平成28年9月13日


閣議後定例記者会見


1.冒頭発言

おはようございます。
昨日、リオデジャネイロのパラリンピックから帰国いたしましたので、ご報告させていただきたいと思います。
今日、閣僚懇でも報告の提出をさせていただきましたが、9月6日から12日まで行ってまいりました。今回は、まず開会式に参加すると同時に、クレイヴァン国際パラリンピック委員会会長、また理事の方とも何名か意見交換させていただきまして、「東京大会に対して大変期待している」とうかがったところです。
それから選手村、競技としては水泳、ゴールボール、射撃、ボッチャ、車椅子バスケ、柔道を見てまいりまして、柔道では女子52キロ級表彰式でメダルのプレゼンターをさせていただきました。
今回は競技に加えて、特に運営状況についてしっかり見てくるということを一つの大きな目的にしておりました。リオ市の交通指令センターという名前なのですが、実は交通だけではなくて、災害であるとか、人の混雑の整理だとか、そういう総合的な指令センターをリオ市が作っておりましたので、そこを視察させていただきました。加えて、メディアの施設を、これはIBCの方も、MPCも見せていただきましたし、それから地下鉄・BRTにも実際に乗車いたしまして、オペレーションがどうなっているかも見させていただきました。なお、古い路線にも新しい路線にも、全部しっかりエレベーターが付いていました。
そういうものを見てまいりまして、警備体制も含めて、東京大会で最低でも我々がどの水準をクリアすることが必要なのかというところを見てきた次第です。
また今回、サンパウロにも足を伸ばしまして、現地の障害者アスリート専用のトレーニング施設も訪問させていただきました。
今回の出張を通じて、いろいろと学ぶところも多くございましたので、是非東京大会に生かしていきたいと思っております。
以上です。

2.質疑応答

(記 者)
 大臣は出発前に、バリアフリーの取組、またオリンピックのときからどのように変わったかというのを見てこられたいとおっしゃっていましたが、その辺りはご覧になっていかがでしたでしょうか。
(大 臣)
 大変コストパフォーマンスのいい、細かい手直しをたくさんされているなという印象を受けました。
アスリートの動線のスロープは、この前まで段差だったところを、コンクリートを剥がしたり打ち直したりしてスロープに変えておられて、私も競技に行った朝はまだ砂を盛っていたのですけれども、帰る頃には、それがコンクリートのスロープになっていたりとか、期間中でも動線が足りないとなればすぐそこに補修をかけるということで、どのぐらいの時間でやったのだといったら「2時間だ」と言っていました。本当に2時間だったのかはよく分かりませんが、非常に細やかに、そのあたりは実態に即してすぐ作業をやっておられました。
それからバスの改修を徹底してやられていまして、選手が移動するためのバスは、中に4台ほど車椅子が乗せられるようなスペースをあけていて、いわゆるステップが低いバスでなくても乗り込めるようなスロープを作って、そのスロープを上がって、板を渡してバスに乗るというのをやっていました。板はホテルの前や、選手が移動する動線の途中にも置いてありまして、大したお金はかけていないのだけれども、きちんと機能するというような、リオらしい工夫というのでしょうか、そうした工夫が見られましたので、それは非常に参考になりました。
あとは、選手もさることながら、観客の皆さまが大変盛り上がって応援していたことには、非常に胸を打たれました。恐らくは、今まで見たことない競技を皆さま応援されているのだろうという感じでしたけれども、大変な熱戦でしたし、応援も熱が入っていまして、オリンピックのときの応援の盛り上がりと全く遜色ないものでした。
あと、これは自分たちにとっても、そうであってくれればと思ったのは、イギリスの放送局が、オリンピックのときとほとんど変わらない体制だと思うのですが、しっかり放送するスペースも取っていましたし、人員も配置していました。今回、われわれの放送権を持っている放送局も、各社頑張っていただいておりましたけれども、やはり自分たちがレガシーとして、そうした国民にパラリンピックを見てもらうという体制を維持し続けるというのも、一つ大きな意味があるのだということを感じた次第です。
(記 者)
 それと交通渋滞の問題で、リオでは道幅を広げていても渋滞していたということでしたけれども、東京だともっとひどくなるのではないかという懸念もありますが、先ほどおっしゃったようなセンターですとか、何か参考になるというのものはありましたでしょうか。
(大 臣)
 リオでは、今回のオリンピック・パラリンピックの以前から、普通の監視カメラであるとか、あるいは一般のSNSのようなものを利用して、どこでどういう事故が起きているのか、あるいはどの辺りでどのくらいの渋滞が起きているのかというのを、即時に把握するシステムを組み上げておりまして、それを利用して、ビッグデータを集積して、どのエリアにどの程度交通を流せばいいのか、あるいは支援に行けばいいのか、レーンを作ればいいのかということを事前にかなり研究されていたのだということがよく分かりました。
われわれがどこまでそれと同じシステムを組む必要があるのか、できるのかということについては、これから詳細な検証が必要だと思いますけれども、しっかりと現状を把握して、それを分析してやってきたというリオのオリンピック・パラリンピックまでの体制が見えましたので、これをわれわれもしっかりと参考にさせていただいて、生かしていくことができるのではないかと思っています。
(記 者)
 すみません。ちょっと話が変わってしまうのですけれども、今日の閣議で、レスリング女子の伊調馨選手への国民栄誉賞の授与は決定されたのでしょうか。
(大 臣)
 閣議で、先ほど伊調馨さんへの国民栄誉賞の授与が決定されました。4度目の勝利で、なかんずく逆転をして勝たれたという精神力の強さというのは、本当に国民に大きな感動を与えたと思いますので、私も大変うれしく思っております。
(記 者)
 豊洲市場の関係で、主要建物の盛り土がされていなかったということが新たに分かりまして、また、環状2号線の問題であったり、延期がかなり、移転がまた延びてしまうと、影響というのも、また出てくると思うのですが、これについて大臣の所感をお願いいたします。
(記 者)
 私も初めて知った事実ですので、これから東京都が主体として、まずどのように安全を確認されるのかというところをよく拝見したいと思います。盛り土をしなかったことによって、どの程度漏れている地下水等に課題があるのかどうかというのは、これから恐らく確認をされると思います。それをよく見させていただくと同時に、環状2号線についてもやはり東京都が主体で整備される道路ですので、そこは開催都市である東京都が、築地の安全の維持を図りながら、オリンピックの準備をどう進めるかという調整をなさったところで、われわれができる支援は何だろうかということを考えながら、成り行きをきちんと注視することだろうと思います。
(記 者)
 五輪の運営自体の見直しの三者協議も実際止まっている状況ですが、実際、築地市場がだんだん延びてくるということに対する懸念というものはあるのでしょうか。
(大 臣)
 そうは言っても、負担を含めてになるかどうかは分かりませんけれども、組織委員会は年内には費用の全体像を示されるということですので、それは少なくともその中で出てきたものを受け止めて、議論するということになろうかと思います。
ですので、今築地で起きていることとは別に組織委員会が取り組んでおられることを進めていかれるのだと思いますので、国がきちんとそれが東京都とどう調整されるかということを注視したいと思っています。
(記 者)
 東京都の方から明確な、都知事の方から明確なスケジュールというのはまだ示されてきていない状況ですか。
(大 臣)
 皆さまがご承知のとおりです。
(記 者)
 その辺に対する懸念というものはないでしょうか。
(大 臣)
 できるだけ早いに越したことはないと思いますけれども、都民の納得なしに進まないというのは、都知事もご案内だと思いますから、都民の納得の得られる形でどのように進められるかというのは、東京都がお決めになることだと思います。われわれとしては、できる限り早い議論の展開があることを望んでおります。
(記 者)
 リオの視察のことで一点だけお尋ねしたいのですが、大臣、選手村もご覧になったということなのですけれども、オリンピックのときに、選手村のエレベーターが手狭で、車椅子の選手が乗れないのではないかみたいな懸念が結構あったのですけれども、今回実際ご覧になって、選手村内での障害のある選手の利用のしやすさですとか、配慮なんかについては、どのようにお感じになりましたか。
(大 臣)
 大変よく工夫して使っておられますし、実際われわれからすると、エレベーターに車椅子1台しか乗らないのではないかなと思うと、「いや、2台乗ります」という話で、数としては非常に十分でうまく使えているという話でした。4室あるところに3つエレベーターがあるということで、これは他の大会等に比べてもかなり数は多い方だということでした。
車椅子の選手がむしろ上の階にいた方が、後で乗れないということが起きないそうで、いろいろとそうした配置の工夫等もしながら、お使いになっているようでした。