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2009年度 有識者本部員会合(第2回)議事要旨


日 時:平成21年5月25日(木)15:00〜17:00
場 所:知的財産戦略推進事務局会議室
出席者:相澤本部員、角川本部員、佐藤本部員、里中本部員、中山本部員、野間口本部員、長谷川本部員、三尾本部員、山本本部員


事務局から「知的財産推進計画2009案」について説明が行われた。
模倣品・海賊版拡散防止条約(仮称)について、外務省及び経済産業省から説明が行われた。
本部員からの主な意見は次のとおりであった。
 
 (イノベーションの促進)
  産業革新機構の中に企業のOBも含めた知財のエキスパートのグループを作り、そこでオールジャパン体制を整備すべき。
  TLOや知財本部を単に統廃合すればイノベーションが進むというものでもない。むしろ人材育成のほうが大きなテーマ。
  専門家、特に弁理士の支援が足りないというご指摘をいただいており、現場に必要な専門家である弁理士をいかにうまく結びつけていくかということをもっと努力すべき。
  産業界、学会、国、いろいろな関係の情報共有をしておくことも有効。
  特許庁で知財戦略事例集を作っていたが、2〜3年おきに見直すべきではないか。
  大学における学生の発明が職務発明の対象外になってしまうことについて対応すべき。
  地域金融機関が知財を活用して中小企業に融資を行うような方策を是非進めるべき。
  大学、中小企業が知財を活用して事業化まで結びつけていくためには、外部との契約関係が非常に重要。
  日本版フェアユース規定の対象となる範囲が不明確である。
  フェアユース規定の詳細は文化審議会著作権分科会の法制問題小委員会で現在議論が始まっており、そちらで詰めるものと認識。
 
 (グローバルな知財戦略)
  模倣品・海賊版条約(ACTA)について、中国が参加していない理由は何か。
  中国の強制認証の問題に対しては、官民挙げて様々な機会に問題点をアピールする必要がある。特に、政府レベルでのアプローチは効果的。
  特許審査ハイウェイ、ワークシェアリングの問題は、日本が主導で進んでいると認識。将来は相互認証や世界特許システムへ向けてのロードマッピングに乗っていくことを期待。
  海外の国における知財活動を支援するときは、継続的なサポートという視点を入れるべき。日本の場合は、協力期間が終るとその後つき合いが薄くなり、空白期間が生じたところに他国が乗り込んでくるというような事態が起こりがち。知財は粘り強く関係を築いていくという視点が必要。
  中小企業支援に関して、知財訴訟保険というようなもので、少々リスクが生じた場合でもサポートする仕組みについても検討すべき。
  標準化について、経営者層の意識を高めるべき。国際標準で活躍した個人の表彰に際し、その人を十分活動させて貢献ができるようにした団体の長も表彰するという形にすると、上層部の活動に対する理解が進む。
  特許制度の国際調和について、先願主義への統一は難易度は高いが重点施策の中にも入れるべき。
  ACTAには、映画館盗撮防止法の取組も反映させるべき。
  動画投稿サイトへ違法コンテンツがアップされ、多くの人々が疑問を持たずに見ている状況では、違法アップロードはいけないと啓発活動を行っても効果は無いのではないか。
  模倣品・海賊版はいけないということを教育する制度、そういった取組を行うNPO法人を支援するということを書き込めば、対策が具体化していくのではないか。
  そもそも模倣品・海賊版はいけないということ、将来的には絶対に海賊版は減らす方向にあり、そのような取組を国家を挙げて行うということを分かりやすい形で示すべき。
 
 (ソフトパワー産業の成長戦略の推進)
  ソフトパワー産業の成長戦略の推進に関して、一番大事なのは流通・利用の促進を図るという点。 重点施策として利用・流通という点にもっとストレスを置く必要がある。クリエイターの育成のためには、利用・流通の促進を図り、そこから原資を得るべき。
  契約ルールの確立に関して、一つのものの上に権利が存在する場合というのは幾らでもある。全てを当事者間の契約に任せてもうまくいくものであれば全く問題は無いが、うまくいかない事例も多数ある。
  経団連の下にあるVIPOが作っているプラットフォームに対する支援や、デジタルコンテンツの流通促進、活用を明確に謳うべき。
  メディア芸術の国際的な発信拠点の整備について、対外的な説明を行政としてもしっかりと行うべき。
 
 (知的財産権の安定性・予見性の確保/利用者ニーズに対応した知財システムの構築)
  中小企業に対する特許手数料減免制度を見直し、アメリカのスモールエンティティーのような制度を検討すべき。
  「何とかを促進する」とか「支援する」というような表現について、さらに支援策や促進策をユーザーを含めて関係者に周知徹底するべき。国がやっている支援策をよく知らないという声をよく聞く。受け手の側に立った立場でブレークダウンしたものを簡単に説明してあげるという努力が、もしかすると足りないのではないか。
  地域知財戦略本部の取組の中で、中小企業に対する施策のPRがしっかり行われているとの声も聞く。
  国立大学の特許出願費用、審査請求料、維持費用の免除措置が終わったが、この減免措置を継続するべきではないか。
  漠然と産学連携が進んでいる、進んでいないという議論を行うのではなく、具体的な産学連携の評価指標を設けて議論すべき。
  知財戦略本部がしっかり各省庁を取りまとめ、推進役になっていくということなしには、我が国の知財改革は進まない。
  地域知財戦略本部について一部の地域での取組は進んでいるが、全く進んでいない地域もあり、各地域間の格差がはっきり出ている。また、中小企業対策においても、各経産局で取組に差がある。そこを知財戦略本部の事務局が調整し、施策がしっかり実行され、その中で成果が出てくるというふうにさせるべき。
 

 ※「知的財産推進計画2009案」の草案については、会合等で出た意見を踏まえ修正を行うこととし、取りまとめは相澤本部員に一任された。

(以上)