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第12回 知的財産による競争力強化専門調査会

  1. 開 会 : 平成21年3月3日(火)10:00〜12:00
  2. 場 所 : 知的財産戦略推進事務局会議室
  3. 出席者 :
    【委 員】 相澤会長、岡内委員、河内委員、佐藤委員、関田委員、妹尾委員、田中委員、辻村委員、長岡委員、中村委員、中山委員、前田委員、渡部委員
    【事務局】 素川事務局長、内山次長、関次長、小川参事官、高山参事官
  4. 議 事 :
    (1) 開  会
    (2) 政策レビュー及び第3期基本方針の在り方について
    報告書(案)について
    (3) 閉  会


○相澤会長 おはようございます。
 ただいまから、知的財産による競争力強化専門調査会、本年度第7回目になりますが、開催させていただきます。
 本日はお忙しいところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。
 なお、本日は加藤委員、三尾委員、ご欠席との連絡をいただいております。なお、長岡委員は多少おくれられるという連絡が入っております。
 早速ではございますが、本日の議題であります政策レビュー及び第3期基本方針の在り方に関しまして、これまでの本調査会における議論を踏まえ、取りまとめた報告書をご議論いただきたいと思います。
 それでは、カメラの退室をお願いいたします。
 まず、事務局から配付資料の確認をお願いします。なお、報告書の構成の変更などを含め、資料1から4までについて説明をお願いしたいと思います。
○内山事務局次長 それではまず、議事次第の下にございます配付資料一覧を見ていただきまして、資料1が知財の基本的な戦略の推移でございます。資料2が第3期の基本方針の在り方(案)でございます。資料3が別冊1で、これまで講じてきた施策の概要及び現状(案)、資料4が別冊2、これまで講じてきた施策に対する評価(案)、資料5が本日ご欠席の三尾委員の提出の資料でございます。
 それでは、続きまして資料1から資料4までご説明をしたいと思います。
 まず資料の1でございます。基本的な戦略の推移ということで、これは前にもご説明したものでございます。第1期、2期に比べて第3期の相違点ということで、紫色の線のところを見ていただきますと、第1期、第2期においては知的創造サイクルの中でも制度整備に係る「保護」重視だったということが言えると思いますが、それと比べまして第3期におきましては、事業化戦略に係る「活用」を重視した知財サイクルの進化という位置づけにしております。これは創造、保護、活用といったサイクルのまた逆サイクルがあったり、あるいは相互の多面的な関係性も包含したものということでございます。
 それから、その下にいわばキャッチフレーズと申しましょうか、大きな目標の案としてここに「グローバルな知財競争力の強化」というのを掲げてございます。これは前回の各委員のご意見の中で最もキーワードとして多かった「国際競争力」をキャッチフレーズの中に取り込みまして、「グローバルな知財競争力の強化」というふうにしてみました。これは知財を有機的に組み合わせ、グローバルな市場における競争力を強化していくと、こういうような意味合いでございますけれども、この点に関しましては、後ほど各委員、皆様のご意見をちょうだいしたいと考えております。
 それでは、資料の2の説明をさせていただきます。
 まず、表紙をごらんいただきたいと思います。競争力専門調査会とともにコンテンツ・日本ブランド専門調査会と連名としております。これは知財戦略を取り巻く環境変化であったり、個々の施策の中にも両専門調査会で共通する分野がございます。そういった意味でコンテンツ・日本ブランド専門調査会での検討と当専門調査会の検討を組み合わせ、合体した報告書としたいというふうに考えております。
 報告書の中を見ていただきますと、「はじめに」、あるいは「環境変化」、「現状と課題」の中にそれらを反映してございます。目次を見ていただきますと、目次のパート1の3ポツ、5本柱になってございます。基本方針の5本柱の3本目にコンテンツ・日本ブランド専門調査会関係の「クリエイティブ産業の成長戦略の推進」というものが入ってございます。したがって、報告書の内容はコンテンツ・日本ブランド専門調査会の検討内容が含まれた形となっております。この部分につきましては、3月10日にコンテンツ・日本ブランド専門調査会の最終的な審議が行われ、取りまとめられる予定となってございます。
 次に、報告書の構成については、前回の各委員の議論を踏まえまして変更しております。目次をごらんになられると、パート1に第3期知財戦略の基本方針の在り方が、1、環境変化、2、現状と課題、3、基本方針という形で取りまとめられておりまして、第2部がいわゆる政策レビューの概要と、今後講ずべき主な施策、これを合体して第2部にまとめてございます。
 この報告書の構成につきましては、「はじめに」の中に、1ページ目、上から3つめのパラグラフが両専門調査会の連名にした点について経緯を書いております。下から2番目のパラグラフが報告書の構成ということでございまして、今後の基本方針の在り方、そして政策レビュー、これが大きく2つの要素になっております。まずこれまで講じてきた知財施策と関連データを別冊のとおり体系的に整理、評価をして、その概要及び今後講ずべき主な施策を第2部として整理をしております。これを踏まえて第1部に今後の知財戦略の基本方針として、第3期に目指すべき政策目標の設定、その評価のための定量的指標を含む評価指標、そして政策目標を達成するための重点施策を整理したということでございます。
 続きまして、基本的にはこれまで何回も専門調査会の中で議論を積み重ねてきてございますので、もう一度確認のために9ページから10ページを見ていただきますと、ここに第3期の知財戦略の基本方針の「基本的な考え方」というのがございます。ここに5本柱が掲げてあるわけでございますが、第1にイノベーション促進のための知財戦略を強化することが必要であるということ。そのパラグラフの中に、革新的な知財を生み出し、その権利保護を重視することは今後とも重要であるが、それのみに注力していてもイノベーションを効率的に実現することは困難であって、知財をいかに効果的に経済的価値の創出に結びつけるかという視点を重視するということが明記をしております。
 第2にグローバルな視点から知財戦略を強化していかなければならないという点、それから、第3にコンテンツ産業を初めとするクリエイティブ産業の振興に戦略的に取り組まなくてはならないという点、第4に知財権の安定性確保に向けた取り組みを強化することが必要であるという点、第5に制度利用者のニーズに対応した知財システムの構築に向けた取り組みを強化しなければならないという点。
 これが以上の5本柱でございまして、10ページ目に重要なパラグラフが3つございます。以上の5本柱、これを第3期の知財戦略の基本方針として総合的かつ一体的に推進することにより、技術、コンテンツ、ブランドなどのすぐれた知財を多数創造し、それらを有機的に組み合わせ経済的価値を創出し続けることを通じ、グローバル市場における競争力を強化する。これを「グローバルな知財競争力の強化」として、それを目指すべきであるということです。いわばこれがキャッチフレーズについての概括したパラグラフでございます。
 それから、次のパラグラフは政策評価、PDCAサイクルが大変重要だということです。この専門調査会でもそういうご指摘をいただいておりますけれども、第3期においては政策目標を設定するとともに、評価指標に基づきその達成状況を客観的に評価をし、その評価を踏まえ、さらに必要な施策を講ずるという政策評価マネジメントをより適切に実行すべきであるということでございます。
 最後に、なお書きの部分でございますけれども、こうした政策評価に当たりましては定量的指標に基づく評価のみならず、施策の実施状況やその成果に係る定性的な評価もあわせて行う、それから中間評価、3年目を想定をしておりますけれども、中間評価等に基づき評価指標の見直しを随時行うことが適当であるということです。そういった点についての記述も明記をしてございます。
 11ページ目を見ていただきますと、それぞれ5本柱がございまして、政策目標、評価指標、重点施策、これはこれまでご説明してきたとおりでございますけれども、重点施策のところを見ていただきますと、特許制度の在り方の総合的見直しの項目の一番最後に括弧書きで、「〔2.(1)(C)@〕」とインデックスを付しております。これはこの報告書の42ページを見ていただきますとその部分が出てまいります。これは対応する第2部に入れました、今後講ずべき主な施策の番号を指してございます。このようにインデックスをつけまして、重点施策と今後講ずべき主な施策との1対1の対応を明確にさせていただきました。
 以上、前回の専門調査会で各委員からご指摘をいただきました点を踏まえまして、構成の変更等々についてご説明をさせていただきました。
 最後に、資料5をご参照いただきたいのですが、三尾委員のほうからご意見をいただいております。報告書の内容に係るというものではございませんで、今後実際にこの基本方針が実行に移される際に留意していただきたい点ということで、第1に長期的な視野の必要性、第2に環境問題等の制約の打破という視点、第3に新しい制度へチャレンジを行うことによって日本が世界のリーダーになっていくと良いとのご意見をいただいておりますので、ご紹介をさせていただきました。
 簡単ではございますが、以上でございます。
○相澤会長 ありがとうございました。
 ただいま事務局から説明がありましたように、今まとめていただいております報告書を2つの専門調査会の連名で提出すると、こういうことを説明いただいたわけですが、このことについてお諮りしたいと思います。
 知的財産による競争力強化専門調査会及びコンテンツ・日本ブランド専門調査会、この2つの連名の報告書とするということをご同意いただけますでしょうか。
 はい、ありがとうございました。それでは、両方の専門調査会の連名のものでということでございます。したがって、今までご議論いただいてきたところに、先ほどの柱立てが5本になるということになる、それから総合的ないろいろキャッチフレーズ等々も、この連名で全体をまとめるんだという観点から、これからご議論をいただければと思います。
 ご欠席の三尾委員からのご意見もご紹介がありましたとおりでございます。
 それでは、これから具体的に報告書(案)の内容の議論に移らせていただきます。
 内容については随分議論を重ねてまいりましたので、委員の皆様のご意見をほぼ反映した形でまとめられているのではないかとは思いますが、全体の姿をごらんになりまして、改めてお気づきの点、出していただければということでございます。どなたからでも結構でございますので、挙手の上ご発言いただきたいと思います。
 なお、先ほど説明がございましたように、資料1の第1期、第2期、第3期を通してどんなことを重点的に進めてきたかということですね、赤い帯印になっているところで、第1期、第2期は「保護」の重視であると。それから第3期は「活用」を重視した知財サイクルの進化と、こういうことではいかがかということです。同時に、目標、キャッチフレーズに相当するところですね、それも第1期、第2期をこのような位置づけとすると、第3期はグローバルな知財競争力の強化ということではいかがかということでございます。これは事務局も相当頭を悩ませているところでございますので、今日、全体の報告書の姿をごらんになっていただいて、改めてお知恵をいただければというふうに思います。ここについても是非ご意見をいただければと思います。
 いかがでございましょう。
 岡内委員、今まで特に中小企業関係のことでいろいろとご発言いただきました。でき得る限りそのご意見を反映したと、いろいろなところに記載はさせていただいておりますが、このようなことでいかがなものかということで、改めてお伺いしたいんですが。
○岡内委員 この委員会のスタート時と比べますともう、えらく経済状態が変わりまして、現在は非常に中小企業は厳しい、それはもう多分皆様も知ってはいても感じ方はまだ足りないと思います。
 私の話は中小企業に特化しておりまして、この全体的な資料1の戦略の推移というところまではとても至りません。ただ、中小企業にとってはこういう時期にこそということで開発、要するにあいている時間を開発に使うという企業もありまして、後ろのほうにも出てきておりますけれども、この期に、勢いをつけるためにも減免措置であるとか、いわゆる申請書類の簡便化であるとかが必要だと思います。そう言った意味で提案したもののほとんどは網羅されているような気がいたします。
 ちょっと足りないものとしては情報の提供、海外からの情報提供をさらに具体的にしていただきたいとか、それから、最初にありました、川上から川下までという基本発明をしたときの応用範囲調査の窓口設置、そういったものがちょっと足りないかとは思いますけれども、ぜひこの中の案となっているものが具現化してくるように願っております。
○相澤会長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでございましょう。
 いただいたご意見はほぼ反映したような形でまとめられているので、改めてご意見をというふうに申し上げてもお答えにくいのかもしれませんが。
 妹尾委員、どうぞ。
○妹尾委員 大分意見を反映していただいて大変良くなったと思います。良くなったというのは失礼な言い方ですが、明快になってきたという感じがします。特に資料1の赤いところの「「活用」を重視した知財サイクルの進化」というのが良い。事務局が大分頑張って、わかりやすいフレーズをつくってくださったと思っています。
 その次の目標案ですが、これは別に変えろという意味ではないんですが、確認をさせていただきます。グローバルな知財競争力の強化ということですが、これは本来はグローバルな競争力の強化に知財がさらなる貢献をするという意味だと思うんですね。知財競争力が重要なのではなくて、事業だとか産業の競争力が重要だということで、知財はそれにどれだけ貢献できるかということが問われている。ここは知財による競争力強化委員会ですからこういう書き方でもよろしいのですが、ただし、やはり重要なのは事業だ、産業だということを一応確認させてください。それが1点目です。
 それから、もう一点。すみません、この内容ではなくてコンテンツ・ブランド専門調査会とご一緒のようなので、それについて若干の質問をさせていただいてよろしいでしょうか。
○相澤会長 はい。
○妹尾委員 まず、ちょっとよくわからなかったのは、コンテンツ産業と言われて、途中から急にクリエイティブ産業というふうに変わってしまったことです。そのつながりがちょっと見えない。なぜクリエイティブというふうに言うようになったか。ぱっと表向きを見ると、コンテンツ産業だけではなくて一般のものづくりの産業だってみんなクリエイティブじゃないかという話に受け取られやすいわけですから、そこのところが少し工夫がされると良いなと感じました。目次を見ているとコンテンツ産業が突然クリエイティブ産業に変わっているので、そこのところがどうなのかというのが一点ですね。
 それから、まだコンテンツの委員会が開かれるというふうに伺っておりますので、20ページの「クリエーターの創作環境の充実と育成」の2つ目の丸のところについてです。文化資源のアーカイブ化というところに、「アニメ、マンガ、映画、放送番組、ファッション、デザイン等」とありますが、日本が最も誇るべき写真というのがないのがいかにも残念だと感じます。今、種を明かせば、私はその写真保存センターのアーカイブ化の委員長をやらせていただいているので、これはいかにも残念ですし、私の力が及ばないところかということで残念です。日本というのは携帯まで入れれば、恐らく1億数千人の写真人口がアマチュアにある。なおかつ銀塩フイルムとカメラ、さらに今ではデジタルカメラも、キヤノンさんも含めて輸出については最も大きい産業の一つなわけです。そういう写真産業と写真文化の両方を持っている国であるにもかかわらず、ここに入っていないというのはいかにも悲しいのではないかなという気がします。ぜひコンテンツ委員会のほうでもご議論いただけたらありがたいなと思いました。
 それから、3点目が、昨年度この委員会で皆さんのご了解を得て、それからコンテンツの委員会のほうでも久保利先生のご了解を得た私からの提言があります。すなわち、いわゆるものづくり系のところの技術と、それからコンテンツ系との相互の連携についての案を申し上げたのです。それについて了承を得て、昨年度には少し書いていただいたのですが、今年度はどうもそれがよく見えない。
 私が申し上げたのは2点あります。第1点は、コンテンツについて日本はいわば根性で頑張っている状況で、技術的な裏づけでは大変おくれています。例えばモーションキャプチャーにしたって、それからCGの制作にしても、もうハリウッドには全くかなわない技術レベルになっている。そこの中で手書きで頑張っている人たちがいるわけですけれども、それを支援する技術的な促進がなくてはならないのではないかと、これが第1点だった。
 第2点は何かというと、コンテンツクリエーターの方々のイマジネーションを刺激するようなサイエンス・アンド・テクノロジーの最先端の情報を提供してはどうかと、こういう話でした。例えば理科研にしても産総研にしても、あるいは農業生物資源研究所にしても、世界をリードする科学と技術の知見があるわけです。それをクリエーターの人たちに的確に伝えれば、それは第2、第3の、あるいは日本のマイケル・クライトンを生むことができる、ということになると思うんです。科学技術をベースにして世界に広められるコンテンツクリエーター、実はまだまだ日本は出てきていない。そういう意味ではサイエンスフィクション、ノンフィクション、それからファンタジーフィクション、どの分野においても科学技術をベースにしたクリエーターたちに活躍してもらい、それを世界に普及したいものです。そこのところの施策も、ぜひ、知財創出になるわけです。つまり、この委員会とコンテンツ委員会が融合した知財促進の支援ということもあるのではないかということを申し上げて昨年了解を得たわけです。ぜひそれを実際に進める施策をコンテンツ委員会のほうでも書いていただけたらうれしいということでご提案申し上げたいと思います。
 あと、相澤先生、この内容以外に雑談をする時間は後ほどありますか。
○相澤会長 そうですね、少し時間をとるようにします。
○妹尾委員 では、この報告書自身については大変結構だと思います。以上です。
○相澤会長 ただいまのコンテンツ関係のところで、内山次長。
○内山事務局次長 まず、冒頭のクリエイティブ産業というのが突然出てくるのではないかという点でございますけれども、これは第3期の知財戦略の基本方針の「基本的な考え方」の、9ページでございますけれども、第3の柱としてコンテンツ産業を初めとするクリエイティブ産業の振興に戦略的に取り組まなくてはならないと。その後に、「ものづくり産業においてもデザインやブランドの重要性が増大しているように」というくだりがあって、グローバル市場における我が国の総合的な競争力を向上させるためには、日本ブランドの創造・発進力の強化が不可欠だと。現下の経済危機を克服するためにも、すぐれた感性によってはぐくまれたコンテンツ、食、ファッション、デザイン等の日本ブランドの価値の創造に関連する産業を「クリエイティブ産業」と位置づけ、これを戦略産業として重点投資を図ると。ここにはコンテンツ産業だけではなくて、そういったブランド価値の創造に関連するような産業群をクリエイティブ産業として位置づけて、当然ものづくり産業の中にもそういった要素があることを認めつつ、少し強調をさせていただいているという、こういう趣旨でございます。
 それから、残りの2点につきましては、またコンテンツ・日本ブランド専門調査会も3月10日に審議していただきますので、そういった中で考慮をしていただけるかということかと思います。
○関事務局次長 それでは写真の件、後のご指摘のうち写真の点については、今この記述の中でもそれは当然含まれるものであろうというふうに考えておるところでございます。
○妹尾委員 「等」の中に入っているということですか。これだけの産業規模を持っていて、「等」の中に入っているというのは。田中専務、ちょっとキヤノンとしても言っていただかないと。
○関事務局次長 そうですね、それでは、ご意見があったということをコンテンツ・日本ブランド専門調査会にもご紹介させていただきたいと思います。
 それから、技術的な問題がどうであるのかというご指摘ですけれども、該当箇所としてご紹介を申し上げますと、81ページをごらんいただきたいと思います。
 これは2部の記述でございますけれども、81ページの一番下のところ、ここは「コンテンツをいかした文化創造国家づくり」の中の新しいサービスの促進というところでございますけれども、「コンテンツ関連技術の研究開発の促進によるイノベーションの創出」ということで、今後の施策としてもこういうものを講じていかなければならないだろうという位置づけをさせていただいております。
○妹尾委員 なるほど、では2つ目のほうはいかがでしょうか。
○小川参事官 今のサイエンステクノロジーの最先端との、そこも今の81ページの上のところで、コンテンツ産業における、bの@のところあたりで、「コンテンツ産業における中小企業支援策の活用の促進」という中で、いろいろ産学連携だとか異業種連携、インキュベーションの強化、こういう中でいろんな技術との、大学との連携だとか、そういう、通常ものづくり産業でいろいろ連携強化、この技術と、技術開発と生産現場との融合、連携、そういう施策が講じられているわけですけれども、こういうコンテンツというかクリエイティブ産業についてもこういうところで積極的に取り扱っていこうという、そういうような……。
○妹尾委員 大分ニュアンスは違うと思います。かなり違うんではないかと。
○相澤会長 ただいまの点は、妹尾委員が去年でしょうか、提案されているということをもう少し見直していただいて、今度のコンテンツの専門調査会のところでもう少し検討していただけるとよろしいんではないかと思いますが。
○妹尾委員 よろしくお願いします。
○相澤会長 妹尾委員がおっしゃりたいのは、もう少し大くくりのところでコンテンツという世界と、この専門調査会が扱っているようなものづくりに象徴されるような分野、この融合、ここのところが新しい産業の芽でもあろうと……。
○妹尾委員 おっしゃるとおりだと思います。知財を創出して、そして保護、権利化して活用するというところの活用の中に、実はものすごい科学と技術に関する知見を活用していただく場所が、実はコンテンツのほうにもあるんだと思います。そこのところがやはり日本の強みにならなきゃいけないのではないかなと思うんですね。コンテンツがコンテンツだけで動くのではなくて、例えば理科研でやっているものすごい科学的な発見がコンテンツに提供されたらまさに知財の融合になるだろうと、こういう話です。
○相澤会長 それでは、そのほかで。前田委員、どうぞ。
○前田委員 11ページ、12ページ目の追加の内容のような形になるのかと思うのですけれど、大学の知的財産本部、TLOが整備されてある程度大学の特許を管理できるようになりました。でも、やはり基本特許、虫食いのない大事な特許を学校できちんと守っていくためには、その中で働く人の質がとても重要です。今は企業のOBの方、シニアの方のお力で頑張っていますけれど、どんどん若い人が育っていかなければいけない状況です。この12ページのところに技術移転、TLOとか知財本部の統廃合・専門化というふうに書いてありますが、ここは人材養成の大事な場でもあるのかなというふうに、最近特に思っています。
 本学では毎年、何人かのインターンシップの方を知財本部の中にも受け入れているんですけれど、知財本部というのは、大学の先生とも接しますし、企業の方とも接して、間の橋渡し役の難しいところを全部経験します。また、国際連携のところで採択されていますので、海外、イタリアとかフランスでの海外の展示会にも彼らを連れて行って学んできたりしています。また、海外の弁護士事務所でのインターンシップもしてもらっています。そういう経験をした若い人の発想というのは、やはりシニアの方にない新しい発想で先生方の研究を見ますので、この産と学を結んでいる知財本部でのインターンシップ、人材養成というのは大変大きな効果があるのではないかなと常日ごろ思っています。12ページの文言の「統廃合」だけではなくて、ここでやはり質のいい人や、若い人を育てていくことをしないといけません。やはり、基本特許のような、大学での大事な特許が虫食いだらけで、また中途半端にグローバル化して海外出願特許して、アジアとかにあいているところを全部取られてということになりかねないと思いますので、人材の質を上げるためにも、人材養成というようなものも謳われたらいいのかなというふうに思っています。
○相澤会長 それは具体的には12ページの下から2つ目の丸ですね、ここのところに……。
○前田委員 ここのところでなくても良いのかもしれませんが、人材の質の向上を目指しての人材養成等も含めたほうが良いと思います。やはり、人に拠ります。やっぱり目利きというか、鼻が利く人がやらないと結局、いい特許が大学で守れないです。
○相澤会長 ということで、そこのところに具体的に何か記述を加えるということをおっしゃっているのか、あるいはどこか別立てにするべきだということですか。
○前田委員 ここです。ここで良いかと思います。
○相澤会長 例えば、どういうような。
○前田委員 人の質の向上を目指して、ここでも人材養成も行っていくというようなことが謳われたらいいのかなというふうにちょっと思ったんですけれど。ただし、人材養成については一番後ろの項目にありますので、ここに入れるのが適当かどうかがちょっと私はよくわからないんですけど。後ろに人材養成大事というところに一くくりに入れてしまいますと、知財本部で人を育てることの価値というのを最近特に感じておりますので、何かもうちょっとわかりやすくそれが謳えないのかなというふうに漠然と思っておりました。
○相澤会長 人材養成の重要さは理解できるところなんですが、ここのところに入れるとなりますと、今進めている大学知財の支援事業ですよね。ここのところに統廃合、あるいはもっと専門化した方向に進むべしということを書いているわけですね。だから当然、専門化とかいろんな機能の中に人材育成機能というものも当然あるかと思うんですが、それを明記することと、人材一般のところで言うこととは確かに違うわけですが、ここはあくまでも今の支援体制をどうするかと、このままでいいのかということですので。今おっしゃったことがここで的確に反映できるかどうかということが心配されますが、ここのところにもその内容を含めておくべきだということであれば、ちょっと修文いたすことは可能かとは思いますが。
○河内委員 関連することですがいつも私は大学の知財体制の強化ということを申し上げているんですけれども、第2期では重点項目の中で「大学等における知財の創造と産学連携の推進」という項目で入っています。第3期には主な施策の中で「大学知財本部・TLOの統廃合・専門化」という項目で落とし込まれています。
 ただ、全体的なことを受けているといえば、基本方針の一番上の「イノベーション促進のための知財戦略の強化」という中に大学も入っていると見れば、大学の中の知財戦略、いわゆる創造から保護、権利化、ライセンスまで、あるいは今言われた教育もすべてのことを含めた機能の強化ということも一応項目としては入っていると。
 ただ、施策としたときに、ここの12ページの、今指摘されましたこういう体制をつくることの支援ということで、全部そういうことが解決できるのかと、非常に狭い切り口だけを言っているんじゃないかなと思いますので、少し大学の中の知財戦略全般を強化するためのサポートはこの体制づくりだけじゃなくて、もう少し幅広い強化・支援のあり方を検討する必要があるのではないかなと思います。確かに文言上はそれなりに入っているようなんですけれども、施策というところではここだけに落とし込まれているように思うんで、少しその辺を。この辺は相澤先生、大学のときかなり苦労されたところだと思うので、大学から見たときに一体何を期待、どういうことが本当に施策として必要なのかということを少し絡めて、わかりやすく入れたらどうかなという感じがいたしますね。
○相澤会長 大変重要なご指摘でございますが、確かに河内委員が言われたように、大学知財の支援体制をどう強化するかという大局的なところに立っての施策への反映というところが、議論も薄かったように思います。
○内山事務局次長 今の河内委員のご指摘に対してちょっと補足的な説明をさせていただければと思います。パート2の中の分析で産学連携の箇所がございます。ページとして31、32ページでございます。ここに確かに知財本部・TLOの統廃合・専門化というのもございますけれども、産学連携におきます外部機能の積極的活用の促進であったり、あと、大学と企業との情報共有などに係る環境整備というところとか、こういった項目でかなり包括的にいろいろと取り組むべきという点を掲げてございます。それから前田委員のご指摘のあった人材育成に関しては、98ページ目をごらんいただきますと、そこに社会のニーズを把握して知財戦略を構築できる産学連携人材の育成とございます。大学やTLOの人材においては、企業のニーズを体得するための企業との人材交流や企業でのOJTなど、人材の流動化を通じて社会のニーズを把握してニーズに対して必要なシーズを提案できる人材の育成を促進するというようなことで、大学やTLOの人材の育成についても施策的には大事だということで取り上げさせていただいています。
○前田委員 知財本部とかTLOが人材育成をする場にふさわしいのではないかなということを最近思っています。プロデュースするような人材が必要で、人材育成をしなければいけないというのはもちろんきちんと謳われているんですけれど、何かそういう人材育成の場として知財本部を活用するというのはかなり有効な場ではないかなというふうに思っていて、それをお話ししたつもりだったんですね。
○相澤会長 そういうことであれば、先ほどの12ページに少し表現を加えておくということでよろしいかなと思いますが。修文可能かどうかですが、内山次長、どうでしょう。
○内山事務局次長 修文については、会長とご相談して適宜対応させていただきます。
○相澤会長 先ほどの河内委員のご指摘の点は、ちょっと分散しているようには見えますが、言うべきことは一応入っていると。
○河内委員 もう一言。今の点、非常に重要なポイントだと思うんですね。だから、iPSの問題でも、本当に今知財的に見たときに、本当にきちっとした対応ができたかといいますと、非常に疑問だと思うんですね。したがって、初期の研究段階から知財の目でメスを入れながら、戦略を考え取組むというのが非常に今弱いですね。その点をどうすればいいんだということをもっと今後検討していくべきだということを打ち出す必要があるんじゃないかなというふうに思います。
○相澤会長 ありがとうございました。
 それでは、関田委員。
○関田委員 9ページ目の「第3に」という「コンテンツ産業を始めとする」とずっとあって、第4のちょっと上に「今後我が国経済を牽引する戦略産業として重点投資を図る」と、こういうふうに書いてあるんですが、例えばものづくり産業は戦略産業じゃないのかというふうにちょっと思ってしまうので、そこを解説していただけたらありがたいと思います。
 2ページ目にいきますと、2ページ目の一番下から同じことを書いてあるんですけれども、「クリエイティブ産業の振興に戦略的に取り組まなければならない」、これはまさしくそのとおりと、こういうふうに思うんですが、ちょっと9ページの表現がこれでいいのかなと。
○内山事務局次長 当然のことでございますけれども、別にものづくり産業が戦略産業じゃないということではないのでございますけれども、今までのものづくり産業への取り組みに比べると、こういったクリエイティブ産業への取り組みが相対的にはおくれていたのではないかと、こういうことでございます。戦略的に取り組むという意味での戦略産業というふうに考えてございますけれども、必要があれば少し修文等も考えたいと思います。趣旨は全くそういうことなので、2ページ目がまさに関田委員ご指摘のとおりの考えでございます。
○相澤会長 それでは、2ページ目と今の表現が整合するような形でお願いいたします。
 そのほかいかがでございましょう。
 田中委員。
○田中委員 報告書案については、非常によくまとまっているなと感心して読んでおります。ただ、特別に取り上げてもらう必要はないと思いますが、ニ、三点感想があります。1つ目は、資料1についてです。キャッチフレーズにはあまりこだわりはありませんが、「グローバルな知財競争力の強化」という表現や、前期の「世界最先端の知的財産立国の実現」という表現は、捉え方としては国内における問題だと思います。しかし、例えば「世界をリードする知的財産立国」という表現を考えますと、より能動的に国際間の仕組み、制度等も踏まえて、すぐれたところは世界をリードしていくのだという、そのようなニュアンスがでてくると思うのです。
 どの程度実現できるかは別の問題です。しかし、例えば「グローバルな知財競争力の強化」という表現ですと、視点はどうしても中に向いていると思います。「世界をリードする」という表現になりますと、全体を包括して、すぐれたものはどんどん力を入れてやって、まずいところは修正していくという、そういうニュアンスが入るのではないかと、考えていました。別に事務局案でもいいとは思うのですけれども、そのような視点も出すとすれば、「世界をリードする知的財産立国の実現」等も一つの候補になり得るかなと思います。
 それから、2つ目です。該当する箇所がどこになるのかよくわからないのですが、創造に関することです。今までの状況をかなり俯瞰された上で報告書はつくられており、流れとしては非常にいいと思うのですが、活用等を少し重点的に取り上げるために、創造の部分が若干短くなっているように感じられます。短くなったことによって、創造に関する重要な指摘が漏れてしまっている弊害があると思います。例えば大学の出願の特許査定率が60%ぐらいであり、企業の特許査定率の平均が50%ちょっとだと思いますが、大学の査定率は企業の査定率に対してもそんなに大幅にいいわけではないのです。大学において、特許査定率が60%ぐらいにとどまっている理由が、特許の出願のテクニックが不備であるためなのか、あるいは重複研究をしているがためなのかということが、非常に気になるのです。
 ですから、先ほど議論になりましたTLO等々の問題とも絡む話ですけれども、大学の先生方が、「今まで大学の特許出願件数は増えてきた、これからは質だ」と仰っていますが、その特許の質を担保する方法をどのように盛り込んでいくかと考えた場合、今の報告書の書きぶりではちょっと弱いかなと思います。
 どこを修文すればいいのかちょっとよくわかりませんが、例えば、もっと使いやすい検索システムをきちんと完備して、大学における重複研究を避けるために活用する等、そのようなことをきちんと強化する、あるいは大学の先生が使いやすいようにしてあげるというようなことを、おそらく1文か2文程度で記載する形になるかと思うのです。それが2つ目です。
 3つ目が最後になります。これも文章のニュアンスだけの問題なのですが、30ページの一番上のタイトル「産学官連携による知的財産の円滑な事業化」についてです。これはさっと読んでいると非常にいい文ではあるのですけれども、知的財産の事業化とは一体何かなということでちょっと引っかかります。
 本当は、産学連携によって、そこで生まれた知的財産を利用して新しい事業を創出するとか、そのようなニュアンスだろうと思います。しかし、この短い言葉の表現だけですと、何か知的財産が目的化し、それの事業化というように単純に読むことができてしまうと心配しています。中身を読んでいくと全部わかるのですけれども、若干気になるところでございます。
 以上でございます。
○相澤会長 ありがとうございました。
 確かに、ご指摘のとおり、こういう誤解といいましょうか、言わんとするところが的確に表現されてないように思います。
 そのほかいかがでございましょう。
 どうぞ、中村委員。
○中村委員 資料自体の書きぶりの点ではありませんが、先ほど田中委員からご指摘の「世界をリードする」という観点でありますとか、資料5で三尾委員からご指摘いただいております、この基本方針を実際に実行していく上での要請という点で1点お願いをさせていただきたいと思います。
 資料2の16ページをごらんいただきますと、Global IP実現のために、世界知財システムの構築に向けてハイレベルな知財外交を推進するとか、模倣品、海賊版に対しても、海外市場に対して二国間協議や官民合同ミッションを派遣するといった、諸外国との接点を非常に重要視した施策となっております。
 先般、私は2月に国際知財保護フォーラムのハイレベル訪中ミッションに参加させていただく機会がございまして、そのときに非常に感じたんですけれども、今回中国が「国家知的財産戦略綱要」という日本の推進計画に相当するような国家としての知的財産戦略というものを打ち出して、それに基づいて関係官庁がみずからの役割を正しく認識し、それを綱要の下、しっかりやっていくんだという姿勢がどの官庁からも同じように表明されているということを非常に印象深く感じました。それぞれの官庁が単に縦割りということではなく、一つの国家戦略に基づいて、うまく連携をしていかないといけないという姿勢と発言が出てきたことが大変画期的に感じました。
 そういう観点から見たときに、いろいろな知財外交 〜 それは民民であったり、官レベルであったり、官民合同であったり、いろいろなチャンネルがあると思いますが 〜 我々は今までは恐らくとにかくいろいろなチャンネルを使って、やれるところでどんどんやっていこうという段階だったと思うわけであります。しかし、第3期に入っていく中で、この政策を確実に実行していく上で、そろそろどのチャンネルがどういう役割をするのか、どのテーマをどのチャンネルで例えばレベルを合わせてやるとか、そういうそれぞれの役割と動き方のすみ分けといいますか、そういったことが全体的に整合がとれて、効率的かつ全体的に実行されていくような実践戦略の策定をぜひお願いしたいと思います。この点をこの報告書自体に盛り込むというのは難しいと思いますが、何らかの形でそれが今後の実行ステージにそういった期待が伝わるように是非お願いしたいと思い、一言申し上げました。
○相澤会長 今ご指摘の点は、知財戦略本部のミッションそのものではないかと思いますので、そういうことを意識しながら進めるべきだと思います。
 どうぞ、佐藤委員。
○佐藤委員 今、一生懸命探していたんですけれども、別冊2の24ページにFTAとEPAのお話が載っていまして、これは第2期の段階ではこれが結構大きな目玉になっていたと思うんですね。今回の世界知財システムの構築ということで、いろいろな形の施策が出ているんですけれども、世界特許システム構築というのは割と3極プラス2というような形の流れですけれども、いわゆるアジアを含めた発展途上国による知財の保護というものの強化をしていく上では、このEPA、FTAというのは非常に戦略的に大きな役割を果たしていると思いますし、中国も、また韓国もこれを積極的に使いながら、自分たちの知財のプラットフォームをどうつくるかということをやってきているわけです。
 そういう意味では、ちょっと本文のほうではこの視点について直接触れたものがないというのがいかがかなというふうに思いました。これは国際知財戦略の一つのフレームとしてFTA、それからEPAというようなものの中で、国際的な知財制度を我が国がリードしてつくっていくんだというツールとしては非常に重要かなというふうに思いますので、ご検討いただけたらと思います。
○相澤会長 それでは、後ほど検討させていただきます。
○内山事務局次長 今のご指摘はハイレベルな知財外交の推進の中には、当然そういったものも含まれるし、アジア諸国に対する知財人材育成等に対する支援の推進、そういったものも含めて関係するところがあると思いますけれども、少し検討させていただきたいと思います。
○相澤会長 辻村委員。
○辻村委員 少し感想みたいな形になるんですけれども、ざっと読ませていただいて、非常に我々の意見もくみ取っていただいて、まとまっているということで、私自身は大きく異なるポイントはないのですけれども、一つ今回の政策といいますか、ポイントは評価指標を設定をして、それできちっとPDCAを回していこうということだったと思います。前回、妹尾先生からもご指摘がありましたが、この評価指標は現段階では非常にいいんですけれども、ややもすればその見直しがなかなかできなくて、かなり多大な労力をかけて評価指標を検討しても、結果、余り役に立ってないということが多いものです。ぜひこの評価指標に関しては見直しといいますか、本当にこれで現実をあらわしているんだろうかというところは、きちっと年々やっていただければ非常にありがたいなと思います。
 それから、PDCAを回すという意味では、結果を見える化するということが非常に大切でありまして、せっかく評価指標を定めたのであれば、これを多くの人に、こういう状況ですよということを見える化して示すということが一つのポイントではないかなと思います。
 それと、具体的事例を示すことも重要と思います。成功事例であるとか、先ほどiPSの件もありましたが、そういう一つの事例を研究した上で、こういうことに関してはもっとこうすればいいんだよというような、何かそういう提言みたいなものも出していただくと、これもまたより参考になるだろうと思います。ぜひその辺のことをよろしくお願いしたいと思います。
○相澤会長 ありがとうございました。
 中山委員、総括的なご意見といいましょうか、そういう点でちょっといただければと。
○中山委員 特にございません。結構でございます。
○相澤会長 渡部委員はいかがでしょう。
○渡部委員 内容的には結構ですが、もし許されるのだったら感想を。
○相澤会長 それでは、どうぞ、感想で結構でございます。
○渡部委員 これを第3期として、今現下の経済状況ですから、短期的にどうしてもなっているわけで、特に中小企業にとっては推して知るべしだと思います。まだちょっとこれが落ち着くまで大変だと思いますが、3期の後半にこういう活動がどういうふうになっているかという期待を述べるとすれば、グローバルな知財競争力とは何かということですけれども、我が国を見ますと、ものづくりを中心とする非常に高度な競争力がもともとあって、これがうまく収益につながっていくという構造が少し見えにくくなってきているわけで、そこはもう少しゆっくり変化をするんだろうと思っていたわけだけれども、恐らくこの情勢ですともっと早く変化をしていくということになるわけで、それは自動車産業を見ても間違いない状況になってきていると。
 そういう中で、今後地球規模でいろいろ出てきた課題、環境ですとかエネルギーですとか、あるいは健康福祉の問題とか、いろいろなことがあって、そういう問題に貢献する産業、そういう課題を解決する産業を国としてやっていく、あるいはそれを今後成長が期待できるアジア、あるいはブラジルとかロシアとか、そういうようなところで、いかにしてうまく活用できるような体制を整えるかということが多分最もポイントだと思うんですけれども、そこに我々のものづくりの力を生かしていくというのがポイントだと思います。
 そういうことに知財を当てはめれば、グローバルな課題を解決する知的財産、それは技術と知的財産を両方我が国がしっかり持っている。それで、あちこちの重要な国で知的財産として確保している、その中で環境とか福祉とかのものは、場合によってはこれはオープン化して、みんなで共有して、その中で我々のものづくりや何かの技術を生かして競争力を高めていく、多分オープン領域とクローズの領域、クローズの領域からオープンをコントロールするようなことを国の施策の中で知財戦略の中で実現していかないといけないだろうと思います。
 多分、そういうことが3期の後半に少し経済の状況も霧が晴れてくる中で、そういうことができるなというところまで多分持っていく、持っていかないといけないのではないかというふうな、そういうことにつながることが多分この第3期の知財戦略の期待ではないかと思います。
 全く感想というか、期待ですみません。
○相澤会長 ありがとうございました。
 長岡委員、いかがでございましょう。
○長岡委員 ありがとうございました。
 非常に包括的に今後取り組むべきことが書かれておりまして、私も特に異議はございません。
 感想ということで申し上げますと、知財をイノベーションにつなげていくというのは、すぐれた発明がされ、それを強力に保護し、それからうまく組み合わせて活用していくということが基本だと思いますけれども、それには、審査基準の問題なども含めて、非常にきめ細かい制度的な対応が必要で、したがってかなり時間もかかると思いますし、ここに盛り込まれておりますように、イノベーション促進という最終目標に向けて、知財制度のいろいろな側面がきちんと評価されて、改善につながっていく、PDCAサイクルをつくっていくというところが非常に私は重要だと思います。これがはっきり盛り込まれている点において、今回の答申は非常にすばらしいと思っております。
 ありがとうございます。
○相澤会長 佐藤委員。
○佐藤委員 私も総括的には今回の報告書は非常によくまとまったというふうに思っております。また、メッセージ性も結構強いものになってきたんじゃないかというふうに思っております。ただ、問題はこれをいかに実行するかということが非常に重要なことで、特にスピード感が大事じゃないかと思います。
 最近、日、中、韓、台、4カ国の知財活動に対してシンポジウムをやりますと、だんだん日本のスピードが落ちているというのを感じます。むしろ台湾とか韓国のほうが積極的に制度改正をやり、いろいろな活動を始めているというところがあって、そういう意味では我が国もスピード感を持って、これらの施策を実行していくということがないと、非常に日本のポジションを維持できないんじゃないかというふうに心配しております。そういう意味では、ここにはスピードという話のところが明確に表現されているところが余りないんですけれども、これは2期のときにもそういう話をしているので、当然の前提になっているんだと思うんですが、特にその点を考えてやっていかないといけないんじゃないかと考えます。そのときに、戦略本部の事務局の役割というのは非常に大きいというふうに思っております。各省庁をまたいで、各省庁をリードしていくという役割は戦略本部の推進事務局の役割だと思いますので、ぜひこの3期においても、今まで以上に頑張っていただきたいということをエールとして申し上げたいと思います。
○相澤会長 ありがとうございました。
 そのほかいかがでございましょうか。
 それでは、たくさんのご意見をいただきましたが、この報告書の取り扱いについて整理をさせていただきます。
 この報告書の案につきましては、その内容を決定した後で、次回の知的財産戦略本部の会合に報告させていただきます。それに先立ちまして、本日の議論を踏まえて、修正すべき点については修正をさせていただきます。また、先ほど了承いただきましたとおり、コンテンツ日本ブランド専門調査会との連名の報告書といたします。次回のコンテンツ日本ブランド専門調査会が3月10日に開催予定になっておりますので、必要となる修正が出てくるかと思います。
 したがいまして、最終のまとめといたしましては、会長の私にご一任いただければというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

(異議なし)

○相澤会長 ありがとうございました。
 それでは、そのような取り扱いとさせていただきます。なお、本日修正等のご意見がございましたが、それを加味した上で、この専門調査会としてはご了承いただけませんでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、以上のような取り扱いをさせていただいた上で、次回の知的財産戦略本部の会合に連名の報告書として提出させていただきます。
 そこで、本日まだ多少時間がございますので、先ほど妹尾委員もおっしゃっていたこの報告書に直接的なことではなく、自由なお立場でご意見をいただくという時間を設けたいと思います。これからご意見を伺わせていただければと思います。
 どうぞ、妹尾委員から。
○妹尾委員 すみません、わざわざお時間をいただきましてありがとうございます。
 これはちょっと雑談と言うには少し重要かと思うんですけれども、実は先週ずっと私は山形庄内に行っておりました。シルクサミットというイベントの実行委員長としてです。これは第4回目で隔年開いておりまして、それはなぜかというと、日本のシルク産業がほとんど壊滅状態になってきているからです。天皇陛下が米づくりを中心になされるのに対して、皇后陛下がいわゆる蚕で絹をおつくりになるというのは、これは日本の文化的な伝統のペアですが、その片方がほとんど壊滅状態という大変な状況になっているわけです。それに何とかして手を入れたいということです。庄内鶴岡は日本のシルク産業の全工程、すなわち養蚕から絹を織って最後の捺染に至るまで全てを持っている唯一の地域なので、そこでシルクサミットを行おうと私が発案して以来、ずっと続けております。
 今回、私が評価委員をやっている農水省の農業生物資源研究所の方をお呼びしてセッションをやりました。従来のファッションについてどうだというのが一方であって、他方で例えばシルクパウダーを食に活かすとメタボ対策で大変良いということがあります。
 さらに、ここのところに来て、遺伝子操作によって蚕が大変おもしろい状況になってきています。例えば、一つはオワンクラゲの発光を入れて、蚕どころか絹までが全部蛍光を持つようになって、あと青さえできれば三原色全部そろうまできています。
 それから、例えばマーキングができるようになって、偽物の同定ができるというぐらいまでできています。さらに、絹を使った人工血管ができるようになって、これを埋め込めば当然のことながらそのまま溶け出して、すべて血管がもう一回再生するという再生治療に使える。そういう状況に来ているわけですね。
 これを私もセッションでずっと議論をしていたところ、大変なことが分かりました。すなわち、農水省が蚕まで、経産省がその後の絹からということで分断しており、総合的なイノベーション政策を全くとれない状態なのです。これで良いのだろうかと。これは旧来型の蚕産業を、あるいはシルク産業を延命するという意味ではなくて、新しい生物資源産業が生まれるというふうにとらえたときに、このイノベーションを一体だれがどう仕切るのか、つまり、ビジネスモデルを書いて、知財マネジメントをやっていくのかと。
 例えば、今人工飼料で蚕を養うことができるのは日本しかないわけですね。こういうような最先端の技術を持っていながら、それを産業化、事業化するところについての手立てが全くないということでありますから、これは先ほどのファッションも含めたクリエイティブ産業にとっても、あるいは工業化、バイオを使った生物産業にとっても、ゆゆしきことではないかなと思うわけです。
 さらに、蚕のこういうようなものに関する国際委員会は、全く蚕をつくっていないフランスが議長国として仕切っている。なぜならば、蚕の情報が入れば全部ファッション産業に情報が入るという高度な政策的な意図があるからです。これに対して、日本はいまだに一回も国際委員会を開いたことがない、開催国になったことがないというような状況です。
 別にこれは農水省にどうだと言っておとがめをしてくださいという話ではなくて、むしろこういう芽が従来の産業の中から生まれ、新しいイノベーションとして起こっている。だけれども、それをちゃんととらまえることができていない。それについて特許だとか知財マネジメントがどういう形で入ってビジネスモデルを形成すれば、先ほどの話に出ているような、例えばクローズとオープンの関係性の中でやれるのか、と。
 例えば、新しい品種の卵をどういうふうにクローズしながら絹という形でのオープンができるのか、そういうようなモデルがありえるわけです。つまり、これは実は農業であるのですが、しかし一方で工業と同じような先端産業としてとらえないといけないんじゃないかと思います。これは一例なんです。たまたま蚕の話なんですけれども、農業関係のそういうものが山ほど出てきている状況だと思いますので、その辺が今後省庁間連携のもとに、もう一回イノベーションとして見直されたら良いのではないかと考える次第です。そこで我々は知財マネジメント、あるいは人材育成としてどうかかわれるのかなというのを非常に痛感したものなので、ちょっとご紹介をさせていただきました。
 ありがとうございました。以上でございます。
○相澤会長 大変重要なご紹介をいただきました。
 これはどちらかといえば、知財からさらにイノベーション政策そのものにかかわることであろうかと思います。これは総合科学技術会議としても反映させるよう検討させていただきます。
 そのほかいかがでございましょうか。
 佐藤委員。
○佐藤委員 これは前田委員が先ほどお話しされた大学の知財化のお話ですが、最近2つばかり大学の産学連携のコンソーシアムづくりをやっていて、大学発のシーズの権利をずっと見ていますと、基本特許のところで失敗しているものが非常に多いですね。ですから、先ほど前田委員が後で虫食いと言いますけれども、虫食い以前に最初の段階で失敗をしているというのが多い。それはほとんどシーズの段階では、大学の中で本当にそれにまだ気がついていない。したがって、論文で出ちゃった。それで、そのために出願しなかったというのもあるし、また出したとしても論文そのものが出願で出てしまう。そのために、ちゃんとした基本特許ができていない。したがって、それを移転しようにも、今度は企業側がもらっても権利そのものがしっかりしていないので、非常に使用がしにくい。ここは本当に考えていかないと、形だけ産学連携を進めていっても、結局は移すべきものがうまくできてないというところでつまずいてしまうというのを最近つぶさにいろいろな事例で感じているんですね。
 そういう意味では、大学の研究開発のイニシャルステージというのは、なかなかその発明が本当に大事なのかどうかと気がつきにくいわけですけれども、そこを常に研究開発と知財の人たちがうまく連携しながら、シーズを早くキャッチアップして権利化していくという作業を本格的にやらないと、これからの大学のシーズを市場化するといっても、本当にそうならないんじゃないか。iPSに関してもそうですけれども、結局は最初の段階で本当に気がついていないものですから、出し方も必ずしも十分な手が届いてないというところがあって、この問題は本当に考えなきゃいけないかなというふうに最近つくづく思っております。
○相澤会長 中山委員。
○中山委員 この報告書自体は先ほど言いましたようにこれで結構だと思いますけれども、スピードという点と実行力という点について少しお話をしたいと思います。
 先ほど佐藤委員からお話がございましたスピード、極めて大事だと私も思っておりますけれども、実はこの会議は最初のうちは極めてスピード感があったわけです。総理が施政方針演説をされて、直後に戦略会議ができて、すぐ知財基本法をつくって、戦略本部を立ち上げ、そして10余りの法改正を行い、施策を行ってきました。従来の霞ヶ関の常識からすると考えられないくらい速く行ってきたけれども、ちょっとここのところ少し足踏みをしているのではないか。当初のスピード感を取り戻して私もやっていただきたいと思っております。
 それから、実行力という点ですけれども、これは知財本部がもっと強くなっていただきたいと思っております。ここ数年間、非常に立派な文書をつくってまいりましたけれども、本当にこの文書どおりいっているのかなという感じがしております。戦略会議のときは、戦略会議の本部員みずからが各官庁の10ぐらいの官庁の課長クラスを呼んで、がんがん本部員みずから交渉をしたわけですね。これやれ、あれやれと、できません、できるはずだと。こうしてやったわけですけれども、最近はだんだんとおとなしい会議になってまいりまして、ここで作文をするというだけの会議になってきているという感じがするわけです。戦略本部が各官庁を超えた上の立場にあるはずですから、戦略本部がみずから進んで各官庁にもっと力を発揮してほしい。特に財務省といいますか、金銭的な裏づけがないと政策がなかなか実行できませんので、ぜひその点は力をふるっていただきたいと思っております。
○相澤会長 ありがとうございました。
 どうぞ、前田委員。
○前田委員 佐藤委員がさきほど大学の知財のことをお話されましたけれども、まさしくそのとおりだと思います。ある程度、知的財産本部は立ち上がったので、大学で自前でやりなさいという方向に今なってきています。私が関わらせていただいているところは、医大です。医学系は、大切な特許が出てくるのですけれども、医大はお医者さんをそろえるので精いっぱいなんですね。ちゃんとした教員を知財本部に置くかという話になったら、1人でも看護師さんやお医者さんを増やしたいのが現状で、本当に大変な状況だと思っています。
 でも、産学連携のところである程度、質が担保できるような特許をつくろうと思ったら、そこに優秀な人がいないと出てこないのが現状で、全国の医大のところに眠っている技術がたくさんありますので、何とかするべきだと思いますし、全部の学校の中で自前でと言われても、やはりお医者さんの学校はそちらが先に回ってきて、運営交付金を1%ずつ減らすよと言われたときに、知財本部に人件費を割けるかという問題が絶対出てくると思います。
 是非とも、技術が権利化されずに出ていくことのないようにしていってもらいたいなというふうに日々思っています。
○相澤会長 どうぞ、岡内委員。
○岡内委員 実際に大学の技術を使うほうの立場として、正直言うと非常に使いにくい。そのうちの一つは、例えばこういう技術ができたから実用化してくれませんかというアイデアを大学から持ってきていただけるときに、それではひょっとすると使えるかもしれないからと思って食いつこうとしても、一番最初にやらなきゃならないことは、私どもとすれば市場調査です。そのためには、ある程度の現物と理論を知らないと市場の調査もできない。そういったときに、向こうから声をかけられているにもかかわらず、えらく長くて忘れてしまうので書いてきたんですけれども、見本を下さいと言いましたら、「研究成果有体物無償提供契約書」というものにサインをしなければならない。理論も教えてくださいというと、当然ながらと言っても守秘義務契約をやってくれ。さらに、それが事業化するためにつくれるかどうかの確認となると、それは共同研究契約をしてもらわなきゃならない。それをするためには契約金が要ると言われて、最終的には何もわからないで契約金を払わなきゃならない。こういう状況が1個箇所や2箇所じゃないんですね。
 そのとき、確かにやがては何百億という市場であれば、それはそういうことも必要かもしれませんけれども、私どもの簡易分析でやっているのは1億もあったらいいほうで、それの見きわめができない。要するに、市場の大きさを見きわめができないために、すべて何百億という事業化を想定した契約書なんです。
 契約書自体が1センチまでいきませんけれども、かなりのページにわたりまして、それを見なくてもいいじゃないかとも思いますけれども、中には間違いがございまして、この前も研究期間の日付が違っている。終了期間の日付が違って、一通り目を通さなきゃならないとなると、ちょっと間を置いておこうかと。本当でしたらすぐ見本をちょうだいして、翌週から動けるところがそれらの契約書のために4カ月おくれました。こういうことをぜひ簡易的な契約というのを2段階ぐらいに分けてもらいたい。
 中小企業は裏切りません。といいますのは、中小企業は裏切ったらその会社は終わりになってしまいます。もたもたしている間に裏で全部調査をして、逃げ道がないかと調べるのは大手さんが多いわけですね。合っているかどうかわかりませんけれども、でもそういったところでも一つの中小企業ラインというものを設定していただけると、私どもも気楽に、早く契約をして市場調査をやっていくことができると。
 みんなそれを担当者に言うと、そのとおりですと。でも、上から指示が来ていると、私どもではどうにもなりませんという言葉なので、それでは上のほうで一言そういうのがあれば済むのではないか。どこかに、何かの機会に契約書の二本立てというのでも入れていただけるとすごくありがたいなと思っています。
○相澤会長 それでは、前田委員。
○前田委員 知財本部は管理する場所になっている学校が多いと思うんですね。私は、違うと思うんです。コンビニのように、あって良かったねという、開いていて良かったねという場所で、先生方のよろず相談であったり、企業の方が漠然としたこういう研究をしたいんだけれども、どこの先生がいますかとか、共同研究のところからまず始めたいので、まずライセンスと言わないでくださいという方をつないだりする、すべてのものに対応する部署であるべきなんですね。
 コンビニじゃなきゃいけなくて、管理する場所であっては皆さんに煙たがられる場所になってしまうんです。契約などケース・バイ・ケースにすることの大変さがあったり、簡単な契約書を結びましょうといったときに、どの程度どういうリスクが起こるかわからないので、嫌だという話になったりしがちだと思うんですね。本学は、できるだけ企業の求めに応じて簡単なものを結ばせていただいたりしています。
 あとライセンスという話になると、長くなってしまうので、まず共同研究からという話になることがあります。しかし、そうすると本部署が幾ら売り上げたのかと成果を言われたときに、成果という数字になっていないんですよ。全然売り上げてないじゃないか、去年と同じ、去年より下がったじゃないかと言われてしまいます。産学連携に関して一元化されていなく、共同研究を管轄している部署、ライセンスしている部署、特許を管理している部署、全部分かれている学校がすごく多いんですけれども、それが一元化されていて、企業さんのお望みのところに落とし込めるような知財本部でないといけないし、それができる人が学校の中にいないといけないと思っています。何とかしないと学校で生まれる基本的な良い技術が日本で守れなくなってしまうのではないかというのは、日々すごく強く感じています。
○相澤会長 いかがですか。
 渡部委員。
○渡部委員 先ほど来大学の基本特許をいかにしっかりした状態で出してくるかというのは、今回採用していただいた28ページの重要特許の獲得に向けてインセンティブの向上で、少なくとも国原資のグラントがあるときには、早く相談して知財のことを意識してやりましょうというところは、多分貢献するんではないかと思います。ともかくグラントを取る手前というのは研究者は一生懸命なので、成果が出てます、出てますと前倒しで、前のめりになって、いろいろディスクローズをしていきますので、そういうところでこれを上手にうまく使っていただいて上質の知財にできるように誘導するというのが重要ではないかなというふうに思います。
 それから、先ほど岡内委員が言われた契約の問題ですが、マクロにも多少そういうデータが出ていて、ちょっと今回はまだそこを議論するのは早いなと思ったので、ご紹介してないんですけれども、大学の法人化以降の知財管理のいろいろなルールを決めて、システムをつくったことの影響というのは、いい面と多少問題がある面も出てきているなと思っていて、いい面というのは、これはむしろ知財管理が進むと中小企業のほうにも公平な働きかけが出てくるので、中小企業には恩恵がある面がある。大学側のほうにとっては、ライセンスというのは、その場で企業からお金をいただかなくてもいいんですね。ライセンスって、将来出世払いでもいいということである程度活動できる。キャッシュのない相手でもある程度活動ができると言っていらっしゃる大学もおられて、恐らくそこは多少中小企業側にメリットがあるんだと思います。
 ただ、一方で例えば知財管理を強化すると、共同研究にどう影響しているかを見ますと、共同研究の件数より今最近寄附金の件数のほうがふえてきていて、これが何なのかということなのですが、どうも余り大学がうるさいと企業は面倒くさいのでまたもとに戻ってしまって、寄附金で処理しているという傾向も多少はあるような感じで、寄附金の場合は当然対価関係になるものではないので、中身はわからないので、そこの調査は難しいんですけれども、現象的には知財管理のレベルを上げた大学のほうが寄附金の件数がふえてしまっているという格好になっていて、ここをどういうふうにしたらいいかというのは、もう少し議論というか、いろいろ産学の方で議論しないといけないんですけれども、ユーザーに対してある程度敷居が余り高過ぎるような形になるとそういうふうになって、そうすると今度はまた見えないところで知財の喪失が起きるような格好になってしまうことも気になるので、そういうところをちょっと今後個別の課題としてやっていかなきゃいけないかなというふうに考えております。
○相澤会長 どうぞ。
○岡内委員 現実問題として今本当に先生のおっしゃるとおりでございまして、共同研究が面倒くさかったら寄附金でもいいですよというお誘いを受けるんですけれども、最終的に何だ、金集めかという印象になっていまいまして、それよりも本当に契約金が少ない、そしてあとそれこそ出来高払いといいますか、そちらのほうにシフトをしていっていただけると、着手しても実際にそれが製品に上がるのは10に1つです。90%は残念ながら契約金は無駄になっている。無駄ではないかもしれないんですけれども、少なくとも企業にとってはこれは単なる投資だったということになりますので、できるだけ最初の金額を低くしてスタートをして、市場調査をして、広くそれを広げて製品化の数を増やしていきたい。ぜひお願いしたいと思います。
○相澤会長 大変具体的な問題になってまいりましたので、こういうようなところが実はこういう知財戦略に取り組むところで大変重要な、同時にモチベーションになるかと思います。先ほど中山委員から、本部としてスピード感とか、あるいは実行力というものが鈍っているのではないかというご指摘がございましたが、同時にいろいろな制度上の改革等がかなり進展してきているという面もあります。
 ただ、いまのご議論のように、制度上何もバリアはないはずであるが、実施される段階で、そのフレキシビリティを十分に生かし切れてないと、そういうような問題もあり、それからもっと根本的な問題もありということでございます。本日第3期に対する基本的な方針は固まりましたので、次期の推進計画を策定するような段階で反映させて生かしていただきたいと思います。
 それでは、いろいろとご意見をいただきましたので、自由討議の時間も以上とさせていただきます。そして、この専門調査会としては、今回が一区切りとなります。
 そこで、報告書にまとめられましたように、大変長い間熱のこもったご議論をいただきまして、委員の皆様のご貢献によりこういう形に仕上げることができました。会長といたしましても、心から感謝申し上げます。
 それでは、最後になりますので、事務局長から一言ごあいさついただければと思います。
○素川事務局長 委員の先生方におかれましては、本当にご多用のところ熱心にご参加いただき、ご尽力いただきましたことを改めて事務局を代表いたしましてお礼を申し上げたいと思います。
 本日、おまとめいただきました第3期の基本方針のあり方について、これにつきましては、会長からお話もありましたように、次の知財本部会合での審議を踏まえまして、第3期の初年度に当たります知財推進計画2009にしっかりと位置づけてまいりたいと考えているところでございます。
 また、ただいまご指摘のありましたスピード感、実行力の点につきましては、心して知財戦略の推進に事務局として邁進してまいりたいと思っておりますので、引き続きのご指導をよろしくお願いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○相澤会長 それでは、これで閉会させていただきます。
 どうもありがとうございました。