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第15回知的財産戦略本部議事録

平成18年12月6日(水)17:00〜18:00
於:官邸大会議室


○内閣官房長官 ただいまから「知的財産戦略本部会合(第15回)」を開催いたしたいと思います。本日はお忙しい中、御参集をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、安倍内閣が発足してから最初の本部会合となります。
 また、今回より、キャノン株式会社の御手洗会長に替わって、株式会社東芝の岡村会長に、有識者本部員に御就任をいただいております。岡村本部員、どうぞよろしくお願いをいたします。

○岡村本部員 よろしくお願いします。

○内閣官房長官 本日は、まず、知的財産推進計画2006等の進捗状況について説明を聴取いたします。その次に、国際標準総合戦略について知的創造サイクル専門調査会から報告を受けて、本部として御決定をいただきたいと思っております。
 その後、今後の知的財産戦略に関しまして、有識者本部員及び関係大臣から御発言をいただきたいと思っております。
 それでは「推進計画2006及び専門調査会の進捗状況報告」について、新たに知的財産戦略推進事務局長になられました小川事務局長より説明させていただきたいと思います。

○知的財産戦略推進事務局長 小川でございます。よろしくお願いを申し上げます。
 御報告申し上げます。お手元の資料1−1をごらんいただきたいと思います。安倍内閣では、イノベーションの創造、日本の魅力の世界への発信など、日本社会に新たな活力をもたらすさまざまな取組みを進めております。知的財産は、これらの政府の重点課題の実現に重要な役割を果たすものであり、真ん中辺にございますように、発明、創作、それを権利として保護。また、その権利を活用、実用化していく各段階におきまして、政府一体となりまして政策を推進しているところでございます。
 発明、創作、いわゆる知の創造活動を活発にいたしまして、その成果の保護の局面では特許審査の円滑化、模倣品・海賊版対策の強化を、活用、実用化の局面では世界特許に向けた国際的な活動、国際標準総合戦略や、一番下にありますように、アニメ、音楽等のコンテンツの流通促進により、日本の魅力を世界に発信するといった取組みを進めているところでございます。
 また、これらの各段階を通じまして、基盤ともいうべき人材育成、企業の総合的・戦略的経営、中小・ベンチャー企業の支援や地域の振興も極めて重要でございます。
 次に、資料1−2をお開けいただきたいと思います。
(PP)
 推進計画2006の進捗状況について御説明をいたします。2ページを開けていただきたいと思います。
(PP)
 我が国の知財政策におきましては、2003年から3年間を知財政策の第1期と位置づけまして、制度や体制の整備を進めてまいりました。
 今年、2006年からの3年間は第2期と位置づけまして、取組みの実効を上げ、我が国の国際競争力を強化するとともに、新たな課題へ対応していくこととしております。
 次のページを開けていただきたいと思います。
(PP)
 本年6月、推進計画2006が決定されまして、それぞれの課題に着実に取り組んでいるところでございますが、具体的に例を挙げますと、知的財産保護の強化の取組みといたしましては、特許審査改革の加速、日米欧の特許の出願様式の統一化への合意、模倣品・海賊版対策など。
 それから、2番目の柱でございます、日本のソフトパワーを高める取組みといたしましては、ファッション、映画、いわゆる地域ブランド、海外日本食レストランの認証に関する施策等を進めているところでございます。
 この次のページを開けていただきたいと思います。
(PP)
 専門調査会の現状について、簡単に御報告させていただきます。
 当知財本部におきましては、2つの専門調査会が設置されておりまして、それぞれ検討作業中でございます。年明けに報告・提言をおとりまとめいただこうと考えておりますが、それらも踏まえまして、当本部会合と有識者会合にて御検討いただきまして、来年の推進計画2007の策定作業につなげていきたいと考えております。
 2つの専門調査会のそれぞれの検討課題につきましては、以下書いてございますが、国際標準総合戦略について、後刻、阿部本部員から御説明いただき、その他の説明は割愛させていただきたいと思います。
 以上でございます。

○内閣官房長官 次に、国際標準総合戦略案につきまして、知的創造サイクル専門調査会会長としてとりまとめをいただきました、阿部本部員から概要を御説明いただきたいと思います。

○阿部本部員 スクリーンをごらんいただきたいと思います。
(PP)
 国際標準の例でございますが、古くからあるものにバッテリーがございます。最近では、多数の特許が関与しております携帯電話の通信方式のようなものがございます。
 国際標準になりますと、互換性・相互接続性の確保、一定の品質・安全の保証、低コスト化、あるいは市場の拡大というものが可能になるわけでありますが、国際標準から外れますと、これらが極めて困難になるということでございます。
(PP)
 その戦略の必要性について、簡単にまとめてみました。
 御案内のように、地球はどんどん小さくなっておりまして、世界市場は融合・一体化の道を歩んでいるわけでありますが、その中で、したがって国際標準戦略はますます重要になってきているということ。
 それから、WTO協定によりまして国際標準を国内標準の基礎とすることが義務づけられております。
 対象分野も、品質・環境マネージメント、サービス等まで広がっている。
 更に、もともとこういう戦略は米国、欧州は非常に熱心でございましたが、近年、韓国、中国も取組みを強化しています。
(PP)
 それでは、我々として何をすべきかという3つの視点でございます。
 まずは、我が国独自のイノベーションを促進するということでありますが、我が国の先進的技術を国際標準化することがまさに産業競争力を強化することにつながるわけであります。
 加えて、国際標準化によりまして、社会に役立つ技術の普及と環境・安全・福祉の向上を促して、世界に貢献するという視点でございます。
(PP)
 これに立ちまして、戦略として5つにまとめてみました。
 まずは、産業界の意識改革が必要でございます。勿論、意識の非常に高い企業もあるわけでありますが、全体的に見ますと、それはまだ一部でございまして、国際標準化への取組みの強化が必要でございます。
 それから、国際標準人材の育成でございます。国際標準を獲得するためには粘り強い交渉が必要になるわけでありますけれども、同時に、その担当者が信頼を得るということも必要なわけであります。しかも、ものによっては非常に長い年月がかかります。そういった長期的な優れた人材をどうやってサポートしていくか、あるいは後継者の育成を図るかということが非常に大きい課題でございます。
 「4.アジア等の諸外国との連携を強化する」でありますが、我が国は技術協力であるとか、さまざまなことでアジアと連携をしておりますけれども、その中で我が国のシステムであるとか、あるいは考え方を世界的なスタンダードとして認めてもらう努力をする必要があるわけであります。
 そして、公正なルールづくりに貢献するということでございます。
 以上をまとめたのが資料2−2で、分厚い資料でございます。
 以上で報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、ただいま阿部本部員から御説明のありました国際標準総合戦略案を知的財産戦略本部として決定いたしたいと思いますが、御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、知的財産戦略本部としての決定といたしたいと思います。
 次に、知的財産戦略に関しまして、有識者本部員の方々から御意見をお願いいたしたいと思います。
 それでは、安西本部員から御発言を願いたいと思います。

○安西本部員 お手元の資料を、またスライドでお話しさせていただきます。「創造社会に向けた知財戦略」です。
(PP)
 日本が、デジタルネットワークの先進国となっていること、特にアジアにおいてはそうであることは事実でございます。一方で、コンテンツの面におきましてもデジタル時代の新しいコンテンツ、例えばアニメ等も含めたコンテンツが世界から注目をされております。ネットワークとコンテンツの相乗効果を発揮する政策が、知財政策としても極めて強く要求されている時代になったかと思います。
 その中で、特に通信放送制度改革は、日本で最近ずっと非常に強く行われてきたことであります。政府・与党合意、また「骨太の方針」を経て安倍総理に受け継がれておられるわけでありますけれども、やはりこれからなお一層の改革を進めていただくようにお願いをさせていただきたい。そのためには、産官学の力を合わせて取り組む必要があるかと思います。
(PP)
 例えば「産業基盤の整備」。これは、特に著作権の問題についてデジタル著作権がまだまだ未整備である。デジタル分野のイノベーションを促進するためにも、例えば著作権の特区。特区といいますと、普通は物理的な場所のことをいいますけれども、そうではなくて、デジタルネットワーク上の、例えば大学においてだけ著作権についての特有の制度を実験をやってみるというようなことは十分あり得るのではないか。そういう、実際に実験をやってみて、いいことであれば取り入れていくということが、この分野においては非常に大事だと思われます。
 また、著作権のような知的財産に関します「取引市場」もまだ全く取り上げられておりませんけれども、実験的にはやっていく価値が十分あるのではないかと思います。
 「制度の検討」について、デジタル著作権法等の新しい仕組みを、特にコンテンツの生産・消費を促す方向でもって整備していただくことは重要だと思いますし、また、著作権の行政と通信・放送行政がもっと連携を持っていただきたいと思います。往々にして縦割になりがちな状況の中で、知財本部の役割は非常に重要になっていくのではないかと思っております。
 3番目が「人材の育成」ということで、政策、デザイン、マネージメント、技術のバランスが取れた人材が日本にはこれから不可欠でありますけれども、本当にいないんです。そういう人材が必須であります。
 特に、次の世代の想像力・表現力の養成も大事だと考えておりますが、技術、デザイン、マネージメント、政策のバランスが取れた、リーダーシップを取れる人材が知財の分野で本当に欠けているというのが今の状況だと思いますので、是非、人材の育成についてもお考えいただけないか。これは大学の問題でもありますけれども、是非お願いしたいと思います。
(PP)
 これが最後でありますが、アジアゲートウェイのソフトパワー版をつくっていけないか。やはり日本をアジアの情報ハブにするということが、これからのアジア、また、世界に向けての日本の知財国際戦略の非常に大きな方向だと思います。
 また、そのためには分野を超えた産官学のプラットホームが必要で、知財戦略本部、また、大学等々を含めて、やはり横断的なプラットホームを是非つくっていただけるようにお願いできないか。
 それから、その中に、日本のリーダーシップについてはデジタル先進国として、例えばWIPOのような国際知財機関があるわけでありますけれども、そういったところとも連携をしていただいて、グローバルな貢献を日本からしていくということについて、この分野ほど適した分野は、ほかにもあるかもしれませんけれども、非常に適しているのではないかと思います。
 慶應義塾も、その一つだというふうには思っておりますが、それを超えて、日本として、是非、国際知財戦略をデジタル知財の分野でもって切り開いていただきたい。よろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に岡村本部員から御発言をお願いいたしたいと思います。

○岡村本部員 よろしくお願いいたします。
 私から、2点お話をさせていただきたいと思います。1つは、知的財産の保護と活用のバランスをどう取るかという点。それから、コンテンツ産業振興のための産業間協力の必要性の2点についてお話をさせていただきたいと思います。
 知的財産立国を推進するためには、イノベーションの創造が必要でありますが、そこからもたらされる利益を最大化していくという戦略が重要であると思います。そして、イノベーションによってもたらされる利益を最大化するために必要な視点は、イノベーションによって生まれた知的財産をいかに保護するかと同時にいかに活用していくかという点でございます。また、限られた資源をどの分野に投入するかということも、イノベーションによる利益を最大化するために考慮すべき視点の一つになると思っております。
 今、申し上げましたように、知的財産の保護と活用のバランスが大変重要でありますが、特に知的財産の活用を通じて利益が最大化されるという点を強調させていただきたいと思います。
 続いて、イノベーションの期待すべき分野の一つは、今、お話がございましたように、コンテンツ産業だと思っております。したがって、知的財産戦略推進計画2006においてコンテンツ大国を目指した施策が多数盛り込まれていることを、大変高く評価したいと思います。
 経団連におきましても、本年4月に「エンターテインメント・コンテンツ関係者の戦略的コラボレーションに向けて」というタイトルで、ユビキタス時代の新たなビジネスモデル構築のための提言をまとめております。この提言の中で、世界に誇れる創造力を有するソフト業界、同じく、世界に誇れる技術力を有するハード業界、更には世界最高水準の通信サービスを有するキャリア、この幅広い関係者の連携と、Win−Winの関係構築の重要性を訴えております。
 例えば、携帯電話におけるコンテンツビジネスが日本発のビジネスモデルとして大変成功しているわけでありますが、この理由は、やはりハードの技術革新と、キャリアによるプラットホームの整備、そして、魅力あるコンテンツの提供、これらが緊密に連携してWin−Winモデルをつくったからであり、そういう意味で、このビジネスモデルは象徴的な事例であると思います。それぞれの分野のイノベーションが大きなイノベーションにつながり、社会を変革して、文化まで変革した成功例であると思っております。
 こういった成功例に続く、関係者の新たな連携とビジネスモデルを創出するに当たり、まだまだ多くの問題が山積しておりますが、これらの課題を解決していく知恵と努力が官民ともに求められております。
 政府には、法改正、制度変更を含めまして、新たな連携を進めやすくする環境づくりを推進していただきたいと思います。このような連携から日本特有の新たなイノベーションが生まれ、日本発の新しいビジネスモデルが生まれれば、知的財産戦略の別の大きな柱であります国際標準総合戦略にも合致した結果をもたらすものと思います。
 以上でございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に角川本部員からお願いいたします。

○角川本部員 それでは、スクリーンの方をごらんになっていただきたいと思います。第19回東京国際映画祭が無事に終わりましたので、その御報告から入りたいと思います。
 冒頭、CJマークが入っておりますけれども、これは海外における日本のコンテンツを守るために、商標として付けられているものであります。

(DVD上映)

○角川本部員 お手元に資料4ということで、第19回東京国際映画祭を俯瞰した写真が載っております。オープニングには安倍総理にもご出席していただきまして、また、クロージングには甘利経産大臣にもご出席していただきました。ありがとうございました。
 お陰様で、30万320人という、19回目にして初めて30万人の大台に乗る動員を達成することができました。
 次のページをごらんいただきたいと思います。来年は、いよいよ東京国際映画祭も第20回になります。この節目と、今、経済産業省を中心とし総務省、文化庁、また、観光という面では国土交通省の皆さんにも入っていただいて、いよいよ第1回目のジャパンコンテンツのカーニバルを開催するということが決まりました。これはCESA主催のゲームソフトの「東京ゲームショー」から始まって、ユニジャパンが主催する「東京国際映画祭」のクロージングまで40日間というコンテンツ月間の中で日本のジャパンコンテンツを見せていきたいということであります。
 そして、ここの場では是非、今、慶應大学の学長からお話がありましたけれども、コンテンツとテクノロジーの融合、コンテンツとデジタルテクノロジー、あるいはネットワークの融合を実現していきたいと思います。是非、省庁の横断的御協力をいただくことと、また、大きな予算もかかりますので、その点での御協力もいただきたいと思います。
 来年に向かって、また頑張って参りますので、よろしくお願いいたします。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に川合本部員から御発言を願いたいと思います。

○川合本部員 知的財産立国へ向けての戦略も第2期に入り、いよいよ国際競争力をつけ、外交的な施策も含め、知財戦略を展開するフェーズに入れたということは大変うれしいことでございます。一方、研究現場にいる者として、やはり足固め、地固めというのをここでもう一度ちゃんと見ていく必要があると考えております。
 知財の大本は、発明や創造でございます。こういうイノベーションを担う機関が国内には幾つかございますけれども、今、私が兼務で所属しております研究開発法人の研究推進に関して、1つ、非常に困惑していることがございます。
 我が国の戦略の大きな2つの柱は、1つは今の科学技術創造立国として経済を発展させていくというところがあります。もう一つは行財政改革による国の経営のコンパクト化というのがございます。これが開発型の独立行政法人のような研究開発現場に両方押し寄せてまいります。こういう新しい創造をしながら、しかし、例えば産業界と手を結びながら、民間からの投資も入れながら、新たなつなぎになる人材を輩出していこうというときに、これまた全部一律の人員削減の枠にかかってしまいまして、長期的な戦略を据えて人材養成をするところが少し黄色信号がともっております。ここの目的をきちっと踏まえて、産業界との共同事業に当たるような部分を減速することなく、人材育成、人材の輩出をよりスムーズにできるような仕組みが、今、望まれていると思います。
 2007年は、ちょうど2期の真ん中の年でございますので、先へ進んでいく施策と、もう一度、足元を固める施策と、両方をきちっと見据えた提言ができれば大変うれしいと思っております。
 以上でございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に久保利本部員から御発言をお願いいたしたいと思います。

○久保利本部員 大変すばらしいジャパンコンテンツということで、角川さんから御紹介いただいたとおりでありますけれども、それでは、そのコンテンツの担い手である人たちは日本をどう見ているんだろうかということで、実はコンテンツ専門調査会の企画ワーキンググループは、2人の代表的なアーチストのヒアリングをいたしました。お一人は、ホラー映画を中心にハリウッドで大変活躍をしておられる一瀬隆重さん。もうお一方はルイ・ヴィトンの、例の村上アニメといいますか、村上カラーで有名な、アニメ・造形アーチストである村上隆さん。このお二人でございます。
 ところが、大変驚いたことに、このお二方は、今のような日本の現状では日本を捨てるしかないという明確なメッセージをおっしゃいました。だれも捨てたくて捨てるのではない。しかし、この国でこれ以上ビジネスとしてコンテンツというものをやり続ける意味があるだろうか、できるだろうかというある種の絶望というのを私は感じました。
 ポイントは、産業化ということです。コンテンツを産業化するためには何が必要か。
 1つは、権利化であります。権利として守れるような契約書がなければ始まらない。その契約書をつくろうと思って、一瀬さんも村上さんも日本の企業と、あるいは日本の社会で奮闘しているわけでありますが、契約書をつくろうと言っただけで嫌悪感の塊に打ち返される。弁護士を入れて話をしよう、と言うと、とんでもないといわれる。こういう中で、とてもではないけれども、権利を契約書によって守るということは不可能なのではないか。
 したがって、法律云々ということもさることながら、この権利を守る、契約書を工夫することによって強い力を持つ。そういうビジネス風土というものがないと、プロデューサーはやっていられない。アーチストは成功できないというのが1点であります。
 もう一方は、産業化のために必要なのは資金調達であります。それは新規投資が入ってこなければ映画をつくることもできません。新しいもくろみを始動することもできません。あるいは新しいプロデューサーたちをつくろうと思って学校が必要だと言っても、その学校に寄附をする人たちがいません。そういう意味で、今の日本の税制が問題です。この寄附にしても、投資にしてもエンゼル資金というようなものが入ってくることによってパワーを持つ。そういうビジネスチャンスが広がってくるということを確保する意味でも、やはり税制改革を通じた、この資金の流れというものをつくってこなければいけないのではないかということでした。契約ができない、権利化ができない、そして資金調達ができない。エンゼルのように投資をしてくれる投資家がいない。そういう税制を是正しなければ、コンテンツをこれからつくり続ける拠点としては日本はとても向かないのではないかという発言でございました。
 私は、非常に重い発言として受け止めたものでございまして、国策としての知財国家を考えていく以上は、この権利化の問題と資金の流れ、税制の問題というのを抜きにはできない。我々、全力を挙げて、この本部でここの難関を突破していくべきではないか。かように考える次第でございます。
 どうもありがとうございました。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に下坂本部員から御発言を願いたいと思います。

○下坂本部員 まず、知的財産というのは、日本人が非常に得意としておりますものづくりの基本となるイノベーションを支える基盤でございます。さまざまな改革の取組みが行われております中で、特許審査の迅速化は我が国の国際競争力の強化を支えていく根幹となる取組みでございます。
 また、世界特許の実現は、世界に先駆けて我が国が提唱したテーマであり、世界共通のルールに沿って無駄を排除するとともに、ユーザーの負担軽減を図るルールの創設に向けた取組みでございます。
 これらの取組みは、現在、特許庁がリードをしておりまして、特許審査改革加速プランや、特許出願様式の統一などの成果となって表れております。特許制度の調和に関する先進国会合を日本が主催しましたように、今後もこれらの知的財産制度の改革に向けた取組みを積極的に推進していくことが重要と存じます。
 我が国が牽引役となって、世界の知的財産制度の調和を進め、知財大国としての日本が自他ともに認められるようにしていくべきであると考えますので、この知財戦略本部においても引き続き熱い情熱を持って知財創造サイクルの改革・推進に取り組んでいただきますよう、お願い申し上げます。
 次に、模倣品・海賊版対策の問題について、少し申し述べます。
 9月にアクションプラン2006が決定されていますが、模倣品・海賊版が犯罪組織やテログループの資金源になっているとの指摘もございます。今年8月の世論調査では、今なお、一般消費者が、模倣品・海賊版の購入を容認するという回答が50%近くもありました。この容認率は、2年前の平成16年7月の世論調査時の46.9%とほぼ同じ数字でございます。
 幸い、特許庁では12月1日から1ヶ月にわたる模倣品・海賊版購入の抑制を普及・啓発するための集中的な広報活動を開始されましたので、ただいま、その成果に期待を寄せているところでございます。
 私、個人的は外国に参りましたとき、外国人から、日本人が偽物を買うから我々が偽物をつくっているんだ、というようなことを堂々と反論されるようなことはできるだけ回避したいと思いまして、日本人が皆で何とかならないかと考えているところでございます。国民に対する知財尊重意識の高揚を図らない限り、日本人は模倣品を許容していると言われたままになってしまいます。政府・国民が一丸となって、美しい日本を目指して取り組んでいくべき重要な課題と考えております。
 なお、甘利経済産業大臣も提唱者の一人でございます模倣品・海賊版拡散防止条約については検討が進み始めたと伺っております。是非とも実現に向けてお進めいただきますよう、お願い申し上げます。
 以上です。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に中山本部員からお願いをいたします。

○中山本部員 中山でございます。
 2002年に戦略会議が発足いたしまして、知財基本法が成立し、その数字にわたる戦略計画が策定されまして、国家戦略という観点からは改革の道筋、つまりメニューというものはほぼ固まったと考えております。
 勿論、問題がすべて解決したわけではないわけでありまして、今後も知的財産法関連の法改正は行われるでしょうし、またもろもろの施策も行われなければいけません。しかしながら、荒井前事務局長に御尽力のお陰もありまして、方向としての基礎固めは大体できたと考えております。例えば、極めて重要な問題である模倣品・海賊版の撲滅につきましても方向は決まっておりまして、あとは規制の方針をしっかりと行い、いかに実行あらしめるかという問題だろう。そういう局面に移っていると考えております。
 ただ、これは方向が決まっているというだけでありまして、今後はその継続的な実施が不可欠でありまして、そのためには戦略本部も重要な意味を有し続けると考えております。特に、特許制度に関しましては、問題点の多くは出尽くしておりまして、今後は着実にその実施を行っていくべきであると考えておりますし、現に特許庁は大変な努力をしているように私には見受けられます。
 ただ、先ほどから話が出ております著作権法につきましては、デジタル技術、あるいは通信技術の影響を最も強く受けている分野でありまして、いまだ、この新しい技術に対応できているとはいい難い状況にあるように思えます。
 しかし、特許の場合と比較いたしまして、著作権に関する国際条約はかなり細かな実態的側面まで規定しておりまして、我が国だけで改革できる事項というのは限定されておりますし、画期的な方向転換というのはなかなかやりにくい状況にあります。その上、現在ではデジタルとアナログが混在しておりまして、また、デジタル技術の発展のスピードも著しく、その方向も流動的であるということでありまして、どこの国もまだ確固たる対策は出し得ていないという状況にあります。
 しかしながら、著作権の分野というものは、今後の発展が大いに期待されておりますコンテンツビジネスのインフラともいうべき存在でありまして、この問題につきましては、この戦略本部においても今後とも重要な関心を持っていくべきだろうと思います。
 例えば、一例を挙げますと、放送と通信の問題は非常に重要な問題でありますけれども、まだ著作権法の改正は緒についたばかりでありますし、あるいはGoogleのような検索エンジンを日本でつくろうと思っても、著作権法に抵触する危険性がかなり強い。したがいまして、今、日本にある検索エンジンは皆アメリカでサーバーを置いているわけで、日本ではやりにくい。やると極めて危険であるという状況にあります。ただでさえアメリカに情報が集中しているところを、著作権法が邪魔をして、日本でそういう事業ができないということは避けなければいけない。
 この2つの問題だけに限らず、これから著作権法については、その方向性も含めて、この戦略本部で関心を持っていただきたいと思います。
 以上でございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に野間口本部員からお願いいたします。

○野間口本部員 野間口でございます。総理の所信表明演説でイノベーション25の戦略を出されておりますが、このイノベーションには強い知的財産の創出が必須であると思っております。知的財産なくしてイノベーションなしというように考えております。このような観点から、推進計画2006の進捗及び今後への期待を3点ほど申し上げます。
 まず第1は、本日決定いただきました国際標準総合戦略であります。日本発の技術を国際標準へというスローガンの下で、国際標準戦略の強化ということにつきまして、私ども産業界、この本部が発足以来、申し上げてまいりましたが、今回、決定いただいたということに万感の思いを持っております。
 20世紀におきましては、国際標準の普及と申しますのは、枯れた技術を国際標準にいたしましたので、知的財産との関係はむしろ相反するものと考えられておりましたが、この知識社会であります21世紀では、これらをバランスさせて取り組んでいくということが必須になっております。
 今回、すばらしい国際標準の戦略を策定いただいたと思っておりまして、関係者の皆様にお礼を申し上げたいと思います。経団連といたしましても知的財産委員会を新しく発足させましたが、その中で国際標準化戦略部会を設置しまして、政府と一体となってしっかりと取り組んでいきたいと考えております。どうぞよろしくお願いします。
 あと2点ございます。次は産学官連携でございます。これまでの推進計画で、概略における知的財産管理制度や体制は大変進んでまいりまして、知的財産活動が着実に進展してまいりました。企業としても大変喜んでおります。
 大学に対しましては、世界をリードするような独創的な基本特許につながる重要な発明を是非創出していただきたいと思っております。そのためには、大学の知的財産本部とTLOとの連携強化や、地方・地域の大学における産学官連携機能の強化など、大学側の一層の体制整備を大いに期待したい、産業界もそれに協力していきたいと思っております。
 最後でございますが、先ほど下坂本部員の方からも出ました特許制度調和の問題でございます。これは、私どもとしては、先ほど出ました特許出願の書類様式の統一とか、相互承認の検討とか、日本がリードして取り組んでいただいていると思っております。日米欧に加えまして、韓国、最近では中国やタイとも連携が進んでいると聞いておりまして、大変、意を強くしております。ますます、この取組みを強化いただいて、推進をしていただけるようにお願いいたしまして、私の発言を終わります。
 以上でございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に森下本部員からお願いいたします。

○森下本部員 私の方から、パワーポイントと、お手元の資料の両方を用意させていただきました。
 今、野間口本部員の方から産学連携、特に大学知財本部、それから、TLOの設置ということで進んできたという話が出てまいりましたが、実際に国立大学におけます共同研究の実績を見ていただきます。
(PP)
 平成12年の段階と比べまして、17年度は約4〜5倍に伸びてきております。また、大学発ベンチャーの設立に関しても、平成12年の段階と比べまして、現在10倍、約1,500社程度が大学から実際に実社会に出て活用をしているという状況になっております。
 特に、注目すべきこととしては、その下に金額が書いておりますが、これは大学発ベンチャーの研究開発投資の金額を書いております。大学発ベンチャーはライフサイエンス分野だけで既に200億円を超える研究開発費を毎年投資しておりまして、これは民間からの純投資金額に当たっております。
 その意味で、これは売上げ6,000億円の企業が誕生したのと同じだけの研究開発費が民間から研究開発、イノベーションの現場へ投入されているということになりまして、実は非常に大きなイノベーションの主役になり始めたということが見て取れます。
(PP)
 実際に、大学発ベンチャーにおきまして画期的なイノベーションによる医薬品の開発というのも進んでまいりました。2000年の取締役兼業解禁以来、いろいろな大学発ベンチャーが特にライフサイエンス領域で活動しておりますが、ここに示しておりますように、6種類の品目が既に臨床に入っておりますし、培養表皮におきましては、現在、厚生労働省の方に既に申請がなされているという状況になってきております。その意味では着実に進んでまいりまして、大学発ベンチャーがまさにイノベーションの主役になり始めたという現況が見て取れます。
(PP)
 その中でも、特にこれから注目される分野として人工遺伝子医薬と言われる領域があります。これはまさにイノベーティブな創薬でありまして、左の上の方にカメの甲のようなものが書いておりますが、これは人工の遺伝子の構造でして、こうした遺伝子の構造を機械で合成いたしまして、それをつなげていくことによって薬をつくることができます。
 既にアメリカにおきましては、Isis Pharmaceuticals社という会社がアンチセンスという薬、それから、Eyetech社という会社がアプタマーという薬をつくっておりまして、特に、このアプタマーに至りましては、昨年度、アメリカで200億円を超える売上げを出しております。これは加齢性黄斑変性症という、年を取っていきますと、失明の原因であります眼の病気に対する薬でありますが、既に5万人以上に使用されておりまして、非常に著明な、有効な効果を示しております。
 次世代のイノベーティブな創薬といたしまして、RNAiという技術も出てまいりました。これは今年のノーベル医学生理学賞を受賞されましたが、この技術を利用したSirna社というベンチャーがメルク社という大手のアメリカの企業に1兆3,000億円で買収されるということで、大手製薬企業を巻き込んだイノベーションが、今、起こっているという状況になっております。
 今日、御紹介しようと思いますのは、実はもう一つの人工遺伝子医薬で、デコイと言われます概念でして、これは私が実は1993年に考案したんですが、名前の由来が、横にカモの絵が書いてあるかと思います。これはデパートの家具売場に行くと、カモの木彫りが置いてあると思うんですが、これはモントリオールの名産で、これを池に浮かべておくと、カモが間違って寄ってきまして、それを猟師が撃つという猟なんですが、これをおとりという意味でデコイと呼んでいます。実は、ここから命名いたしまして、こうしたおとりを利用した人工の遺伝子というものも開発してまいりました。
(PP)
 少し原理を御紹介しようと思いますが、いわゆる病気が起こる理由というのは、かぎがかぎ穴に入って遺伝子の発現が起こるということでございます。通常は、このかぎを壊そうとするんですが、かぎの種類は1種類だけではなくて、通常は10種類以上に、非常に多くにわたっております。
 実は、我々が開発した方法、先ほどのおとりというのはかぎ穴を偽造いたしまして、この人工の遺伝子を細胞の中に入れることによってかぎをだましてしまおう。かぎ穴の方は数が多くありませんので、1つの人工の遺伝子によって多くの遺伝子を抑えることができるという技術になっております。特にこの技術を応用して、現在、開発が進んでおりますのが次のページになります。
(PP)
 アトピー性皮膚炎に対する薬の開発を進めております。これは、実際には弘前大学との共同研究で行ったものなんですが、治療前には顔面に対して非常に著明なアトピーの方で、今までの薬ではなかなかよくならなかった方なんですが、この方に4週間打っていただくと改善をしてきたということがわかります。これは今年の11月から国内でフェーズIIという医薬品の第2段階に現在入ってきております。特にステロイドのような副作用がないということがわかってまいりまして、子どもに優しいアトピー皮膚炎の薬ができるのではないかということで、現在、開発を進めております。
(PP)
 実際に、この開発は私どもから技術移転をされましたアンジェスという会社が、今、進めておるんですが、こちらの方では知的財産を利用した究明を積極的に行うということで、ベンチャーで初めて知的財産報告書を作成しておりまして、毎年更新いたしまして、1万8,000人以上の株主の方がいらっしゃいますが、その方々に送付をしております。
(PP)
 その意味で、現在、大学発イノベーションが非常に進んでまいりました。これは大学知財本部事業、あるいはTLO事業、大学、特に旧国立大学からの特許に対する特許料の減免、医療特許の拡大等によってもたらされたという、まさに知財を糧にしたイノベーションということが言えるのではないかと思います。
 ただ、来年度以降、知財本部の事業も終了いたします。あるいはTLO事業に関しましても終了いたします。旧国立大学の特許料減免に関しましても半減という形になるということになっております。その意味で、今、やっとイノベーションが動き始めた中で、是非、知財本部、TLO事業、特許料の減免等の延長・拡大ということで、産学連携事業のさらなる拡充をお願いしたいと思っております。
 また、医療特許に関しましても、再生治療、あるいは組み合わせ医薬というところまで拡大されてまいりましたが、依然として再生・遺伝子治療分野におきましては、諸外国に比べて非常に不利な状況が出ております。特にライフサイエンス領域という、非常にやや難しい領域の知財整備というので少し遅れてきたところがありますので、現在、プロジェクトチームが動いておりますが、是非、臨床治験制度の整備と併せて、イノベーションの主体である大学、そして、そこから派生する産学連携事業に関しまして、より一層、知財としての応援をしていきたいと思っております。
 以上です。どうもありがとうございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。続きまして、阿部本部員からお願いをいたします。

○阿部本部員 いろいろ御報告がありましたように、ここ5年半を振り返ってみますと、まさに見違えるように知財が変わってきたと思います。しかしながら、これだけの大きい改革が進みますと、当然のことながら、これに伴って新しい課題がどんどん出てまいってきております。制度的な課題や実務的な課題等でございます。これからは、こういう非常に専門的なものも含めて、一つ一つに対応して戦略の実効を上げていくことが必要で、まさに知的財産戦略は新しい時代に入ったものと認識をしております。
 若干、具体的なことを申し上げますと、大学も随分活性化して、たくさん特許が出てまいりましたけれども、国際特許はまだ16%程度でございます。今後は勿論、基本特許に基づく国際的な出願が伸びてくることを期待したいわけですが、そうすると、今まで余りなかった海外との紛争みたいなことも出てくると思いますが、そういうことにきちんと対応していかなければいけないというのも一例でございます。
 2番目の例は、産学連携が進んでまいりますと、論文を発表したい大学と、発明を秘密にしたい企業、わかりやすく言うと、守秘義務的な契約がございまして、それに共同研究に参加する学生が発明をしたときに、権利の取扱いをどうしたらいいかということも、さまざまな課題がこれから出てくるに違いないわけであります。これはいいことですが、対応がきちんとなされるべきであります。
 それから、森下本部員がおっしゃっているライフサイエンス分野ですが、これはまさに、これから非常に大きい市場が期待されるところでありますけれども、研究の道具となる実験動物などの、リサーチツールというんですが、このリサーチツール特許によってほかの人が研究ができなくなるということの懸念も指摘されているわけであります。こういった知財を保護しながら、更に後続の人たちの研究がどんどん進むようなバランスの取れた知的財産戦略を推進していくということ等でございます。
 このほか、改革や活性化に伴う新たな課題がたくさんございますが、今後とも、さらなる改革や整備を進めて、実効を上げていくことが必要だと考えております。
 以上でございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。続きまして、甘利大臣から御発言をお願いいたしたいと思います。

○経済産業大臣 知的財産に関しましては、私自身、6年前に知財立国宣言を提案するなど、大臣就任以前から思い入れがあります。今後、副本部長として全力を尽くしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 先ほど、決定をされました国際標準総合戦略は大変重要でありまして、経済産業省はその内容に一致した取組みを進める方針でありまして、国際標準の提案件数の倍増、そして、欧米並みの幹事国引受数の実現という国際標準化戦略目標を設定いたしました。先日も官民戦略会議を開催いたしまして、目標達成に向けて実現に全力で取り組むことを確認した次第であります。
 大臣就任早々に、特許審査迅速化・効率化推進本部を開催いたしまして、イノベーション促進のための特許審査改革加速プランを策定・公表いたしました。このプランに基づきまして、まず1として特許審査の迅速化等の国内の課題に加えまして、2として国際的な特許制度の調和、審査協力や模倣品対策などのグローバルな課題にも取り組むほか、地域中小企業の知財活用に対する支援を強化する予定であります。
 グローバルな課題への対応といたしまして、日米欧三極間での出願様式の統一や、来年の4月から日本と韓国の間における審査結果の相互利用の開始につきまして合意をするなど、出願人の利便性向上や負担軽減を図る取組みを進めてまいります。さらに、国際的な特許制度調和のための条約の早期実現を目指しまして、各国との交渉に粘り強く取り組んでいるところであります。
 地域における知財活用につきましては、本年4月から地域団体商標制度を導入いたしまして、これまでに79件の登録を通知いたしました。出願は600件を超えるほどありました。今後とも地域ブランドの適切な保護を通じまして、地域経済の活性化を支援してまいります。
 模倣品・海賊版対策につきましては、今月は模倣品・海賊版撲滅の集中キャンペーンを実施いたしております。
 ここで、来週11日から放映をしますCMを紹介したいと思います。

(CM上映)

○経済産業大臣 なかなかインパクトのある作品でございましたが、引き続き関係府省の御協力をお願いいたします。
 以上です。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、続きまして高市大臣からお願いいたします。

○内閣府特命担当大臣(科学技術政策) ありがとうございます。
 今日は、先生方から大変興味深い話を伺いました。ありがとうございました。イノベーションの創出という面でも、それから、科学技術立国といった観点からも、やはりこの知的財産戦略というのは非常に重要だと思います。
 私の周辺での取組みについて、簡単に申し上げます。
 まず、総合科学技術会議では、これまでは大学における知的財産活動の強化、知的財産を活用した産学官連携の推進などのさまざまな提言を行ってまいりました。それから、今年6月に策定いたしましたイノベーション創出総合戦略におきましても、やはりイノベーションの種から実に育てていくといった仕組みを強化する方法として、大学などの基本特許に支援を集中し、産業界での本格的活用を目指す戦略強化といったことなどを挙げております。
 こうした取組みで、御報告にもありましたとおり、産学官の連携活動というのは着実に伸びてきていると思いますが、更にこれを本格化しなくてはいけませんので、総合科学技術会議の知的財産戦略専門調査会で具体的な検討を進め、この成果は来年の5月ぐらいにはまとめまして、これまで同様、次回の知的財産推進計画に反映していただきたいと思っております。
 今日の慶應の安西先生の発表の中でも非常に印象深かったのですが、私も、今、科学技術担当大臣でもあり、イノベーション担当大臣でもあります。本当に、このイノベーションという大きな流れを起こしていこうと思うと、市井に眠っているすごい発明とか、すごい知恵というのはいっぱいあるのだろうと思うのです。ただ、マネージメントですとか政策に明るくないために、それが世の中に出回らないとか、また、知的財産が守れないというようなこともあって、やはりおっしゃったようなバランスの取れた人材の育成というのは大事なのだろうと思います。
 ファッションの専門学校ですとか、調理師専門学校でも、最近は経営を教えています。また、高等教育機関におけるMOTの教育などが進んでおりますけれども、それと併せて、改めて経営とか政策を学べないけれどもそれでもすごい知恵者に対しまして何らかのコンサルタントになるようなビジネスパートナーとのマッチングというのも必要なことなのかなと思いますので、またお知恵を貸していただきたいと思います。
 以上です。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、田村総務副大臣からお願いします。

○総務副大臣 経済活動がこれだけグローバル化してくる中において、我が国の経済成長というものを維持していくためには、ICT、情報通信技術の競争力というものをしっかり維持していかなければならない。このような観点から、我が省といたしましても大臣の下にICT競争力懇談会をつくらさせていただきまして、今、鋭意、いろいろと議論をさせていただいております。
 それで、今、お話があったんですけれども、まさにその中で戦略的な標準化は大変重要な部分でございまして、国際標準総合戦略をとりまとめられたというのは大変大きな意義があると思っております。このICT分野においては、ITU、国際電気通信連合の中におきまして標準化を決めていっておるわけでありますけれども、先日、ITUの標準化局長選挙に我が国から立候補しましたが、2票差というような大変僅差で敗れたことは残念でありまして、これからの国際選挙においてはしっかり戦略を立て、向かっていかなければならぬというふうには思っております。それは別といたしまして、これからICT分野でもしっかりと産業界と一体的な取組みをしながら標準化に取り組んでいきたいと思っております。
 携帯電話の話が出ましたけれども、国内では成功モデルというお話がありましたが、国際的に見ますとかなり問題がありまして、第2世代は世界的にはGSM方式、日本は独自のPDC方式ですので標準化の部分で負けてしまったわけであります。第3世代、そして第4世代に向かって、日本も標準化に主体的に取り組みながら、ICT分野でしっかりと問題を解決しながら国際競争力をつくっていかなければならない。このように思っておるわけであります。
 併せて、いろんな技術ができてくるわけでありますから、コンテンツがあるから更に大きな産業になるわけでありまして、ただいま著作権法のお話もありましたけれども、権利処理関係をしっかりと円滑化させながら、この発展に向かっても我が省としても取り組んでまいりたい。このように思っております。
 以上でございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に富田財務副大臣からお願いいたします。

○財務副大臣 財務省より、知的財産推進計画2006に盛り込まれております模倣品・海賊版の水際取締に関する事項についての検討状況について御説明いたします。
 本件につきましては、関税・外国為替等審議会関税分科会の下に設けられておりますワーキンググループにおきまして関係者からのヒアリング等を通じ、侵害疑義物品に係る認定手続の簡素化等、知的財産保護の強化のための水際取締に係る施策について検討してまいりました。
 先ほど、下坂本部員から個人使用のお話がありましたが、個人使用目的を仮装した輸入につきましては、本年7月に通達を改正し、税関における取締りの強化を実施しているところであります。
 今後、ワーキンググループの検討結果を踏まえまして、12月中旬の関税分科会において、平成19年度関税改正についての答申をいただき、法律改正が必要な事項につきましては平成19年通常国会への法案提出を予定しております。
 以上であります。

○内閣官房長官 ありがとうございました。続きまして、遠藤文部科学副大臣からお願いいたします。

○文部科学副大臣 先ほど、本部員の皆さんから大変貴重な御意見をいただきました。文部科学省としましても、先ほど安西本部員、野間口本部員、あるいは阿部本部員等からも話がありましたように、まずは国際標準化において活躍できる人材の育成、そして、国際標準の基となる優れたイノベーションの創出に資するよう、大学等の教育研究活動や知的財産活動に対する支援の充実に取り組みながら、産学官連携を一層進めたいと思っております。また、独立行政法人等の研究機関の果たす役割も大変重要でありますので、その活動もしっかり支えていきたいと思っております。
 なお、今国会に知的財産推進計画2006に盛り込まれましたIPマルチキャスト放送の取扱い等に関する著作権法の一部改正案を提出しているところでありますが、現在審議中であります。衆議院で昨日可決をいたしました。
 先ほど、これも安西本部員、あるいは中山本部員から、特区、あるいは取引市場、また著作権と通信技術の連携などの御意見がありました。今後とも著作権制度の在り方については、文化審議会著作権分科会における検討も踏まえつつ、時宜に遅れることなく、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
 以上です。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 それでは、他に御発言がございましたら、どうぞ、挙手を願いたいと思います。
 特にないようでしたら、最後に知的財産戦略本部長の安倍総理より御発言をお願いいたしますけれども、その前にプレスが入室いたしますので、少々お待ちいただきたいと思います。

(報道関係者入室)

○内閣官房長官 それでは、安倍総理、よろしくお願いをいたします。

○内閣総理大臣 私は、安倍内閣を発足するに当たりまして、イノベーションとオープンな姿勢によって日本を力強く成長していく国にしていきたい。このように申し上げました。 イノベーションは、知的財産とは裏表の関係で一体ではないか。このように思うわけでありますし、また、経済社会を開いていく上において競争力を維持していくためにも、知財の重要性は大変大きなものがあると思います。
 私は、この知財本部が発足をした当初は副長官としてずっと末席に参加させていただいていたわけでありますが、この知財本部の本部員の皆さんの御努力で知財をめぐる環境や基盤の整備はかなり進んだと思いますし、また、具体的な課題にも取り組んでいただきました。
 しかし、まだまだ課題が残っているということは、今日、いろいろ皆様からお話を伺いまして、再認識をさせていただいた次第でありますが、しっかりと、このイノベーション等々を進めていく上においても、そういう課題を着実に克服をしていくことが大切だろうと思います。
 国際標準総合戦略が本日決定されたわけでありますが、官民挙げて取り組んでいくことによって、企業も国際マーケットの中において大いに活躍できるのではないか。このように思います。
 また、私も東京国際映画祭にお邪魔をさせていただきました。アニメ、音楽等のこうしたコンテンツを更に強化をしていくことも大切であろうと思うわけでありますが、この輸出入を見ておりますと、日本が出超なのはゲームだけであって、残念ながら日本のJ−POPも、人気があるとはいっても、音楽も映画も残念ながら入超であるということでございます。
 しかし、幸い、角川さんのお話を伺うと、本年は邦画が日本のマーケットではハリウッドの作品を売上げでは上回ったということでございますから、いよいよ外に打って出ていく基盤はだんだん整備され始めたのかなと思っておりますが、更に競争力を強化していただきまして、まさにコンテンツの発進は日本の世界への情報の発信にもつながっていくわけでございますので、どうかまたこの本部におきまして、更にこのコンテンツを強化して発信していくために御議論をいただきたい。このように思います。
 どうぞ、またよろしくお願いいたします。

○内閣官房長官 ありがとうございました。

(報道関係者退室)

○内閣官房長官 それでは、時間もまいりましたので、本日はここまでとさせていただきます。
 次回の会合につきましては、来年の3月下旬ごろの開催を予定しておりますけれども、詳細につきましては事務局から追って御連絡をさせていただきたいと思います。
 本日の会合の内容につきましては、この後に事務局からブリーフィングを行うこととしております。
 本日はどうもありがとうございました。