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第7回 先端医療特許検討委員会 
議事録

  1. 開 会 : 平成21年4月24日(金)10:00〜12:00
  2. 場 所 : 知的財産戦略推進事務局会議室
  3. 出席者 :
    【委 員】 金澤委員長、片倉委員、北川委員、小泉委員、佐藤委員、白石委員、須田委員、永井委員、長岡委員、羽生田委員、林委員、本田委員、渡辺委員
    【参考人】 木下医政局経済課長、胡田特許審査第三部長、田村審査基準室長
    【事務局】 素川事務局長、内山次長、小川参事官、高山参事官
  4. 議 事 :
    (1) 開  会
    (2) 先端医療分野における特許保護の現状と課題について     
    (論点整理)
    (3) 自由討議
    (4) 閉  会


○金澤委員長 まだお一方お見えになっておりませんけれども、時間になりましたので、第7回の先端医療特許検討委員会を始めたいと思います。大詰めでございますので、皆さん方どうぞよろしくお願いします。
 本日は、中内委員がご欠席と伺っております。また、特許庁から今までお出いただいておりました南特許技監の代理といたしまして、特許審査第三部長の胡田さんにお見えいただいております。よろしくお願いします。それから、厚生労働省から外口局長のかわりに木下経済課長がお見えいただいております。よろしくお願いいたします。
 それでは、最初に配付資料の確認をお願いします。どうぞ。
○内山事務局次長 議事次第の下に配付資料が書いております。簡単でございます。資料1といたしまして、先端医療分野における特許保護の在り方について(案)、それに別添の参考資料、以上でございます。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、議題に入りたいと思います。
 先端医療分野における特許保護の在り方についてという報告書の案でございます。
 それではこの内容につきましては、もう一度事務局に戻しまして、ご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○内山事務局次長 資料1でございます。
 1ページ目をお開きください。「はじめに」というのがございます。これは今回の検討の経緯が書いてございます。2つ目のパラグラフの中段以降、昨年6月に、知的財産戦略本部は、知的財産推進計画2008におきまして、iPS細胞関連技術を含む先端医療分野における適切な特許保護の在り方の検討を行うことを決定いたしました。これを受けまして、昨年11月に本先端医療特許検討委員会が設置をされまして、検討を開始したわけでございます。本資料はその検討結果の報告書案でございます。
 ページをめくっていただきまして、目次がございます。全体の構成につきましてご説明いたします。最初のパートTが現状についての説明でございます。我が国の特許制度の概要、諸外国の制度との比較、そして3番目に我が国の取り組むべき課題、この抽出を行いまして、パートUの「今後の在り方」の中で1から4として検討結果を整理をしたものでございます。
 それでは、5ページ以降、具体的な内容についてご説明いたします。
 現状の部分でございます。1番目、医療分野における我が国の特許制度の概要でございます。我が国におきましては、医療関連の発明のうち、医療機器や医薬の発明は「物」の発明として特許対象である一方、「人間を手術、治療又は診断する方法(医療方法)」の発明は、特許法第29条に規定する「産業上利用することができる発明」に該当しないと解釈することにより、特許の対象外としております。
 次に、諸外国の制度との比較でございます。1、諸外国の制度の概要でございます。本委員会におきましては、米国や欧州だけではなく、アジア、太平洋州の豪州、カナダ、ニュージーランド、そして韓国の制度についても調査を行いました。その結果は、以下、表1に示したとおりでございます。
 次のページをおめくりください。2番目に我が国の制度との比較でございます。技術思想である発明につきましては、下の図1に示しますように、「物」の発明としても「方法」の発明としても特定できる場合がございまして、ある国におきましては「方法」の発明としてしか保護できない発明が、別の国においては「物」の発明として保護している場合がある点に留意が必要でございます。
 次の7ページ目をご覧ください。2つ目のパラグラフの部分でございます。我が国と欧州におきましては、下の図2に示しますように、医療関連の発明につきまして「方法」の発明としては特許対象外としているものの、「○○治療剤」というような「物」の用途発明や「培養細胞シートの製造方法」というような製造方法の発明として特定することなどによりまして、先端医療分野におきます研究・開発成果の相当部分を特許保護することができております。逆に米国について見ますと、3行目にございます、「物」の用途発明としては新規性が認められなくて特許を取得できないために、治療方法として出願せざるを得ないこととなっております。先端医療分野における特許保護の在り方の検討に際しましては、こうした制度上の相違点にも留意することが必要でございます。
 次のページ、8ページをご覧ください。3番目、先端医療分野の特許保護に係る我が国の取り組むべき課題でございます。本委員会におきましては、新たに特許付与の対象とすべきか否か、検討が必要と考えられる発明の具体的な事例を可能な限り収集するため、研究者からのヒアリングを行いますとともに、インターネットを利用した事例調査などを行いまして、延べ100件以上の先端医療技術の事例を収集いたしました。その上で、こうした技術を類型化し、各類型ごとに特許保護の現状及び課題について検討を行いました。その結果、次の3つの取り組むべき課題を見出しました。
 第1に、審査基準における特許対象の明確化が必要でございます。本委員会の検討の過程におきまして、審査基準が不明確であるために、研究者や知財の担当者にとりまして、その理解が必ずしも十分でないということが明らかになりました。先端医療分野におきます研究者の予見可能性を高め、より適切な権利の獲得を可能とするためには、審査基準において特許対象を明確化することが必要でございます。
 第2に、特許対象範囲の見直しが必要でございます。現行制度上、特許対象外となっている発明について、新たに特許対象とすることの是非について検討を行いました。その際、先端医療技術の発展を図る観点だけではなく、安全性がとりわけ重視されるなどの医療の特質や公共の利益に十分配慮するという観点、諸外国における特許保護の動向の点にも留意をいたしました。その結果、新たに特許対象とすべき発明が存在することを見出しました。
 第3に、研究者に対する先端医療特許取得への十分な支援が必要でございます。特許制度を研究者にとってさらに利用しやすいものとしまして、発明を促進するためには、単に特許対象を明確化したり見直ししたりするだけでは不十分でございます。研究者による理解の促進、特許制度の最大限の活用に向けまして、大学における知財に係る相談体制の整備あるいは海外における権利取得のための情報の提供といった様々な支援が必要でございます。
 以下、次章より、発明の類型ごとに現状と課題を整理いたしまして、今後の在り方を提言します。
 次のページ、10ページ以降、今後の在り方についてご説明いたします。まず、1、審査基準における特許対象の明確化、その(1)既存物と既存物の新規な組み合わせに特徴のある発明でございます。これから審査基準の明確化の(1)から(5)の発明についてご説明いたしますが、この「ア」の「現状と課題」の記述につきましては、これまでの論点整理と基本的に同じでございますので、説明は省略いたしまして、「イ」の「今後の在り方」をご覧ください。下にございます。上にございます図3に示すような様々な新たな組み合わせ物の発明、物理手段と生化学手段との組み合わせなどが「物」の発明として特許対象となることを、特許可能な例示を豊富に示しつつ、審査基準に明記すべきとしております。
 次の11ページ目に、(2)生体外で行われる細胞等への処理方法に特徴がある発明(人体に対する細胞の採取工程や移植工程を請求項に含まないもの)、この「イ.今後の在り方」をご覧ください。自家由来の生体材料を体外で処理する方法のうち、「医薬品又は医療材料を製造するための方法」に該当し、特許対象となる発明に係る判断基準を、特許対象となる事例と特許対象外となる事例の充実を行いつつ、一層明確化すべきとしております。特に細胞に係る分化誘導技術、分離・純化技術、安全性の検査技術などの技術が特許対象であることを明確化するため、最終的な製品段階に至らない中間段階の生産物を製造するための方法につきましては、「人間から採取したものを原材料として医薬品又は医療材料を製造するための方法」に含まれることを審査基準に明記すべきとしております。
 次のページ、(3)細胞等の生体由来材料の用途に特徴のある発明でございます。「イ.今後の在り方」をご覧ください。細胞や細胞由来製品の生体由来材料に関しましても、その新しい用途につきましては、用途発明として表現することにより特許対象となることを、特許可能な例示を豊富に示しつつ審査基準に明記すべきとしております。
 次のページ、(4)細胞の特定の困難性がある発明でございます。「イ.今後の在り方」をご覧ください。上の図6に示しますように、原料、処理方法及び用途が確立されている発明につきましては、原料や処理方法は公知であっても、用途が新規である場合には下記例のとおり、「被生産物に用途限定を付した物の生産方法の発明」として特許対象となることを審査基準に明記すべきとしております。
 次のページでございます。(5)アシスト機器技術関連の発明でございます。「イ.今後の在り方」をご覧ください。@診断でない判定方法の発明、A人体への作用工程を含む医療機器以外の機器の作動方法、B作業者等の作業負荷を軽減する方法の発明につきましては、「人間を手術、治療又は診断する方法」に該当しないことが明らかなため、特許対象であることを、特許可能な例示、請求項の記載例を豊富に示しつつ審査基準に明記すべきとしております。
 以上が審査基準の明確化に係る部分でございます。
 続きまして、次のページから「2.特許対象の見直し」の部分でございます。まず(1)細胞や薬剤の用法・用量に特徴のある発明、アの現状、(@)我が国における保護の状況の部分でございます。我が国におきましては、細胞や薬剤の用法・用量に特徴のある発明は、これを「方法」の発明として表現した場合には、現行審査基準における医療方法一般についての取り扱いと同様、「産業上利用することができる発明」に該当しないとされております。このため、図8をご覧ください。いかに画期的な発明であろうとも、その中身を評価することなく、特許対象外とされております。
 一方、この発明を「物」の発明として表現した場合には、下記(a)患者群が明確に異なる場合、または(b)適用部位が異なる場合のように、医薬用途が相違すると認められる場合のみ、用途発明として新規性を有し得ると評価され、特許対象となっております。これ以外の時間、手順、投与量といった薬剤や細胞の用法・用量に特徴のある発明につきましては、医師が通常、医学研究や臨床における専門的活動を通じて行う技術の開発、改良などの水準、範囲を大幅に超える用法・用量であって、医学や薬学などの当該分野の専門家の予測を超える効果を示すなど、いかにその用法・用量に進歩性があろうとも、入り口を入ることができずに、新規性がないとして特許対象外となっております。
 次のページをご覧ください。下の図9に示しますように、医薬、これには細胞組織医薬も含まれますが、医薬という概念の構成要素である成分・分量及び効能につきましては、それぞれ「物質特許・製剤特許」「用途特許」として保護対象となっておりますけれども、用法・用量につきましては、対応する特許保護の形態が存在をしておりません。(A)には国際的な保護の状況を記述しておりますが、その後、具体的な検討に入ります。イの検討の(@)医薬における「用法・用量」の重要性でございます。医薬は用法・用量を誤れば毒にもなる危険性をあわせ持つものでございまして、適切な「用法・用量」で用いられて初めて医薬であると言えます。
 次のページの上でございます。このように医薬にとって「用法・用量」は重要な要素でございますため、下の参考事例、フォサマック等に見られますように、「用法・用量」を刷新することによりまして、患者の生活の質を大幅に改善することや副作用を大きく軽減することがあり得ます。時には、副作用が大きくて実際上医薬として使用できないとされて開発を中止されたものが、用法・用量を刷新することにより、初めて医薬として実用化された例もございます。
 次のページをご覧ください。(A)国民のニーズとインセンティブ付与の重要性でございます。下の図11に示すように、患者や医師からは、効能が同じであっても、副作用や体への負担が低減されて、より安全で安心して用いることができ、患者の生活の質を維持向上することのできる医薬の開発が一層求められております。
 次のページの2つ目のパラグラフをご覧ください。新規物質開発が困難になる中、今後、国内だけでなく、海外におきましても、新用法・用量に関する研究開発が活発化していくことが予想されます。こうした状況下で、我が国において専門家の予測を超える効果を示す新用法・用量のみに特徴がある医薬を特許保護していないことが、当該医薬の我が国市場への投入の阻害要因となるおそれもございます。
 次に、(B)新用法・用量の医薬に係る発明を「物」の発明として保護することの妥当性でございます。前述いたしましたとおり、医薬というのは適切な用法・用量で用いられて初めて医薬であるというものでございます。医薬の概念は、用法・用量が物質と一体となって構成されているということができます。また、図13に示すように、実際の取引におきましても、医薬は用法・用量という情報と一体となって流通をしております。
 次のページをご覧ください。一方、治療方法という「方法」の発明として保護することは、次のイ)患者が使用する発明となるために、産業上利用することができる発明とは認めがたいことなどなどの問題がございます。以上のことから、「物」の発明として保護することが適切であるとしております。
 次に、(C)患者の費用負担やフリーアクセスなどへの影響でございます。専門家の予測を超える効果を示す新用法・用量の医薬を特許対象とした場合、それによって研究開発が促進されるのであれば、患者が負担する医療費に悪影響を及ぼすおそれは小さいと考えられます。ただし、この前提として、本来、進歩性がない発明に誤って特許が付与されないことや、審査官ごとの進歩性判断の差異が生じないことが必要でございます。また、「物」の発明として特許対象とした場合、医師の処方は特許権の侵害とならないため、医師の裁量、患者の選択などに負の影響を及ぼすことにはなりません。医療のフリーアクセスなどの現行の医療制度には負の影響を及ぼさないと考えられます。
 「ウ.今後の在り方」でございます。用法・用量の刷新により副作用の発生を劇的に低減する医薬や患者の生活の質を大幅に向上する医薬の研究開発を促し、かかる医薬が広く利用可能となることを促進するため、専門家の予測を超える効果を示す新用法・用量の医薬の発明を「物」の発明として保護すべく、審査基準を改訂すべきとしております。
 第1に、改訂後の審査基準の運用に当たりましては、医師が通常専門家としての裁量により行う技術や医学的手法の開発、改良などの水準、範囲の程度を超えない用法・用量の医薬など、本来進歩性がない発明に特許が付与されたり審査官ごとの判断の差異が生じることのないよう、判断の統一的運用を図っていくことが求められます。こうした高水準の審査を実効的に担保するため、先行技術の調査能力あるいは判断の専門性をさらに向上させるとともに、審査体制の整備のために必要な措置をあわせて構ずべきでございます。
 第2に、この審査基準の改訂により具体的にどのような医薬の研究開発が促進されたかを適切に把握するため、関係省庁、産業界が協力して、中長期的に審査基準改訂後の制度の運用状況についてフォローアップ調査を行うべきとしております。
 以下、ページ21からページ26に、参考1から参考3が付してございますが、これまでの論点整理と基本的に同じでございますので、説明は省略をいたしまして、ページ27をご覧ください。
 (2)最終的な診断を補助するための人体のデータ収集方法の発明、ア、現状と課題でございます。エックス線CT装置、MRI装置等の新規の断層画像撮像の仕組み、原理の測定方法の発明につきましては、電磁波などを人体に作用し、その応答信号を測定するものであるため、人体への作用を除いた作動方法として発明を特定することが困難でございます。作動方法以外の方法の発明として特定しますと、人間を診断する方法であるとして、特許対象外となっております。このように、測定の仕組みを端的に特定する測定方法の発明として、包括的な特許保護が受けられないわけでございます。このため、測定装置などの「物」の発明を様々な典型例を想定いたしまして多重的に特定することといったような対応がとられておりますが、特許迂回の可能性が否定できませんので、保護が不十分ではないかとの懸念がございます。
 次のページの「今後の在り方」をご覧ください。今後出現する画期的な仕組み、原理の測定機器に係る発明の包括的な保護を可能とし、新たな技術を適切に保護するため、現在特許対象外となっております「最終的な診断を補助するための人体のデータ収集方法(手術、治療、診断が含まれない人体の計測・測定方法)の発明」、MRI、エックス線CTなどによる断層画像撮像の仕組み、原理等でございますが、これを新たに特許対象とすべく、特許対象となる事例を特許対象外となる事例を示しつつ、審査基準を改訂すべきとしております。
 次のページをご覧ください。3、先端医療特許取得への支援でございます。図20に示しますように、研究者の特許制度に関する理解不足、海外での権利取得の困難性あるいは相談できる体制の欠如、また知的財産の専門家の不足といった問題がございます。「今後の在り方」をご覧ください。第1に、ユーザーフレンドリーな運用の推進です。審査基準を分かりやすく明確化し、大学や研究機関に周知をします。
 次のページをご覧ください。また、ライフサイエンス分野におきます審査基準の説明会をより多くの大学や研究機関向けに行うなど、一層充実をさせていくとともに、審査過程においてもユーザーフレンドリーな審査を推進します。第2に、海外における権利取得の促進と知的財産専門人材の育成でございます。諸外国における制度及び運用に関する情報を広く提供します。また、先端医療分野の技術や海外の特許制度に詳しい知財の専門家を育成します。第3に、研究者の知的財産に関する相談体制の充実と人材育成でございます。大学等において、先端医療分野の研究者が知的財産について相談できる体制を整備いたします。さらに、先端医療分野に専門性を有する知財専門人材の育成を促進するとともに、大学等の知財専門スタッフのさらなるスキルアップへの支援、体制の整備を行います。
 31ページは、4番目としてその他の検討事項でございます。図の21に示すような、機械・器具の使用方法に特徴のある発明につきましては、「イ」にございますように、特許対象とすることへの肯定的な意見と否定的な意見がございましたけれども、次のページの検討結果といたしましては、「ウ」をご覧ください。機械・器具の使用方法に関する発明は、産業界に対してインセンティブを付与することが期待できず、その一方で、このような主に医師によって開発される技術を特許対象とすると、技術の公開がおくれる、間接侵害をめぐる紛争に係る企業負担が増加するおそれがあるなどのデメリットが考えられます。従いまして、仮に医師に対して権利行使をしないことを前提とする制度設計であったとしても、現時点においては機械・器具の使用方法に関する発明を新たに特許対象とすることは適当でないとしております。
 最後に、「結び」でございます。全体の検討結果の要旨でございます。本委員会は、先端医療技術の発展を促進し、その成果を患者に届けるということを第1の目的として、先端医療分野における特許の保護の在り方について、安全性がとりわけ重視されることなどの医療の特質や公共の利益へ十分配慮することや諸外国における特許保護の動向等の点にも留意をし、具体的な事例に基づき検討を行いました。検討の結果、3つの取り組みが必要であることが明らかになりました。第1に審査基準における特許対象の明確化が必要である。これは前述したとおり、(1)から(5)の類型がございました。第2に、次のパラグラフでございますが、国民のニーズ、研究開発の現状に照らしまして、第1に副作用や生活の質を劇的に改善するなど医薬の用法・用量の刷新により予測を超えるような効果を示す医薬の発明、第2に、MRIやエックス線CT等の断層画像の撮像の仕組みに関する発明のような医師の最終的な診断を補助するための人体のデータの収集方法に係る発明については、新たに特許対象とすべく審査基準を改訂することが必要である。特に、前者につきましては、次のパラグラフ、特許対象とすることに伴って進歩性の判断の重要性が増大するところ、進歩性の運用が特許庁として統一的になされるよう必要な取り組みをあわせて推進すべき。また、審査基準の改訂が研究開発の促進に与えた影響を把握するため、関係省庁、産業界が協力して中長期的に制度の運用状況等のフォローアップを行うべきとしております。
 最後のページでございます。第3に、先端医療の研究成果を適切に知財に結びつけるために、大学における知財の相談体制の整備や海外における権利取得のための情報提供等の支援体制の整備、そのための基盤となる人材育成が必要であるということ。
 次のパラグラフは、適切なフォローアップの必要性でございます。今後も先端医療分野における技術革新は予想を超えるスピードで進んでいくものと思われます。このような新規技術の出現に適切に対応していくことが求められます。一方、今回の特許対象の見直しが医療に与える影響についても適切に把握することが必要でございます。これらの要請を満たすため、制度の運用状況、先端医療分野における技術動向、医療の特質や公共の利益に十分配慮する必要性、国際的な動向等を踏まえつつ、先端医療分野における特許保護の状況、今回の特許対象の見直しによる医療への影響について関係省庁、産業界が協力して適切にフォローアップを行うことが必要でございます。
 最後に、本報告書の提言に基づいて、審査基準の改訂を初めとする所要の措置を関係府省庁が連携し、速やかに実行に移すことを強く要請する。
 以上でございます。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 こういう形でまとめてみたのが、皆さんの目に触れるのは初めてだと思いますが、いかがでしょうか。これから自由討論の時間にしたいと思っておりますけれども、どこからでも結構ですと言いますとばらばらになる危険性がありますので、最初から少し区切りをつけましてお話を伺いたいと思います。
 最初に戻っていただきまして、1ページ目、「はじめに」というところがございますが、ここは大体よろしいでしょうか。もし何かございましたら、どうぞお声を上げていただきたいと思いますが、もしよろしければ中身に入りまして、5ページ以降、最初は、審査基準における特許対象の明確化というところでございます。現状は、皆さんは一応ご出席いただきましたのでお分かりかと思いますが、それでも現状のところで何かご疑問がございましたらどうぞ。どうぞ、羽生田委員。
○羽生田委員 5ページの一番下の表の1なんですけれども、注意書きが非常に多い。注1から注5−2まであるんですけれども、もう少し内容的なものの一番上の書き方を変えれば、注が少なくなるのではないかというふうに思うんですけれども。一度、澤先生がプレゼンで出しました表が、お手元に今ないんですけど、その方がちょっと細かく分けてあって、この方が少し内容的には分かりやすいのかなというふうに思いますけれども、資料は出ないですかね。
○金澤委員長 今すぐありますか。せっかくのご意見ですので、コピーを今とります。ちょっと確認します。ありがとうございました。配られてから議論いたしましょう。
 他にいかがでしょうか。具体的に言いますと、5、6、7、9ページまでですね。今回のポイントは8ページの(1)、(2)、(3)というところにまとまっておりますので、これから具体的にはこの3点について詳しく見ていっていただきますが、コピー、どれぐらい時間かかりそう。またここへ戻ってもいいんですけれども、ちょっと話がばらばらになるから。二、三分。だれかその適切な質問をしていただけませんか、その間ぐらい。
 羽生田先生、注が確かに多いように見えますけども、どのぐらいならいいんですか。二、三個ならいいですか。表そのものを変えた方がよろしいというご意見ですか。
○羽生田委員 一つ一つの項目の分け方が国によって少し違うので、その辺を表が数ふえてしまいますけれども、注で表現した方が分かりやすいのか、項目を少しふやして、○×△にした方がいいのかという、この表の注の部分を少し言葉で、表が増えてしまうわけで、どちらがいいか、分かりやすい方にした方がいいという意味で。
○金澤委員長 せっかくですから、そういうご意見を頂戴しましたので、これ、後でもよろしいですかね。
 それでは、具体的な内容の中で、あるいは最後に議論していただくかもしれません。いずれにしても、それでは内容に入らせていただきましょう。
 10ページですね。「今後の在り方、の1つ、審査基準における特許対象の明確化というところで、これは14ページまで、5つの項目に分けてございます。この範囲であればどこからでも結構でございますので、どうぞご意見くださいませんでしょうか。かなり議論をしておりましたので、よろしいかとは思いますが。どうぞ、須田委員。
○須田委員 この5項目にわたって非常に具体的に書かれていると思うんですけれども、一つ気になりますのは、審査基準における特許対象の明確化という大きなタイトルのもとに、急に具体的な5つの課題になりますよね。ここに何か文章が入らないかなと思うんですが。
○金澤委員長 ああ、そうか、そうか。なるほど。理解いたしました。10ページの「今後の在り方」、1の明確化。次の(1)に行くまでの間に何か1行要るんではないかと、こういうことですね。
○須田委員 僕は他に意見があるわけではないんですが、この5つをどうして選んだかというような感じがしまして、今見ているとやはり用法・用量ということと、細胞が入ってきたからこうなったのかなと。もう一つ、アシスト機器ですけれども、この5つがここにクローズアップされた理由というのが明確になっていると読みやすいかなと思っているんですけれども。
○金澤委員長 なるほど。現状の中からそれが拾えるとよろしいんですがね。8ページの3ポツの前文、あるいは(1)の明確化が必要と言っているこの7行の中から拾いましょうか。拾えますか。どうでしょう。拾わなきゃしようがないですね。これ、具体的にはやっぱり現場から出てきた意見なんですよね。
○内山事務局次長 基本的には、8ページ目の3ポツの柱書きにございますように、具体的な事例を可能な限り収集して、それを類型化して、必要なものについて特許対象の明確化が必要だね、あるいは特許対象の範囲の見直しが必要だという、こういう結論があったものですから、それをもう一度書くということになります。そういうことで、今、金澤委員長の方からまとめていただきましたように、この8ページにございますそういった我々の検討のプロセス、アプローチの仕方をコンパクトにそこに書くということでよろしゅうございますか。
○金澤委員長 そういたしましょう。一、二行で結構ですので、入れることにしましょう。これは何とかお任せいただけるでしょうかね。
 他にどうでしょうか。どうぞ、林委員。
○林委員 今のところですが、別添の参考資料集の6の事例調査の36ページに「6.事例調査」としまして、インターネットを通じた事例調査や、総合科学技術会議を通じた事例調査というのがございまして、ここでも皆様から上がった意見としてこういった点についてのニーズが高いというところが出てきたかなと思います。
○金澤委員長 どうもありがとうございます。これを引用してもいいですよね、確かに。引用というか、それを何かその都度、だって3カ所しかないわけだから、(1)、(2)、(3)の。その前文だから、本当に一、二行、何ページにも書いてもいいし、何かちょっと書くことは不可能ではないですね。ありがとうございました。
 どうぞ、片倉委員。
○片倉委員 最後のまとめの方に載っています、フォローアップという言葉が書いてございますね。逆に、なぜ審査基準を見直さなきゃいけないかというのは、新しい医療技術がどんどん出てくることを想定はできないわけですね、基準を作るときに。ですから、やはり新しい技術の現状をかんがみて、審査基準というのはあるタイミングで見直す必要が本来あって、それを今回色々な情報を集めた結果として、今の審査基準だけではカバーし切れない部分があるから、こういう項目を取り込んで見直すという、そういう意味合いですよね。だから、やっぱりその診断基準というのは、ある含みとしては時代時代で見直すような意味合いをこの審査基準に関してはちょっとここで入れた方がいいんではないかと思うんですけれども、いかがですかね。常に現状に合わせた審査基準がどうあるべきかというその見方を今回はある期間の中で見直してみたということが前提だと思うんですけれども。
○内山事務局次長 まさしくそういうことで結びの中に明記しておりますので。
○片倉委員 ここにちょっと入れて。
○金澤委員長 ページはどこですか。
○片倉委員 ごめんなさい。10ページの1と(1)の間に、ここに入れちゃっていいんじゃないかな。それで、結びにまた同じことが書いてありますけれども、要するにある期間で見直しをしなきゃいけないんですと、そういうふうに。ちょっとくどくなるかもしれませんけど。それはお任せです。
○金澤委員長 そうですね。お話はよく分かります。
 他にいかがですか。もしよければ、先ほどの羽生田委員からご提出いただいたご意見にちょっと戻りましょうか。今の点、はい、分かった、どうぞ。
○内山事務局次長 今の片倉委員のご指摘でございますが、その点は審査基準における明確化だけなのか、それともそれ以外のすべて全体に関係するので最後にあるのであって、一々それぞれの項目ごとに全部入れ込まなければいけないのかということになります。これはやはり結びで明確に書いてございますので、それで私どもとしては意思は明確になっているのかなと思います。
○片倉委員 了解いたしました。
○金澤委員長 結びだけじゃなくて、前文といいましょうか、現状の中でやっぱりちょっと述べておくべきだろうと、一言ね、とは思いますけれども、それぞれの場所で述べるのは確かにちょっとあれですね。ありがとうございました。
 他によろしいでしょうか。もう二度と意見を言っちゃいけないという意味じゃありません。せっかくですので、資料が来ましたので、前に戻っていいですか。羽生田委員からいただいたご意見に戻りたいと思います、今配られたものがありますから。はて、どうですかね。これ、かえって分かりにくくないかな、大丈夫かな。これ、注、全部に必要、本当に。逆にそういうふうに見ていったらどうかな。どうだろう。ちょっとかえって見にくくないかな、この表は。どうぞ、佐藤委員。
○佐藤委員 ここの議論の中では、やはりどこまで特許になるかということが現場の先生方にもよく理解できない状況にあるというのが出発点だと、大きな一つの出発点だと思うんですね。そういう意味では、どこの国とどう違うかということをきちんと一回整理したものをこの報告書の中のどこかに載せるというのは、非常に意味があることじゃないかというふうに思っています。そういう意味では、先ほど羽生田委員の方からあった、こちらの方が割と詳細な形で見えやすいというふうに私も思うんですね。そういう意味では、非常にややこしいように見えますけど、一つ一つ考えていくと、どこに当てはまるのかという理解をするにはしやすいかなと思うんで、ただ、韓国をこれに当てはめてまた事務局が作らなきゃいけないというところが大変かもしれませんけれども、何か現状のどこまでがどの国でどうなっているかということが分かりやすい形で表現されたものがこの報告書に一つ入った方がいいかなと思っておりますので、そういう方向で何かできないかご検討いただいたらいかがかなと思います。
○金澤委員長 ありがとうございました。表1が大事だと、表1というか、このようなものが大事だということはご意見いただいたと思いますが、どちらがいいか、どっちが分かりやすいかについて、ちょっとご意見を皆さん方からいただきたいですね。それと、簡単にこのカナダ、ニュージーランドなどと韓国がこの表に入れるのかどうかも含めて。どうぞ、北川委員。
○北川委員 まず、この書き方というか、全体の構成のところで、最初に諸外国との比較と書いてありますけれども、そもそもこの委員会の趣旨というか、特許を見直したその背景というのは、外国がどうだからこうだという形にしているわけではないわけで、日本としてどうするかということを考えればいいと思っているんですね。ですので、ここの項目についてはまずそもそも委員会が立ち上がったその趣旨というのは、先ほど片倉さんがおっしゃったように、問題点が浮き彫りになってきたので、その審査の中身を議論しようということになった。むしろこの資料というのは、私、後ろの方でまとめた方がいいんじゃないかという意見があって、従来はこういうところに問題点が、諸外国との違いがあった。今回、見直しをすることによって、例えばこのバツの部分だったやつがマルになったとか、こういうふうに変わったんだという対比をつけた方が分かりやすいかなというふうにちょっと私は思っているんですね。制度との比較というと、非常にコンサバティブな、他国に追随するとか、他国の状況を踏まえた検討をしたようにニュアンスとしてとれるのは、ちょっと私としてはいかがなものか。やっぱりアメリカなんかは特に、非常にこういう分野では真っ先に手を挙げてやって、改正をしていくというやり方をとっている中で、それを見ながら日本としてはこういうふうにしていくんだというような感じにとられがちで、特許のハーモナイゼーションの中でも今後、実際問題、今、以前申し上げたように、我々が出している出願の特許で審査基準のところで、非常にアメリカと対抗している、戦っているポイントがあって、日本としてはこういうスタンスをとるんだということを強く言っていただきたいなという、むしろ日本からアメリカにその基準とかについて、こういうふうにしたんだというようなことを言っていただくような意見書にしていただけないかということなんです。
○内山事務局次長 今の点は事務局としても構成に際して同様の考え方です。従って、我が国の制度との比較というところを強調したいがために、ここが説明のポイントになっているということで、別にその前の諸外国の制度の概要を強調したいと思っているわけではありません。これは我々が強調したい我が国の制度との比較、色々な保護の在り方がありますと、日本と欧州の考え方とアメリカの考え方がありますというところを言うためのいわば前座みたいなものでございます。別にここを強調したいということではなくて、次の6ページ、7ページの部分、この部分を言うことが、その後の審査基準の明確化であったり見直しの部分の前提になるからという趣旨でございまして、余りこの表自体に重きが置かれているということではありません。
○北川委員 分かりました。そうすると、じゃ、この改訂によって海外に先んじて日本がどういうふうにどこをこういうふうに指導したんだということは、逆に羽生田先生がおっしゃったように、もう少し詳しく書いてしまって、少し後ろへ持っていって、もう少し明確に詳しく書いた方が比較しやすいんではないかと思うんですけれども、そういうお考えはないんでしょうか。
○金澤委員長 どうでしょうかね。どうぞ、林さん。
○林委員 報告書の文章をどう書くかというのは、非常に多分、好みの問題はあるかもしれないなと思うんですが、一つ、先生方のおっしゃられたところは、今回のこの意見書を作るに当たって、この委員会がどういう視点でこれに取り組んだかということがはっきり分かるようにしたいということではないかと思いました。その点では、この「結び」ですか、33ページのところでは、すごく肝にして要を得て、はっきりとまとめてくださっていると私は思います。といいますのは、冒頭に「本委員会は、先端医療技術の発展を促進し、その成果を患者に届けるということを第一の目的として、」と書かれておりまして、これまで医療方法特許の議論というのは色々何回かございましたけれども、この委員会では議論の視点をプロパテントというよりは、プロイノベーション。つまり、先端医療分野における特許保護が最初にあるのではなくて、技術開発の促進というプロイノベーションが患者のためになるということが視点の最初にあると。そのインセンティブとして特許保護の在り方を考えようというところに立って、インターネットなどでのヒアリングをしたりして今回の結論に至ったということではないかと思いますので、好みとしては、この結びに書いてあることを、重複になっても、冒頭とか分かりやすい最初の方に持ってきておいて、そういうスタンスに立って議論をして、具体的にこういう結果を得たということをまた最後に結びで書いていただければ、読む方としても分かりやすいのかなと個人的には思います。
○金澤委員長 ありがとうございます。今、林委員が引用していただいた33ページの結びの最初の本当の冒頭のところの中に「諸外国における特許保護の動向等の点にも留意しつつ、」というところが、そこから突然始まるものだから、奇異な感じをうかがった部分があるんだろうと思うんですが、その辺は少し現状のところに、医療分野における我が国の特許制度の概要の中に少しそこを書き加える形でいかがでしょうか。ありがとうございます。そのようにさせていただきましょう。
 さて、そうすると元へ戻りまして、この表の扱いですが、参考資料の方に、別添の方へ移すのではなくて、一応この中で扱おうということになると、少し重いという感じはあるかもしれませんですね。それはあるかもしれない。それは羽生田委員がおっしゃるように、注が少し多過ぎやせんかというご意見だろうと思いますが、かといって、これを下の2つの表にして、それで済むかということですね。その辺をもうちょっとご意見ください。
 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 今、お話を伺っていて、やっぱりこの報告書の全体のバランスというのもあると思うんで、そこら辺を踏まえた上で調整するしかないのかなと思います。
○金澤委員長 表を全部参考資料のように移したらどうかという意見を今言われたんで、それはいいかもしれませんね。どうでしょうか。それでいきましょうか。そのときに、この澤先生が前にお出しいただいた方がいいかどうかをついでに伺ってみましょう。どうぞ、長岡委員。
○長岡委員 私は、この表、非常によくできていると思いますけど、せっかく改訂されるんでしたら、次のページにも書いてある用途発明のことを書いておいておかれた方がいいんじゃないかなというふうに思ったんですけど。つまり、米国では用途発明がないというところで、逆に日本にはあるわけですから、そのことは表1に関連して全く書いていないので、もし改訂されるんであれば、それもつけ加えた上で表にされるといいんじゃないかなと。
○金澤委員長 文章には記載があるんですか。
○長岡委員 こちらの方にも明確ではないんですね。
○内山事務局次長 参考資料の中に、今のご意見も踏まえて入れます。それから澤先生のお作りいただいた資料も、そういったところを少し見直して、参考資料の中で両方明記するということにいたしますが、よろしいですか。
○金澤委員長 この表の扱いにつきましては、ちょっと後で検討させていただくことでよろしいですか。どうぞ、片倉委員。
○片倉委員 もちろん再検討ということでお願いしたいと思うんですけれども、そのときに実は注意いただきたいのは、医療機器と医薬と分けた表記がいいのかということと、それとこの10ページ目にあります組み合わせ発明というのを今回事例として出していただいていますが、これはこの表で読んじゃうとその医薬の組み合わせと、このページとまたちょっと違ってきますので、どこに落とし込むか、そこはちょっと検討いただかないと……
○内山事務局次長 必要な調整はします。
○片倉委員 よろしくお願いいたします。
○内山事務局次長 分かりやすいような形で。あくまで参考資料ですので、分かりやすさということを追求して整理をしておくということにしたいと思います。
○金澤委員長 ありがとうございました。
 それでは、他の話題に移らせていただきましょう。他のというのは、この5ページから9ページまでの間の他のご意見です。どうぞ、羽生田委員。
○羽生田委員 今、人に対する色々な形の特許ということなんですけれども、実験動物等々で、特に欧州の一部では動物に対する特許も非常に日本と違う。日本の場合には殆ど動物は物として扱われているために、色々な診断についても治療方法についても殆どが特許がとれる。それから、実験動物に対しても特許がとれるということで、その辺をどう考えるか。人に対しての話ですから、全く無視してもいいのかなと思うんですけれども、そういったところが少し日本ではむしろかなり甘い状態にある。欧州などの場合には、宗教的な話も入るのかもしれませんけれども、そのような特許ができないところがあるというようなことらしいんですが、その辺この中に書き込む必要がないとは思いますけれども、そういったことがあるということのようでございますので。
○金澤委員長 どうでしょうかね。今の話は、実はこれは先端医療、これは獣医における先端医療ではないので、やはり人に対するものですので、ここでは人に限定してほしいんじゃないかと思いますけれど、どうなんでしょうかね。6ページの注の3−1に、人以外の動物云々と書いてありますけれども、これはどうでしょうかね。動物に対する扱いは、確かに宗教的だけじゃなくて、欧州とは大分違うものですから、ここに書くべきか難しいですね。
○羽生田委員 ただ、殆どが基礎実験、動物でやっていますので、どのようにとらえるか。こうした方がいいというのも、なかなか私としても分かりにくいところなんですけれども。
○金澤委員長 ご意見いただきたいと思いますが、どうですか。これはむしろ例えば医薬品を開発なさっているお立場から、動物に関しての扱いが楽だから日本の方がということはありますか。
○渡辺委員 今のご質問に対して直接アイデアはないんですけれども、私自身、今お話をお伺いしていて、やっぱり今回の検討の目的というのは、先端医療にかかわる諸問題の解決、明確な部分とかあるいは拡大が必要な部分を明確化していくということですので、やはり人に限った話にしておくべきだろうと思っております。ただ、人以外の件に関しましても、やはり医薬の開発の過程ではかなり重要な課題ではありますが、そういう点に関しましてはやはりリサーチツールの問題等とか、別途他のところで扱えばよろしいんじゃないかなという印象を持っております。
○金澤委員長 いかがですか。別な問題を生んでくる危険性もないわけじゃないんですね。どうでしょうか。どうぞ、佐藤委員。
○佐藤委員 私も今、渡辺委員と同じで、今回はやっぱり先端医療ということで、人を対象とした発明をどうするかということが本委員会のテーマでございますので、余り広げると話がまた見えにくくなるかと思いますので、そこはまた別途別な委員会で検討するということにされたらいかがかと思います。
○金澤委員長 羽生田委員、よろしいでしょうか。議論させていただきましたので。
○羽生田委員 そのようにお願いいたします。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。他にいかがでしょうか。
 それでは、5ページから9ページまではとりあえずはこのぐらいにさせていただいてよろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、10ページからの始まる「今後の在り方」についてであります。特許の明確化ですね。これの14ページまでいきましょうか。羽生田さん、どうぞ。
○羽生田委員 図6のいわゆる特定しがたいYという細胞ができてきたものを特許というふうに認めるという理論は分かるんですけれども、実はこれが治療という話になったときには、薬事法を通らなければ全く使えないものなんですね。市場性のないものなんですけども、その辺、厚労省でもどう特許と絡めてくるのか。市場性が全くなくても、こういったものがあるというのを特許とするのがよいのか、あるいは特定ができなければ特許とすべきでないのか、その辺どのようなお考えなのかちょっとお伺いしたい。
○金澤委員長 どうでしょうか、厚労省。
○木下経済課長 多分これ、組織の組成物XからYに変わるわけです。だから、物としては別のものとして薬事法上の審査承認手続を得ますので、もちろんその段階においてはしっかりした審査手順を踏まえないといけないと思っています。だから、そこが曖昧にはならないと思っていますけれども。
○羽生田委員 これの話のときには、この全くYというものが特定できなくても、このYというものができてくる過程においては特許としようではないかというお話であったというふうに思うんですね。ですから、実際にこれを治療に使う段階では、これがどういうものであるかということは特定できないと薬事法は通らないのかなというふうに思うんですけれども、その辺をどのように整合性をつけていくのか、それがちょっと心配なところなんですけど。
○金澤委員長 今の問題ですね。どうぞ。佐藤委員。
○佐藤委員 薬事法と特許法は法律の目的が違っていて、元々ここで言われているものは、どういう発明を特許法上保護するかということ、それがさらに薬事法で許可されるかどうかというのは別の問題であるというふうに切り分けてこの問題を考えるべきだと思うんですね。実際に、我々、特許をやっていまして、特許にはなっているけど、薬事法で通らないという特許はたくさんございます。それはやはり技術を進歩させていくための仕組みとして特許制度があるんであって、それが医療に貢献するかどうかということで薬事法で通るかどうかというのはまた別問題というふうにご理解いただければ、この問題は整理できるんじゃないかというふうに思います。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。どうぞ、北川委員。
○北川委員 今の意見で、これは以前から申し上げているように、審査基準の問題だと私は思っているんですけれども、まさにおっしゃったように、申請をかけて薬事法に通らないようなものが特許として成立しているということ自体が私は問題だと言っているんです。そこが問題だと。ですから、それは産業上利用できるレベルのものに達していないので、そういうものを特許すべきではないというのが私の考えで、その基準を、例えば何かの肝細胞のガイドラインとか以前申し上げましたようなそういったガイドラインである程度の基準を求めた方がいいんではないか。そうしないと、結局これはもう動物実験でちょっとうまくいったから、でも人の研究開発をやるというのは非常にお金もかかりますし、もう一遍ゼロからに等しくやり直すわけです。そういうものとその水準のものとが同等のレベルで扱われて、安易に推察できる範囲ということで特許に抵触するというふうになってしまわないようにしていただきたい。ですから、これは以前から申し上げているように、審査の水準をある程度やっぱり統一的な基準として何らかセットしてほしい。そこには、私は薬事法が若干、何らかの薬事法の審査基準みたいなものが織り込まれてもいいのではないかという考えも持っているんですけれども。
○金澤委員長 ということは、この今後の在り方をどうしたらよろしいですか。
○北川委員 ここでは非常にそこを不明瞭だと言うと変ですけれども、今の段階で多分それを決めることは非常に難しいと思うんです。難しいです。ですので、この部分は多分今後の審査の過程で、三省庁連携して、と書いてあるように、産業に供するというのは一体どの水準かということをもう少し厳密に審査していただきたいということを申し上げたいですね。
○金澤委員長 田村さん、何かご意見ありますか、今の点に関して。求められているようですけど。
○田村審査基準室長 今ご議論の対象になっているこのクレームについてちょっとご説明をさせていただきますと、弁理士会さんの方からプレゼンがあったときには、この細胞組成物Yの方が特許クレームとして非常に特定しにくいというようなお話はされましたが、特定できないとはおっしゃられておりませんで、審査基準上は特定できないものは少なくとも特許にしないという形でやらせていただいております。それで、特定する方法として、この細胞Yを細胞表面マーカーとかで特定するのが割と特定しやすいということになるんですが、そういう特定の仕方がなくても、プロダクト・バイ・プロセスということで製造方法でもってこの物を特定するというようなやり方もございますというところを明確化させていただくということで、こちらの方の今後の在り方という落としどころになろうかと理解しております。
 あと、実際に薬事法で通るような発明だけを特許にすべしという点につきましては、委員の皆さんからご意見がございましたように、薬事法の趣旨と特許法の趣旨、法の目的それぞれ違いますので、そこが薬事法で求められるだけの高いレベルの安全性が確認されないと、医薬用途発明として特許できないというふうにすべきかどうかというところは、ちょっと特許法をやっている人間からしますと、そこまで高いレベルの審査基準を設定するということはむしろイノベーション促進という観点からいけば難しいかなと。ただ、厚労省さんとその辺ご相談をさせていただいて、今どんなものが薬事法で許されて、それに対応して産業界に対して特許制度がどういうふうに利用していただけるのかというようなところは、連絡をとりつつやるという点についてはよろしいかなというふうに考えてございます。
○金澤委員長 ありがとうございました。どうぞ。
○北川委員 そうすると、医薬医療機器と書いてあることは間違っているということになりますよ。ここで今議論しているのは、医薬医薬品という、そういう議論なんですよね。私は薬事法でそれが通過するレベルという話をしているんではないんですよ。先ほどここで組成物Y、特定しがたいと書いてあるところも、色々なレベルで特定は多分できているんだと思うんですね。そこも非常に難しいと申し上げているのは、じゃ、どこまでというのは難しいと思いますが、例えばある組織からそれらしき部分を採取をして、培養してでき上がったものをエッジぐらいを見て、何か似たような組織になっていて、だからこれはこういう機能を持ったものだということと、そこを染色をして、ちゃんとたんぱくの発現を見ていて、マーカーを見て、もとの細胞がきちっとそこでもう増殖過程を経た後でも保持されているというところまで証明しているものとが同等に扱われているというのが現状なんですよ。それは僕はちょっとおかしいんじゃないかと言っているんですね。その追試ができないんですよ。
○田村審査基準室長 そこはちょっと個別な案件になりますので、ここでちょっとお答えするわけにはございませんが、少なくとも特許法上は、公知のものと十分区別のつくようなものに対して特許を与えると。さらに、公開代償説に立てば、第三者の方がその明細書を見て、その発明を実施できるというところが担保できているかどうかというところも審査官は確認させていただいておりますので、そういう微妙なケースがあるのかもしれませんが、基準上はそこは担保しているというふうにこちらの方は考えてございます。
○金澤委員長 ありがとうございました。やっぱりその現場での判断が大事だということはご指摘のとおりだとは思いますが、文言上変えなければいけないかどうかに関しては、一応ご理解いただかないとどうも先へ進めないんですが。どうぞ、羽生田委員。
○羽生田委員 この特定しがたいということが非常に大きな問題ではないかと。要するに、同じものがまたできるのか。それが今後その産業として成り立つという、いわゆる患者さんのために役に立つものとして確立できるのかというところが、やはり患者さんに対しての安全性とか、産業上使えるということは、安全性がきっと担保されるということになるわけですから、その辺でこの特定しがたいというものが必ず再現性があるとか、何かそういった少し縛りがないとちょっと不安な感じを覚えるんですけども。
○金澤委員長 どうぞ、佐藤委員。
○佐藤委員 発明として成立するためには、再現性がないと発明になりませんので、ここでの方法としては、この採取したものを処理してできるものというのは必ず再現性があるというのが前提なんです。ですから、今、羽生田委員がご心配のようなそのできるかできないか分からないものが特許になるということではないということです。本来、今特定しがたいというのは、こういう方法ならできることは明らかなんだけれども、じゃ、この物質が何だということを一つ一つ特定していこうとすると非常に難しいという問題があるということで、今回この問題がテーマになったということです。そういう意味では今のご心配は必要ではないんじゃないかというふうには理解しております。
○金澤委員長 どうぞ。
○羽生田委員 そうしますと、行く行くは必ず特定できるということが前提にあるということですか。そうしたら、それまで言葉の中に入ってもよろしいのかなというふうに思いますけれども。
○金澤委員長 どう表現したらいいでしょうかね。
○羽生田委員 いわゆるこの処理方法AでYというものができるということが特許として認める場合には、その特定しがたいYというものが特定し得るということが前提にあるということが何か言葉として入らないでしょうか。
○佐藤委員 これはいわゆる特許の請求の範囲の書き方の問題と非常に絡んでいまして、それをそういう特許法のクレームの書き方上、特定しがたいという意味なんです。この辺をもし今ご心配であれば、どこかで補足説明みたいなものを添付なりなんなりつけられて、誤解がないようにされるとかいう工夫を一度ご検討されたらいかがでしょうか。
○高山参事官 今の点は13ページの3つ目の段落、「この際、」というところで「原料、処理方法及び用途が明確であり、」というところで、一応原料がはっきりしていて、それに対してある特定の処理方法をするとこの疾患Zの治療に使えるという新規な用途が出てくるということが明らかである場合ということが一応ここで書いてはあるんですけれども、多少その書き方が明確ではないかもしれませんので、ここを少し修正させていただくということでいかがでしょうか。
○金澤委員長 というご提案ですが、どうぞ、林委員。今の点ね。
○林委員 この図の中の括弧で「特定し難い」と、このスペースで書かれているのは、今、事務局からご指摘のあったところの次の行の「物理的存在としての特徴」によって特定しにくいと、その物として特定しにくい、物理的な物として特定しにくいということであって、それゆえにプロダクト・バイ・プロセスなどの表現で特定するという工夫をしているという意味なんですが、この図の中の括弧のスペースで、それを一言で書くのが難しかったのかなと思います。ですので、代替案としては、「物として特定し難い」とかという感じかなと思います。
○金澤委員長 なるほどね。ありがとうございました。そういう修文を多少加えさせていただこうと思います。ありがとうございました。
 さて、それでは次に行ってよろしいでしょうか。それでは、一応10ページから14ページまでは多少の修文を必要といたしますが、一応ご理解いただいた、お認めいただいたということにさせていただきます。
 それでは、15ページ以下ですね。特許対象の見直しに入りまして、これは20ページまでの間に、参考もあるんですが、とりあえず(1)までにしようと思っているんです。26ページぐらいまで、参考を入れますとね。文章としては20ページまでの範囲でいかがでしょうか。(1)、つまり細胞や薬剤の用法・用量に特徴のある発明。
 いかがでしょう。どうぞ、永井委員。
○永井委員 この用法・用量の問題というのは今回の見直しのポイントだと思いますので、参考事例もしっかり書いておかれた方が思うんですね。17ページの参考事例のイ、以前この会議で議論になったフォサマックですが、この5行の説明を読みますと、まず利便性に問題があったと、しかしながら、剤型が変わってQOLが向上したという論旨になっています。ですが、やはり利便性だけではなくてというのが今回の見直しの一つの論点だったと思いますので、まずこれにもうちょっと医学上あるいは医療上のロジックを加えておいた方がいいんではないかと思います。具体的には、この医薬は、胃食道炎の副作用予防のため、毎日朝食前の30分以上立っていなくてはならずというまず医療上のロジックがあるということですね。横になれないという治療及び利便性に課題があったと。医療上に課題があったということをまず押させておいて、最後の行に、1週間に1回となり、副作用を軽減するとともに、患者の生活の質、QOLを大幅に向上させたというふうに、医学的なロジックが必要だと思います。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。それはそのとおりですね。よろしいですね、渡辺委員。
○渡辺委員 はい。
○金澤委員長 他にいかがでしょうか。どうぞ、羽生田委員。
○羽生田委員 今のその用法・用量の問題なんですけれども、私は専門家じゃないんでよく分からないんですが、薬剤の血中濃度、あるいは組織の関係か、濃度によって受容体が異なってくるということがあり得る話だろうと思うんですね。その場合に、いわゆる用法・用量の刷新でなく、対象となる受容体が異なるという対象物が変わってくるという形での特許ということが本当はあるのではないかと。いわゆる用法・用量だけでなく、もともとの受容体が違うという、対象が違うんだというところに、どこまで研究が進んでいるかちょっと分からないんですけれども、そういった観点から物が薬については見られないのかなと。そうすれば、用法・用量ということよりも、対象が違うというようなことが言えるのではないかということは考えられないでしょうか。
○金澤委員長 どうぞ、渡辺委員。
○渡辺委員 ちょっと質問の意味を私がよくとらえていないのかもしれないんですが、対象となるターゲットのいわゆる受容体等が変わるという話でございますが、この場合には、その受容体に適した薬剤というのはもう別のものになってしまうということで、新たな新薬として別な薬が開発されるということになると思います。そうなると、やはりもう新薬という形で、今回の検討以前にもう物の特許としてやれるものじゃないかというふうに思っております。ですので、改めてそこの部分から対象患者ということではないのではないかなというふうに思います。
○羽生田委員 ということは、今出ているこの3例についても、いわゆるそういうところまではもう既に調べて、濃度だけで受容体が変わるものではないということで、実際にその濃度等によって効果が違うんだと。用法・用量によって効果が違うと、この副作用等が。
○渡辺委員 このここに示されている3例というのはまさにそのとおりだと思います。
○金澤委員長 よろしいですか。
○羽生田委員 はい。
○金澤委員長 他にどうでしょうか。今、新規性、進歩性の話もありますし、特許の用途も書いてありますし、例も書いてあります。安全性の問題、QOLの問題もありますね。用法・用量で1セットとして特許として認めてはどうかという今後の在り方、20ページにもこれはありますが、何か他にご意見。大体議論していただいたことだろうとは思いますが。
 それでは、また思い出されましたら、またおっしゃっていただくことにして、27ページ、28ページ、(2)の最終的な診断を補助するための人体のデータ収集方法の発明について、これはいかがでしょう。
 どうぞ、長岡委員。
○長岡委員 私はもちろんこれ賛成なんですけれども、最終的な診断を補助するということの中で、今回新たに特許対象にする機械が実際何をしているかということで、単純な収集というキャラクタライゼーションで本当でいいのかどうかというか、補助するために多少の分析とかそういうことも加えたものが本来はそういう機器ではないかというふうに思うんですけど、そのあたりはいかがなんでしょうか。
 収集というのは少しコンセプトが狭いような感じ。もちろん診断するものではないんです。あくまでも診断の補助機器ではあるわけですけれども、収集という概念で本当にうまくこの特許審査等の、特許を書く側、審査する側がうまく回るのかどうかというところをちょっと確認したいなと思ったんです。いかがでしょうか。
○金澤委員長 これはどなたにご質問でしょうか。田村さんかな。難しいね。いいですか。
○田村審査基準室長 ちょっと質問の趣旨を間違えているかもしれないんですが、象徴的にこれ、収集というふうに使っていただいているというふうに考えてございまして、医師の最終的な判断に至るまでのデータを集めるステップ全般を言っていただいているのかなというふうに私どもでは理解しておりまして、それであれば、審査官の方も特に迷わないかなというふうに考えてございます。
○金澤委員長 よろしいですか。
○長岡委員 このデータという意味が生のデータなのか、お医者さんが見るためのデータなのかというところがちょっと若干分からないなという。
○片倉委員 もともと提案したのは我々ですけれども、ちょっと専門じゃないのでということで説明はなかなか難しかったんですが、基本的には今ご説明があったように、収集というところに踏み込みますと、まさにお医者様が判断する領域に入っていくというそこの前提で、あと線引きのための文言として、私はよく工夫された言葉になっているなと思っていまして、この範囲であれば、多分診断という考えを審査する側はされないでしょうという範囲の言葉というふうに私は理解して、こういう表現の形が適切でないかというふうに思っています。確かに、集めたデータ、これは多分生の撮影があるわけですよね。それに基づいて、それを集めるところまでは機器でできますよと。そこから先は機器の話じゃないです。そういう意味合い、測定方法の考え方、そういう理解です。
○金澤委員長 よろしいでしょうか。他にいかがでしょう。どうぞ、北川委員。
○北川委員 本件、この件、前回の最後に私ちょっと誤解をして、否定的なことを言って、ご説明をその後受けまして納得いたしましたので賛成ということで。
○金澤委員長 ありがとうございました。
 ということで、28ページまでよろしいでしょうか。15ページからになりますが、特許対象の今回の見直しというある意味では中心課題でありました。15ページから28ページまで、一応、それではお認めいただいた。文言の修正は……、ありました。17ページに永井委員からご指摘の文言修正がありますが、それを含めてお認めいただけたらと思います。ありがとうございました。
 それでは、29ページから始まります先端医療特許取得への支援でございます。30ページまで、いかがでしょうか。これには余りご反対はないんじゃないかと思いますが、不十分というご意見はあるかもしれないが、いかがでしょう。よろしいですか。どうぞ、林委員。
○林委員 今回、この先端医療分野における特許保護の在り方について議論するに当たって、先ほどの「結び」の冒頭に書かれたように、第1の目的は技術開発の促進であるということであって、そのインセンティブとして特許保護の在り方を考えるという視点からしますと、ヒアリングなどを通じて出てきたのは、いかに先端医療分野の研究、現場にいらっしゃる方にとって、こうした特許取得への支援が必要かということを痛感させられましたので、今回の私どもの提言としてこの第3の先端医療特許取得への支援という点は非常に重要な点であると思っておりますし、またこの提言をぜひ具体化するような措置をお願いしたいと思います。
○金澤委員長 どうもありがとうございます。大変心強い、また大事なご指摘をいただきました。私もそう思います。これ、単に見直しするというだけではなくて、やっぱりここの部分が非常に今回の大事なポイントの一つだと思っておりますので、どうも大変ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 それでは、4番目に移ります。その他の検討事項であります。これは適切ではないという結論になりますが、これには今までの議論の中では余りご反対はなかったように思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、ありがとうございました。
 一応、結びの前まで参りましたが、それでは結びはいかがでしょう。先ほどから何かお褒めの言葉を頂戴しているようですけれども、最初のところは特にですね。その後の書き方、最後のところのフォローアップまで書いてございますが、いかがでしょうか。どうぞ、林委員。
○林委員 今回、特に特許対象の見直しの点で、従来同様に用法・用量の点については、物の発明として保護とすると、それが妥当であるというコンセンサスに至ったと思います。これに対しては、他のご意見として、あくまでもアメリカのやり方にそろえることが国際競争上必要だというご意見も依然として続くのではないかなと思っております。そういったご意見にとっては、アメリカの制度では用途発明というのがなくて、物の発明について新規性が認められない以上、方法の発明として保護せざるを得ないといったような制度上の違いは、そういったご意見の方も理解された上で、なお、政策的にアメリカの制度に倣うことが必要であるというご意見なのではないかと思います。
 そういった観点のご意見に対して、情報提供として申し上げたいのは、アメリカの特許法でも、現在、状況が動いていることです。もう、ご専門のここにいらっしゃる先生方ご存じのとおり、昨年、2008年10月30日に米国のフェデラルサーキットと言われる裁判所(連邦巡回控訴裁判所)においてBilski事件というあるビジネス方法特許の事件につきまして、米国特許法101条に特許対象についての条文があるんですが、そのうちの方法の発明について、どういったことであれば特許性が認められるかという点の米国最高裁の判断基準を引用しまして、その結果、特許性を否定した判決が出ました。引き続いて、米国のフェデラルサーキットで昨年の12月19日に、今度は医療方法特許についClassen事件という判決なんですが、このBilski判決を引いて、物との結びつきのない単なる方法は自然現象にすぎず、特許法101条の特許対象ではないという判断をして、やはり特許無効であるといたしました。さらに、同じくフェデラルサーキットでは、現在、医療方法特許についてPrometheus事件というのがかかっておりまして、この夏ぐらいに判決が出るかと予想されているんですが、そこでも医療方法特許について物との結びつきの問題点が指摘されているという状況にございますので、米国に倣えというご議論がございますけれども、その本家の米国においても医療方法特許について進歩性的な問題だけでなく、特許対象性、物との結びつきが問題となり、その判断基準についてはどのように物と結びついているかということが審査されていくといったような流れにございますので、欧州や日本のように、物の発明として、その中でどういうふうに特許保護を図っていくかというあり方と一部共通する部分もあるのではないかと思います。
 従いまして、今後もそういったご意見はあるかとは思いますけれども、やはりおっしゃるところのアメリカの制度の動向というのも周回おくれの議論にならないように見ていただきつつ、議論していくことが必要ではないかなと思っております。
○金澤委員長 どうも大変大事なご指摘ありがとうございました。我々の知識の中に入れさせていただきます。ここの中に書くものではないわけですが、非常に大事なご意見を頂戴しました。そういう意味も含めて、今後もまた現状を見ながら見直しというか、フォローアップというか、必要になってくるだろうと思いますね。どうぞ、永井委員。
○永井委員 用法・用量の参考例で、17ページの今度はロですけれども。
○金澤委員長 ロですか。
○永井委員 ちょっと今ネットで調べてみたんですが、イリボーですけれども、これ、セロトニン拮抗薬でして、当初は抗がん剤の投与に伴う吐き気どめとして使われていたと。それを投与量を20分の1にしたところ、過敏性腸症候群と、比較的良性の病気ですけれども、それに有効であったというふうに説明した方がよろしいんじゃないでしょうか。もちろん、最初は20倍投与していたのかもしれませんけれども、考え方としては抗がん剤における吐き気どめが過敏性腸症候群に有効であった、少量で有効であったという、そういうロジックだと思いますが。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。これ、どこから出た疾患でしたっけ。渡辺さんから出たのかな。よろしいですね。
○渡辺委員 事実はそうでございます。制吐剤の開発当時、過敏性腸症候群にも同じ用量で効くんじゃないかということでトライされたんですけれども、うまくいかなかったということでありますので、ご指摘の記載もやっぱり必要かなと思いますので、追加でそういった背景があると確かに分かりやすいんじゃないかと思います。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。他にどうですか。今のように前に戻っていただいて。どうぞ、羽生田委員。
○羽生田委員 物と物との特許ということで、今、薬が、合剤がまた少し出始めているんですが、この中にも書かれておりますように、予想のできない効果とかいうところをしっかり守っていただきたい。合剤ができて、合剤ができるのはいいんですけれども、それがそれぞれ特許という形になってくると、使う方にも色々と制約なり、患者さんへの負担等々にも影響が出ますので、ただ合剤というだけで特許が簡単にはとってほしくないといいますか、とるべきでないといいますか、その辺はぜひ注意をしていただきたいというふうに思うんですけれども、これは希望でございますので。
○金澤委員長 ありがとうございました。他にご意見ございませんか。
 どうぞ、本田委員。
○本田委員 専門的なことは余り分からないので、申しわけないんですけれども、結びのところにきちんと書いていただいてはいるので大変ありがたいんですが、今回、その用法・用量の件の中の特許対象とすべくというようなことになっていて、私も賛成をしている立場ではあるんですけれども、やはりそれをやったことでどういうふうな変化が起きたのかということをきっちりフォローアップして、それを検証してということをしていただくことが、一番国民にとってその意味があった、なかったということを示していくことになるので、そこのところをもう一回だけ強調させていただきたいと思いまして。
○金澤委員長 おっしゃるとおりですね。そのとおりだと思います。
 他にいかがでしょう。どうぞ、羽生田委員。
○羽生田委員 16ページの一番上と、それから33ページの下から9行目ぐらいのところに、医薬(細胞組織医薬)という言葉があるんですが、これ、細胞組織医薬という言葉って、通常使われている言葉なんですか。私、余りその辺分からないものですから。
○金澤委員長 そう言えばそうですね。何かどこかにあるの。ああ、そう。どこかにあるらしいですよ。
○内山事務局次長 これは厚労省の方からもご説明あるかもしれませんけれども、薬事法に基づいて定められた省令の中に、医薬品、医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令というのがございまして、その第2条第8項において「この省令で「細胞組織医薬品」とは、人又は動物の細胞又は組織から構成された医薬品(人の血液及び人の血液から製造される成分から構成される医薬品を除く。)をいう。」と、そうした定義もあって、そういう位置づけをされているそうです。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。他にご意見ございませんか。時間の短かった「はじめに」とか「結び」とか色々ありましたけども、どうぞ思い返して、あるいはバックしていただいてよろしいですけども。どうぞ、本田委員。
○本田委員 マスコミとしてこれを読んだときにいいと思ったんですけれども、これ、何がどう変わったのかという、先ほどの一番初めの羽生田委員の表のことにもちょっと関係してしまうのかもしれないんですけれども、何がどう変わったのかというのを図示するというのは難しいんでしょうか。もしもそれを資料の方で入れられるということであれば、ちょっとご検討いただけるのかなとも思いました。
○金澤委員長 通常入れるんだけど、ちょっと事務局から。
○内山事務局次長 この後最終的にまとめるときには、色々と分かりやすく説明するということが必要でございますので、ぜひ工夫をしてちゃんとやりたいと思っております。
○金澤委員長 これは分かりやすいんじゃないでしょうかね。表というか、ここは前と違うんだということを言うにはね。
 他にどうでしょうか。そういうことも、プラクティカルなことも含めてどうぞ。できるだけいいものにしたいと思いますので、ご意見いただけませんか。
 ありがとうございました。それでは、一通りこれで報告書の案を検討させていただきましたので、本日のご議論、色々修正を含めて、大変建設的なご意見を頂戴いたしましたので、修正等を含めて、あるいは林さんがおっしゃるように、心の中に秘めておくべき情報も含めて色々ご議論いただきましてありがとうございました。
 それでは、一応これをお認めいただいたということにさせていただきまして、これからは、本日のご議論をいただきまして修正を行った後に、本来は5月8日にもう一日とっておりましたけれども、それはスキップさせていただきまして、本報告書を修正したものをパブリックコメントに付させていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 修正等につきましては、皆さん方のご意見を頂戴いたしまして修正いたしまして、ご意見を頂戴した方にはご意見を伺うかもしれませんが、とりあえずこちらにお任せいただければと思っております。
 それでは、最後に事務局から日程などについてどうぞ。
○内山事務局次長 それでは、先ほど委員長の方からお話がございましたように、予定では5月8日というのがございましたが、それはなくなりまして、5月29日金曜日でございます。29日金曜日の16時、午後4時から、場所はまた今回と同じ会議室で開催をさせていただきたいと思います。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 5月29日、大分先になりますけれども、パブリックコメントにまたお答えをしなくちゃいけなくなります。皆さん方からのご意見をまた頂戴いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、今回の会はこれで終わります。どうもありがとうございました。