欠如という点。
 第4に、先端医療技術と海外の特許制度の運用に詳しい知財専門家が不足しているのではないかという点でございます。
 そこで、今後の取り組みにつきまして、以下の5点でございます。
 第1に、審査基準を分かりやすく明確化して周知すべきということ。大学の研究者あるいは知財担当者向けに行っておりますライフサイエンス分野における審査基準の説明会をより多く開催することなどで、一層充実させていくとともに、審査過程におきましてもユーザーフレンドリーな審査を推進すべきという点。
 第2に、海外におきます権利取得の手法に関する情報を広く提供すべきという点。
 第3には、大学等における相談できる体制、ネット上の相談サイトの開設なども含めて整備すべきであるという点。
 第4に、先端医療分野の技術、海外の特許制度に詳しい知財の専門家の育成という点。
 最後に、先端医療分野におきます新しい技術の出現に今後とも適切に対応していくためには、医療の特質、公共の利益に関して十分な配慮をする必要性や、先端医療技術の特許保護に関する国際的な動向を踏まえながら、しっかりフォローアップを行うべきだという点。
 以上でございます。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 前回に引き続きまして、このご議論をいただくための資料です。少し図が新しくなったりしておりますが、内容はそれほど大きく変わっていないかと思います。
 さて、これから自由討論に移ります。どこからでも結構です─と申し上げたいところなんだけれども、その前に、1ページと2ページに関しては前回もかなり議論していただきました。それから、恐らくですが、7ページの4.先端医療特許の取得への支援について、この辺は、恐らく皆さん方のお考えは共通しておられるのではないかと思います。むしろ3、4、5、6ページあたりまでは、まだ議論が十分ではないのではないかと思いますので、この辺を中心にご議論いただきたいんですが、3ページを見ていただけますでしょうか。
 2.特許対象の拡大について@、細胞や薬剤の用法・用量等に特徴のある発明について、先ほど渡辺委員からも幾つかの例を出されましたけれども、この辺を中心にご意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○羽生田委員 先ほど診療報酬上の薬価算定の話がありましたけれども、いわゆる医療の中では、保険上は薬価で金額が決められて世の中に出回っているわけですね。これはもう中医協で決まってくるわけですけれども、保険に収載しない、メーカーが特許を取ったときに新たに薬価収載を希望しない場合には、出てこないわけですね。その場合には、いわゆる広く一般に使われるというよりも、囲い込みといいますか、言葉は悪いかもしれませんが、そういった形で高額なまま、いわゆる診療報酬という保険外の使い方といいますかね、そういう形で高いまま、保険収載されずに使われるという。他に特許があるから使えない、薬価収載もしないというような形になると、むしろ患者さんにとって非常に不利益が生じるし、医師にとっても使いづらいというようなことも起こり得るのではないかという心配も少しあるのかなと思います。
○金澤委員長 なるほど。それは混合診療ではないのですか。違いますか。分からないんだけれども。
○磯部薬剤管理官 今の羽生田委員のお話で、企業行動ですね、つまり特許だけ押さえておいて、物は出さずに他の企業へのバリアだけ張っておくということがあり得るのではないかというご意見だと思いますけれども、理論上はあると思います。
○羽生田委員 保険収載は企業から、この薬なら薬をこの薬価に収載してほしいという希望があって、それを議論した上で、では薬価収載しましょう、幾らにしましょうという議論になって、決まるわけですね。ところが、特許を持っていました。その薬は画期的なものであっても薬価収載しません、保険で使わないでくれ、メーカーがそういう希望を持っていれば薬価収載されないわけで、そうすると、いわゆる全くの自由診療の中でしか使えない薬が誕生するということも理論上はあり得るわけで、その場合には、患者さんにとって非常に不利益が生じるということも、少し心配な部分があるのかなということです。
○渡辺委員 確かに理論上はそうだと思いますが、一般的に、やはり自由診療になりますとかなり薬価が高く設定されますものですから、やはり限られたビジネスしか得られなくて、そうだとすると、特許で守ろうとしたとしてもそんなに利益が得られなくて、開発費すら回収が危ないのではないかという気もいたします。
 一般的には、そういう薬は余り今までないというか、大抵の場合、薬価収載して売っているのが現状ではございます。
○金澤委員長 「大抵の場合」とおっしゃったけれども、あるんですかね。私、ちょっと分からないんだけれども。
○磯部薬剤管理官 例えば、現在かなり自由診療でやられている場合が多いようなケース、一部保険診療というか、自由診療で結構使われているマーケットが大きいような場合は、保険で収載せずに、そちらでやられるメーカーさんがいることは事実だと思います。殆どないと言えばないんですが、羽生田委員がおっしゃるように、全くないということではないと思います。
○羽生田委員 そのままずっと、いわゆる自由診療というところで価格設定を、自由にできるわけですからそういう場合もあるでしょうし、もう一つは、薬価収載されるまでといいますか、保険上、選定医療でもいいんですけれども、そこになるまでの間に、今の自由診療というところでかなりの収益を上げることも可能なわけですね。いわゆる選定医療等になりますと、今度は金額が決められて、そこは保険ではなく、他の検査とか入院があればそういうものは保険でという、いわゆる混合診療が認められる。そのときには薬価も決められるわけですね。ただ、それまでの間は自由設定で使う。治験として使う場合ももちろんありますけれども。その間にかなりの部分の回収が可能であるということもあるかなと思います。
○金澤委員長 なるほど。そういう問題もあるということですね。恐らく現実には非常に少ないだろうけれども、あり得るということですね。
○須田委員 世界医師会宣言が提起する問題というのを挙げられているんですけれども、そもそもこの世界医師会というのがどういうソサエティかよく知らないので。
 それと、ここで説明されているのはラベルに書ける、書けないという非常に方法論的なことなんですけれども、そういう背景ではなくて、やはり特許を手法に多く入れてくると患者さんにデメリットがあるのではないかというのがバックグラウンドではないかと思うんですが、実際それは、逆に特許を与えてインセンティブを増して、よりいい医療をという考え方もあるので、このあたりのディスカッションの経緯がもし分かれば教えていただきたいんですけれども。
○羽生田委員 世界医師会自体、細かいところは私も今、資料が全くないので分からないんですけれども、たしか六十数カ国が加盟している世界医師会というところで、これも1999年ですから大分前の話ですけれども、今、言われたような、いわゆる投与方法であるとか、医師の裁量で決めるべきものに特許を与えるべきではないという根底があって、それがこういった表現として、書き込めない、はっきりできないという意味で、こういった言葉になっているんだと思うんですけれども、細かくは今、ちょっと資料を持っていなくて。澤先生のプレゼンのときに、この辺の資料が出ていたと思うんですけれども。
○金澤委員長 正確なことについては資料に当たっていただくことにいたしましょう。
○磯部薬剤管理官 私、薬剤費の担当責任者をやっているものですからあれですが、一般論的には、当該製品の後発品が出ると先発品もかなり下がるというのはあると思います。あと、後発品が出れば後発品に切り換えていく患者さんも出てまいりますから、後発品の場合については、現行では先発品の70%の薬価を設定することになりますから、後発品に置き換えられた患者さんは3割引になるということがございます。
 そういうものをどう見るかというのは、またこちらのご判断だと思いますけれども、後発品が出にくくなると医療費に影響を与えることがあるということだけは、ちょっとお伝えしておきたいと思います。
 それと、少しお伺いしたいのは、用法・用量で、例えば1日1回のものが2日に一遍でいい。フォサマックの場合は1週間に一遍でいいという話で、これはかなりの差があるから、まだ分かるわけですけれども、例えば1日1回投与のものが2日に1回でいいという程度のもので、こういった新規性とか進歩性とか─当然新規性、進歩性、産業上の利用可能性もなければ特許としては成立しないんだろうと思いますけれども、そこら辺はどういうレベルで実際に特許が成立することになるんでしょうか。
○田村審査基準室長 投与方法について特徴的な医薬品を審査対象にしておりませんので、はっきりお答えはできませんが、一般的な進歩性の考え方から参りますと、医薬用途発明については、やはり効果の部分が重要になってまいりますので、1日投与が2日投与になったところでどれほど効能効果、更には使い勝手がよくなったといった効果の点が上がったか。一般的な上がり方というところでは、なかなか進歩性は認められませんが、そこが質的に変わったとか、あと、質的には変わらないが量的に非常に顕著であるというところが認められたら進歩性が満たされるというように、現在、審査をやってございます。
○金澤委員長 余計なことかもしれませんけれども、殆ど毎日飲むべき薬を1日置きにしてみましょうよというのは普通の診療でやることでして、それぐらいは余り……という感じはありますね。
○本田委員 1つ確認なんですけれども、薬価の問題とか、特許がついたときにそれがどのように影響するかといった大変詳しい資料を出していただいて、本当にありがとうございます。ちょっと時間をかけて読んだら、私のような素人でも「なるほど」と分かったかなと思いました。
 それで、ちょっと私の理解の確認なんですけれども、結局、特許がついた場合でも、QOLがよくなるとか新規性が認められた場合に、その薬に直接ロイヤリティの部分の費用がドンとついて、それを使う患者さんがその負担も全部するということではなく、シェアを長く維持できることで回収できるからインセンティブになるんだという理解でよろしいんですよね。
 まずそれを1つ確認したかったのと、ここからは意見なんですけれども、その場合でも、ある意味では患者さんが新しい特許のついたお薬を─シェアを維持した費用のお薬を使っていくということで、患者さんの負担ももちろん増になっていることには違いないと思うんですが、資料5の別添1とかを見せていただくと、特許がついた新薬ではないお薬を使い続ける場合には更に下がるとか、特許がついた新薬を選ぶのか、それとも特許がつかなかった既存薬を使い続けるのか、もしくは後発品を使うのかという選択肢が増えるという事実も確かにあります。
 更に、特許がついた新薬が必ず自分に合うかどうかは分からないので、選択肢が増えるのは実は患者にとってはとても大事なことです。私は「3カ月製剤」と言われているホルモン剤を使っていなくて、ずっと1カ月製剤の方の既存薬を使っているんですね、乳がんの治療で。私はそちらの方が合っているので使っていて、どんどん費用も下がっていってありがたいんですけれども、3カ月製剤がいいといって使っている方もいるということで、選択肢が増えることは患者にとって実はとてもありがたいことだと思っています。
 そういうことを考えて、特許が認められた場合の費用が全部患者に転嫁されるのではないかと私は今までとても心配していたんですけれども、この薬価のつき方と今回の資料5の別添1を見せていただいて、割と納得できた。そのようにシェア維持ということで患者負担がある程度、そういう意味では増す人もいるかもしれませんけれども、例えば抗がん剤みたいなお薬は、副作用がひどくて治療が必要なのに続けていけない患者さんは私の周りにもたくさんいます。その副作用が低減されるような新薬ができても、日本にはなかなか入ってこないということが今までたくさんありました。なので、そういうものを日本の患者が早く使えるようにするために、こういうことが認められていくのであれば、私は基本的には賛成できるかなと思います。
 ただ、それには条件があって、本当にこの特許がついたことでそういうことが促進されていくのかどうか。海外では使えているのに日本では企業が開発になかなか参入してくれないとか、そういう事実が続いているのかどうかみたいなフォローアップを必ずしていただきたい、それをお願いしたいと思っています。
○金澤委員長 いえ、思いはよく分かります。
 渡辺委員、何かございますか。もう殆どそのとおりという感じですけどね。
○渡辺委員 おっしゃるとおりです。
○金澤委員長 やはり薬の会社の方も意欲を持ってやってくれないといかんという面が一方であるわけで、そのバランスだと思うんですよね。
○羽生田委員 新薬といいますか、外国で使われていてというお話。これを日本で許可するに当たって、日本での治験例がさほど無くてというか、ゼロだったかどうか、要するに、外国の治験でもって日本で許可するという制度ができたわけですよね。これが余り稼働していない。ですから、それがもう少し稼働すれば、今、本田委員が言われたような外国の薬が日本でも使いやすくなるんですけれども、この辺が動いていないといいますか。もうできて六、七年はたつのではないかと思うんですけれども、これが殆ど動いていないというのが一つのネックなのかなという気がしますけれども、その辺いかがでしょうか。
○磯部薬剤管理官 保険局ではないんですが、一応知っておりますのでお答えさせていただきますと、今の羽生田委員のご質問、いわゆるドラッグラグの問題である海外では普通に使われている薬が日本では未承認になっているという問題で、そういったものはマーケットも小さいわけですし、なかなか開発費用もかけにくい。ですから、そういうものについてはなるべく開発コストを、海外でやったデータがあればそれを活用していくべきではないか、こういうご指摘だと思いますが、おっしゃるとおりでございます。
 それについては一時期、混合診療の問題が非常に大きくなったときに、こんなに高い抗がん剤を個人輸入で保険外で使うのは大変過ぎるというご指摘を大分受けまして、当時の混合診療問題の解決のために未承認薬検討会議というのを作りました。確かについ数年前まで、まさしくそういう状態でございましたけれども、未承認薬検討会議というのを医薬食品局に置きまして、現実に、今、先生がおっしゃった「この薬の場合には日本では患者数がこの程度しかいないし、外国ではこの程度のエビデンスがあるので、この外国のエビデンスだけで申請してもいいのではないか」とか、そういうことをある意味ではっきりさせていくようにして、そういった問題の解決に大分取り組んでまいりまして、今、いわゆる未承認薬という問題については、そういった問題でなかなかいかないというものは非常に少なくなっているのが現状だと思います。
 今、残っておりますのは、海外のオリジンメーカーで日本に法人がない場合。海外でベンチャーでやっていて、日本にそのベンチャーの法人がなくて、どこでやるのかが決まらないようなケースが残っておりまして、それをどうするのかが難しい課題ではありますけれども、そこは製薬業界でも問題意識をお持ちなので、これからどう解決するのかということだと思っております。
○金澤委員長 今の問題はこの会のメインテーマとはちょっと違うんですけれども、大事なことですので、ちょっとだけ議論しましょう。
○本田委員 今の問題に関してもう一つだけ残っているのは、適用外のお薬。ピカシンとかそういうものではなくて、適用外のお薬の承認のシステムと治験が進まないというのをもう少し改善していただかないと、この会では関係ないかもしれませんけれども、救われない患者が大変いるということを1つ申し上げたいと思います。
 もう一つ、私は今回、患者負担が少しは増えるかもしれないけれども、選択肢だの何だのを天秤にかけたらあってもいいのかなと申し上げたんですけれども、ただ、1つだけぜひ発言しておきたいのは、この特許の問題とは全然違うレベルなんですけれども、今の患者の3割負担というのは、本当にこのご時世、雇用等も厳しい中で、かなり厳しい状況になってきていて、3割負担ができないために治療を断念している患者さんが私の周りにもいます。
 それは普通の疾患でもあれかもしれませんけれども、例えばがんですとか、ちょっと高額な医療費がかかるような疾患で長期の医療が必要な人、昔だったら治療できなくて残念ながら亡くなっていたけれども、今は医療が発達して、進化して、生きて活動できるということでよくなったんですけれども、逆にその費用負担ができなくて治療を自分で断念するというのは、ある意味、自殺行為をしているようなものなんですけれども、そのような状況が生まれているということ、そういう中でも、でも新しくお薬、選択肢を求めていきたいという患者の両方の願いがあるので、そういうところにお金がちゃんと行くのであればという意味で、あってもいいのではないかということで、患者負担が増えることにすごく賛成しているわけではないということを申し上げておきたいと思います。
○須田委員 3ページの「医薬の特性」は非常によくまとめられていて、重要なポイントだと思うんですね。多くの薬は用法・用量を間違えれば毒物だと、この観点からいけば、やはり適正な用法・用量というのがあって、そこに新規性があれば特許を認めていくというのは大事。このコンセンサスが徹底していないので、例えば、最近でもサリドマイドが血液疾患の治療に使われるようになりましたけれども、サリドマイドというのは未だに臨床の現場では毒物扱いで、それを管理する人は誰か、それを持ち出す人はどうかとか、そんなことを言えば抗がん剤はすべてそうなんですよね。どうしてサリドマイドだけ毒物扱いするのか。やはり物に帰着しているんだろうと思います。
 そういう意味では、この医薬の特性ということをみんなが理解していけば自然とこの特許の問題も、用法・用量も非常に大事だという意識に変わると思うんですけれども、それはいかがですか。
 サリドマイドなんて、どうして未だに特別扱いしているんですか。他のものとどこが違うからそうなのか。扱いにくくて、もう使いたくないという医師も出てきますよね。
○磯部薬剤管理官 サリドマイドについては、今のTERMSという安全管理の手順で、処方ごとにメーカーにちゃんと登録をして、言ってみれば横流しがされないかどうかかなり厳格な仕組みを販売と一緒に導入した、それが今の先生のご指摘の部分ではないかと思うんですが、もうご存じのように、サリドマイドについては過去にああいう問題が起こり、実際それで被害を受けた患者さんが今もご存命ですので、二度とああいうことを起こしてはいけないということを考え始めますと、いわゆるその患者さんに適正なやり方でちゃんと使っていくということを確保する、それを追い求めた結果ああなったと私は思っておりまして、その点については直接作業にはかかわっておりませんけれども、私はそのように理解しております。
 ですから、そういった方をもう二度と出さないんだという、特にそういった被害を受けた方々のお気持ちが、あのような形になったものと私は理解しております。
○林委員 この資料5に戻りますが、4ページ、特許対象の拡大について@の用法・用量等に特徴のある発明の論点1に書かれておりますように、私も、医療を受ける一般人の立場として、副作用やQOLの改善の意味は非常に大きいと思っております。本田委員もおっしゃいました抗がん剤の場合もそうですし、インターフェロンなどについても、副作用が強いために治療を中断せざるを得ない例もたくさんあります。それから、QOLにつきましても、単に利便性ということのみならず、家族を看取った経験などからも末期がんの痛みの緩和ケアとか、それから緩下剤1つとっても、QOLの改善は人間の尊厳にもつながる重要性を持っているのではないかと思いますので、副作用やQOLの改善に向けた医薬の開発インセンティブが阻害されないような体制が必要であると思います。また、選択肢を増やすという意味でも、患者にとってはこの権利の保護が必要なのではないかと思っております。
 そうなりますと、論点5ですか、特許法上どのように保護すべきかという問題になるかと思います。方法の発明として保護するのか物の発明として保護するのかについて、3ページの右下の「現行の特許審査の流れ」というのを先ほど事務局からご説明いただいたんですが、この図に沿って意見を申し上げさせていただきます。
 特許庁に特許を出願しますと、この図の矢印の流れにありますように、産業上の利用可能性、新規性、進歩性という、いわゆる特許要件の審査を順番に受けるわけですが、ごく簡単に申し上げると、新規性というのは、特許出願時までに公開されている先行技術と異なるかどうかという区別をすることです。進歩性というのは、その先行技術との違いが出願時の当業者の予測の範囲を超えているかどうか、容易に想い到るようなものでないかを判断する場面になります。
 まず順番に、方法の発明についてみると、産業上の利用可能性というピンクの所なんですけれども、特許法第29条第1項柱書きに産業上の利用可能性というのが要件として上がっているんですが、通常の発明は、原則として産業上の利用可能性はあることになっていまして、ただし、この「人間を手術、治療又は診断する方法」については「医師による医療行為は特許による独占になじまない」という政策的な理由で例外扱いになっているということですので、もし今回、この医療方法を方法の発明として保護することになりますと、今の点の政策判断を変えることになるわけです。つまり、政策判断を変える国民のコンセンサスがあるのかどうかということになるかと思いますが、これまでこの委員会のご意見を伺っているところからすると、今までの政策判断を変更するについてのコンセンサスがあるかという点は、私自身は疑問だなと感じております。
 ちなみに、法律的に言いますと、知財高裁で「一太郎」というパソコンソフトの判決があったのですが、その控訴審の判決では、方法の発明というカテゴリーよりも物の発明のカテゴリーの方が間接侵害を広く認めていることからも、非常に細かい話になってしまいますが、要は、物の発明として保護することで開発インセンティブも満たされるのではないかと考えております。
 したがって、次に、3ページの図の方法の発明という形ではなく、物の発明として用法・用量に特徴のある発明を特許対象とするといった場合にどうなるかを考えたいと思います。
 現在でも医薬品や医療機器などの物自体の属性とか用途、製造方法は医療方法という例外に当たりませんので、原則どおり産業上の利用可能性、このピンクのところは「あり」ということで通過するわけです。そうしますと、次に新規性、すなわち先行技術と区別できるかどうか、異なるかどうかという判断になるわけですが、先ほど事務局からもご案内があったように、現在の審査基準では、この先行技術と異なるかどうかの区別のメルクマールが実務上、患者群と適用部位というたった2つの点に限られてしまっている。そうしますと、薬の効き方のように患者群、適用部位以外の点で先行技術と区別できる場合であっても、新規性は否定されて門前払いになってしまうわけです。
 確かに、この患者群と適用部位というのは先行技術と区別するときの最も明確な区別の基準だとは思いますが、医薬の特性としてご説明があったように、医薬というのは用法・用量という情報が物質と一体となって初めて医薬として機能するものなので、先行技術との区別のメルクマールを患者群と適用部位というたった2つに限定する合理的な理由は、特にないのではないかと思います。
 そして、最初に申し上げた副作用とかQOL改善に役立つ新薬の開発を促進するという観点からは、新規性要件のところで門前払いしないで、先ほど本田委員の言われたような本当に効果があるものかどうかというところは、進歩性、つまり先行技術との違いが出願時の当業者の予測の範囲を超えているかどうか、容易に想い到るようなものかどうかという判断の場面で特許性如何を決めた方が適切なのではないかと思います。
○金澤委員長 大変ありがとうございました。クリアにまとめていただきました。
 1つ質問があるんですが、不勉強で申しわけない、新規性の要因として対象患者と適用部位の2つとおっしゃいましたけれども、それはどこかに明記されているんですか。もう文書があるわけですね。
○林委員 本日お配りいただいている資料5の別添2に、特許審査基準の抜粋がございまして、その2枚目に。
○金澤委員長 資料5別添2の2ページの上段ですね。分かりました。
○林委員 審査基準の第Z部、第3章、医薬発明、新規性の判断の手法の(3−3)の(a)と(b)です。
○金澤委員長 例えばですよ、私は短気なので。これをもし変えるとするとどういう手続が必要なんですか。
○田村審査基準室長 そこは、基本的には特許庁の内部で検討させていただいて、その後、関係者、例えば医薬品メーカーであるとか、あと実務者の皆様方等、関係者の方々にもご意見を伺って案を作らせていただいて、最終的にはパブコメという形で一般の皆さんのご意見を伺わせていただいて、審査基準の(案)をとらせていただくという手続をとらせていただくことになろうかと思います。
○金澤委員長 少し先走ったことを伺ったかもしれませんが、どうもありがとうございました。
○須田委員 今のこの図で質問したいんですけれども、この進歩性というのは、今のご説明でも「予測を超える」という非常に曖昧な表現ですよね。当業者の通常の創作能力の発揮が大事なんでしょうけれども、その予測を超えたときに進歩性を認めるというのは、曖昧です。では、予測というのはどこまでしていたかという問題で、いつもこれは微妙な話になると思うんですね。だからそこはもう少し、例えば科学的なメカニズムまで分かったとき、あるいは、分からないにしても、恐らく全然作用機序が違うであろうとか、もう少し科学論的なものが言葉として入らないんですかね。そうしないと、さっきの1日を2日にしたっていいという話だって、それは予測の範囲とか、いや、予測していなかったとか、議論しにくいことになると思うのですが、いかがですか。
○南特許技監 審査基準の中で新規性、進歩性というのは、「基準」という言葉ではありますけれども、それぞれ基本的に審査官の判断プロセスを具体的に書いておりまして、進歩性についても幾つかの判断のプロセスがあります。
 例えば、医薬とは違いますけれども、他分野で似たような技術がある場合に、それを簡単に持ってきていいということにしていいかどうか、例えば同じような動機づけがあれば違う分野でも持ってきてもいいとか、悪いとか、そういった細かい判断プロセスを規定しております。仮に薬の用法・用量について特許対象にした場合には、基本的にはそういったプロセスに従って判断していくことになるかと思います。
 有体に言えば、その技術分野の専門家の方々の相場観をいかに論理づけて審査官が判断するかということになるかと思います。なかなか定量的に「これを超えれば特許にする」とか「しない」とかいうのは実際のところは難しいので、そういった規定の仕方、あるいは判断の仕方になるかと思います。
○佐藤委員 弁理士の実務的な立場から、林委員がおっしゃったとおりだと私も思っております。
 結局、今回、どこまで産業上利用できる発明として認めるかという点については、裁判所も医療行為の発明も基本的には産業上利用できると解することはできるとしています。ただし、医療行為という特別な保護対象であるがゆえに、十分に配慮した形で保護すべきだと言っているわけで、そういう意味では、こういう医薬の用量・用法の発明を特許対象とするという国民的なコンセンサスがあれば、それは私は保護対象とされるべきだと思っております。
 先ほど審査基準について細かいご議論がありましたけれども、用途発明として既に医薬については認めているわけですので、そういう意味では、発明の対象として保護すべきだというコンセンサスがあるならば、新しい保護対象の基準として患者群もしくは適用部位だけではなくて、用法・用量による効果を評価対象として保護対象とし、更に新規性、進歩性で判断するという形になってしかるべきではないかと思っております。
○金澤委員長 他にご意見ございますか。
 林委員にちょっと伺いたいんですけれども、確認というかな、3ページの右下の図の方法の発明については、これは色々な意味で難しい。物の発明にしておいた上で、用法・用量を込みにした薬剤、使い方を含めた薬剤を物と見なしてということをお考えなんですね。それで、基準を対象の人と部位の他に、今の用法・用量も加える、こういうことですか。
○林委員 はい、あくまでも物の発明として審査するという前提で申し上げました。
○金澤委員長 他にご意見ございますか。
 それでは、まだ話題が残っておりますので、6ページの機械・器具の使用方法に特徴のある発明と、最終的な診断を補助するための人体のデータ収集方法の発明、この2つについてもご議論いただきたいと思っております。
○林委員 まとめて申しますと、まず、「(2)機械・器具の使用方法に特徴のある発明」についてですが、現在でも機械や器具については、物自体でも特許を取得できますし、製造方法についても特許を取得できますし、また、作動方法についても特許を取得できるわけですので、それ以上、作動方法以外の医療機器の使い方ということになりますと、医療機器という物が製造・販売された後の医療従事者の独立した行為とか手技を特許対象とすることになりかねないのではないかと思います。これは先ほどの「医師の医療行為は特許による独占になじまない」という政策的理由が該当する場面ではないかと思いますので、私は、特許対象にするのは適切ではないのではないかと考えます。
 次に、「(3)最終的な診断を補助するための人体のデータ収集方法の発明」につきましては、これは医師による医療行為でないことは明らかなので、特許対象の拡大というより、むしろ明確化というか、審査基準の診断方法の解釈として、このようなデータ収集方法は含まれなくて特許対象になるということを審査基準に明記すべきではないかと思います。
○片倉委員 私は、(2)機械・器具の使用方法に特徴のある発明については、これ自身、そもそもの議論として、産業育成のためにこういうものを権利化することがどれだけ産業側にとってインセンティブがあるかという軸で考えたときに、これは産業の話とはちょっと違うのではないかというところで、今、林委員がおっしゃったのと同様に、企業の中でこれを権利化しようという考えを持つ方は余り……、それと、これは企業で考える中身ではございませんので、産業としてこういうことを発想することは余りないのではないか、それが1つです。
 もう一つ、(3)は先ほどお話ししたとおりで、これは何とか考えていただきたい。
 ちなみに、先ほどの特許審査基準の抜粋の5ページに、ここで言う人間を診断する方法に当たらない事例が3つほど書いてございますけれども、これは誰も診断する方法とは読みませんけれども、こういうものを事例に書かれても余り判断材料には……。洋服の仕立てのために人間の体格を計測する方法、これは誰も診断とは思わないと思うんですけれども、ここら辺の事例はいかにも適切とは思えなくて、先ほど須田委員のお話もありましたけれども、○か×かというのは非常に難しいとは思うんですけれども、やはり事例としてはもう少し考えて、「ああ、そうだ」という事例の方が適切ではないのかなと思います。
 そういう意味でちょっと検討いただいた上で、(3)についてはやはり権利化を認めていただきたいと思っております。
○金澤委員長 他にご意見ございますか、(2)については否定的なご意見が出ておりますけれども。
○羽生田委員 (2)につきましては、特に特許の対象にすべきでないというのが私どもの強い意見でございまして、例えば、同じ手術で使うメスにしても、手術の上手な方が○○式メスと自分の名前をつけていますけれども、あれは多分、特許はなくやっているはずなんですね。ですからそういったものは特許でなく、広く一般に便利なものは使うという発想で我々ずっと来ていますので、その辺の使い方までが特許という形になると、診療に非常に大きな影響が出てくる。適用外だというものをつけても、かなり影響が出てくる危険があると思いますので、(2)については強く否定させていただきたいと思います。
○佐藤委員 (2)についてでございますが、現状において、特に機械・器具の使用方法について保護すべきだという強いニーズも顕在化していないと思います。ただ、医療技術もこれからどんどん変わっていくわけですので、これをアプリオリに否定するのではなくて、アメリカやオーストラリアのように、これを全面開放している制度を持っている国もあるわけですので、現状においては「今の段階でこれを保護対象とすることについてはコンセンサスを得られなかった」ということで、今後に検討の余地を残した方がいいのではないかと私は思います。
○北川委員 この使用方法等を含めた今回の議論は、過去にもう5回、6回委員会が開催されている中で、ここである程度方針を決めようという決定的な委員会だと私は認識していて、後ろに不透明なものを残すべきではないという考えであります。したがって、(2)については私も特許対象外と、これは従来から言っているように、医療技術の範疇については、基本的には日本では公共のものという考え方に基づいて、全面的に否定するという強い姿勢でいいのではないか。
 一方、(3)については先ほど来、議論が行われているように、方法論とはちょっと違う、一線を画すべき考え方みたいな部分もあるので、ちょっと前に戻りますけれども、用法・用量の議論のところですね、1番、2番あたりもそうですけれども、私は、ここについては一部、特許を認める手当てをすべき部位になっているのかなという判断をし始めています。多分もう総論、皆さんの方向性としては、用法・用量の部分については、少なくとも審査俎上には乗せられるように一部追加していこうという意見が大半と見受けられますけれども、あくまでも審査上、方法論的に見えるものを拒絶するのではなくて、先ほど林委員が色々おっしゃってくださったこと、まさに私もそのとおりだなと思って、そういう書き方とか考え方のところに終始すべきだと。
 ただ、非常に難しいところは、先ほどからもう全部出ているので私は口出ししませんでしたが、要は、どこのレベルを有効性だと見るか、これは明確にしろと言っても多分できなくて、個別の議論になるところで、ここが以前から私も非常に、細胞を使ったものも含めて、審査基準が明確でないとおっしゃっている反面、ある程度明確にしなくていい部分でもないかなと。ここは少しフレキシブルに対応してもいいのではないか。
 逆に、不透明だからなかなかよく分からないと皆さんがおっしゃっている部分については、特許庁の方は非常に大変かもしれませんけれども、どこまでを適正……、用法・用量とか有効性ですね、1つに丸めて言うと有効性の部分を、どこから有効なものか。特許として、要は産業上の利用に有効なものかという判断をするかは、個別審査員とおっしゃっていましたけれども、それは特許庁の中である程度、審議官の方々のレベル感を合わせておいた方がいいのではないか。
 それは多分、明確にすることはできないと思っているんですね。それは以前に私、もう一つお話しした中で、細胞を使ったものだとか全く新しいものがどこから特許対象として、物として特許性があるという判断をしたときに、簡単な動物実験では困ります、臨床研究とかヒトに応用できるレベルのものになったときに特許をと言ったのは、私は、そういうものが1つあってもいいかなと、考え方の中に。そういうレベル観はどこかへ共通認識として、審査の方々が今後、考えながら審査をするということで、この用法・用量の研究開発についても一部特許を認めていく方向で結論を出される方がよいのかなと感じております。
○長岡委員 6ページの(2)と(3)ですけれども、治療と診断と本当に本質的な差があるのか、私はいま一分からないところがあるんですけれども、ただ、今、産業界の方がおっしゃるように、治療に関連して機械・器具の使用方法について特許を取る実利は無く、他方で、計測技術では技術革新があるということで、そういう意味ではこの2つを分けて取り扱うのが一つの現実的な解決策かなとは思います。
 私は基本的には、もちろん医師の行為が特許侵害になること自体は避けるべきだと思いますけれども、それは本当に特許法の保護対象となる発明に区別を設けることで対処すべきかどうかは、かなり基本的な問題もあるように思います。
 ただ、そういうことで、診断と治療が本質的に分けられるということであれば、今、ここにあるような提案が非常に現実的な解決ではないかなということで、基本的には賛成したいと思っております。
○本田委員 6ページの(2)についてですけれども、私も皆さんと同じで、(2)は患者側としても、これが特許となってしまうと、必要な人に適切に医療が提供されなくなってしまうのではないかという危惧を持っています。「この方法がいい」となったときに、その方法を受けたいと思った人が、結局その先生のところに行かないと受けられないとなると、その先生はすべての患者さんにそれを提供することができるのかとも思ってしまいます。
 ただ、一方で、こういうことを色々考えられる、工夫される先生方にも何らかのインセンティブをということで、ぜひ学会とかそういうところでこういう方々に、そういう臨床上の工夫にも力を入れているというような賞を作っていただくとか、なんとか先生の考案した方法ということで、患者さんはそれによって恩恵を受けているんだということを分かるようにして、その先生に多くの患者さんが感謝できる方法を見出すとか、そういうことを考えていただきたいと思いました。
○金澤委員長 6ページの(2)(3)については、大体よろしいでしょうかね。
 実はもう一つだけ残っておりまして、7ページの左側、3.特許対象に関するその他の論点ということで、アシスト機器関連技術。余り時間はないんですけれども、これについてもちょっとコメントいただけませんでしょうか。
○北川委員 これはやはり私は機器といいますか、アシストと書いてありますけれども、これはやはり物といいますか、機械として認識すべきもので、これはどうしても納得がいかないといいますか、これを特許化するのはいかがなのかという気がいたします。
 例えば「こういう構造を持った」「こういう機能を持った機器」とか、物として十分に私、これは特許化できるという認識でいるので、このアシストをするような、そういうところで特許化するといいますか、押さえることには非常に抵抗感と、逆にどういう縛りがかかってしまうのかと。むしろこういった物の開発を阻害するのではないかという危惧さえ覚えるような、広域なものになりかねないなという懸念があります。
○金澤委員長 でき上がった物でいいのではないかということですか。
○北川委員 そういうことです。あくまで物としてということ。
○佐藤委員 これは私が提案したものですので、申し上げたいと思うんですけれども、結局、物で表現できないものがある。方法でなければ表現できない発明があるということが第1の前提です。
 2つ目としては、このようなことは、ここでアシストと言っている行為は医療行為とは直接関係ないにもかかわらず、今は医療行為との関係が審査基準で明確になっていないがために、どうしても拒絶されるおそれがあるということです。
 したがって、本来ならば、元々医療行為と関係ないものとして扱うべきだということですので、今、北川委員がおっしゃったご心配は、ちょっと私は理解できません。
○北川委員 物で判断できないというのは、具体的にどういう行為になりますか。
○佐藤委員 この事例に2つ挙げてありますように、例えば下の方ですと、作業者の負担を軽減するために身体を支える。そのときに、身体に作用させるというところを書いたために、医療行為と同じものとして扱われて排除されてしまう。ところが、ある場所を特定して支えることによって初めて作業負担を軽減できるような発明があったときに、それを物で書いた場合には、ある形に特定されてしまって保護される範囲が狭くなるということを前回ご説明したかと思います。
 そういう意味では、診断という行為に含まれてしまうのではないかということで現在、拒絶されているということで、「課題」の下の方に書いてありますように、診断の定義を明確にすることによって、こういうものは当然含まれないことが明確になるということで整理できるのではないかと思っております。
○北川委員 どう説明したらいいのか非常に難しいんですけれども、物で表現できない、作業者の作業負担を軽減する方法というと、ちょっと私、広過ぎないかという懸念が逆にあるんですね。そこはどうお考えですか。治療とか診断とか、そういうものに該当しないということは分かるんですけれども。
○佐藤委員 医療行為と区別できるような基準を明確にして、そこに踏み込まないようにして保護するということであれば、今のご懸念は排除できるのではないかと思うんですけれども。
○高山参事官 北川委員は、今、歩行補助装置の一番上に「作業者等の作業負担を軽減する方法」と書いてあるのが、こういうクレームの発明を特許化してもいいということがここに書いてあるのではないかと認識されているということですか。
○北川委員 ええ。
○高山参事官 そういう意味ではなくて、あくまで色々な発明の中で、こういった方法が一部含まれるようなもの、という意味で、「作業者等の作業負担を軽減する方法」という1個の発明だったとしたら、これはもう非常に広い範囲の特許で、そんなものが特許になるはずはありません。そういう趣旨ではなくて、ある方法について「この方法を使うと作業者の作業負担が軽減できるんです」と一つの効果として書いてあった場合に、それが病気の予防方法にも該当するとして拒絶理由が発せられてしまうのではないかというおそれを書いてあるだけで、決してこのような非常に広い特許を認めるようにしましょうと書いてあるわけではございません。
○金澤委員長 佐藤委員に質問したいんですが、振り出し補助型という上の例に、「歩行状態の判断」と書いてあるんですね。これは表現の問題かもしれないのであえて伺いますけれども、これは判断でも何でもなくて、歩行状態の感知ですよね、単なる。なぜ「判断」にしなければいけないかがよく分からない。判断となると、これはお医者さんの行為ということになりかねないので、どうして「感知」ではいけないのかなと。「判断」にこだわると、こうなるかもしれませんね。
○佐藤委員 ご指摘の点は、権利の書き方にもあると思います。振り出しの方は、要するに階段を登っている状態とおりている状態を判断するのに、その移動している動作をどうしても見なければいけないので、人間の行為が介在してしまうことになっているということなんですね。
○金澤委員長 そこには人間の行為は入っていないと思いますけどね。機械が感知しているだけだと思うけれども。
○佐藤委員 方法の発明で書く場合には、「動作」で表現するために「判断」ということになります。
○金澤委員長 他に、どうですか。
 今のところ他にご意見がないようだから、これはペンディングですね。
 時間が来てしまいまして、今日全部が終わるとは思っていませんでしたのでやむを得ませんが、でも、随分まとめた皆さん方のご意見をちょうだいできたと思います。この次はまた整理して、更に煮詰めたいと思いますけれども、今日の議論を踏まえて、事務局でまた報告書案の準備をしてくれると思います。
 それでは、最後になりますが、次回以降の予定について事務局から。
○内山事務局次長 次回の会合でございます。皆様にはご連絡しておりますけれども、4月24日の金曜日、午前10時から本日と同じこの場所で開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
 その後、5月8日と5月29日の開催予定でございますが、最終取りまとめに向けた予定を考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。ちょっと時間が遅くなりましたが、本日の会議はこれで終わらせていただきます。