令和2年7月21日


閣議後定例記者会見


冒頭発言
 冒頭1件お知らせがございます。  本日は、まもなく大会1年前を迎えるに当たりまして、私の所感を述べさせていただきます。  東京オリンピック・パラリンピックを契機として、これまでにも日本全体で様々な変革に取り組んでまいりました。大会は2021年に延期となりましたが、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、来年の大会の確実な成功に向けて、引き続き、IOCや大会組織委員会、東京都等と連携して、大会の準備を着実に進めてまいります。  また、大会1年前となる現時点において、既に多くの施策が実施された結果、日本社会に大きな変革をもたらしております。一番大きな進捗があった分野としては、心のバリアフリーやユニバーサルデザインの街づくりによる共生社会の実現であります。  例えば、大会の招致が決まった2013年当時は、ほとんどの方がボッチャを御存じなかったと思いますが、今は都民の3分の1以上の方が知っておられます。教育カリキュラムが今年度から変わり、障害の有無にかかわらず交流するなど、心のバリアフリー授業を全ての子どもたちが受けることになります。そして、日本各地の96自治体に共生社会ホストタウンが誕生し、パラリンピアンと市民が一体となった取組を進めておられます。  また、かつては大型ホテルでも1室のバリアフリー客室を整備すればよかったのですが、国際パラリンピック委員会の働きかけを受けて、客室総数の1%以上の整備を義務づけました。さらに、国立競技場では世界最高のユニバーサルデザインを実現するべく、バリアフリーも大きく進展をいたしました。このほか復興、文化・食、安全・安心、健康・スポーツ、持続可能性などの各分野での取組も着実に進展しております。  大会の延期により、このような取組をさらに深化させる機会をいただいたと考えておりますので、共生社会ホストタウンの取組の定着をはじめ、大会後の日本社会によりよいレガシーを残せるよう、関係者と緊密に連携しながら全力で取り組んでまいる所存でございます。  私からは以上です。

質疑応答
(記者)
 2点伺います。新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受けて、1年後の五輪開催が不透明になっていると思います。大会組織委員会は、IOCと協議して、12月までにコロナ対策や簡素化の内容を取りまとめる方針ですけれども、開催可否判断のタイムリミットについて、大臣はいつごろになるとお考えでしょうか。
(大臣)
 来年の東京大会については、15日のIOCの理事会の終了後の会見におきまして、バッハ会長が、IOCは来年の東京大会の開催に引き続きコミットする旨の表明をしております。また、17日のIOCの総会においても、来年の大会の会場と競技スケジュールが決定されました。  いずれにしても、このロードマップにおいて、今年の秋以降コロナ対策の検討を行うということでありまして、現時点においては来年の開催の可否を論じることというのは時期尚早だと考えております。引き続きしっかりと連携をしながら、開催に向けて全力を尽くしていきたいと思います。
(記者)
 もう一点伺います。東京五輪をめぐっては、再延期を望む意見も出てきています。アスリートにとっては、さらに1年延期されるのは大変な困難を生じると思われますし、延期が決まったときには、2022年になると、もはや2020年東京大会とは言えなくなるんじゃないかという話もされていたかと思うんですけれども、感染状況によっては改めて再延期を検討すべきだとお考えでしょうか。
(大臣)
 世論調査の結果一つ一つにコメントするということは差し控えたいと思っておりますけれども、私自身は、あの結果を見ましたときに思ったことは、やはり来年本当にできるんだろうかという不安があるのではないかなと、そういった不安を抱いている方たちがたくさんいるということが反映された結果ではないかと私は受けとめております。そういった中で、6月10日のIOC理事会において確認された安全・安心、そして費用の節減、そして簡素化という基本原則のもとに、IOCと組織委員会を中心に調整を進めておりまして、コロナ対策においても、大会組織委員会が公表したロードマップにおいて、今年の秋以降、状況を踏まえた検討を行うということであります。  こういった一つ一つが、しっかりと基本原則が決められ、ロードマップが示されていく。これを着実に進めていくことが、来年本当に開催できるんだろうかと不安を抱いている方たちのその気持ちを払拭するために、この基本原則に基づいて努力をしていく必要があるんだろうと考えております。
(記者)
 ホストタウンに関してお伺いします。感染者数の多い国が相手国の自治体を取材すると、やはり不安の声であったり、受け入れに向けて、早めに検査体制や医療体制、万が一感染者が出てしまった場合を想定して関係機関と協議をしたいというような声も上がっていたんですけれども、改めて政府として、ホストタウンの感染症対策についてどう進めていくお考えか、お願いいたします。
(大臣)
 やはりこれも、国としては出入国の管理ですとか、検査、治療や、あるいは療養体制、会場運営方針等を総合的に検討、調整する必要があるということで、今後そういった検討がなされていく。組織委員会からも表明されたとおりであります。一丸となって対策を進めていくということ、秋以降に設置をされるということでありますけれども。  しっかりとホストタウンが、受け入れてくださる自治体、あるいはそこに協力をしていただいております市民や国民の皆さんに不安がないようにやっていかなければいけないと思っております。そして、特に地方創生にもつながる重要なことだとも思いますので、これをしっかりと地元のホストタウンの自治体の皆さんの声を大切にしながら実現に向けていきたいと思っております。  また、今、こういったコロナの感染症対策において、なかなか交流ができない、あるいは私どももホストタウンの自治体に伺うことができないというような状況になっておりますけれども、一方で、先日も行わせていただきましたけれども、海外のアスリート、そしてホストタウンの、準備してくださっている高校生ですとか自治体の皆さんと、オンラインで会議、交流会といいましょうか、させていただいているんですけれども。こういったことをすることによって、今までにない心のこもった、あるいは深い取組を実施するための準備期間が1年間また継続されたとも捉えることができますので、そういったこと一つ一つを大事に、そして前向きに捉えて、ホストタウンをしっかりと実現に向けてやっていきたいと思っております。
(記者)
 「202030」についてお伺いします。「202030」の目標ですが、さらにいろんな、職種によっては達成が困難な状況もあると思います。今、こういった状況になってしまった背景について、まずどのように捉えられているのか、そして、今後の対策をどうしていきたいのか、この2点をお願いいたします。
(大臣)
 この「202030」の実現に向けて、長年にわたって計画を、しっかりと基本方針を決めながら着実に進めてきたという状況ではありますけれども、やはりまだまだ女性の登用、あるいは政治の分野においてもそうですけれども、総合的になかなか進んでいなかったという現状はあります。このことを踏まえながら、着実にやはり今まで努力をして、そして、それぞれの分野で活躍された方が、さらにしっかりとした体制を整えていくことをこれからも続けていかなければいけないと思っておりますので、その部分も踏まえながら検討していきたいと思います。 また、ちょうど今日、専門調査会において第5次男女共同参画基本計画に関する議論を行っておりますので、その結果を踏まえて、また改めて所感を述べさせていただきたいと思います。
(記者)
 関連で。今、総合的になかなか進んでいなかった現状があるとお話しされました。進まなかったその理由などはどのように分析されていますか。
(大臣)
 人材のプールというものをしっかりと確保しながらやってきた部分というのはありますけれども、やはり、まだ全体にそういったことの整備というのが進んでいなかったということも背景にあるのではないかと思っております。子育てをする環境、あるいは職場における環境というもの、そして男性が育児、あるいは産休も含めてですけれども、参画したい気持ちはあっても、国やあるいは自治体やあるいは職場といった連携がなかなか進んでいかなかった現状というもの。それぞれ着実に進めてはきたわけなんですけれども、その連携を、環境整備というものがいまひとつ進んでいなかったということも、その背景にあるのではないかと思っています。  今、いろいろな一つ一つを精査していく中で、何をこれから進めていかなければいけないか、この着目点がしっかりと見えてきているところでありますので、さらにこの実現に向けて努力をしていく必要があると思っております。
(記者)
 今年はモスクワ五輪のボイコット事件から40年となることに関してお尋ねいたします。五輪とボイコットの問題は、オリンピックを政治利用するということで、すごく懸念の声や、また選手が傷つくだけだという指摘もある中で、今回の東京五輪でも、延期が決まる前は、国単位で選手を行かせないといった話も出てきていたかと思うんですけれども、五輪とボイコット問題に関して大臣のお考えをお願いいたします。
(大臣)
 当時の政治的な背景ですとか、いろいろとあったというふうに私は理解をしているわけですけれども、やはりこれから先というのは、そういったことも踏まえながらオリンピック憲章が改正されたり、スポーツというもののあるべき姿というものが、IOCをはじめとして世界全体におけるスポーツの存在というものの確立のために今まで努力してきたことがあるんだと思います。 今後、そういったボイコットというものがないようにしていかなければいけませんし、また、全くスポーツと政治というものが切り離されていいかといいますと、やはり政治がしっかりと寄り添う形で支えていかなければ、東京大会も含めてですけれども、過去も、これからのそういったスポーツの大イベントというものは、実現をすることがなかなか難しいと思います。切り離すのではなくて、しっかりと寄り添う形の中で、ボイコットすることなく、誰もが平和という象徴の下の、このオリンピック・パラリンピック大会というものに資することができるような取組を、国としてサポートをしていくというのが重要だと私は捉えております。
(記者)
 先ほどの「202030」の関連ですが、今後の対策として、諸外国のように、例えば政治分野で候補者の一定数を実際に割り当てるクオーター制といったような、より強い措置をとるべきだと大臣御自身はお考えでしょうか。
(大臣)
 これは各政党がそれぞれ議論をしながら、そしてそれぞれの政党が1つの方針というものを示していただいてきたという背景があると思いますけれども、日本国として、やはりそういったところは一つ一つ検討していく必要があるのではないかというのは、私自身個人的に思うことであります。  着実に女性の就業者数が増加をしてきたということですとか、あるいは上場企業の役員数も官民の管理職等の比率も、着実に上昇してきております。さらに政治の分野においても、女性が政治分野に参画をしたいと思っていただけるような状況にするということも必要であると思います。その点も踏まえながら、政治の分野の女性の割合というのが日本は非常に世界に比べて低い状況でありますので、もっともっと理解をいただけるよう、各政党にもお願いをしてきていますけれども、各政党の中で女性候補者を擁立するに当たっての教育ですとか、啓発活動、これも重要でありますので、その点も踏まえて進めていきたいと思います。
(記者)
 先週金曜日のIOC総会後の組織委員会の会見で、武藤総長が、秋以降のコロナ対策の国と組織委員会の会議体で、国のほうでイニシアチブをとっていただいて、検討を開始したいという表現でお話されていました。出入国管理などは、国のほうじゃないと検討できない部分も多々あると思うのですが、そういった形で、国でイニシアチブをとるという方向で進めていくのか、その部分を改めてお願いいたします。
(大臣)
 武藤総長からそのように先日の記者会見でも示されました。この秋以降にそういった新型コロナウイルス感染症対策の検討を行う会議体を設置するということで、今、それぞれ検討を進めているところでありますけれども、今御指摘いただいたように、出入国管理、あるいは検査、そして治療や療養体制、そして会場運営方針等を総合的に検討、調整する必要があります。こういった部分においてはやはり国がしっかりとイニシアチブをとっていかなければいけない問題もありますので、コロナ対策ということに関しては、東京都、IOC、そして組織委員会が主体となってやるものですけれども、特にこういった感染症対策ということにおいては、水際対策から始まって、あらゆることを講じなければいけないということに関しては、国もイニシアチブをとってやっていく必要が出てきたんだと私は理解をしておりまして。しっかりとIOC、そして組織委員会と東京都が努力を重ねていく上において、最大限そういった効果が表れるように国としてサポート体制をとっていきたいと思っております。
                
 以上