令和6年3月28日岸田内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問に対する回答

【中国新聞】
 広島県呉市における「複合防衛拠点」の整備計画について

(回答)
 防衛力の抜本的強化のためには、装備品の維持整備・製造、訓練、補給等を一体的に機能させ、部隊運用の持続性を高める必要があります。
 こうした取組は、力による一方的な現状変更を許容しないとの我が国の意思を示すものであり、攻撃に対する抑止力・対処力を高めることにつながり、我が国への攻撃可能性を低下させるものであると考えています。
 こうした観点から、3月28日の防衛省、広島県、呉市、日本製鉄(株)の協議において防衛省がご説明したとおり、「多機能な複合防衛拠点」を呉地区に整備するため、現在、防衛省と日本製鉄(株)との間で、同社瀬戸内製鉄所呉地区跡地の早期の一括購入に向けた交渉を進めているところと承知しています。
 取得の時期については、現時点で予断を持ってお答えすることは困難ですが、まずは「多機能な複合防衛拠点」に係るゾーニング案を、日本製鉄(株)の協力を得て作成し、早ければ年内にも作業を完成させ、地元自治体を含む関係者へ説明することを検討しているものと承知しています。
 詳細は、防衛省にお尋ねいただければと思います。

【新潟日報社】
 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に当たっての課題対応について

(回答)
 原子力発電所については、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重し、国が前面に立って、地元の理解を得ながら、再稼働を進めるというのが政府の方針です。
 今後、新潟県・柏崎市・刈羽村等の関係自治体ともよくご相談しながら、地域の方々の理解を得られるよう取り組んでまいります。
 そのために、今後、

・ 能登半島地震で得られた教訓をしっかり踏まえ、内閣府原子力防災担当を中心として、大規模な自然災害と原子力災害との「複合災害」を想定し、地域の避難計画を含む緊急時対応を取りまとめていくこと
・ 避難道路の整備を含む原子力防災体制の充実に関係省庁が連携して取り組んでいくこと
・ 柏崎刈羽原子力発電所の必要性・意義等について説明を尽くしていくこと等
 地域の実情を踏まえながら、丁寧に取り組んでまいります。

【TBSラジオ】
I総理記者会見の在り方について

(回答)
 総理会見のあり方については、令和4年11月21日及び令和5年6月9日の内閣官房長官記者会見にて、内閣官房長官からお答えしたとおりです。
(令和4年11月21日)
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202211/21_a.html(官邸HP)
12:09~12:20
(令和5年6月9日)
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202306/9_a.html(官邸HP)
4:46~5:13
 また、会見で正確な発信を行うため、普段から記者の関心を聞くなど、政府として可能な範囲の情報収集は行っているところです。

【RADIO FRANCE】
 防衛装備の輸出について

(回答)
 まず、防衛装備移転三原則及び運用指針はもとより、その前身である武器輸出三原則等も、外国為替及び外国貿易法の運用基準及びその指針を定めるものであり、同法の運用は行政権の作用に含まれることから、これまでも、同法にのっとり政府がその主体となって判断してきました。
 その上で、我が国の政策について国民の皆様のご理解を得ることは当然重要であると考えており、これまで国会での質疑等を通じて、累次の機会に説明してきたところです。
 また、実際の防衛装備移転に当たっては、移転を認め得る場合を平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合、我が国の安全保障に資する場合等に限定した上で、移転先の適切性及び当該移転が我が国の安全保障上及ぼす懸念の程度を個別案件ごとに厳格に審査し、移転後の適正管理が確保される場合に限って、移転を認めることとしており、こうしたプロセスの中で、ご指摘のようなリスクについても慎重に検討した上で、最終的に移転の可否を判断することとなります。
 先般の次期戦闘機を我が国から第三国へ移転し得る枠組みの整備に当たっては、①見直しに関する先般の閣議決定と、②将来、第三国に移転する際の個別案件ごとの閣議決定、いわば「二重の閣議決定」を行うこととしました。
 さらに、運用指針の改正については、①今回、第三国直接移転を認めるのは次期戦闘機に限定する、②移転先の国は、国連憲章に適合した使用を義務付ける国際約束を締結している国に限定する、③現に戦闘が行われている国には移転しない、いわば「三つの限定」をかけることとしました。
 政府としては、こうした厳格な仕組みを設けることの趣旨、そして、これによって、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念を引き続き堅持していくことについて、制度の見直しに先立って、国会の質疑において明確に説明したところです。引き続き、国民の皆様や国際社会の一層のご理解を得るべく、丁寧な説明を行ってまいります。

【江川紹子氏】
 イスラエル・パレスチナ情勢への日本政府の対応について

(回答)
 我が国は、ガザにおける人道状況が一層深刻さを増す中、現地の人道状況の早急な改善に向けた外交努力を継続しています。
 具体的には、ガザ地区における人道支援活動が可能な環境の確保、人質の解放につながるような人道的停戦の速やかな実現、さらには、持続可能な停戦の実現に向け、イスラエルを含む当事者に対して、直ちに人道的な観点から行動することを求めてきています。
 また、先般(3月25日)、国連安保理において採択された、ラマダン期間中の即時停戦や全ての人質の即時・無条件の解放を求める等の内容の安保理非常任理事国提案の決議についても、我が国として、共同の起草国として、理事国内の議論・調整にも積極的に取り組み、賛成票を投じたところです。
 最も喫緊の課題は、女性や子どもを含むガザで苦しむ人々に一日も早く支援を届けることです。現在、国際パートナーが緊密に連携して、UNRWAが運営する避難所や保健センターも活用し、世界食糧計画(WFP)を通じた食料の供与、国連児童基金(UNICEF)を通じた衛生用品の配布などが行われている。我が国も、先般、これらの機関を通じた緊急無償資金3200万ドルの供与を決定しました。
 また、UNRWAがガバナンス改善策を進め、我が国の資金のリスクを管理する新たな取組を始めていることを受け、我が国としては、UNRWAへの資金拠出の一時停止を解除し、我が国資金の適正性を確保・確認しながら支援を実施していくこととしました。具体的には、当初予定していた約3,500万ドルについて、準備が整ったものから実際に拠出していきます。
 我が国としては、引き続き、状況改善のために何が現実的なアプローチかとの観点から、関係国への働きかけ等の外交努力を行っていくとともに、全ての当事者に、国際人道法を含む国際法の遵守や関連の安保理決議に基づき誠実に行動することを求めてまいります。

【大川豊氏】
 輪島塗など漆関連産業をはじめとした復興支援について

(回答)
 私自身、能登地方の経済を支える伝統産業などの現場を訪れ、今回の地震による被害の甚大さを改めて実感しました。
 現地では、輪島塗をはじめ、石川県内の伝統産業に携わる職人の皆様から直接お話を伺い、「伝統工芸を途絶えさせることなく、未来に繋がていく」という強い想いに触れました。
 政府としては、発災直後より、直ちに事業継続のための金融支援を開始するとともに、特に輪島塗をはじめとした伝統的工芸品の再生と復興に向けては、
①事業に不可欠な施設や設備の復旧にご活用いただける「なりわい補助金」、
②事業再開に必要となる道具や原材料の確保を支援する「伝統的工芸品産業支援補助金」、
③被災事業者が仮設工房として活用できる集合型仮設施設の整備支援事業
などに着手しており、輪島では4月1日から仮設工房も稼働を開始するなど、手厚い支援を講じています。
 加えて、漆芸分野の人材育成に大きな役割を果たしてきた石川県立輪島漆芸技術研修所において、後継者育成が再開できるよう、研修で用いる道具・原材料の確保に向けた支援等、政府としてできる支援策を講じてまいります。
 また、国産漆の生産量は長期的に増加傾向となっており、将来的な需要を満たすため、漆林の造成に対して支援策を用意しています。
 さらに、海外における日本の漆や漆 器を含む伝統工芸の和文化の理解促進や海外需要の獲得につながることも重要です。国内の百貨店等での催事や展示会への出展支援だけでなく、在外公館等における海外PRなど、伝統工芸の素晴らしさを国内外に発信すべく取り組んでまいります。

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