ル・フィガロへの高市総理大臣寄稿 「G7エビアン・サミットに寄せて―G7の結束と日仏の特別パートナーシップ―」

令和8年6月15日

エビアンへの期待とマクロン大統領訪日
 フランスの皆様、こんにちは。日本国内閣総理大臣の高市早苗です。G7サミット出席のため、この美しいエビアンを訪問しています。本年4月にはマクロン大統領夫妻を東京でお迎えし、大変有意義な機会となりました。今度は、私がこうしてフランスを訪問でき、大変うれしく思っています。

G7が直面する試練とエビアン・サミットの重要性
 今回のG7エビアン・サミットは極めて重要です。自由、民主主義、法の支配といった基本的価値と戦略的利益を共有するG7首脳が一堂に会し、膝詰めで率直な議論を行い、具体的な行動を伴う明確なメッセージを発信することで、G7が国際社会をリードする意志と能力を改めて示す機会としたいと考えています。マクロン大統領のリーダーシップの下、今年のG7エビアン・サミットが、大きな成果を挙げることを確信しています。

エビアン・サミットでのプライオリティ
 今回のサミットで私が特に重視する課題は三つです。
 第一に、中東情勢への対応とエネルギー・食料安全保障です。資源の乏しい国として長年エネルギー安全保障に真剣に向き合ってきた日本の経験と知見を、G7の議論に積極的に提供する考えです。日本は、「アジア・エネルギー・資源供給力強靱(きょうじん)化パートナーシップ(パワー・アジア)」を立ち上げ、アジアにおける原油・石油製品等の調達などの「緊急対応」や、備蓄・放出制度の構築、重要鉱物の確保やエネルギー源多様化等を通じた産業高度化の「構造的対応」に取り組んでいます。
 第二に、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)のアップデートです。この構想は、「自由」「開放性」「多様性」「包摂性」「法の支配」といった基本的な理念の下、多くの国々の外交政策に共鳴の輪を広げてきました。厳しさを増す国際情勢の中で、各国が自らの将来を自らの手で決めるために必要な自律性・強靱性を強化していくことが重要との考えから、私は本年5月、「AI(人工知能)・データ時代の経済エコシステムの構築」、「官民一体での経済フロンティアの共創」、「安全保障分野での連携拡充」を重点分野とする、進化したFOIPを発表しました。太平洋に領土を有するフランスとの協力は、新たなFOIPを推進する上で、今後ますます重要です。欧州とインド太平洋の安全保障は不可分一体です。インド太平洋国家でもあるフランスを含むG7が共通の認識を持って行動することが不可欠です。
 第三に、G7議長国であるフランスとの連携です。フランスが重視するグローバル経済の不均衡の是正、途上国・新興国との互恵的パートナーシップの推進、児童にとって安全なデジタル空間の構築、移民・薬物対策、そしてがん対策の加速についても、エビアン・サミットで具体的な成果を挙げるべく、最大限貢献していきます。

日仏関係
 日本とフランスは、価値と原則を共有する「特別なパートナー」(Exceptional Partner)です。本年4月の東京での首脳会談では、日仏首脳共同声明を発表し、安全保障・防衛、重要鉱物、AI、民生原子力、宇宙などの分野での協力強化を確認しました。
 特に、宇宙分野では、12件の新規協力案件の発表の他、マクロン大統領と共に、日本企業であるアストロスケール社を視察しました。同社は、フランス企業Exotrail(エクソトレイル)社と連携し、スペースデブリ除去といった軌道サービス技術の開発に取り組んでいます。このような日仏の産業協力は、二国間関係の発展を支えており、2023年の日仏協力のロードマップ(2023-2027)の着実な実行を歓迎します。
 2028年には、日仏外交関係樹立170周年を迎えます。政府から民間まで多層的な交流による両国の絆(きずな)が、ますます深化することを願います。

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