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コンテンツ・日本ブランド専門調査会(第4回)議事録

  1. 日時:平成20年9月16日(火)13:00〜15:00
  2. 場所:虎ノ門パストラルホテル「プリムローズ」
  3. 出席者
    【委員】 久保利会長、太田委員、生越委員、角川委員、木村委員、久保委員、里中委員、関本委員、高橋委員、中村委員、中山委員、服部委員、浜野委員、廣瀬委員、三尾委員、村上委員、和田委員
    【事務局】 素川事務局長、内山次長、関次長、小川参事官、大路参事官
  4. 議事:
    • 日本ブランドの振興について

○久保利会長 それでは、定刻ですので、ただいまから第4回コンテンツ・日本ブランド専門調査会を開催いたします。
 本日は、ご多忙のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、前回に引き続いて日本ブランド戦略策定に向けてご検討いただきたいと存じます。
 まず、前回7月22日の会議で各委員の皆様からいただいたご提案に基づいて、今後の日本ブランド戦略の策定に当たっての論点を整理しておりますので、その他配布資料とあわせて事務局より一括してご説明願います。

○関次長 それでは、資料につきましてご説明させていただきます。
 まず、本日の配布資料の確認でございますけれども、4点お配りしてございます。
 資料1がブランド戦略の策定に向けての論点という横長の1枚紙でございます。それから、資料2が同じく戦略のイメージと書きました横長の1枚のものでございます。それから、資料3が日本ブランドに関する取組みの現状というもので、ページ数にいたしまして16ページのものでございます。それから、資料4が、今後のコンテンツ日本ブランド専門調査会のスケジュールということで1枚紙のものでございます。
 それから、席上、委員の先生方のお手元にはこれ以外に2点、資料をお配りしてございます。
 1つが、委員提出資料というタイトルを打たせていただいたものでございますけれども、これは前回第3回のこの会議で配布したものでございまして、前回の会議に際しまして皆様方からご提出いただいたものの束でございます。
 それから、もう1つ、コンテンツ日本ブランド専門調査会スケジュール(案)というものでございますけれども、これは久保利会長からのご指示で、そのお考えを整理したものでございます。ということで4点、それから2点追加でお配りをさせていただいております。
 それでは、個々の資料の説明でございますけれども、まず資料1、それから資料2をごらんいただきたいと思います。
 資料1日本ブランド戦略の策定に向けての論点というものでございますけれども、これは前回のこの専門調査会でお示しいただきました意見、ここで主な意見というふうに書かせていただいておりますけれども、代表的なものと思われるご意見を整理させていただいたものでございます。ただ、このような形でお配りさせていただくにつきましては、事務局のほうで整理をさせていただいております。その趣旨は、前回お出しいただいたご意見、いろいろなご意見を踏まえまして、何といいますか、出来上がりの姿をあらかじめイメージしたらどうなるだろうかという観点から整理をさせていただいたものでございます。
 そのスキームが、資料2の日本ブランド戦略のイメージというものでございますので、恐縮でございますが、この両方を見比べながらお聞きいただきたいと思います。
 今、申しましたように、いろいろな角度、お立場から前回ご意見をお出しいただいたというふうに思っておりますけれども、事務局といたしましては、それを大きく4つに整理させていただいております。
 資料2のほうでごらんいただきますと、目標というもの、それからアクション、それから基盤整備、推進体制という4つでございます。
 以下簡単にご説明させていただきますと、目標といたしましては、日本ブランド戦略は何を目指すのかということでございまして、若干ブレークダウンしますと、目的、あるいは政策目標という話になるのではないかと思っております。
 それから、アクションといたしましては、具体的にどのような取組みを行うのかということになるわけでございますけれども、そのアクションについての基本的な考え方と同時に具体的なアクションのメニューをお示しいただくということもあるのではないだろうかということでございます。
 それから、資料2の表の下のほうでございますけれども、基盤整備としてまとめさせていただいているものが側面的な支援として行うべき課題は何だろうかということでございまして、日本ブランドの振興、発信を側面的に支援する基盤整備的な事項、そういったものについての対応の方向性をお示しいただくというものでございます。
 それから、4つ目の柱が、推進体制ということで、この表では右側のほうに書いてあるものでございますけれども、どのような体制で進めるのかということで、継続の推進及びフォローアップの体制を構築する。あるいは、関係省庁の窓口の明確化、こういったことが考えられるのではないだろうかということでございます。
 というスキームで整理をさせていただいたわけでございますけれども、冒頭申しましたように、こういった整理をするにつきましても、前回お出しいただいたご意見をいわば踏まえまして整理させていただいたものでございます。そういった意味で、資料1をもう一度ごらんいただきたいと思います。
 今、申し上げましたようなスキームで、前回お出しいただいたご意見を整理させていただいたわけでございますけれども、まず目標といたしましては、3点掲げてございます。
 1つ目が、日本人自身がその魅力を再認識するということが必要ではないだろうかということでございます。
 それから、2つ目でございますけれども、海外でのビジネス展開を一層強化するべきではないだろうかというご意見でございます。
 それから、3つ目の点でございますけれども、どれぐらいの経済効果の創出を目指すのか、そのためにどれほどの費用と時間をかけるのかといったことについて、定量的な政策目標として掲げる必要があるのではないだろうかというご意見でございます。
 それから、続きまして、アクションでございますけれども、アクションにつきましては、全部で9つのご意見をここに書かせていただいておりますけれども、上の4つが、基本的な考え方、下の5つがあえて言えば具体的なアクションということになるのではないかと思っております。
 上からごらんいただきますと、一番最初が選択と集中ということでございます。
 それから、2つ目の点が、コンセプトを明確にしてメッセージを発するべきだということでございます。
 それから、3つ目が、日本のよいイメージ、環境、エコでございますとか、洗練された高品質というのがありますので、それを活用して、一層訴求していくべきではないだろうかというご意見でございます。
 それから、4つ目が、日本ブランドの分野、あるいは対象地域、そういったものを特定して、それぞれに対応した目的を明確にしたらどうだろうかということでございます。
 それから、5つ目でございますけれども、複数の分野が連携した事業、あるいは各種イベントの時期を集中させるということによって効果がさらに増幅されるのではないかということでございます。
 それから、6点目は、ネットの活用ということでございまして、インターネット等を活用して、情報発信をしていくということでございます。
 それから、7点目が、地方公共団体等が行う地域発のブランド発信、あるいは観光誘致の政策、こういったところとの連携が必要ではないかということでございます。
 それから、8点目が、国内外の情報収集や各種調査を行って、効果的に政策の立案に生かすべきではないかということでございます。
 具体的な内容といたしましては、カッコの中に書かせていただいております。
 それから、最後のご意見が海外のオピニオンリーダーとの人的ネットワークということでございます。
 以上がアクションでございます。
 それから、基盤整備といたしましては、大きく3つに分けて整理をさせていただいております。基盤整備の中の1番目が左でございますけれども、人材関係ということで4つ掲げてございます。
 1つ目が、若年層向けの活動の支援ということでございます。それから、2つ目が海外において日本文化の発信を担える日本人の人材の育成をきちんとやるべきだというご意見でございます。
 それから、3点目が、逆にその日本ブランドを学びに来る外国人留学生を受け入れる、それを円滑にさらにしていくことが必要ではないかということでございます。
 それから、人材の最後といたしましては、海外に在住する功労者への顕彰ということでございます。
 それから、基盤整備の2つ目といたしましては、知財制度等の関係でございますけれども、ここには5つ掲げてございます。
 1つ目が、実効性のある違法コンテンツ対策ということでございます。
 それから、2つ目が、日本の地名等のブランド商標、こういったものの適切な保護ということでございます。
 それから、3つ目が、海外におけるコンテンツ規制の緩和ということでございます。
 それから、4つ目が、知財制度の整備、コンテンツの流通、ネットビジネスが柔軟に展開し得るような制度の整備ということでございます。
 それから、5つ目が、技術の世界標準化というご意見でございます。
 それから、基盤制度のその他といたしましては、3点掲げてございますけれども、1つ目が、日本ブランドの各分野を体系的に紹介する施設が必要なのではないか。それから、2つ目が、国際共同制作、海外でも流通しやすいと思われる国際共同制作を強化すべきではないか。
 それから、3つ目が、翻訳費用等への財政支援ということでございます。
 それから、最後の4点目のまとまりでございますけれども、推進体制ということでございます。ここには5つ掲げてございますけれども、1つ目が関係省庁の窓口の明確化。
 それから、2つ目が、海外における日本政府の支援体制を明確化する。
 それから、3点目が、若干毛色が異なるかもしれませんけれども、ブランドの発信は民間主導で行われるべきであって、国の役割は後方支援にすべきではないか。
 それから、4点目が、観光政策との連携ということでございます。
 それから、5点目が、専門調査会と別途開催されている関係省庁連絡会議との合同会議といわば連携が必要なのではないだろうかというご意見でございます。
 ということで、資料1につきましては、こういう4つの大きな枠組みに整理させていただいております。また便宜上、何人かの先生からお出しいただいた意見をまとめて整理した部分もございますので、失礼に当たる部分があろうかと思いますけれども、このように事務局のほうで整理させていただいたということでございます。
 それから、資料3、資料4でございますけれども、資料3につきましては、日本ブランドに関する取組みの現状でごさいますけれども、これは、冒頭書いてございますように、2008におきまして、知的財産戦略の進捗状況というのを別途冊子にして取りまとめてございます。この資料は、その進捗状況の中から日本ブランドという観点で抜き出しまして整理をしたものでございます。
 いわば現状としてこういったことが行われてきておるということをチェックしていただくために整備したものでございます。したがいまして、内容の1つ1つの細かい説明は省略させていただきますけれども、柱だけご紹介させていただきますと、大きくは3つの柱で分類をしてございます。
 1つ目が、分野横断的な施策ということで、1ページの冒頭から始まる部分でございます。
 それから、2つ目の柱が2ページの下からでございますけれども、分野別の施策ということでございまして、この分野別の施策の中は、コンテンツでございますとか、食文化でございますとか、ファッションでございますとか、そういう分野ごとの施策を整理したものでございます。
 それから、3つ目の柱といたしましては、模倣品、海賊版対策ということでございまして、これが8ページから最後まででございます。この中も、柱だけ見ていただきますと、外国市場の対策でございますとか、水際における取締りでございますとか、国内における取締りでございますとか、そういったことで幾つか小さな柱を立てまして整理したものでございます。
 それから、最後の資料4でございますけれども、今後のスケジュールにつきましての考え方を整理したものでございます。
 次回でございますけれども、第5回専門調査会を10月22日に予定をさせていただいております。私どもいたしましては、本日、それから次回の会議でご議論を少し詰めていただければと思っておりまして、その上で、11月に2回、ヒアリングというのを予定してございます。このヒアリングの趣旨につきましては、関係省庁連絡会議との連携という趣旨でございまして、関係省庁からヒアリングをしていただく会議として考えてございます。
 その上で、来年1月、2月に、またこの専門調査会を開催していただきまして、戦略の取りまとめの作業をしていただければというふうに思っておるところでございます。
 雑駁でございますけれども、資料1から4までの説明は以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございます。
 それでは、審議に入りたいと思います。
 まず、前回ご欠席の木村委員、浜野委員及び和田委員からご意見をお伺いしたいと思います。前回の本専門調査会にご提出いただきましたご提案の内容も含めてご発言いただければ幸いです。
 それでは、木村委員からお願いいたします。

○木村委員 木村でございます。第3回、欠席いたしまして申しわけございません。
 そのときに、提示をさせていただきました意見書に基づいてお話をさせていただきたいと思います。
 私ども、ソニーは、主にハードウェアのブランドを育ててきました。そのブランドへの取組みをご紹介させていただくということで、何点かポイントアウトいたしました。
 まず、ブランドそのものに対する企業、私どもの考え方は、これは経営理念、経営のビジョンそのものであるという考えです。こうした考えのもとブランドそのものに関して企業としてのアテンションをずっと強くもってやってきたということです。もちろん、そこには先進的な商品であるとか、企業の行動規範等があるわけですが、私ども非常に長い年月をかけて形成してきたブランドというものを非常に大事に思っているということは言うまでもございません。
 1955年にこの「SONY」というブランドを導入いたしました。このブランド名の下に、やはり何と言ってもこれは商品、革新的な商品を出すことによって、このブランドが確立し、成長してきたと考えております。もちろん今でもそういった商品がこのブランドの価値をさらに高めて、そのブランドを守っていくものであるとの考えでございます。
 私どもは、70年代後半ぐらいから、音楽、映画、金融といったものの異業種に参入してまいりました。この点については、ソニーという名前をそうしたそれぞれのビジネスに持ち出すことによって、ロゴや名称の一貫性と事業の領域ごとの特色も出しながら、このブランドを成長させてきているということでございます。
 このブランドを向上させる、ブランドの競争力を上げる、あるいは守る、メインテインしていくという意味で幾つかの課題を述べさせていただいております。今のまとめでも幾つかご紹介の中にも入っておりましたが、一番大事なものとして、私どもはやはり一番気を使い、アテンションしているものは、社内でございます。 ブランドというのは外に対して出すものですが、社員一人一人がそれぞれの考え方とか、そのときの状況によってそのブランドの意味合いであるとか、ブランドが向かう方向であるとか、非常にどうしてもまばらになりがちとなります。
 そういう1つの危険性でもありますし、1つの難しさでもあるのですが、そのようなことをできるだけこれを統一して強くしていくという点で、社内に対するブランドの議論というのをできるだけ活発にしているということです。
 特に、トップマネジメントの間でブランドに対する議論というのは、非常に多く起きていると思っております。まだまだ足りないのかもしれませんが、非常に長い時間を使って、このブランドの在り方ということを議論し続けております。
 組織としても社内には専門組織、このブランドだけを全世界でグローバルにガバナンスしていくという部隊を持って、そこに一極集中させながら、ブランドにまつわるいろいろな規定、マニュアル等も含めて、常にグローバルな啓蒙活動を行ってガバナンスを強めております。
 一方、これを保守していくことも結構大変で、先ほども出ておりましたが、例えば模倣品、これはハードウェアということもあって、私ども昔から頭の痛いところでもありますけれども、特に最近は、中国を中心にハードウェアのいろいろなものの模倣品が出回っております。私ども、もちろん関係機関との協力のもとにいろいろやりますが、私どもだけでも昨年は税関への立入検査など年間百数十回のアクションを起こし続けております。
 これに関する費用も結構大きなもので、もぐらたたきみたいなもので、きりがないのですが、ここにはかなりのアテンションをしております。
 1962年、‘SONY'ができて割と時間が立たないうちに、「ソニーチョコレート事件」というものもございました。このような同じ名前を冠して、ほかの領域の分野で商品が出てくるということに関しては、非常に注意深くこれを監視しておりまして、アクションを全世界的に起こしているということでございます。
 私どもは、地球上で、グローバルに商売をいたしておりますが、これがなかなか競争力という点においても均一であるということはなく、まばらだということで、一言で「SONY」ブランドというだけではなく、それぞれの地域で今何が起きているかというようなことも、かなり注意深く議論をしながら、ブランドのメンテナンスに当たっているということでございます。
 以上、私どもの活動の一端をご紹介して何かのお役に立てばと思います。

○久保利会長 ありがとうございました。
 それでは、次は浜野委員、お願いいたします。

○浜野委員 15ページに提出した資料がありますが、今、日本の大衆的人気は国際的に高いわけですが、一方で、マスコミ、新聞などのニュースでは日本のことがほとんど扱われないということがあります。それは重要なニュースがないのではなくて、そういったことに関わっているオピニオンリーダーの方々に日本のことが伝わってないのではないかと推測できます。
 ですから、そういった方々との人的ネットワークをつくり、また海外で日本に関するイベントを熱心にやってらっしゃる方々とのコミュニケーションもあまりとれていませんので、そういう方々と情報交換する機会などを設けて、人的ネットワークを国際的に広げていくということは大事ではないかと思います。
 それと日本は極東なので、日本に来るというのは、リスクが大きい。そのため日本に足を運びやすい理由をつくっていかなければいけない。コフェスタは素晴らしい試みですし、地域に大変優れたイベントがあるわけですから、新しいことの催しを秋にやるのだったら、伝統的なものは集中的に春にやる。地域のイベント、地域の活動も海外に目を向けたものにしないと、これから子どもたちが減っていくわけですから、足を運びやすい状態をつくっていくということが大事ではないかと思います。
 それと日本に関する人気というのは、一時の人気で終わって、なかなか日本理解とか日本への敬意につながらないということもよく言われております。それは、全体的な個々の領域ではなくて、日本文化全体にかかわる説明がなされたり、すべてを統括した体系的な施設がないからではないかと思います。
 パリにもそういったセンターがありますし、シンガポールや北京にもそういった施設の計画がありますから、日本の統括的組織でやったことをパリ、シンガポール、北京、ほかの組織にも回して、いろいろな、食からファッションからポップカルチャーを体系的に説明できるような試みが必要ではないかと思います。
 それと最初のオピニオンリーダーのことにもかかわりますけれども、顕彰制度です。各省庁でやっていますが、海外で日本に関する活動をしている人が、死ぬまでにあの賞が欲しいというような、わかりやすい賞体系にして、一時も早くやらないといけません。賞というのは回数がその賞の重みをつくっていきますので、これは一刻も早くやっていただきたい。
 それで先ほどご説明があった下位より始めようではないですが、日本人自身が魅力をということも大変重要なことです。海外青年協力隊の方とか、外交官の方とか、ポップカルチャーについても語れないとか、自国文化についての理解について心配な部分もあり、重要な視点だと思います。
以上です。

○久保利会長 ありがとうございました。
 次は、和田委員、お願いいたします。

○和田委員 提出資料の中で書かせていただいている意見につきましては、今日、いただきました資料の中に、もう反映されていると認識しております。
 資料1、2のまとめ方、目標設定、アクション、それから資料3の分野横断的なもの、分野別の施策、それから海賊云々という縦わけも全く異存ありません。
 せっかくお時間いただきましたので、あえて付け加えますと、日本ブランドを発揚していく際に、いかに今のものを活かすかという論点と、いかに今から創るかという論点とがあるんだと思います。
 この2つは、似ておりますけれども、当り方が違ってきますので、注意が肝要かなと思っております。
 私としては、あるものをどう発現していくかだけじゃなくて、いかに今から日本ブランドを作っていくかということが非常に重要なのではないかと思っております。
 また、日本人がモノをつくることについて非常に能力が高いということは、これは非常にナイーブに思っているんですけれども、ただ、制度だけではなくて文化的な土壌として、それがよりできやすくなる環境というのがあるんだと思います。
 例えば、私の会社はテレビゲームをつくっているんですけれども、テレビゲームは依然として日本のクリエーターが非常に世界をリードする重要な立場ではあるんですけれども、一時期のようにもっぱら日本だけという状態ではありません。
 これは、諸外国のゲームクリエーターが育ってきたということもあるんですけれども、ただ日本に関しても問題があります。
 従前は、テレビゲームというのは、ゲーム専用機の上でしか動きませんので、ゲーム専用機をつくっているハードメーカーがハブになりまして、クリエーター同士のコミュニティーが非常に活性化していました。数年前までです。
 ところが、それを学校教育にまで浸透させるとか、他業種との人事的な交流を行うといった努力を怠り、ハードメーカーさんのハブ機能にもっぱら依存する状態に安んじていましたので、このハブ機能が後退してきたことに伴いまして、せっかくのコミュニティーが破壊されてしまった状態なんです。
 ですから、個々人の能力はあるんですけれども、ゲームをつくるという日本の土壌、土自体がちょっとやせてきているという状況があるんだと思います。現時点の日本のゲーム業界が苦戦している本質はここにあるのだと考えています。
 まとめますと、日本ブランドを考える際、既にあるものをいかに活かすかという点と今からどのようにものを作っていくかという点とを区別しなければならず、私は、後者がより重要だと思っています。また、ものをつくるという時、つくる環境、土壌といったことが極めて重要であり、これを意識しながら制度等を考える必要があると思います。例えば、知的財産制度についても、既にある作品の流通をいかに活性化するかと、ものを作るコミュニティの共有知を育む環境をいかに整備するかというのとでは、全くツボが違います。
以上です。

○久保利会長 ありがとうございました。
 引き続き、議論に入るわけでございますけれども、その前に、会長である私からこの取りまとめを含めて、何点か申し上げたいと思います。
 まず、この内容についてでありますけれども、コンテンツ・日本ブランドについては、既に多くの施策が行われております。当専門調査会では、議論の焦点化ということが大変大事だと思います。そのために、既に実現をしている施策、これについては基本的には除外をして考えるということでどうだろうか。じゃあ、一体何が実現しているのか何が順調に動き始めているのかということを見るために、事務局に指示いたしまして、資料3を用意したわけです。
 非常に分厚い「知的財産戦略の進捗状況」というリーフレットが既に発行されていますが、それをわかりやすく資料3にまとめてもらいました。ぜひ、委員の皆様にはこれをご参照いただいて、足りない部分、あるいはより発展させられる部分というところに焦点を当てながら、骨太な戦略を打ち出していただけるようご検討願いたいと考えているというのが1点であります。
 次に、検討スケジュールでございますけれども、事務局の説明にもありましたとおり、私の案といたしまして、やや詳細なスケジュールをお配りいたしました。全く私の私的な提案でございますので、あくまでご参考、叩き台ということであります。
 結局は、この専門調査会と関係省庁連絡会議の2つの組織で並行して検討する。当専門調査会において戦略を、関係省庁連絡会議においてアクションプランを策定するということでありますが、これを2つバラバラにやってもしようがないので、相互の連携が非常に重要になるだろうと。そのために、この11月第1回専門調査会ヒアリングと第2回、当専門調査会と関係省庁との意見交換といいますか、これをやりたいというふうに考えております。
 実は、先日も関係省庁間で打合せというのがありまして、私もそこに同席させていただきました。
 非常に真剣に関係省庁においても検討していただいているというのは身にしみてよくわかりました。そうであればあるほど、やはり専門調査会と密接な連携をとるべきだ、しっかり意見交換をして生産的な議論をすべきだというふうに考えた次第です。
 そこで11月を視野に入れて今日と10月の会議で骨格の議論というものを行いたいということを申し上げたい。これが2番目です。
 それから、ただいまの叩き台の12月以降のところに矢印の右側に点線で作業チーム(適宜)というのが書いてありますけれども、これは何かと言うと、今回の日本ブランド戦略のアピール度を高めるために、幾つかの目玉になるような、具体的な提案というのを当専門調査会から提案したい。そのためには何名かの委員の方々に戦略の具体的執筆作業といいますか、タスクフォースというふうなものをつくって実施したらどうだろうか。言うだけで、あとは事務局、あるいは関係省庁任せというのではなかなか現実的な案ができないだろうと考えた次第であります。これをぜひお願いしたいと、私も積極的に関与したいと考えています。これが第3点です。
 概ねこのようなスケジュールで2月の戦略策定に向けて検討していきたいと考えておりますので、これについてのご意見も含めてご審議を賜りたいというふうに考えます。
 今日は、資料1、日本ブランド戦略の策定に向けての論点及び資料2の日本ブランド戦略のイメージ、これをもとにその柱立てについて、こういうことでよろしいのかどうかをご審議いただければと思います。
 まず、先ほどご提案申し上げたこの流れ等につきましても結構でございますから、スケジュールを含めた全般的な事項についてご意見をちょうだいしたいと思います。
 ご発言のある方は、ネームプレートをお立ていただいて、お1人3分程度でお願いしたいと思います。
 それでは、ご意見ございますでしょうか。
 もし全般的な流れなり、全般的なことについては特にご意見がないということであれば、目標、アクション、基盤整備、推進体制ということで資料1、2をベースに議論をちょうだいしたいと思います。その中で、いろいろご注文をいただければ、それはそれで結構でございますけれども、いかがでしょうか。総論的な意味での今のスケジュール、あるいは考え方、これについてのご意見、ございますでしょうか。
 角川委員、お願いいたします。

○角川委員 このスケジュール感の中で、2008に盛り込んだ知財の確定の問題と2009で検討すべき課題として挙げられている問題が、ここで固まってくるというふうに考えてよろしいでしょうか。

○久保利会長 はい。ですから、2008あるいは07、06あたりでやってきたことで、既に実現したもの、あるいは実行途上であるもの、これをもっと進めろというものがあれば、それはおっしゃっていただきたいし、それはそれぐらいで大体いいだろうということであれば、09に一体何をもっと盛り込むべきなのかという視点からご発言をいただければありがたいと思っております。

○角川委員 私が申し上げたのは、中山先生のところで進んでいるデジタル・ネット時代における知財制度専門調査会での結論というんですか、結論になっているのか、あるいは中間報告なのかわかりませんけれども、それもここでの2回の省庁のヒアリングの中で出てくるというふうに考えてよろしいのでしょうか。

○久保利会長 どうですかね。必ずしもこれは2つの専門調査会ですから、この専門調査会はあくまでもコンテンツ、日本ブランドということでございますので、その使い道とか使い方というか、伝播の仕方とか発信としては当然問題になってくると思いますけれども、それは必ずしもこの専門調査会のメインテーマではないというふうに考えておりまして、その意味では、むしろ新しい専門調査会ができたことによって具体的なITの使い勝手とか、そこの部分の立法政策とか、それはそちらでやっていただくという仕分けでいいと思うんですけれども。
 中山先生、いかがでしょうか。

○中山委員 そう思います。

○久保利会長 ですから、2つの専門調査会でそれをやってもしようがないので、どっちかというとこちらはむしろそうでない部分、具体的なアクションにしても基盤整備にしても、触れないわけにはいかないと思いますが、中身の重厚な議論はそちらの専門調査会にお任せしたいと思っています。
 皆さん、そういう理解でよろしいでしょうか。会長はそう決めても、そうとはならないかもしれないので。特段のご異存がなければそんな仕分けでいきたいと思います。
 どうぞ、浜野委員。

○浜野委員 推進体制についてお聞きしたいのですが、この専門調査会もいつかは終わるわけです。フランスでは学士院が18世紀末にできて、200年以上の文化戦略の蓄積があります。アメリカは各政党のシンクタンクが戦略を立てて、国務省を通じて文化戦略を施行しているわけですが、日本の文化戦略をどこで立ててきたかと、答えられる人はいないと思います。それでこういう専門調査会ができたと思うんですが、ブランド戦略とか文化戦略を立てる恒常的な組織がないと、各省庁の連携、調整のその場限りになってしまう。統括するのは内閣府だと言われたらそうなんでしょうけれども、そのどの部門がずっとフランスの学士院みたいに継承して蓄積して、それをやっていくのかというのは不明確で、恒常的な組織が要るのではないかと思いますが、その点について、会長にお聞きしたい。

○久保利会長 いや、むしろそれはご質問に私が答えられる話ではなくて、この専門調査会がどういう意見を皆さんまとまって言うかということにかかっているんだろうと思います。
 当然、今おっしゃったような継続的な推進及びフォローアップの体制というものはどうあるべきかということは資料2の推進体制の一番上に書いてあるテーマそのものでございまして、例えば、官民合同のタスクフォースとかいろいろ書いてありますけれども、何がいいのかよくわかりません。根本的には、そういうものが必要ではないかと私も考えております。したがって、それはフランスの学士院のようなものがいいのか、どういう形が必要なのか、そしてそれは官にお任せするのがいいのか。官民合同がいいのか。
 恒常的にというふうにやっていく場合には、どのように恒常化を担保するのかとか、いろいろな問題があると思います。
 ただ、非常に重要な論点だというふうに考えておりまして、自分たちが消滅するのを前提に議論をするのは情けないという気もしますけれども、この専門調査会が恒常的にあるはずがないわけですから、全く適切なご指摘だというふうに思って、我々はむしろそれをどういうふうに提言していくか。それこそがテーマだというふうに思っておりまして、これも大きな1つの目玉になり得るお話ではないかと理解しております。
 もし、ご異論がおありであれば、どうぞそれも含めておっしゃっていただいて結構なので、この目標とアクションと基盤整備と推進体制という、一応4項目に資料2では分けましたけれども、必ずしも峻別できるかどうかわかりません。そういう点で場合によったら、目標からとりあえず入って、いまたまたま浜野委員から推進体制について非常に貴重なご意見をいただきました。これは、推進体制の今後の問題として非常に重要な柱として考えたいと考えています。
 太田委員、どうぞ。

○太田委員 組織の話で1つ気になるんですけれども、我々のファッションの分野ですと、長年ずっと製造産業局の繊維課という課で受けていただいてきたんです。長年、この繊維課というのは、明治維新からずっと織物等で一生懸命行政指導してきた課でしょうけれども、ものをつくるという、繊維製品をつくるという話とファッションのソフトを開発するという部分とは若干違うと思います。
 今までは、繊維課という課で全部がまかなえてきたと思うんです。ところが、我々の分野ですと、だんだんソフトを産んでいくということになると、製造産業局という名称の局でまかなえるのかなと。ほかの皆さんの分野もどういう課が、どういう省庁の課がご担当になっているか私はわかりませんけれども、我々のファッションの分野ですと、どんどん時代が変わってきて、製造産業局というところで議論するにはちょっと無理があるのかなという気がします。
 この関係省庁の窓口を明らかにするという意味では、何かもっとコンテンツに向けた違った課もしくは局がそれぞれの関係省庁の中に1つずつ生まれてきて、それが横断的に串刺しになって、今、浜野先生がおっしゃったような受け皿として恒常的な組織体になっていくということが、何かそういう議論も一方では必要なのではないかなと私は思います。

○久保利会長 ありがとうございます。
 その点も11月の専門調査会のヒアリング等々で恐らく繊維課の方も対象になると思いますので、それも1つ考えたいというふうに思います。
 ほかにはいかがでしょうか。
 どうぞ、関本委員。

○関本委員 こういう場で申し上げるのは適切かどうかわからないんですが、NHKオンデマンドの許諾作業をやっておりまして、当初から困難だろうなという問題にぶつかっておりますが、当初は予想しなかったような問題にもぶつかっています。
 さまざま具体的にやってみるといろいろな問題が出てきて、そうすると今ネット法の話も含めて、いろいろ出ていますけれども、これをネット法で解決できるのかなとか、やはりいろいろな具体的なことをやってみてわかってきた、そういうことを生かしながら法律をつくっていくようにしないと、なかなかうまくいかないなという実感はしています。
 その絡みで言いますと、ここに書いてあることは、やはり役所の方は大変優れていて、みんなが言ったことをうまくまとめて全員のことが入っていて、非常にうまくまとめているなと思うんですが、総論としては、多分ご異論はないと思うんですね、皆さん。
 実は、総論をいくらやっても具体的には進まないので、この例がいいのかどうかわかりませんけれども、これだけの皆さんが集まっていらっしゃるので、例えば地域の活性化とかいろいろな問題が出ていますけれども、大義名分も含めて言うと、例えばの話ですが、平城遷都1300年というのが再来年ありますよね。これは省庁連絡会も立ち上がっています。それから、奈良には文化も含めて、あらゆるものがあると。観光にも関係がある。いろいろなものが関係あるわけです。そういう奈良みたいなところの1300年をある象徴的に取り上げて、特区をつくったりという方法もあるでしょうし。
 それから、いろいろ聞いていると、お金がないこともあって、奈良県は知恵が今のところあまり出てないみたいなので、そういう意味でも、ファッションとか、いろいろな人たちが、何か面白いことができないかって、知恵を出し合って、そこを発信力にして、東京中心ではなくて、奈良は京都やいろいろな背景も抱えていますから、そういうのをアジアとかにも発信していく、観光客を誘致していく、そういう具体的なプランを一度試してみると。昔から東アジア・シルクロードも含めて世界につながっていた訳ですから、奈良は。
 ネットに関して言うと、奈良はお寺さんや何かが多いですが、お寺さんは「ネットはノー」というところもあるんですね。何で「ノー」というのかはいろいろ理由があるんですが、そういうところも克服していく、つまりいろいろな課題を克服していくために、ある種の具体的なところで、ある種の実験をしてみるというのは、ちょうど2年後で、それこそ結果も出てきますから、そういうアプローチも、単に戦略とか総花的なものをつくるだけではなくて、具体的なことをやりながら今後どうしていくかということを考えるのも1つの方法かなと思いまして、ちょっと提案させていただきました。

○久保利会長 そういう具体的なお話が出てくると、大変議論が盛り上がると思うので、ありがとうございました。
 久保委員、どうぞ。

○久保委員 久保でございます。
 先ほど和田委員のほうから、コンテンツ、ブランドに関しても、今まであるもの、それからこれからつくられていくもの、2つのある種のジャンル分けができるんじゃないかというお話がありましたが、重要となってきているのは、これからつくられてくるものであろうと考えております。
 その意味では、インターネット上で発表されるコンテンツやブランドといったものが、数多く増えていくだろうと容易に想像されるわけですが、ここでポイントになるのは海賊版対策であるというふうに思っています。
 9月8日に、インターネット上の海賊版対策連絡会(第3回)を開かせていただきまして、関係省庁の皆様、在京キー局の方は全局来ていただきました。66社、126名ほどの参加をいただきまして、意見交換も大変活発に行われました。
 この会の中で交わされた意見は3つに集約されていきます。1つ目は、省庁の縦割り行政の問題です。例えば、ネット上の海賊版対策を行う場合、テレビ局から発信されたテレビ番組については、恐らく総務省さんのご担当になると思うんですが、同じコンテンツがパッケージ化されて、DVDになったものから海賊版が発生すると今度は経産省の担当になるということで、同じコンテンツでも2つの省庁にまたがってしまい、連係がやりづらいということがございます。
 本来ならば、海賊版対策実施については両方の省庁を協力してもらいたいという希望を持っているわけですが、なかなかそのようなプランもないと聞いておりますので、今後は、インターネット関係省庁の皆様のご協力をぜひともいただきたいなと思います。
 2つ目は、中国に対する問題というものを非常に重く考えていらっしゃる方が数多くいらっしゃいました。
 これは、一企業がメールで海賊版のファイルを削除してほしいと中国のサイト事業者に送っても、全く受け付けてくれなかったり、受付場所がなかったりということで、解決の糸口が見えません。
 そこでCODAさんが中国に向かってアクションをおこされているわけですが、CODAさんみたいな部署をもっと強化してもらいたいという思いがございます。現状、ジェトロさんの中の一事務所のような扱いをされていると思うんですが、今後は、確立した組織として海賊版に立ち向かう姿勢を政府としてぜひ示していただきたいという希望を持っております。
 3つ目に、今回、この10月から実証実験を開始するわけですが、10社ほどの方からご依頼を受けました。この時点で、私どもの作業量はオーバーなので、締切りにさせていただいているんですけれども、この実験の成果として、どういう形で、皆さんと共有していくのがいいのかということを継続的に考えております。
 できれば、世界に先駆けた新しい海賊版対策システムとして、標準化したいという思いもございますし、またそのシステムをベースに何か海賊版対策の機構みたいなものもつくっていただきたいというふうにも思っております。
 今回いただいた資料の中には、実際、現物として存在するブランドに関しては、数多くの施策があるように思いますけれども、やはりネット上のブランド、コンテンツに関しては、ほとんど何も書かれてないという状況でございますので、この点、ぜひとも強く進めていただければというふうに希望いたします。      私からは以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございました。
 貴重なご意見だと思います。
 どうぞ、生越委員。

○生越委員 資料1につきましては、先ほどご指摘ありましたように非常によくまとまっていると思います。
 この中で、目標の3番目にございます定量的政策目標として掲げる必要があるのではないかということなんですけれども、こういった政策の立て方もあると思うんですが、ほかの立て方としましては、この施策はいつまでにやるという時間を切るという方法もあると思います。
 今まで、知財推進計画2008、2007ができてきて、いつまでにやるというふうに明確にしてないところがややあったようなところもありまして、こういった意味で、2009の売りとしましては、こういう具体的なアクションプラン、先ほどご指摘ありましたけれども、それについてはいつから始めるということをあわせて書かれると、役所としましてもきっと予算要求とかしやすいところがあると思いますので、サポートできるのではないかなというふうに思いました。
 2点目なんですけれども、先ほど、ご指摘ありましたように、日本でも恒常的な組織が要るということは、私も同感でございまして、太田委員からもご指摘がありましたように、製造産業局繊維課で、ものではなくて情報を保護できるのかというご指摘もありました。
 農林水産省を拝見していますと、今年8月1日に生産局種苗課というところが生産局知的財産課と名前を変えて、知財の戦略の本部も取り込んだということで、こういった意味で、各省庁、知的財産に対する備えが要るんじゃないかなというふうに思われるところがあります。
 こういったところで、省庁がなるべく動きやすくなるというところもサポートするような施策になっていくといいかなというふうに思いました。
以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。
 里中委員、お願いします。

○里中委員 大体皆様のおっしゃっているように、窓口の明確化というのは、大変重要だと思います。
 感想みたいなものも含めてなんですけれども、私たち自身もいつまでに何を決めて、そしてそれが実行されるのかされないのか、行く末を見届けることができないのではないかという、何となく不安定なところに立って、なるべく短い時間で効果的なことを言ったり、したりしなくてはと思う気持ちの焦りもあると思います。
 文化行政あるいは文化国家たらんとすると、やはり長い目でものを見て取り組まなければいけない。
 ところが、聞いておりますと、この部門はどこの省のどの局でとかという既存の各省の役割の中に既にある窓口に当てはめて、後付けでいろいろなことを実行しようとしているような、そんな感じを受けるんです。
 ですから、積極的に本当に国として日本ブランド、我が国のコンテンツをどう生かし、どう守るかということを真剣に考えているのだということが形に見えるような何らかの、見せかけというと言葉は悪いんですけれども、見せ方は必要だと思います。
 そして、今後100年にわたり、日本はその文化戦略としてこういうことを考えて実行していくのだということが広くみんなに見えるような形をとることがまず大事だと思います。
 ですから、相談の窓口、どこへ持っていっていいのかがわからないということのないように、何かできないものかと思います。
 もう1点、先ほどから具体的アクションのメニューを示すとなっておりまして、資料2ですがアクション1、アクション2で、国内外で横断的イベントを開催する、国際的な大型イベントへの参加を促進するとなっているんですが、 これは物理的な大型イベントのことだと思うんですね。
 それに続いて、ネット活用の情報発信を充実する。せっかく書いているのですから、世界のどこもやっていないようなネット上の大型文化イベントみたいなものを日本が組んで、各分野が協力しあって、世界のどこからでも参加できるネット上の一大イベントというのをやってみたらどうかと思うんですよ。
 これは現実に、物理的な大イベントを催すことと費用的に比べて、そんなに高くつかないことだと思いますし、参加しやすい形にもなって、またこれに非常に魅力的な日本ですよという、素晴らしいタイトル、ネーミングで大々的に宣伝をして、その時期、日本から発信されるこういう素晴らしい最新のブランド情報が集約されたお祭りがネット上であるのだと、そんな形で毎年1回なり2年に1回なり、あるいはオリンピックイヤーでもいいんですけれども、そういうものを新しい発想でつくってみてはどうかなと思います。
 そうしますと、過去の世界のいろいろな国が成功してしまっている文化イベントと比べられることなく、また新しい発想で、日本が思いついた新しいイベントの在り方ということと同時に、我が国の文化を紹介する素晴らしい場にもなるのではないかなと思います。
 そして、ネット上でやることによって、デジタルの海賊版対策、ここで出される情報が違法コピーされることのないような技術面も含めて、さまざまなことが実験できるし、実証できるし、また活用できると思いますので、具体的にこういうこともどこの省とか、どこの窓口ということになるんでしょうけれども、そこは会長の行動力に期待いたしますので、よろしくお願いいたします。

○久保利会長 会長にげたを預けられても困るんですけれども。ただ、全くおっしゃるとおりで、このアクション1、2、3、4とありますけれども、これを分断的にやれというふうに考えているわけではありません。一応前回のご発言を整理すると、こういうふうなファクターに分かれますかと分類してみたわけです。これを後でくっつけて両方一緒にやろうよというのも貴重なアイデアだと思いますので、それも含めて、議論をしていただければというふうに思います。
 一応、今いろいろお話を聞いていますと、推進体制の話あり、アクションの話あり、目標の話ありということなので、少し議論を整理して進めるために、まず目標のところから話を始めて、目標について例えばさっきの生越委員のお話のように、そういう目標をこんなように考えたらどうか、いつまでにやるかという、そういう切り方もあるよねというふうなお話がありましたが、それと同じような目標部分についてのご意見があればまず承り、次に、アクションの中身について、今、里中委員がおっしゃったような、そういう発展的なアイデアがあればこれを承り、そして基盤整備の話を承り、推進体制に行くということで、あとちょうど1時間程度ということになりました。
 これは、今日全部やらなきゃいけないわけではないかもしれませんけれども、できるだけのご意見を集約しておきたいというふうに思いますので、なるべく簡潔におっしゃっていただきたいと思います。
 まず、目標について、こういうことはどうだというご意見をちょうだいできればと思いますけれども。
 中村委員、お願いします。

○中村委員 これは和田さんの意見に関連した部分なんですけれども、その3つ目に書いてあるブランド力について、指標をつくるとか、それから評価分析するということは、政策を遂行する上で欠くべからざるものだと考えます。
 その際に、例えば経済的な効果として市場規模などを指標にするということは考えられるんですが、もう一つは文化的な効果として、他国で日本の評判はどういうふうに推移しているかというようなことを、何らかの工夫をしてはかるという、そうしたことをいろいろな角度から定点観測していくことが重要だと考えます。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。その点について、実は前回も調査をどれくらい各国でどのように日本が見られているかという調査はあるのか、その調査の結論は、ということで今、各省庁に投げております。今、一生懸命彼らは自分の省庁でやっている調査や場合によると、財団法人とかそういうところでもやってもらっていますので、これらを取りまとめてできるだけ早い機会に委員の先生方にお示ししたいというふうに思っていますので、今、中村委員の提言、実現するように努力したいと思います。
ありがとうございました。
 ほかには、目標について。どうぞ角川委員。

○角川委員 ちょうど日曜日に、村上隆さんがサブカルチャーの、ポップカルチャーの展示会をされていまして、出展料が何万円か、数万円と言っていましたけれども、その出展料で千何百コマというのが集まって、世界から20カ国ぐらい、台湾からも10ぐらいの応募があって、それぞれのアーティストがそこで展示しているんですね。そこでもってまたビジネスをしてもいいし仕事もしてもいいという、非常に創造的なイベントをやっていました。そのときに、私が非常に感じたことは理念です。目標と理念というのは一体ですよね。日本ブランドの評価が非常に向上しているといったことが、どうして21世紀に入ってから急速に日本ブランドが評価されてきているのか、そういうことになったかという理念的分析も、実はこの専門調査会で一つほしいなと思いました。
 そこで感じましたことは、ポップカルチャーの美術の展示会なわけですけれども、ある主張があります。僕から見ると、9.11の事件という国際的な事件がやっぱり今の青年たちに影を落としていて、自分たちの生活がこのままでいいのかと。非常に自由に見えるんだけれども、実は閉塞感があって、その閉塞感に自分たちは押しつぶされていないかとか、そういう問題意識を非常に持っていると、こう感じました。
 そこである面では、1960年代のフォークソング、初期のフォークソングが持っていたような、体制に対する不安だとか、世界の政治情勢に対する不安だとか、体制に対する反発だとか、そういうものが当時のフォークソングを支えていましたけれども、今、改めて21世紀日本文化のサブカルチャーと言っているところが、必ずしもマンガだとかアニメだとかそれからファッションだとか、そういう切り方をしてしまうんではなくて、何か日本の今の若者が持っている不安感とかが、その創造に対する力になっている、モチベーションになっているところが、世界の支持を受けているんだというふうなことの総括を一回きちっとしておかないといけないと思います。なぜ日本ブランドが見直されてきているかということ、それからその評価がきちっとされないと、あるときふっと日本ブランドが消えてしまったときに、何が起こったんだろうかということになるんではないかと思います。
 ぜひ理念という点でも、この専門調査会の議論が深められればいいなと思いました。

○久保利会長 ありがとうございます。大変難しい問題で、これは一専門調査会だけで出来ることではありませんが、本当に村上隆さんの「Geisai」等々を見て、本当にそう思いますよね。そういう指摘があったということに、事務局よく注意して下さい。なぜ日本の文化がそんなに人気を集めているのかということも視野に入れて、それをこの目標の中でいうと、日本ブランド戦略の目的を明確にするという日本自身がその魅力を再認識する―それはなぜなのかということを理由をつけて認識せよと、こういうことですね。
 服部委員お願いします。

○服部委員 この資料の4、5、6と食の文化に関して載せていただいています。これはこの数年間の間に行われてきたことをまとめて載せていただいているわけなんですけれども、私、今回、来年2月、あと半年後に、東京国際フォーラムを5日間借りて搬入・搬出で実質3日間の世界料理サミットを行うんです。この休み中に世界7カ国を回りまして、来る出演者にみんなつばつけて、サインをさせてきました。ただ、連れてくるのはいいんですけれども、日本で初めての食のサミットをやるわけです。これ初の料理学会なんですね。今まで日本でやったことないものです。30年前から海外の料理人を個々に我々学校に年間に数名連れてきて講習会をしたことはありましたが、一どきに18名ぐらい連れてきて、3日間ぶっ続けで学会やるのは初のことと思います。
 ただそのときに、日本のマスコミに私、声かけまして、4月に第1回目発表しました。150人ぐらい来てくださって、その中に実質は90ぐらいの媒体だと思うんです。けれども、今まで大なり小なりいろいろなことをやっても、日本のマスコミでは絶対世界に発信してくれないですね。発信力が日本のマスコミにないですね。もちろんNHKさんがそういうのを取材に来てくれると、一部海外に流れているものがあったりはするんですけれども、では媒体ではどうでしょうか。そこで今回、EU諸国やアメリカそしてアジアの知人を通じまして、60件ほどの向こうのマスメディアを招待することにしました。実質3日間ですけれども、1週間ほど招待して、いろいろと記事を書いてくださる能力を持っているジャパンタイムズにしても、ルモンドにしても、枠を持っている人を呼ぶことにしました。
 そういったフォローを我々は民間でやらなければいけないんですけれども、お国のほうも含めて、またこの日本ブランド戦略ということになった場合には、幾ら日本の中でこちょこちょやっていても世界に発信できないということですから、こういった部分に何かこう、皆様せっかく集まったんですから、お力添えをいただけるとか、どこに申し込んだらいいのか、僕は勝手にやっていますけれども、そうではなくて、今後そういうものがつながることをぜひ何か見出していただいてほしいのです。それが一つです。
 もう一点は、せっかく知的財産戦略本部というのがあるのですから、今後、食の分野というのはもっと協力していただきたい省庁もあるし、前ちょっとお話しした私どもの留学生が日本に卒業後にとどまれないという、調理師だったらば即帰らなければいけないという問題もこの知的財産戦略本部で全部ぎゅっとまとめていただいて、横断的に省庁には協力していただかないと、日本は省庁の連絡が隅々まで浸透されていないと随分前にもお話ししましたけれども、例えば外国からも、日本はビジットジャパン運動を推進しており、ようこそジャパンと言っているにもかかわらず、日本の入り口へ来てみたら、イミギュレーションの窓口が1つとか2つしか開いていなくて受け入れる態勢がなかったじゃないかと外国人に言われてしまうのはつらいなと思っています。
 ですから、そこを知的財産戦略本部でやっていただきたいんで、今後その取り組みとしてメディアの発信の方法論と、それに日本でもっとこれを強化する、その辺に力を入れていただきたいというお願いを改めてさせていただきます。お願いします。

○久保利会長 ありがとうございます。今、服部委員のおっしゃったことは、資料1の人材関係の3番目の黒ポツのところで書いているつもりなんですけれども、したがってそれを逆にアクションのところへ入れてもいいし、人材関係あるいは基盤整備の流れで今までやられていないこととして、我々が提言するということも可能だと思いますので、ぜひそれも目玉の一つとして私も考えておりますので、具体化にご協力をお願いしたいというふうに思います。
目標については、この程度でよろしいでしょうか。
 廣瀬委員、どうぞ。

○廣瀬委員 コンテンツの世界におりますので、コンテンツの領域に関して、日ごろからこうなるといいんではないかなと感じていることを目標とできるといいと思っているんですが、コンテンツをつくりやすくて、管理しやすくて、流通されやすければ、活性化するわけですね。したがって、この3つのやりやすさを提供する環境をつくることを目標とできれば、国内だけではなくて、それを求めて海外から人が集まってくるんではないか。アメリカのシリコンバレーからどうしてああいうインターネットの新しいサービスが出てくるかと言いますと、何もあそこにいる人だけが優秀なわけではなくて、そういうものをつくり出すのに便利な環境が提供されているということが一番大きいんではないかと思います。日本人がつくっても、インド人がつくっても、中国人がつくっても、あそこから出てくるとアメリカ製のサービスになるわけですね。
 同じような視点に立てば、コンテンツに関してつくりやすくて、管理しやすくて、流通しやすい環境を、最も優れた環境を提供するということを目標にできれば、活性化できるんではないかなと思っております。

○久保利会長 なるほど。シリコンバレーの日本版のような環境をつくれということですね。それを目標にしようと。廣瀬委員は、その目標とアクションを、どんなふうにしたらそれができるかというアクションについては何かご意見ありますか。

○廣瀬委員 なるべく共通的な基盤ができればいいんですが、シリコンバレーのほうに目を向けますと、どうしてそういう活性化がされたかというと、何かそういうことに取りかかる人に対して、投資する人がいるわけですね。それでは西海岸のように、そういうベンチャーキャピタリストが日本にたくさんいるかというと、必ずしもそうではないんですね。
 そういう意味では、日本の場合は普通の金融機関がそのような機能を果たし得るようにしてやれば、おのずから環境づくり、サービスづくりに投資が行くんではないか。そういう意味では、投資分野を限定した投資優遇策を出せば、そこに投資を集中することができる。その集中された投資からそういう環境づくりが生まれる。このように思っております。

○久保利会長 ありがとうございました。
 ほかに目標の点についてはいかがでしょうか。三尾委員お願いします。

○三尾委員 目標とさらにちょっとそれに関連するアクションプランにもかかわってくるんですけれども、目標としてはいろいろなことが複数考えられると思うんですが、一番私として重要だと思いますのは、コンテンツの創造分野、つまり国内のコンテンツのつくり手、クリエーターたちに勇気を与えるというか、モチベーションを高めてあげるということではないかというふうに思います。モチベーションを高めてあげれば、それが海外に向けて発展していくということにもなるでしょうし、いいコンテンツができれば、世界的にも評判になって広がっていくというふうに考えるからです。
 そういうふうに考えますのも、実は今回この専門調査会に出る前に、資料3のほうに書いてありますように、これまでの取り組みについて、従前の専門調査会の記録を拝見させていただいて、具体的目標やそれらの成果を確認いたしました。そこで感じましたのは、個々の具体的な目標に関して、各省庁それぞれに努力をされて成果を上げられているんですけれども、クリエーター等にまで届くような大きな成果が形として見えにくいという現状があるのではないかという点です。
 そういった中で、やっぱり国内のクリエーターたちや、いろいろな関係業界の方々に対して、一種の閉塞感といいますか、将来的にあまり明確な明るさが見えない、希望が見えないというようなところが現在あるのではないかなというふうに、感じたわけなんですね。
 したがいまして、今、求められているのは、何よりも目に見える具体的な成果ではないかというふうに思います。すぐに得られる成果というのはなかなか難しいと思いますし、それができるのであればもう既に行われているとは思うんですけれども、目に見える物、例えば先ほど関本委員がおっしゃいましたように、ある一つのイベントをみんなでサポートして成功させるとか、それから関係省庁ごとに役割分担で個別に行っていたことがうまく実らなかったのであれば、統一した一つの組織をつくって、そこがすべて吸収して処理し、また国内の弱小なクリエーターや年少者のいわゆる駆け込み寺的な相談にも応じてあげるとか、バックアップしてあげるというような目に見える明確な形づくりが求められているんではないかなというふうに強く感じております。
 大きな組織を考えてしまうと、なかなか実現は難しいとは思うんですけれども、とりあえず小さなところから目に見える成果を上げていくということが、今、必要なのではないかなというふうに考える次第です。

○久保利会長 ありがとうございます。
 高橋委員お願いします。

○高橋委員 前回、ペーパーに書かせていただきまして、今回、2つ目の推進体制について反映していただきましてありがとうございます。関係省庁連絡会議とここのところをばらばらにやるのではなく、一緒にという点でございます。
 もう一点、ブランドの確立ということを書かせていただきました。きょうも複数の委員から、同様の意見が出ておられるというふうに認識していますが、やはりこれまでできている部分と、これからのものというのがあって、多分、日本人が元気が出るためには、これまでのものにはもう既にかなり着手しているので、これからのものに注目する必要があると思うんですね。その上でそのブランディング作業ではやはりどう見せたいのか、どう見られたいのか、どんな国にしたいのかというビジョンや理念の共有が私は大切だというふうに思っています。もちろん調査で、日本がどう見られているのかということは大切なんですけれども、過去の今まで2年ずつ2回回った議事録を読みますと、かなりいろいろ調査がされているので、もう私はアクションの段階に入っているというふうに感じているんですね。ですから、アクションプランに結びつけて申し上げるのであれば、例えばジャパンブランドコンクールみたいな、ジャパンブランドアワードとか何かそういう行事をやって、いろいろな人たちに日本ブランドを確立することに対して認識を持ってもらって、みんなの中から生まれたものを大切にしていく。つまり海外に発信する前に、日本人の中で大切にするものを共有するというそういう部分をぜひ入れていただきたいというふうに思っております。
 それを先ほどもどなたかがおっしゃったように、マスコミも上手に使ってPRすることで、日本の国内からもお金が呼び込めるし、海外からも呼び込めるというふうに思っているんです。私は金融のほうの仕事をしておりますけれども、本当に1,500兆円の使い道がとても問題なわけで、日本でこれから伸びる部分に、その日本の国民の個人金融資産が使われるようにならないといけませんし、そこには金融機関というよりは、ファンドとか、金融の分野でも新しい人たちがもっと出てくると思います。
 それから日本は今海外からお金を呼び込まなければいけない。こういう状況にあって、海外の政府ファンドの呼び込みなどを一生懸命やっている人もいるんですけれども、日本ブランドが魅力的なものであれば、海外から日本にお金が入ってくると思います。そして、日本の資本市場がもっと活性化すると思いますので、そういう目標を掲げて、それとアクションプランにつなげるということを提案したいと思います。

○久保利会長 ありがとうございます。これも先ほど角川委員のおっしゃった理念をつくれということ、そして日本人自身がその魅力を再認識するということ、それを確立をして国内も海外もという流れになっていくというアクションにつながると思いますけれども、基本的にはその目標、多分どなたも反対はないだろうと思いますね。
 服部委員お願いします。

○服部委員 今、ちょうどご意見をされたわけですから、それで私も先ほどからちょっとつけ加えたかったんですが、日本ブランドの小規模でもいいんですけれども、まず日本の国民に知らせるために、日本ブランドとは何かということを、博覧会等の中で、ああこういったものが日本ブランドなのかともっと知らせるべきです。例えば、アニメなんかは薄々知っている方は多いんですけれども、具体的に私は食の分野しか知りませんので、ほかの分野がこんなになっているのか、ここまで来ているのかというのが一堂に会して、ああなるほどなという、ではここできょう皆さん出ておられますけれども、自分の分野以外はどれほどブランドになっているのかご存じなのかなと―僕は知りませんが皆さんはご存じなのでしょうか。
 それと、アイデア賞というのが先ほどありましたけれども、ジャパンブランド賞を賞金までつけてやっていただきたいということがあって、これはおもしろいんではないかなということと、もう一つ、実は私も今回世界料理サミットを開くに当たって、スポンサー回りをしているわけです。これもう2年半回っているわけです。それで、説明しに行くわけです。ああ食はおもしろいねと。ですが、食の関係のしょうゆだったり、調味料をやっている企業はわかってくれて、では協力しましょうと言ってくれますが、それ以外の、例えば大手の車メーカーであるとか、食関係以外の企業にも回りましたが、食べ物のことなんてやったことないよという返事で、これらの企業が理解を示さなかったのです。
 これは僕の説明が悪いからかもしれないんですが、それが世界戦略の中でブランドとしてどのぐらい価値が高いかということを、まず企業の方々自体が日本ブランドとして意識する必要があるのではないかということを感じました。やはりこの戦略本部としては日本ブランドの意識をアプローチしていく必要があるのではないかなと感じました。

○久保利会長 ありがとうございます。まさに前回、太田委員がおっしゃった日本ファッション・ウィークの件ですよね。これに食やそれ以外のものも一緒にジョインすることによって、もっと総合的なイベントになれる。逆に今、服部委員がおっしゃっていることは料理サミットにそれ以外の今度は日本ブランドが入ってくることによって、スポンサーもふえるし、非常に大イベントになっていく。世界に対する発信力もふえる。こういうことだと思いますので、いろいろな分野でいろいろなことが行われていながら、実は省庁の壁ということもあり、業界ということもあり、余りそれが発展していないということだと思うんで、私としてはぜひこの専門調査会からその枠を取っ払って発信したいと、こう理解をして、先ほど会長発言ということになったわけであります。皆さん方がよくそう理解していただいているということがよくわかりました。
 では目標はもうよろしいでしょうか。次のアクションというところで、これも決して個別的にこの資料2に書いてあるような、具体的なアクション1がどうで2がどうでということを確定するつもりはないのですけれども、具体的にどんなメニューをつくって、どんな取り組みを行って、今皆さんがおっしゃったような目標を達成するのか。そのためのアクションとして幾つか既にもう例示が出ていますけれども、これについてご提案をちょうだいできればというふうに思います。
 太田委員お願いします。

○太田委員 先ほど浜野先生が、極東なんで遠いということをおっしゃいました。それから服部先生が、日本で90社ぐらいのメディアが来てもなかなか世界に対して発信力がないとおっしゃいました。本当にそのとおりだと思います。我々も実はジャパンファッション・ウィークをやっていて、世界に一生懸命発信する。なかなか世界で活字にならなかった。実は、今回9月の頭に、第7回のジャパンファッション・ウィークをやりました。一個だけ前進がありました。世界中のバイヤーたちが読んでいる業界の専門誌、アメリカの『WWD紙』がございます。通常、ここに大きく載ると、バイヤーがふえるわけですよね。何とかここにちゃんと書いてもらえないかと思って、一生懸命運動をしまして、今回、初めて一面から「Young Designers See Tough Times as Japan Fashion Week Looms」と書かれて、ジャパンファッション・ウィークのことが一面の中で写真で取り上げられ、続けて開催中に大きな記事がやっと出ました。初めてです。
 そのために、何をやったかというと実は8月にニューヨークの新しくできたファッションの非常におもしろいセレクトショップで、このジャパンファッション・ウィークには若い日本のデザイナーがいっぱい出ているよということを、ニューヨークでプロモーションしたんです。このアクションの中に、「日本ブランドの一層の訴求が必要なのではないか」と書いてありますけれども、やっぱりまず僕はどこで発信するのかということも、具体的に考えるべきではないかなと思うんですね。先ほど里中委員のほうから、ネット上で大イベントをやってはどうだろうと、これも大事なことだと思います。
 もう一つは、やっていることをもっと世界に伝えるために日本で幾ら記者会見しても、なかなか伝わらないと思います。我々も一生懸命やっているんですけれども、なかなか伝わりません。基本的ターゲットを決めて、とにかくこのメディアを落とせと、このメディアにちゃんと取材してもらえというのを一生懸命やってまいりました。ファッションのメッカはパリですけれども、活字も含めて、情報が世界に伝わるという点では圧倒的にニューヨークです。だからパリをパスしてニューヨークでとにかくアクションを起こそうということで一生懸命やっていまして、来年2月に今度はニューヨークの中で、日本の若いデザイナーを持っていって、日本の関係のあるいろいろなお店と組んで、連結して、何かジャパンウィークみたいなものをやってみようよという準備をJETROの皆さんとやっています。せっかくいいコンテンツがありながら、日本でいいよ、いいよと言っても、なかなか伝わらないし、ファーイーストですし、日本語ですから、やっぱり英語でその情報のど真ん中で爆発させるということが、どの分野でも必要ではないでしょうか。
 だから、僕はこのアクションの中でやはりせっかくのコンテンツをどこで発信するか、日本発も一方で大事ですけれども、もう一方で、拠点を日本以外でやるならここだというのを、一つ決めてがつんといったほうがいいんではないかなというふうに思います。

○久保利会長 ありがとうございます。
 村上委員お願いします。

○村上委員 今の太田委員のお話に全くつながるんですけれども、私、テレビ番組ということに関して、非常に現場的なお話しさせていただきますけれども、前回ご報告しましたように、今、非常に日本のテレビ番組がフォーマットセールスですとか、それからドラマ、特にアイデア企画みたいなものが海外で非常に売れ出したということがあるわけです。その中で今、我々が一番強化をしなければならないこと、課題としてせり上がっているのが、情報の発信です。つまり、どういうソフトがあって、それを海外でどのようにアピールするかという、そういうものをきちっと発信しなければならない。
 今、一番効率がいいのが、我々からすると海外のマーケットです。そこできちっと物を見せて、あるいはクリエーターも一緒に行って、そこでセールスしていくということが、非常に効率がいいわけです。このアクションプランの中で、たまたま具体的にネットの発信、あるいは国際放送による情報発信みたいなことが書かれていますけれども、今、太田委員がおっしゃったように、海外でのマーケットみたいなものをどう使っていくか、あるいは今おっしゃられたようなメディアをどう使うかというようなことを含めて、海外での情報発信、日本のソフトについての情報発信みたいなことを、もうちょっと積極的にこのアクションプランの中に書き上げておかれたほうがいいんではないかなという気が一つしました。
 それからもう一つは、なぜそれでは今、日本の番組が海外に売れ出したかというと、正直、海外で非常にアイデアが枯渇し出しているわけですね。アメリカもヨーロッパも。これ、映画もそうなんですけれども、企画を日本に非常に求めてくる。ムードが出てきたと。今、そこを絶対利用すべきだと思います。そういう意味では、我々のそういう取り組みに対して、ある種のインセンティブがほしいと。先ほどからモチベーションというお話し出ていますけれども、それを促すような、ある種の何かアイデアがもらえないものかなと。一番わかりやすく言うと、海外セールスについて、税務的な何かインセンティブがあるとか、それは今が一番、旬のところだと思っておりますので、時限立法でも何でもいいんですけれども、この流れを実際の努力は、推進体制に書かれているように、当然民間主導でやればいいことなんですけれども、むしろ国のほうでそういう裏の後方支援みたいなことを、もうちょっと積極的に、何か具体案として考えていただけたら非常にいいんではないかなというふうに今思っております。
 以上です。

○久保利会長 逆に具体的にはどんなことをしてほしいんですか、お尋ねします。税制の問題も一つあるでしょうけれども。

○村上委員 そうですね、一番やっぱりありがたいのはお金の面だと思うので、財務的な部分も含めて、何かそういうアイデアが我々のほうからもちょっと出すべきだと思いますけれども、ぜひ一考していただければと思っております。

○久保利会長 わかりました。こういう問題について、村上委員以上に詳しい人はいらっしゃらないので、ぜひ村上委員が具体的にこういうことを我々としては希望する―これが非常に効果的だというのを、ぜひこの委員会でもご発言いただきたいと思いますので、次回までにどうぞご準備をお願いしていただきたいと思います。
 要するに、実は日本で一番最前線で現場をよく知り、かつアクティブに動いているメンバーが、この専門調査会のメンバーだというふうに理解をしています。したがって、調査会にお願いしますとか、戦略本部にお願いしますというときには、これをこうやるとこういう効果があるからこれをやれというふうに、ぜひご提言をいただいて、それをまとめてぶつけていくというのでないと、事務局もすべてがわかっているわけではありませんので、ぜひそのあたり、リアリティーのある具体的なご提言をお願いしたいというふうに、会長として思っています。
 角川委員お願いします。

○角川委員 先ほどから日本様式について、こういうイベントがあったほうがいいんではないかという話が出ておりますけれども、経産省で新日本様式というイベントを毎年やっております。それが皆さんご存じないことがちょっと先ほど省庁の問題で、ちょっと寂しいなと。知財にも経産省出身の方もいらっしゃって、ちょっと残念だなと思うんですけれども、非常に成功している部分と、それから本当におっしゃるとおり、もうちょっと広報がしっかりしないといけないなと思うものと、両方あると思います。特に、今年で確か3年目に入って、新日本様式続けるかどうかというところがあると思いますので、それを継続していくべきかどうかというのも、一つこの具体的アクションの中で検討してもいいことではないかと思います。
 それから今、村上委員からお話が出ています海外に日本のテレビコンテンツが売れている。テレビやドラマとか、それからバラエティー番組のつくり方などが売れているということですけれども、去年のティフコムで、テレビ会社の皆さんから非常に反応があったということを聞いておりまして、今年もまたそれが非常に活性化しているという話を、きょうは重延委員が来ていらっしゃいませんけれども、聞いております。
 また、私が前回出しました資料の3ページ目に載っておりますけれども、国際COOL JAPAN コンベンションをしようというお話を申し上げたと思います。そのときにはまだコフェスタの中でやるかどうかということについて、まだ未確定だったんですけれども、まだ決定ではありませんが、第3回のコフェスタの中で、京都でこのCOOL JAPAN コンベンションをやったらどうかということで、少しずつ動き出してきております。このコフェスタにおいては、東京国際映画祭や、秋葉原エンターテインメントマーケットというイベントがありまして、この会期が終わった後に京都に連れていって、このCOOL JAPAN コンベンションをやったらどうかという、そういうつながりになっております。これも先ほどの世界とのネットワークという話では、全米最大のコミックコンベンション、サンディエゴ・コミックコンベンション・インターナショナル、それからフランスのパリで行われておりますジャパンエキスポ、それから台湾、香港で行われておりますコミックコンベンションみたいなものと、ネットワークでつなげていこうとしております。先ほど浜野委員からおっしゃっていただいたつながりも、ここで実現する方向になりましたので、できるだけ皆さんのご支援をいただきたいなと思っております。

○久保利会長 ありがとうございます。
高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 先ほどの意見とも少しつながるんですけれども、いろいろなところでいろいろな部門が支援してほしいというふうにおっしゃっていると思います。それが特に資金的な支援、あるいは税金だということなんですけれども、国、つまり各省庁が支援するにしても、それが日本ブランドなんだということで、みんなのコンセンサスがないと、なぜあそこの分野だけそういうお金が動くのかということになるのは、私は非常にまずいと思っているんです。番組販売も結構なんですけれども、番組販売にも異論があって、そのフレームワークだけ、クイズだとか、バラエティーの枠が売れていると思うんですが、それを日本ブランドですと言っていいというコンセンサスが、日本の中にあるのかどうか。そういうことも含めて人的支援とか、資金の支援を考えていかなければいけないと思うんですね。ですから、これぞ日本ブランドなんだというコンセンサスが必要なので、さっき申し上げたように、日本ブランドコンテストとか、アワードとか、何か催しをやって、みんなが認めていくということが一つ必要だと思っています。
 それと売り方が下手だというのは、やはりIRとか広報に匹敵する部門が、日本で外務省なのかどうか私はよく存じ上げませんけれども、そういうブランドの売り方、PR、IRがすごく下手だというふうに思うんですね。会長がおっしゃったように、この会議が一番進んでいるところなのであれば、ここにいらっしゃるクリエーターの方とか、マーケティングをやっていらっしゃる方とかが、まさに日本ブランドの売り方の戦略というのをきちんと立てないといけない。いい物ありますよ、だけではなかなか資金も呼び込めないし、支援も得られないということになると思います。何かそういう知恵をぜひ絞っていきたいと思います。

○久保利会長 そこで久保委員お願いします。

○久保委員 2点ほどお話ししたいと思います。1点はアクションを起こす、目標にも関係しますけれども、要は天才を3名ほど育て上げれば、多分業界かなり大きくがらっと変わるんではないかなと思います。例えばアニメでは宮崎駿さんがいらっしゃいますし、もちろん村上隆さんもいらっしゃるわけですけれども、そういうように海外で著名なアーティスト、クリエーターを宮崎さん、村上さんレベルであと3人いるだけで、多分日本は非常に過ごしていく上では楽しい国に変わっていくんではないかなと。ということで言えば、いかに天才をうまく育てていくのかということについて、やはりアクションプランがあるといいと思いますし、またそれは各国それぞれさまざまな活動をしていますので、うまく成功されているものを引用してくるという手もあると思います。
 それともう一点は、角川委員からもお話もありましたが、やっぱり海外の主要な大きなイベントとの連携というのは重要だと思いますが、海外のイベントは大体BtoCなんですね。日本はやはり関係省庁が絡んでくると、どうしてもBtoB主体でなければいかんという、そういうような暗黙の了解があったりするわけですけれども、日本はBtoBで、海外はBtoCだというのであれば、どうネットワークをしようにも、どうお客を呼ぼうにも、全く接点がかみ合わないということなんだと思います。それについては、やはりBtoCのイベントをどう盛り上げて、各国との連携をとって、まず日本に来てもらうというようなところをゴールに置いて考えていく必要があるんではないかなと。また、そういうBtoCの中にはクリエーターがまじっていますので、優秀な人たちが日本で過ごしたいと思って、彼らが日本で芸術活動を始めれば、またそれも日本の大きな活力になっていくわけですから、BtoCのイベントをどれだけ大きく盛り上げていくということをぜひともご検討いただければなと思います。
 多分、その中で一番いい例は、東京アニメフェアという東京都がバックアップしているイベントが今年で約7、8年たちますけれども、年々規模が増加し、出展者がふえ、そして海外の来場者がふえています。それはビジネスマンもクリエーターも合わせてふえていっているわけですが、東京都にできて、中央省庁にできないというのもおかしいなとも思いますし、もちろんここに至るまで順風満帆で来たわけではございませんが、中でいろいろお手伝いしていった感想としては、東京都と中央省庁では、やはり随分システムが違うんだなと。東京都にはできて、ほかの省庁ではできないということはいっぱいあるんだなということを、身をもってわかりましたけれども、そういうものを越えていかないと多分そういうイベント、それからネットワークというものができないんではないかなと思いますので、ぜひともそのあたりは同じ行政である東京都に学ぶというような姿勢も、ぜひ見せていただければなと思っております。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。
中村委員お願いします。

○中村委員 アクションの中身と推進体制と両方の話なんですけれども、このアクションのメニューを眺めていまして、何をやるのかと同時に、それを誰がやるのかなということを考えていました。産官学といった場合の、産がやることとか、官がやることは結構ありそうですが、学というのは学として何やるのかなということをさっきから考えておりました。先ほど廣瀬さんからも、シリコンバレーの話が出てきましたけれども、シリコンバレーの母体といいますか、中核のところにスタンフォード大学があったような、そういった日本の学の役割は何だろうかなということを考えていました。
 そういう意味で言いますと、先ほどから行政としての総合的な組織が必要だという意見がありますけれども、一方でこういった分野の評価分析をするとか、情報収集をするとか、あるいは調査研究を進めるとか、人材を育てるといった母体としてのそのポップカルチャーやブランド力に関する世界的な研究教育機関、あるいはそれらのコミュニティーといったものを整備していくというのも一つのテーマになり得るかなと考えた次第です。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。
和田委員お願いします。

○和田委員 目標、アクション、基盤整備、推進体制、これ順番にというお話なんですけれども、それぞれの定義があると思うんですが、基盤整備というのはすごくやっぱり重要だと思います。つくりたいと思う人がいて、ものがキチンとつくられて、ちゃんと稼げて、またつくってと、いかに循環していくかということだと思いますので、基盤整備、そこで言うところの、今まで私が土壌だとか文化だとか言った意味なんですけれども、これが一番重要です。そういう意味で基盤という単語を使っているんだとしたら、この資料2の側面的支援としてということではないと思います。本当はこれ自体が目標かもしれませんし、あるいは目標として書いてあることを達成するためにやらなければいけないことは、この基盤整備かもしれません。そのためには例えば今おっしゃった産官学のコミュニティーがどう形成されるかということがあるかもしれませんし、天才が育つ風土をどうやってつくるか、社会的にどう認知させるかということかもしれませんし、あるいは資金的な循環がよくできれば人材が集まってくるかもしれませんし、あらゆる意味での非常に生きたコミュニティーができるかどうかというところ。そのために、例えば知的財産についての制度上の手当もしなければいけないかもしれませんし。
 いずれにしても、その基盤整備をするということが非常に重要だと思います。
 それが一つと、もう一つは基盤整備ということになると、一企業の活動ではカバーできないんです。現状の経済環境とか事業環境というのを前提として企業というのは事業を組み立てますので、それが変化してくるということであれば、いかによそより早く変化して適応するかということになりますから、環境整備に対して直接影響を与えるインセンティブは個別企業にはありません。ですから、どうしても基盤整備ということになると、その産官学のバランスがものすごく重要だと思うんですね。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。今の和田委員のお話ですが、少なくとも私が事務局と相談をして、この基盤整備と言ったのは、いわば目標を達成するための支援方策というふうなことで、例えば金であるとか、例えば法制度、あるいは人材育成環境という個別企業ができないことで、国ができること、あるいはやらなければいけないことというのは何だろうかということで書いたために、資料2ではいわば側面的というふうな言い方になっています。むしろ、今、和田委員がおっしゃったようなことは、目標ないしはもうアクションそのものというふうに理解をしていますけれども、そういう点ではしかし基盤というのは土壌であり文化である。まさに、その土壌、文化をよくする、つくるということが、日本ブランド戦略の中心であると言われると、トートロジーになってしまうわけですけれども、そのためのアクションは何だろうかというと、具体的に何をしていくかということを一応アクション、それから推進体制というのは、これはむしろ官の側で支援をするための組織のあり方というふうに考えたと。したがって、先ほど服部委員がおっしゃったように、この外国人留学生の受け入れ云々という話は、これは側面的支援ではなくて、場合によるとアクションそのもの、目標そのものになるかもしれません。これは別に格上げとか格下げとかいう問題ではなくて、切り口、要するに国を動かすという点でどうもこれは民間ではできないという点で、基盤整備のほうに入っていたんですけれども、しかしそれは国を変えるという点でいうと、むしろ具体的アクションとしてそれを求めるということになるかもしれない。そんなようなものがこの中には幾つかまじっているということだと思うんです。
 したがって、和田委員のおっしゃるような、土壌だ、文化だという、それが基盤であることは全くそのとおりだと私も思います。それをどう実現するかということを含めてアクションというところに入れてもいいのかなというふうに思います。
 さて、あと10分程度でございます。どのテーマでも結構です。関本委員お願いします。

○関本委員 当初出ていましたGDP5兆円を上げるという話に関して、ちょっと僕疑問があって、例えばこの間カンヌに行ったときに、CNNが出てくるのが15チャンネルめで、それまで全部フランスのテレビ局なんですね。NHKの国際放送をずっと探したんですけれども、全然出てこないんで見られなかったんですが、多分国際放送をやっても、フランスとかアメリカなんかへ行くと100チャンネルとか何とかのレベルで、英語でやったにしてもそんなに訴求力が当面はないだろうと思います。
 だから本当はアンテン2が放送してくれる、NHKで言えばNHKの総合でBBCのものを放送するとものすごいやっぱりインパクトがあるわけですね。その国のメーンのチャンネルで取り上げてもらうにはどうしたらいいかというふうに考えると、国際共同制作みたいなやつが一番可能性があるかなと、こういうふうに考えるわけですね。ところが国際共同制作というのは、輸出入統計でいうと、日本が主体でフランスからお金もらってやると、それは入ってきますけれども、実際上、フランスで放送してもらう、アメリカで放送してもらうというようなことになると、相当向こうが主体になりますから、多分アメリカに預金口座を置くとか、どこかに預金口座を置いてやるので、輸出統計には入ってこないんだと思うんですね。それを進めれば進めるほど、実は5兆円にはもう全然達しないという矛盾があって、その辺は何かその統計の取り方等、何らかの方策はないのかなと。
 そこの方策がないと、国際共同制作のやり方って余りうまくいかないかなという気がしていて、そうすると販売ということになるんですが、さっきの高橋さんの話とちょっと関係するんですけれども、「ハゲタカ」というのはイタリア賞をとって、テレビ界では世界ナンバーワンの賞をとった。全然売れないんですよ、世界中で。全く売れません。アメリカやヨーロッパ、特にアメリカなんかがそうですけれども、アジア人主役のドラマなんか売れないです。だからそういう意味ではさっきのフォーマット販売とかそういうことになるので、それはもうしようがないんですよ、アメリカ人はそういうのしか買わないんですから。黒澤さんの時代から「七人の侍」だってみんな「荒野の七人」に焼き直したわけですよね。そういうことを無視して、おっしゃることはわかるんですが、理念、理念と言っていると絶対売れないですよ、こんなものは。
 そういうことも含めて、最初に申し上げた5兆円のことも含めて言うと、制度の問題とか、それからコンテンツ販売のことについても、とりあえずはとにかく売っていくというところから始めないと、とにかく親しみを持ってもらう。大リーグがまさにそうで、僕は20年前に衛星をやっていましたけれども、放送権料は1億円行かなかったと聞いてます。年間全試合で。そこから人気が出てくるまで高めていくわけですよ。高めていって、日本選手が行ったところでどんと上げてくるという、そういう商売の方法で彼らはコンテンツを広げてきているわけですから、やっぱり何でもいいからとにかく親しみを持ってもらうというところから始めるしかないんではないかなというふうに、私は個人的には思います。

○久保利会長 高橋委員お願いします。

○高橋委員 すみません、反論になってしまうんですが、関本委員や村上委員とは情報通信のほうの会議でコンテンツ振興頑張ってくださいねと言っている立場なんですけれども、片やこの日本ブランドのところで、これが日本ブランドですから応援してくださいと言われると、まだそこの領域になっていなくて、とりあえず何からかやるから、このコンテンツ・日本ブランド専門調査会に後押しを頼むことに関して、私は非常に疑問に思っているんですね。やはり日本の国内で競争が働いて、そこで日本ブランドだとみんなが認めた物に対して、資金を後方支援していくのが筋だと思いますので、だから私は理念が大事だと思っているので、理念なしでやるんであれば別に個々の企業でそれぞれの省庁にいろいろ要求してくださいで終わってしまうような気がするんですけれども、違いますでしょうか。

○久保利会長 関本委員どうぞ。

○関本委員 公的資金の応援がそういうものに対してはいらないという話であれば、ある程度理解ができるんですが、ただテレビ局の場合、一つ考えなければいけないのは、NHKみたいなところがやる場合と違って、プロダクションさんがやる場合は、やっぱり英語版をつけるとかの支援が必要なのではないかと。この間、日本のドラマで輸出できそうなやつを表彰するということをドラマフェスタでやりました。あのときにちょっと不思議に思ったんですが、輸出できるかどうかなんていうのは、英語版をつくって、海外の人に審査員をしてもらって、これだったらおれたち買うよとか、これだったらおれのところおもしろいと思うよと。そこで新聞記者とかも入っていて、その新聞記者が各国で書いてくれるというようなやり方が普通なのに、実際は日本人が選んでこれ海外で売れるよねといってやっている賞って不思議な賞だなと僕なんかは思っていたんですが、その辺は変えたほうがいいんではないかという気はします。そうすると最低限、英語版が必要で、プロダクション制作なんかの場合の支援は公的支援でもしたほうがいいんではないかという気がしますけれども。

○久保利会長 なるほど。
浜野委員が挙手しておられます。

○浜野委員 国際的な日本ブランドとして柔道がありますが、今、国際柔道連盟の本部は韓国にあって、選挙で選ばれた日本人の理事は一人もいなくて、会長指名の日本人の理事が1人いるだけです。柔道が世界中に広まったということはすばらしいことだと思いますが、柔道関係者が日本に足を運ぶということが大切なのに、どうしてそうなったのか。文化としての柔道を捨てたから世界に普及したのかもしれませんが、文化としての柔道ということも、スポーツとしての柔道と同じくらい重要だと思います。ことを考えれば、里中先生がずっと努力して、日本の漫画家の先生方が主体的にマンガサミットをやられています。日本ブランドと言うならば、もっと主体的な活動を行う必要があるのではないでしょうか。
 例えば食の分野でも、外国の方に日本の一流の料理人を紹介するときに大変困ります。「現代の名工」という称号がありますが、簡単に説明できない。でも日本にもフランス料理のロブションとかすぐ名前が出てくる。日本料理の名人を海外に出すときに、後押しできるどのような称号があるのでしょうか。海外を視野に入れた戦略を持たないと、あらゆるレベルで現場の人たちが被害を被ることになると思っています。

○服部委員 すみません、時間ないと思いますが、今のお話しありましたけれども、「料理の鉄人」、フジテレビさんのおかげで8年前までやっていまして、今、海外でアメリカでは毎週50州でやっています。オーストラリアでも2年前からやっています。そして、タイでもです。最近は台湾に買われました。我々出演者は今でも呼ばれます。アメリカ、オーストラリア、タイに。あの「料理の鉄人」の番組に出た人間をいまだに世界はスーパースターとして扱ってくれています。ですから、まずは「料理の鉄人」のような海外でも評価を得るような番組づくりが必要だと思います。日本のイメージアップのためにも、必要な日本ブランドではないでしょうか。そして、海外の料理界では、フランスにはロブションがいたり、ピエール・ガニエールなどいろいろなスーパースターがいるんです。そこで日本は、マスメディアでできることならば、また「料理の鉄人」のような番組をつくってほしいと思います。どうもこのごろどこのチャンネル回しても、お笑いの人しか出てこない番組ばかりなので、ぜひそういうものをブランドに切りかえていくような委員会につなげていっていただきたいなと、お願いします。

○久保利会長 中山委員がまだ一言も発言しておられないので、どうぞ。

○中山委員 戦略本部の中の専門調査会では、この調査会が一番法的な問題が少ないかと思うので、法律家である私の出番は少いのですが、お話し伺っていまして、いろいろ官に対して要求が強いと思われます。しかし考えたら、今は官の台所はもう火の車ですし、何か問題が起きるたびに増員要求やっている状況ですが、官は全体としては人員削減しなければいかんというときに、浜野委員のおっしゃるようなアカデミーをつくるのも結構なんだけれども、余り現実性はないという気はするんです。
 しょせん、ブランドというのは、先ほどソニーの方からお話しありましたけれども、自分でつくって自分で守っていかなければしようがないのですね。これは産業もそうですけれども、官が手取り足取りしている産業と、放置している産業、あるいはむしろ官ににらまれている宅配便のような産業のほうが発展するわけですね。したがって、個々のクリエーターとか、あるいは企業、あるいはファッションデザイナー等々の力は小さいかもしれないけれども、大同団結すればかなり大きな力が出るはずです。我々がこうするんだという、それがブランドでは一番大事だけれども、どうも全体のトーンとして官にやってほしいという意見が強いようです。やはり自助努力以外にブランドを守り育てる方法はないんだという、それが一番大事ではないかと思っております。

○久保利会長 ありがとうございます。きょうで終わるわけではありませんので、また10月に行いますけれども、きょう出されたご意見につきましては事務局において整理し、今後の戦略の策定に適切に反映してまいりたいと考えております。
 いずれにしても、きょうは大変活発なご意見をいただきました。これは本来あるべき姿であるというふうに思っていますので、さらに論争をやりたいと思っています。大体、イメージが共有化できたかどうかは別ですが、争点といいますか、論点はかなりはっきりしてきたというふうに思います。次回、さらに具体的な内容についてご検討いただきたいと存じます。
 なお、またその後で、11月に関係省庁及び機関に対してヒアリングを実施して検討してまいります。
 そういうことで、若干、予定の時間を過ぎましたけれども、きょうの会合はこれで閉会したいと思います。
 本日はご多忙のところまことにありがとうございました。