7月から10月にかけては日本に接近・上陸する台風が多くなり、大雨、洪水、暴風、高波、高潮などをもたらします。また、川の氾濫や土石流、がけ崩れ、地すべりなどが発生しやすく、人々の生活や生命が脅かされるような自然災害が度々発生しています。
最近では短時間に狭い範囲で非常に激しく降る雨が頻発し、特に宅地等の開発が進んだ都市部では、川の急激な増水が生じたり、道路や住宅の浸水、道路のアンダーパス等の地下空間の水没といった被害も発生しています。
また、雨で増水した川や田んぼを見に行って流されてしまったり、浸水した道路で側溝の境界が見えにくいために転落したりする事故も発生しています。
令和4年台風第14号は、9月17日には大型で猛烈な強さまで急速に発達した。台風が暴風等の特別警報を発表する基準を満たす勢力で接近する可能性が高まったことから、同日、気象庁は、鹿児島県(奄美地方を除く)を対象とした暴風・波浪・高潮特別警報を発表した。台風は、18日に非常に強い勢力で鹿児島県鹿児島市付近に上陸し、19日朝にかけて九州を縦断。その後進路を東よりに変え、20日に日本海で温帯低気圧に変わった。九州を中心に西日本で記録的な大雨や暴風となり、降り始めからの総雨量は、宮崎県の多いところで900ミリを超えるなど、九州や四国の複数地点で平年の9月の月降水量の2倍前後となった。特に宮崎県では記録的な大雨となったことから、気象庁は宮崎県を対象とした大雨特別警報を発表した。また、九州から中国地方及び近畿地方にかけての多くの地点で、最大瞬間風速の観測史上1位を更新した。
この台風により、宮崎県三股町で土砂崩れによる被害が発生したほか、宮崎県等で29河川が氾濫し、浸水被害が発生した。宮崎県をはじめとする九州地方を中心に、人的被害(死者5名、重傷者20名等)・住家被害(全壊17棟、半壊248棟、床上・床下浸水1,310棟等)が生じた。また、ライフラインや交通インフラ等にも被害が発生した。特に強風による電柱や電線の損傷により鹿児島県や宮崎県で停電が発生した。(令和5年3月24日現在)
梅雨前線が、令和3年6月末から7月上旬にかけて西日本から東日本に停滞した。梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が次々と流れ込み、大気の状態が不安定となったため、西日本から東北地方の広い範囲で大雨となった。7月1日から7月3日にかけて梅雨前線は本州南岸に停滞した。7月1日には伊豆諸島で線状降水帯が発生し、日降水量が300ミリを超える大雨となった。7月2日から3日にかけては、東海地方から関東地方南部を中心に断続的に雨が降り、7月4日以降、梅雨前線は次第に北上し西日本から東日本の日本海側でも雨となった。特に7月7日には中国地方の日本海側で線状降水帯が発生し、日降水量が300ミリを超える大雨となった。7月8日には広島県を中心に日降水量が200ミリを超える大雨となった。7月9日夜から10日にかけては、九州南部を中心に雷を伴い猛烈な雨や非常に激しい雨が断続的に降り、9日からの総雨量が鹿児島県さつま町や伊佐市で500ミリを超える記録的な大雨となった。この大雨に対して、気象庁は鹿児島県、宮崎県、熊本県を対象とした大雨特別警報を発表し、最⼤級の警戒を呼びかけた。
この豪⾬により、静岡県熱海市における土石流を含め、多くの土砂災害が発生した。⼈的被害・住家被害のほか、停電や断水などのライフラインにも⼤きな被害が⽣じた。