石破内閣の主要政策 04/
国民の安心・安全の確保

今年6月に閣議決定した「第1次国土強靱化実施中期計画」に基づき、①国民の生命と財産を守る防災インフラの整備・管理、②経済発展の基盤となる交通・通信・エネルギーなどライフラインの強靱化、③デジタル等新技術の活用による施策の高度化、④災害時における事業継続性確保を始めとした官民連携強化や、⑤地域の防災力強化のための取組を切れ目なく推進します。

「福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし」という決意の下、現場主義を徹底し、被災者に寄り添いながら、被災地の復興に向けて総力を挙げて取り組みます。第2期復興・創生期間の次の5年間は復興に向けた課題を解決していく極めて重要な期間であり、今の5年間以上に力強く復興施策を推進していくための財源を確保します。

福島第一原発の廃炉を安全かつ着実に進めます。除去土壌の復興再生利用を進めるとともに、県外最終処分に向けて着実に政府一体で取り組みます。地方創生との連携を強化しつつ、福島国際研究教育機構や新エネ社会構想の取組、なりわいの再建、新産業創出等を推進し、帰還・移住・定住を促進するとともに、交流・関係人口を拡大します。

引き続き、一日も早い被災者の生活・生業の再建、インフラ等の復旧、公費解体、復興まちづくり計画に基づく事業、災害公営住宅の整備を推進するとともに、能登の創造的復興を支援します。また能登地域の観光復興に向け、復興状況に応じた手厚い旅行需要喚起策に取り組みます。

避難所環境の抜本的改善、衛生の確保に向け、発災時にトイレ、パーティション、簡易ベッド、温かい食事、入浴設備を速やかに提供できるような地方公共団体による資機材備蓄への支援など事前防災の取組を推進します。

地域における防災力の強化のため、災害ケースマネジメントやボランティアへの参加促進を含む民間団体・企業との連携による被災者支援の担い手確保や被災者援護協力団体制度等による被災者支援活動の環境整備、広域的な避難の円滑化などを推進します。

世界の活力の中心であるインド太平洋地域が、法の支配、主権、領土の一体性、紛争の平和的解決といった原則を擁護することは、我が国及び地域全体の繁栄にとって不可欠です。この観点から、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の実現に向け、我が国の外交・安全保障政策の基軸である日米同盟、日米協力について、更なる高みに引き上げていきます。また、日米同盟の強化と合わせて、沖縄基地負担の軽減、駐留に伴う諸課題の解決に引き続き取り組みます。

G7、ASEAN、豪、印、韓、EU、NATOを含む同志国・機関との連携を強化し、重層的なネットワークを構築していきます。新興国・途上国(いわゆるグローバル・サウス)への関与も強化します。

韓国は、国際社会の諸課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国であり、現下の戦略環境の下、日韓関係の重要性は変わりません。日韓関係が安定的に前に進むよう、国民間の交流を大切にしながら、両政府間で意思疎通していきます。

中国との関係では、懸案や意見の相違につき、主張すべきことは主張し、協力できる分野では協力していく、現実的な外交を行います。中国の安定的発展が地域全体の利益となるよう、「戦略的互恵関係」の包括的推進、「建設的かつ安定的な関係」の構築という大きな方向性に基づき、首脳間を含むあらゆるレベルで中国との意思疎通を図ります。

ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、引き続き、対ウクライナ支援、対露制裁を行うなどの取組を進めていきます。その上で、ロシアとの関係において、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持します。

北朝鮮とは、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化の実現を目指します。とりわけ拉致問題は、単なる誘拐事件ではなく、その本質は国家主権の侵害です。拉致被害者や御家族が御高齢となる中で、時間的制約のある、ひとときもゆるがせにできない人道問題であり、政権の最重要課題として、断固たる決意の下、総力を挙げて取り組んでいきます。

持続可能な開発目標(SDGs)、防災、保健、気候変動といった地球規模の課題、ガザ地区を始めとする各地の人道危機への対応や女性・平和・安全保障(WPS)などに取り組みます。核軍縮・不拡散については、「核兵器のない世界」に向け、核兵器不拡散条約(NPT)体制の下での取組を主導します。国連安全保障理事会改革を含む国連の機能強化も重要な課題です。

国家安全保障に関する基本方針である「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」及び「防衛力整備計画」に基づき、防衛力の抜本的強化を推進します。また、「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針」に基づき人的基盤を強化します。
防衛力の抜本的強化の補完・不可分一体のものとして、研究開発・公共インフラ整備・サイバー安全保障・国際協力の4分野での取組を推進し、総合的な防衛体制を強化する取組を進めます。

サイバー攻撃は巧妙化・深刻化しており、サイバー攻撃関連通信数や被害数は増加傾向にあるなど、質・量両面でサイバー攻撃の脅威が増大しています。2025年5月に成立したサイバー対処能力強化法等の運用に向け、新たな司令塔組織を中心とする体制を整備します。また、「サイバー空間を巡る脅威に対応するため喫緊に取り組むべき事項」を着実に実施するとともに、2025年内を目途に、新たな「サイバーセキュリティ戦略」を策定します。

産業が抱えるリスクについて点検し、経済インテリジェンス能力や総合的なシンクタンク機能を含む対応の強化や重要インフラの強靱化に取り組みます。国際的な通信、海底ケーブル等のサービスに不可欠な物資や役務の確保に対応するほか、重要物資の安定供給確保の実効性を高め、また人材不足に対処するためのデジタル化やデータ連携等を推進する方策を検討します。
「新たな国際標準戦略」に基づき、量子、デジタル・AI等の戦略領域におけるルールメイキングに対する支援や、政府調達における国際標準の活用に取り組みます。

入国から出国までの情報の一元的管理の実現のため2028年度の電子渡航認証制度(JESTA)の導入を目指します。デジタル技術を活用の上人的・物的体制を整備し、出入国在留関係審査・管理の強化・高度化、在留支援の充実など共生社会に向けた取組を進めます。

育成就労制度及び特定技能制度について、分野・受入れ見込数の設定、監理支援機関の要件厳格化や、必要な体制整備等を行います。

外国の運転免許の日本の運転免許への切替手続(外免切替手続)について、運転免許の住所確認の厳格化や知識確認・技能確認の審査内容の厳格化を進めます。

外国人の税・社会保険料の未納付防止や社会保険制度の適正な利用に向けて、未納付情報や医療費不払い情報の連携による在留審査への有効活用、外国人の保険適用の在り方等の検討を行います。

外国人による土地等の取得を含む国土の適切な管理・利用について、政府横断的な司令塔体制の下、総合的な検討を行うとともに、安全保障の観点からは、重要土地等調査法等による対応を進め、内外の情勢等を見極めつつ更なる検討を進めます。

外国人観光客等の受け入れと住民の生活の質の確保を両立させるため、観光・短期滞在者の犯罪・迷惑行為への対応を強化します。

良好な治安の確保に向け、違法なドローン飛行への対応やテロの未然防止策を強化します。また、国民保護施策やマネロン・テロ資金供与・拡散金融への対策を強化するとともに、国民を詐欺の被害から守るため、オンライン賭博や悪質ホストクラブ等への対策を強化し、匿名・流動型犯罪グループの壊滅を目指すなど取組を進めます。

運輸分野では、安全対策や自動車メーカー等の不正防止、高齢運転者の事故防止を進めるとともに、自動車事故被害者の支援に取り組みます。

地方消費者行政の強化のため、地域見守り活動の活性化や消費生活相談員の人材確保・育成に資するよう地方消費者行政交付金制度を見直します。また、DXを活用した食品ロスの削減や寄附を促進します。

職場のハラスメント対策として、カスタマーハラスメント防止指針を策定します。

花粉症や熱中症対策、クマの人身被害対策等を推進し、PFAS対策として、科学的知見を充実させ、水道事業体への支援を進めます。

新型コロナウイルス感染症のり患後症状やワクチン副反応についての調査・研究を進め、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」に基づき、国立健康危機管理研究機構と連携し、次なる感染症危機への対応に万全を期します。

ケアラーに対する地方公共団体の取組支援、生活困窮者自立支援制度の機能強化、生活保護制度の適切な運用確保、障害者基本計画に基づく施策、自殺対策、ひきこもり支援、孤独・孤立対策のための取組を支援します。

寄附の促進、NPO法人の活動促進に向けた環境整備、公益法人・公益信託の新制度施行等に関する整備、休眠預金等の活用、成果連動型民間委託契約方式の拡大を通じ、社会課題解決を促進します。

「新たな就職氷河期世代等支援プログラムの基本的な枠組み」に基づき、①就労・処遇改善に向けた支援、②社会参加に向けた段階的支援、③高齢期を見据えた支援の3本柱に沿って従前からの取組を強化するとともに、2025年度内を目途にKPIを含む新たな就職氷河期世代等支援プログラムをとりまとめます。

女性版骨太の方針2025に基づき、女性の所得向上・経済的自立に向けた取組、理工系分野の女性割合の向上、女性の健康総合センターの取組支援、女性用トイレの利用環境の改善を推進します。男女共同参画の視点に立った防災・復興、DV・ストーカー対策に取り組みます。

高齢者のニーズに応じ、多様な就業機会を官民連携して提供します。認知症の人の成年後見制度の利用を促進します。身寄りのない高齢者への支援や総合的な権利擁護について検討するとともに、独居高齢者への政府横断的な対応を行います。