平成27年12月8日


閣議後定例記者会見


1.冒頭発言
おはようございます。
まず、私からは米国出張について御報告いたします。 今回の出張では、国土安全保障省のフランシス・テイラー次官、ホワイトハウスのマイケル・ダニエル大統領特別補佐官と、テロ対策及びサイバーセキュリティについて意見交換をいたしました。 テロ対策につきましては、2020年東京大会の安全確保に向けての協力を求めるとともに、その参考とするため、先日のパリ同時テロ後の米国内でのテロ対策の現状と、今後の課題について意見交換を行いました。 また、サイバーセキュリティに関しましては、ますます増大するサイバー空間の脅威に対し、人材育成を含む政府機関の対策強化の必要性や、日米間の協力強化が重要であるとの認識で一致いたしました。米国とは今後とも緊密に連携していきたいと考えています。 リチャード・バー上院議員とも面会をし、米国議会上院で10月末に可決したサイバーセキュリティ情報共有法案について意見交換を行いました。法案可決に至るまでの経緯、あるいは官民の情報共有の重要性などについてお話を伺い、意見交換をしてまいりました。 また、戦略国際問題研究所のジェームス・ルイス氏からは、サイバーセキュリティ情勢や日米関係について、研究者の立場からの率直なアドバイスをいただきました。 加えて、レイセオン社のサイバーセキュリティ関係施設では、サイバー脅威情報の分析技術等を自分の目で確認することができました。 同時に、連邦捜査局(FBI)では、特別なイベントを念頭に置いたサイバーテロ対策などについて、詳しく話を伺ってまいりました。 これらは、2020年東京大会に向けたセキュリティ対策の強化に取り組んでいく上で大変参考になりましたし、改めてこうしたセキュリティの重要さを認識してまいりました。今回の米国出張を踏まえ、我が国のテロ対策、サイバーセキュリティの強化を一層進めるとともに、2020年東京大会の安全・安心の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
二つ目は、機運醸成といいますか、皆さんのオリンピックへ関心を高めるため、という観点から、有識者の皆さんとの意見交換を先日始めましたが、あさって、10日の日になりますが、デービッド・アトキンソンさんと意見交換を行うことにいたしました。アトキンソン氏は元金融アナリストでありますが、茶道では裏千家に入門されるなど日本の文化に対する造詣は大変深く、現在は国宝・重要文化財などの建築物や美術工芸品の保存修理を行う企業の代表を務めておられます。今回の意見交換では、訪日外国人に対する我が国の文化財の見せ方など、オリパラ大会に向け、文化を通じた日本の盛り上げのための方策やアイデアについてお伺いをしたいと思っております。
そして三つ目は、過般、新国立競技場の建設に当たってアスリートの皆さんからいろんな意見をお伺いしていた時期に、テコンドーの濱田真由選手にもおいでいただきました。今般、メキシコで行われたグランプリファイナルにて4位となって、リオ大会の出場権を獲得されたと伺っております。大変嬉しいことでありますし、是非リオデジャネイロにて素晴らしい成績で頑張っていただきたいと、そしてまた、それをきっかけに、2020年の大会の盛り上がりに多いに貢献をしていただきたいと思っております。 私からは以上であります。
2.質疑応答
(記者)
まず、昨日なんですけれども、エンブレムの応募受付が終了して、およそ1万5,000件の応募があったと思うんですが、まず、その数字の受け止めと、改めてエンブレムに期待すること、お願いします。
(大臣)
当初だけでもすぐにインターネットの問合せ等が1万件あって、およそ5万件とか10万件とか、いろんな問合せがあったということですから、正直、もう少し多いのかなと実は思っておりました。しかし、国民の皆さん方それぞれの立場から、いろんな考えの中で応募をいただいたわけでありますし、1万4,599件というのは少なくない数字だと思っております。
今日も大会組織委員会の第7回エンブレム委員会が開催されておりますが、何よりも国民の皆さんの参画のあり方を中心に、そして透明性を持って進めることの議論が進められることだと思っております。組織委員会において活発な議論をしていただきたいと思いますし、大変、宮田委員長、信頼できる方でありますから、この委員会で引き続き丁寧に、そして、選考方法をしっかり透明性を担保した上で進めていただいて、すばらしいエンブレムを選んでいただきたいと思っております。
(記者)
もう1点なんですけれども、アメリカの出張で、やはり日本はセキュリティ対策が遅れているとおっしゃっていましたが、どのあたりにそういうふうに感じられたかというのをお伺いしたいです。
(大臣)
やはりアメリカの国土安全保障省、それから大統領特別補佐官、あるいは議会関係者、そしてCSISの専門家、また、具体的に企業に行って、それぞれの皆さん方から御意見をいただいたり、意見交換をしたり、また、具体的な分析技術等についても見せていただきました。まず、何よりも圧倒的にその対応が、やはりテロに対する脅威がはるかに日本よりも強いと。この間の2001年ですか、あれ以来、やはりテロというものは現実のものであるという認識があったせいか、その真剣さが大変大きいと思っております。当然ですが、情報収集能力もそうですし、それから省庁間の連携や官民との連携、こういうものも大事ですし、何よりも人材の育成が大切だというようなことを改めて実感いたしました。
ただ、私のほうから、いや、実は日本はおよそこれから20万人必要なんですという話をしましたら、いやいや、アメリカはこれから150万人必要だと。むしろアメリカのほうが、あれだけいろんな体制は整いながらも、なおさら人材育成が必要だということですから、アメリカでは、例えば大学でカリキュラムを組んだり、そういう人達に奨学金を出したり、それから官民の交流、いわゆる官から民に行き、民から現場で体験して、また官に戻ったり、そうしたことをしながら人材の育成に取り組んでいる。
それは大変参考になりましたし、改めて、2020年のオリンピック・パラリンピック大会、19年のラグビーワールドカップだけではなくて、これからの国のあり方の中で、こうしたテロ対策、また、とりわけサイバーセキュリティの重要さを認識してきましたので、こうしたことを踏まえて、これからしっかり取り組んでいきたいと思っております。
(記者)
今日、国際テロの情報収集のユニットが正式に発足するんですけれども、当然5年後のオリンピックも視野に入れていると思うんですけれども、この発足したユニットに対して、大臣として期待なさるところとか、もしありましたら。
(大臣)
これはユニット自体は外務省で、当然、各省庁間連絡していきますが、やはり過般のパリの事件、そして実は、これはアメリカへ行ったときにもカリフォルニア州で銃撃事件があって、当初はどういう事件かはっきりしなかったんですが、どうもやはりテロらしいというふうな話もあって、私もそれぞれの皆さん方にお悔やみを、あるいはお見舞いを申し上げたんですが、そうしたことを考えますとなおさら、この新体制強化ができて、そして、国際テロ情報収集・集約幹事会と、あるいは内閣官房に国際テロ情報集約室とか、こうしたことを含めて体制ができますので、しっかり連携をとって進めていかなきゃなんないと思っております。
(記者)
大臣としては、どのように関わっていこうと思っていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)
今回、今日こうやってできたわけですから、これから、特に私の場合はサイバーセキュリティも担当としてやっておりますので、そういう分野を含めて、そして、また2020年等の大会はやっぱりこのテロ対策が最大の課題でもありますから、しっかり横の連携をとって進めていきたいと思っています。