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デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会(第9回)
議事録

  1. 日時:平成20年10月29日(水)10:30〜12:00
  2. 場所:知的財産戦略推進事務局内会議室
  3. 出席者
    【委員】 中山会長、上野委員、大谷委員、大渕委員、音委員、上山委員、
    北山委員、東倉委員、苗村委員、宮川委員
    【事務局】 素川事務局長、内山次長、関次長、小川参事官、大路参事官
  4. 議事:
    • デジタル・ネット時代における知財制度の在り方について

○中山会長 それでは、時間でございますので、ただいまから第9回デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会を開催いたします。
 本日は、御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、これまでの議論を踏まえまして、本調査会の検討結果の取りまとめとしての報告案についての議論をちょうだいしたいと思います。
 まず、事務局から説明をお願いいたします。

○関事務局次長 それでは、資料1、報告案について御説明させていただきたいと思います。
 1ページめくっていただきますと目次がございますけれども、ローマ数字で書いた3つの点、コンテンツの流通促進方策、それから権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定の導入)、Vといたしましてネット上に流通する違法コンテンツへの対策の強化という3本の柱で5月以降御議論いただいてきたわけでございます。
 それぞれにつきまして、TとUにつきましては前回、それからVにつきましては前々回のこの会議で資料を提出させていただきましたけれども、その資料におきましてはそれぞれの項目ごとに問題の所在、それから現行制度、現状、それから国際的な動向という形でお示しをしてございました。本日のこの報告案につきましては、その骨格に加えまして、検討結果という形でそれぞれの項目の最後に付記してございます。この検討結果につきましては従来先生方からいただきました御意見あるいはヒアリングの際に御発言をいただきました内容、そういったものを踏まえまして事務局のほうで整理したものでございます。
 それからまた、報告書でございますので、冒頭に「はじめに」というのを1ページ付け加えてございます。したがいまして、本日はその付け加えた部分を中心といたしまして御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、1ページ目の「はじめに」というところでございますけれども、ここはこの調査会として議論していただきました背景でございますとか、あるいは検討の経緯ということについてまとめをさせていただいた部分でございます。
 上から見ていただきますと、一番最初の段落、大きな意味での要請でございますけれども、世界最高水準と言われる情報通信環境をいかして、新たなネットビジネスの発展や技術開発を促すとともに、クリエーターの創作インセンティブを高めるための基盤を確立することが不可欠となっているということを冒頭にうたってございます。
 それから、第2段落として取組について抽象的に書いてございます。
それから、第3段落でデジタル・ネット社会における要請といたしまして、誰もが安価で簡単に作成・発信ができる、そして多様な文化的活動の相互作用が飛躍的に高まっていると。こういった中でこうした相互作用を円滑に進めて、新たな文化創造が生まれる環境を整理する観点から、権利の範囲やその行使の在り方について、権利者の権利保護と利用の円滑化のバランスのとれた考察が必要である。
 こういった認識の下にこの専門調査会で御検討いただいたということでございまして、以下は5月に取りまとめていただいた検討経過報告、それから今回まとめていただく3つの項目、それについての検討の経緯を書いたものでございます。
 それから、2ページからがその3本柱の1点目、コンテンツの流通促進方策でございます。冒頭申しましたように、1から4までは既に御覧いただいているものでございますので基本的に省略をさせていただきたいと思いますが、1点だけ1から4までの中で付け加えた部分がございますので、そこをコメントさせていただきたいと思います。
 場所といたしましては5ページの下でございますけれども、現状の中の丸4といたしまして、ユーザー・コンテンツというものを付け加えてございます。ここは一般人によるネット上での新しい創作形態への対応ということで御議論いただいた経緯がございましたので、それにつきましての現状ということを書いたものでございます。これにつきましては、次のページ、6ページ目の上でございますけれども、ユーザー・コンテンツについて権利者からの許諾が得られやすい環境を整備する取組が一層進展することが期待されるのではないだろうかという形でここに1つ追加で書かせていただきました。
 それから、全体の検討結果でございますけれども、7ページの5でございます。これを順次見ていただきたいと思いますけれども。一番上の第1段落5行でございますけれども、総論的な要請について書かせていただいております。
 それからその次の5行、一般論としてというところでございますけれども、コンテンツにつきましては、市場の需要と供給のバランスによって合意が成立すれば流通すると。しかしながら、我が国の場合、特に放送番組につきましては契約慣行が浸透していないために、権利処理コストが増大し、これが新しいメディアの出現に対応したコンテンツ流通を阻害する一因となっている、こういうふうに考えられるのではないか。
 それから、その次の第3段落5行は、NHKのネット配信事業の事例、こういったものを引用して問題点について書いてございます。徐々に改善してはいるものの、いまだに契約ルールが存在していない分野がある。あるいは集中管理に属さない権利者、あるいはネット利用に消極的な権利者などもいるということで、十分活用できる状況には至っていないのではないか。
 その次の段落でございますけれども、結論の部分でございまして、このため、まずは契約による権利処理を一層促進するための取組を早急に進めることが必要ではないかということでございます。そのための具体策といたしましては、集中管理が進んでいない分野において権利者団体等が主導して権利の集中管理を進めること。あるいは関係省庁の支援の下、ネット上の利用に関する契約ルールが確立されていない分野においては、コンテンツの特性に応じた標準的な許諾条件を契約ルールとして定めること、こういったことによりまして契約による権利処理を一層促進する、そのための取組を早急に進めることが必要ではないか。加えまして、放送事業者に対しては政策段階においてその後の利用を含めた契約を行うよう自主的な努力を促すべきである、こういうことでございます。
 それから、その次の段落でございますけれども、この会議での議論あるいは関係者でのヒアリングにおきましては、こういった契約を促進するという観点、あるいは契約による取組だけでは対応できない問題を解決するという観点から幾つかの御意見があったところでございます。その御意見につきましてはこのページの下、7ページから8ページにかけまして4つ書いてございますけれども、コンテンツホルダーの権利情報の整備、所在不明の権利者への対応、少数反対者への対応、コンテンツホルダーへの権利の集約化、こういった御意見があったわけでございます。これはいずれも契約による取組を補うための何らかの法的対応が必要であるという観点からの御意見であろうかと存じますけれども、そういった御意見があったということを踏まえまして、契約促進の取組による権利処理の進捗状況等を踏まえ、適宜法的対応の検討を進めることが必要ではないかというふうに書かせていただいております。
 その際の検討に当たりましては、当該措置の有効性あるいは当該措置の妥当性、こういった点について十分検討するとともに、国際条約との適合性を担保することが必要であると。
 なお、最後の3行でございますけれども、出された意見のうち、2番目のもの、所在不明の権利者への対応ということにつきましては、既に知財計画の中で実施されてございまして、文化庁において検討を進めているということを付記させていただいております。
 以上が流通促進の部分でございます。
 続きまして、9ページから2番目の項目、権利制限の一般規定(日本版フェアユース)の導入ということでございます。
 これにつきましても最後の検討結果のところを御説明させていただきたいと思います。11ページの下からでございます。
まず、最初の段落でございますけれども、現行著作権法で権利制限は個別列記という形になってございます。しかしながら、近年の技術革新のスピードや変化の速い社会状況を考えれば、個別の限定列挙方式のみでは適切に実態を反映することは難しく、著作権法に定める枠組みが社会の著作物の利用実態やニーズと離れたものとなってしまうという懸念があると。
 続きまして、「例えば」という段落でございますけれども、情報通信技術を活用した新しい産業の創出、こういった観点からいたしますと、現在の個別の列記という方式によりますれば、それが想定していない新規分野への技術開発や事業活動について萎縮効果を及ぼしているという問題があると。この点につきまして一般規定を導入すればそれはルールを事後に決するというものでございますので、創造的な事業への挑戦を促進することになるのではないだろうかということが御意見としてあったわけでございます。
 それからもう1つの観点でございますけれども、ネット上の写真・動画への写り込みやウェブページの印刷、こういった行為につきましては現行の著作権法を適用しますと形式的には違法になるわけでございますけれども、権利者の利益を実質的に害しているとは考えられず、また社会通念上も違法とすべきとは考えられないのではないかということでございます。
 他方、この調査会でのヒアリングにおきましては、権利者からは一般規定の導入によって違法な利用行為が蔓延するのではないか、あるいは司法の判断によってしか解決できないこととなる結果、権利者にさらなる不安を強いることになるのではないかという御意見もあったところでございます。
 こういったことを踏まえましての結論でございますけれども、以上のことから個別の限定列挙方式による権利制限規定に加え、権利者の利益を不当に害しないと認められる一定の範囲内で公正な利用を包括的に許容し得る権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)を導入することが適当であると。「ただし」といたしまして、4点付記をしてございますけれども、一般規定の導入に当たって規定振りを検討する際の留意点ということでございます。1点目が、こういった制度は日本人の法意識等に照らしてリスクを内包するということでございますので余り活用されないのではないかという点。それから2つ目といたしまして、経済的効果について、過大な期待をかけるべきではないのではないかという点。それから3つ目といたしまして、こういった一般規定の導入によりまして、結果として違法行為が増加するということが懸念され、訴訟コストの増加も含め、権利者の負担が増加するのではないかという点。それから4つ目といたしまして、法体系全体との関係や諸外国の法制との間でバランスを欠くことはないかという4点を示させていただいております。
 それから、続きまして(2)は個別規定と一般規定の関係ということでございますけれども、これについての結論部分はこのページの一番下、「したがって」というところでございますけれども。権利制限の一般規定が定められた後も、著作権法の体系においては引き続き必要に応じて権利制限の個別規定を追加していくことが必要であると。
 その理由につきましては上のほうに書いてございますけれども、利用者側の予見可能性や適正迅速な裁判の確立という観点からすれば、改正までの時間はかかるかもしれないけれども、個別具体的な規定のほうが望ましいとこういうことから、一般規定が定められた後も個別規定は必要に応じて追加していくというふうに記述をさせていただいております。
 それから、13ページの(3)でございますが、これは一般規定を導入する場合の規定振りということでございまして、これにつきましてはやはり予見可能性を一定限度担保するという観点から、具体的な考慮要素を掲げるべきではないかということでまとめさせていただいております。
 続きまして、14ページからがネット上に流通する違法コンテンツ対策の強化ということでございます。この中が4つの細項目に分かれておりますので、順次御説明をさせていただきます。
 1つ目が、コンテンツの技術的な制限手段の回避に対する規制の在り方についてでございまして、検討結果は17ページの(5)でございます。
ここにつきましては、最初の段落でヒアリングの結果を書いてございます。両方のサイドからのヒアリングをお願いしたわけでございますけれども、機器等の製造事業者からは、まずは現行制度の有用性の評価が十分になされていないのではないか。その中で規制強化という方向性を提起することは不適切ではないかという御意見。それから、情報へのアクセスを技術的にコントロールする行為を法が奨励するということになるので、その妥当性について慎重な検討がなされるべきでないかといった御意見があったわけでございます。
 他方、権利者からは、ネットを通じて大量の違法コピーが行われている。それからまた、「マジコン」等の回避装置が若年層を含め一般的に広まっていることなどを背景にして考えますと、やはり現行制度の対象機器の範囲を見直すべきではないか。あるいは、回避装置の提供行為を刑事罰の対象にすべきではないかといった御意見があったわけでございます。
 こういった回避行為について考えてみますと、ユーザーの間でもかなりの規模で広まっておりますので、違法コンテンツのダウンロード等々あいまって、やはり被害は増大してきていると考えられるわけでございます。したがいまして、「このため」という段落でございますけれども、現行制度の実行性の検証は当然行うべきであるが、コンテンツの経済的措置を損なうような回避行為については国民の適切な情報アクセスの機会の確保にも留意しつつ、規制を見直し、被害を防止するための措置を講ずることが必要であると。
 最後の段落でございますが、対応案といたしましては、不競法による規制を見直すということと、著作権法においてアクセス・コントロールの回避行為を位置付けるということが考えられるわけでございます。ただ、著作権法の対応につきましてはアクセス・コントロールにより保護される内容が著作物とは限らないということ。また、見るという視聴という行為、それからプログラムの実施という行為は著作権法の支分権の対象にはなっていないということから、著作権法に位置付けるということについては慎重な検討が必要なのではないだろうか、こういう形でまとめさせていただいております。
 それから、続きまして、インターネット・サービス・プロバイダの責任の在り方について、18ページからでございます。
 検討結果の前に、その前の段階で1点だけ構成を若干変えた部分がありますので補足をさせていただきます。それは19ページの一番上の部分、プロバイダ責任制限法の3条1項ただし書、ここに間接侵害の法理が適用されるとどうなるのかということでございますが、従来は関係者の意見としてこれを書いてございましたけれども、ヒアリングをしていただいた際に必ずしもそこが明確に出てまいりませんでしたので、ここについては現行制度の解説という形で入れさせていただいております。内容は基本的に変わっていないわけでございますが、記述の位置を変えたということでございます。
 これにつきましての検討結果でございますけれども、21ページの真ん中から下のところを御覧いただきたいと思います。ここにつきましてもヒアリングを双方からしていただきましたので、そこをまず書いてございます。まず、プロバイダ側からの御意見といたしましては、現行枠組みの延長線上で各事業者の自主的取組を広げていくことを検討するほうが現実的ではないか。現に権利者とは定期的に話し合いの場を持っていると、対策の話し合いもしているということで、プロ責法の改正よりも現行枠組みの延長線上、そちらのほうが現実的であるという御意見があったわけでございます。
 それからまた、著作権だけを特別な扱いをするということは難しいのではないかという御意見があったところでございます。
 その次の段落、「確かに」というところでございますけれども、こういった取組につきましては大きな成果をあげているということで評価ができるわけでございます。しかしながら、主に侵害の温床となっているのは業界団体の枠組みに属さないような事業者、アウトサイダーである場合も多いわけでございますので、その場合にはこういった自主的取組の対応だけでは限界があるのではないだろうかということでございます。
 それから、その下4行、または、権利者からのヒアリングでございますけれども、権利者からの御意見といたしましては、違法コンテンツの削除というのはあくまでも事後的な対応であって、それをやっているだけでは侵害量の減少にはつながらない。こういったことを踏まえて、侵害行為を防止する技術的措置を合理的な範囲で義務付けてほしいということでございますとか、発信者情報の開示請求手続を簡素化してほしいといった御意見があったところでございます。
 続きまして22ページでございますが、冒頭でこのための2行でございますが、自主的な取組を発展させることと併せて、制度上の見直しについても検討を行い、実効性のある方策を構築することが必要ではないだろうかということで方向付けをさせていただいております。
 続きまして、具体的な対応案といたしましては、1つは著作権侵害防止の観点でございますが、これにつきましては民間の自主的な取組の技術的なレベルなども踏まえつつ、動画特定サイト運営者等、特定のプロバイダには合理的な範囲で標準的なレベルの技術的な侵害防止措置の導入を義務付けるということが1つ考えられるんだろうということでございます。
 それから、もう1つの観点、事業者の予見可能性を高めるという観点からは、プロ責法の損害賠償責任、それから差止請求ということになりますと著作権法というふうになるわけでございますけれども、その範囲の在り方を見直し、著作権侵害防止措置を導入していること等一定の要件を満たす事業者については損害賠償責任や差止請求などを受けないこととする、明確な免責規定を設けるということが考えられるのではないだろうかという形でまとめさせていただいております。
 それから、続きまして23ページから著作権法におけるいわゆる間接侵害への対応についてということでございます。結論の検討結果の部分は25ページの(5)、真ん中辺でございます。これについての結論といたしましては、一番下の2行、「したがって」という段落でございますが、著作権法における間接侵害の明確化に関する検討を早急に進め、行為主体の考え方を始め差止請求の範囲を明確にすること等が必要であるということでございます。背景といたしましては、その上4行に書きましたように、侵害行為は抑制しないといけないと、しかしながら、利便性向上によるコンテンツの新たな需要を喚起するようなサービス等につきましては安心して提供できるようにすることが必要であろうと。それからまた、裁判例につきましても必ずしも一致した認識に基づいているとは言えないのではないだろうかと。こういうことを踏まえますと、冒頭申しましたように、現在文化庁におきましても検討が進んでいるわけでございますけれども、それを早急に進めるべきであるという結論にさせていただいております。
 それから、最後が4点目、国際的な制度調和等についてということで、26ページからでございます。これにつきましての検討結果でございますが、27ページの下からでございます。
 まず、制度的な対応の問題でございますけれども、国際裁判管轄一般の問題につきましては国内法の整備に向けた検討が進められているところでございますので、これを踏まえまして、準拠法も含めた今後の国際的な制度調和を図っていくことが必要であると。ただ、その中において著作権というものだけを取り出して検討する必要性については、そこは今後の動向を見極める必要があるのではないかという形にしてございます。
 それから、28ページ、最後の段落でございますけれども、海外における侵害対策ということにつきましては、1つはACTA、模倣品・海賊版拡散防止条約の合意形成に向けた取組が行われておるところでございますので、それを進めるとともに、実際上の問題といたしまして海外の政府や事業者に対して関係省庁と民間が連携して日本のコンテンツが適正に保護されるよう、制度面・運用面での改善を行うよう引き続き積極的に働き掛けていくということが必要であろうという形でまとめをさせていただいております。
 以上、雑ぱくでございますけれども、この資料1、報告案としてまとめさせていただいたものの御説明でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○中山会長 ありがとうございました。
 それでは、議論に入りたいと思います。内容が多岐にわたっておりますので、3つに分けて議論いただきたいと思います。
まず、1番目、コンテンツの流通促進方策につきまして御意見をちょうだいしたいと思います。御意見ございましたらお願いいたします。
 どうぞ、苗村委員。

○苗村委員 Tの検討結果、7ページ、8ページに書いてある内容ですが、基本的にこの考え方でまとめていただくことについて賛成です。1カ所だけ、単なる表現、用語の問題で質問あるいは意見ございます。第3段落の3行目ですか、「集中管理に属さない権利者」という言葉があります。ここが何か集中管理に属するというのがやや違和感があるんですが。その前の3ページに戻ってみますと、権利の集中管理事業には一任型と非一任型があると書いてありまして、非一任型のほうは「権利者が利用の許諾権限を留保し、利用の度にその可否や使用料の額等を決定することができるもの」とここでは定義されているわけですね。これは必ずしも法律の文言で定義されているわけではないと思いますが。
 多分この7ページで言っておられることは、一任型の集中管理事業に許諾権限を委託していないものという意味かと思うんですが、もしそうであれば、何となく集中管理に属する、属さないというのは権利者の立場で見ると奇妙な感じがするので、もしそういう一任型ということを意図されたものならそのように明記していただいたほうがいいと思います。
 もしも非一任型の集中管理事業者が大量に増えたとして、そこに権利を委託する権利者が増えたとしても、多分この趣旨のコンテンツの流通促進というのには必ずしも余り寄与しないだろうと思われますので、以上のようなことを考えました。

○関事務局次長 今御指摘のあった7ページというか集中管理というのをどういう意味で使っているかということですけれども、事務局の整理学といたしましては、非一任型のものも含めて集中管理という意識でここは使わせていただいております。
 と言いますのは、確かに利用の都度にと、つまり権利者のほうに留保されている部分がございますので、オートマチックにいかない場合があるわけでございますけれども、ただ、そこに非一任型であっても委任をされていればその団体に接触することによって権利者の所在であるとかどういう権利が委託されているのかといったようなことが認識できますので、その意味では委任されていない場合に比べれば、やはり便宜は図られているんだろうという認識でございます。

○中山会長 どうぞ。

○苗村委員 その意味はわかりました。そうしますと、3ページのこの表現が少し強すぎるのではないでしょうか、「利用の度にその可否や使用料の額等を決定することができるもの」というのは、何かこれですと現実に、その利用形態にもよりますが、コンテンツの流通促進という意味ではやややりにくいのではないかという気がいたします。ですから、ここを余り強調されなければ、例えば「利用料金等をそのコンテンツごとに決定できる」というのであれば何も私も異論はないのですが。
 いずれにしましても、もともとの質問の趣旨は、「集中管理に属する」というのが非常に奇妙な言葉のように思いましたので、例えば「集中管理事業者に権利許諾を一括して一任する」とか、一任でなく委託でもいいんですが、何かそう書いて非一任も含んでよろしいと思うんですが、その都度権利者に問い合わせてイエス、ノーを判断する、あるいは料金をその都度決めるというので本来のコンテンツの流通促進には余り役立たないのではないかと思って質問しました。表現はお任せいたしますが、ちょっと「属する」という言葉を書き換えていただければ誤解はないと思います。

○中山会長 わかりました。では、それはお任せください。
 ほかに何か。
どうぞ、大谷委員。

○大谷委員 ありがとうございます。全体の整理の仕方について、意見を申し上げたいと思います。ヒアリングでお聞きした御意見で十分に興味深い論点を幾つも提示していただき、活発な議論ができたものの、その新しい仕組みの提案などについて有効性の検証などが十分に行われていないために、どちらかといえばこの検討の中では消極的な雰囲気が支配していたというようなものも含めて、広く論点として取り上げていただいております。ただ、将来のヒントになるものですので、報告書にはぜひ掲載すべきだとは思っておりますが、この検討の中での結論として出すにはやはり余り適切ではないものも含まれていると考えております。
 それぞれの節に、共通して検討結果を5として記載いただいておりますが、例えば検討結果の中で、検討経緯の中にヒアリングで御提案いただいている御意見とか、そういったものをまず整理して載せて、その上でこの実際の検討結果として示せる部分を分けて記載するというような形で整理ができないかなと考えております。
 具体的に申し上げますと、例えばTの部分ですと、8ページのコンテンツホルダーへの権利の集約化、ここ非常に興味深い考え方ですので、ぜひ何らかの形でもここに取り上げるということはしていただきたいと思っておりますが、実際にヒアリングの場面でもその有効性とか実際のプロセス、それからそれに伴う例えば副作用的な面などについても幾つか御意見が出て、それに対する明確な回答が得られないままこの検討が終了しているものだと思います。この事項については、今後の施策のヒントとしてどこかに掲載するとしても、やはりこの検討の結論としては、この7ページに書いていただいているように、契約を促進する観点をまず最優先的に進めて、それに必要な法的措置を検討するというようなことだったと思いますので、それをまとめとして掲載していただくのが適当だと思っております。
 また、後半の部分では、違法コンテンツへの対策の部分でも、権利者側あるいは機器の製造事業者側の意見が全く逆方向と思える点もありまして、それについて検討結果のところに、あたかも結論のように併せて掲載されているのはいかがなものかと感じました。実際にヒアリングで伺ったことへの評価を含めて、1つ整理した上で検討結果のところについて明確な方向性を打ち出せるものと、もし打ち出せないものがあったとすればそれはそれで両論併記の形で掲載することも含めて、整理が必要なのではないかと思っております。
 特に違法コンテンツへの対策については、過去2回にわたって議論はしてまいりましたけれども、十分な結論は見ていないと私のほうでは議事録も含め拝見して認識しておりますので、そのように構成について再検討いただければと思います。

○関事務局次長 まず、事務局としてこういう整理にさせていただいた趣旨でございますけれども、この会議での議論がヒアリングを重ねていただくということによって積み重なってきた部分がございましたので、そういったことを踏まえて考えますと、この検討結果の中にヒアリングの際に出された御意見を取り入れて書いたほうが議論の展開の結果としてわかりやすいのではないだろうかという趣旨で書かせていただいたものでございます。
ただ、それは事務局の考えでございますので、それを申し上げた上で、最終的にこの報告書をどのような形にしていただくのかということにつきましては、この場での御議論を踏まえて、会長と御相談させていただくという形になろうかと思います。

○中山会長 その点何か御意見ございましたら。
 それでは、体裁については後で事務局と私のほうで相談させていただきたいと思います。
 ほかに何かございましたら。
 よろしいでしょうか。
 それでは、引き続きまして、U、権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)の導入について、御議論をちょうだいしたいと思います。何か御意見ございましたらお願いいたします。
 どうぞ、北山委員。

○北山委員 フェアユース規定の導入に当たってはいろいろ留意しなければならない点があるのではないかということを従前から私は申し上げているんですが、そういう視点から。今度まとめていただいたフェアユース規定の中の検討結果、12ページにあるわけですが、先ほど御説明いただいたように、この12ページの「したがって」以下が結論になっているわけです。「したがって、権利制限の一般規定が」と続いているわけですが、この「したがって」以下に次のような文言を入れていただけると非常にありがたいかなというように思いますので、よろしゅうございましょうか。「したがって、権利制限の一般規定を設けるに当たり、これまで裁判例によって適法とされてきた利用行為を整理し、必要であれば、併せて個別の権利制限規定として規定するとともに、」で、以下「権利制限の」と続くというように。今言いましたように、「したがって」以下に「権利制限の一般規定を設けるに当たり、これまで裁判例によって適法とされてきた利用行為を整理し、必要であれば、併せて個別の権利制限規定として規定するとともに、」ということを入れていただけないかということです。
 それから、「したがって、・・・ことが必要である」とそこまで続きまして。最後になお書きを入れていただけないかと。「なお、権利制限の一般規定の導入に当たっては、これによりこれまで裁判例によって違法であるとされた行為が当然に適法となるものでないことに留意し、必要に応じ、関係者の注意を喚起するとともに、適法と取り扱うのが望ましい行為については、個別の権利制限規定の立法化を検討する必要がある。」と、同じ趣旨でございます。
 それから、13ページの(3)の最後に、ここもなお書きで。「なお、その際には諸外国の立法例を単に引き写すのではなく、我が国におけるこれまでの裁判例、学説等を十分に検討し、これらと整合性のとれたものになるよう十分に留意する。」というように入れることはどうかという御提案でございます。

○中山会長 その点について御意見ございましたら。
 上山委員、どうぞ。

○上山委員 私は今の見解には反対です。 今のような規定を盛り込むということは、基本的な考え方として、従来の判例、つまりインターネット上の新しいサービスの大半が違法であるという従来の著作権法の厳格解釈を前提にした範囲内でのみ、一般規定の存在価値が認められるということになり、それではここで議論してきたことの基本的な方向性とそぐわないのではないかと考えます。

○中山会長 ほかに、この点につきまして御意見ございましたら。 
 どうぞ、大谷委員。

○大谷委員 私も上山委員と同意見でございまして。一言付け加えさせていただくのでしたら、やはり従来の裁判例では、司法の形で十分にチャレンジしてこられなかった事案といったものが十分にすくい上げられないという可能性が出てくることを想定した配慮が必要と考えます。やはり今までの議論の方向性と逆方向なのではないかと考えられるためです。
 以上です。

○中山会長 どうぞ、苗村委員。

○苗村委員 今の論点は非常に重要なポイントだと思います。12ページの上のほうの10行目あたりから、「また」と書いてあるところですが、ネット上の写真・動画への写り込みやウェブ印刷などの行為その他形式的には違法であるけれども、社会通念上違法とすべきとは考えられない行為が現実に今あると。特にインターネット上ではそういう声が非常に多いので、それに対する対処としてこの一般規定の導入が議論されているんだと思います。
 したがって、多分この調査会での議論の趣旨は、特にインターネット上におけるコンテンツ、しかも外国の一般のネット利用者などがウェブ上にアップロードしたようなものであって、その本来の権利者の意図としては全く自由にコピーあるいは再利用その他をしてもらってよいという意図であげているものを利用することに関して、それが違法行為であるというふうに評価されることを避けたいというのが主だったと思います。過去の判例にはむしろないものが、実際には裁判が行われなかったとしても、当然現行法に基づいて解釈すれば違法である、しかしながら、今後そういう利用方法を促進することがこの調査会の本来の意図にあうということだったと思います。
 今のお二人の御意見大変私もよくわかるんですが、何か中間的な表現をとらざるを得ないかなと思います。一方的に過去の判例に基づいてというわけでもないし、だからといって過去の判例あるいは過去の法解釈をすべて無視してやるわけでもないので大変難しいと思います。
 ちょっと長くなって恐縮ですが、もともとこういう問題が発生したのは、インターネットというのが非常に特殊だからだと思います。インターネットができたというのはもう今から30年以上前ですが、そのころはご存じのようにアメリカは従来の登録制度に基づく著作権法を維持していて、そこでアメリカ連邦政府の予算によってつくられたコンテンツを自由に利用するためにインターネットができたわけですので。当初インターネット上に乗せるコンテンツは著作権登録をしてはならないというルールで運用されていたわけですね。それが後にアメリカがベルヌ条約にも加盟して登録なしに著作権の主張ができるという制度に変わったわけですが、ほぼ同時期に世界中にこのインターネットが主に教育研究用として広まってしまった。それが今から20年弱前ですが、90年前後になって初めて、その上でビジネスのコンテンツも乗せられるようになったという歴史があるもんですから。インターネット上では特別にアクセスをコントロールするとか、あるいは明確に著作権を主張しない限り自由に再利用してよいという前提ですべてが動いているわけです。
 ところが、日本の著作権法がそれを全く考慮せずに、通常の著作物と同じ扱いをするので、先ほどここにありましたように、社会通念上違法とすべきとは考えられない行為が現行法では違法とされてしまう、そこを何とか解決しようというのがこの趣旨だと思いますので。ちょっとその点をご考慮いただいた上で、お二人の御意見私どちらもよくわかるんですが、読まれる方が誤解されないようにしたいただいたほうがいいと思います。

○中山会長 どうぞ、宮川委員。

○宮川委員 私も北山委員、それから上山委員、大谷委員のお話を伺って、問題点、いずれの立場もよくわかりますが。今北山委員から文例として出したいただいたものの中に、権利制限の一般規定を設けるに当たり、これまで裁判例で認められていた行為を個別具体的な規定とするというような御提案があったように思います。むしろ私たちが議論してきた方向というのは、この事務局が用意してくださった案のように、フェアユース規定を設けた後で裁判例としてフェアユースであるという判断が積み重なってきたものをいつまでもフェアユース規定に頼ることなく、それを個別具体的な権利制限規定の形にしていこうという方向だったように記憶しておりますので、そちらの方向でまとめていただけたらと思っております。
 それから、また北山委員が御提案くださった、この一般規定を設けることによって、これまで裁判によって違法であるとされたことが自動的に適法となるものではないという点を注意喚起するという点は、以前ヒアリングをさせていただいたときに権利者のお立場からこのような規定を設けることによって違法行為を助長するのではないかとか違法行為が増えるのではないかというご懸念が示されたことに対する1つの対応の仕方の御提案だと思いました。
 ですから、むしろこれまでの裁判例によって違法とされたものが適法になるのではないということに限るのではなく、やはり一般的にこのフェアユース規定を設けることによって公正な利用を認めるだけでなくて、権利者の方たちの権利を不当に制限するための規定ではないということをうまく書いていただければ1つの回答になるのではないかと思いました。
 以上です。

○中山会長 では、どうぞ、北山委員。

○北山委員 趣旨が今少しよく伝わっていないのかと思いますが。今僕が言った文言の中で、要は個別具体的な権利規定化できるものは、それはフェアユース規定を設けても今後もすべきであるし、従前の例についてもそれを整理した上ですべきであるとこう言っているだけで、それ以外のところは何も従前の裁判例に拘束されよなどということは一切言ってないように思うんですけれどもね。
 僕は今3段にわたって言ったわけですが、特に前段と後段の部分についてはどの部分に反対されるのかよく意味がわからないんですけれども。具体的にもう少し言っていただけるとありがたいんですが。
 一番問題があるのは私の言いました真ん中の段の部分で、従前裁判例によって違法であるとされたことが当然適法になるものではないということに注意しなさいよと。それから、適法と取り扱うのが望ましい行為については個別の権利制限規定で立法化しなさいよとこう言っているわけですが。特に後者の適法と取り扱うのが望ましい行為については個別の権利制限規定の立法化を検討するという、これはあくまでも従前から言っているように、個別具体化できるものはできるだけすべきであると、こう言っているだけなんですが。
 今の文言の中で特にここがおかしいというところを具体的に言っていただけるとありがたいんですが。

○上山委員 口頭でざっと聞いたので正確に把握できているわけではないんですが、私以外の委員も含めて全体的な印象としては、追記は一般規定導入後も現状を踏襲するというのが基本的な考え方であると受けとめられるような印象を受けたということです。
 ですから、過去の裁判例で権利制限規定として明文化することが妥当であるというコンセンサスが得られる部分についてはもちろん一般規定の導入後でもそういった個別規定を導入するということは私も異論がありませんし、私の理解している限りでは、御発言のあった他の委員の皆さんも同じ認識だろうと思います。
 あくまで懸念点は、現状のかなり厳しい著作権の規制の延長線でしか一般規定が機能しないという位置付けであるというふうに誤解されないような表現が重要であろうということであります。

○中山会長 個別規定を設けることができるものは設けていくという点ではそれは皆さん、その点は多分反対ないだろうと思います。ただ恐らく北山委員おっしゃったのは、今までの判例で違法とされていたものが当然に合法なるものではないというそのことだと思います。それはそのとおりだと思うので、違法となるのもいっぱいあるわけで、みんな合法になってしまってはおかしい。
 ただ、意見の分かれ目は、従来の判例、フェアユースの規定がなかった時代の判例の中でも、場合によってはフェアユースで救われるものもあるのではないかという、そこのところだけだと思うので、それを突き詰めると余り相違はないのではないかと思うんですね。違法とされていたものが必ずしも合法となるものではないというのは、合法となるものもあるしならないものもあると、そういうことでよろしいですね。

○北山委員 ああ、わかりました。

○中山会長 そうすると、恐らく余り結果には…。

○北山委員 今の御説明でよくわかりました。

○中山会長 結果にはそう違いないのではないかと思いますので、文章表現で何かございましたら。よろしいですか。
 では、文章は皆様の御趣旨を踏まえて書き直させていただきたいと思いますけれども、趣旨はそういう趣旨でいきたいと思います。
 ほかに、このフェアユースに関して何かございましたら。これを見るといろいろ御懸念があるので余り使われないのではないかとか、逆に使われすぎるのではないかとかいろいろな意見があって、やってみなければわからないところがあるかもしれませんけれども。何かほかにございませんでしょうか。
 どうぞ、苗村委員。

○苗村委員 余り本質的ではないんですが、今の議論との関連で、この(1)と(2)、11ページから12ページにまたがってですが、これの論理的な関わりがちょっと読みにくくなっています。先ほど大谷委員がおっしゃったことともかかわるかと思うんですが、(1)の中にどちらかというと検討経緯が書いてあって、それで、しかしタイトルは一般規定の導入についいてですね。(2)は一般規定と個別規定の関係を書いているように思う。そこで、先ほど北山委員から御指摘のあった話をもし文章化するときに、(1)に入れたほうがいいのか(2)に入れたほうがいいのか、併せて御検討いただいて、読む人が誤解をしないようにしたほうがいいと思います。
 基本的には導入することの可否というのが1つある。それから、導入する際に一般規定との関わりをどうするかで、あとは時間的関係といいますか、一般規定以前に個別規定を導入すべき話と、一般規定を導入した後でなお個別規定を導入する話とあって、それが(1)、(2)でちょっとまたがっているのではないかという感じがいたしました。
 結果はお任せします。

○中山会長 では、整理の点はまたお任せいただければと思います。
 ほかに、このフェアユース規定に関して御意見ございましたら。
 よろしいでしょうか。
 それでは、最後に3番目のネット上に流通する違法コンテンツへの対策の強化について御議論をちょうだいしたいと思います。何か御意見ございましたらお願いいたします。
 どうぞ、大谷委員。

○大谷委員 ちょっと意見という形に熟しておりませんので、質問させていただきたいと思います。まず、17ページのところでございまして、下から2段落目のところで、規制を見直しと書いてある、その規制の内容ですけれども。それが不正競争防止法の文脈で書かれている規制なのか、それとももう少し広い意味での規制を意味しているのかというところが文脈的に理解できなかったのでそこを教えていただきたいと思います。
 まず1点お願いいたします。

○関事務局次長 この17ページの下につきましては、その下の最後の段落、対応案としてはという段落と併せて見ていただきたいわけでございまして。現行法の規制、冒頭に書いてありますように、不競法による規制があるわけでございますけれども、それを見直すということが1つ。それからもう1つは著作権法でございますが、こちらコピー・コントロールとか支分権にかかわるところは規制をしてございますけれども。いわゆるアクセス・コントロール的なものは現在対象となっておりませんので、それを著作権法に位置付けるということがもう1つあるということで、規制の見直しということにつきましてはその両方を一応前提とした文脈でございます。

○中山会長 よろしいですか。
 それでは、ほかに何か。大谷委員、1点だけですか。

○大谷委員 すみません、もう少し時間をおかせてください。ありがとうございます。

○中山会長 ほかに何か。
 どうぞ、苗村委員。

○苗村委員 今たまたま御質問、御指摘のあった点で、17ページの下から2段落目なんですが、私この趣旨全体には賛成なんです。ただ、ちょっと表現の問題です。「このため」で始まる段落で、コンテンツの経済的価値を損なうような回避行為については、途中飛ばしますが、規制を見直し云々と書いてあります。その具体的中身が不正競争防止法による規制の多分強化だと思いますが、それと著作権法で、著作権法のほうがより慎重な検討が必要だと、この趣旨は私理解しておりますし、適切だと思うんですが。その不正競争防止法で回避行為を例えば違法とするというのは何か違和感があります。その前の15ページで現行法制度の説明がありますが、不正競争防止法は現在その回避を行うような機器の製造、販売、輸入等を違法としているわけですね。ところが、この(2)丸1の第2の○のところで、その回避機能以外のものを併せ持った場合は規制対象とならないというようなことがあって、むしろ当面対処すべきなのはこのあたりではないか。
 つまり、ユーザーが回避をする行為そのものを違法とするということを議論するのではなくて、するのであれば次の著作権法だと思いますが、その前にまず規制対象とするべきは回避機能に加えて他の機能を持っている装置の製造、販売、輸入などを規制するのではないかと思うので。この回避行為という言葉をちょっと広めにしていただいたほうがよろしいかと思うんです。
 回避行為というのは左の国際的な動向ですと、アメリカの場合にはその行為そのものが違法にされているわけですが、少なくともそれをここで議論しているようには見えない。まして不正競争防止法でそれを違法とするというのは多分ちょっと理解しがたいので、恐らく回避にかかわる行為とか何か表現を変えていただいたほうがいいかと思います。

○関事務局次長 すみません、事務局側のこの整理した観点で申しますと、おっしゃるように今現在不正競争防止法で既に規制の対象になっておるわけでございますので、そこを見直すということにつきましては先生もおっしゃったように、規制の在り方を再度見直すと。必要に応じて強化をしていくということになろうかと存じます。
 その具体的な措置につきましては、この17ページの(5)の第2段落のところに権利者からの意見という形で書いてございますけれども、「一方、権利者からは」という段落でございますけれども、現行制度の対象機器の範囲を見直すべきであると、これがまさに「のみ」という規定の問題であったかと思います。
 それからもう1つの御意見として出されたのが、回避装置の提供行為を刑事罰の対象にすべきと、現在これは刑事罰の対象になってございませんけれども、アクセス・コントロールの号を刑事罰の対象にしていくというのがもう1つの対応策という形で御意見があったわけでございます。
 したがいまして、ここの不正競争防止法による規制を見直すということにつきましては今申し上げたような点が1つの切り口になってくるのではないかというふうに考えております。

○中山会長 どうぞ。

○苗村委員 趣旨はわかりました。ちょっとこれ私が誤解したのは、第4段落で「このため」と書いてあって、上の現行制度というのは不正競争防止法を含めて検証は行うべきだけれども云々と書いてあったのでちょっと誤解したんですが、多分先ほどの話ですと、不正競争防止法による規制を見直すというのは第2段落を受けているわけですね。第4段落は第3段落を受けていると、その構造が何かちょっと理解しにくかったんですが、第3段落と第4段落をまとめて1つの段落にすればまだ理解しやすかったと思います。
 わかりました。どうも失礼しました。

○中山会長 では、文章の点についてはお任せいただければと思います。
 ほかに。
 どうぞ、大谷委員。

○大谷委員 今の議論に関連する意見ですが、今おっしゃられたとおり、不正競争防止法の対象機器の範囲について言えば、その対象機器が適切であるかというのは常に検討すべき事項ではあるとは思ってはおります。現行の対象機器を決める場合に議論された立法趣旨は、とにかくコンピュータのように何でもできる汎用性の高いものまでここに含めるのは妥当ではないという基本的な認識をベースにしてこの不正競争防止法上の不正競争行為を定義する必要があるということでした。対象機器の範囲を権利者側からの要請に真摯に応えて検討するとしても、対象機器の範囲をとにかく広げればその解決につながるとかということについては、十分な結論に至らなかったのではないかと思っております。
 機器範囲を広げるという方向性についてそれをどうこうするとか、また広げた場合に、では何がそこに対象に入ってきて、本来対象とすべきじゃないものまで入ってくる可能性が高いのではないかといったことについても、十分に議論していないものを一方の方向性で検討結果が整理されてしまうことには一抹の危惧感があります。不正競争防止法のこの規定を設けた経緯などを踏まえつつ、この対象機器の範囲がちょっと無制約に拡大していく方向には基本的に賛同しかねます。
ただ、今の状態というのが適切かどうかということについてはそうではないという御意見もあるので、それを踏まえた検討を引き続き進めていくということについては賛同したいということです。
 恐らく、前々回の議論ではそのあたりに落ち着いたというのがこの調査会の検討結果ではないかと思いますので、そのあたりがわかる形で整理していただければと。文章そのものについてはこだわるものではございません。

○中山会長 確かに「のみ」という言葉があると、特許法でも著作権法でも、いつも困っている。特にデジタル時代になってきて、コンピュータが出てくるとその「のみ」が非常に議論になっているところで、現に法改正も行われたところで非常に難しいんですけれども。ここではそういう意見もあったということで書いてあって、まだそういう方向性だとまでは書いてないので。

○大谷委員 そうです、はい、今の整理であればよろしいです。

○中山会長 わかりました。
 ほかに何か。
 北山委員、どうぞ。

○北山委員 これはちょっと形式だけの問題ですが、25ページの5の検討結果の「したがって」以下なんですが。ここの「著作権法における間接侵害の明確化」というところの文言にちょっと引っかかるんですが。
 その理由は、著作権法上は直接侵害のみの規定しかないと。そこでその前のページの丸2のところで書いてあるような検討が進められていて、間接侵害の場合も直接侵害の場合と同じように、一定の要件のもとで直接侵害と同じように取り扱いましょうという方向で立法化の作業は進められているということですよね。
 そうしますと、著作権法上は間接侵害の規定はないわけですから、「著作権法における間接侵害の明確化」という言い回しにちょっと引っかかりを感じるということなんですが。つまり、この規定は著作権法上に既に間接侵害の規定があってその内容が明確でないからこれこれの点で明確にしなければならないというように読まれる可能性があるかなというようにちょっと思ったんですが。

○中山会長 そもそも間接侵害という文言は特許法にも著作権法にもなくて、これは講学上の言葉だとは思います。みなす行為という文言でしたら既にありますが。この言葉はそれほどやはり不明確になるでしょうか。

○関事務局次長 そうですね、表記の仕方としては、かぎをつけたほうがよろしいかと思います。この辺の流れといたしましては、23ページの問題設定におきましては、著作権法におけるいわゆる「間接侵害」への対応、というふうにそこは整理をしてございます。
 それからまた、間接侵害というのが何ものかということにつきましては、例えば19ページ、これはプロ責法の話でございますけれども、19ページの一番上のほう、プロ責法3条1項但し書との関係において、著作権法上のいわゆる「間接侵害」の法理、こういった形でそこは説明をさせていただいておるわけでございます。
 したがいまして、今御指摘のありました25ページにおけるこの記述でございますが、これも間接侵害という規定がないというのは御指摘のとおりでございますが、ここでこう書かせていただいた趣旨といたしましては、いわゆる間接侵害の問題、そこを明確化するという趣旨、そういうつもりでございます。

○北山委員 ただ、今おっしゃる19ページの著作権法上のいわゆる「間接侵害」の法理の明確化に関する検討というのでいいのかなというふうに思うんです。

○中山会長 著作権法上の。

○北山委員 19ページに使ってありますよね。「著作権法上のいわゆる「間接侵害」の法理の明確化に関する検討を早急に進め」ということでいいかなと。

○中山会長 23ページですかね。23ページの表題ですね。

○北山委員 今私が言った19ページの上段から3行目に、著作権法上のいわゆる「間接侵害」の法理というように使っておられますよね。これは、25ページの「したがって、著作権法における間接侵害」というのを、「著作権法上のいわゆる「間接侵害」の法理の明確化に関する検討」というほうがわかりやすいかなという趣旨でございます。

○中山会長 そうすると、23ページのタイトルもちょっと長くなっちゃうけれども、同じようなことでしょうか。一番上のタイトルですね。
 わかりました。では、その趣旨を踏まえて修正いたします。
 ほかに何かございましたら。
 どうぞ、宮川委員。

○宮川委員 21ページの(5)検討結果、これはインターネット・サービス・プロバイダの責任の在り方についての検討結果なんですけれども。先ほど大谷委員が全般的に御指摘されていたこととも関連するかと思いますが。ここでもやはりプロバイダの方のヒアリングと、それから権利者からのヒアリングの内容とそれぞれの対応の仕方というのを挙げているんですが、この21、22を見ていても、では私たちの調査会がどのような意見を持っているのかちょっとはっきりしないように思いました。まだ検討中であるとか、両方の意見があることを理解したというところであれば、もう少しそのあたりを明確にしていただけたらという印象を持ちました。

○関事務局次長 一応この会議における取りまとめ、結論ということでございますと、22ページの一番上の2行でございますけれども、自主的な取組を発展させることと併せて、制度上の見直しについても検討を行い、とにかく実効性のある方策を構築することが必要であろうと、ちょっと抽象的でございますけれども、そういう文脈というかここが結論部分であるというつもりで書かせていただいてございます。
 では、制度上の見直しというのはどんなことがあるのかということも含めての対応案でございますけれども、それは下の2つに対応案としてはということでそれぞれの観点から書かせていただいているものでございます。

○中山会長 どうぞ、大渕委員。

○大渕委員 ちょっと今ちょうど言及があったあたりなんですが、22ページの今対応案として挙げておられるところで、「対応案としては」というパラグラフです。前回関連している質問が出ておりましたけれども。「また」という次のパラグラフとは別に、「合理的な範囲で標準的なレベルの技術的な侵害防止措置の導入を義務付けることが考えられる」とあるのですが、この「義務付ける」というということの具体的な内容について、何か御説明いただければと思います。

○関事務局次長 そこは必ずしも十分に御議論いただいたわけではないと思っておりますけれども、あくまで可能性ということで申し上げれば、こういったものを法律上位置付けるとして、どういう文脈で位置付けるのかということによって変わってくるんだろうと思っております。著作権法で仮にやるということになりますと、そういったものを侵害行為との関係でとらまえていくということにならざるを得ないんだろうと思っております。
 それを例えばプロ責法のような事業者に対して規制をかけるという文脈で考えてまいりますと、こういった義務に違反した場合にはその免責がされないとかそういう文脈で位置付けるといことになるのではないかと思っております。

○中山会長 宮川委員と大渕委員ご両名の御意見ですけれども、確かにこの3の部分については、当調査会としての結論は、と言われるとまだ煮詰まっていないので、細かい点を詰められまして、今大渕委員がおっしゃったような疑問多々出てくると思います。まだそこは議論詰めてないのでなかなか明確なことまでは書ききれないのではないか、この段階では書ききれないのではないかと思うもですが。

○宮川委員 現状を踏まえ、結果を踏まえて、文案はまた御検討いただければと思います。

○中山会長 間接侵害のところも国際問題のところもそうなのですけれども、明確なズバリとした当調査会の結論は出していないと思います。
 ほかに何かございましたら。
 よろしいでしょうか。
 あるいは全体を通じてもし何かございましたら御意見を伺いたいと思いますけれども。
 では、上野委員、どうぞ。

○上野委員 全体を通じてということで申しますと、本日の報告書案におきましては、各論点に関してそれぞれかなり微妙に言い回しといいますかニュアンスが書き分けられているように思われます。
つまり、いわゆる「日本版フェアユース規定」につきましては「導入することが適当である」という文言になっておりますので、この点につきましてはかなり明確に方向性が示されているといえます。また、「コンテンツの技術的な制限手段の回避」につきましては「規制を見直(す)…ことが必要である」という文言ですから、これもまあやや強い方向性が示されているといってよかろうかと思います。他方、プロバイダの責任に関しましては、「見直しについても検討を行(う)…ことが必要」となっておりますので、ここでは見直しが必要だとまでは書かれていないように思われます。それから最後に、いわゆる「間接侵害」につきましては「検討を早急に進め…ること等が必要」という文言にとどまっております。ですから、このように表現ぶりが、あとの論点になるにつれてだんだん弱くなっているように読めるわけであります。
 もちろん、これでは報告書としての方向性が弱いではないかという御意見も確かにあろうかと思いますけれども、こちらの専門調査会は、いわば大所高所からグランドデザインを描く立場にあるのではないかと思います。ですから、余り細かいところまで詰めて一致が得られないよりは、論点によっては大枠だけ示して、具体的な問題は検討課題として今後の議論に委ねるという今の報告書の方向性は、私は大変結構なことではないかと感じております。
 以上です。

○中山会長 おっしゃるとおり、ここでは時間的な問題あるいはマンパワー等々の問題もあって、具体的な法案をつくるとすれば文化審議会等に下すわけですので、この場では今上野委員おっしゃったようなグランドデザイン的なものを提示できればというふうに思っております。
 ほかに何か御意見ございましたら。
 どうぞ、苗村委員。

○苗村委員 今の御発言に関連してといいますか、先ほど私申し上げたことの重複で恐縮ですが、17ページの検討結果がまだちょっと私は理解しがたいところがあるんです。これ問題はもともとネット上に流通する違法コンテンツへの対策の強化ということだったわけですが、この結論は何なんだろうと、明確に規制を見直すことが必要だと書いてあるかというのがよくわからなくて。下から2段落目で書いているのは、先ほどの私の質問に対するお答えを聞いていると、著作権法に関しての見直し、しかしその後で非常に慎重な検討がいると書いてある。不正競争防止法については見直すことや何々などが考えられるだけであって結論ではないわけですね。これは非常にわかりにくいです。
 それで、多分ここでの議論がそれほど明確ではなかったかもしれませんが、不正競争防止法による規制についてはやはり見直すための検討はやはりやる必要があると。先ほどの「のみ」の条項に関してどうなるかは別としまして、明らかに見直しの必要が出ているんだと思うんです。
一方、著作権法ではこのアクセス・コントロールは確かにこれはかなり問題ですが、一方で、音楽や映像のコンテンツについては私的使用のための複製を著作権法の30条から外すという方向が大体出されていて、ゲームソフト等についてはどうするかというのは全くされてない。それについては多分やはり検討が必要なんだと思うんですが。この報告書は全くそこに触れてないわけですね。あるいはもう既に前に結論が出されているのなら、そのことを前のほうで書いていただいたほうがよくて。著作権法の見直しの中で少なくともここに書いてあるゲームソフトその他についての30条の見直しは別途解決されていると書いてあるのか、あるいは検討が進んでいると書くか、あるいは今後見直しが必要と書くか、どちらかがあったほうが結論がわかりやすいような気がいたしました。

○中山会長 この問題は現在文化審議会で議論しているわけですよね。したがって、そこもちょっとそういう旨をメンションしておいたほうがよろしいでしょうか、どうでしょうか。

○関事務局次長 御指摘のように、検討は文化審議会著作権分科会のほうで、30条の範囲、それをどう取り扱うのかということで検討していただいているところでございます。ただ、この報告書におきましては、この問題設定の問題なのかもしれませんけれども、技術的な制限手段の回避に対する規制の在り方という問題設定をさせていただいていますもので、その文脈の上でちょっと書きづらかったのかなという気がしてございます。

○苗村委員 すみません、もう一回同じことで恐縮ですが。著作権法の30条の話をここに余り書かないというのはそれでもいいと思うんですが、不正競争防止法についての結論がこれ見えないですね。この文章上。ですから、見直しが必要だというか、あるいは見直しのための検討を行うことが必要だというか、何か言っていただいたほうがいいように思うんですけれども。
 これ、先ほど私がしつこく質問したことですが、このためというところではどうも不正競争防止法のことは言ってない。そうすると、ではその前にどこかで言っているかというと、そういう意見があったで終わってしまって、対応策はあくまでも例示ですので。そうすると、不正競争防止法については見直しの検討も行わなくていいように見えてしまうという感じに見えるんです。

○関事務局次長 そうですね、そこは私ども事務局としたしましては文脈で読んでいただければというふうに思っておったんでございますけれども。上から見ていただきまして、第3段落で現状認識としてやはり被害は増大しているんだろうと、被害が増大してきていると考えられるというところで1つ押さえをさせていただきまして。このための段落でございますけれども、そういったコンテンツの経済的価値を損なうような回避行為、そういったものについては規制を見直して、被害を防止するための措置を講ずることが必要であるというふうに書かせていただいてございます。
 したがいまして、この文脈で見ていただきますと、規制を見直すということ、そして被害を防止するための措置を講ずることが必要であるということでございますので、そこで方向は出ておりまして、かつ、見直すということをこの文脈で読んでいただければ、どちらの方向で見直すのかということはおのずから明確なのではないだろうかと思ってここは書かせていただいたものでございます。

○中山会長 もっと強くしろという趣旨ですね。

○苗村委員 すみません、たびたび、もう時間がなくなったのに申しわけございません。先ほど上野委員がおっしゃったことでもう一度申し上げたんですが、この部分の結果は多分不正競争防止法については規制を見直すというのが結論なんだろうと私も理解しているんです。
ところが、先ほど私が質問したことと関連して、このためというのはどうも著作権法のことを言っているように見える。つまり、ユーザーによる回避行為の話を書いているように見えるので、そうすると不正競争防止法を見直してユーザーが回避を行うことを違法にするというのはどうも見直しの方向ではないので、その回避行為というところを書き換えるか、あるいは何かちょっと表現を変えて。
 いずれにしても、この文の結論は何かといえば、やはり不正競争防止法の見直しの検討が最大ではないか。著作権法についてはかなり、もう30条を見直せば後はそれほど方法はないのではないのかというのが明確だと思いますので、その趣旨です。あとは表現はお任せします。

○中山会長 わかりました。
 では、大谷委員。

○大谷委員 関係する質問です。最初に御質問したときにもやはり同じような、苗村先生と同じような違和感を感じていた箇所なんですけれども。前回の議論、欠席しましてよく把握できていない点がありましたら申し訳ありませんが、ここで記載すべきなのは、まずやはり現行制度がどのくらい機能しているかという実効性の検証ではないでしょうか。「実効性の検証」を当然行うべきであるとは書かれていますが、その直後に、「であるが」と否定されてしまっているので、そう否定するのではなくて、まず実効性の検証を行ったうえで、何かが不足しているという認識に立つのであれば、規制の見直しなども検討すべきであろうというそういうふうにもっていくのが、恐らく前回の議事録などから伺われる結論ではないかなと考えております。
 実効性の検証を行うべきであるけれども、それはそれとして、規制は見直しましょうというように接続している部分に違和感があります。その意味ではトーンを強化するというよりは、弱めるというよりは優先順位を明確にして記載していただければということですね。結局表現の問題に落ち着いてしまうのかもしれませんが。
 前々回から気になっていたのが、その被害実態とそれから現行制度がどれほど機能しているのか、もし不足していて侵害の防止あるいは被害からの救済ということを図るために喫緊の課題がどういう形で顕在化しているのかといったことを明らかにしつつ、それで動かなければいけないものについては対処していくべきとこのように考えておりましたので、そういったことは今は非常に強いトーンで書かれているというふうに受けとめました。恐らく強いトーンで書くべきか、弱いトーンで書くべきかということについても前回結論がはっきり出ていないのかもしれないので、そこは表現振りでそのトーンが出るような形でまとめていただければと思います。

○関事務局次長 ここは確かにいろいろヒアリングに際しましてもそれぞれのお立場から御意見があったところでございますし、この会議の御意見でもそれぞれの御発言があったと思っております。ただ、ここの整理学といたしましては、先ほどの苗村先生の御意見、あるいはこういった規制を強化するという方向には基本的には賛成であるという御発言もこの会議でございましたので、そういったものを踏まえまして、「抽象的な」とあえて言わせていただきますと、抽象的な方向性としてはこの下から2段目のような形でまとめをさせていただいて、具体的な対応案というのはこういうものが考えられるけれども、それはさらにそれぞれの担当省庁で考えるというふうに整理をさせていただいたものでございます。
 実効性の検証の部分については、それは当然行うべきであるということで、そこは「が」で接続をしてしまっておるんでございますけれども、心といたしましては、それはそれとして、当然規制を見直す際の前提として行われるべきではございますけれども、全体の方向性としてはやはり規制を見直して、あえて言えば規制を強化するという方向性が一様のここの会議での向かうべき方向性として位置付けられるのではないだろうかというつもりで書かせていただいたものでございます。

○中山会長 よろしいですか。

○大谷委員 ちょっと前回の様子がわかっていないということもあって、委員の総意が今御説明いただいたようなことで前回議論がなされたというようなことであれば、何らかの形で見直しつつ実効性の検証も行われるということ、その2つの意味を込めて書かれたという趣旨であれば、そのようなものかなと思います。

○中山会長 では、そこら辺の文章はお任せ願えればと思います。
 ほかに何かございましたら。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日いろいろな御意見をちょうだいいたしましたけれども、その点につきましては今後事務局と相談をいたしまして、必要に応じて報告書案に反映をさせていきたいと思っております。
 また、広く国民の意見を聞くために、報告書案につきましてはパブリックコメントを実施いたします。その結果を踏まえた上で、次回の会合では報告書案の決定に向けての審議を進めてまいりたいと思っております。
 それでは、ほぼ予定の時間がまいりましたので、本日の会合はここで閉会といたします。
 次回第10回会合は、11月27日木曜日、10時から、本日と同じこの会議室で開催をいたします。
 本日は御多忙中のところ、誠にありがとうございました。