令和3年2月24日


閣議後定例記者会見


質疑応答

(記者)
 3月25日のオリンピック聖火リレーまで、あと1カ月という状況になりましたけれども、現在のコロナの感染状況を踏まえて、各地での聖火リレーを予定どおり実施されるべきかどうか、大臣の見解と、実施の在り方についてのお考えをお聞かせください。
(大臣)
 まず、感染状況という点から言いますと、関西の方3つの府県が、緊急事態の宣言の解除に向けて検討が進められて、政府とも協議に入られるということを伺っている一方で、関東では、まだ解除は早いのではないかということで、引き続き、状況を把握されるということでございます。
 こういう状況でございますので、私どもは、とにかくまず国民の皆様の御理解が得られるように、感染拡大の防止に努めていくということが、今の時点では重要かと思います。
 一方で、組織委員会で、皆様にも既にプレスリリースがあったかもしれませんけれども、聖火リレーの感染対策について組織委員会の考えをまとめたものを、明日にも、自治体の皆様、またプレスの皆様に御説明されると伺っております。
 この中で、これまでのテストイベント的な聖火リレーで課題となっていた、密を避ける方法であるとか、あるいはグッズの配布であったり、著名人の方の走行区間であったり、こうしたものについての考え方が明確に示されると思いますので、是非、そうしたことも踏まえて、もう一度、各地域の実行委員会でよく御検討をいただければ大変ありがたいと思っております。
(記者)
 東京オリンピック・パラリンピックの観客の部分についてなんですけども、観客を入れるか入れないかの判断というのは、春頃という話ではあったのですが、いつ、どんな基準でやろうと考えていらっしゃいますか。
 それと、海外では陰性証明を条件に観客を入れているスポーツもあると思うのですが、東京オリンピック・パラリンピックではそういったものを導入する考えはありますか。
 その辺をお聞かせ願えますか。
(大臣)
 まず、観客をどうするかということについては、東京都、主催者でございますIOC、組織委員会、そして私たちと、私どもは水際対策を預かる一方で、東京都は医療の体制をお預かりされているわけでありまして、こうしたそれぞれのステークホルダーがまず十分に認識を一致させることが重要であります。
 そういう点から言いますと、まだその十分な議論が尽くせる状況にはないという認識でありまして、今しばらく、それぞれの取組を、どんな工夫ができるかということの知恵を出し合いながら検討を続ける必要があると考えています。
(記者)
 陰性証明の部分についても。
(大臣)
 陰性証明というのは、今、経済産業省が、ビジネス上必要な方のために陰性証明が取れる民間の検査機関というものを、自身がホームページといいますか、事業で紹介をされていらっしゃいますけれども、これが実際にどの程度感染拡大防止に意義があるのかということについては、なお検証が必要だと考えております。
 これが有効であれば、もちろんその導入も検討されるべきだと思いますけれども、政府の中でも他の省庁と連携しながら、どういう工夫ができるかということについては、引き続き、検討させていただきたいと思います。
(記者)
 先月、選択的夫婦別姓の実現を求める意見書の採択が検討されている地方議会向けに、自民党の有志がその再考を求める要望書を送っていて、そこに丸川大臣の名前もあると思います。
 改めて、大臣は選択的夫婦別姓は認められないという立場でいいのかどうかということと、この要望書に名前が載ることになった経緯について、わかる範囲でお聞かせください。
(大臣)
 まず、私個人の信念というものについては私個人の信念でありますので、また、私たちが意見を聞いている範囲、それぞれがそれぞれの国民の代表でありますので、私の意見というものはございます。
 一方で、今、私は政府の中で男女共同参画を推進する立場にあります。
 そして、私が今、男女共同参画含めオリンピックの担当になった経緯を振り返りますと、日本が国際的にどう評価をされているということが問われている非常に重要な局面だと認識をしております。
 私が、組織委員会の理事会で、これは御本人も良いとおっしゃったので紹介させていただきますけれども、IOCのWomen in Sportsの委員を務めておられる渡辺守成さんが、この自由討議の席で、「この問題は組織委員会の問題だけではありません。日本国がどう見られているかという問題なんです」とおっしゃったことが、非常に私の胸に刺さっておりまして、私の考えは脇に置いてでも、日本が国際社会から理解を得て、オリンピックを実現するために、必要なことは力を全て尽くしてやるという姿勢で臨みたいと考えています。
(記者)
 大臣個人としては、やはり認められないという。
(大臣)
 具体的には、国会でも議論をこれからさせていただきたいと思いますけれど、私が今理解している範囲では、憲法に照らしてどうなのかという判断があった後で、もう一度大法廷で回付されるということになっております。
 既に、12月に大変な激論が交わされた後でありますので、ただ、その議論をやってよかったと、それまで長い議論の経緯があります。
 それを御存じの先輩方というのは、もちろん、もう長いこと議論してきたことだと思うかもしれませんが、私たちの社会には、常に新しく成人をされる方、そして婚姻を考える世代になられる方がいらっしゃいますが、その方たちが過去の議論の経緯を必ずしも御存知ではありません。
 そして、今、国会の中でも大変多くの選択肢をお示しになる議員がいらっしゃいます。
 こうした選択肢一つ一つについて、国民の皆様が具に御存知かというと、そういうわけではないと思いますので、是非、こうしたものも国民の皆様に知っていただきながら、そして、私は名前の数だけ、人生の数だけ氏に対する思い、姓に対する思いがあると思いますので、そうしたお声を一つ一つ丁寧に伺いながら、こうした議論があるということを、自分はどうなんだろうということを国民の皆様に考えていただくことが重要だと思っています。
(記者)
 ちょっと長くなりますけれども、2点ほど伺いたいと思うんですけれども。
 昨日の予算委員会で、河野大臣が、ファイザー製のワクチンが5月には間に合わないだろうというようなお話があって、ワクチンが間に合わなくてもオリンピックを開催するのかという質問が出たかと思うんですけれども、ワクチンは、御承知のとおり万能ではなくて、いわゆる罹患者の重篤化を防ぐということについては効果があるということですけれども、感染の防止には役に立たないというか、感染防止の立証は非常に難しいというのが厚生省の見解だったと思うんですけれども。
 そういう中で、ワクチンがなくても、とにかく東京五輪をやれるのかということは皆さん心配されていると思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
 それから、もう1点なんですけれども、2月3日にIOCやIPCなどが集いまして、いわゆるステークホルダーのためのプレイブック、これを、一応初版を公表されたということなんですけれども。
 それは、国際競技連盟用、それからプレス用、放送局用、アスリート用の4つしか用意されていないと。
 まず、第一に、観客が、延べ900万人ぐらい来ると予想されているわけですけれども、まず観客の方、それから通訳などの直接現場でお仕事をされる職員の方、それからボランティアの方、この方用のプレイリストというのは作る予定というのはないんでしょうか。
 また、作ることを要請するということはないんでしょうか。この2点をお伺いしたいと思います。
(大臣)
 御質問ありがとうございます。
 まず1つ目の御質問についてですが、今回の大会は、ワクチンの接種を前提としないで安全・安心の大会を実現できるように、総合的な施策を積み重ねていくという方針でございます。
 と申しますのは、今御指摘がございましたように、まず、すみません、ファイザー社のワクチンが間に合わないというところは、ちょっと何を意味されているのかよくわからなくて、既に打ち始めておりますので、何がどう間に合わないのかということはちょっと私にはわかりませんが、少なくとも、御指摘いただいたように、感染拡大防止というか、感染をさせないということについて効果があるかどうかについては、科学的な立証はまだされていないという状況であります。
 少なくとも重症化を予防することについては、科学的に一定の証明がされているので、承認をされたものだと理解をしておりますけれども、そういう状況でございますので、当然、重症化してほしくない方たちから優先的に打っていくということになります。
 先ほど申し上げましたように、我が国では、例えば3種類のワクチンが承認される見通しがございますけれども、他の国で同じものが承認されるというと、そうではないと。
 それぞれの薬事承認の当局がそれぞれの国のエビデンスに対する理解に基づいて承認をいたしますので、必ずしもその効果が同じかどうかということは、私たちに把握することは必ずしもできません。
 その当局にどういう資料を出されているかというのは、私たちは具には知りませんので。
 ということで、ワクチンを打ったと一言に言っても、どのような状況がそれを意味するのかということについては同じではございませんので、そうしたことから、ワクチンの接種を前提としない状況でも安全・安心の大会ができる体制を逆にとらなければいけないという認識に基づいて、そのような対応、総合的な施策、例えば入国前2週間、健康チェックをしていただく、入国前、ある一定の時間の範囲で検査をしていただいた上で、入国時にもう一度検査をしていただく。
 そして、それぞれ移動するに当たっては専用の車両を御利用いただき、移動先においては、定期的に、ある一定の時間の枠の中で繰り返し検査を受けていただく。
 また、健康チェックは当然受けていただきますし、行動できる範囲も、アスリートについてはしっかり厳格に規制をさせていただくということになります。
 これと同じことが観客の皆様にできるかどうかということが焦点かと思います。
 いろいろな工夫があります。
 ITの技術もございますけれども、どのような形でこれが観客の皆様にお願いできるのかということとの意味合いで、どういう判断ができるかということになろうかと思います。
 これが1点目に対するお答えでございます。
 2点目の、プレイブックについてでございますが、このプレイブックは、IOC、IPC、そして組織委員会の現在の考え方について記載をしたものということで承知しておりまして、観客等の取扱いについては、今後IOC、IPC、また組織委員会で、まず御検討いただくものだと思っております。
 同時に、恐らく通訳の方、ボランティアの方というのは、一義的には組織委員会との関係の中で、例えば研修を受けていただいたり、オリンピズムについて学んでいただいたりしているところでございますので、こうしたことを踏まえまして、どのような御要望があるかということを私どもも把握をしてまいりたいと思います。
(記者)
 先ほどワクチンのことがございましたけれども、例えばPCR検査などは、その有効基準のようなものがあろうかと思うんですけれども、一般的に、割と実際には直前に検査をする必要があろうかと思うんですけれども、これだけ大勢の方がお越しいただく中でPCR検査を徹底すると、これも比較的開催時に近いところで徹底するということは、実際にできるというふうにお考えでしょうか。
(大臣)
 まず、前提として申し上げなければならないことは、一定のウイルス量にならなければPCR検査でも検出することができませんので、ウイルスを体の中に何か入れてしまった、入ってしまった直後にPCR検査に引っかかるかというと、必ずしもそうではありませんので、発症との関係もさることながら、無症状の方もいらっしゃいますので、どのようなタイミングでPCR検査をやればよいのかというのは、非常に今もって大きな科学的な議論のあるところだと思います。
 抗原、定量でいいという方もいらっしゃるかもしれませんし、これについては、なお我々のこれまでの知見を積み重ねながら、検討委員会でしたか、アカデミアの方にも入っていただいて、水際について議論をさせていただいておりますけれども、ここでも議論を積み重ねる必要があろうかと思います。
 どんどん新しい知見が積み重なっているところであります。
 ただ、検査をしっかりやるということは大変重要なことでありますので、これは別にオリンピック・パラリンピックにかかわらず、今後私どもの国が国を開いていく上で、しっかりと体制を整備する必要があると考えております。
(記者)
 観客のところで伺いたいんですけど、さっき大臣は、アスリートと同じようなことを観客にできるかどうかが焦点だとおっしゃっていて、観客にそういったことを依頼するのはなかなか難しいところもあるかと思うんですけれども、もしそういった場合は水際措置によって止めることもやはり検討すべきだというこということはお考えでしょうか。
(大臣)
 まず、そもそもそれがオリンピック・パラリンピックであろうとなかろうと、検疫における措置というものは厳格でなければならないと思います。
 今のところ、世界の感染状況、その国に応じてどのような対応をするかというところはそれぞれの国の感染状況によって決まっているわけでございまして、これを踏まえつつ、どのようにオリンピック・パラリンピックの、一般的な観客の滞在期間というものも踏まえながら、検討が必要だと思っております。
 
                
 以上