令和元年12月10日


閣議後定例記者会見


1.冒頭発言
 冒頭1件、お知らせがあります。本日、12月10日から24日までの15日間、若年層の性暴力被害者等の女性が相談しやすいよう、SNSによる相談事業を実施致します。この事業は、民間支援団体に御協力を頂いて試行的に実施するものであります。性暴力被害者のためのSNS相談は、政府として初めての取組となります。お手元に資料及びカードを配っておりますが、毎日12時から15時に全国を対象にして、毎日16時から22時に北海道、京都府、島根県内を対象に行います。結果を踏まえ、来年度において更に改善を図り、若年の性暴力被害者への相談支援の充実を図ってまいりたいというふうに思っております。私からは以上です。

2.質疑応答
(記 者)
 世界反ドーピング機構がロシア選手団を東京大会も含む国際大会から4年間排除する処分を決定しました。大臣の受け止めをお願いします。
(大 臣)
 昨日12月9日に開催された世界ドーピング防止機構(WADA)の常任理事会において、ロシア国内のドーピング防止機関(RUSADA)を資格停止処分とし、また、4年間の制裁措置として、ロシア選手団の主要大会への参加を認めない等が決定をされたと承知しております。今後のプロセスとして、今回のWADAの決定についてのIOCやIPCでの承認手続が行われるものと承知をしております。一方で、ロシアがスポーツ仲裁裁判所(CAS)に、不服申立てを行う可能性もあるということでありますので、こういった点も含めて引き続き注視していきたいと思っております。ただ、東京大会の成功には、クリーンな大会であることが重要と考えておりますので、その点も踏まえながら、しっかりと文科省と連携をしながら、ドーピング防止に係る取組を進めてまいりたいと思っております。 私自身もアスリート時代から、このドーピング問題というものには携わってきました。16歳からですね、自分自身もドーピングコントロールを受ける立場になりまして、十五、六年でしょうか、ずっとそういった問題に取り組んできた中で、不正のないクリーンな大会というのは、もう数十年来取り組まれてきていることであります。その中でも、公正・公平な大会ということを謳いながらも、あらゆる問題が取り上げられて、課題も大きいことであるんですけれども、その中でだんだんとやはり厳しくなってきているわけです。居場所情報をしっかりと管理されるですとか、そういったことをしながらもこういう問題が絶え間なく起きるということは、非常に残念でありますので、今後しっかりとそういった取組を、クリーンな大会を目指してそれぞれの国が、WADAそしてIOC、IPCとともに取り組んでいく努力を、していかなければいけないというふうに、私個人としては思っております。
(記 者)
 今の関連でお伺いします。政府としては、ホストタウンの自治体への補助ですとか、ホストタウンの自治体へのチケットの優先枠というのを仕掛ける方針だと思うんですけれども、現状からいうと、かなり個人として、個人での参加という可能性が高まったんですが、これについての対応はどういうふうにされる予定でしょうか。
(大 臣)
 ロシアの選手等は、クリーンであると証明できる場合に限り、個人の資格として参加を認めることができるとなっております。ホストタウンは、東京大会に参加をするために来日する選手との交流など、国際交流と地域活性化等を推進するものでありますので、今後、個人の資格での参加の受入れを行うのであれば、特別交付税の措置は変わらないものとして取り組んでいきたいと思っております。これから、先程お話をさせていただいたとおり、CASに不服申立てを行うという報道もありますので、それを踏まえて今後、個人としての参加、そしてそれぞれの2国間の状況を踏まえて、注視をしていかなければいけないというふうに思っております。
(記 者)
 チケットの方は。
(大 臣)
 チケットについても、同じように今後精査をしていかなければいけないというふうに思います。
(記 者)
 関連で2点お尋ねしたいんですが、ロシアがCASに訴えた場合なんですけれども、裁定が出るのが来年の3月から4月頃というふうに言われています。かつ、その当該の選手が潔白がどうかの審査にも時間が掛かることが予想されてですね、大会の直前でないと、実際にこの選手が来られるのか来られないのか、参加できるのかできないのかがはっきりしないというような可能性もあると思います。で、ホストタウンの自治体が個人資格でも受け入れたいと考えた場合にもですね、直前まで来るか来ないか分からないというような状況も想定し得ると思うんですけども、自治体側の準備に影響が出る可能性がありますが、この点は大臣の御所見としてはいかがでしょうか。
(大 臣)
 これからCASに不服申立てをし、そして今後それをしっかりと見極めていくということに入って、先程3月に入らなければ分からない、そして、そこからそれぞれの予選ですとか、基準を満たしているかどうかということも含めて、前回のオリンピックのときもそうだったと記憶しているんですけれども、直前まで分からないという競技や選手がいました。でも、そこはやはり今後情報をしっかりと共有しながら、どのような状況で受け入れていただくことができるか、あるいは選手ということではなく地域との、国と国との文化交流ですとか、そういったことに取り組むことができるんではないかということも踏まえながら、状況をしっかりと確認して進めていきたいと思っております。 いずれにしても、自治体の方たちが不安に思われないような形の中で、せっかくホストタウンとして手を挙げていただいたこの事業でありますので、不安のないようにしっかりと取り組んでいけるような情報を発信してやっていきたいと思っております。
(記 者)
 ロシアのドーピングに関してもう一点なんですが、国ぐるみの違反ですとか組織的な隠蔽などが問題となっている中で、今回も選手を完全に全面的に除外するというわけではなくて、潔白を証明できる選手は個人資格での参加は認めるというような判断になりましたけども、これに対してアメリカの反ドーピング機関などは、生ぬるいのではないかと、手ぬるいのではないかというようなことで反発の声もあります。日本政府としては、文科副大臣が昨日のWADAの常任理事会に出席されて、CRCというところの勧告をそのまま支持するような判断をされたと思うんですけれども、個人資格の参加は認めるということについて大臣としては、どのような御所見、お考えをお持ちかというのを聞かせていただけますか。
(大 臣)
 国ぐるみでこういった問題に取り組んできていたんではないかというような疑念を払拭するということが、ロシアとしては必要であるんだというふうに思うんですが、その中で先程お話しされたように、ちょっと甘いんではないかというような意見が、それぞれの国からあるというのは、前回からそうでした。ただ、全くそういったことがなく、そして、それぞれのチームですとかロシアのそれぞれの競技団体の中でもチームを持っていますので、そういった個別な取組をしているチームや選手が、完全なクリーンであるとした場合に、せっかくオリンピック・パラリンピック等を目指して頑張っている選手の出場資格というものを、なくしてしまうというのは、私自身としてはそこは認めてもいいんではないか。というのは、これは今まで自分自身が取り組んできた状況を見ましても、あるいはロシア、ソビエトの時代からそうですけれども、ロシアの選手団との交流の中で、頑張っている選手、全くクリーンなオリンピック・パラリンピックを目指して努力をしている姿も見てきましたので、そういった選手の資格を停止するということは、そこまではしなくてはいいんではないかというふうに思います。
(記 者)
 大臣、先程、御自身のアスリートとしての経験を踏まえてドーピングのお話されてましたけれども、やっぱりロシアでですね、これだけ継続的にこのドーピングの問題がずっと取り沙汰されている、その背景みたいなところは、御自身のアスリートとしての経験も踏まえてどういうところにあると、大臣はお感じになってらっしゃいますでしょうか。
(大 臣)
 公正・公平なオリンピックであるということ、パラリンピックであるということと、そして、平和の祭典ですので、やはり競技だけではなくて環境も含め、あるいは人体的な部分も含めて、平和というものに関連することは、しっかりと促進していかなければいけないということが、今までのとおり言われてきたことでもあります。その中でこのドーピングをすることの不正によってメダルの数ですとか、あるいはその選手が目指す領域に入っていけるかどうかということと同時に、ドーピングにおいて大きな問題というのは、肉体的・精神的ダメージですね。アスリートのときは、競技に対してのよりいい影響を及ぼすであろうという、筋肉増強剤的なものが使用されていたりですとか、そういったことがあるんです。そのときに不正であっても、人体的には全く自分自身が感じないところがあるんだというふうに思いますが、アスリートを終えた後に、このドーピングというのは、想像を絶するような人体に被害、影響を及ぼすことがあり得るんです、今までもそうだったんですけれども。 そういったことを踏まえていくと、スポーツというものの価値ですとか、オリンピックやパラリンピックを開催する価値というものに、非常に大きなダメージがあるんだと私は思います。だからこそ、こういったアスリートを終えてからも、社会的な部分において貢献をしていっていただかなければいけないアスリートたちが、肉体的や精神的なダメージを、ドーピングをすることによって受けてしまうということは、絶対に避けなければいけないという認識でいなければいけないと私は思っています。
(記 者)
 大臣のお考えはよく分かりましたけれども、ロシアでなぜこれだけ長期間にわたって、ソチの冬季からずっとこの件言われておりますけれども、これだけ組織的なことが起きているというところに対する何か御見解みたいなものがありましたら。
(大 臣)
 過去のドーピングコントロールでの処分が下されていく中で、これはロシアというよりソビエト時代から問題というのはずっとありましたから、その長い歴史の中で、今しっかりと精査をしていかなければいけないという状況になったんだと思っております。
(記 者)
 性暴力被害者の相談支援についてお伺いしたいんですけれども、今回のSNSの相談事業についてもう少しお伺いしたいのと、あとですね、性暴力被害者の支援拡充策としてワンストップ支援センターなどの役割が重要だと思うんですけれども、この辺の課題とかですね、充実策についてのお考えがあればお聞かせください。
(大 臣)
 今回このSNSの相談についてですけれども、内閣府の調査ですが、13人に1人の女性が、無理やり性交等をされたという被害経験をしており、そのうち誰にも相談しなかったという方が6割いらっしゃいます。そして性暴力の被害者は心身に大きな被害を受けて、その影響も長く続くことがありますので、被害を訴えることを躊躇せずに必要な相談を受けられるような相談体制の整備が重要な課題となっているということで、このSNS相談を設けるということになったわけです。現在の若年層の多くが、コミュニケーションの手段として、メールですとかSNSを用いています。性暴力被害や様々な悩みの相談の入口として、SNSに有効な可能性があると考えた結果、SNSで寄り添ったやり取りや専門機関の紹介を通じて、被害からの回復につながることを期待しているわけであります。 また、今、ワンストップ支援センターの整備を進めているわけですけれども、被害の直後から、産婦人科医療、相談、カウンセリング等の心理的支援、法的支援などの総合的な支援を、可能な限り1か所で提供することによって被害者の心身の負担を軽減して、その健康の回復を図るという重要な役割を果たしています。これが今、全都道府県において設置されておりますけれども、相談件数も1年で1.4倍になるなど、ニーズが高まってきまして、24時間化や拠点病院の整備などの体制の強化が必要になっていると思っております。そして、内閣府において、交付金を活用して、こうした都道府県の取組を後押ししている中で、毎年度の予算を拡大しておりますけれども、これを確実にしっかりとワンストップ支援センターの運営の安定化と、そしてさらに質の向上というものが求められていると思いますので、予算の確保にも全力で取り組んでいきたいと思っております。
                            
 以上