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第9回知的財産戦略本部議事録

平成16年12月16日(木)17:00 〜18:00
於:官邸大会議室


○細田内閣官房長官 それでは、ただいまから第9回「知的財産戦略本部会合」を開催させていただきます。本日は御多忙のところ御参集いただき、誠にありがとうございます。
 本日は、まず、本部の下に置かれた2つの専門調査会における検討状況について、各会長から御報告いただきます。次に、模倣品・海賊版対策加速化パッケージについて決定していただきたいと思います。続いて、知的財産戦略の進展状況について事務局から報告させた後、今後の知的財産戦略に関し、有識者本部員及び関係大臣から御発言いただきたいと思います。
 それでは、まず、医療関連行為の特許保護の在り方に関する専門調査会の井村会長から御報告をお願いします。

○井村専門調査会会長 医療関連行為の特許保護の在り方に関する専門調査会の会長を務めております井村でございます。あとは座って説明をさせていただきます。
 この専門調査会は、昨年7月の推進計画を受け、医療関連行為の特許保護の在り方について、昨年10月から1年余りにわたって、合計11回会合を行いまして検討しました。
 日本初の優れた先端医療技術の開発を促進するという観点と、もう一方では、医療への悪影響を回避するという2つの観点から議論いたしました。
 当初はアメリカのように、医師の行為の免責条項を付けて、できるだけ幅広く方法に特許をかけるのがいいのではないかと考え、そのメリット、デメリットについて研究者の意見を聞きながら討論いたしました。
 また、医療行為の中で、悪影響、特に利益相反とか、医療を混乱させるとか、そういった問題についても議論をいたしました。
 そうして今回は、医師の行為を特許保護の対象にするということはしないということで、医療機器と医薬につきまして、新たに方法論にかかる技術について特許保護を拡大することにいたしました。
 これは、研究者や企業から強く望まれていたものでありまして、この方法論への特許を認めることによって、今後、産学連携あるいは医工連携が進むのではないかと期待されるところであります。

(PW)
 まず、医療機器の作動方法ということについて説明をいたします。医療機器の作動原理や、そのシステムといった方法論につきましては、従来は特許の対象ではありませんでした。でき上がった機械にしか特許がかからなかったわけです。
 これにつきましては、産業界、研究者辺りからいろいろ要望がありました。今回、医療機器の作動方法に特許を拡大することによって、今後、医工連携が進み、新しい技術が生まれてくるのではないかと思っております。
 例えば、がんの放射線治療の場合に、肺とか、あるいはおなかの上腹部のがんは呼吸性に移動いたします。したがって、正常な組織にも放射線がかかるわけです。そのがん組織の運動を追尾しながら放射線をかけていけば、本当にピンポイントに照射ができるということで、非常にいいと考えられます。

(PW)
 これは、その一例で、最近できました三菱重工の放射線治療の機械であります。上の方にがんがどこにあるかというのを見るX線装置がございます。それから、ちょっとわかりにくいんですが、放射線を出す部分がありまして、この加速機も全く新しいものでございます。(PW)
 動いているのはおわかりになりにくいと思いますが、まず、上の方にあります装置が動き、がんに焦点を合わせるわけです。ついで、方向をこのようにいろいろ変えて決めることができます。いろんな方向から、しかも呼吸性に動くがんをちょうど迎撃ミサイルのように追跡しながら照射していく。そういう機械でありまして、この第1号機が、今、ちょっと私が関係しております神戸の先端医療センターについ最近入りまして、これから臨床試験を開始するところであります。

(PW)
 この機械ができますと、照射精度が格段によくなり、20倍ぐらいに向上いたします。それから、放射線を出すところも非常に軽量化して便利になっております。
 従来ですと、こういう機械だけに特許がかかったわけですが、それではすぐに他の企業が真似をすることも可能なわけです。
 今回、例えば、新聞輪転機の動体追尾技術とか、あるいは工作機械の位置決め技術、そういった技術を導入して、がんの位置を決め、動くがんを追尾するということでありまして、方法論にもかけますと、この方法全体に特許がかかりますので、企業はこれから安心して更に改善していくということが可能になるかと思います。

(PW)
 次に、薬の例をお見せしたいと思います。慢性肝炎、特にC型肝炎は、肝がんの原因として非常に注目されております。
 これには、1つはインターフェロンという薬があります。普通のインターフェロンですと、ウイルスが消える率は2ないし5%です。
 それから、リバビリンという薬がありますが、抗ウイルス剤、これは0%です。最近、ペグインターフェロンと言って、少し長い時間効くものができてまいりました。
 ペグインターフェロンとリバビリンを併用すると、50ないし60%に有効であり、それから副作用の率も低下するということが明らかになっております。これは画期的な併用療法であります。
 こういう併用に、今まで特許がかけられませんでした。こういう方法にも特許をかけていこうということです。ただ、当分の間は物の特許を拡大して、こういう併用療法を認めていくということになります。
 それ以外に、例えば薬の投与法を変えることによって、格段に効果が出てくるという場合があるわけで、それも特許の対象にしていこうということであります。

(PW)
 これは、特許の範囲を示したものであります。従来、医療機器に関しては、物にしかかからなかったわけでありますけれども、それを作動方法にかけるということになりました。 それから、薬の場合にも新しい投与方法、あるいは併用療法にかけるということになりまして、従来よりは格段に特許の範囲が広がったように思います。
 しかし、アメリカでは、医療行為すべてに特許がかかる。例えば、外科医の手術の方法も特許の対象になるわけですから、アメリカに比べると特許の範囲はまだ少ないということになります。
 しかし、ヨーロッパは、診断機器の場合の作動方法だけにしか認めておりませんので、ヨーロッパよりはかなり広がったのではないかと考えております。

(PW)
 最後に今回の議論を通じて浮き彫りにされました今後の課題として、幾つか申し上げてみたいと思います。
 まず、医療の場合には、特許を認めることによって、悪影響が出るということは避けなければなりません。したがって、これにつきましては、今後ともフォローアップをしていって、そういうことがないということを確認することが重要であろうと思います。
 今まで、こういった医療関係の機器、薬剤の方法の特許は必ずしも明文化されておりませんで、かなり運用で変えていったというところがございます。
 したがって、企業にとっても、あるいは研究者にとっても非常にわかりにくいところがありました。先端技術の分野は、グローバル化が進んでおり、特許制度も日本人だけではなくて、外国人にとってもわかりやすいものにするということが不可欠であります。
 今後、単に運用だけではなくて、法律できちんと明確にしていくことが重要ではないかと思います。
 それから、現在、遺伝子治療とか、再生医療といった非常に新しい医療が生まれてきております。こういった医療については、現時点では予想できないような新しい技術が生まれてくる可能性があります。
 今回、遺伝子治療、再生医療については、必ずしも十分な検討ができませんでしたので、今後、こういった点についても是非検討を続けていく必要があると考えます。
 以上でございます。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。この部分に関連して御発言ございますか。
 森下本部員どうぞ。

○森下本部員 この調査会に関しては、私も委員として出ておりましたけれども、大変困難な議論がありまして、これをまとめていただきました会長、事務局の方々に大変感謝したいというふうに思います。
 小さな一歩だと思うんですが、これは非常に大きな一歩でもありまして、日本がヨーロッパとアメリカの間に入ってきたということで、多くの医療機器、ベンチャーの方からも非常にいいことをやっていただいたということをたくさんいただいております。
 実際に医療機器メーカーの中から、非常に有名な外科の先生の手技をコンピュータで模倣して、同じことができるようなロボットの開発が、これで可能になるということで、既にそういうプロジェクトを立ち上げるという話も聞いておりますし、かなり今までなかったような新しい医療機器が産学連携、医工連携の中で生まれてくるんじゃないかと。
 そういう意味では、日本人の持つ非常に技術力の高さというのが、これでやっと生きてくる状況ができてきたんではないかというふうに思っております。
 是非、この報告を基にいたしまして、産学連携、医工連携が更に進むということを期待しておりますし、多くのベンチャーからも是非そういうふうになるだろうという声を聞いておりますので、感謝したいというふうに思います。
 以上です。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、この報告について御異議がないようでございますから、関係省庁においては、これを早急に実行に移していただきたいと思います。
 井村会長におかれましては、難しい問題をおまとめいただきまして、大変ありがとうございました。
 それでは、次に権利保護基盤の強化に関する専門調査会の阿部会長から御報告をお願いします。

○阿部本部員 御報告申し上げます。本専門調査会では、模倣品・海賊版対策を重点項目として、本年の5月にとりまとめを行いまして、推進計画2004に反映させていただきました。
 今月2日には、進捗状況についてのフォローアップを行いましたので、その状況について御報告申し上げます。
 資料2をごらんいただきたいと思います。
 模倣品・海賊版対策への取組の重要性は内外で一層増大しております。模倣品・海賊版は、製造国から世界中に拡散しておりまして、その貿易量は、最近の調査によりますと、65兆円に上るということでございますし、巨大犯罪組織やテロ組織の関与の事実も指摘されております。
 すなわち、模倣品・海賊版問題は、ますます深刻化しておりまして、被害を受けたとする我が国の権利者は後を絶たず、知的財産権をめぐる係争も頻発しております。
 この結果、模倣品・海賊版対策の強化を求める国内産業界の声は一層高まっております。 一方、国際的な動向に目を転じますと、本年6月のG8サミット、本年10月のASEM、11月のAPEC、ASEAN+3などの国際会議では、いずれも首脳会合において知的財産の保護の必要性が強調されました。
 また、米国とEUでは、本年の10月及び11月に相次いで模倣品・海賊版対策の強化を閣僚レベルで決定して公表いたしております。
 こういう状況におきまして、我が国も模倣品・海賊版対策を迅速に実行していく必要があるというのが、専門調査会の共通した認識と考えております。
 1枚めくっていただきまして、2ページをごらんいただきたいと思いますが、今月の専門調査会における主な議論を御紹介させていただきます。
 第1に外国市場対策がございますが、在外公館において大使が先頭に立って対応するとともに、企業が気軽に相談できるような体制を整えるべきであると。また、模倣品や海賊版の拡散を防止するための取組が必要であると。
 模倣品や海賊版の拡散と言いますのは、世界中に模倣品などが輸出されているという認識に加えまして、例えば中国などで模倣品等の生産にブレーキをかけていきますと、法体系の整っていない国にどんどんそれが移っていくと、吉野委員、ホンダの前の社長からそういう指摘もございました。
 そういうこともありまして、模倣品・海賊版対策は欧米諸国と共通の認識をもって連携を進めるべきである。
 他方、侵害発生国に対しても、これらの国自身が問題の重要性を認識して対処するよう、自覚を促すような協力も必要である、といった幾つかの点が強調されたわけであります。
 第2番目の水際対策でありますが、特許権侵害を水際で効果的に取り締まるための技術的、専門的な判断を的確に行う仕組みなど、税関のさらなる制度整備が必要ではないか。あるいは国民の意識改革のためにも、模倣品・海賊版の個人輸入・個人所持を取り締まる法律を検討すべきではないかといった意見がございました。
 3番目の国内対策でありますが、ノウハウ等の海外への流出防止や肖像の不正使用など、法整備の準備が進んでいる点は評価できるわけでありますが、更に実行のある制度整備につなげてほしい。
 それから、世論調査によりますと、実は国民の46.9%が偽物の購入を容認しているという結果が出ておりまして、こういった偽物に対する国民の意識を変える必要があるという意見もございました。
 それから、模倣品・海賊版対策は緊急を要する問題なので、来年度の計画の策定を持つのではなく、実行に移せるものは直ちに実行するように早急に対策をとりまとめるべきだという意見がございました。
 そういうような専門調査会の議論を御紹介したわけでありますが、特に最後に御紹介しました迅速な対応こそ肝心であるということで、次の議題で模倣品・海賊版対策加速化パッケージが提案されております。
 政府におかれましては、素早く対応されたことは、大変結構なことであります。また、本問題は極めて重要でありますので、よろしくお願い申し上げます。
 その他にも幾つかの課題が指摘されておりますので、関係省庁には専門調査会の議論も踏まえて、なお一段の御努力と御指導をお願い申し上げます。
 以上でございます。

○細田内閣官房長官 続きまして、海外や水際における最近の模倣品・海賊版の状況について、荒井事務局長から御説明願います。

○荒井知的財産戦略推進事務局長 それでは、スクリーンを使って御説明いたします。

(PW)
 最初は、日本の化粧品会社のカウンターです。カウンターそのものが模倣されています。

(PW)
 次は、同社の化粧品ですが、同社はこのような製品を販売しておりません。日本語も間違いだらけです。

(PW)
 次は、キリンの生茶です。左は正規品、右は中国企業が販売していた便乗商品です。

(PW)
 次は、猫の恩返しの海賊版で130 円で販売されています。

(PW)
 次は、DVDの海賊版です。12作品を4枚のDVDに収録してセットで販売されていますが、日本ではこのようなセットは販売されていません。

(PW)
 次は、ホンダの意匠権を侵害する乗用車です。

(PW)
 次は、日本の水際で差し止めた事例です。シャープの意匠権を侵害する中国製の液晶テレビです。

(PW)
 最後は、ホンダの特許権を侵害する中国製のバイクです。
 以上でございます。

○細田内閣官房長官 先ほどの阿部会長の御報告や、事務局の状況説明にありましたように、模倣品・海賊版対策は国際的にも国内的にも知的財産戦略の緊急の課題でありますので、我が国としても一層のスピード感をもって進めることが重要であると思います。
 それでは、資料3の模倣品・海賊版対策加速化パッケージ案について、荒井事務局長から御説明願います。

○荒井知的財産戦略推進事務局長 阿部会長の御報告にございました、専門調査会における意見を基に、模倣品・海賊版対策関係省庁連絡会議で検討を行い、とりまとめたものが資料3の2の模倣品・海賊版対策加速化パッケージ案でございます。
 本パッケージ案のポイントをスクリーンを使って申し上げます。

(PW)
 1は、事業者の申し立てにより、政府が調査を行い、その結果に基づいて外国政府との交渉を行う侵害状況調査制度を整備するものです。その具体的な手続を定めたものが、資料3の3でございます。
 そのほかに「2.日本政府による海外市場対策」「3.二国間協議による海外市場対策」「4.多国間協議による海外市場対策」「5.模倣品・海賊版対策関連法案の推進」でございます。
 以上です。

○細田内閣官房長官 では、本案を知的財産戦略本部として決定いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。

(「異議なし」と声あり)

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、本案を知的財産戦略本部として決定いたします。
 続きまして、知的財産戦略の進展状況について、荒井事務局長から御報告願います。

○荒井知的財産戦略推進事務局長 資料4のポイントをスクリーンを使って御説明いたします。(PW)
 最初に、知的財産関連法案の成立状況でございます。前通常国会において8本の法案が成立し、先の臨時国会では信託業法の改正が成立いたしました。
 コンテンツ分野におきましては、日本ブランドワーキンググループをつくり、ファッション、食、地域ブランドの振興方策について検討を開始しました。関係各省の御協力をお願いします。
 このほか、コンテンツビジネス改革のロードマップ、東京国際映画祭の開催、大学における人材養成、映像産業振興機構の設立などがございます。
 大学では、特許出願件数が順調に増加しています。また、来年度から2つの知的財産専門職大学院が設置されます。
 都道府県による知的財産戦略も広がってまいりました。これまでに7都道府県で策定がなされ、15県で策定中でございます。
 これまでに、全国207 か所で知的財産推進計画の説明会を開催し、約3万人の御参加をいただきました。
 このように、各方面で知的財産に関する取組は、順調に進展しています。
 以上です。

○細田内閣官房長官 それでは、意見交換に入りたいと思います。
 先ほど御説明いただきました、専門調査会の報告や、模倣品・海賊版対策加速化パッケージなどを踏まえ、今後の知的財産戦略について御自由に御発言をいただきたいと思います。
 最初に、安西本部員から御発言をお願いします。

○安西本部員 コンテンツ産業の振興というのは大変日本にとって重要な課題だということで、この本部でもいろいろ議論されているわけでありますけれども、とりわけこれからの時代のデジタルコンテンツ、これの流通における知的財産権の課題というのは多々ございまして、そのことについてお話を申し上げます。

(PW)
 特に大学の役割として、これからデジタル化されたコンテンツをどういうふうにつくり、それをどういうふうに国際的に流通させていけばいいのかというのは、非常に重要な産業にも関わる課題でございまして、知の創造サイクルの起点としての大学。
 それから、デジタル技術を用いた教育の実現。俗にeラーニングと申しますけれども。 3番目に、社会にあまねく存在するコンテンツの積極的な発信を日本が心がけていくべきだと。
 そして、国際的な産官学の連携によります新しい産業分野をデジタルコンテンツの世界でつくっていくということが、これからは大学の1つの大きな役割になっていくというふうに思っております。

(PW)
 1つの例として、文部科学省の科学技術振興調整費によりまして、私ども慶応義塾にデジタルメディア・コンテンツ統合研究機構という組織を設置いたしましたけれども、そこの例を申し上げます。
 左上のデジタルシネマ、これは映画をデジタル化したものであります。これは、1時間の映画を、大体私どもの慶応にあります世界でかなり高速の40ギガビットのネットワークで大体数秒で送れるかと思いますけれども、映してください。

(PW)
 このデジタルシネマ、DMCと呼ばれる慶応の組織が関与しておりますけれども、ハリウッドの国際標準に指定されました。大体4,000 掛ける2,000 のドットのイメージで、非常に高精彩の画面のデジタルのシネマであります。
 これは、最近プロジェクターがかなり安くなってまいりまして、将来デジタル化された映画がネットワークで配信される時代が必ずや来るというふうに思っております。
 こういったデジタルシネマを流通させていくときの知的財産権というのは、まだほとんど確立されていない。
 これは、やはりネットワークを整備するというようなことをアメリカがインフォメーション・ハイウェイということで始めたわけでありますけれども、中身のコンテンツについての知財というのを日本の国家戦略として、いろいろ策定していくということは、非常に重要なこれからの課題だというふうに思います。
 次はカットしてください。

(PW)
 右下は、教育のためのeラーニングの技術でございます。

(PW)
 ああいう静止画のものというのはあるんですけれども、これは慶応の医学部との共同開発でやっているものでありますが、医学生がいろいろ勉強していくのに、ああいう心臓の絵になっておりますけれども、ああいう3次元のコンピュータグラフィックスを普通の学生、一般の人が自在に扱えるような、そういう時代がやってまいります。
 これが、教育に使えるばかりではなくて、ネットワークを通じて、国際的にも高速でもって流通させることはできるようになりますので、これもまたこの教材を一体だれがつくって、どういうふうに流してということについての知的財産権の問題というのが多々ございます。
 こういったことを、あらゆるデジタルコンテンツの創造と流通に関する諸課題、特に知財にという課題を大学としてもいろいろ解決していかなければいけない。

(PW)
 これは最後ですけれども、著作権の保護ということと、流通の促進ということが、特にデジタルコンテンツの場合には、コピーが本当に簡単にできますので、この保護と流通というのは、言わば相反する課題になっています。保護すれば、だれもが使えなくなっていく。みんなが使えるようにすると保護できなくなる。
 このうまいバランスを取りながら、戦略的に知財の課題を解決していくということが重要であります。
 それから、国際標準化、さっきデジタルシネマのハリウッド標準ということを申し上げましたけれども、標準をとることは大変な努力が必要でありまして、携帯電話にしても、通信その他の標準に対しても、政府が大変に御尽力されているわけでありますけれども、デジタルコンテンツにつきましても、標準化というのは非常に重要な課題になっていくと思います。
 最後に、インターネットを利用した著作権侵害の取り締まりについて、音楽のソフトでありますとか、あるいは今のようなデジタルのいろいろなコンテンツのソフト、映画等も将来含めて、これらを個人がいろいろ流せるような時代になりましたから、例えば日本でつくられたソフトを、例えばアメリカでサーバーにアップロードして、ヨーロッパのどこかでダウンロードするようなことを無断でやった場合に、どこが裁判をやって、一体だれのせいなのかということは、全く未解決でございます。これは全く法律の分野でもって未開拓の領域だというふうに、国際私法の分野だと思いますけれども、そういったことすべてがデジタルコンテンツ、技術はかなりできてきておりますから、こういった分野について、是非知財戦略本部におきましても、将来の課題のように見えるかもしれませんけれども、戦略を策定していただくようにお願いしたいというふうに思います。
 以上でございます。

○細田内閣官房長官 次に、角川本部委員にお願いします。

○角川本部員 それでは、画面をごらんになっていただきたいと思います。

(PW)
 知財推進計画2004では、模倣品・海賊版対策の1つとして、2004年度以降、著作権侵害の摘発活動を容易にするために、海外に統一マークを導入して支援すると出ております。 これをごらんになっていただきますと、これはコンテンツ・ジャパン、CJという形をマークにいたしました。
 中には、桜がいいんじゃないかとか、それから富士山がいいんじゃないかという言葉もあったんですけれども、レコードをつくっているアーティストたちから、ちょっと桜や富士山はダサイというので、専門家のデザイナーに、これをつくってもらいました。
 このマークをレコードだとか、DVDだとか、映画のDVDだとか、ゲームソフトに張ってもらって、それでそれを日本の権利が確定しているんだということを知ってもらった上で、正規品を買ってもらうという運動をしていきたいというふうに考えたわけです。
 それでは、私が第17回東京国際映画祭のGPをしましたので、そのことを皆さんに御報告したいと思います。
 お手元にパンフレットを用意しております。映像も用意しておりますけれども、その前に、今回、第17回東京国際映画祭のオープニングには、セレモニーには小泉総理にも公務として初めて現職の総理として出席していただきまして、ありがとうございました。
 私も喜んでおりますけれども、映画祭事務局も等しく喜んでいることを申し上げたいと思います。
 今年は、非常に映画祭の作品が充実しております。コンペティション部門の表をごらんいただきますと、中国の『ココシリ:マウンテン・パトロール』、それから『韓国の大統領の理髪』、そして南アメリカのパラグアイの『ウィスキー』、この作品がグランプリを競争いたしました。
 それから、また日本映画の振興という点で、今年から「日本映画・ある視点部門」というものを設定いたしました。
 今年は日本映画が非常に善戦しております。しかしながら、邦画メジャーではない独立系の人たちの作品はなかなか公開されないということで、映画祭でこのような紹介をいたしました。
 その後のことは、フィルムで用意しておりますので、ごらんになっていただきたいと思います。

(フィルム上映)

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、川合本部委員お願いします。

○川合本部員 お手元の資料をちょっと見ていただきたいと思います。
 知財の推進計画2004の中で、人材育成の強化の中にポスドクの活用を盛り込んでいただきまして、研究者として感謝いたします。研究現場としての状況を少し御紹介したいと思います。
 私どもの理化学研究所では、知財のスムーズな運用を目標にいたしまして、新しい試みを始めておりまして、その中から出てきた問題点を少し御紹介して、これからの議論のネタにしていただければと思っております。
 これまで、公的機関が基礎的な研究を行い、それを基に実施研究を企業で行うというように、1つが終わった後に、次が行われるという形で、研究が展開されておりましたが、もっと迅速にでき上がってきた新しい発明を産業に反映させるということを目標にして、新しいシステムを始めたわけでございます。
 これは企業と公的な研究機関が一体になって、チームを編成して、新しい実施に至るまでの研究を基礎とパラレルに行うもので、応用展開研究と実用化研究を一体化することで、産業への転換のスピードアップを目指すことものです。
 こういう試みには、企業側のメリットはもちろんのこと、研究者側にとってはより研究を実施するための研究に繋がるように、エンカレッジメントが大切でございまして、この点ついての懸念が1つございます。

(PW)
 ここに表わしていますのは、実用化研究を遂行するに当たり実施側の企業の公的機関に対する不実施補償についての問題提起です。これは自ら実施して、それを富に変えることができない公的機関では、開発し発明したものに対して不実施補償を受けるのが慣例となっております。
 特に大学や国立の研究所においては、国で決めたシステムの中で不実施補償が慣例になっておりましたが、一企業と対等な立場としての研究開発を行うようになるに従い、企業側の方にも不実施補償に対する疑問が出ておりまして、ここが今、研究機関で実施研究を企業でやるときのネックになっております。
 どういうことかと言いますと、公的研究機関は、やはり不実施対象といたしまして、それなりの補償をいただかないと、公的機関が創出した財産をこれから伸ばしていく上で障害があるということで、特定の者への益を供するためには対価を求めるのが必至であろうと。
 一方、企業側の方は、実際に実施に至らないものに対して補償することに関しては不満があるということで、ここのやりとりが、今、かなりポイントになっております。
 結論から言いますと、画一的な決め方をするのではなく、ケース・バイ・ケースで対応できるように、道を開けておいておくことが大事じゃないかということでございます。

(PW)
 我が国が知財立国として成すためには、知を富に変える企業の役割と、それから知をより大きな知の資産にしていく研究という役割と、この2つが両輪となって動いていく必要がございますので、双方に益があるような、実りのあるシステムをつくるということで、実施権に対する考え方を、これからもう少し個別にきちんと洗い出せるようなシステムを是非つくっていただきたいと思います。
 以上でございます。

○細田内閣官房長官 ありがとうございます。次に、久保利本部員お願いします。

○久保利本部員 私の方から、3点お願いしたいと思います。
 1つは、肖像の不正使用ということがありまして、肖像利用者団体である肖像パブリシティー権擁護監視機構では、パンフレットをつくって、絶対につくらない、売らない、買わないというふうなPRをしているわけでありますが、残念ながら、刑事的な制裁がないわけです。
 したがいまして、国内での取り締まりというものが現段階ではなかなか難しいと。そこで不正競争防止法の見直しというふうなことを含めて、是非取り締まりが強化できるような法改正をお願いしたいというのが、多くのアーティストたちや肖像を商売にしている人たちの一番大事なコンテンツ上の問題だと思います。
 2番目は、インターネットオークションの問題でありますけれども、インターネットオークションで売られている商品の大半が偽ブランド、偽物だということでありますが、これは実際は、野放し状態になっております。
 これをどのようにして、オークション売買を取り締まっていくのかというための具体的な方策を早急に講ずる必要があるのではないかと。これが2番目であります。
 3番目は、日本ブランドの問題ですけれども、まだまだ国が一人ひとりの日本のブランド、コンテンツを支えている人たちに対して、例えば褒めてあげるとか、立派だねと言ってあげることが少ないのではないか。
 例えば、日本料理のプロの青柳の御主人ですが、小山さんと言います。この人は、実は勲章をフランスからもらいました。フランスから農事勲章をもらって、なぜもらったかというと、醤油の味を世界に広めて、包丁の切れ味を示していったと。これは料理文化そのものであると。日本料理かフランス料理かなんていうけちなことは言わないから勲章をあげましょうということで、フランスからもらったわけです。そのことで、彼は大変喜んでいるが、残念ながら、多分まだ総理大臣から勲章をもらったことはないんだろうと思います。
 そういうようなことで、農水省からでも結構でございますから、是非こういう人たちに顕彰のチャンスを与えていただければ、大変励みになるんではないかということを申し上げたいと思います。
 以上でございます。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。下坂本部員お願いします。

○下坂本部員 2点だけ、地域ブランドと模倣品・海賊版についてお願いしたいと思います。
 都道府県でも知財戦略の一環として、各地域のブランド確立に向けた取組が行われておりまして、先ほどの資料の4にも入っておりましたけれども、これは大変心強いことでございます。
 そこで、これらの取組を支援していくために、商標制度の見直しを始め、地域ブランドを活用した、地域振興につながる政策の検討を引き続き、強力に進めていっていただきたいと思っております。
 次に、模倣品・海賊版でございますけれども、水際での取り締まりは、財務省の審議会を始めとした、さまざまな取組が行われておりまして、これらに対しては高く評価させていただいております。
 水際での取り締まりというのは大変重要なことでございますので、現状にとどまることなく、複雑な特許侵害判断への対応力なども含めて、注意深く将来とも国を挙げての取組を進めていただきたいと思います。
 もう一点簡単に、国内における模倣品の国民啓発でございますが、先ほど阿部会長からお話がございましたように、偽物購入容認派が46.9%もございます。この中には、偽物を偽物と知った上で、それを買ったり、楽しんだりしていることがなぜ悪いという開き直りの人たちも含まれているように思われます。

このような状況に対しては、国の隅々に至るまで、私どもが知財意識をもっと高揚させるための対応をとっていかなければならないと思います。水際に関しましては、税関の方で『名犬カスタム君』がホームページ等で大変活躍しておりまして、いろいろやってくれているのですが、国の中のことに関しましては、財務省の御心配を少しでも軽減するということもありますし、財政厳しい国にばかりその行動を要求するのではなくて、私ども民の方でもやっていくべきではないかというふうに考えております。
 また、偽物の個人輸入や所持を取り締まるための法制度につきましても、今後是非御検討をいただきたいと存じます。
 以上です。

○細田内閣官房長官 中山本部員お願いします。

○中山本部員 知的財産制度というものは、権利の創設と権利の実効性、この2つの面から成り立っております。
 我が国の知的財産法そのものは、細かい点は多々あるにしても、おおむね世界のトップレベルをいっていると私は考えておりますけれども、その実効性、具体的にはでき上がった権利の活用、流通、更にはその元にある侵害への対応につきましては、まだ足りない面もあると考えております。
 権利の創設は、極端なことを言えば、法律をつくれば足りるわけですけれども、実効性の問題は、例えば裁判制度のように、社会のシステム全体に関わるものが多いわけであります。
 したがって、こちらの方の改革は、多岐にわたる複雑なものでありまして、息の長いものにならざるを得ないわけで、戦略本部といたしましては、今後は実効性の確保という方向に軸足を置くべきであると考えております。
 現在、戦略本部におきましても、最も力を入れております模倣品・海賊版対策も実効性確保の重要な第一歩であり、また、先日、国会を通りました信託業法の改正も、知的財産の活用、流動化に大いに役に立つものでありますけれども、しかしながら、まだ利用されていない特許も多く、今後は信託以外におきましても、未利用特許の活用ということが重要な問題になると思います。
 防衛特許であっても、個々の企業にとりましては、それなりに意味があるかもしれませんが、日本全体を考えますと、やはり死蔵されている特許の活用には非常に大きな意味があると考えます。
 著作権におきましては、デジタル時代において著作物をいかに流通させるかということが最重要課題であると思います。
 著作物の流通を促進し、利用頻度が増せば、全体の利益を増し、そのことは著作権者を含めて多くの者が潤い、著作物の再生産への弾みがつくという考え方の定着が必要であると思います。
 そのためには、いろんな方策が必要ですけれども、例えば一例を挙げれば、今、すぐ改正することは困難な難しい問題ですけれども、世界で最も強力と言われている我が国の著作者人格権の在り方についても長期的課題として取り組む必要があると考えます。

活用、流通に関しましては、法制度の問題は勿論ありますけれども、それ以上に運用とか、業界の慣行、意識、人材等々の問題からファイナンス等に至るまで複雑な問題も多々ありますので、先ほど言いましたように、これからの当本部の重要な課題であると考えております。
 以上です。

○細田内閣官房長官 ありがとうございます。野間口本部員お願いします。

○野間口本部員 私は3点申し上げさせていただきたいと思います。
 まず、第1点でございますけれども、今年度から我が国の特許審査の迅速化に向けて、審査官の増員を図っていただき、これによりまして大変合理化されると思っておりますが、是非今後更に継続していただいて、更なる効果が出るようによろしくお願いしたいと思います。
 もう一点は、世界特許システムでございます。現在、特許庁3局で特許システムの構築を進めていただいておりますが、特許出願の先行調査等の点では大変効果が見られると思います。
 これを更に審査結果の相互利用といったレベルまで進めていただきますと、特許出願者から見まして、さらなる利便性の向上につながるんではないかと思いまして、この点にも是非引き続き力を入れていただきたい。日本がリードしていただきたいと思います。
 3点目は、戦略的な国際標準化の取組についてでございますが、これにつきましては、私は特にアジアの国の中での多国間連携をもって戦略的にやってもいいんじゃないかと思います。
 国際標準と言いますのは、それを決める場で、一国一票で決まります。特に情報通信とか、総務省さんを始め一生懸命やっていただいておりますが、ヨーロッパは国の数が多いものですから、日本はどうしても不利な立場に置かれる場合があるということで、アジアに基盤を置きます日本としてアジアの国々と連携して、先端的な標準を提案する、 そういうことになりますと、模倣品をやるのはけしからぬということ、これは勿論やってもいいんですが、単にそれだけではなく、プラス将来へ向けて一緒にやっていこうというような枠組みにも協力して、枠組みに入れていくということをやりますと、よりよい協力関係ができていくんではないかと思いまして申し上げたわけでございます。
 以上でございます。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。御手洗本部員お願いします。

○御手洗本部員 今年1年を振り返ってみますと、知的財産立国の実現に向けて多くの法改正が行われました。制度が大変異例のスピードで整備されましたことは、産業界にとっては大変ありがたいことで、我々は高く評価しております。
 しかし、その施策の真価が問われるのは、これからであります。私は3点お話をしたいと思います。
 まず、我が国の産業界の競争力を増すためには、当然優れた技術を創出して、その技術を知的財産として保護活用する、知的創造サイクルをスピーディーに回すことが大切であります。
 そして、その要になるのが産学連携であります。これをいかに円滑に進めていくかということがキーになると思います。現在は、まだ必ずしもスムーズに行われているとは思いません。
 先ほど川合本部員から、大学側から見た、この問題についてのお話がありましたが、お手元の資料10をごらんになっていただきたいと思いますが、その資料の2ページ目を見ていただきたいと思いますが、大学には先ほど触れられましたように、企業と共同での発明をベースに製品をつくるのは企業であって、大学は製品をつくらないので、企業は実施料を払うべきだと。いわゆる不実施補償を求めたり、公平性の理由で、同じ技術をほかの会社にもライセンスするというような考え方が大学にはあります。
 そのような大学との共同研究をする場合の契約の条件が、大変硬直的で交渉が難行し、共同研究のタイミングを移すというようなことも発生しております。
 このようなことを防ぐためにも、一律に共同研究契約書のひな形を押し付けるのではなく、互いの立場を理解し、よりよい連携がとれるように、不実施補償や公平性、公共性についても柔軟な取組ができる運用ルールの策定が必要であると思いますので、御検討をお願いいたしたいと思います。
 もう一つは、海外への特許出願の取扱です。大学は予算も知財の人材も限りがありますので、多くは日本だけに出願している状況であります。
 国際競争力の強化には、多くの国への特許出願をし、特許権を取得する必要がありますので、海外に出願する役目を企業が担うことも必要ではなかろうかと思っております。
 そういった運用ルールには、この点も柔軟に取組ができるように盛り込んでいただければと思います。
 次に、模造品対策について、一言触れさせていただきたいと思いますが、いまや模造品による被害は全世界で、先ほど阿部本部員の資料にもありましたとおり、65兆円にも達しておりまして、健全な経済活動を阻害しております。
 更に、デジタルカメラ等に使用される充電式バッテリーが爆発して、人命に危害を及ぼすというような事例まで出始めております。
 模造品は、いまや企業の収益を単に圧迫するだけではなくて、粗悪品のこのような事故によって、ブランドイメージの低下などを引き起こす深刻な状況になってきております。
 資料の3ページは、キヤノンの模造品摘発の事例を示しております。キヤノンも2000年から世界中で本格的に模造品対策の活動を行っておりますが、この資料が示しますように、一向に減る様子はございません。
 資料の4ページをごらんになっていただきたいと思います。
 健全な企業活動や、経済活動を阻害している模造品業者をきちんと取り締まり、模造品の撲滅を図ることが急務であります。
 そのために、先ほど荒井事務局長から御説明がありましたとおり、模倣品・海賊版対策加速化パッケージの内容については、私は大賛成でありますので、成果が一日でも早く出るように、侵害発生国、地域の関係政府筋等への働きかけを是非加速していただきたいと思います。
 特に、加速化パッケージの中にあります、知的財産権の海外における侵害状況調査制度の整備に関しましては、日本経団連からも要望を出させていただいておりますが、これは一企業が対応できるものでもありませんし、是非企業の申立てによりまして、実態の調査を政府機関において速やかに行い、その調査に基づいて、二国間協議などの措置を取っていただくことが大事だと思います。
 最後に、水際対策については、一言付け加えさせていただきたいと思いますが、昨年、今年と税関定率法が改正されまして、特許で水際対策が取られ、また輸入業者情報が公開されるようになりました。
 しかし、現状では外見から簡単に判断できる模造品を中心とした取り締まりとなっておりまして、これはもっと踏み込んで中身に関わる特許侵害品に対しても、税関で対処できますように、特許侵害の判断等ができる専門家集団による認定制度を設けていただきたいと思います。
 これによりまして、特許での水際対策がより一層強化されるものと考えます。産業界も国と一緒になって模造品の完全撲滅に向かって活動していきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

○細田内閣官房長官 森下本部員お願いします。

○森下本部員 私も1点だけお願いしたいと思います。引き続き、是非大学ベンチャーに対して、特許制度に関する制度を充実していきたいと思います。特に現行の制度が、中小企業に即しておりまして、研究開発型ベンチャーに必ずしも適していないという現状があります。 1点例を挙げますと、特許料減免に関しては、現在、研究開発型中小企業では請求料、特許料が半額になるという制度があるんですが、この条件として、中小企業が資本金3億円以下、または従業員が300 人以下となっています。
 ところが、研究開発型ベンチャーというのは、多くは資本金に受け取った金額の半分を組み入れますから、非常に資本金が大きくなります。
 例えば、私どものところでは、従業員は100 人しかいませんが、既に資本金は49億円になっておりまして、非常にアンバランスな状態になっています。
 多くの大学発ベンチャーでも、売上高ゼロで資本金が10億円、20億円という会社がたくさんありまして、なかなか現在の制度の中では中小企業の枠に十分当てはまってこないと。この辺りは是非、これから研究開発型ベンチャーを育てるという観点で、実態に即したような形で制度を変えていきたいというふうに思います。

○細田内閣官房長官 阿部本部員お願いします。

○阿部本部員 1つだけ申し上げます。知的財産戦略の根幹は人材だと思います。これまでもMOT、例えば工学版MBAと言われるものとか、法科大学院で知的財産の教育をするとか、いろんな提案がなされて進行しているわけでありますが、そういった勉強した修了生、卒業生が、やはり社会できちんと評価されるようにならなければいけないと。
 そのためにも、これは産業界にお願いしたいんですが、是非そういう人材を積極的に利活用していただいて、その上でいろいろ注文していただくと。そうすると、大学のカリキュラム教育もものすごくよくなると思いますので、それをお願い申し上げます。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、関係大臣、副大臣からお願いします。
 棚橋大臣。

○棚橋科技政策担当大臣 総合科学技術会議といたしましては、科学技術振興・発展の観点から知的財産国家戦略の構築に積極的に取り組んでおるところでございますが、これまでは特に大学等の知的財産活性化策についてさまざまな提言を行ってきております。
 これを受けて大学等における知的財産権の取得管理体制は、十分整備されつつあると認識しておりますが、今後は、大学等の知的財産をより円滑に、かつ効率的に活用するための方策に重点的に取り組むべく等、近々に知的財産戦略専門調査会を再開する予定でございます。
 今後とも知財本部と密接に連携を取りつつ知的財産創造立国の実現に努めてまいります。 以上でございます。

○細田内閣官房長官 中山文部科学大臣。

○中山文部科学大臣 たまたま今日、私は東京大学を視察してまいりましたけれども、理学部等においては、基礎的な研究をしているということと、産学連携、それから医工連携、本当に予想以上に進んでいるなと、先ほどスライドでも見せていただきましたが、要するに現場でどういう事情があるか、それをどういうふうに研究開発したらいいか、それのマーケットは幾らぐらいのものだろうと、そういうことを総合的に考えながら、本当に前向きにやっていらっしゃるなということで、大変びっくりいたしましたが、これからもそういった人材育成というようなこともありまして、また、そういったものはどんどん社会に還元できるようにやっていかなければいけないなということを思いました。
 知的財産の方についても、ここの体制整備ということについては、また努力していきたいと思っています。
 今日は、いろいろと大学院に関しまして御要望があった点につきましては、一生懸命取り組んでいきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○細田内閣官房長官 保坂経済産業副大臣。

○保坂経済産業副大臣 本日の議論に関しまして、何点か申し上げたいと存じます。
 まず、医療関連行為の特許保護でございますが、医療機器並びに医薬の特許保護の具体的な制度設計につきましては、本日報告のありました専門調査会のとりまとめを受けまして、医療現場の実態や、関係者の意見を十二分に勘案しながら検討してまいりたいと思います。
 模倣品・海賊版対策でございますが、先ほど御手洗本部員の御提案もありました、侵害状況調査制度を始めとする、対策の一層の強化を図ってまいります。
 また、営業秘密の保護強化に関しましても、不正競争防止法の改正案を次期通常国会に提出すべく現在作業中でございます。
 日本ブランドについて申し上げますが、ファッション分野では、デザイナーへの支援や海外への情報発信の強化を、地域ブランドについては地域の取組への総合的な支援を強化してまいりたいと思います。
 特許審査の迅速化でございますが、お陰様で、今年度から任期付きの審査官の採用を始めました。今後とも世界最速に向かって努力をしてまいります。
 中小企業対策を最後に申し上げます。
 知的財産を活用した中小企業や地域経済の活性化は大きな目標でございます。したがいまして、私どもといたしましては、来年度から新たに地方の経済産業局ごとに地域知財戦略本部を設置いたしまして、官民の取組を強化するとともに、知財の活用を図ってまいりたいと思います。
 以上です。

○細田内閣官房長官 次に、山本総務副大臣。

○山本総務副大臣 ネットオークション上での模倣品のことにつきまして御指摘がございましたが、なかなか触ることができない世界でございますので、管理者が偽物であるか、本物であるかということは、なかなか認識するのが難しいということもございます。
 されども、プロバイダー責任制限法において、出品物が模倣品であるなど権利を侵害していると信じるに足りる相当な理由があれば、当該出品物を削除しても管理者は責任を問われないということになっておりますので、それを踏まえまして、総務省といたしましては、オークションの管理者の迅速、適切な対応を促進するために、関係省庁、事業者等々と連携をいたしまして、インターネットオークションサイト上で模倣品と判定してよいケースの類型化を図るために、年内に、具体的な対処方策の検討の場を設けていきたいと思っております。
 それから、コンテンツの創造・保護・利用促進に関しましては、そのための技術開発、制度的な対応について、民間の活力を最大限に引き出す環境整備に引き続き努めてまいりたいというふうに思っております。

○細田内閣官房長官 上田財務副大臣。

○上田財務副大臣 財務省より、先ほども御紹介がありましたけれども、模倣品海賊版の水際取締りの強化に関する検討状況について御説明をいたします。
 昨日、関税外国為替等審議会関税分科会におきまして、平成17年度関税改正についての答申の中で、知的財産侵害物品の水際取締りにつきまして、次の3点の答申をいただきました。
 第1点が、特許権等の知的財産権を侵害するおそれがある物品に関わる認定手続において、税関が当該物品の見本を権利者に提供して、権利者が当該見本を検査できる手続を導入するということであります。
 第2点は、不正競争防止法の規定により輸入することが禁止されている、形態模倣品等につきましては、不正競争防止法において、罰則の規定が整備されていること、また、税関が水際において、迅速適正に適宜の判断ができるような仕組みが整備されていることを前提といたしまして、輸入禁制品に追加することを検討することであります。
 第3点が、育成者権侵害の該非について、税関が必要に応じ、農林水産省に意見照会できる制度を導入するというものでございます。
 この答申を踏まえ、17年通常国会に法案を提出することを目指して所要の作業を進めていく考えでございます。
 よろしくお願いいたします。

○細田内閣官房長官 他の省はございますか、どうぞ。

○逢沢外務副大臣 外務省でございますが、1点だけ御報告申し上げます。
 昨日北京で、温家宝総理と会談する機会がございました。外交安保でもかなりやり合いましたけれども、特に私から知財のことについて取り上げましたところ、温家宝総理から中国としても、大変この問題は重視している。12月より最高人民検察院共同で審判に対する罰則を強化したと、直接そういう言及がございました。
 ところが、調べてみますと、今日現在、まだどういう内容が強化をされたのか、まだ発表されていないと。こういうことでございます。想像するに、訴追の認定基準が非常に高い、あるいは罰則金額が非常に低い、こういうところが改められたのではないかと期待をいたすわけでありますが、まだ公表されていません。今月20、21日にも経済関係の協議がございますので、そういう場を通じて話し合っていくというふうにいたしております。
 以上、御報告でございます。

○細田内閣官房長官 ありがとうございました。本部員の皆さん方の中で、この点だけは言っておきたいというような御意見があればどうぞ。
 時間を節約してまいりましたが、よろしゅうございますか。

○小泉内閣総理大臣 偽物だと承知して売っているんだ。

○細田内閣官房長官 ええ。

○小泉内閣総理大臣 売っている人も買う人も偽物だと思って売って買って、あれはどうなの、それはいいの。

○細田内閣官房長官 いや、それはいけないですよ。

○小泉内閣総理大臣 カウンターごと偽物をつくってしまうというのはすごいね。店ごと偽物つくったらどうするの、キャノンなんかやられそうじゃないですか。

○細田内閣官房長官 かばんとかネクタイとかは、この店は全部偽物ですから、安心して買ってくださいと。

○小泉内閣総理大臣 そういうのはどうするの、そういうのはもうどうしょうもないの。

○細田内閣官房長官 本当はいけないんですね。本当は外国へ行ってこらっと言わなければいけない。警察に取り締まれと。

○小泉内閣総理大臣 これは難しいな。

○細田内閣官房長官 それでは、最後に知的財産戦略推進本部長の小泉総理から御発言をいただきたいと思いますが、その前にプレスが入室いたします。

(報道関係者入室)

○小泉内閣総理大臣 どうもありがとうございます。いろいろ勉強になる御報告がありましたけれども、模倣品・海賊版対策加速化パッケージ、是非とも実行に移すことが大切だと思っております。
 今後とも知財戦略、今、着実に進展しておりますが、引き続き大胆に進めていただきたいと思います。
 本日、決定された計画にのっとり、次期通常国会に法案を提出されることを期待しておりますので、よろしくお願い申し上げます。

(報道関係者退室)

○細田内閣官房長官 本日の会合は、これにて閉会いたしたいと存じます。
 本日の会合内容につきましては、終了後に事務局から記者会見を行わせていただきます。 また、次回につきましては、別途事務局から御連絡させていただきます。
 本日は御多忙中のところ、誠にありがとうございました。