外観・正面玄関
官邸全体~日本らしさを追求、シンボルは「竹」と「石」~
官邸全体〜日本らしさを追求、シンボルは「竹」と「石」〜
平成14年4月現官邸の本館が使用開始。73年間の風雪に耐えてきた旧官邸にかわり、新たな歴史がはじまりました。
官邸の敷地面積は旧官邸の1.6倍、延べ床面積は2.5倍。本館建物は地上5階、地下1階。迎賓機能や会議室などが充実され、危機管理対応の専門のスペースなども整備されました。
デザイン面では、日本らしさを感じられるような簡素な美しさを追求。日本建築の素材である「木」「石」「和紙」「ガラス」「土(壁)」の美しさを活かしたつくりになっています。
2階から屋上までつながる中庭は、「竹」と「石」(切り出したままの花こう岩)の組み合せ。「竹」は「天に向かって伸びる未来への挑戦」、「石」は「大地に腰を据えた力強さと安定感」を表しています。
旧官邸ではミミズクがシンボルでしたが、現官邸では、「竹」と「石」がその役割を引き継いでいるといえます。
正面玄関~ガラスの正面玄関と明るいエントランスホール~
正面玄関~ガラスの正面玄関と明るいエントランスホール~
官邸の正面玄関は建物の東側に位置します。はじめて官邸を訪れた人は、ここが1階と勘違いされるかもしれませんが、官邸の敷地は、東側と西側の高低差を利用した建物のため、高台側にある正面玄関は3階にあたります。
正面玄関は、全面がガラス張りで、明るい印象を与えています。天気の良い朝には、このガラスから差し込んだ日差しが床の上に細い虹のような光のすじをつくり出します。
正面玄関を入ると、天井の高いエントランスホールが広がります。
正面玄関入口前では、官邸警務官やSPが立哨していますが、エントランスホールでも、官邸警務官が館内の警備や警戒、来訪者の用務先確認や案内・誘導を行っています。
エントランスホールの床には、正面玄関と同じ落ち着いた色合いの黒みかげ石が使われ外と内側との一体感を演出しています。壁や天井には、アメリカンチェリーが使われ、正面には、ガラス越しに中庭の竹林が目に飛び込んできます。
エントランスホールを入ってすぐ左には、階段があります。その階段の下には、目立ちませんが完成した年を記念して「2002」と刻まれた敷石が埋められています。
階段~官邸の「階段」ばなし~
階段~官邸の「階段」ばなし~
旧官邸では、通称「男の花道」といわれた正面階段や、組閣や内閣改造時に集合写真を撮影する西階段など、歴史的な階段がありました。
官邸のフロア間の移動は、基本的にエレベーターやエスカレーターが使われますが、3階の正面玄関からエントランスホールに入って左手に2つの階段があります。大ホールや小ホールがある2階につながる階段と閣議室や特別応接室などがある4階につながる階段です。
これらの階段を利用すると、美しい中庭をゆっくりと眺めることができ、なかなか人気が高いようです。
組閣時などの記念撮影は、旧官邸では西階段で行われていましたが、平成14年9月30日の現官邸で初の組閣以降は、2階から3階へつながる階段で行われています。
この階段でも、これから数々の歴史が刻まれていくことでしょう。
南会議室~官邸3階にある南会議室~
南会議室~官邸3階にある南会議室~
官邸の正面玄関を入って左手に南会議室があります。
ここは、政府与党の政策協議や様々な懇談会などに使用されています。
4階の大会議室や2階の大ホール・小ホールなどと比べると、それほど広くはありませんが、エントランスに近い場所に位置することから、総理が出席する行事・会議のほか、各種の連絡会議にも使われるなど、とても使い勝手の良い会議室です。
官邸外観と前庭~親しみと潤いのある「外観」と様変わりする「前庭」~
官邸外観と前庭~親しみと潤いのある「外観」と様変わりする「前庭」~
官邸の周囲は、敷地いっぱいに塀が立てられているわけではありません。塀はかなり内側に下がっていて、官邸の北側の道路との境界は小川と竹林によってつくられています。
幅1.5メートルほどの小川には、花こう岩の石が敷き詰められ、水が波打ちながら流れるようになっています。官邸の敷地は、東から西に下っているため、東側から流れる小川の水は、官邸西側にある広くて浅い池に溜まり、ポンプで循環するようになっています。その池の一角には、数メートルの高い壁がつくられ、この上から水が流れ落ちて滝になる仕掛けもあります。
竹林は、小川の内側の斜面にあり、細くて背も高くならない竹や四季折々の草花が植えられ、彩りを添えています。
旧官邸を南側に移築したことによって、前庭のスペースがかなり広くなりました。ちなみに、移築した旧官邸は、耐震工事や内部の改修が施され、総理の公邸(住まい)として生まれかわりました。