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第8回知的財産戦略本部議事録

平成16年5月27日(木)18:00 〜18:40
於:官邸大会議室


○細田内閣官房長官 ちょっと総理が遅れられるという一報が入りましたので、ただいまから「知的財産戦略本部」の第8回会合を開催させていただきます。本日は、御多忙のところ御参集いただき誠にありがとうございます。
 本日は、まず有識者本部員の方々の起草による、知的財産推進計画2004案を御説明いただいた上、決定していただきたいと思っております。
 次に、知的財産戦略の普及啓発について、事務局から報告させた後、今後の知的財産戦略に関し、有識者本部員及び関係大臣から御発言いただきます。
 資料3の「知的財産推進計画2004(案)」につきまして、有識者本部員の方々による計画の起草のとりまとめをお願いいたしました、阿部本部員から概要を御説明いただきたいと思います。

○阿部本部員 御説明申し上げます。これにつきましては、計25回にわたる専門調査会とパブリック・コメントを含めていろんな御提案をいただきまして、最後に有識者本部員で調整、検討させていただきまして、資料3にまとめたものでございます。
 そのうち、これは昨年の推進計画に対する見直しでありますが、見直し分について資料2でポイントを御説明させていただきます。

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 ポイントの項目をここに6つ主なものを掲げてございます。

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 順に御説明いたしますと、この模倣品・海賊版対策でありますけれども、これにつきましては、専門調査会の報告が資料1にございますが、それに基づいておりまして、水際、あるいは国内での取締りの強化に加えまして、海外市場対策ということで、例えば、在外公館やJETROによる我が国企業の模倣品・海賊版対策を支援する等でございます。(PW)
 2番目は、特許審査の迅速化推進であります。これは、現在、国会で御審議をいただいていると伺っておりますが、それが成立しましたときの施策でございまして、例えば、特許審査準備待ち期間については、現在の26か月を2010年には11か月、最終的にはゼロを目指すということ、併せて特許情報の提供サービスの拡充等を目指しております。

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 それから、中小企業・ベンチャー等につきましては、知的財産の権利取得や海外事業展開を支援する等でございます。

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 それから、コンテンツビジネスの振興でありますけれども、この4月にまとめていただいた専門調査会の報告に基づくものでありますが、これも現在、国会で御審議いただいています法案の趣旨に沿うものでありまして、例えば、東京国際映画祭をカンヌ映画祭に比肩するように強化することなどが入っております。

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 大学の知財の関係でありますけれども、これは昨日、総合科学技術会議から意見具申をしたものでありますが、例えば、国立大学法人が大学発ベンチャーの株式を取得できるような制度の整備などでございます。

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 最後が、人材育成の強化でございまして、これも例えば、知的財産法について司法試験の選択科目化を図るなどにより、知的財産に強い法曹を養成するなどでございます。
 以上について御審議をいただきたいと考えております。

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 これは、参考でありますけれども、海賊版等の検挙の警察によるデータでございます。(PW)
 これは、偽ブランド品の例を挙げているものであります。
 以上でございます。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。では、本案を知的財産戦略本部として決定いたしたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、本案を知的財産推進計画2004として決定いたします。
 次に、知的財産戦略の普及啓発について、荒井事務局長から報告願います。

○荒井知的財産戦略推進事務局長 資料6の「知的財産戦略の普及啓発」について御説明いたします。知的財産立国実現のカギは、国民の理解と協力でございます。スライドにも出ておりますが、昨年7月の計画決定以来、関係者の御協力をいただき、全国各地で129 回説明会を開催し、各方面から意見を伺ってまいりました。説明会に御参加いただいた方の合計は、約一万九千人の多数に上っております。説明会でいただいた貴重な御意見は、知財計画の実施と、今回の改訂作業において活用させていただきました。
 2枚目のスライドにございますが、今年度も関係府省、関係団体の皆様の御協力をいただいて、全国各地で普及啓発活動を行う予定でございます。当面の主な関連行事を御紹介いたしますと、産学官連携推進会議、WTO、TRIPS10周年シンポジウム、知的財産権制度説明会、知的財産法研修、特許流通フェアなど、幅広いものとなっております。
 このほかに、大学や都道府県主催の説明会も多数見込まれております。
 以上でございます。

○細田内閣官房長官 それでは、今後の知的財産戦略に関する意見交換を行いたいと思います。推進計画2004の決定を受けまして、特に御尽力をいただいた有識者本部員の方々から、今後の知的財産戦略について御意見をお願い申し上げます。
 阿部本部員から、お願いします。

○阿部本部員 我が国の知的財産戦略でありますけれども、米国に20年遅れているということで、ここ2、3年、政府を挙げて大いに走ってきたわけでございます。
 このことは、まだ終わったわけではなくて、これからも続けていかなければならないと思いますし、また新たな問題が、知的財産のさまざまな成果が出るにしたがって出てくることも予想されるわけであります。
 そこで、1つ申し上げたいのは、世界全体を見てみますと、知的財産につきましても南北問題がございます。例えば、南の方の途上国の中には模倣品をつくることもほとんどないようなところで、米国等先進国と、いろんな摩擦を生じているところでございます。
 そういうふうに、全世界をながめたとき、日本の知的財産戦略として長期的な目標、あるいは姿をどこに置いていったらいいかということを、突っ走ることと併せてそろそろ考えていく時期ではないかと考えておりますので、御検討いただければと思います。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、角川本部員、お願いします。

○角川本部員 私の御意見を申し上げる前に、カンヌ映画祭から帰ってきたばかりなものですから、ちょっと皆さんに御案内したいと思います。肩の力を抜いていただきたいと思います。
 今年のカンヌ映画祭は、5月12日〜23日まで2週間行われました。

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 取り分け、今年は非常に日本の存在感を大きくアピールすることができました。写真は、オープニングの日の赤じゅうたんでありますけれども、左の写真は、ウォン・カーウァイの『2046』というSF未来映画の木村拓哉さんの写真であります。
 右の下は、『シュレック2』におきます、お姫様の声優を務めた藤原紀香さんの写真であります。

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 今年は、コンペ作品に日本は2作品採用されました。実写映画では、是枝監督の『Nobody Knows 誰も知らない』、『イノセンス』の2つであります。取り分け、この『誰も知らない』の柳楽優弥君が14歳にして初めて、カンヌ映画祭始まって以来の若さで男優賞を受賞するというふうな画期的な出来事もありました。世界的にも、この『誰も知らない』も非常に評判が高くて、事前の新聞等ではもしかしたらというダークホース的な点ももらったんですけれども、結果的には御存じだと思いますけれども、『華氏911 』というブッシュさんを批判する映画がグランプリを取ったということでございます。

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 これが、2本目のコンペ作品の『イノセンス』です。物語性がちょっと個性が強過ぎたということですけれども、CGにつきまして本当に優れたものを発揮して注目されておりました。

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 今年は、カンヌ映画祭は、映画祭のコンペ作品の部分と、それから映画作品を売買するフィルムマーケットの部分の2本立てで毎回行われておりますけれども、これはフィルム売買のところで、今年は文化庁さんと経済産業省さん、それからJETROさんが一体となって、オールジャパン体制を組むことに成功しました。そして、写真はJETROが中心になってつくったジャパンブースでありまして、ここはもう本当に会期中いつもにぎわっておりました。

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 これは、文化庁さんが中心になって海外につくりました、ジャパンパビリオンでして、ここも非常に風光明媚な海側のささやかな場所でこれができまして、日本人のバイヤーの人たちも行きましたし、海外の人たちも集まって、日本のフィルムの意見交換もしたところであります。

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 こういうことを参考にいたしまして、東京国際映画祭は今年10月23日から六本木ヒルズで開催されます。オープニングは六本木ヒルズで、クロージングはオーチャードホールで従来どおり開かれます。日本の場合には、商業性と芸術性のバランスを取りつつ、日本型の、カンヌみたいなリゾートではなくて、都市型の映画祭として進化させていきたいと思っております。

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 私の知財の意見を申し上げたいと思います。私は、一昨年2月、2002年2月でございますけれども、小泉総理が知財を大切にしようと、国家戦略のもう一つの柱に育てようと提言されて以来2年間、コンテンツ分野ではよくここまで来たなと、その内容を非常に評価したいとポジティブに受け止めております。昨年7月8日の1回目の知財推進計画で、第4章にコンテンツを飛躍的に拡大させると、単独で1章設けたこと。そして、今年の改訂版もかなり充実したものになったと実感しております。
 国家が、コンテンツ産業を振興させようという意思の下、コンテンツ促進法案は5月14日に衆議院を通過しておりましたが、本日昼には参議院内閣委員会で採択されて、明日には本会議で可決成立する運びと聞いております。
 また、日米租税条約が30年ぶりに改定され、米国の優れたコンテンツを日本に導入し、日本コンテンツビジネスを活性化させることにも大きく貢献すると思っております。ただ、世界各国、先ほども阿部先生がおっしゃいましたけれども、英国、スペイン、そしてアジアの韓国、中国も、知財の重要性に気づき、振興政策を強化、加速化させております。
 知財振興の基本的な理念、創造、保護、そして活用という3段階で、創造、保護はかなり充実、強化いたしましたけれども、活用はまだ弱い点がございます。活用には税制が是非必要です。知財本部、財務省、そして経団連の三位一体で、次なるステップの課題として検討してくださることをお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、川合本部員にお願いします。

○川合本部員 2点申し上げたいと思います。この2年を通じまして、法律の専門家、それから科学の専門家、こういう人材を育てていくルートをつくったわけで、これから育っていくところをきちっと確認して、有効に活用できるシステムであることを常に見ていかなければいけないということが1点です。
 2点目は、我が国の知財ということで、この知財戦略を考えてきておるわけでございますけれども、知財というのは人類全体の財産であると同時に、国際的な競争の中に置かれている財産でもあります。特に、米国に対してEUがグループをつくって、それに対抗するような勢力を持ってきたのと同じように、多分今後日本はこれから育ってくるアジアの国々に対して、リーダーシップを取れるような知財戦略を取っていくんだと思います。
 そのときに、日本が是非上手にアジアの国々を育てていけるような、中心となって活躍できる知財先進国となれるように、国際的な展開を今後期待したいと思います。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、久保利本部員にお願いします。

○久保利本部員 2点ございます。先日、5月22日にエンタメロイヤーズネットワークのシンポジウムが旗揚げいたしました。このときに、大変大勢のロースクールの学生さんたちがお見えになりました。異口同音に言っておりましたのは、非常にこのエンタメロイヤーになりたいと、しかし、この科目というのは一体司法試験にどう絡むんだろうかというのがありましたけれども、この計画の案の中に入っておりますけれども、是非知的財産法を司法試験の選択科目ということに、本当にしていただきたい。
 そのときに、知財法というときに、特許法だけではなくて、エンタメコンテンツ系というものも是非入れていただきたいというふうに切に願う次第でございます。
 大宮法科大学院で調べましたところ、何と100 人のうち3分の1以上が理科系でございました。このロースクールの学生たちの中に大変多くの理科系の学生がいるということを知って心強く思っておりますので、そういう意味で是非お願いをしたい。これが第1点です。
 第2点は、水際での、特に税関を利用した、海賊版・模倣品の締め出し、やはりこの計画に入っておりますけれども、技術判定機関、あるいは外部専門家、こういうものを活用して強力な法的な認定の下に、税関が侵害を判断し、断固たる措置を取っていくということは、是非今後とも実効性のあるものとして活用していただきたいと。
 裁判との関係をどうするかということも、これも真剣に検討しなければいけませんけれども、やはり税関長が侵害を判断し、それを実施するというのは強力な権限でございますので、是非お願いをしたい。
 以上、2点でございます。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、下坂本部員、お願いします。

○下坂本部員 川合、久保利本部員に続きまして、私も2点お願いをしたいと思います。
 1つ目は、知的財産推進計画2004の中にあります、中小ベンチャー企業や地域の知財支援というものについてでございますけれども、その中でも知的財産の信託に関してお願いをしたいと思います。
 知的財産を担保にした融資制度というものは、既に存在しておりますけれども、知的財産の信託というものが今、可能になりましたら、中小企業の資金調達の選択肢というのは、もっと一層増えるというふうに考えております。また、同時に知的財産の適切な管理が可能になるとも考えられます。
 知的財産の信託は、中小企業にとって心強いツールになると考えております。事実、中小企業が集積いたしております、東京都の大田区では、信託銀行と協力して、中小企業向けの知的財産信託商品の開発が検討されていると聞き及んでおります。彼らの支援のためにも、現在、国会において審議中の信託業法案が是非とも今国会において早急に成立されますことを、切望いたしております。
 もう一つは、地域支援に関するもので、知的財産を核にした地域振興を全国的な動きにしていくための、多角的な取り組みへのお願いでございます。この取り組みの一つとして、地域とブランドの密接な関係を築いて、ブランド力を利用した地域振興が挙げられます。この地域ブランドの問題は、産品や製品等の競争力強化や、地域の活性化、消費者の保護、並びにニーズなどの観点から、今後ますます強くなっていくものと考えております。
 先般の本部会合におきまして、地域ブランドの保護につきましては、何かと困難なところもあると伺ってはおりますけれども、その与える影響などにも配慮しながら、このたびの推進計画2004に盛り込まれました地域ブランドの保護に向けた、制度整備の検討に着手していただけないものかというのが、第2点目のお願いでございます。
 以上でございます。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、中山本部員、お願いします。

○中山本部員 今回の戦略計画2004には賛成でございまして、特に付け加える点はございません。ただ、この計画は2005年も改訂版が出ると思われますので、今回の反省点を踏まえまして、若干の感想を申し上げたいと思います。
 今回は、404 項目という非常に多岐にわたる提言でございまして、一見網羅的のように見えます。網羅的であるだけに、逆に言えばかえって総花的なところもありまして、ある意味では焦点がぼけて、国家戦略がはっきり見えてこないという面もあるわけでございます。これは、私、内部にいるからわからないんですけれども、外部から見ますと、場合によっては知的財産に関係ない事項も含めて、単に各界の要望をまとめただけじゃないかという批判がないとは限らないというふうに思えるわけであります。 特にこの計画は、英語に訳されて世界に配られると、世界の専門家の目にさらされるということになるわけでありますけれども、世界各国の専門家が読んでどのような感想を抱くか、これで日本の知財の国家戦略を本当に読んでくれるのかという若干の危惧を持っているわけであります。
 我が国としては、知的財産というものをいかに考え、どのような理念の下に何をしたいのかという原理原則を、先ほどの阿部先生のお話にもありましたけれども、まず国家戦略として明確にする必要が今後出てくるだろうと思います。
 現在、世界を見渡しましても、知的財産制度の強化一本やりという国はないわけであります。知的財産制度と言えどもいろいろな要素が複雑に絡み合っておりまして、例えば模倣品対策のように、迅速かつ強力に直ちに実施をしなければならないという問題もございますし、逆に例えばソフトウェアのように、権利を弱めた方が、あるいは権利がない方が産業・文化の発展に役に立つという場合すらあるわけであります。
 権利を強化すべきものもあるし、あるいは権利を制限すべきものもあるということになるわけであります。いかにしたら産業、あるいは文化の発展に益するかという観点から、徹底した検証、検討というものが必要になってくるだろうと思います。
 今回は404 項目もあるということのせいかもしれませんけれども、その点に関する綿密な検討が少し欠けているのではないかと思うわけでございまして、それが次回への反省点だろうと考えております。そして、前回のこの会議でも申し上げましたけれども、これからは知的財産の利用、流通という側面を中心に施策を進めていくべきだろうと考えております。
 以上でございます。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、野間口本部員からお願いします。

○野間口本部員 知的財産推進計画2004のポイントにつきましては、阿部先生の方からまとめてお話がありました。私も中山先生の意見に従うわけでございませんけれども、特に喫緊の課題と思っております、1点についてここではコメントさせていただきたいと思います。
 それは、先生の御指摘にもございました2番目、特許審査の迅速化ということでございます。これにつきましては、産業界の意見も取り入れていただきまして、現在の26か月という期間を、2013年には11か月、最終的にはゼロを目指そうということで、任期付審査官の確保などの具体的な動きが始まっております。是非これを強力に推進していただいて、世界に恥じない審査体制ができることを期待しております。
 もう一つ、これに関しまして、抜本的な対策として、今、特許庁を中心に世界特許システムというのを、関係特許庁と連携して考えておられます。これは、例えば、日本で特許を取りますと、このシステムに入っている各国で同じように特許が取れたというようなシステムでございますけれども、言語の問題等ありまして、いろいろ課題はありますけれども、日米欧、この一番進んでいる、同じように進んでいるところで連携しますと、カバー率から言いましても、非常にいいシステムのコンセプトが打ち出せるんじゃないかと思っておりまして、大変いい取り組みをやっていただいているなと思っておりますが、これを是非強化、加速していただけたらと思っております。
 以上でございます。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、森下本部員、お願いします。

○森下本部員 今回の計画は、非常にいろんな点が盛り込まれまして、大変高く評価しております。特に大きな点といたしましては、中小企業、ベンチャー企業への、あるいは地域への支援ということで、1章割いたことは非常に大きな意義があるのではないかと思っています。
 なかなか中小企業、あるいは知財に関しましては、大学と比べますとどうも温度差がありまして、今まで十分活用ができていなかったんじゃないかと思います。今回の推進計画2004によりまして、そうした中小企業、地域に対して目配りをされたということは、大変高く評価をさせていただいております。
 もう一点は、国立大学法人によるライセンス対価としての株式取得を今回盛り込んでいただいたことです。このことによりまして、今まで大学と地域、あるいは大学と中小企業というのが、なかなか連携が取れてこなかったんですが、知財を接点として今後は連携が取れてくるんじゃないかと思います。
 その意味では、従来の大学と大企業という形の産官学連携ではなくて、より密接な、本当の意味での地域発、地域主導型の経済再生へ今回は知財が大きな推進力になるんではないかと思っております。
 今後の私どもの要望といたしましては、非常に今回いろいろと保護、あるいは権利確保ということでは、いろんな課題が充実してまいりましたので、先ほど中山先生のお話にもありましたように、来年度以降やはり活用という点でいかにこれまでに得た成果を、実際の経済活性化、地域活性化ということで使っていくかということが、非常に重要な課題になるんではないかと思っております。
 是非、2005年以降の知的財産推進計画では、そういった点も盛り込んで考えていただければと思っております。
 以上です。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、各大臣から御発言を願います。
 茂木大臣、お願いします。

○茂木科学技術政策担当大臣 私から2点、簡単に申し上げたいと思います。
 まず1点目は、大学の知的財産の問題でありますけれども、この点につきましては、総合科学技術会議でも検討を進めてきまして、ちょうど昨日、特許だけでなく、研究マテリアルとか、それからコンテンツについても大学とか、公的な研究機関が一元的に管理するといったことを大学、公的機関の知的財産の活性化戦略としてとりまとめたところでありまして、今日の推進計画を拝見いたしますと、これがしっかり反映していただいており感謝申し上げます。
 これからもこの知的財産戦略本部と緊密に連携を取って、政策の早期実現に努めていきたいと考えております。
 それから、もう一点は、先ほど角川本部員からコンテンツのすばらしい話がございましたけれども、世界市場が100 兆円である、このコンテンツビジネスの拡大は非常に重要な課題で、世界最先端のIT国家を目指す意味からも非常に重要だと考えておりまして、e−Japan戦略II加速化パッケージ、それから今つくっております、e−Japan重点計画2004におきましても、ブロードバンド市場でのコンテンツの流通促進を大きな柱にしておりまして、是非知的財産戦略本部におきましても、これらの項目を確実に推進していただきますことをお願いいたします。
 以上です。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、河村大臣、お願いします。

○河村文部科学大臣 とりまとめをいただきました御努力に、心から敬意を表したいと思います。大学等における知的財産の創造、活用、あるいはコンテンツの振興、知的財産関連の人材育成、これを中心に文部科学大臣として取り組んでまいりたいと思いますが、特に先ほど来お話がございましたように、大学の水準、これは物理、材料分野、世界のトップレベルにあるわけでありますから、知の創出という観点からも、これをしっかり支援していくことによって優れた特許等が出てくると考えておりまして、しっかりした支援をやりたいと思っております。
 また、阿部本部員にいろいろ御説明いただきました中にありました、大学発ベンチャーの積極的支援、これを600 ぐらいのものを早く1,000 に持っていきたいと思っております。1,000 から2,000 へということでやっていきたいと思っております。
 それから、大学に知的財産本部を設置いたしました。これと、TLOとの連携を更に図っていきたいと思っておりますが、まだ国立大学の半分まで行っておりませんので、全大学が本部を置けるような形を取らなければいけないと思っております。
 それから、コンテンツの振興でありますが、日本の映画、映像、世界的な注目を浴びてきた。カンヌ映画祭並みの映画祭をという話もございました。このまさに映画の製作、上映、配給の創造サイクルの確立を目指していかなければいかぬと思っておりまして、日本映画振興プランというのをつくっておりまして、これを着実にやっていきたいと思っております。
 一方では、コンテンツの保護でございます。先ほど来からお話がございましたが、特に権利者へ利益が還元される基盤をつくっていくということで、著作権の適切な保護をやっていかなければいけません。今、著作権法の審議をやっておるところでございますが、例の日本発のレコードがアジアで安くつくられて、また日本へ還流する、これを止めなければいけません。この法律を今、やっておるところでございます。
 WIPOの事務局長がお見えになりまして、日本の著作権に対する努力は、非常に評価を受けまして、この法律を改正されたら、それを世界に発信したいという話もいただきました。
 もう一点、知的財産への人材養成、これも先ほど来お話のようにMOTプログラム、それからロースクールの支援、それから知的財産に特化した専門職大学院の創設、これも今、動きが出てまいりました。各大学の取り組みを支援していきたいと思っておりまして、関係省庁との連携も必要でございますが、精一杯この問題について取り組んでいく所存でございます。
 よろしくお願いいたします。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。中川経済産業大臣、お願いします。

○中川経済産業大臣 阿部先生のこの計画は、本当に高く評価をし、厚く御礼を申し上げます。と申しますのは、今、茂木大臣も言いましたが、いろんな計画が有機的に絡まっていかないと、真の意味の国益と言いましょうか、国の前進にならないと思います。
 そういう中で、私どもは新産業創造戦略というのを今、策定して、実施に向けておりますが、その一番大事な考え方が文字通り知的財産というものでございまして、これは推進して1つの財産をつくり、そしてそれを保護していくと、そして活用していくという、知財といってもいろんな要素があるわけでございます。このIPの中にも、先端技術から伝統技能、あるいはまた地域的な、いわゆる地域ブランド、地理的表示等の各分野にわたるわけでございます。そういう意味で、促進という観点からは幅広く知財の促進をしていかなければなりませんし、先ほどお話ありましたように、知財を担保化する、あるいは信託化することによる経済的なメリットも、無体財産権でありながら非常に大きいということだろうと思います。
 それから、阿部先生からお話のあった南北問題、あるいはまたアメリカに20年遅れていると、まさにそれにキャッチアップをするための多くの戦略が有機的に絡み合っている中での知財計画というものは、大きな役割を占めていくと思います。
 南北問題については、去年のWTOのカンクン会合の前の医薬品の問題が、まさに途上国の、我々から見ればちょっと無理難題ではありましたけれども、かなり先進国が譲歩せざるを得なかったという状況なども、あるいは意味では現実なのかなと言わざるを得ないと思います。
 プロテクト、知財の保護に関しては、先ほどお話ありましたように、特許法の改正が明日の本会議で成立する予定でございます。これによりまして、待機時間あるいは審査期間の大幅な短縮を目指しております。
 それから、アメリカのように、法律、産業スパイ法、あるいは国防生産法に基づく、エクソン・フロリオ条項のような、強烈な罰則付きの法制度を整備するかしないかということも、1つの大きな検討材料ではないかというふうに思っております。
 それから、海賊品・模倣品対策についても、これは法制度、あるいは関係各国との協力というものも、はっきり言って中国なんかとよく相談をしながらやっていかなければならないと思っております。
 最後に、やはりこの面でも人材というポイントが大事になってくるわけでございまして、国際的な知財専門弁護士というものを短期間で大量に人材育成をしていかないと、世界の知財戦争の中でかなり不利になっていくということも大事なポイントではないかと思っております。
 以上です。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、麻生大臣、お願いします。

○麻生総務大臣 知的財産推進計画案のコンテンツの話は、阿部先生、これは今回の中で施設はできたけれども、流れるコンテンツがという話は昔から言われる話だったので、これに目が行った。先ほど角川先生も言われたとおりで、これはすごく大きなところだと、私自身もそう思っていますので、これは更にきちんとやらなければいかぬところだと思っています。先ほど特許の話が出ていましたけれども、これは特許をやると同時に、特許を取ったら使ってもらわぬと話にならぬので、ただ特許を取ってじっと持っておかれても困るので、そこは中山本部員も言われたように、広く使われるように、緩めるところと、きちんとするところと、きちんと整理しなければいかぬところなんじゃないかというのが、率直な実感です。取ったものが国際標準、デファクト・スタンダードになるためということで、このところを見ますと第3世代携帯電話なんかを見ると、大体取っています特許の3分の1は日本の特許だと思って、ああいった形になれば、結果的には世界中でそれを使い始めれば、その分だけリターンも大きいということになろうかと思いますので、そこのところの考え方だと思っております。
 最後に、野間口先生の言われたのは、特許に関しての中川大臣のところの特許庁の話ですけれども、これは任期付きの定員を認めることになりますので、総務省の審査としては、昨年は34人、今年一挙に125 人、ですから、3.6倍ぐらいということになりましたので、大体その方向でこれは進んでおりますので、きちんと対応してまいりたいと思っております。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、石井財務副大臣、お願いします。

○石井財務副大臣 財務省税関におきましては、知的財産権侵害物品の水際取り締まりということで、さまざまな取り組みをやっているところでございますけれども、今般の改訂の計画の内容に沿いまして、十分検討をさせていただきたいと思います。
 特に、久保利本部員の方から御指摘ございました、技術判定機関と外部専門家を活用した侵害認定、これも改訂版の計画の中で検討項目に盛り込まれておりますので、これについても十分検討いたしたいと思います。
 それから、角川本部員の方からございました税制につきましては、これは今後各省庁から具体的な税制改正要望が出されれば、税制改正の作業の中で検討させていただきたいと思います。
 以上でございます。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。他に何か言い残したことなどありますか。
 それでは、阿部副大臣。

○阿部外務副大臣 一言だけ、特に模倣品・海賊版の問題というのは、機敏に対応しなければいかぬと思いますので、私、外務省でございますが、早速在外公館に対応マニュアルでもつくりまして徹底しますので、どうかひとつ何なりと御活用、御連絡いただきたいと思います。
 あと省内的にも外務省の中に侵害対策室をこの夏にでもつくって、少し力を入れようと思っておりますので、みんなで知的財産の保護に頑張りたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○細田内閣官房長官 それでは、金子大臣、お願いします。

○金子行政改革・構造改革特区担当大臣 一言だけ、コンテンツ産業について、今、法律を議論してもらっているんですけれども、この中で、やはりゲームソフトの問題で、中古流通市場がいびつな形なので、産業としてなかなか育っていかないと。これは既存の法律の枠組みでは難しいと思いますので、是非枠を越えて。経産省もこれ受けてくださいよ。経済産業省、おられるかと思いますけれども、是非お願いします。
 以上です。

○細田内閣官房長官 では、小野大臣、お願いします。

○小野国家公安委員会委員長 著作権の簡素化に関する件ですけれども、わかりやすいものとする、簡素化の可能性ということがございますけれども、これは権利者との話し合いや了解というものが必要だと思いますので、その辺を丁寧に是非扱っていただきたいと思います。

○細田内閣官房長官 本部員の方、いかがですか。更に言い残されたことはございませんか。
それでは、プレスに入っていただきまして、最後に知的財産戦略本部長の小泉総理大臣から、御発言をいただきたいと思います。

(報道関係者入室)

○小泉内閣総理大臣 どうもありがとうございました。本日は、400項目に及ぶ知財計画2004をとりまとめることができました。皆さん方の御努力に厚く御礼を申し上げます。
 今後は、この盛り込まれた内容の実現に向かって、よろしく御指導、御協力をお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。

○細田内閣官房長官 それでは、これをもちまして、第8回の知的財産戦略本部会合を終了いたします。
 ありがとうございました。