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第1回 先端医療特許検討委員会 議事録

  1. 開 会 : 平成20年11月25日(火)9:00〜11:00
  2. 場 所 : 知的財産戦略推進事務局会議室
  3. 出席者 :
    【委 員】 金澤委員長、片倉委員、北川委員、小泉委員、白石委員、須田委員、中内委員、長岡委員、羽生田委員、林委員、本田委員、渡辺委員
    【参考人】 外口医政局長、南特許技監、梅垣専門官、田村審査基準室長
    【事務局】 素川事務局長、内山次長、小川参事官、高山参事官
  4. 議 事 :
    (1) 開  会
    (2) 先端医療特許検討委員会の運営について
    (3) 今後の進め方について
    (4) 先端医療分野における特許保護の現状と課題について
    (5) 自由討議
    (6) 閉  会

○素川事務局長 失礼いたします。定刻でございますので、まだ1人お見えでございませんけれども、先端医療特許検討委員会第1回会合を開会させていただきます。
 本日はご多忙のところをお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
 私は、知的財産戦略推進事務局長の素川でございます。委員会の開会に当たりまして、私より一言ご説明をさせていただきたいと思います。
 現在、医療分野におきましては、iPS細胞に係る研究の進展など、先端医療の実現に向けた世界的な研究競争が激化しているわけでございます。このような状況を踏まえまして、お手元の資料1にございますけれども、知的財産推進計画2008におきまして、先端医療分野における適切な特許保護の在り方について検討を行うことといたしまして、本委員会が設置されたわけでございます。なお、この委員会の設置の趣旨等につきましては、お手元の資料2のとおりとなっているわけでございます。
 本委員会の委員の皆様方は、知的財産による競争力強化専門調査会の委員の中から専門調査会会長によりまして指名されたわけでございまして、委員長には金澤一郎委員が指名されているところでございます。
 今回は初めての会合でもございますので、私の方から各委員の皆様方のご紹介をさせていただきたいと思います。それでは、順にご紹介させていただきます。
 片倉健男委員でございます。
○片倉委員 よろしくお願いします。
○素川事務局長 北川全委員でございます。
○北川委員 よろしくお願いいたします。
○素川事務局長 小泉直樹委員でございます。
○小泉委員 よろしくお願いします。
○素川事務局長 それから、佐藤辰彦委員は本日所用のためにご欠席されておられます。
 白石小百合委員でございます。
○素川事務局長 須田年生委員でございます。
○須田委員 よろしくお願いします。
○素川事務局長 須田委員におかれましては、委員長代理に指名されております。
 永井良三委員は本日所用のためにご欠席されておられます。
 中内啓光委員でございます。
○中内委員 よろしくお願いします。
○素川事務局長 長岡貞男委員でございます。
○長岡委員 よろしくお願いします。長岡です。
○素川事務局長 羽生田俊委員でございます。
○羽生田委員 よろしくお願いいたします。
○素川事務局長 林いづみ委員でございます。
○林委員 よろしくお願いいたします。
○素川事務局長 本田麻由美委員でございます。
○本田委員 よろしくお願いします。
○素川事務局長 渡辺裕二委員でございます。
○渡辺委員 よろしくお願いします。
○素川事務局長 それでは、金澤委員長、以後の議事進行をよろしくお願い申し上げます。
○金澤委員長 ただいまご紹介いただきました金澤でございます。立場上、座長を務めさせていただくことをお許しいただきたいと思います。つまらないことを申しますが、大分前のことになりますけれども、野依先生とお話をしているときに、「おれは特許みたいなものは大嫌いだ」とおっしゃるんです。「なぜかというと、自分が作ったものを多くの人に使ってもらうのに邪魔だ」とおっしゃったのを非常に印象深く覚えておりますが、そう言っていられない世の中ということを理解しております。皆さん方のお知恵をいただきましてこの職責が果たせればと思っております。どうぞご協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは最初に、議論に入ります前に、この会の運営につきまして少しご説明、ご了承いただきたいと思います。ご存じと思いますが、多くの会は原則公開でございまして、この会も公開にしたいと思っております。なお、会議終了後に皆さん方のご発言をまとめまして、だれが話したかは書きませんけれども、議論そのものを公開することにしたいと思いますが、詳細につきましては、「別紙をご覧ください」と書いてあるけれども、ありますね、資料4。わかりました。そういえば資料の説明をしていなかったな。
○素川事務局長 発言者名は付しますので。
○金澤委員長 付したか。失礼しました。僕は付さないでと思っておりましたが、付してだそうです。だからといって発言の内容が変わることはないと信じますので、よろしくお願いしたいと思いますが、資料4に定めてあるそうでございますので、どうぞご覧ください。いかがでしょうか。それでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、そのように決めさせていただきます。
 議事に入らせていただきましょう。今後の進め方について、事務局から説明してください。
○内山事務局次長 それでは、資料5をご覧いただきたいと存じます。
 検討の課題はこのとおりでございます。
 検討の進め方でございますけれども、第1に、今後のスケジュールといたしましては、来年5月ごろを目途に取りまとめを行うということ。取りまとめに際しましては、インターネット等を通じまして、広く意見募集を行う。いわゆるパブリックコメントを行うこととしたいと存じます。
 第2に、本日からの審議の進め方でございますけれども、これまでの検討の経緯、各国制度との相違、先端医療研究の現状等に関する事実関係の把握、先端医療分野における有識者からのヒアリングなどを順次行ってまいりまして、現状と課題を整理いたしまして、その後、先端医療分野における特許保護の在り方について審議を進めるということでございます。
 第3といたしまして、参考人についてでございますけれども、厚生労働省医政局長及び経済産業省特許庁特許技監につきましては、参考人として検討委員会への毎回の出席を求めるとともに、別途、必要に応じまして参考人の出席を求めることとしたいと存じます。
 3番目でございますけれども、当面の日程は、年度内について、2ページ目に記してございます。第1回、本日11月25日の委員会におきましては、今後の進め方と、先端医療分野における特許保護の現状と課題について、自由討議ということになってございます。その後、12月22日に第2回、年が明けまして1月26日第3回、2月6日第4回、2月16日第5回、3月2日第6回、これが年度内の予定でございます。年度が明けまして、来年度の4月から5月にかけまして2ないし3回の委員会を予定しているところでございます。
 以上でございます。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 ただいまの資料5にありますような進め方及びスケジュールでよろしいでしょうか。
 よろしくお願いいたします。
 それでは、私から参考人紹介ということなんですけれども、僕は参考人という言葉が大嫌いなんですよ。それで、厚労省のいろいろな会の座長をさせられたときにもいつも参考人というので、頭にきまして、特別ゲストと呼んでくれと僕は言っていますので、その厚労省から外口さん、後でお話をいただきますが、それから特許庁から南技監にお越しいただいております。よろしくお願いします。
 今日はプレゼンテーションをしていただく関係もありまして、厚労省の梅垣ヒト幹細胞臨床研究対策専門官、それから特許庁から田村審査基準室長にもお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
 ここで「カメラ退出」と書いてありますが、カメラはいないですね。
 それでは、早速議事に入りたいと思いますが、先端医療分野における特許保護の現状と課題についてということでありまして、これが実は非常に大事なところで、これまで何回か検討がなされておりまして、その経緯と審査基準の運用状況につきまして、これは事務局から、内山さんからですか、よろしくお願いします。
○内山事務局次長 それでは、資料6をご参照いただければと存じます。
 ページをめくっていただきまして、これまでの検討の経緯でございますけれども、この6年ないし7年間におきまして、医療分野の特許保護の在り方につきましては、このページにございますように、何回か議論が重ねられてきております。このうち、実質的に本格的に審議され、報告書が取りまとめられ、その結論を踏まえ特許審査基準の改訂が行われたのが、このAとBの2回でございます。産業構造審議会、それから知財本部の医療特許専門調査会でございます。そして、昨年末でございますが、皆様方ご記憶、ご案内のとおり、京大の山中先生のiPS細胞の作製発表を受けまして、D、Eにございますように、先端医療分野における特許保護の在り方を検討すべきだという動きとなりまして、本委員会が設置され、本日からご検討いただくことになったわけでございます。
 次のページをめくっていただきます。@の部分でございますけれども、平成14年6月に総合科学技術会議におきまして「知的財産戦略について 中間まとめ」がございます。
 最初の「・」にございますように、先端医療分野における技術革新とともに、先端医療に係る一部のプロセス、遺伝子・細胞処理であったり、人工皮膚の作成など生物由来製品の生産など、これにつきましては医師以外の大学発ベンチャー等により担われる傾向にあったわけでございます。
 次の「・」にございますように、こうした先端医療分野の技術革新の推進、そして新産業創出を進めるという観点から、生物由来製品の加工・処理・生産等に係る医療関連発明について特許化を図る。この際、医師が医師としての義務を遂行することに影響を及ぼさないように配慮した制度整備を検討する。
 こういう取りまとめが行われまして、これを受けて、知財本部の前身でございます知財戦略会議におきまして「知的財産戦略大綱」が平成14年7月に取りまとめられております。その中で、再生医療・遺伝子治療関連技術の特許法における取り扱いの明確化ということにつきまして、2002年度中に法改正及び審査基準改訂の必要性について検討し、結論を得るとされたわけでございます。
 3ページ目には参考というとことで、その検討をめぐる状況等がございます。特許法上の運用では、特許法上、人間を手術、治療、診断する方法を特許対象外とするという具体的な規定はないのでございますけれども、運用上、こうした発明につきましては「産業上利用することができる発明」に該当しないという整理がされて、特許保護の対象外とされてございます。
 また、下に東京高裁の判決がございますけれども、同会議での検討開始直後に東京高裁の判決が出て、医療分野の特許保護の在り方に関する議論に拍車がかかるといった状況がございました。
 4ページ目をめくっていただきます。過去の検討の経緯でございます。こうした動きを受けまして、産業構造審議会の特許制度小委員会医療行為ワーキンググループが平成14年10月から開かれまして、翌平成15年6月に報告書が取りまとめられております。その中で、1つ目の「・」にございますように、医療関連行為一般を特許対象とすることの是非につきましては、合意形成をするには至らなかった。ただ、2つ目の「・」にございますように、人間に由来するものを原料または材料として医薬品または医療機器、例えば培養皮膚シート等でございますけれども、こういったものを製造する方法につきましては、特許付与の対象とすることを明示するよう、特許審査基準の改訂を行うことが適当であるとされたわけでございます。これを受けまして、平成15年8月に特許審査基準の改訂が行われまして、遺伝子組み換え製剤などの医薬品、バイオ皮膚シート等の医療材料を製造するための方法につきましては、同一人に戻すことを前提としている場合であっても特許の対象とすることを明示したわけでございます。
 次のページには、その際の審査基準の抜粋がございます。これは前段と後段に分かれておりまして、前段にあります血液透析方法というのは、病院におきまして同時に処理されており、産業サイドの関与もないということで、これにつきましては「人間を手術、治療又は診断する方法」に該当するということで、特許付与の対象外としております。他方、後段にございますように、「人間から採取したものを原材料として医薬品又は医療材料を製造するための方法は、人間から採取したものを採取した者と同一人に治療のために戻すことを前提にして処理する方法であっても、「人間を手術、治療又は診断する方法」に該当しない」ということで、特許付与対象としているところでございます。
 続きまして6ページをお開きいただきます。次に実質的・本格的な検討が行われましたのが、知財本部における医療関連行為特許保護専門調査会でございます。当時京大の総長であられました井村先生を座長とする専門調査会におきまして検討が進められまして、平成16年11月に報告書の取りまとめが行われております。その内容の要旨でございますけれども、1番目の「・」にございますように、医師の行為に係る技術については、「医療」の特質にかんがみ慎重な配慮が必要であり、検討の対象から除外する。2つ目の「・」にございますが、「医療機器の作動方法」については、医師の行為に係る技術を含めないことを前提に「医療機器の作動方法」全体を特許の対象とすべきであるとしてございます。3番目の「・」にございますが、「医薬の製造・販売のために医薬の新しい効能・効果を発現させる方法」の技術については、権利の効力の問題にも配慮しながら、物の特許として保護すべきであるとしてございます。最後の「・」にございますように、現時点では予見しがたいような影響あるいは懸念もありうるということにもかんがみまして、医療に悪影響を及ぼさないようフォローアップを行うなど、引き続き慎重に配慮していくことが必要であるとされたわけでございます。
 この取りまとめを受けまして、平成17年4月に特許審査基準の改訂が行われてございます。「医療機器の作動方法」は、医療機器自体に備わる機能を方法として表現したものであって、特許の対象であることを明示する。第2番目といたしまして、複数の医薬の組み合わせや投与間隔・投与量などの治療の態様で特定しようとする医薬発明についても、「物の発明」であるので「産業上利用することができる発明」として扱うことを明示することとされたわけでございます。
 7ページ、それから8ページにわたりまして、審査基準の事例が2つございます。後ほど特許庁の方から詳細な説明があると思いますけれども、事例@につきましては、X線CT装置の制御方法ということでございます。ここに特許請求の範囲ということで、X線を発生する工程、あるいは人体を透過したX線を検出する工程、そして画像データに変換し表示する工程、こういった3つの工程の流れを処理手順として、制御方法として特許化するということでございます。
 それから、次のページを見ていただきますと、審査基準の事例Aがございまして、特定の投与間隔・投与量の採用により特定の患者群に顕著な効果のあるものの事例でございます。初回にX量で投与いたしまして、その後1回当たりY量で隔日投与されることを特徴とする、α型の遺伝子型を有する患者を治療するための、化合物Aを含有するC型肝炎治療薬ということです。これまで低用量でほとんど余り効かなかったものが、特定の患者群、α型の遺伝子型を有する患者の方につきましては、副作用が出ず、何十倍もの投与量が可能となったということで、治療効果のある実質的な新薬として認められたという事例でございます。
9ページ目をご覧いただきますと、昨年の夏から秋にかけまして知財本部ではこの競争力強化専門調査会の中で分野別の知財戦略というものを検討したわけでございますけれども、その報告書の中で医療分野に係るところがございます。それをご紹介いたしますと、まず医療分野における特許権の保護対象の在り方につきましては、医療技術の発展を図る必要がある一方で、国民の生命や健康にかかわり、社会経済的にも重要な問題であるということから、慎重な配慮が必要であるとされております。そして、近年改訂した特許審査基準の運用状況を注視しながら、今後とも上記2つの要請のバランスの上に立った最適な制度の在り方を引き続き追求するとされていたわけでございます。
 10ページ目をご覧いただきますと、こういった分野別知財戦略の検討の後、皆様ご案内のとおり、平成19年の末にかけまして、京大山中先生のiPS細胞に係る発明を契機といたしまして、総合科学技術会議におきましても知財面での戦略的な取り組みの必要性が強調されたわけでございます。そこで、平成20年5月に総合科学技術会議の決定がなされております。その中で、下の方にございますように、iPS細胞関連技術を含めた先端医療分野における適切な知的財産保護のあり方について、直ちに検討を開始し、早急に結論を得るとされたわけでございます。
 次のページをめくっていただきますと、こういった決定を受けまして、今年6月に知財推進計画2008が知財本部決定されております。その中で、ここにございますように、医療分野に広く応用可能で国際的な研究開発競争や知財取得競争が激化しているiPS細胞関連技術を含む先端医療分野における適切な特許保護の在り方について、2008年度から直ちに検討を開始し、早急に結論を得るとされて、これを受けまして本委員会における検討となったわけでございます。
 最後に、次のページでございますけれども、これまで2度にわたりまして医療分野における審査基準の改訂がなされておりますけれども、その運用状況を見てみたいと思います。
 まず、平成15年8月の審査基準改訂によりまして、ここにございますように、人間由来のものを原材料とする医療材料等を製造するための方法の発明が特許対象になったわけでございますが、これまでの登録件数は22件でございます。
 次に、平成17年4月の審査基準改訂によりまして、装置の作動方法の発明が特許対象になりましたが、それにつきましては76件ございます。それから、2番目の投与間隔・投与量等の治療の態様で特定される医薬の発明につきましては、下にございますように1件ということでございます。
 以上でございます。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 かなりコンパクトに説明してもらったんですが、何かご質問、ご意見はございますでしょうか。後ほどまとめて議論の時間を設けますので、そのときでも結構ですけれども、スペシフィックに今の話にご質問がありましたら、どうぞ。
 よろしいですか。では、とりあえず先へ進んでみましょうか。
 次は、「再生医療〜iPSを含む先端医療技術〜現状と課題」ということで、少し広い範囲の話として、梅垣さんからご説明いただきましょうか。よろしくお願いします。
○厚生労働省梅垣専門官 本日は、私、厚労省から、再生医療に関して、普段余り再生医療になじみのない方にもわかるようなプレゼンをということでご依頼をいただきまして、日本の再生医療をリードされている先生方の前でこんな話をさせていただくのは大変恐縮なんですけれども、そういった形でのプレゼンをさせていただきますので、よろしくお願いいたします。資料7を使ってご説明をさせていただきたいと存じます。
 1枚おめくりいただきまして、再生医療への期待ということで、これはアメリカの雑誌からとらせていただいた記事なんですが、再生医療の期待というのは10年以上前から非常に高くなっております。ご覧いただくように、骨とか皮膚あるいは内臓系とか神経までといったもので再生医療が可能なのではないかということで、様々な企業、大学の先生方が研究を進められているという状況であると認識しております。
 次をおめくりいただきます。一言で再生医療と申しまして、明確な定義があるわけではないようなのですが、一応こういった黄色の四角の中で囲んでいるような定義ということで書かせていただいております。「本人もしくは他人の細胞・組織を培養等加工し、障害のある臓器の代わりに用いることにより、失われた組織や臓器を修復・再生する医療」と書かせていただきました。
 特に最近のiPS細胞の樹立以来注目を集めておりますのが、各種幹細胞を使った幹細胞由来製品による再生医療なのではないかと認識しております。下半分の図をご覧いただきますと、まず基本的なプロセスを少し書かせていただいているのですが、まず@として、細胞をとる。これは、ここに書かせていただいております体性幹細胞あるいはES細胞、それからiPS細胞でございます。ES細胞、iPS細胞はまだ臨床応用されておりませんで、体性幹細胞が臨床に応用されているという段階でございます。そして採取されてきました幹細胞をAのように、細胞培養技術とか組織工学といった技術を用いまして、セルプロセッシングセンターという特殊な空間において細胞を調製・加工し、製品・製剤化するというものでございます。その中で目的とする細胞組織への分化誘導を行いまして、角膜とか神経、心筋といったものにかわり得るようなものを作るということでございます。そして最後に、でき上がったものを患者様に移植・投与するといった流れになっております。
 次をおめくりください。再生医療またはもう少し広くとりまして細胞治療というものの歴史を簡単にまとめております。
 最も早くから行われた細胞を使った治療は輸血なのではないかと思います。また、幹細胞という概念は、この輸血の中から出てきた造血幹細胞、赤血球とか、白血球とか、いろいろな細胞になり得る造血幹細胞というものが見つかって、そこから出てきた概念なのではないかなと思っております。
 1970年代にグリーンというアメリカの先生が、いわゆる表皮とかを使った、もう既に分化した細胞、でき上がった細胞を成人から取り出して、これを培養する技術を確立されております。軟骨においても同じような技術ができております。
 そして、1987年には、米国で自家培養表皮がFDAの承認、いわゆる医薬品としての承認を得ております。
 そして、1993年には、Langer、Vacantiという2人の先生がいわゆるTissue engineeringという概念を提唱いたしました。細胞をそのまま使うのではなくて、生分解性の高分子等と組み合わせることによって、移植可能な組織・臓器を形成するというものでございます。右にある写真は、よくこれが出たときには非常に衝撃を持って出てきましたけれども、耳の形をうまく作って、それをマウスにくっつけているといった写真です。こういった耳のような形もこういったTissue engineeringの技術を使えば可能になるということでございます。
 1997年には自家培養軟骨が承認されております。
 そして、1998年に、ヒトES細胞。マウスの方はもう10年以上前にできていたものですけれども、ヒトのES細胞がトムソンによって発表されております。
 また、翌年、ヒトの骨髄間質細胞、骨髄からとれる細胞ですが、この中に非常に多能性を持った細胞があるといった報告もされておりまして、ES細胞は非常に倫理的な問題もありますのでなかなか使いにくい。それに比べてこの骨髄間質細胞はそういった問題が非常に少ないということで、各国で主にこういった体性幹細胞を用いた臨床試験が、この以前からも行われているとは思いますが、このころから非常に盛んに行われるようになっております。
 2007年10月には、日本でも細胞治療製品が初めて薬事承認を取りまして、その翌月になりますけれども、ヒトiPS細胞が山中先生、トムソンによって発表されております。
 おめくりいただきます。幹細胞の定義はどんなものかということで、簡単に図でまとめさせていただいております。簡単に言いますと、自己複製能と分化能、この2つがあるものを幹細胞というのではないかと思っております。自己複製能というのは、自分と同じ未分化な細胞をどんどん作っていく。細胞分裂をすることによって作っていく能力。そして分化能というのは、未分化な細胞と、もう一つ分化の方向づけをされた一つの細胞、皮膚とか角膜とか神経とか、そういった分化の方向づけをされた細胞を作るという分化能です。これによっていわゆる目的とする分化細胞を大量に製造することが可能になるということでございます。
 次をおめくりいただきます。分化細胞という言葉が出てまいりましたけれども、いわゆるすべての分化細胞、皮膚細胞、血管の細胞、肝臓の細胞、こういったものはより未分化な細胞がもともとあって、そこから分化を進めることによってできてくるというものでございます。通常は、一番左側にありますpluripotent、分化万能性を持った細胞が分化を続けていろいろな組織になっていき、右の方に行くにつれて分化されたものということになっております。ただし、「脱分化」と書いていますけれども、一旦分化が進んだものをもう一度、より未分化のものに戻すといった作業があったりとか、山中先生がiPS細胞を作られましたけれども、Reprogrammingということで、最も左側の分化能の低い細胞に戻すようなことも可能になったということでございます。
 おめくりいただきます。幹細胞の主なものの種類ということで、既に応用済みのもの、それから応用可能性があるとされている幹細胞について、簡単にまとめさせていただいております。
 ヒト体性幹細胞、一番左でございますが、これは既に臨床研究で用いられております。通常は、皮膚とか角膜とか、決まったものにしか分化しないと言われておりましたが、先ほど出てきましたように、骨髄や、あるいは脂肪組織の中に間葉系幹細胞というのがありまして、これは体性幹細胞としては非常に特定のものではなくて、様々なものに分化する可能性があるということで注目を今集めております。
 また、ヒトES細胞、iPS細胞でございますけれども、ES細胞は、ご存じのとおり受精卵の中から取り出した細胞から作られるものでございます。適当な培養条件を与えると、無限に増え続けることが可能、いわゆる株化細胞の一種でございます。臨床応用例はまだ行われていないということです。
 そして、右がiPS細胞でございますけれども、こちらはもともと既に分化している細胞に特異的な遺伝子等を導入することで、ES細胞と同じだと言われるような細胞ができるということがわかっております。こちらは、樹立方法については現在も改良がどんどん続けられているというのは、皆様、報道等でご存じかと思います。
 1枚おめくりいただきます。先ほど、ES細胞は受精卵から、iPS細胞はもともと分化した細胞から作られるということでございましたけれども、体性幹細胞については、非常に様々なところから採取されるということでございます。@の末梢血、いわゆる採血することによって取り出されるもの、あるいは骨髄を腸骨、腰の骨とか、いろいろなところからでございますけれども、骨を穿刺して骨髄液を取り出して、その中から取り出されるもの、それから脂肪組織から取り出されるもの、あるいは皮膚等から外科的に採取されて取り出されるもの、いろいろでございます。
 おめくりいただきます。いわゆる幹細胞の採取に関しては、医療行為が伴うということの認識でございますけれども、今度はその取り出された幹細胞がどのように加工されて再生医療に用いられるのかという加工の工程について少し見ていきたいと思います。これは典型例といいますか、技術が多岐にわたりますので、すべてこれに当てはまるというわけではないんですが、大体こういった形の過程をとるのではないかということで書かせていただいております。
 1番目に、まず取り出された幹細胞を分離して純化する。できるだけ純粋なものにする。それから、幹細胞を培養いたしまして、必要な細胞数に増やす。取り出されたものだけでは少なくてなかなか製品にならないという場合もございますので、こういった過程が必要かと思います。それから3番目に、目的の組織に分化誘導するという過程。そして最後に、分化した細胞を適当な形態に「製剤・製品化」と書いてございますけれども、人に投与できるような形にするといったプロセスでございます。
 おめくりいただきます。各工程においてはいろいろな技術があるかと思います。私も役所の立場からですので、余り細かいところまではということなんですが、大まかに見ますと大体こういったことになっているのかなと思っております。幹細胞の分離・純化する過程では、遠心分離を使うとか、酵素を使うとか、表面マーカーを使うなどという技術があるかなと。それから、幹細胞を培養する場合には、血清を使ったり、フィーダー細胞と呼ばれる、幹細胞と一緒に培養することで幹細胞の培養効率が上がるといったものを使う場合もあります。それから、分化誘導する際には、特異的な化合物を使ったり、遺伝子を使ったりといった種類の技術があるかと思います。非常にバリエーションが大きいだろうと思っております。
 おめくりいただきまして、先ほどの工程表の中の最終段階で、目的に応じた再生医療用製剤化・製品化ということでございます。こちらは、製品の態様というか、どういった形の製品にするかによって投与方法も大体決まってくるのではないかと思っております。これもまた例としてですけれども、いわゆる懸濁液のように液状にして、それを注射する、あるいは浸透させるといったケースもあります。それから2)で、シート状の物、人工物であったり、ヒト由来の組織であったりしますが、その上に細胞をまくような形で培養して、それを患部に貼りつける、あるいは縫合するといった移植方法。それから3)、固形物、人工の骨とかコラーゲンのジェルといったものに細胞を含ませて、それを患部に移植する。まだまだ他にもあるんだろうとは思いますが、大体こういったケースが典型的かなと思っております。
 次をおめくりいただきます。これは参考資料なんですが、こういった加工を行うセル・プロセッシング・センターというのがありまして、製品を無菌状態で作るために、こういった無菌室等を備えた施設が使われているということでございます。
 おめくりいただきます。先ほど例示しましたいろいろな種類の製品の事例なんですけれども、こちらは、まず末梢血から幹細胞を取り出してきて、それを分離した後で患者様の患部に直接打ち込み、血管再生するといった治療でございます。これは既に臨床研究で行われていることでございます。
 1枚おめくりいただきまして、こちらはシート状のものを使って患部に縫合するという例でございます。こちらは大阪大学の澤教授の資料からいただきましたが、こちらは筋肉から取り出した未分化な細胞を特殊なシートに貼りつけまして、それを心臓に移植するというものでございます。
 1枚おめくりいただきまして、こちらは固形物を使った製品でございます。こちらは骨の再生の製品ですけれども、まず骨髄から間葉系幹細胞を培養して、それをいわゆる人工の骨に定着させて、必要な数だけ培養して、このオレンジのところはセル・プロセッシング・センターで行われる作業でございますけれども、それができ上がったところで、手術室で患者さんに移植するといった例でございます。
 おめくりいただきまして、各種幹細胞の利点・問題点ということで、少し話が前後するのですが、挙げさせていただいております。三種三様なんですが、取り出し方に問題があるもの、取り出しやすいもの、それからいろいろなものに分化し得る、その分化能の違い、それから培養をどれだけさせられるかという制限の問題、そういった利点・問題点がそれぞれにありまして、うまくそれを使い分ける必要があるのかなと思っております。
 今、再生医療製品がどのようにして臨床研究や治験という形で行われているかというまとめを少し参考に紹介させていただきたいと思います。まず、臨床応用・臨床研究という形でするには、治験とそれ以外の臨床研究という形態がございます。治験というのは、薬事承認を前提としておりまして、薬事法によってその安全性とか倫理性が確保されているということです。関係法令というところにありますような法令によって安全性とか倫理性が保たれるような形で行われている。そして、それ以外の臨床研究というのがございますけれども、こちらに関しては従来いわゆる薬事法等の規制がなかったんですが、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」という指針が2年前に作られておりまして、こちらによって薬事法と少し似たような形で安全性・倫理性の確保が行われているという状況です。
 1枚おめくりいただきます。こちらの臨床研究に関する指針ですけれども、いわゆる安全性の確保に関する技術要件、こちらは先ほど申しました治験と同じようなレベルで安全性の確保が求められております。それから、実施基準ということで、プロトコールの妥当性とか、被験者の安全性とか個人情報保護といったことが中心になっております。
 おめくりいただきますと、今申し上げたようなことが具体的にはこういったことを基準に定められているということでございます。右の方の青い四角の中でございますけれども、採取段階における安全対策、調製段階における安全性対策、そして移植・投与段階における安全性対策ということで、先ほど申しましたようなプロセスに分けてこういった安全性対策がとられているという状況でございます。
 おめくりいただきまして、今までに臨床研究に関する指針で5つの研究が了承されております。指針ができる前から幾つか研究が行われておりましたので、今現在行われているのはこれよりももう少し他にもございますけれども、今のところこういった状況で、今も研究が行われているという状況でございます。
 おめくりいただきまして、再生医療を取り巻く先端医療技術ということで、こういった技術に支えられているのではないかということでまとめさせていただいております。一部少しこの言葉の定義としてどうなのかなというのもございますが、一番大きいのは、赤の丸でございますけれども、細胞の保存・培養・分化技術といった製品を作る技術というのが非常に大事であろうと。それから、それを裏づけるのには、青い丸でございます細胞組織工学、先ほどのTissue engineeringという技術。そして、iPS細胞などでは遺伝子工学も非常に重要な技術でございます。黄色い丸の部分は、今回の先端医療技術という部分に入らないのかもしれませんが、行っていく上では考えるべき内容でございます。そして、一番下の方にございますけれども、再生医療を行う上での周辺医療技術ということで、移植後の診断とか、移植を容易にするデバイスとか、そういったものもこういった再生医療を支える技術なのではないかと思っております。
 おめくりいただきますと、最後に、今まで厚労省でよく資料として出させていただく図なんですが、今のところこういった矢印の流れで、左の方が基礎研究段階、右の方へ行くと臨床応用に進んでいく。矢印の先端が今の日本の各技術の現状というか段階でございますけれども、こういった形で、皮膚、骨、軟骨、角膜といったところで非常に日本も世界をリードしているという状況でございます。
 以上でございます。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 先ほどと同じように、スペシフィックなご質問が今あればということですが、どうですか。
 少し教えてほしいんだけれども、追加してほしいんだけれども、6ページと7ページのところで、臍帯血はどうなりますか、どこに位置づけられますか。
○厚生労働省梅垣専門官 そうですね。ちょっと落ちておりましたが、臍帯血は体性幹細胞の一つではないかと思いますので、臍帯血からというご指摘でございます。
○金澤委員長 抜けているんだよね。
○厚生労働省梅垣専門官 はい。
○金澤委員長 他にどうですか。よろしいでしょうか。
 それでは、もう一つの話題を提供していただきたいと思いますが、「我が国と各国の特許制度比較〜医療分野」ということで、先ほどご紹介させていただきました特許庁の南特許技監からご説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○特許庁南特許技監 それでは、皆さんのお手元の資料8に基づいてご説明させていただきたいと思います。内容は冒頭事務局の方からご説明いただきましたものと多少ダブるところもありますが、少し詳細にご説明させていただきたいと思います。
 それでは、表紙をめくっていただきまして、まず我が国の医療関連技術の特許保護について、関連規定をご説明いたします。特許法29条第1項柱書には、先ほどご紹介のありました「産業上利用することができる説明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる」と規定されております。そして、特許庁の審査基準では、人間を手術、治療、診断する方法は「産業上利用することができる発明」に該当しないと解釈して運用しております。したがいまして、医療方法、すなわち人間を手術、治療、診断する方法は特許付与の対象外となっております。これに対して、医療機器・薬自体は物でありまして、この「人間を手術、診断、治療する方法」に含まれないということで、特許の対象としております。また、医療機器の作動方法についても、特許の対象となります。
 次のページは、以上の原則を踏まえまして、医療関連技術のうちで特許保護の対象となるもの、それから対象外のものを列挙した図でございます。左側が特許保護の対象になります。まず、物の特許として保護されるものとして、手術用装置やMRI装置などの医療機器、それから医薬や細胞医薬などの医薬品、iPS細胞や培養皮膚シートなどの医療材料といったものが挙げられます。また、方法の特許として保護されるものは、iPS細胞の製造方法とか、皮膚シートの培養方法などの医療材料の製造方法、それからMRI装置の作動方法などの医療機器の作動方法、それから検体の分析・測定方法などが挙げられます。
 他方で特許の対象とならないものは右側でございます。手術方法として、患部摘出方法など、それから治療方法としては医薬の投与方法、それからiPS細胞を分化して得られた神経細胞を移植する方法など、それから診断方法として、遺伝子診断方法やMRIの測定方法などが特許対象外となっております。
 なお、人間を手術、治療または診断する方法の発明でも、物の発明として表現することによって実質的に特許を取得することができる発明もございます。これについて次にご説明します。次のページをお願いします。
 まず、この発明の表現方法でございますけれども、発明、つまり技術思想の表現方法には、物としての表現と、方法としての表現の2つの方法があります。医薬分野の例でご説明しますと、例えば、化学物質Xが既に知られている物質で、この物質に血圧の降下作用という属性を見出したとします。このような場合に、物の発明で表現をしますと、「有効成分Xを含有することを特徴とする高血圧治療剤」となります。これは特許の対象になります。一方で、方法の発明の表現方法をとりますと、「有効成分Xを投与することを特徴とする高血圧の治療方法」となりまして、これは治療方法と判断されて、特許の対象外となります。
 ここで、先ほど少しご紹介のありました、これまでの実務の経緯についてご説明します。昭和39年当時の産業別審査基準では、人の病気の診断方法、治療方法のように、人が発明の構成要件に入っているものは、人そのものが発明の対象となってしまうので、産業上直接利用できる発明と認めることができないということで、「人を構成要件とする発明は産業上利用できる発明とは認めない」ということで、特許の対象外とされておりました。平成5年に改訂した審査基準では、「人間を手術、治療又は診断する方法」は「産業上利用することができる発明」に該当しないという記載ぶりになって、現在に至っております。近年の審査基準の改訂では、後ほど改めてご説明しますが、平成15年には、自家採取細胞由来製品の製造方法・処理方法が特許対象となるということを明示いたしました。また、平成17年には、機器の作動方法、複数の医薬の組み合わせや治療の態様で特定しようとする医薬発明が特許対象であるということを明示する改訂を行いました。
 では、次のページをお願いいたします。それでは、まず平成15年の改訂の内容をご説明します。この改訂の内容は、遺伝子組み換え製剤などの医薬品及び培養皮膚シート等の医療材料を製造するための方法は、同一人に戻すことを前提としている場合でも特許対象とするということでございます。具体的に下の図でご説明いたしますと、まず全体として、患者本人または他人から採取した細胞を原材料として医薬品や医療材料を製造して、こうして得られた医薬品を投与したり、医療材料を移植したりして患者を治療するという流れの医療技術がございます。この流れのうちで、左側の工程、つまり細胞を採取する方法は医師の行為でございますので、特許付与の対象外となります。それから、今度は反対に右側の工程、つまり医薬品を投与したり医療材料を移植する方法も、医師の行為となりますので、特許付与の対象外となります。真ん中の工程、つまり医療材料の製造処理方法であって、この工程が医療現場以外の企業でも行われつつあったことを踏まえて、患者本人から採取したものを使用することを前提としている場合であっても、特許対象となるということを明確にいたしました。
 続きまして、次のページでございますが、平成17年の改訂でございます。この平成17年の改訂のポイントは2点ございます。まず1点目は、「医療機器の作動方法」は、医療機器自体に備わる機能を方法として表現したものであるので、特許の対象であるということを明示いたしました。下の図でMRI装置を例にとってご説明いたします。まず、MRI装置に関する技術の特許保護の手段としては、薄いブルーで示したとおり、装置内の各部の装置構造とか、装置を制御するプログラム、装置全体、それから機器の装置内部の制御方法、様々な形で特許保護を行っておりました。平成17年改訂では、新たに濃いブルーで示しております「医療機器の作動方法」についても、医師の行為や機器による人体に対する作用を含まないものであるので、特許の対象であるということを明示いたしました。具体的には、患部を測定領域に配置するという医師の行為を含まないで、かつ磁場を人体に照射する工程を含まない、磁場を発生する工程にとどまるような場合が、この対象になります。一方で、「医療機器の使用方法」については、医師の行為や機器による人体に対する作用を含むものでありますので、依然として特許保護の対象外としております。具体的には、患部を測定領域に配置するという医師の行為とか、磁場を人体へ照射する工程を含むような場合が、この対象外に該当することになります。
 次のページをお願いいたします。2点目の改訂のポイントでございますが、複数の医薬の組み合わせや投与間隔・投与量などの治療の態様で特定しようとする医薬発明についても、「物の発明」としてとらえますので、産業上利用できる発明を扱うことも明示いたしました。下の図でご説明しますと、医薬発明については、薄いブルーにありますように、単剤、組み合わせ剤、キットなどの形で特許保護がされておりました。平成17年の基準改訂では、医療専門調査会の取りまとめを受けまして、新たに投与間隔・投与量などの治療の態様で特定しようとする医薬発明についても、対象患者群や適用部位が異なるような新たな用途を提供したといえるような発明については、特許保護の対象となることを明示いたしました。一方で、医薬の投与方法については、人間を治療する方法であるので、依然として特許保護の対象外にしております。
 次のページをお願いいたします。この表で各国の特許制度の概要を比較、ご説明いたします。まず、諸外国において医療方法を特許の対象にしているかについて簡単にまとめております。特許対象であれば○、対象でなければ×、一部対象ということであれば△と記載しております。まず米国と豪州ですが、医療方法全般について特許の対象となっております。ただし、注1にありますが、米国におきましては、医師・医療機関の特許侵害については、一部免責規定がございます。それから、日本を含め、その他の国ではすべて、手術方法、それから治療方法について特許の対象外となっておりますが、診断方法、測定方法の取り扱いについては若干の違いがございます。日本では、診断方法は特許の対象外でありまして、医療目的での人体に対する測定方法も特許の対象外です。ただ、検体の分析・測定方法は特許対象となっております。欧州については、検体を用いた診断方法は特許対象となっております。また、手術工程を含まないものであれば、診断プロセスに至らない人体に対する測定方法は特許対象となっております。それから、カナダですが、手術または治療の工程を含まない限り、診断方法は特許対象となっております。ニュージーランドでも、手術工程を含まない限り、診断方法は特許対象となっています。最後に韓国ですけれども、診断方法は特許の対象外ですが、人体に直接的でかつ一時的でない影響を与えるような行為を含まない限り、人体に対する測定方法は特許対象となっております。
 それでは、次のページをお願いします。次に、日米欧の制度について、もう少し対比しながらご説明いたします。日本では、既にご説明したように、医療方法は特許の対象ではありません。欧州においても、医療方法は特許対象とはなっておりません。欧州では、特許の付与については欧州特許条約に規定されておりまして、その53条において「手術又は治療による人体又は動物の体の処置方法及び人体又は動物の体の診断方法」は特許の対象外となることが規定されております。一方、米国においては、医療方法は特許の対象となっております。米国特許法101条に特許の対象となる主題が列挙されているのですけれども、医療方法を対象外とする規定は設けられておりませんで、医療方法を特許対象とする実務が定着しております。他方で、医師・医療機関の特許侵害に対しては、先ほど触れました一部免責規定が設けられております。この免責規定の導入の経緯については後ほど詳しくご説明いたします。
 次のページをお願いいたします。次に、医薬関連の発明に焦点を当てて、日米欧の比較をいたします。例として、「物質Aからなる風邪薬」で知られている場合において、新たな効能として抗がん効果を発見したという例を取り上げてご説明いたします。日本・欧州では、これは物の発明として保護されます。既に知られている物質で、医薬用途を特定することで物の発明として保護されます。一方で、方法の発明としては特許対象外となります。具体的には、「有効成分Aを含む抗がん剤」というのは特許可能ですけれども、「有効成分Aの医薬を投与するがんの治療方法」というのは特許対象外となります。反対に米国では、方法の発明で保護されます。既に知られている物質を医薬用途で特定しても、物質としては同じであるために、新規性が認められず、物の発明としては保護されません。そのかわり、方法の発明として保護することになっております。具体的には、「有効成分Aを含む抗がん剤」は新規性なしということですが、「有効成分Aの医薬を投与するがんの治療方法」ということで特許可能となります。
 次のページをお願いいたします。さらに具体的な発明に即して、特許可能な表現の例をご説明いたします。まず、新規適用疾病についてでございます。既存物質Aについて、降圧効果の属性を見出したような場合ですが、日本・欧州では「有効性分Aを含有する降圧剤」ということで特許されますけれども、米国では「有効成分Aを投与する高血圧の治療方法」という形で特許になります。
 次に、新規な剤型についてでございます。例として、経口薬を塗り薬にすることで顕著な効果を見出した場合を挙げておりますが、日・欧では「有効成分Aを含有する疾患Z治療用塗り薬」という表現で特許されますけれども、米国では「有効成分Aを塗布する疾患Zの治療方法」という表現で特許となります。
 最後に、複数の医薬の併用によって顕著な効果を見出した場合でございますけれども、日・欧では「有効成分Cと有効成分Dを組み合わせた疾患Wの治療薬」という表現で特許になります。米国では「有効成分Cと有効成分Dを投与する疾患Wの治療方法」という形で特許されることになります。
 この辺は少し複雑ですが、今までのご説明をまとめまして、日米欧の特許対象について比較をしたものでございます。日本の特許対象は赤で、欧州の特許対象は緑で、米国の対象は青で囲まれた部分となります。中央の部分は日米欧いずれにおいても特許対象となるものでございます。それから、左上の部分が青のみ、米国のみで特許対象となる部分で、「人間を手術、治療、診断する方法」がここに入ります。それから、左下の部分は米国・欧州で特許対象となる部分で、「検体を用いた診断方法」「診断プロセスに至らない人体の計測方法」がここに入ります。それから、右上の部分は医薬用途発明で、ここは日欧で特許対象となりますが、米国では特許対象ではございません。それから、「投与間隔・投与量などを特定することで、新たな用途を提供する医薬発明」もここに入ります。それから、右下の「投与間隔・投与量等どを特定することで、副作用の低減や、効能の向上を行った医薬発明」ですけれども、この部分が特許対象となるかどうかというのは、欧州特許庁の拡大審判部で現在審議中ということで、緑色の点線で表示をしています。この点について、次に詳しくご説明いたします。
 次のページをお願いいたします。今触れました案件の発明の内容でございますけれども、具体的には、1日1回、睡眠前に経口投与することによって脂質異常症の治療に使用される徐放性薬剤を製造するためのニコチン酸の使用というものでございます。従来技術との相違点というのは、睡眠前に1回服用する点が唯一の相違点となっております。欧州特許庁の審査部では、投与間隔を従来技術との相違点として評価せずに、新規性なしとして拒絶する判断を行いました。この判断を不服として、出願人は審判を請求したわけでございます。審判部は今年の4月22日に、投与間隔などの投与方法のみが従来技術との相違点である場合に、医薬用途発明として新規性を認めるべきか否かの点について、拡大審判部に付託する決定を行いました。この事件は、現在欧州特許条約の最終解釈権限を有しております機関でありますこの拡大審判部で審理中という状況でございます。
 次のページをお願いいたします。ここで、前に触れました米国における医師の免責規定の導入経緯についてご説明いたします。米国では、1950年ごろまでは医療方法を特許対象としないという実務をとっておりましたが、1950年ごろに医療方法を特許対象とする実務に変更されました。その後1993年にパリン事件という事件が発生いたしました。この事件は、白内障手術方法に関する特許でございまして、この特許を持っている医師が他の医師を訴えたという事件でございます。この事件を受けまして、1994年の米国医師会の年次総会で、医療方法の特許化に反対する声が上がりました。米国医師会が支援する議員から、医療方法特許の取り扱いに関する法案が提出されました。その法案が1996年に成立いたしまして、次のような免責規定が入った次第でございます。
 その免責規定ですが、まず「医師が侵害に該当する医療行為を実行した場合は、差止請求権、損害賠償請求権の規定は、かかる医師又は当該医療行為に関与する関連医療機関には適用しない」という免責規定が導入されております。その一方でこの例外も設けられておりまして、3点ございます。装置、製造物または組成物に関する特許の使用、それから組成物の使用に関する特許の実施、バイオテクノロジー特許の実施、これらについては免責とならないということになっております。
 次のページをお願いいたします。続きまして、欧州特許条約EPCについて、最近改正条約が発効いたしましたので、そこにあります医療方法に関連する改正項目2点についてご紹介いたします。
 まず、改正前のEPCでは、医療方法発明は「産業上利用することができる発明」に該当しないと規定されておりましたけれども、このEPCの2000年改正条約は昨年の12月に発効いたしましたけれども、医療方法については条約改正前と同様、特許保護の対象としておりません。ただ、規定ぶりが変わっておりまして、TRIPS協定との整合性から、医療方法は「産業上利用することができる発明」とはみなさないという法的擬制の規定から、公衆の健康の観点から特許対象から除外するという規定に改められております。
 次のページをお願いいたします。2点目の改正項目ですけれども、これは医薬用途発明の扱いに関するものでございます。医薬用途発明には、第1医薬用途発明という、例えば物質Xの疾病に対する効能を最初に発見したことに基づく発明と、第2医薬用途発明という、第2番目以降の疾病Zに対する効能の発見に基づく発明というのがあります。条約改正前は、第2医薬用途発明をスイス・タイプ・クレームと呼ばれる特殊な表現形式で保護しておりました。このスイス・タイプ・クレームというのは、「Zの治療薬の製造のための物質Xの使用」という表現形式でございます。改正後は、第2医薬用途発明を物の発明として保護することとなりましたので、欧州も日本型を採用して、第2医薬用途発明を物の発明として保護可能となりました。具体的には、「物質Xを含有する疾病Zの治療薬」ということで特許付与されることになります。
 少し時間をオーバーしましたけれども、以上で私のご説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 何度聞いても難しい話なんですけれども、多少は理解したとは思っています。どうでしょうか。スペシフィックなご質問はございますか。
 少し私もまだ理解していないのでお願いがあるんです。先ほど内山さんの方からご説明があった中に、資料6の最後の12ページに、この委員会の前の2回の委員会でそれぞれいろいろ改訂されたわけですが、それによってどれぐらい新しい申請があったかという件数がありました。それで、特に装置の作動方法の説明というのが加わって76件も出てきたというお話がありました。今、南さんのお話を伺っていて、実はこれが非常にわかりにくいんですが、6ページ目の濃いブルーの部分が広がったわけですね。それによって76件も出てきたというのがどうもよく理解できなくて、どう言ったらいいかな、人体に対する作用を含まないということ、これはMRIの例でご説明いただいたのですが、何か他の例で少し説明してもらうことはできませんか、これ。76件も出てきたのがよくわからないんだけれども。
○特許庁南特許技監 ではちょっと、実際にその関連をやっています者から説明します。
○特許庁田村審査基準室長 審査基準の中にはペースメーカーの例がございまして、ペースメーカーは体の中に埋め込んで、人工的にパルスを出して心臓を動かすというものでございます。そのペースメーカーの機械の制御に係わるような部分については従来から特許可能でございましたが、ペースメーカーの作動方法について少し広げたという部分がこちらの76件の特許になりまして、具体的には、人体への作用、すなわち特許請求の範囲に、人の心臓とか、人間の構成が入っていないような形でうまくペースメーカーの作動方法が規定できればよいということです。すなわち、そういうペースメーカーからパルスを発信するとし、発信先の心臓とかが特許請求の範囲に出てこなければ、特許可能であるということです。確かにペースメーカーが単に動くという制御方法と非常に近い部分ではございますが、特許請求の範囲を作成される出願人の方からすれば、自由度が少し広がったという面で、特許制度が使いやすくなったといった改訂を平成17年にやらせていただいという次第でございます。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。少しわかったような気がします。
 どうですか。ご質問はございますか。よろしいですか。
 ありがとうございました。
 それでは、全体の議論にいきたいと思いますけれども、初回でございますので、この会の進め方に関してのご意見でも結構ですが、承りたいと思います。ちなみに、資料9というのがございまして、これは、先端医療分野における特許保護の在り方についての検討の視点と留意点というのがまとめてございまして、これからの議論の参考でございます。
 検討の視点というのは、産業界からの資金や他分野からの技術の導入を促すことにより、先端医療技術に関する研究開発を促進する。一方、患者を救うため、多額の費用を要する研究や薬事法上の治験等のプロセスを経て開発される有効で安全な先端医療製品を多数生み出すことを促進する。こういう視点で議論しようではないかということだと思います。
 特に検討の留意点としては、先端医療分野における特許保護に関する国際動向、それから国民の生命や健康に直結するという医療の特質や公共の利益への十分な配慮と書いてございます。
 これは、今までの委員会でも恐らくそうだったと思いますけれども、世の中がどんどん進んでおりまして、新しい技術の開発などなどが進んできて、また再びこういう会を開かざるを得ない状況になったということはご理解いただけると思います。産業を推進する、産業を活発にするということも非常に大きなポイントでありますが、患者さんたちのために一体どのようにこの特許というものを考えていったらいいかということがポイントであります。
 どうでしょうか。全体にわたりまして、どんな視点でも結構でございますので。目が合いましたが。須田さん、どうぞ。
○須田委員 これからの議論の進め方なんですけれども、今のご説明を伺いますと、結構表現の仕方、言い回しというのが微妙なところがあって、それはなかなか個々に検討しなければいけないことになるので、できれば、最後におっしゃった15ページの「社会倫理及び公衆の健康の観点から」という、できるだけみんなが使えるようにしましょうという考え方と、産業推進の方で、そうはいっても開発にかけた分だけのベネフィットは得たいという、その2つの対立する概念があるわけです。それを根本に据えて議論していかないと、こういう言い方ではいきますよとか、この言い方ではだめですよというのだと、もう何か方法論だけの話になると思いますので、少しそこにこの委員会は踏み込んでほしいなと思います。
○金澤委員長 どうですか。ありがとうございました。今のご意見は大変もっともなご意見だと思いますが、言い回しだけの問題でなくて、本当に中身の議論をしましょう。
 他にどうですか、ご意見。どうぞ、中内委員。
○中内委員 いきなり水をかけるような話ですけれども、私はもともと研究者ですので、特許に関しては興味はなかったんですが、何年か前に大学が法人化してから大学側が非常に厳しくなってきて勉強せざるを得なくなったわけです。特許というのは、確かに産業を更新する上でのインセンティブを与えるということはあると思うんですけれども、アカデミアの分野では必ずしも完全にはそれが当てはまりませんで、むしろネガティブな面もたくさんあります。例えば、以前でしたら、研究者の間でいろいろな抗体や試薬を交換するということは非常に日常的に行われていましたけれども、現在はもうすべてMTAを交わして、時間と手間をかけてやらないとなかなかできない状況になってきて、そんなことをやるのならもうこのプロジェクトはやめようということも実際にありますし、私の研究室でも今年の4月にある論文を、もうアクセプトされているんですけれども、特許の関係でそれを発表するのを遅らせていただくということが実際に起こったので、そういうことを考えると、必ずしも産業面でのインセンティブとアカデミアの分野での特許によるインセンティブというのは余り並行しないということもあると思います。例えば、先ほどご説明いただきました6ページに医療機器の作動方法によって新しい特許が七十何件ということがありましたけれども、この77件が本当に……。少し話はかわってくるんですけれども、もう一つの特許の問題は、特許というのは国益を守るということがインセンティブに加えてもう一つ大事なことだと思うんですけれども、もしこの七十何件がすべて外国の特許で、日本の国はむしろ被害をこうむるようなことになっているとすると、また特許をちゃんと拡大して、特許保護の範囲を広げればいいという問題でもないと思いますし、ただ単純に、より知的IPを保護すればいいというものでもないと思います。そこを最初に少し説明しておきたいということと、もし具体的にこの委員会でこういうことをやりたいということがあるのでしたら、そこをある程度明確にしていただかないと、総論ばかりやっていても、時間をかけた割には余り実りのある成果にならないような気がしますので、そこら辺をある程度はっきりしていただきたいということです。
○金澤委員長 ありがとうございました。(マイクを落とす)何かこの委員会の将来を予想するようなことで。
○内山事務局次長 縁起でもない。
○金澤委員長 いや、冗談ですが、大変大事なことをおっしゃっていただいたと思います。最初の問題は後で議論することにしまして、2番目の76件がどうだという話はどうでしょうか。少し答えていただけませんか。
○特許庁南特許技監 先ほどの例でいくと、76件は主に機器の作動方法のところですけれども、この分野についてはいろいろな医療機器がありますけれども、今日はテルモさんもいらっしゃいますが、この分野では日本は若干遅れています。先ほど例に挙げましたペースメーカーも海外の企業にかなり先に特許を取られているような状況ではないかと思います。ただ、新たなイノベーションを生むという観点ではやはり何らかのインセンティブが必要ではないかと思っていまして、そういった意味で特許制度というのは発展のインフラとして役立っているのではないかと思っております。
 それからあと1点少しつけ加えさせていただきますと、既にもう特許対象であります医薬ですけれども、これについても単純にインセンティブという形ではなくて、大学等のアカデミアの世界でも薬の開発というのは非常に大変で、これは何らかの医薬品メーカーとの共同作業といいますか、医薬品メーカーがかなり資力、リソースをかけて治験まで持っていって、さらに認可まで取るという相当の投資が必要になるわけです。その場合に、医薬品メーカーにとってみると、特許がないと投資をする価値がない。つまり、オープンになってしまうと、他社はどこでもその薬を開発できるということで、逆に投資意欲がなくなって新たな薬が生み出されなくなってしまうということで、医薬品メーカーにとってみれば、大学でもきちんと特許を取っていただかないとそれに投資の価値を見出せないという意味で、特許を取っていただくというのが必要ではないかと思っております。
○金澤委員長 ありがとうございました。
 どうですか。どうぞ、片倉さん。
○片倉委員 一言。中内先生のおっしゃるアカデミアの考え方というのは非常によくわかるところがございます。それと、昨年の山中先生のiPSの発表のとき、私も須田先生もご一緒したと思いますけれども、文科省の作業部会の中で、日本の生んだ新しい、ある意味で技術、これは日本の場合どうしても権利保護が非常に遅れるということがあって、すばらしい技術であればあるほど海外の産業にそれが渡ったときに権利行使できないような事前の策を打っておかないと、日本でかなりレベルの高い発明・発見がされたとしても応用するのは海外と、そういうことを避けるために、これからどういう形になっていくかはいろいろ議論があると思いますけれども、日本の生んだ新しいものをどうやって保護するか、これをちゃんとやっておくべきではないかということを、先ほどからのようにお話しさせていただいております。
 それと一つ、せっかくマイクをいただいたので、確認なんですけれども、ここでいう先端医療分野というのは、あくまで生きた細胞を治療に用いる、そこだけにフォーカスして議論してよろしいんですね。今までの話の中でいくと、全体がそういうトーンなんですけれども、対象をどこまでにするかというフォーカスをしっかり決めておかないといけないのかなと。大分前に医療行為特許の話がありましたけれども、この領域というのは必ず移殖医療を伴います。だから、そことの線引きというのは明確にしておく必要があり、フォーカスが何かというのは明確にしておくべきではないのかなと思っております。
 以上でございます。
○金澤委員長 ありがとうございました。
 2番目のことについては、私はそうではないと思っていたんだけれども、どうなんですか。どなたか、事務局でちょっと説明して。
○内山事務局次長 今日のご説明の中身からすると、今、片倉委員がおっしゃられたようなところにフォーカスが当たっているわけでございますけれども、必ずしもそこだけに限定しなければいけないと考えているわけではございません。今後いろいろな有識者からのヒアリング等々で出てくるものにつきまして、先端医療分野の中で特許保護対象とすべきものがあるのかないのか、それから海外での動向、そういったところを含めて、総合的に対象範囲についてご議論されるのではないかと考えているところでございます。
○金澤委員長 実は後で、終わりごろに少し説明があるかと思いますが、一体どういうものが先端医療に係わる特許のものとしてあり得るかという調査しようともしているところでございまして、最初はちょっと広目に考えておいていただいた方がよろしいかと思います。
 さて、先ほど中内先生の方からご意見がありましたアカデミア云々はなかなか難しい問題だと思いますが、そういう問題でも結構ですし。どうぞ、北川委員。
○北川委員 産業界の方からということで、実質的にいわゆる薬事法の中でこれを製品にしていくために、産業界からの資金、他分野からの導入を図ることによりこの研究開発を促進するということが書いてありますので、そこら辺のことから一言コメントさせていただきます。日本の細胞を使った再生医療の分野には、今のところ進んでいる分野もありますし、遅れている分野もあります。私は、その原因は必ずしも特許の問題ではないと思っていて、それ以外に非常に大きな問題をこの国は抱えているという認識を持っています。例えば、先ほどご説明がありました厚生労働省から出ております幹細胞の指針とか、新たに設置されました確認申請の方法とか、いわゆる審査の方が産業界にとって非常に大きなバリアになっているということの方が大きいと思います。特許だけを見れば、私は、もうかなりの部分、相当、例えば細胞そのものとか、そういったもので保護できる体制というのはでき上がっているという認識を持っています。ところが、当初は、これは抜け道がいっぱいございまして、今、幹細胞と一言で言っていますが、幹細胞にも例えばA、B、C、D、3つ、4つのマーカーがございまして、Aというマーカーでセレクションをかけたものでこういう効果を発するといった細胞とか、再生医療の細胞を使っているものの非常に難しいところというのは、まず幹細胞とか、そういったものの同定が今のところサイエンティフィックに非常にしっかりと確定できていないところがあるのではないか。幹細胞などはまだ分かりやすくて、我々は角膜をやっているんですけれども、例えばその中の幹細胞というのは同定されていない。そのようなものがそこで機能を発するかという大もとのものをどうやって押さえるかとか、そういったものを特許化するというのは非常に難しい。これはむしろ薬事申請上の問題としても、ものの同定という観点からは非常に難しいということがあって、この産業を促進するという、そもそもiPSの話が出て、もう一回これが招集されているという先ほどお話があった目的がどこにあるのかなと。産業を促進するという観点からの議論であれば、私は余り問題にはなっていないんじゃないかという認識を少し持っております。
 以上です。
○金澤委員長 ありがとうございました。
 どうぞ、渡辺委員。
○渡辺委員 私も産業側ということで一つコメントさせていただきたいんですが、今、北川委員の方から、特許自身が今後の産業化にはひょっとして問題にならないんじゃないかといったご指摘もございましたが、医薬の方でいきましても、前回の検討委員会で審査基準が変わりまして、ある程度少し幅が広がってきたという状況ではございますが、一方で先ほどの特許になったケースを見ていただければわかるんですが、1件しか成立していない。ということは、現在の審査基準でありましても十分に救いきれていない発明というのがございまして、それは医薬の場合ですと臨床開発とか承認申請という薬事法上の規制がございますので、それに対しては過大な投資と時間がかかってしまうということでございますから、特許がないと厳しい。そういうところは広げていきたいということがございますし、再生医療におきましても、今後同じようなことが、例えばある幹細胞をある疾患に使うというのが知られているときに、他の因子との組み合わせとか、あるいは時間的な要素あるいは医療的な要素が入ることによって、同じ疾患なんだけれども、使い方に特徴があるといったことが実際に画期的な医療として認められるといった場合には、同じことが起こってしまうのではないか。そういったリスクを感じておりまして、そういったものを今回、後でいろいろなニーズを求めるということがございますけれども、そういったことで十分に掘り起こした上でもう少し幅広く議論していただけたらなと思います。
 それから、南技監がおっしゃいましたように、新しい薬を創出して世界の患者に提供するということに関しましては、特許制度というのはかなりプラスに働いておりまして、ご存じだと思うんですけれども、以前、物質特許というのが1976年に導入されたときにもあった議論だと思うんですけれども、物質特許が入ることによって海外の企業にどんどんやられてしまうのではないか、その結果国民に不利益となるんじゃないかといった歴史的なことがございましたが、その後の推移を見ておりますと、それによって日本の創薬といいますか、医薬を作る産業というものが活発になりまして、現在では画期的な医薬が世界じゅうにかなり出されているというのも現状でありまして、そういったものを支える、特に日本が強いところをより強くするというところで特許は非常によく効いているんじゃないかと思っておりますので、確かにアカデミアの研究の自由度との関係でいいますと難しいバランス等もございますが、プラスの面、マイナスの面をそれぞれ入れながら考えていただければと思います。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 今のお話、ごめんなさい、少しだけいいですか、僕も質問させていただいて。日本の位置というのは、物質特許ということで非常にはっきりしているわけです。一方、アメリカは方法特許ということで、これは物質もあるんでしょうけれども、ただ方法特許もございますね。欧州は大体その間ぐらいで、日本に近いという感じだと伺っていたんですけれども、アメリカがああいう方法も特許として認めるようになったのは、1950年ぐらいがその切りかえだったというんですが、その根拠は何なんですか。
○特許庁南特許技監 先ほどご紹介で1950年ごろにアメリカの運用が変わったということですけれども、1950年ごろ特にアメリカの特許法が変わったわけではございませんで、そういう意味で先ほどご紹介したとおり、アメリカの特許法ではこういったものは除外していないんですけれども、多分、公共の利益といいますか、福祉の観点から運用上それまで特許対象としていなかったのではないかと思います。ただ、これは1954年にアメリカの特許庁の審判での決定、審決と呼んでいますけれども、事例は皮下注射方法なんですけれども、そこでこれの特許を認めまして、それ以降特許を認める方向に転換したということでございます。当然ながら、当然といいますか、先ほどご紹介したパリン事件のように実際に医師が医師を訴えるというか、医療行為自体に支障が出る事態になって、そこで免責規定を設けたわけです。
○金澤委員長 例外規定をしたと。当然パリン事件のようなものは起こり得るわけですね。
○特許庁南特許技監 そうですね。これは実際の医療行為あるいは国民自体の福祉を妨げることになってしまうので、そういった免責規定が導入されたということでございます。
○金澤委員長 最高裁判決みたいなものが出たわけですね。わかりました。
 すみません。どうぞ、本田委員。
○本田委員 私は大前提だと感じていたんですけれども、もしかしたら今後の議論でまとめていくことなのかなと思ったんですけれども、この特許を認めていくということが国民とか患者とかにどういう利益になるのか、また不利益にはどんなことがあるのかというのをいろいろな観点で、こういう観点からはこういうことが考えられるのではないかということをある程度まとめていただきたいなと思いました。というのは、私は実は乳がん患者でもありメディアでもあるんですけれども、患者の視点からすると、今まで例えば薬については、日本はいろいろな薬のもとになるものはすごく見つけられるのに、開発されるのに、それが薬になるという段階の応用のところがとても弱くて、結局海外にやられてしまって、海外の高いお薬を逆輸入して高い費用を払っているといった患者の不利益とか、結局日本に入ってくるのが遅いので、なかなか使えない。でも、もとをたどれば日本人が開発したシーズだったじゃないかということが後でわかって、それは何だと。それには当然臨床試験のあり方とか審査のあり方とかの問題もあるのかもしれないけれども、特許が何か関係しているのであれば、そこをちゃんと変えていってほしいという面があります。一方で、特許を何でもいろいろ認めていくことによって、より高い費用でしか治療が受けられなくなってしまうんじゃないかという不安もあるので、もしもそうなのであれば、方法があって、別にそれを全部患者にのせるわけじゃなくて、いろいろなのせ方があるでしょう。そういうことを考えればいいのではないかとも考えているので、そこら辺をある程度整理していってほしいなというのは患者として思います。
 もう一つ、メディアとして一つだけ思うのは、これは同じことではあるんですけれども、この特許のことを考えるのがあくまで産業の促進であるということばかりで議論されると、国民感情としては、何だ、そんなのだったらということになってしまって、本当は自分たちに関係するかもしれないことを見出せなくて、興味を失うというか、興味が持てないと思うんです。そうすると、何か特殊な人たちだけの議論で、国民に関心を持たれなくなると、ある意味、国民の利益につながらないと思いますので、今後の議論でということかもしれないけれども、そういう部分もまとめてほしい。一つは費用のかけ方。特許が認められると、費用はどのようにかけられているのか。だれがそれを負担する形になっているのか。いろいろな場合があるのかもしれませんけれども、私は全く素人ですので、そういうことも教えていただければなと思いました。
○金澤委員長 大変大事なご指摘をいただきましたが、どなたか。どうぞ、北川さん。
○北川委員 全く、おっしゃったことは非常に、多分渡辺委員も同じことを感じたんだろうと思うんですが、海外でいいものがあって、そもそも日本で発明されたものが海外に持っていかれてといいますか、ゾロみたいになって帰ってきて高いものをというのは、私は基本的には特許とは余り関係がないと思っているんです。それは審査のスピードの問題で、日本と欧米では審査の質が違う。日本の製薬会社は今海外へ最初自分たちが作ったものを特許で押さえて、海外へ持っていって臨床試験をやって、向こうで先に承認を取って、それをもって厚生労働省へ申請をかけるという、このステップでやらないとスピードが速くいかないんです。ですから、これは特許とは関係がなくて、私はまさにそこのところが、私は実はこういう特許の委員会に出るのは初めてなんですが、普段は規制側の厚生労働省の方の委員で結構入っているんですけれども、審査のスピードが患者にとって非常にデメリットになっているということは、私は非常に感じるところなんです。ですから、少しここは場が違うかもしれませんけれども、日本が早くそれを開発できるようになったときに、現状の日本にあります特許の制度でもって我々は今度逆に、例えば弊社であれば、日本の大学の先生が発明したものを我々は作っていて、今日本で最初に臨床試験をやろうとしているんですけれども、そういったところに問題が生じる。そのハードルが非常に高くて、もう既に海外に出ていって向こうでやっている人もいますが、本当は日本でそれが製品化されて、その特許があって海外へ打って出るというのが一番いいわけです。海外はそれをもろにやってきているのを、日本はその産業化のところで遅れているがために、何となく特許が見えていないような形になってしまっているということなんです。ですから、特許と産業化というのは全然関係がないわけではなくて、ただこれを産業化ということで商売という観点からすると、審査のスピードが遅いということが患者さんにとって非常にデメリットになってしまっているというところだろうと思うんです。細胞のものと医薬のものとは少し違うかもしれないんですが、多分渡辺先生なども同じご意見なんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○金澤委員長 ありがとうございました。
 何か名指しのようですので、渡辺さん、どうぞ。
○渡辺委員 北川先生のおっしゃるとおりだと思います。もちろん、産業促進、患者の利益になるためには、すごい画期的な治療法を導入するというところでは、特許はプラスに働いているということですけれども、それとは逆に、先ほどおっしゃいましたように、薬というのは薬事的な規制がありますので、日本の治験環境とか、あるいは審査とか、いろいろなことが相まって早くならないといけないということでございまして、その早く患者に届けられるという部分に関しては、少し特許とは別ものと考えた方がいいと思っております。
○金澤委員長 他にご意見はございませんか。どうぞご自由に。長岡委員、どうぞ。
○長岡委員 今後の進め方ですけれども、先端医療というのは非常に新しい分野だと思いますので、特許制度の役割として、発明をベースに産業化を進めるインセンティブを生むことが重要ですので、現時点での特許の数が少ないという問題より、将来どうなるか、将来へのインパクトがどうなるかという観点で先を見て議論する必要性が非常に高いことが第1点です。
 第二に、私は前回の知財本部の議論にも参加させていただきましたが、特許の審査基準等は既にかなり改正されていまして、特にiPS細胞等との関係も含めて、何が保護できないかということをかなり具体的に詰めていく必要があると思います。先ほど医薬品を利用した治療方法については、物の特許として実際上かなりカバーできているというご説明が特許庁の方からありましたが、例えば細胞に関しても同じようなことが言えるのかどうかはまだ全く検討されていないように思いますので、アンケートをとられるのは非常に重要だと思いますけれども、現在先端的な研究を実際にやっていらっしゃる方から見て、どういう研究成果が出てくるのか、それは改正された後の審査基準等に照らしてどうなるかということをかなり具体的に検討してみる必要があると思います。
 それから、少し本論から外れるかもしれませんけれども、先ほど中内委員の方から論文発表が特許出願との関係で遅れるとの指摘がありましたけれども、この点についてたまたま日本の発明者のサーベイをしたのでご紹介申し上げたいと思います。その中で特許出願のために論文発表が遅れたかどうかということを聞いた質問がありまして、それによりますと、ルールが事前にあったところでは遅れたというところは余りなくて、ルールがなかったといった場合に遅れたケースが多いという結果になりました。今、大学はまだ過渡期にあると思いますが、論文と特許のルールを明確にしてあれば、特許審査のために論文発表がものすごく遅れるということは実際には余り起きないのではないかと思います。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 何か、今のお話についてでも結構ですし、他のことでも結構ですが。林委員、どうぞ。
○林委員 ありがとうございます。林でございます。まず、先生方がおっしゃられたところを伺いますと、まさに現在の平成17年の審査基準のもとで、何か取りこぼしになっているか、ニーズとして何が保護されていないかというところを具体的に詰めて、それは欧州の拡大審判部でまさに議論されているところと重なるのではないかと思いますので、そこを議論していくことで、抽象的な議論ではなく、何らかの成果が得られるようになるのではないかと思っております。第2に、先ほどの登録例のところで、投与量、それから投与間隔についての登録例がたしかゼロというのがございましたけれども、私の質問としては、今回でなくてよろしいのですけれども、出願数が幾らあって登録例がゼロなのかということと、もし出願数が少ないということであれば、企業の側として何ゆえに出願できないのか、アメリカにおいてはそれをどのように出願して特許を取っておられるのか、そのあたりをお教えいただければと思います。たしか平成17年の審査基準ができるときには、投与量・投与間隔についての用途特許の範囲を広げるようにというのがかなり大きなニーズとして議論されていたように思います。その審査基準の改正結果をフォローするという意味でも、この間どのような実態であったのかということをぜひお教えいただきたいと思います。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 2番目のことに関しては、今お答えできる範囲で何かあれば、おっしゃってください。
○特許庁田村審査基準室長 今出願件数の方はデータを持ち合わせておりませんので、調べてみたいと思います。アメリカではもう既に方法で特許がされておりますので、そういう医療方法的な特許が日本で物に係る現行の審査基準でどの程度カバー可能かといったところは、少し研究させていただきたいと考えております。あと、投与間隔の方のお話でございますが、平成17年の基準改訂では、従来の医薬用途発明の延長線で、投与方法・投与間隔に特徴のあるような発明が特許できないかということでございまして、そういう意味では事務局のプレゼン資料の資料6にございましたが、C型肝炎の患者さんのうちで特にα型の遺伝子型をお持ちの患者さんということで、患者群がしっかり区別できるようなケースに限って投与方法・投与間隔に特徴があるような発明を許すという形になってございますので、単に投与方法・投与間隔に特徴がある発明を物のカテゴリーで許すというところまでは現行では広がっていないということでございます。その辺は多分製薬業界の方もよくご存じですので、そこを見て特徴がないから、そもそも出願しないということにされている出願人の方が多いのではないかと考えております。
○林委員 ありがとうございます。そうしますと、患者群の区別という要件が一つのポイントになるということかと思いますので、今後研究させていただきたいと思います。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 林さんが最初におっしゃった点、つまり問題点を絞ってとおっしゃるのはまさにそのとおりでして、そういう問題が多分幾つかあるということでこの会を開いておりまして、いずれヒアリングを含めて、具体的なところでご議論いただきたいと思っています。そういうヒアリング、どういう方にお話を伺おうかということも含めて、ご自由に、こういうことがまだ特許としては問題があるんだといったことをおっしゃっていただけると大変ありがたいのです。どうでしょうか。あえてそういう問題に直接関係なくても結構ですが、どうぞご意見をいただければと思いますが。どうぞ、須田委員。
○須田委員 具体的な提案としては、iPSなどは、山中先生が創出したものですが、具体的にそれはどれぐらい特許性を持つのかというのを一度議論していただくといいのかなと思います。要するに、何を保護しなければいけないのかとか、そこからどのように最後は患者さんにプラスになるようなものを生み出していけるのか、その過程でどのように特許がかかってくるのかとか、まだ私ら自身も具体的なイメージを持たないので、議論してほしいと思います。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。そのとおりかもしれませんね。
 他にどうでしょうか。どうぞ、羽生田先生。
○羽生田委員 羽生田でございます。特許の対象になるものあるいはその研究成果というもの、具体的なところは私もよくわからないんでございますけれども、現実に我々とすると、検査、治療、手術等々でそういった医療機器あるいは薬を使うわけでございますけれども、そういった外国製品を高く買わざるを得ない状況、薬にしてもなかなか日本で使えないとか、そういったことがこの特許に関係して起きていると考えられる部分もかなりあるということで、我々とすれば、使いやすく、患者さんの負担も少なくということが、この特許が日本で生きていく、あるいは日本での特許制度自体に非常に基になる形で、これから先の特許の審査基準をどのようにしていくかというところに、ぜひ治療に使いやすい、あるいは早く使える、患者さんの負担が増えないといった視点で、もちろん研究も進めなければいけない、医療技術も進歩しなければいけない、そのための特許というものも当然必要になってくるわけですから、その辺のバランスというところを必ず考えながら進まなければいけないのかなということを考えております。細かいところは私もわからないことが多いので、いろいろ勉強させていただきながら進めていきたいと思いますけれども。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。おっしゃるとおりだと思いますね。
 どうぞ、白石委員、それから小泉委員と。
○白石委員 簡単に。この委員会では具体的な分野・事例で検討するということなんですけれども、その具体的な分野・事例がわかれば、それに対応する患者像というのがわかってくると思いますので、その患者像に対して、もう少し大きな観点でもいいんですけれども、留意点に挙げられている国民の生命や健康に直結する面でどういったところで問題点がありそうなのかということもここの委員会で教えていただければいいなと思います。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。おっしゃるとおりですね。
 では、小泉委員、どうぞ。
○小泉委員 ありがとうございます。資料8の1ページでご紹介がありましたとおり、日本では医療の方法については特許の対象としないというポリシーをとってきたわけですが、一方、8ページのように、そのポリシーは必ずしも世界で普遍的なものではなくて、いろいろな考え方があります。これまで政府でいろいろ検討されて、機器の作動方法などに特許対象を少しずつ広げてきていて、現状としては、12ページの右の下で点線がかかっているあたりにさらに保護を及ぼしてよいかどうかということが恐らく具体的な問題になると推測しております。その際、単純に投与間隔だけに特徴がある発明ということになりますと、物事の実質からいうと、かなり方法に近づいていくわけです。従いまして、仮にこのような分野にも新たに特許保護を及ぼす際には、あらためて、従来特許対象から医療方法を除外しているということはそもそもなぜなのかということを、今後もそのような考え方を維持するにしても、この機会に理由づけを議論してはっきりさせておく、言い換えますと総論と各論の両方をやっておくことが重要なことではないかと思っております。
 以上です。
○金澤委員長 どうも貴重なご意見、ありがとうございました。
 何か事務局の方で言うことはありますか。
○内山事務局次長 今いろいろと各委員の先生からご指摘をいただきましたように、私ども、今後、各方面の有識者の方から適宜ヒアリングをしたり、後ほどご説明させていただきますけれども、今後特許対象とすべき発明に関するいろいろな情報収集も行いまして、それらを踏まえて、具体的な検討を行っていきたいと考えております。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 そろそろ時間になりつつあるんですが、どなたかご意見を言い落としたといったことがございましたら、どうぞ。
 よろしいでしょうか。1回目ということですので、皆さん方から一通り、すべてではないにしてもご意見は頂戴したと思いますので、自由討論はこのぐらいにさせていただきまして、これからも何回か会が開かれますので、その都度ご意見を頂戴したいと思います。その会の進行に係わることなんでありますけれども、先ほども少し言いかけましたインターネットを通じた調査につきまして、事務局からご説明したいと思います。よろしく。
○内山事務局次長 それでは、資料10をご参照いただけますでしょうか。「先端医療分野において今後特許対象とすべき発明に関する調査へのご協力のお願い(案)」ということでございます。
 真ん中ぐらいの段落にございますけれども、先ほど金澤委員長からもご指摘がございましたが、本委員会の検討資料の作成の参考とすべく、新たに特許付与の対象とすることを検討すべきだと考えられる発明の具体的な事例を広く収集していきたいと考えてございます。
 具体的な調査方法につきましては、2ページ目をご覧いただきますと、まず募集期間といたしましては、明日11月26日から約3週間程度でございますけれども、12月18日まで募集したいということでございます。
 調査の内容でございますけれども、海外で既に特許が取得された、または特許の取得が可能と考えられる再生医療等のいわゆる先端医療分野における発明について、我が国では特許を取得することができないと考えられる発明であって、今後特許付与の対象とすべきと考えておられる発明がもしありましたら、その具体例を特許にすべきと考える理由とともに教えていただくという趣旨でしたいと思っております。いただいた事例につきましては、先端医療特許検討委員会における審議において利用するといったことで公開される可能性がございますので、公開情報となることの注意も入れてございます。
 提出方法は、電子メールあるいはファクスということで募集をしたいと考えております。
 以上でございます。
○金澤委員長 いかがですか。僕、正直に申し上げると、これを最初に見たときに、何だ、これはと思ったのは、こんな大事なことを公開されることがわかっていて出せというのはどうかなと思ったんですけれども、どうですか。仕方がないんでしょうかね。こういう言い方しかないのかもしれないんですが、僕は過去のことでもいいんじゃないかと言ったんですけれども。
○内山事務局次長 過去のことも……。
○金澤委員長 もいいんだよね。でも、そう明示されていないから、よくわからないんだけれども、やってみる価値はあるかもしれませんけれども、ちょっと考えてみて、この事例に相当しそうなものというのを思いつかれますか。別に今具体的なことをおっしゃっていただく必要は全くないんですけれども、ありそうですか。ありそうだったら、ぜひご協力いただきたいんだけれども。
○渡辺委員 多分、再生医療に関する仮想事例になってしまうと思います。
○金澤委員長 「再生医療等」と書いてある「等」が大事なんで、再生医療に限らないんです。行政文書で、嫌らしいんだけれども、やってみて、どうでしょうかね。やってみて、返ってきたら、もう本当に大事にして、議論の対象にさせていただくということでしょうか。どうぞどうぞ、林先生。
○林委員 アンケートをとるということ自体は、必要なニーズを我々に教えていただくという意味で非常に有効だと思います。その文章の中で「再生医療等」と「等」があるんですが、どうしても「再生医療等のいわゆる先端医療分野における発明で」という限定がかかりますと、この委員会での最初のお話でも、先端医療分野とはどこで線引きするのかと悩ましいところがありまして、そういった意味では今特許の審査基準なりその特許性を考える上では、「先端医療分野」に限定されなくても「医療分野」でもよろしいのかなと思いました。
○金澤委員長 なるほど。どうもありがとうございます。どうですか、そこに関しては。どうぞ、北川委員。
○北川委員 多分、もうこれは具体的に私も考えがあって、例えば今アメリカで脳梗塞の患者さんに幹細胞で脳梗塞の治療をしようという臨床試験が始まっているんですが、これなどは、幹細胞が例えば神経細胞に変化するといったインビトロでのそういう結果があって、だから将来そういうところの治療に用いられるというインビトロでのエビデンスがあったとします。そうすると、そこで特許を押さえる。こういう方法でディファレンシエーションをかけていく。こういう可能性がある細胞である。それをそこへ投与することによって少なからず治療できることは推察されます。でも、その投与する方法とか、例えば量とかタイミングとか、こういったところを要するにパテントとして成立させたいという思いがある方もいらっしゃるんです。ですから、これは逆にメーカー側としてはそこはどうでもいいと言ったら怒られますけれども、方法論と投与方法というのは先生方が考えていろいろ工夫されているところなので、私としては余りそこの部分を特許化するというのはいかがなものかなと個人的にはちょっと思っているんですけれども、そういうことが多分出てくるのではないかと思うので、普通の薬の場合に、例えば抗生物質が今あって、それを他の投与方法に変えるとか、こういうのと再生医療とを同じように考えてしまうのは私はちょっとどうかなと思っているんです。ですから、一般医療としてとやってしまうと、逆に余りにも広くなり過ぎるから、普通の創薬と、細胞を使った再生医療の治療とはちゃんと一線を画して議論すべきじゃないかというのが私の意見です。
○金澤委員長 ありがとうございます。議論はそうだと思うんですが、情報は実はたくさんあった方が、私はありがたいと思っているんです。これは全然だれも応答してくださらない方が私は悲しいなと思ったので、横を見たんですが、どうですか。
○内山事務局次長 今の林委員からのご指摘を踏まえて、金澤委員長ともご相談して、その辺、工夫させていただければと思っております。
○金澤委員長 そうですね。北川さんのおっしゃるニュアンスも理解した上で、もう少し表現を考えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 他にどうでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、骨格としてはこのようなものを皆さんに問いかけて、ご意見を頂戴することにいたします。
予定の時間をもう過ぎてしまいました。今回の第1回目はここまでにしたいと思いますが、次回からは実際に先端医療の研究をなさっている方においでいただいて、ご意見を伺おうと思っております。人選につきましては、先ほどのご意見も含めて、恐縮ですが、こちらで選ばせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次回の日程については、事務局からどうぞ。
○内山事務局次長 次回の委員会でございますけれども、来月12月22日月曜日午後1時、13時から本日と同じこの場所、会議室で開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
○金澤委員長 それでは、この第1回目の会を閉会とさせていただきます。皆さんの活発なご意見、どうもありがとうございました。